JPH0852498A - アオコの除去及びその異常発生を抑制する方法 - Google Patents

アオコの除去及びその異常発生を抑制する方法

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JPH0852498A
JPH0852498A JP6210622A JP21062294A JPH0852498A JP H0852498 A JPH0852498 A JP H0852498A JP 6210622 A JP6210622 A JP 6210622A JP 21062294 A JP21062294 A JP 21062294A JP H0852498 A JPH0852498 A JP H0852498A
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water
bloom
phosphorus
suppressing
magnesium
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JP6210622A
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Akira Kaneyasu
彰 兼安
Nobuyuki Nishino
伸幸 西野
Satoshi Sano
聡 佐野
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Ube Chemical Industries Co Ltd
Original Assignee
Ube Chemical Industries Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、アオコの栄養源である有機態リン
と無機態リンを同時に除去することにより、アオコの除
去とアオコの異常発生を抑制することができる処理法を
提供する。 【構成】 水域中のアオコの除去及び異常発生を抑制す
る方法において、アオコが発生した水域の水をマグネシ
ウムイオン供給剤と接触させる処理法と生物学的処理法
を組み合わせることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水域中に発生したアオ
コの除去及びその異常発生を抑制する方法に関するもの
である。
【0002】
【従来技術】近年、後背地に大きな汚濁源を有する湖沼
等の閉鎖性水域は、流入する汚濁負荷が大きい上に汚濁
物質が蓄積し易いために富栄養化が進み、アオコ(微細
藻類)の異常発生が起こり社会問題となっている。観光
地の湖沼等においてはアオコが異常に発生することでそ
の景観が損なわれ、あわせて異臭が漂うことで観光資源
としての価値を低下せしめている。飲料水の取水源とな
っている湖沼においても淡水赤潮やアオコが異常に発生
し、上水道施設のろ過障害や異臭の問題を生じている。
更に、上水施設で実施されている塩素消毒により発ガン
性物質が生成する等の問題も指摘されている。これらに
対処するために、水質汚濁防止法,湖沼水質保全特別措
置法,湖沼に係わる窒素及び燐の排水規制等が制定実施
されている。
【0003】これらのアオコの異常発生によって生じる
問題の主な対策として、栄養塩を含む汚濁物質の流入
を防止する,富栄養化した閉鎖性水域の底泥を除去す
る,異常発生したアオコを直接除去する方法等が提案
されている。このうちに関しては、人間を含めて全て
の生産活動の休止または抑制によってのみ達成されるた
め、現時点では完全に実施することは不可能である。
に関しては、浚渫及び残土の処理に莫大なコストを要す
とともに、対象となる湖沼等の数が多いため為に実施す
るのは困難となっている。従って、現時点においては
のアオコの除去対策が最も現実的に実施に移し易い方法
とされている。更に発生したアオコ除去の効果的な方法
としては、直接ろ過法,生物分解法,紫外線照射
法がある。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】発生したアオコを除
去する方法のうち、の直接ろ過法は、アオコが発生し
た水域の水を砂ろ過,限外ろ過,プレコートフィルタ
ー,長毛型ろ過機等で全量ろ過する方法である。直接ろ
過法では目詰まりが激しいことと規模の大きい湖沼では
適用できない欠点がある。の生物分解法は、一時的な
アオコの除去に効果はあるが、アオコの発生を抑制する
ことは不可能である。これは生物法によりアオコが分解
無機かされて生じた栄養塩類が、再びアオコの発生原因
となるからである。の紫外線照射法は、紫外線をアオ
コに照射して殺藻する方法である。現時点では最も効果
