JP7260320B2 - 藻類への栄養供給用資材の製造方法 - Google Patents

藻類への栄養供給用資材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、栄養供給用資材の製造方法に関する。
温帯域から寒帯域にかけての沿岸の浅海域には、藻場と呼ばれる海草及び海藻の繁茂する群落が存在している。藻場は、(a)富栄養化の原因となる海中の窒素およびリン等を吸収する、(b)光合成を行うことにより海中に溶け込んだ二酸化炭素を吸収して海中へ酸素を供給する、(c)水生生物の産卵場、仔稚魚の育成・生息場、餌場、及び隠れ場となる、等の点で水産資源の保護および保全に貢献している。
近年、日本の沿岸各地において、藻場が衰退あるいは消失する磯焼けと呼ばれる現象が進行している。磯焼けの原因は、場所や地域によって異なり、また、複数の要因によって生じる場合もあることから、一般化して説明することは難しいが、主な要因として、温暖化による海水温の上昇に伴う生態系の変化;海中のリンおよび窒素等の栄養塩の不足;ウニや魚類等による食害;沿岸や流域の改変による海水の流動性の低下等が挙げられる。
一方、下水、し尿、及び産業排水(農林漁業及び鉱工業からの排水)に含まれるリンは、従来、最終的には河川、海などに流入していた。しかし、水域におけるリンの濃度が大きくなると、富栄養化をもたらし、藻類の異常発生、赤潮、及びヘドロの原因になるという問題があった。このため、微生物や凝集剤等を利用した脱リン法によって、リンを含む下水等から、リンを除去して、下水等に含まれるリンの量を低減することが行われている。
しかし、下水、し尿、及び産業排水が高度に処理されるようになった結果、河川や海に流入するリン及び窒素等の栄養塩の量が減少し、さらには、護岸工事、森林伐採、及び耕作地の減少等によって陸上からの栄養塩の流入量も減少するようになったため、海中の栄養塩の濃度が著しく低下し、磯焼けの大きな要因となっていると考えられている。
水中に栄養塩を供給することで、藻場の造成を図ることができ、磯焼けを防止することができる資材として、特許文献1には、ケイ酸カルシウム系材料とリンとの反応生成物を含む粉粒状物からなることを特徴とする藻類への栄養供給用の資材が記載されている。また、該資材に含まれるリンとして、リンを含む排水から回収されたものが用いられている。
特開2016-77206号公報
磯焼けが発生している場所や海藻が衰退する時期には、海藻等の生長を促進するために、より多くの栄養成分が供給されることが望まれる。
一方、海藻が繁茂する時期において、栄養成分が過剰に供給されると、富栄養化が起こり水域の汚染につながるという問題がある。
このため、栄養供給用の資材から栄養成分が溶出する速度を、目的に合わせて調整することができる技術が求められている。
そこで、本発明の目的は、栄養成分であるリンの水中への溶出速度(単位時間当たりのリンの溶出量)を、所望の大きさに調整することができる、栄養供給用資材の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ケイ酸カルシウム系材料とリン含有液状材料との反応生成物を含み、かつ、水中に栄養成分としてのリンを溶出するための栄養供給用資材を製造するに際し、上記リン含有液状材料のpHを特定の範囲内に調整すれば、このようにpHが調整されたリン含有液状材料と、ケイ酸カルシウム系材料との反応生成物である栄養供給用資材からのリンの溶出速度を所望の大きさに調整しうることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[6]を提供するものである。
[1] ケイ酸カルシウム系材料とリン含有液状材料との反応生成物を含み、かつ、水中に栄養成分としてのリンを溶出するための栄養供給用資材の製造方法であって、上記栄養供給用資材からのリンの溶出速度が所望の大きさになるように、上記リン含有液状材料のpHを特定の範囲内に調整することを特徴とする栄養供給用資材の製造方法。
