【発明の詳細な説明】
大型2ストローク内燃機関
本発明は、燃料ポンプ又は排気弁のような液圧で駆動されるシリンダ部材を有
する、特に、船の主機のような大型の2ストローク内燃機関に関する。ここで、
シリンダ部材の液圧駆動体は、液圧シリンダ内に軸支された駆動ピストンを備え
ており、該液圧シリンダが流路を通じてスプール弁と連通する。スプール弁のス
プールは、流路が液圧油の高圧源と連通する第一の位置と、流路が低圧ポートと
連通するもう一つの位置とを占めることが出来る。正常なエンジンの運転状態の
とき、スプールは、エンジンを制御するコンピュータから制御信号を入力する電
動位置決め手段により位置決め可能である。正常なエンジンの制御が失われたと
き、スプールは、電動位置決め手段の代わりに、エンジンのクランク軸と共に同
期化して、回転するカムシャフトにより、位置決め可能である。
かかる内燃機関は、例えば、国際公開第WO89/03939号から公知であり、ここ
で、カムシャフトは従来型式であり、そのカムは、スプールに接続されたロッド
に直接、作用し、又はスプール・ハウジングに取り付けられた第二のスプールに
作用する。この公報には、またカムとスプールに接続されたロッドとの間には、
カムに接触するアイドラーを有する、横軸方向に可動なロッドを挿入することが
出来、これにより、制御スプールにおけるカム動作のタイミングを変更すること
が可能となる。
この公知のエンジンにおいて、カムシャフトは、カムにより作動すべきシリン
ダ部材の真下の位置に配置される。カムシャフトは、エンジンの全長手方向に伸
長して、全てのシリンダのシリンダ部材に作用し得るようにする。その長さのた
め、カムシャフトは、質量が大きく、製造に比較的コストがかかり、また、クラ
ンク軸の動きに関与するため、多量のエネルギを消費する。クランク軸に関する
カムシャフトの同期化状の動きを保証するため、二本のシャフトは、大型の内燃
機関において数トンの質量ともなるチェーン駆動体により接続される。カムシャ
フトの軸受及びカムは、更に潤滑しなければならず、このためには、カムシャフ
トに対する油導路及び潤滑油ポンプ等を設計する必要がある。
本発明の目的は、カムシャフトにより作動されるシリンダ部材からある距離離
れた位置に取り付けることの出来る小型のカムシャフトを提供することにより、
エンジンを単純化することである。
この目的に鑑みて、本発明による内燃機関は、スプールが、液圧導管内の圧力
が作用する第一のピストンと関係し、上記導管は、回転するカムシャフト上でカ
ムに従動することの出来る第二のピストンまで伸長し、エンジン・シリンダの各
々と関係した液圧被動のシリンダ部材は、関連するシリンダに取り付けられる、
一方、カムシャフトは、シリンダ部材の位置決めに関係なく、クランク軸のよう
な適当なシャフト駆動体に配置される。
このスプール弁は、液圧被動のシリンダ部材を作動させるための力が比較的小
さくてよく、このため、第一及び第二のピストンを相互に接続する液圧ホース又
は導管の内径を小さくすることが可能となり、このため、非常に長い導管であっ
ても、その導管内の液圧油の量が多量とならない。このため、カムシャフトがシ
リンダ部材から大きく離れた位置に配置される場合でも、第二のピストンの動作
を第一のピストンに正確に伝達することが可能となる。第一のピストンの位置と
第二のピストンの位置との間において、垂直方向及び水平方向への距離が数メー
トルである場合であっても、ピストンが関係する液圧導管は、堅固な押しロッド
として機能する。このため、各シリンダ部材と関係する二本のピストンの間で液
圧力を伝達する結果、任意の適当なシャフト駆動体にカムシャフトを配置するこ
とが可能となる。例えば、クランク軸と直接噛合させてエンジンの端部にカムシ
ャフトを配置することを可能となる。このカムシャフトは、また、シリンダの潤
滑装置を駆動するシャフトの伸長部として配置することも可能である。液圧導管
のために、関係する接続部を有するカムシャフトにより駆動される全てのピスト
ンは、単一のユニットとして、互いに隣り合うように近接して配置することが出
来、このため、カムシャフトは、長さが極めて短く、従って、質量が小さくなる
。それ故に、カムシャフトを駆動するためのエネルギ消費量は、最小となり、エ
ンジンの総エネルギ消費量に比して極く無視し得る程度であり、その結果、エン
ジン効率が向上する。また、カムシャフトのために公知の従来の大型チェーン駆
動体
及び細長のハウジングを使用することが完全に不要となり、このため、エンジン
の総重量は顕著に軽減され、エンジンの製造はより経済的なものとなる。
関係する液圧押しロッドを有するカムシャフトは、エンジンの電子制御装置が
故障したときに使用される唯一の機械的な緊急制御装置であるから、正常なエン
ジン運転中は、第一のピストンは、カムの動きをスプールに伝達することが出来
ず、これにより、正常なエンジン運転中、スプール及び電子制御装置は、機械的
な緊急制御装置による影響を受けないようにすることが好ましい。
エンジンのエネルギ消費量を少なくすると同時に、機械的緊急制御装置が直ち
に作動し得る状態に保つため、好適な実施例にあっては、正常なエンジン運転中
に、第二のピストンをカムシャフトから持ち上げて離しておき、カムと係合させ
ようとするときは、第二のピストンを下降させて、カムシャフト上のカムに接触
させることを特徴とする。このようにして、正常な運転中、カムシャフトは、各
シリンダ部材と関係する第二のピストンにより影響を受けずに、第一のピストン
及び第二のピストンを相互に接続する液圧導管にエネルギは供給されない。この
ように、正常なエンジンの運転中、各シリンダ部材の第一のピストンは、静止し
たままであり、カムの動きをスプールに伝達しない。第二のピストンをカムシャ
フトから持ち上げて離すと、二つのピストン間の液圧導管に液圧油を充填するこ
とが可能となり、このため、エンジンの電子制御装置が故障したとき、エンジン
・サイクルの一部にて緊急制御装置を係合させることが出来る。しかしながら、
第二のピストンを持ち上げて離す代わりの手段として、液圧導管内の破壊弁(pu
ncture valve)を開けてカムシャフトの制御を不作動にすることも可能であるが
、この場合、液圧導管内に空気が混入してカムシャフトの正確な制御を無駄にし
てしまう虞れがある。
電動位置決め手段により、又は代替的に第一のピストンの動きにより、正常な
運転中に制御される小型のパイロット・スプールの動きにスプールが従動し得る
ようにすることで、液圧導管内の油量を更に少なくすることが可能である。パイ
ロット・スプールを作動させるのに必要な力は、駆動ピストンに供給され、及び
駆動ピストンから排出される油の流れを調節するスプールを作動させるのに必要
な力よりも著しく少なくなり、このため、パイロット・スプールの使用は、第一
のピストン及び第二のピストンを極く小さい寸法とすることを可能にし、液圧導
管の内径は僅か数ミリでもよい。このことは、液圧導管内の油量を極めて少量と
し、液圧押しロッドが極めて迅速に作動し、また、エネルギ消費量が極めて少量
となる。また、関係するカムにおける第二のピストンの機械的な動作も極く僅か
となり、このため、カムシャフトを極めて小さい寸法で設計することが可能とな
る。
構造的に特に簡単な実施例は、パイロット・スプールがスプール内で同軸状に
配置され、また、該パイロット・スプールは、位置決め手段の可動部分に堅固に
接続され、スプールの一側部まで突出するロッドに締結され、第一のピストンは