的な方法とされているが、紫外線照射のコストが高い欠
点がある。従ってこれらの方法のみでアオコの対策を行
うことは、コスト的にも実施後の効果においても問題が
残る。
【0005】一方で、アオコの異常発生についてのメカ
ニズムについて様々な研究がなされ、現時点では過剰に
蓄積されたリン(P)と窒素(N)によって引き起こされる
ことが判っている。村上等は環境技術,19巻,2号,(199
0),88頁,7〜9行において、「藻類の増殖を刺激し富栄養
化を引き起こす物質の中では、とくにN,Pが重要な制
限因子であることは明らかにされていることから、この
N,Pの流入削減対策を強力に押し進めることが、水域
の水質保全上、もっとも重要なことである。」と報告
し、P,Nの流入防止がアオコの発生抑制のためには必
要としている。岩井も同様に石膏と石灰,410巻,2号,(19
90),1頁,10〜11行において、「しかし水質的には、リン
(P)と窒素(N)とが主要因、生物的刺激物質(ある種の
金属)やビタミン等が副要因であると思われる」と報告
し、P,Nがアオコ発生の要因と指摘している。また、
国内のアオコの発生因子において、Pが優先因子である
ことも指摘されている。従って閉鎖性水域中のPの低減
が出来れば、アオコの異常発生を抑制することは可能と
なる。
【0006】水域中のリンの低減は、流入リンの削減と
流入した水域中のリンの削減が同時に実施されることが
重要である。しかしながら流入リンの削減は先に述べた
理由により現時点での対応は困難であるために、流入し
たリンの削減で対応することが必要となる。流入したリ
ンの削減方法として、様々な吸着剤及び吸着除去方法の
提案がされている。特開昭60ー110393においては粒状固
体物質の表面にマグネシウム塩とカルシウム塩を固着さ
せた吸着剤が、特開平4ー200788においては珪酸カルシウ
ム水和物とマグネシウム化合物の混合物が、特開平4ー18
0884においては石灰系の吸着剤が開示されている。これ
らの吸着剤のうち石灰系の吸着剤は、安価であり,簡単
に散布できることで、有望とされていた。しかし実際に
は、効果的な成果をあげることが困難であることが明ら
かにされつつある。
【0007】石灰添加法はアオコが異常発生した水域中
に石灰を添加し、石灰がリンと反応することで難溶性リ
ン酸化合物を形成し、アオコの栄養源であるリンを固定
除去する方法である。しかし石灰添加法においては、次
の問題点が指摘されている。 石灰が水中に存在する炭酸イオンと反応し、石灰表面
で炭酸カルシウムが生成し安定化するために、カルシウ
ムイオンの供給が止まる欠点がある。これについては特
開平4ー200788において、「カルシウムイオンと炭酸イオ
ンとの反応性は、カルシウムイオンとリン酸イオンの反
応性より大きい」と指摘していることからも明白であ
る。更にまた石灰は比較的溶解度が高いために、水中
投入時の指示pH高い特徴を有する。従って投与する場
合は、投与することで上昇する環境水pHの変動につい
て生体に及ぼす影響の面から考慮する必要がある。特
に、pH緩衝能の小さい淡水系では、慎重に投与する必
要がある。これについても高島らは、環境用水の浄化及
び水処理の高度技術,(1994),61頁,21〜22行において、
「石灰投与においてはpHに留意し、添加量を再検討す
る必要性がある」と指摘し、投与して得られる効果も重
要であるが、投与後の環境水のpHも環境基準pH内に
維持することが重要であることを述べている。
【0008】そこで本発明者等は鋭意研究の結果、ア
オコの増殖に必要なリンの形態は、無機態のリンと有機
態のリンの両方があること,富栄養化が進行している
湖沼等においては、水中の可溶性無機態リンよりも生物
生産による有機態リンの方が存在量は多いこと,アオ
コの種類によって、栄養源として必要なリン形態は異な
ること,石灰添加法を含めて無機吸着剤で吸着除去で
きるリンは無機態のリンのみで、有機態リンの除去は殆
ど不可能であること,生物分解法で完全に処理された
被処理液中のリンは無機態リンのみで、有機態リンは分
解されて無機態リンに変換されている等の事実を発見
し、本方法を発明するに至った。つまり、無機吸着剤単
独での処理方法では有機態リンが残留し、生物分解法単
独での処理では無機態リンの除去は困難であるため、こ
れらがアオコの栄養源として供給されて、再びアオコの
発生原因となるために、これまでの生物分解法或いは吸
着剤のみのような、従来法単独による対策では必ずしも
アオコに対して完全な効果は得られてなかったと考えら
れる。従ってアオコの除去及び異常発生を十分に抑制す
るためには、無機態リンのみでなく有機態リンについて
も低減する必要があり、そのためには生物分解法による
有機態リンの無機態リンへの変換する方法とマグネシウ