[2] 上記ケイ酸カルシウム系材料が非晶質であり、かつ、上記リン含有液状材料がリン酸を含む前記[1]に記載の栄養供給用資材の製造方法。
[3] 上記栄養供給用資材中のリンの含有率が、酸化物(P)換算で、5~30質量%である前記[1]又は[2]に記載の栄養供給用資材の製造方法。
[4] 上記リン含有液状材料が、pHの上記調整の前に、7未満のpHを有するものであり、上記栄養供給用資材からのリンの溶出速度を増大させたい場合に、上記リン含有液状材料のpHを9以上に調整し、上記栄養供給用資材からのリンの溶出速度を減少させたい場合に、上記リン含有液状材料のpHを9未満に調整する、前記[1]~[3]のいずれかに記載の栄養供給用資材の製造方法。
[5] 上記リン含有液状材料が、pHの上記調整の前に、7以上のpHを有するものであり、上記栄養供給用資材からのリンの溶出速度を増大させたい場合に、上記リン含有液状材料のpHを11以上に調整し、上記栄養供給用資材からのリンの溶出速度を減少させたい場合に、上記リン含有液状材料のpHを11未満に調整する、前記[1]~[3]のいずれかに記載の栄養供給用資材の製造方法。
[6] 前記[1]~[5]のいずれかに記載の栄養供給用資材の製造方法によって、上記栄養供給用資材を得た後、上記栄養供給用資材を、藻類が生息する水中に供給することを特徴とする藻類への栄養の供給方法。
本発明の製造方法によれば、栄養供給用資材に含まれている栄養成分であるリンの水中(例えば、藻類が生息する海中)への溶出速度を、所望の大きさに調整することができる。
本発明の栄養供給用資材の製造方法は、ケイ酸カルシウム系材料とリン含有液状材料との反応生成物を含み、かつ、水中に栄養成分としてのリンを溶出するための栄養供給用資材の製造方法であって、栄養供給用資材からのリンの溶出速度が所望の大きさになるように、リン含有液状材料のpHを特定の範囲内に調整するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
ケイ酸カルシウム系材料の例としては、後述するリンを含む排水(リン含有液状材料)の処理において、リン回収資材(脱リン材)として一般的に使用されている、非晶質(非結晶質)のケイ酸カルシウム系材料または結晶質のケイ酸カルシウム系材料が挙げられる。
中でも、リンを含む排水の処理において、リンの回収率が高く、ケイ酸カルシウム系材料と、リンを含む排水(リン含有液状材料)との反応生成物中のリンの量がより大きくなる観点から、非晶質のケイ酸カルシウム系材料が好ましい。
非晶質のケイ酸カルシウム系材料としては、易溶解性シリカと水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液と石灰(例えば、消石灰、生石灰、石灰石、またはこれらの混合物)を原料としてなるリン回収資材や、ケイ酸ナトリウム水溶液と石灰を原料としてなる(例えば、水ガラスと石灰と水とを混合することで得られる)リン回収資材等が挙げられる。
結晶質のケイ酸カルシウム系材料としては、例えば、トバモライト、ゾノライト、及びウォラストナイト等のケイ酸カルシウム化合物、並びに、これらのケイ酸カルシウム化合物を含む軽量気泡コンクリート(ALC)、保温材等の建設材料等が挙げられる。
トバモライトとは、Ca5・(Si6182)・4H2O(板状の形態)、Ca5・(Si6182)(板状の形態)、Ca5・(Si6182)・8H2O(繊維状の形態)等の化学組成を有するものである。
ゾノトライトとは、Ca6・(Si617)・(OH)2(繊維状の形態)等の化学組成を有するものである。
ウォラストナイトとは、CaO・SiO(繊維状又は柱状の形態)等の化学組成を有するものである。
軽量気泡コンクリートは、Ca5・(Si6182)・4H2Oの化学式で表されるトバモライト、および、未反応の珪石からなるものであり、かつ、80体積%程度の空隙率を有するものである。ここで、空隙率とは、粒体の全体積中の、空隙の体積の合計の割合をいう。