、スプールの反対側部に配置され、スプールと同軸状にパイロット・スプールま
で伸長するロッドを支承する。
正常なエンジンの運転中、緊急制御装置とパイロット・スプールとの接触を防
止するため、関係するロッドを有する第一のピストンは、適宜にばね荷重が加え
られてパイロット・スプールから離れる方向に動く。また、このばね荷重は、カ
ムシャフト制御装置が作動したときに、第一のピストンが正確に戻り、第二のピ
ストンは、下降するカム輪部に従うことを確実にする。
位置決め手段の関係するロッドを有する可動部分は、第一のピストンに向けて
動くようにばね荷重が加えられ、正常なエンジンの運転中、この位置決め手段は
、ばね荷重を上廻る。エンジンの電子制御装置が故障したとき、この位置決め手
段の可動部分にばね荷重が加わる結果、パイロット・スプールは、直ちに押し出
されて、第一のピストンと接続されたロッドに当接し、このため、カムシャフト
は、直ちに連続的なエンジン制御機能を果たす。電子制御装置が故障する前に、
第二のピストンがカムシャフトに当接するならば、エンジンは、この故障によっ
て実質的に影響を受けない。第二のピストンが最初に、関係するカムに当接しな
ければならない場合には、緊急制御装置の係合は、ピストンが係合する時間だけ
遅れる。
カムシャフトの長さが短いため、異なるシリンダのシリンダ部材に対する液圧
導管の長さは異なる。液圧導管内の油は、導管内の油量に依存して一定の絶体的
な圧縮性を持つ。導管が保持する油量が異なるならば、このカムシャフトの動き
は非常に迅速に、油量が最も少ない導管、即ち短い導管の第一のピストンに伝達
される。この短い導管に関係するカムをカムシャフト上で少し後方に回転させる
ことでこれを補償することも可能であるが、同一型式のシリンダ部材に達する、
液圧導管を接続したピストンの少なくとも一部分が、液圧導管が略等しい量の液
圧油を保持するようにする、それぞれの大きさの補償容積に連通するように設計
する方がより簡単である。
カムシャフトは、前進運転及び後進運転の双方時にエンジンを制御しなければ
ならない。ピストンが正にその上死点にあるとき、燃料の噴射及び排気弁の開放
は、通常、開始されず、この上死点から数度の位置に変位されるから、前進運転
用のタイミングとしたカムは、逆進運転時には、正確なタイミングとはならない
。上述の国際特許出願から、このタイミングは、横軸方向に可動なロッド上に取
り付けたアイドラーのカムに関して変位させることで変更が可能であることが公
知である。この従来技術の便宜の更なる改良点は、その作動位置にあるとき、第
二のピストンは、関係するカムに接触するアイドラーをその下端部にて支承する
ロッドの上端部と当接し、また、正常な運転方向に回転する間に使用する限界位
置と、エンジンが反対方向に回転するときに使用するもう一つの限界位置との間
にて、ロッドがカムシャフトの長手方向に関して可動である点を特徴とする。
前進運転及び後進運転のそれぞれにて使用するため,二つの限界位置の間でロ
ッドを移動可能とすることにより、該ロッドは、例えば、一方の限界位置又は他
方の限界位置の何れかに付勢する圧縮空気シリンダにより極めて簡単な方法でロ
ッドを制御することが出来る。このため、燃料ポンプ及び排気弁のタイミングを
正確にするためには、空気圧シリンダに対する単一の制御弁を移動させるだけで
よい。
ロッドの二つの限界位置は、適宜に調節可能であり、このため、実際のエンジ
ン負荷に関してタイミングを調節することが可能である。これらの限界位置は、
例えば、手動で調節可能な二つの機械的ストッパにより固定することが出来る。
特定のエンジン負荷にて長時間、運転するとき、運転員は、エンジン負荷とスト
ッパに対する最適な位置との間の関係を示す説明書によってそのストッパを調節
することが出来る。
本発明の一つの実施例について極く概略図を参照しつつ、以下に説明する。添
付図面において、
図1は、内燃機関の外形図、
図2は、エンジンの緊急制御装置への液圧接続の線図、
図3は、図1のエンジンに対するクランクシャフトの側面図、
図4は、タイミングを調節する関係する装置と共に、図3に示したカムシャフ
トを示す僅かに拡大した端面図、
図5は、シリンダ部材のスプール弁の縦断面図、
図6は、図5のスプール弁の一部分のより大きい縮尺の図である。
図1には、船の主機又は固定発電エンジンとして使用することの出来るクロス
ヘッド型の大型の2ストロークディーゼルエンジンが、全体として符号1で示し
てある。このディーゼルエンジンの燃焼室2は、シリンダ・ライナー3及びシリ
ンダ・カバー4と、シリンダ・ライナー内に軸支されたピストン5とにより画成
されている。
ピストンは、ピストンロッド6を介して、クロスヘッド7に直接、接続される
一方、該クロスヘッドは、接続ロッド8を介してクランクシャフト11のスロー
10の接続ロッドピン9に直接、接続されている。関係するハウジング13と共
に、排気弁12の形態をしたシリンダ部材は、カバー4に取り付けられている。
該排気弁は、コンピュータ16から線15を通じて伝達された制御信号により作
動される電気機械弁により制御される液圧駆動体14により作動される。
カバー4に取り付けられた燃料弁17は、噴霧した燃料を燃焼室2に供給する
ことが出来る。燃料ポンプ18の形態をした別のシリンダ部材が電気機械式弁に
より制御され、線20を通じてコンピュータ16から入力した制御信号と独立的
に、圧力導管19を通じて燃料を燃料弁に供給することが出来る。信号伝達線2
1を通じて、コンピュータ16には、エンジンの現在の1分間当たりの回転数(
rpm)に関する情報が提供される。この回転数は、エンジンの回転計から得るこ
とが出来、又はエンジンの主軸に取り付けられた角度検出器及びインジケータか
ら得て、シャフトが360°回転するエンジン・サイクルの一部分を構成する間隔
について、エンジンの現在の角度位置及び回転速度を設定する。コンピュータが
燃料の噴射時点、及びそれと関係する燃料の量、排気弁の開放及び閉時点を設定
したならば、シリンダに対して正確なエンジン・サイクルの時点にて、燃料弁1
8及び駆動装置14がこれに応じて作動される。エンジンは、上述の方法で全て
具備された幾つかのシリンダを有し、コンピュータ16は、全てのシリンダの正
常な作動を制御することが可能である。
以下に説明するように、シリンダ部材の液圧駆動体に対する油の供給及び排出
は、スプール弁(又はシャトル弁又はスライド弁)により制御され、スプール弁
は、エンジンの正常な運転中、コンピュータ16からの制御信号に応答する電動
位置決め手段により調整される。何らかの理由のため、電子制御装置が故障した
ならば、スプール(又は、シャトル弁又はスライド弁)の調整は、カムシャフト
の制御装置に引き継がれる。この制御装置は、例えば、2つのはめば歯車24、
25を通じて相互に係合する2本のシャフトによりエンジンのクランクシャフト
11と同期して回転するカムシャフト23を有するカムシャフト・ユニット22
を備えている。カムシャフト・ユニットは、エンジンの端部に設けることが出来
るが、また、上述のように、エンジン内の適当な位置に配置してもよい。カムシ
ャフト・ユニットがクランク軸に極く近接する位置にあることが望ましくない場
合、この代わりに、チェーン又はべルト駆動体を介してカムシャフトの同期を行
ってもよい。
次に、カムシャフト・ユニットは、図2乃至図4を参照して、以下に更に詳細
に説明する。図示したカムシャフト・ユニットは、その各々が液圧で駆動される
シリンダ部材が2つある、4つのシリンダを備えるエンジンに使用することを目
