JPH0851875A - 樹木移植用容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 樹木の根巻き作業の簡素化、移送、土中の埋
入、定植に係る一連の樹木移植作業を効率的に行い、ま
た土中からの取り外しが容易で異質物として残存するこ
となく環境上も問題のない容器を提供する。 【構成】 非分解性の合成繊維糸条を織成した基布３を
略矩形状とし、基布３の上部外端縁７には吊り手部５を
形成し、左右の側部外端縁８及び底部外端縁９に鳩目６
を打設したシ−ト部材２であって、該シ−ト部材２を二
枚重ね合わせた状態で、紐体４を鳩目孔に通して周縁を
仮係合した上部開口の袋状と成る樹木移植用容器。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、比較的重量のある高丈
樹木の運搬から移植に使用され、土中埋入後の取り外し
が容易な容器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、樹木の移植においては、掘り起こ
した根の部分を藁、こも、むしろ、縄などを用いて根巻
き作業が施される。この根巻き作業は樹木根部の保護を
目的とするものであるが、作業に多くの労力と熟練を要
するため、これに代替するものとして根巻き用シ−ト
（例えば、実開昭51-51251号）や根巻き用袋体（例え
ば、実開昭62-172349号、実開昭63-42061号）が提案さ
れている。しかし、これらは苗木や低木なものには有効
であるが、重量のある樹木に対しては使用できない。

【０００３】樹木の移送、運搬具として、特開昭58-209
922号、特開昭59-227223号、実開昭59-70455号に特定形
状の保護枠体が開示されているが、大掛かりで設営、解
体の手間がかかることに問題が残る。

【０００４】そこで、根巻き作業と移送を簡便にするた
めに、合成繊維糸条を織成した織布を基材とするいわゆ
るフレキシブルコンテナバッグを使用することも試みら
れているが、基材が非分解性であるがために環境を汚染
することでそのまま土中に埋入することができず、移送
後に取り外す必要があり、この作業が手間を要すると同
時に根部を痛める危険性が高く好ましい方法とは云えな
いものとなっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】したがって本発明にお
いては前述の課題を解決した、即ち、根巻き作業の簡素
化と、移送、土中の埋入、その後の取り外しにかかる一
連の樹木移植作業を容易に効率的に行うことができる新
規の樹木移植用容器を提供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、ポリオレフィ
ン系の合成繊維糸条を織成した基布３の上部外端縁７に
吊り手部５を形成し、左右の側部外端縁８及び底部外端
縁９に適宜間隔で鳩目６を打設して形成したシ−ト部材
２であって、前記シ−ト部材２を二枚重ね合わせた状態
で、各々の側部から底部の略中央にかかる外縁を各々の
紐体４を鳩目孔に通して係合することにより上部開口の
袋状と成すことを特徴とする樹木移植用容器である。

【０００７】ここで、シ−ト部材２の基布３を構成する
合成繊維糸条とされる合成樹脂は、連続生産での安定品
質と低廉で経済的に量産し得ることにおいて、エチレ
ン、プロピレン、１−ブテン、４−メチル−１−ペンテ
ン等のα−オレフィンの単独重合体もしくは相互共重合
体またはこれらのα−オレフィンと他のコモノマ−の共
重合体からなるポリオレフィン系合成樹脂が採用され
る。

【０００８】合成繊維糸条の形状は特に限定されるもの
ではなく、モノフィラメント、連糸フィラメント、低繊
度モノフィラメントを収束したマルチフィラメント、フ
ィルムをスリットして得られるフラットヤ−ン、フラッ
トヤ−ンを割繊したスプリットヤ−ンなどが挙げられ
る。

【０００９】合成繊維糸条は、スル−ザ−型織機、ウオ
−タ−ジェットル−ム、サ−キュラ−織機などの従来織
機で織成されて基布３を成す。糸条の打込密度として
は、特に制限はなく、樹木移植用として用いられること
から適度な通気性と透水性及び培土を捕捉でき得る目隙
間隔を形成するものとして適宜設定すればよい。

【００１０】この基布３は、略矩形状に裁断され、上部
外端縁７には吊り手部５を縫着、熱融着等の手段を用い
て取り付ける。吊り手部５の形状は、例えば、ベルトを
二つ折りとして中間部を部分的に縫製し輪状フックを有
する一つの端部として取り付けたものや、ベルトの両方
の端部をそれぞれ基布に取り付けてル−プ状に形成した
ものなど特に制限されるものではない。

【００１１】上部外端縁７に吊り手部５を取り付けた基
布３において、側部外端縁７と底部外端縁８には直接
に、または適当幅で折り返して補強した後に５〜30cm程
度の適宜間隔で鳩目６を打設してシ−ト部材２を成す。

【００１２】こうして得られたシ−ト部材２は、上下方
向を同じくして二枚を重ね合わせた状態とし、紐体４を
鳩目孔に一連に通して側部及び底部を仮止せしめて上部
開口の袋状となる。ここで、紐体４はシ−ト部材２の一
方の側部上端から底部外端縁９の中央付近にわたる部分
を一本の紐体４で連通させ、他方の側部外端縁８も同様
に連通させて係合し樹木移植用の容器１となるのである
が、二本の紐体４は互いに緊縛することなく自由端とし
ておく。