軽量気泡コンクリート中のトバモライトの割合は、コンクリートの内部の空隙部分を除く固相の全体を100体積%として、65~80体積%程度である。
軽量気泡コンクリートは、例えば、珪石粉末、セメント、生石灰粉末、発泡剤(例えば、アルミニウム粉末)、水等を含む原料(例えば、これらの混合物からなる硬化体)をオートクレーブ養生することによって得ることができる。
リン含有液状材料の例としては、リンを含む排水等が挙げられる。
リンを含む排水としては、特に限定されるものではないが、例えば、下水、し尿、または産業排水(農林漁業及び鉱工業からの排水)の処理において発生するリンを含む液状物が挙げられる。具体的には、下水処理において、下水汚泥を固液分離することによって得られる排水(下水汚泥脱水ろ液);し尿または食品工場で発生した排水等の処理において、生物膜法を用いて処理した排水;畜産業または食品工場で発生した排水等の処理において、該排水を、活性汚泥を用いて処理した後、沈殿池等から回収される処理水(活性汚泥処理水);化学工場等で発生したリン酸廃液;食品工場で発生した排水等の処理において、汚泥を固液分離することによって得られる排水(汚泥脱水ろ液)等が挙げられる。
中でも、ヒューミン、フミン酸及びフルボ酸等の腐植質を一定量含み、該腐植質を含む栄養供給用資材を得ることができる観点から、下水、し尿、または畜産業で発生した排水の処理において発生する、リンを含む排水が好ましい。上記腐植質は、リン及び窒素等の栄養塩と同様に水中に溶出することで、藻類等の生育をより促進することができる。
また、リン含有液状材料は、藻類の栄養成分として利用しやすく、藻類の生長をより促進することができる観点から、リン酸を含むものが好ましい。
なお、上述したリンを含む排水は、通常、リン酸を含んでいる。
本発明では、ケイ酸カルシウム系材料とリン含有液状材料を混合して反応生成物を得る際に、リン含有液状材料のpHを特定の数値範囲内に調整することによって、栄養供給用資材からのリンの水中への溶出速度を所望の大きさにすることができる。
上記pHの調整は、ケイ酸カルシウム系材料とリン含有液状材料を混合する前に行う。
リン含有液状材料のpHの上記特定の数値範囲は、pH調整前のリン含有液状材料のpHの数値、及び、リンの溶出速度の所望の大きさに応じて、適宜、定められる。
具体的には、pH調整前に、リン含有液状材料が7未満のpHを有する場合、栄養供給用資材からのリンの溶出速度を増大させたい(例えば、藻類の生長を促進したい)のであれば、リン含有液状材料のpHを9以上(好ましくは9.5以上、より好ましくは10以上)に調整すればよく、栄養供給用資材からのリンの溶出速度を減少させたい(例えば、栄養成分の過剰供給を防ぎ、水域の富栄養化を防ぎたい)のであれば、リン含有液状材料のpHを9未満(好ましくは8.5以下、より好ましくは8.0以下)に調整すればよい。
また、pH調整前に、リン含有液状材料が7以上のpHを有する場合、栄養供給用資材からのリンの溶出速度を増大させたいのであれば、リン含有液状材料のpHを11以上(好ましくは11.5以上、より好ましくは12以上)に調整すればよく、栄養供給用資材からのリンの溶出速度を減少させたいのであれば、リン含有液状材料のpHを11未満(好ましくは10.5以下、より好ましくは10以下)に調整すればよい。
なお、pH調整後のリン含有液状材料のpHの下限値は、pHの調整に必要な薬剤にかかるコストの低減や水中に設置した後の水生生物への悪影響を防ぐ等の観点から、好ましくは5、より好ましくは5.5である。
また、pH調整後のリン含有液状材料のpHの上限値は、pHの調整に必要な薬剤にかかるコストの低減や水中に設置した後の水生生物への悪影響を防ぐ等の観点から、好ましくは13、より好ましくは12.5である。
pHの調整方法の例としては、pH調整前のリン含有液状材料のpHの数値、及び、リンの溶出速度の所望の大きさに応じて、塩酸、硫酸、硝酸等の酸、または、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを適宜選択した後、リン含有液状材料に投入して混合する方法が挙げられる。