的としている。このため、カムシャフトは互いに近接する8つのカム26を有し
、このため、シャフトの長さは短い。カムシャフトの寸法が小さい結果、カム軸
ハウジング28により支承された2つの軸受27で該シャフトを軸支すれば十分
である。ベルト・プーリー29及び歯付きべルト30により、カムシャフトは、
クランク軸と同期して駆動される。このカムシャフトは、保護ケーシング31に
より包み込まれている。カムシャフトに作用する力は、非常に小さく、このため
、軸受27は、グリースで潤滑するだけでよく、シャフトに設けたカムは、潤滑
せずに作用可能である。従来から公知のカムシャフトの潤滑装置は、完全に省略
す
ることが可能である。
アイドラー34を介してカムの外周に当接するロッド33によりエンジン・サ
イクルに関する各カム26のタイミング設定が為される。シャフトから離れた端
部において、ロッド33は、頂部を掛けた直立の中間ロッド35上に軸支され、
このロッドは、その上方の軸支点から離れた位置にて、空気圧シリンダ37内の
ピストンロッド36に接続されている。シリンダ37は、止めねじ38の形態の
2つのストッパ及び偏心状に軸支したディスク39により設定された2つの限界
位置の間にて、中間ロッド35、従って、ロッド33を動かすことが出来る。こ
れらの限界位置は、止めねじ38を回し及びディスク39を支点40を中心とし
て回すことにより設定可能である。これらの限界位置を調節すれば、カム26上
におけるアイドラー34の接触点が変化し、これにより、カムにより行われるロ
ッド33の上下動がカムシャフトの回転動作に関して相変位される。中間ロッド
35が止めねじ38に当接する、図示した限界位置において、カムシャフト・ユ
ニットは、前進運転に設定され、一方、中間ロッド35がディスク39に当接す
るカムシャフト・ユニットは、逆進運転を目的としている。
カムシャフトが作動しているとき、第一のピストン41は、関係するシリンダ
部材のスプール弁のスプールに作用する。該ピストン41は、スプール弁ハウジ
ング43の端部に取り付けられた小型の液圧シリンダ42に軸支されている。
第一のピストンの動作は、カムシャフト・ユニット内の小型の液圧シリンダ4
5内に軸支された第二のピストン44により制御される。第一のピストンの端面
46、及び第二のピストンの端面47は、液圧導管48内の油と直接、接触して
おり、そのピストンの両端は、それぞれ第一及び第二のピストンのシリンダに接
続されている。液圧ホース又は導管48は、曲げ可能で且つ可撓性があり、この
ため、その取り付けが極めて容易である。この液圧導管48の可撓性は、図1に
破線48で概略図で示すように、液圧で駆動されるシリンダ部材から水平方向及
び垂直方向の双方に大きく離れた位置に、クランクシャフト・ユニット22を配
置することを可能にする。第二のピストンの動作を第一のピストンに正確に且つ
均一に伝達するため、導管48内の油量が一定であり、また、導管は、常に充填
されているようにすることが重要である。
カムシャフトの制御装置に対する油は、高圧の液圧をシリンダ部材の液圧駆動
体に供給する圧力導管49から適当に得ることが出来る。この導管の圧力は、約
300バールであるため、この圧力は、可調節型減圧弁50により、ピストンの動
きを正確に伝達するために全く十分である、約10−50バールに減圧される。圧力
導管51を介して減圧弁の油ドレーンは、二つの位置を占める弁52と連通して
いる。この図2に示した作動位置において、導管51は、チャンバ54の底部に
て下方に押し付けられる上昇ピストン55の上方側にて圧力チャンバ54に達す
る導管53に接続され、このため、ピストン44上の突出するカラーは、ピスト
ン55の上方側から離れた位置に位置決めされている。この導管48内の圧力は
、第二のピストン44、及び該ピストンに堅固に接続された圧力ロッド56を下
方に押圧して、ロッド33の上方側と当接させ、このため、第二のピストンは付
勢されて、カムの輪郭に正確に従動する。これと同時に、弁52は、上昇するピ
ストン55の下側部に設けた圧力チャンバ57を導管59、59aを介してドレ
ーン58に接続された状態に保つ。ピストン44及び圧力ロッド56は、チャン
バ54の圧力がピストン44の突出するカラー上に何らかの力も加えないように
同一の径とすることが適当である。
カムシャフト・ユニットは、弁52を切り替えすることにより不作動にするこ
とが出来、このため、圧力チャンバ54は、ドレーン58と連通され、圧力チャ
ンバ57は、圧力導管51と連通され、その結果、関係する圧力ロッド56を有
する第二のピストンは、持ち上げられてカム26から離れる。何故なら、上昇ピ
ストン55は、チャンバ54内を上昇して、ピストン44上のカラーの下側に当
たるからである。これにより、ピストンは、上昇するピストンの上昇動作に関与
する。ピストン44の上方で拡がる分枝導管62は、弁を切り替えるときに圧力
チャンバ57と連通し、このため、第二のピストン44の上昇動作は、第一のピ
ストン41の位置に影響しない。この上昇と同時に、ロッド33は、ばね60に
より持ち上げられてカムから離れる。チャンバ54が加圧されると、圧力ロッド
56に加わる下方への力は、ロッド33に加わるばね荷重よりも遥かに大きくな
る。
弁52は、ばね61により、カムシャフトの制御が解除される位置まで予荷重
が加えられ、長時間の停止後に、第二のピストン44がカムと係合することはな
い。非戻し弁63は、関係する導管、及び圧力チャンバ54、57を有する液圧
導管48が常に油で充填された状態に保たれることを確実にする。
図5には、関連するシリンダ42を有する第一のピストン41の取り付けが示
してあり、このピストンは、中央片及び二つの端部カバーという幾つかの要素を
共にボルト止めして形成された、スプール弁のハウジング43の端部に装備され
る。この場合、第一のピストンは、一端のカバーに取り付けられ、一方、電動位
置決め手段64は他端のカバーに取り付けられる。
ハウジングの中央片は、高圧導管49と連通する流体入口導管65と、低圧ポ
ートに連通する2つの流体ドレーン導管66と、シリンダ部材を駆動する液圧駆
動体の液圧シリンダ69内の圧カチャンバ68に達する2つの出口導管67とを
有する。駆動体内の液圧ピストン70は、チャンバ68が入口導管65に接続さ
れたとき、該チャンバ68内の油圧により上方に駆動される。該チャンバ68が
ドレーン導管66に接続されたとき、ピストン70は、図示しないピストン面に
作用する液圧又は空気圧により開始位置に戻ることが出来る。
導管65は、その後に加圧される周溝70内に開放する。同様に、ドレーン導
管66は、それぞれの周溝72と連通し、出口導管67は、それぞれの周溝73
と連通している。ハウジングの中央に配置されたスプール74は、その中立位置
にて示してあり、この位置にて、スプールに設けられた周フランジ75は、溝7
3を正確に塞いで、これにより、図面の最も高い箇所にある出口導管67をドレ
ーン導管66及び入口導管65の双方から遮断している。同様に、底部の出口導
管67は、スプールに設けたもう一つの周フランジ76により入口導管65から
遮断されており、スプール上の第三の周フランジ77によりドレーン導管66か
らも遮断されている。
スプールをその中立位置から位置決め手段64に向けて動かしたとき、入口導
管65は、2つの出口導管67に接続され、また、スプールがその開始位置から
第一のピストン41に向けて動いたとき、ドレーン導管66は、2つの出口導管
67に接続される。