ムイオン供給剤による無機リンの吸着除去法を組み合わ
せることが必要であることを発見した。
【0009】
【問題を解決するための手段】本発明は、アオコの除去
及び異常発生を抑制する方法において、アオコの発生し
た被処理液を生物分解法による処理とマグネシウムイオ
ン供給剤との接触処理を同時に併用することを特徴とす
る処理方法である。また本発明の処理方法において、マ
グネシウムイオン供給剤との接触処理,或いは生物分解
処理の何れを先にやっても問題はなく、また同時に処理
を行っても構わない。
【0010】生物分解法は如何なる方法をも制限するも
のではなく、微生物を利用して有機態リンを無機態リン
に変えるものであれば、好気性法あるいは嫌気性法等の
如何なる方法でも良い。また、生物分解処理装置は既存
の装置でも良いし、簡易な受槽に充填剤を添加したもの
でも可能である。被処理液中のアオコと有機態リンは、
例えば好気性微生物を利用した生物処理槽に通水される
ことで、処理槽内の細菌,原生動物,後生動物の食物連
鎖によって補食,代謝または分解作用により、最終的に
は無機態リンの形態にまで分解することが可能となる。
【0011】マグネシウムイオン供給剤は、水中に溶存
する無機態リンと反応して難溶性リン酸マグネシウム化
合物を生成させる目的のために必要なものである。従っ
て、マグネシウムイオン供給剤は液状,固体状,或いは
スラリー状を問わず、マグネシウムイオンを供給するこ
とが可能であれば如何なるものでも構わない。ここでの
液状の供給剤の例としては、塩化マグネシウム溶液,硫
酸マグネシウム溶液,硝酸マグネシウム溶液等のマグネ
シウム塩溶液があり、固体状の例としては、酸化マグネ
シウム,水酸化マグネシウム,炭酸マグネシウム等の苦
土系粉粒体が挙げられる。スラリー状の例としては、先
の化合物の1種または2種以上によって構成されるスラ
リーが挙げられる。しかし、長期に渡ってマグネシウム
イオン供給効果を持続させるためには、苦土系粉粒体の
1種または2種以上の材料によって構成されたものが最
も好ましい。なお、塩化マグネシウム,硫酸マグネシウ
ム,硝酸マグネシウム等のマグネシウム塩溶液を使用す
る場合は、一時的にpHが降下するために、共存する他
の生物に対する影響を見ながら添加する必要がある。
【0012】無機リン酸イオンと難溶性リン酸化合物を
生成させる目的のために、石灰系でなく苦土系を採用し
たのは、溶存することによって変動するpHは苦土系
の方が小さく、且つ環境水のpH内で作動させることが
容易であること,炭酸イオンとの反応性が低いため、
炭酸化合物が生成することで無機態リンとの反応性が劣
化しないこと,石灰系と比較して溶解度が低いため、
長期に渡って反応性が持続すること,環境水のpH範
囲において生成する難溶性リン酸化合物の溶解度は、苦
土系の方が低くいために吸着効率が高いためである。
【0013】生物処理槽を経た被処理液中の無機態リン
は、マグネシウムイオン供給剤より供給されるマグネシ
ウムイオンと反応することで難溶性リン酸マグネシウム
化合物を生成し、結果的には無機態リンの固定除去が可
能となる。
【0014】以上述べた通り、アオコが発生した被処理
液をマグネシウムイオン供給剤との接触処理と生物分解
法による処理を併用することで、無機態リンに加えて、
従来方法では不可能であった有機態リンの同時除去が可
能となる。この結果、アオコの異常発生を引き起こす必
須栄養源であるリンの供給を断つことができ、アオコの
除去と異常発生を抑制することが可能となる。
【0015】
【実施例】
実施例1 表面積1800cm2,有効水深3cm,水量10l水貯付水槽を用意
し、実験に使用するアオコの培養を行った。培養に際し
ては、金魚の飼育水を培養液とし、アオコを植種した。
水槽は太陽光が照射する窓辺に設置し、併せて18W蛍光
灯2台を水面から30cmの高さに設置し、照射を終日行っ
た。アオコ増殖を終えた時点の濁度,透視度,有機態リ
ン濃度,無機態リン濃度,pHは、それぞれ11.3Klettー
unit,5.2cm,1.75ppm,0.12ppm,9.05で、槽内は濃い
緑色を呈していた。なお、リン濃度はろ過液中のもので
ある。次に、生物処理槽とマグネシウムイオン供給剤を
槽内に装着し、生物分解処理とマグネシウムイオン供給
剤との接触処理を開始した。実験開始と同時に、一日に
一回、金魚の餌を0.6gづつ投与し、負荷を加えた。水槽
内の水200mlを毎日抜き取り水道水を補給して、50日で
水を交換するようにした。槽内の水は、水中ポンプとエ
アーリフトポンプにて対流させ、槽内→生物処理槽→マ
グネシウムイオン供給剤→槽内で循環する経路をとるよ
うにした。水槽内の水は一日20回循環する水量で、循環