上述したケイ酸カルシウム系材料とリン含有液状材料を混合することによって、ケイ酸
カルシウムとリン含有液状材料に含まれているリンが反応してなる反応生成物を含む栄養供給用資材が生成される。
生成された栄養供給用資材を、ろ過、沈降分離、又は遠心分離等によって、分離回収することで、リン含有液状材料中のリンを固体分として回収することができる。
リン含有液状材料がリンを含む排水である場合、栄養供給用資材を分離回収することで、リンの含有率が低下した排水が得られる。該排水は河川、海等にそのまま排出することができる。
上記栄養供給用資材中のリンの含有率は、酸化物(P)換算で、好ましくは5~30質量%、より好ましくは8~25質量%、さらに好ましくは10~20質量%、特に好ましくは12~18質量%である。該含有率が5質量%以上であれば、水中への栄養塩の溶出量をより多くすることができる。該含有率が30質量%以下であれば、水中への栄養塩の溶出量が多くなりすぎず、富栄養化を防ぐことができる。
上述した製造方法によって得られた栄養供給用資材を、藻類が生息する水中に供給することで藻類に栄養(特に、リン酸態リン)を供給することができる。
なお、本明細書中、「藻類」とは、水中で独立栄養の生活を営む植物の総称をいい、海藻、淡水藻、水草(海草を含む)を含むものである。
栄養供給用資材の水中への供給方法としては、栄養供給用資材を単独で水中(例えば、海中)の設置する方法や、資材の流出を防ぐ観点から、栄養供給用資材を、通水性を有する部分を備えた袋に収容した形態で、水中(例えば、海中)に設置する方法等が挙げられる。
栄養供給用資材を水中に設置することで、該資材からリン等の栄養成分が水中へ溶出及び拡散し、藻類の生育を促進して、藻場の造成を図ることができる。
通水性を有する部分を備えた袋としては、袋に収容された固体物(栄養供給用資材)が通過せず、液状物のみが通過するものであれば特に限定されず、例えば、セルロース繊維、ポリアミド合成繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維等の有機繊維;ガラス繊維、セラミック繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ロックウール、スラグウール等の無機繊維;等の繊維を用いた織布または不織布からなる袋等が挙げられる。通水性を有する部分は、上記袋の一部の領域に存在すればよいが、袋の全ての領域が通水性を有していてもよい。
また、栄養供給用資材は、ケイ酸カルシウムを含むため、水中に設置した際に、リンと同時にケイ酸を溶出させる。ケイ酸は藻類に必要な栄養塩であり、藻類の生育を促進することができる。
なお、栄養供給用資材は、リンの他に、窒素、および、腐植質(ヒューミン、フミン酸及びフルボ酸)等の藻類の生育に必要な成分(以下、「栄養成分」ともいう。)を含んでいてもよい。
また、栄養供給用資材を設置する場所の水質に応じて、藻類の生育に必要な栄養成分の中で不足しているものを栄養供給用の資材と混合して用いてもよい。該栄養成分としては、例えば、窒素、カリウム、ホウ素、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、有機酸、各種のアミノ酸、各種のビタミン(例えば、ビタミンB1、ビタミン12等)等が挙げられる。
本発明によれば、従来、再利用することが難しかった、脱リン法によって回収されたリン(リン回収物)の有効利用を図ることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[使用材料]
(1) 消石灰:薬仙石灰社製、特号
(2) 水ガラス:富士化学社製、3号珪酸ソーダ
(3) 水:上水道
(4) リン酸二水素カリウム:林純薬工業社製、特級
(5) リン酸水素二カリウム:林純薬工業社製、特級