その一方のみを図示した二つのピストン部材78は、第一のピストン部材を収
容する端部カバーに当接し、該ピストン部材は、軸方向に伸長するそれぞれの穴
79内に突出し、該穴79は圧力導管80を介して入口導管65と連続的に連通
している。これら二つのピストン部材81は、他端のカバーに当接し、スプール
の他端に形成された、軸方向に伸長する穴82内に突出する。ピストン部材81
及び関係する穴82は、ピストン部材78及びその関係する穴79よりも著しく
大きい径である。
図6には、各穴82からの横軸方向の導管83がスプールに形成された長手方
向の中央穴84内に開放する状態が示してある。該穴84は、スプールの全長に
亙って貫通しており、この穴には、小型のパイロット・スプール85が挿入され
ている。二つの周溝86、87がパイロット・スプールの周面に形成されており
、これらの溝の間の中間に配置されたフランジ88は、横軸方向の導管83の幅
に正確に対応する幅を有する。溝86は、圧力導管89を通じて第一の導管65
と常に連通している。溝87は、ドレーン導管90を通じてドレーン導管66と
常に連通している。図示した位置にあるとき、パイロット・スプールは、その中
立位置にあり、この位置にて、中央フランジ88は、圧力導管89及びドレーン
導管90の双方の接続部から横軸方向の導管83を遮断する。
電気制御の位置決め手段64は、リニアモータの原理により設計されており、
この場合、可動片91は、曲げ自在の2本の線92に接続された多数の巻線を支
承している。これらの巻線は、鉄系のコア材料93と円筒状の強力な磁石94と
の間に配置されている。線92を介して巻線に電流が流れると、可動片91は、
直ちに作動して、この場合、その動作の方向及び速度は、電流の方向及び強さに
依存する。可動片は、位置センサ32に関係付けられており、該位置センサは、
可動片の作動位置に関する信号をコンピュータに送る。該可動片91は、スプー
ル74と同軸状に配置されたロッド95を介して、パイロット・スプール85に
堅固に接続されている。ロッド95の周りで同軸状に配置された比較的弱い圧縮
ばね96がパイロット・スプールの端面、及び端部カバー43とコア材料93と
の間に配置された中央片97の反対方向を向いた面に圧接している。
第一のピストン41は、スプール74と同軸状にスプールの中央穴84内まで
伸長するロッド98と堅固に接続されており、該中央穴内にて、ロッドは三裂案
内部材(trilobate guide member)99により中心決めされている。カムシャフト
制御装置が不作動のとき、ロッド98の端部は、パイロット・スプール上の対応
する当接面100から適当に離れた位置に配置され、このため、パイロット・ス
プールがロッド98の存在により影響を受けることはない。コンピュータ16は
、運転の監視及び可動片91の精密な設定を行い、これにより、ばね96からの
圧力に対抗する。電子制御装置が故障したならば、ばね96は、パイロット・ス
プールをロッド98に当接するまで押し付け、これと同時に、弁52が切り替え
られ、このため、第二のピストン44、液圧導管48、第一のピストン41及び
ロッド98を通じてカム動作が伝達され、次で、パイロット・スプール85を正
確に位置決めする。圧縮ばね101がロッド98に取り付けられたカラー102
を通じて第一のピストン部材に作用し、液圧導管48に向けて動かす。これによ
り、アイドラー34がカムの下り側に従動するとき、第一のピストン部材41が
他方のピストン部材44の下降動作に迅速に従動することが一層、確実となる。
次に、スプール弁の機能について説明する。上述のように、穴79には、常に
圧力が作用しており、そのため、スプール74には、図面の上方向に向けて恒久
的な力が作用している。パイロット・スプールが停止したとき、この上方への力
がスプールを上方向に変位させることが可能となる。この場合、横軸方向の導管
83は圧力導管89と連通し、このため、加圧油は穴82内に流動する。その結
果、ピストン部材81の正面にてチャンバ内の上昇する圧力は、下向きの力にて
スプールに作用し、このため、スプールは付勢されて、パイロット・スプールの
中央フランジ88が横軸方向の導管83に正確に当接する位置となる。穴82内
の圧力が過大になると、スプールは、僅かに下方に動いて、これにより、横軸方
向の導管83をドレーン導管90と連通させ、このため、穴82内の過剰圧力は
釣り合う程度まで逃がされて、スプールに作用する上昇力及び下降力が等しい程
度となる。
このことから、スプール74は、中央フランジが横軸方向の導管83を塞ぐ位
置に常にそれ自体を迅速に配置することが理解される。穴82の径は、穴79よ
りも大きいため、スプールがパイロット・スプールに関して上記の中立位置に位
置しないならば、スプールには、常に力が作用している。パイロット・スプール
がロッド95又はロッド98の何れかの作用によりスプールの軸方向に変位され
たとき、スプール74は、直ちにこの動作に関与する。パイロット・スプール及
び関係付けられたロッドの質量が小さいため、スプールに作用する駆動力は極め
て小さく、このため、スプールが極めて迅速に作動することが可能となる。
勿論、第一のピストン46をスプール74に直接、作用させることも可能であ
るが、このためには、作動速度がより遅く、より大きい制御力が必要となり、そ
の結果、液圧導管48により大きいエネルギが付与される装置となる。
カムシャフトの制御装置は、電子制御装置の故障の種類に関係なく、個々のシ
リンダを作動させ、又は全てのシリンダに同時に作動させることが出来る。
また、本発明は、ソレノイド及びステップ・モータのようなその他の型式の電
動位置決め手段と関係して使用することが可能である。
液圧導管48との接続部付近に、又は上記接続部内にて、第二のピストンに対
するシリンダ45、又は第一のピストンに対するシリンダ42は、同一型式のシ
リンダ部材に達する液圧導管が略等量の液圧油を保持するようにした寸法の補償
容積を有する。例えば、液圧導管に対する接続分枝管に、より大径の穴を穿孔す
るか、又はシリンダ内への横軸方向の導管に穿孔して、二つのピストンの間の油
の全体量が接続された対のピストンについて等しくなるようにシリンダの中央出
口導管からの位置にて導管に栓をすることにより、この補償容積を提供すること
が可能である。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年7月12日
【補正内容】
明細書
大型2ストローク内燃機関
本発明は、燃料ポンプ又は排気弁のような液圧で駆動される、付属するシリン
ダに取り付けられた、少なくても1つのシリンダ部材を有する、特に、船の主機
のような大型の2ストローク内燃機関に関する。ここで、該シリンダ部材の液圧
駆動体は、液圧シリンダ内に軸支された駆動ピストンを備えており、該液圧シリ
ンダが流路を通じてスプール弁と連通する。スプール弁のスプールは、流路が液
圧油の高圧源と連通する第一の位置と、流路が低圧ポートと連通するもう一つの
位置とを占めることが出来る。該スプールは、第1のピストンと関連し、該第1
のピストンは、そこから第2のピストンに延びる液圧導管内の液圧流体により作
動され得る。正常なエンジンの運転状態のとき、スプールは、エンジンを制御す
るコンピュータから制御信号を入力する電動位置決め手段により位置決め可能で
ある。正常なエンジンの制御が失われたとき、スプールは、電動位置決め手段の
代わりに、エンジンのクランク軸と共に同期して回転するカムシャフト上のカム
に追動する第2のピストン手段より、位置決め可能である。