を続けた。生物処理槽には既存の網状塩ビ製充填剤を投
入し、充填剤表面に生物膜を生成させたものを使用し
た。生物膜が生成した充填剤表面は、薄い土色の被膜が
形成されていた。マグネシウムイオン供給剤として水酸
化マグネシウムを使用し、水槽内に0.20kg/m2の割合で
添加した。生物処理とマグネシウムイオン供給剤との接
触処理を開始することで、槽内の緑色は徐々に薄緑→極
薄い緑色まで退色し、槽内のアオコが除去されているこ
とが確認された。実験開始20日後の濁度,透視度,有機
態リン濃度,無機態リン濃度,pHは、それぞれ1.2Kle
ttーunit,42.5cm,0.63ppm,検出せず,9.20であった。
水槽中のリン濃度の測定から、金魚の餌を投与している
にもかかわらず、有機態リンと無機態リンが共に低減さ
れ、生物処理とマグネシウムイオン供給剤との接触処理
の効果が確認された。
【0016】実施例2 長さ30cm〜40cmの観賞用の錦鯉を40匹飼育している有効
水深1.0m,水量18m3でアオコが発生している池に、生物
処理槽を設置した。生物処理槽は、内径0.7m×高さ2.0m
のセメント管を利用して、御影石の砕石と塩ビ製の充填
剤を投入したものを用意した。池水は水中ポンプで吸引
して生物処理槽の下部より通水し、処理槽上部からヘッ
ドを利用して池に戻す経路で循環した。池の水は、一日
5回循環する量で循環させた。マグネシウムイオン供給
剤として約0.20kg/m2の水酸化マグネシウムを使用し、
生物処理水に接触させた。生物処理槽を設置する以前の
池は濃い緑色で、池の中の錦鯉は全く見ることは出来な
かった。なお錦鯉への給餌は、実験を開始しても継続
し、一日一回錦鯉用の飼料を700gづつ投与し続けた。実
験開始5日目より効果が表れ錦鯉の姿が確認され、開始3
0日目には池の底部まではっきり見える状態にまで改善
された。実験開始30日目の濁度,透視度,pHは、それ
ぞれ0Klettーunit,100cm以上,8.00であった。濁度,透
視度の結果から、明らかにアオコの除去とその発生が抑
制されていることが確認され、生物分解処理とマグネシ
ウムイオン供給剤との接触処理の効果が確認された。
【0017】比較例1 アオコを培養した水槽に生物処理層だけを装着して、実
施例1と同じ条件で生物分解処理を行った。実験開始20
日後の濁度,透視度,有機態リン濃度,無機態リン濃
度,pHは、それぞれ5.4Klettーunit,13.3cm,4.46pp
m,0.26ppm,8.33であった。水槽中のリン濃度の測定か
ら、有機態リン,無機態リン共に増加し、アオコの減少
は殆ど見られなかった。この結果から、生物分解処理の
みではアオコの増殖を抑制することは不可能であること
がわかる。
【0018】
【発明の効果】以上の様に、本発明の生物学的処理とマ
グネシウムイオン供給剤との接触処理を併用する方法
で、従来法では不可能であったアオコの栄養源である有
機態リンと無機態リンの同時除去が可能となり、アオコ
の除去とアオコの異常発生を抑制することが可能とな
る。本発明は、生物学的処理で有機態リンを無機態リン
に分解し、マグネシウムイオンとの接触処理で無機リン
を固定化するだけの、驚くほど単純な方法であるが、
従来の大型で高価な設備を必要とせず、簡便な装置で
の実施が可能で、ランニングコストが安価で、自然
の浄化力を利用することで環境に対し安全である、等の
長所を有す有効な手段となる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水域中のアオコの除去及び異常発生を抑制
    する方法において、アオコが発生した水域の水をマグネ
    シウムイオン供給剤と接触させる処理法と生物学的処理
    法を組み合わせることを特徴とする水域中のアオコの除
    去及びその異常発生を抑制する方法。
  2. 【請求項2】少なくとも水域中でマグネシウムイオンが
    供給できる供給剤において、苦土系粉粒体の1種または
    2種以上によって構成されることを特徴とする請求項1
    記載の水域中のアオコの除去及びその異常発生を抑制す
    る方法。
JP6210622A 1994-08-11 1994-08-11 アオコの除去及びその異常発生を抑制する方法 Pending JPH0852498A (ja)

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JP6210622A JPH0852498A (ja) 1994-08-11 1994-08-11 アオコの除去及びその異常発生を抑制する方法
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