(6) 水酸化ナトリウム:富士フィルム和光純薬社製、特級
[実施例1]
カルシウムとケイ素のモル比(カルシウム/ケイ素)が1となる量の、消石灰(25g)及び水ガラス(70g)を、水340gに溶かして、1時間撹拌することで、非晶質ケイ酸カルシウム系材料を調製した。
調製した非晶質ケイ酸カルシウム系材料に対して「カルシウム/リン」のモル比が2となる量のリンを含むリン酸二水素カリウム(21.44g)を、水250gに溶かして、pHが4.3であるリン含有液状材料を調製した。
上記リン含有液状材料に、上記非晶質ケイ酸カルシウム系材料を投入した後、1時間撹拌して、ケイ酸カルシウム系材料とリン含有液状材料との反応生成物を含む栄養供給用資材を調製した。次いで、固液分離を行うことで、栄養供給用資材を回収した。
得られた栄養供給用資材の固形分量(g)、及び、栄養供給用資材に含まれる全リンの含有量(mg-P:リン換算)を測定した。なお、全リンの含有量の測定は、「JIS K 0119:2008(蛍光X線分析通則):10.5 半定量分析」に準拠して行った。
また、固形分量及全リンの含有量から、栄養供給用資材中のリンの含有率(酸化物換算)を算出した。
調製した栄養供給用資材20gを、2リットルの人工海水に投入した。
その後、1、2、3、4日間経過毎に、栄養供給用資材が投入された人工海水から50ミリリットルの溶液を採取し、モリブデン青吸光光度法を用いて、溶液中のリン濃度を測定した。得られたリン濃度から、人工海水1リットル中のリン溶出量(mg-P/リットル)を算出した。
[実施例2~5]
リン含有液状材料を調製した後、該リン含有液状材料に水酸化ナトリウムを投入して、表1に示すpHに調整し、次いで、非晶質ケイ酸カルシウム系材料を投入する以外は実施例1と同様にして、栄養供給用資材を得た後、栄養供給用資材の固形分量等の測定、及び、人工海水1リットル中のリン溶出量を算出した。
各々の結果を表1~2に示す。
Figure 0007260320000001
Figure 0007260320000002
表1~2から、リン含有液状材料のpH(pHの調整前のpH)が4.3である場合に得られる栄養供給用資材からのリンの溶出量は、1日:0.071mg-P/リットル、2日:0.098mg-P/リットル、3日:0.125mg-P/リットル、4日0.111mg-P/リットルであることがわかる(実施例1)。
これに対して、水酸化ナトリウムを投入することで、リン含有液状材料のpHを6.0~8.0に調整した場合に得られる栄養供給用資材からのリンの溶出量は、1日:0.058~0.075mg-P/リットル、2日:0.065~0.087mg-P/リットル、3日:0.078~0.100mg-P/リットル、4日0.088~0.108mg-P/リットルであった(実施例2~3)。このことから、リン含有液状材料のpHを9未満に調整することにより、pHを調整しない場合(実施例1)と比較して、栄養供給用資材からのリンの溶出速度を減少させうることがわかる。
また、水酸化ナトリウムを投入することで、リン含有液状材料のpHを10.0~12.3に調整した場合に得られる栄養供給用資材からのリンの溶出量は、1日:0.084~0.133mg-P/リットル、2日:0.118~0.127mg-P/リットル、3日:0.128~0.146mg-P/リットル、4日0.127~0.133mg-P/リットルであった(実施例4~5)。このことから、リン含有液状材料のpHを9以上に調整することにより、pHを調整しない場合(実施例1)と比較して、栄養供給用資材からのリンの溶出速度を増大させうることがわかる。
[実施例6]
リン酸二水素カリウム(21.44g)の代わりに、リン酸水素二カリウム(27.44g)を使用して、pHが9.1であるリン含有液状材料を調製する以外は、実施例1と同様にして栄養供給用資材を得た後、栄養供給用資材の固形分量等の測定、及び、人工海水1リットル中のリン溶出量を算出した。
[実施例7~8]