かかる内燃機関は、国際公開第WO89/03939号から公知であり、ここで、カム
シャフトは従来型式であり、そのカムは、スプールに接続されたロッドに直接作
用し、又はスプール・ハウジングに取り付けられた第二のスプールに作用する。
この公報には、またカムとスプールに接続されたロッドとの間には、カムに接触
するアイドラーを有する、横軸方向に可動なロッドを挿入することが出来、これ
により、制御スプールにおけるカム動作のタイミングを変更することが可能とな
る。
この公知のエンジンにおいて、カムシャフトは、カムにより作動すべきシリン
ダ部材の真下の位置に配置される。カムシャフトは、エンジンの全長手方向に伸
長して、全てのシリンダのシリンダ部材に作用し得るようにする。その長さのた
め、カムシャフトは、質量が大きく、製造に比較的コストがかかり、また、クラ
ンク軸の動きに関与するため、多量のエネルギを消費する。クランク軸に関する
カムシャフトの同期化状の動きを保証するため、二本のシャフトは、大型の内燃
機関において数トンの質量ともなるチェーン駆動体により接続される。カムシャ
フトの軸受及びカムは、更に潤滑しなければならず、このためには、カムシャフ
トに対する油導路及び潤滑油ポンプ等を設計する必要がある。
本発明の目的は、カムシャフトにより作動されるシリンダ部材からある距離離
れた位置に取り付けることの出来る小型のカムシャフトを提供することにより、
エンジンを単純化することである。
この目的に鑑みて、本発明による内燃機関は、カムシャフトと第2のピストン
が、付属する液圧駆動のシリンダ部材から内燃機関の長手方向に離れた状態で、
クランクシャフトのような、適宜のシャフト駆動体に配置され、また液圧プッシ
ュロッドとして作動する単一の液圧導管のみが、各第1、第2のピストン対の間
に延びる。
このスプール弁は、液圧被動のシリンダ部材を作動させるための力が比較的小
さくてよく、このため、第一及び第二のピストンを相互に接続する導管の内径を
小さくすることが可能となり、このため、非常に長い導管であっても、その導管
内の液圧油の量が多量とならない。このために、カムシャフトがシリンダ部材か
ら大きく離れた位置に配置される場合でも、第二のピストンの動作を第一のピス
トンに正確に伝達することが可能となる。第一のピストンの位置と第二のピスト
ンの位置との間において、垂直方向及び水平方向への距離が数メートルである場
合であっても、ピストンが関係する液圧導管は、堅固な押しロッドとして機能す
る。このため、各シリンダ部材と関係する二本のピストンの間で液圧力を伝達す
る結果、任意の適当なシャフト駆動体にカムシャフトを配置することが可能とな
る。例えば、クランク軸と直接噛合させてエンジンの端部にカムシャフトを配置
することを可能となる。このカムシャフトは、また、シリンダの潤滑装置を駆動
するシャフトの伸長部として配置することも可能である。液圧導管のために、関
係する接続部を有するカムシャフトにより駆動される全てのピストンは、単一の
ユニットとして、互いに隣り合うように近接して配置することが出来、このため
に、カムシャフトは、長さが極めて短く、従って、質量が小さくなる。それ故、
カムシャフトを駆動するためのエネルギ消費量は、最小となり、エンジンの総エ
ネルギ消費量に比して極く無視し得る程度であり、その結果、エンジン効率が向
上する。また、カムシャフトのために公知の従来の大型チェーン駆動体及び細長
のハウジングを使用することが完全に不要となり、このため、エンジンの総重量
は顕著に軽減され、エンジンの製造はより経済的なものとなる。
関係する液圧押しロッドを有するカムシャフトは、エンジンの電子制御装置が
故障したときに使用される唯一の機械的な緊急制御装置であるから、正常なエン
ジン運転中は、第一のピストンは、カムの動きをスプールに伝達することが出来
ず、これにより、正常なエンジン運転中、スプール及び電子制御装置は、機械的
な緊急制御装置による影響を受けないようにすることが好ましい。
エンジンのエネルギ消費量を少なくすると同時に、機械的緊急制御装置が直ち
に作動し得る状態に保つため、好適な実施例にあっては、正常なエンジン運転中
に、第二のピストンをカムシャフトから持ち上げて離しておき、カムと係合させ
ようとするときは、第二のピストンを下降させて、カムシャフト上のカムに接触
させることを特徴とする。このようにして、正常な運転中、カムシャフトは、各
シリンダ部材と関係する第二のピストンにより影響を受けずに、第一のピストン
及び第二のピストンを相互に接続する液圧導管にエネルギは供給されない。この
ように、正常なエンジンの運転中、各シリンダ部材の第一のピストンは、静止し
たままであり、カムの動きをスプールに伝達しない。第二のピストンをカムシャ
フトから持ち上げて離すと、二つのピストン間の液圧導管に液圧油を充填するこ
とが可能となり、このため、エンジンの電子制御装置が故障したとき、エンジン
・サイクルの一部にて緊急制御装置を係合させることが出来る。しかしながら、
第二のピストンを持ち上げて離す代わりの手段として、液圧導管内の破壊弁(pu
ncture valve)を開けてカムシャフトの制御を不作動にすることも可能であるが
、この場合、液圧導管内に空気が混入してカムシャフトの正確な制御を無駄にし
てしまう虞れがある。
電動位置決め手段により、又は代替的に第一のピストンの動きにより、正常な
運転中に制御される小型のパイロット・スプールの動きにスプールが従動し得る
ようにすることで、液圧導管内の油量を更に少なくすることが可能である。パイ
ロット・スプールを作動させるのに必要な力は、駆動ピストンに供給され、及び
駆動ピストンから排出される油の流れを調節するスプールを作動させるのに必要
な力よりも著しく少なくなり、このため、パイロット・スプールの使用は、第一
のピストン及び第二のピストンを極く小さい寸法とすることを可能にし、液圧導
管の内径は僅か数ミリでもよい。このことは、液圧導管内の油量を極めて少量と
し、液圧押しロッドが極めて迅速に作動し、また、エネルギ消費量が極めて少量
となる。また、関係するカムにおける第二のピストンの機械的な動作も極く僅か
となり、このため、カムシャフトを極めて小さい寸法で設計することが可能とな
る。
構造的に特に簡単な実施例は、パイロット・スプールがスプール内で同軸状に
配置され、また、該パイロット・スプールは、位置決め手段の可動部分に堅固に
接続され、スプールの一側部まで突出するロッドに締結され、第一のピストンは
、スプールの反対側部に配置され、スプールと同軸状にパイロット・スプールま
で伸長するロッドを支承する。
正常なエンジンの運転中、緊急制御装置とパイロット・スプールとの接触を防
止するため、関係するロッドを有する第一のピストンは、適宜にばね荷重が加え
られてパイロット・スプールから離れる方向に動く。また、このばね荷重は、カ
ムシャフト制御装置が作動したときに、第一のピストンが正確に戻り、第二のピ
ストンは、下降するカム輪部に従うことを確実にする。
位置決め手段の関係するロッドを有する可動部分は、第一のピストンに向けて
動くようにばね荷重が加えられ、正常なエンジンの運転中、この位置決め手段は
、ばね荷重を上廻る。エンジンの電子制御装置が故障したとき、この位置決め手
段の可動部分にばね荷重が加わる結果、パイロット・スプールは、直ちに押し出
されて、第一のピストンと接続されたロッドに当接し、このため、カムシャフト
は、直ちに連続的なエンジン制御機能を果たす。電子制御装置が故障する前に、