【００１３】

【作用】こうして構成される本発明の樹木移植用容器１
は、移植のために掘り取られた根の部分に根巻き作業を
施すことなく、直接容器開口部から挿入され、吊り手部
５をクレ−ンやリフトで引架して移送できることで作業
の労力の低減が可能となる。

【００１４】また、定植する際には予め掘り起こした土
壌13に容器ごと樹木11を埋入した後に、左右の側部外縁
端８の上方に余出する紐体４の自由端を強制的に引き抜
くことにより、土中においての容器１を構成する二枚の
シ−ト部材２の係合を完全に解除したものとなる。した
がって、それぞれシ−ト部材２を強制的に土中から取り
出すことが可能となり、非分解性の容器１を土中に放置
することが無く、樹木11の根の成長を妨げることがない
のである。

【００１５】

【実施例】以下、本発明に係る樹木移植用容器の構成を
実施例にて説明を加える。

【００１６】ポリオレフィン系合成樹脂としてポリプロ
ピレン（MFR=0.8）を選び、スジ入り円形ダイスからイ
ンフレ−ション法により、溶融温度260℃で無定形状態
で押し出し、冷却してチュ−ブ状フィルムとした後、細
断してテ−プ状とし、熱ロ−ル延伸方式で延伸温度140
℃、アニ−リング温度145℃、延伸倍率5.2倍で縦一軸延
伸して繊度1,500drのフラットヤ−ンを得た。このフラ
ットヤ−ンを経糸及び緯糸に用いてスル−ザ−型織機に
て打込密度を経糸×緯糸；15×15本/インチとし平織り組織
で織成し、フラットヤ−ンクロスの基布３を得た。

【００１７】基布３は、135×155cmに裁断して、周縁を
約４cm折り返して縫製し、左右の側部外端縁８と底部外
端縁９の三方の折返部に約20cm間隔で鳩目６を打設し、
上部外端縁８には吊り手用ベルトを補強片10を介して縫
着して、ル−プ状の吊り手部５を形成してシ−ト部材２
を成し、その構成を図１に示す。

【００１８】シ−ト部材２は、上下方向を同じくして重
ね合わせて、鳩目孔に紐体４を一連に通して左右の側部
外端縁８と底部外端縁９を係合して上部開口の袋状とな
すにあたり、一方の側部外端縁８の上端から底部外端縁
９の略中央にあたる位置までを一本の紐体４を用いて、
他方も同様に別個の紐体４’を通して、各々の紐体同士
は底部において結んだり固着させることなく自由端とし
て、また上部方向には約50cmの余尺を設けて本実施例の
樹木移植用容器１となるものであり、図２にその構成を
示す。

【００１９】この樹木移植用容器１の使用方法を以下に
説明する。移植のために掘り取られた樹木11は、根部12
に根巻きをすることなく直接容器の開口部から容器内部
に挿入され、容器上方の吊り手部５を用いクレ−ン14な
どで引架して積み込み、積み降ろし、移送することがで
きる。

【００２０】定植地に運搬された樹木11は、予め掘り起
こされた土壌13の穴に容器１を着けた状態のまま埋入さ
れ定置した後に、左右の側部外端縁８の上方に余出する
紐体４は強制的に引き抜かれる。これによって、土中で
の容器１は側部及び底部の係合が解き放たれる。次に、
吊り手部５を利用してそれぞれのシ−ト部材２、２’を
強制的に土中から取り出し、樹木周辺を埋戻し、適度に
加圧して移植を完了する。図３において、一方のシ−ト
部材２を土中からクレ−ン14を用いて取り出す状態を示
す。

【００２１】

【発明の効果】以上のように本発明の樹木移植用容器
は、掘取られた樹木を直接に容器内に収容でき、またそ
の形態のままで移送でき、移植地に埋入できるものであ
るから、手間がかからず、根を傷めて樹木の活力を失わ
せることも抑制される。また、予め土中に該容器を埋め
込み、容器内で苗木を育成して別の場所に移植すること
にも適用することができる。さらに、定植する際には土
中に埋入された容器は、容器周縁の係合を紐体を引き抜
くことで開放すれば一つのシ−ト部材として容易に取り
出すことができるから、異質物として残存することがな
いため環境を汚染する恐れもなく、加えて非分解性の容
器は耐久性を有し数度の移植作業に使用可能なものであ
ることからも有効なものとなり得るのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の容器を構成するシ−ト部材の平面図で
ある。

【図２】本発明の容器の斜視図である。

【図３】本発明の容器の使用方法を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 容器 ２、２’ シ−ト部材 ３ 基布 ４、４’ 紐体 ５ 吊り手部 ６ 鳩目 ７ 上部外端縁 ８ 側部外端縁 ９ 底部外端縁 10 補強片 11 樹木 12 根部 13 土壌 14 クレ−ン

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ポリオレフィン系の合成繊維糸条を織成
   した基布３の上部外端縁７に吊り手部５を形成し、左右
   の側部外端縁８及び底部外端縁９に適宜間隔で鳩目６を
   打設して形成したシ−ト部材２であって、前記シ−ト部
   材２を二枚重ね合わせた状態で、各々の側部から底部の
   略中央にかかる外縁を各々の紐体４を鳩目孔に通して係
   合することにより上部開口の袋状と成すことを特徴とす
   る樹木移植用容器。