リン含有液状材料を調製した後、該リン含有材料に水酸化ナトリウムを投入して、表3に示すpHに調整し、次いで、非晶質ケイ酸カルシウム系材料を投入する以外は実施例6と同様にして、栄養供給用資材を得た後、栄養供給用資材の固形分量等の測定、及び、人工海水1リットル中のリン溶出量を算出した。
結果を表4に示す。
Figure 0007260320000003
Figure 0007260320000004
表3~4から、リン含有液状材料のpH(pHの調整前のpH)が9.1である場合に得られる栄養供給用資材からのリンの溶出量は、1日:0.062mg-P/リットル、2日:0.099mg-P/リットル、3日:0.096mg-P/リットル、4日0.114mg-P/リットルであることがわかる(実施例6)。
これに対して、水酸化ナトリウムを投入することで、リン含有液状材料のpHを10.0に調整した場合に得られる栄養供給用資材からのリンの溶出量は、1日:0.056mg-P/リットル、2日:0.071mg-P/リットル、3日:0.081mg-P/リットル、4日0.092mg-P/リットルであった(実施例7)。このことから、リン含有液状材料のpHを11未満に調整することにより、pHを調整しない場合(実施例6)と比較して、栄養供給用資材からのリンの溶出速度を減少させうることがわかる。
また、水酸化ナトリウムを投入することで、リン含有液状材料のpHを12.0に調整した場合に得られる栄養供給用資材からのリンの溶出量は、1日:0.103mg-P/リットル、2日:0.144mg-P/リットル、3日:0.159mg-P/リットル、4日0.165mg-P/リットルである(実施例8)。このことから、リン含有液状材料のpHを11以上に調整することにより、pHを調整しない場合(実施例6)と比較して、栄養供給用資材からのリンの溶出速度を増大させうることがわかる。

Claims (5)

  1. ケイ酸カルシウム系材料とリン含有液状材料との反応生成物を含み、かつ、水中に栄養成分としてのリンを溶出するための藻類への栄養供給用資材の製造方法であって、
    上記ケイ酸カルシウム系材料が、上記ケイ酸カルシウム系材料を調製するための材料を、加熱せずに混合することで得られた非晶質のものであり、かつ、上記リン含有液状材料がリン酸を含み、
    上記栄養供給用資材中のリンの含有率が、酸化物(P )換算で、5~30質量%であり、
    上記栄養供給用資材からのリンの溶出速度が所望の大きさになるように、上記リン含有液状材料のpHを特定の範囲内に調整することを特徴とする藻類への栄養供給用資材の製造方法。
  2. 上記ケイ酸カルシウム系材料が、水ガラスと石灰と水を、加熱せずに混合することで得られたものである請求項1に記載の藻類への栄養供給用資材の製造方法。
  3. 上記リン含有液状材料が、pHの上記調整の前に、7未満のpHを有するものであり、
    上記栄養供給用資材からのリンの溶出速度を増大させたい場合に、上記リン含有液状材料のpHを9以上に調整し、
    上記栄養供給用資材からのリンの溶出速度を減少させたい場合に、上記リン含有液状材料のpHを9未満に調整する、請求項1又は2に記載の藻類への栄養供給用資材の製造方法。
  4. 上記リン含有液状材料が、pHの上記調整の前に、7以上のpHを有するものであり、
    上記栄養供給用資材からのリンの溶出速度を増大させたい場合に、上記リン含有液状材料のpHを11以上に調整し、
    上記栄養供給用資材からのリンの溶出速度を減少させたい場合に、上記リン含有液状材料のpHを11未満に調整する、請求項1又は2に記載の藻類への栄養供給用資材の製造方法。
  5. 請求項1~のいずれか1項に記載の藻類への栄養供給用資材の製造方法によって、上記栄養供給用資材を得た後、上記栄養供給用資材を、藻類が生息する水中に供給することを特徴とする藻類への栄養の供給方法。
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