第二のピストンがカムシャフトに当接するならば、エンジンは、この故障によっ
て実質的に影響を受けない。第二のピストンが最初に、関係するカムに当接しな
ければならない場合には、緊急制御装置の係合は、ピストンが係合する時間だけ
遅れる。
カムシャフトの長さが短いため、異なるシリンダのシリンダ部材に対する液圧
導管の長さは異なる。液圧導管内の油は、導管内の油量に依存して一定の絶体的
な圧縮性を持つ。導管が保持する油量が異なるならば、このカムシャフトの動き
は非常に迅速に、油量が最も少ない導管、即ち短い導管の第一のピストンに伝達
される。この短い導管に関係するカムをカムシャフト上で少し後方に回転させる
ことでこれを補償することも可能であるが、同一型式のシリンダ部材に達する、
液圧導管を接続したピストンの少なくとも一部分が、液圧導管が略等しい量の液
圧油を保持するようにする、それぞれの大きさの補償容積に連通するように設計
する方がより簡単である。
カムシャフトは、前進運転及び後進運転の双方時にエンジンを制御しなければ
ならない。ピストンが正にその上死点にあるとき、燃料の噴射及び排気弁の開放
は、通常、開始されず、この上死点から数度の位置に変位されるから、前進運転
用のタイミングとしたカムは、逆進運転時には、正確なタイミングとはならない
。上述の国際特許出願から、このタイミングは、横軸方向に可動なロッド上に取
り付けたアイドラーのカムに関して変位させることで変更が可能であることが公
知である。この従来技術の便宜の更なる改良点は、その作動位置にあるとき、第
二のピストンは、関係するカムに接触するアイドラーをその下端部にて支承する
ロッドの上端部と当接し、また、正常な運転方向に回転する間に使用する限界位
置と、エンジンが反対方向に回転するときに使用するもう一つの限界位置との間
にて、ロッドがカムシャフトの長手方向に関して可動である点を特徴とする。
前進運転及び後進運転のそれぞれにて使用するため,二つの限界位置の間でロ
ッドを移動可能とすることにより、該ロッドは、例えば、一方の限界位置又は他
方の限界位置の何れかに付勢する圧縮空気シリンダにより極めて簡単な方法でロ
ッドを制御することが出来る。このため、燃料ポンプ及び排気弁のタイミングを
正確にするためには、空気圧シリンダに対する単一の制御弁を移動させるだけで
よい。
ロッドの二つの限界位置は、適宜に調節可能であり、このため、実際のエンジ
ン負荷に関してタイミングを調節することが可能である。これらの限界位置は、
例えば、手動で調節可能な二つの機械的ストッパにより固定することが出来る。
特定のエンジン負荷にて長時間、運転するとき、運転員は、エンジン負荷とス
トッパに対する最適な位置との間の関係を示す説明書によってそのストッパを調
節することが出来る。
本発明の一つの実施例について極く概略図を参照しつつ、以下に説明する。添
付図面において、
図1は、内燃機関の外形図、
図2は、エンジンの緊急制御装置への液圧接続の線図、
図3は、図1のエンジンに対するクランクシャフトの側面図、
図4は、タイミングを調節する関係する装置と共に、図3に示したカムシャフ
トを示す僅かに拡大した端面図、
図5は、シリンダ部材のスプール弁の縦断面図、
図6は、図5のスプール弁の一部分のより大きい縮尺の図である。
図1には、船の主機又は固定発電エンジンとして使用することの出来るクロス
ヘッド型の大型の2ストロークディーゼルエンジンが、全体として符号1で示し
てある。このディーゼルエンジンの燃焼室2は、シリンダ・ライナー3及びシリ
ンダ・カバー4と、シリンダ・ライナー内に軸支されたピストン5とにより画成
されている。
ピストンは、ピストンロッド6を介して、クロスヘッド7に直接、接続される
一方、該クロスヘッドは、接続ロッド8を介してクランクシャフト11のスロー
10の接続ロッドピン9に直接、接続されている。関係するハウジング13と共
に、排気弁12の形態をしたシリンダ部材は、カバー4に取り付けられている。
該排気弁は、コンピュータ16から線15を通じて伝達された制御信号により作
動される電気機械弁により制御される液圧駆動体14により作動される。
カバー4に取り付けられた燃料弁17は、噴霧した燃料を燃焼室2に供給する
ことが出来る。燃料ポンプ18の形態をした別のシリンダ部材が電気機械式弁に
より制御され、線20を通じてコンピュータ16から入力した制御信号と独立的
に、圧力導管19を通じて燃料を燃料弁に供給することが出来る。信号伝達線2
1を通じて、コンピュータ16には、エンジンの現在の1分間当たりの回転数(
rpm)に関する情報が提供される。この回転数は、エンジンの回転計から得るこ
とが出来、又はエンジンの主軸に取り付けられた角度検出器及びインジケータか
ら得て、シャフトが360°回転するエンジン・サイクルの一部分を構成する間隔
について、エンジンの現在の角度位置及び回転速度を設定する。コンピュータが
燃料の噴射時点、及びそれと関係する燃料の量、排気弁の開放及び閉時点を設定
したならば、シリンダに対して正確なエンジン・サイクルの時点にて、燃料弁1
8及び駆動装置14がこれに応じて作動される。エンジンは、上述の方法で全て
具備された幾つかのシリンダを有し、コンピュータ16は、全てのシリンダの正
常な作動を制御することが可能である。
以下に説明するように、シリンダ部材の液圧駆動体に対する油の供給及び排出
は、スプール弁(又はシャトル弁又はスライド弁)により制御され、スプール弁
は、エンジンの正常な運転中、コンピュータ16からの制御信号に応答する電動
位置決め手段により調整される。何らかの理由のため、電子制御装置が故障した
ならば、スプール(又は、シャトル弁又はスライド弁)の調整は、カムシャフト
の制御装置に引き継がれる。この制御装置は、例えば、2つのはめば歯車24、
25を通じて相互に係合する2本のシャフトによりエンジンのクランクシャフト
11と同期して回転するカムシャフト23を有するカムシャフト・ユニット22
を備えている。カムシャフト・ユニットは、エンジンの端部に設けることが出来
るが、また、上述のように、エンジン内の適当な位置に配置してもよい。カムシ
ャフト・ユニットがクランク軸に極く近接する位置にあることが望ましくない場
合、この代わりに、チェーン又はベルト駆動体を介してカムシャフトの同期を行
ってもよい。
次に、カムシャフト・ユニットは、図2乃至図4を参照して、以下に更に詳細
に説明する。図示したカムシャフト・ユニットは、その各々が液圧で駆動される
シリンダ部材が2つある、4つのシリンダを備えるエンジンに使用することを目
的としている。このため、カムシャフトは互いに近接する8つのカム26を有し
、このため、シャフトの長さは短い。カムシャフトの寸法が小さい結果、カム軸
ハウジング28により支承された2つの軸受27で該シャフトを軸支すれば十分
である。ベルト・プーリー29及び歯付きベルト30により、カムシャフトは、
クランク軸と同期して駆動される。このカムシャフトは、保護ケーシング31に
より包み込まれている。カムシャフトに作用する力は、非常に小さく、このため
、
軸受27は、グリースで潤滑するだけでよく、シャフトに設けたカムは、潤滑せ
ずに作用可能である。従来から公知のカムシャフトの潤滑装置は、完全に省略す
ることが可能である。
アイドラー34を介してカムの外周に当接するロッド33によりエンジン・サ
イクルに関する各カム26のタイミング設定が為される。シャフトから離れた端
部において、ロッド33は、頂部を掛けた直立の中間ロッド35上に軸支され、
このロッドは、その上方の軸支点から離れた位置にて、空気圧シリンダ37内の
ピストンロッド36に接続されている。シリンダ37は、止めねじ38の形態の
2つのストッパ及び偏心状に軸支したディスク39により設定された2つの限界
位置の間にて、中間ロッド35、従って、ロッド33を動かすことが出来る。こ
れらの限界位置は、止めねじ38を回し及びディスク39を支点40を中心とし
て回すことにより設定可能である。これらの限界位置を調節すれば、カム26上
におけるアイドラー34の接触点が変化し、これにより、カムにより行われるロ
ッド33の上下動がカムシャフトの回転動作に関して相変位される。中間ロッド
35が止めねじ38に当接する、図示した限界位置において、カムシャフト・ユ
ニットは、前進運転に設定され、一方、中間ロッド35がディスク39に当接す
るカムシャフト・ユニットは、逆進運転を目的としている。
カムシャフトが作動しているとき、第一のピストン41は、関係するシリンダ
部材のスプール弁のスプールに作用する。該ピストン41は、スプール弁ハウジ
ング43の端部に取り付けられた小型の液圧シリンダ42に軸支されている。
第一のピストンの動作は、カムシャフト・ユニット内の小型の液圧シリンダ4
5内に軸支された第二のピストン44により制御される。第一のピストンの端面
46、及び第二のピストンの端面47は、液圧導管48内の油と直接、接触して
おり、そのピストンの両端は、それぞれ第一及び第二のピストンのシリンダに接
続されている。液圧ホース又は導管48は、曲げ可能で且つ可撓性があり、この
ため、その取り付けが極めて容易である。この液圧導管48の可撓性は、図1に
破線48で概略図で示すように、液圧で駆動されるシリンダ部材から水平方向及
び垂直方向の双方に大きく離れた位置に、クランクシャフト・ユニット22を配
置することを可能にする。第二のピストンの動作を第一のピストンに正確に且つ
均一に伝達するため、導管48内の油量が一定であり、また、導管は、常に充填
されているようにすることが重要である。
カムシャフトの制御装置に対する油は、高圧の液圧をシリンダ部材の液圧駆動
体に供給する圧力導管49から適当に得ることが出来る。この導管の圧力は、約
300バールであるため、この圧力は、可調節型減圧弁50により、ピストンの動
きを正確に伝達するために全く十分である、約10−50バールに減圧される。圧力
導管51を介して減圧弁の油ドレーンは、二つの位置を占める弁52と連通して
いる。この図2に示した作動位置において、導管51は、チャンバ54の底部に
て下方に押し付けられる上昇ピストン55の上方側にて圧力チャンバ54に達す
る導管53に接続され、このため、ピストン44上の突出するカラーは、ピスト
ン55の上方側から離れた位置に位置決めされている。この導管48内の圧力は
、第二のピストン44、及び該ピストンに堅固に接続された圧力ロッド56を下
方に押圧して、ロッド33の上方側と当接させ、このため、第二のピストンは付
勢されて、カムの輪郭に正確に従動する。これと同時に、弁52は、上昇するピ
ストン55の下側部に設けた圧力チャンバ57を導管59、59aを介してドレ
ーン58に接続された状態に保つ。ピストン44及び圧力ロッド56は、チャン
バ54の圧力がピストン44の突出するカラー上に何らかの力も加えないように
同一の径とすることが適当である。
カムシャフト・ユニットは、弁52を切り替えすることにより不作動にするこ
とが出来、このため、圧力チャンバ54は、ドレーン58と連通され、圧力チャ
ンバ57は、圧力導管51と連通され、その結果、関係する圧力ロッド56を有
する第二のピストンは、持ち上げられてカム26から離れる。何故なら、上昇ピ
ストン55は、チャンバ54内を土昇して、ピストン44上のカラーの下側に当
たるからである。これにより、ピストンは、上昇するピストンの上昇動作に関与
する。ピストン44の上方で拡がる分枝導管62は、弁を切り替えるときに圧力
チャンバ57と連通し、このため、第二のピストン44の上昇動作は、第一のピ
ストン41の位置に影響しない。この上昇と同時に、ロッド33は、ばね60に
より持ち上げられてカムから離れる。チャンバ54が加圧されると、圧力ロッド
56に加わる下方への力は、ロッド33に加わるばね荷重よりも遥かに大きくな
る。
弁52は、ばね61により、カムシャフトの制御が解除される位置まで予荷重
が加えられ、長時間の停止後に、第二のピストン44がカムと係合することはな
い。非戻し弁63は、関係する導管、及び圧力チャンバ54、57を有する液圧
導管48が常に油で充填された状態に保たれることを確実にする。
図5には、関連するシリンダ42を有する第一のピストン41の取り付けが示
してあり、このピストンは、中央片及び二つの端部カバーという幾つかの要素を
共にボルト止めして形成された、スプール弁のハウジング43の端部に装備され
る。この場合、第一のピストンは、一端のカバーに取り付けられ、一方、電動位
置決め手段64は他端のカバーに取り付けられる。
ハウジングの中央片は、高圧導管49と連通する流体入口導管65と、低圧ポ
ートに連通する2つの流体ドレーン導管66と、シリンダ部材を駆動する液圧駆
動体の液圧シリンダ69内の圧力チャンバ68に達する2つの出口導管67とを
有する。駆動体内の液圧ピストン70は、チャンバ68が入口導管65に接続さ
れたとき、該チャンバ68内の油圧により上方に駆動される。該チャンバ68が
ドレーン導管66に接続されたとき、ピストン70は、図示しないピストン面に
作用する液圧又は空気圧により開始位置に戻ることが出来る。
導管65は、その後に加圧される周溝70内に開放する。同様に、ドレーン導
管66は、それぞれの周溝72と連通し、出口導管67は、それぞれの周溝73
と連通している。ハウジングの中央に配置されたスプール74は、その中立位置
にて示してあり、この位置にて、スプールに設けられた周フランジ75は、溝7
3を正確に塞いで、これにより、図面の最も高い箇所にある出口導管67をドレ
ーン導管66及び入口導管65の双方から遮断している。同様に、底部の出口導
管67は、スプールに設けたもう一つの周フランジ76により入口導管65から
遮断されており、スプール上の第三の周フランジ77によりドレーン導管66か
らも遮断されている。
スプールをその中立位置から位置決め手段64に向けて動かしたとき、入口導
管65は、2つの出口導管67に接続され、また、スプールがその開始位置から
第一のピストン41に向けて動いたとき、ドレーン導管66は、2つの出口導管
67に接続される。
その一方のみを図示した二つのピストン部材78は、第一のピストン部材を収
容する端部カバーに当接し、該ピストン部材は、軸方向に伸長するそれぞれの穴
79内に突出し、該穴79は圧力導管80を介して入口導管65と連続的に連通
している。これら二つのピストン部材81は、他端のカバーに当接し、スプール
の他端に形成された、軸方向に伸長する穴82内に突出する。ピストン部材81
及び関係する穴82は、ピストン部材78及びその関係する穴79よりも著しく
大きい径である。
図6には、各穴82からの横軸方向の導管83がスプールに形成された長手方
向の中央穴84内に開放する状態が示してある。該穴84は、スプールの全長に
亙って貫通しており、この穴には、小型のパイロット・スプール85が挿入され
ている。二つの周溝86、87がパイロット・スプールの周面に形成されており
、これらの溝の間の中間に配置されたフランジ88は、横軸方向の導管83の幅
に正確に対応する幅を有する。溝86は、圧力導管89を通じて第一の導管65
と常に連通している。溝87は、ドレーン導管90を通じてドレーン導管66と
常に連通している。図示した位置にあるとき、パイロット・スプールは、その中
立位置にあり、この位置にて、中央フランジ88は、圧力導管89及びドレーン
導管90の双方の接続部から横軸方向の導管83を遮断する。
電気制御の位置決め手段64は、リニアモータの原理により設計されており、
この場合、可動片91は、曲げ自在の2本の線92に接続された多数の巻線を支
承している。これらの巻線は、鉄系のコア材料93と円筒状の強力な磁石94と
の間に配置されている。線92を介して巻線に電流が流れると、可動片91は、
直ちに作動して、この場合、その動作の方向及び速度は、電流の方向及び強さに
依存する。可動片は、位置センサ32に関係付けられており、該位置センサは、
可動片の作動位置に関する信号をコンピュータに送る。該可動片91は、スプー
ル74と同軸状に配置されたロッド95を介して、パイロット・スプール85に
堅固に接続されている。ロッド95の周りで同軸状に配置された比較的弱い圧縮
ばね96がパイロット・スプールの端面、及び端部カバー43とコア材料93と
の間に配置された中央片97の反対方向を向いた面に圧接している。
第一のピストン41は、スプール74と同軸状にスプールの中央穴84内まで
伸長するロッド98と堅固に接続されており、該中央穴内にて、ロッドは三裂案
内部材(trilobate guidemember)99により中心決めされている。カムシャフ
ト制御装置が不作動のとき、ロッド98の端部は、パイロット・スプール上の対
応する当接面100から適当に離れた位置に配置され、このため、パイロット・
スプールがロッド98の存在により影響を受けることはない。コンピュータ16
は、運転の監視及び可動片91の精密な設定を行い、これにより、ばね96から
の圧力に対抗する。電子制御装置が故障したならば、ばね96は、パイロット・
スプールをロッド98に当接するまで押し付け、これと同時に、弁52が切り替
えられ、このため、第二のピストン44、液圧導管48、第一のピストン41及
びロッド98を通じてカム動作が伝達され、次で、パイロット・スプール85を
正確に位置決めする。圧縮ばね101がロッド98に取り付けられたカラー10
2を通じて第一のピストン部材に作用し、液圧導管48に向けて動かす。これに
より、アイドラー34がカムの下り側に従動するとき、第一のピストン部材41
が他方のピストン部材44の下降動作に迅速に従動することが一層確実となる。
次に、スプール弁の機能について説明する。上述のように、穴79には、常に
圧力が作用しており、そのため、スプール74には、図面の上方向に向けて恒久
的な力が作用している。パイロット・スプールが停止したとき、この上方への力
がスプールを上方向に変位させることが可能となる。この場合、横軸方向の導管
83は圧力導管89と連通し、このため、加圧油は穴82内に流動する。その結
果、ピストン部材81の正面にてチャンバ内の上昇する圧力は、下向きの力にて
スプールに作用し、このため、スプールは付勢されて、パイロット・スプールの
中央フランジ88が横軸方向の導管83に正確に当接する位置となる。穴82内
の圧力が過大になると、スプールは、僅かに下方に動いて、これにより、横軸方
向の導管83をドレーン導管90と連通させ、このため、穴82内の過剰圧力は
釣り合う程度まで逃がされて、スプールに作用する上昇力及び下降力が等しい程
度となる。
このことから、スプール74は、中央フランジが横軸方向の導管83を塞ぐ位
置に常にそれ自体を迅速に配置することが理解される。穴82の径は、穴79よ
りも大きいため、スプールがパイロット・スプールに関して上記の中立位置に位
置しないならば、スプールには、常に力が作用している。パイロット・スプール
がロッド95又はロッド98の何れかの作用によりスプールの軸方向に変位され
たとき、スプール74は、直ちにこの動作に関与する。パイロット・スプール及
び関係付けられたロッドの質量が小さいため、スプールに作用する駆動力は極め
て小さく、このため、スプールが極めて迅速に作動することが可能となる。
勿論、第一のピストン46をスプール74に直接、作用させることも可能であ
るが、このためには、作動速度がより遅く、より大きい制御力が必要となり、そ
の結果、液圧導管48により大きいエネルギが付与される装置となる。
カムシャフトの制御装置は、電子制御装置の故障の種類に関係なく、個々のシ
リンダを作動させ、又は全てのシリンダに同時に作動させることが出来る。
また、本発明は、ソレノイド及びステップ・モータのようなその他の型式の電
動位置決め手段と関係して使用することが可能である。
液圧導管48との接続部付近に、又は上記接続部内にて、第二のピストンに対
するシリンダ45、又は第一のピストンに対するシリンダ42は、同一型式のシ
リンダ部材に達する液圧導管が略等量の液圧油を保持するようにした寸法の補償
容積を有する。例えば、液圧導管に対する接続分枝管に、より大径の穴を穿孔す
るか、又はシリンダ内への横軸方向の導管に穿孔して、二つのピストンの間の油
の全体量が接続された対のピストンについて等しくなるようにシリンダの中央出
口導管からの位置にて導管に栓をすることにより、この補償容積を提供すること
が可能である。
請求の範囲
1.シリンダ部材の液圧駆動体が液圧シリンダ(69)内に軸支された駆動ピ
ストン(70)を備え、該液圧シリンダが流路(67)を通じてスプール弁と連
通し、該スプール弁のスプール(74)は、流路(67)が液圧油の高圧源(6
5)と連通する第一の位置と、流路が低圧ポート(66)と連通するもう一つの
位置とを占めることが出来、該スプール(74)は、第1のピストン(41)と
関連し、該第1のピストンは、そこから第2のピストン(44)に延びる液圧導
管(48)内の液圧流体により作動され、正常なエンジンの運転状態のとき、ス
プールは、エンジンを制御するコンピュータ(16)から制御信号を入力する電
動位置決め手段(64)により位置決め可能であり、正常なエンジンの制御が失
われたとき、スプールが、この代わりに、エンジンのクランク軸(11)と共に
同期して回転するカムシャフト(23)上のカム(26)に追動する第2のピス
トンより、位置決め可能である、燃料ポンプ(18)又は排気弁(13)のよう
な、付属するシリンダに取り付けられた、数個の、液圧で駆動されるシリンダ部
材を有する、特に、船の主機のような大型の2ストローク内燃機関(11)にし
て、
前記カムシャフト(23)と前記第2のピストンが、付属する液圧駆動のシリ
ンダ部材(14、13、18)から内燃機関の長手方向から離れた状態で、クラ
ンクシャフト(11)のような、適宜のシャフト駆動体に配置され、液圧プッシ
ュロッドとして作動する、単一の液圧導管(48)のみが、各第1、第2のピス
トン(41、44)対の間に延びることを特徴とする大型の2ストローク内燃機
関。
2.請求の範囲第1項に記載の内燃機関にして、正常なエンジンの運転中、前
記第一のピストン(41)が、カム動作をスプール(74)に伝達し得ないよう
にされることを特徴とする内燃機関。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G
B,HU,JP,KP,KR,KZ,LK,LU,LV
,MG,MN,MW,NL,NO,NZ,PL,PT,
RO,RU,SD,SE,SK,UA,US,UZ,V
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