【発明の詳細な説明】
水性ポリマー分散液および水蒸気透過性コーティングの製造のためのそれらの
使用
本発明は、水性ポリマー分散液および水蒸気透過性コーティングの製造のため
のそれらの用途に関する。
織物用の親水性ポリウレタン系水蒸気透過性ポリマーコーティング系は既知で
ある。ポリウレタン系の欠点を回避するため、これらまたはポリウレア系にポリ
アクリレートを組合わせる方法が記載されている。DE−A−4022602記
載のようにポリウレタンまたはポリウレアまたはそれらのプレポリマーの分散液
と、ポリアクリレート分散液およびフィラーとの機械的混合では、十分に水蒸気
透過性のコーティングは得られない。発泡体として適用されるこれらコーティン
グは40〜50g/m2の高い塗布量を必要とし、そして多孔性コーティングに
典型的な欠点を有する。Chemtech21(1991)11,670参照。
DE−A−3902067は分子内にウレイド基:
を有するラジカル重合可能なモノマー成分を有する(共重合)ポリアクリレート
分散液を記載する。これらはホルムアルデヒド捕捉剤として使用される。しかし
ながら得られるアクリレートコーティングは非常に小さい水蒸気透過性しか持た
ない。
DE−A−4012339,DE−A−4027971およびDE−A−40
27743は、(メタ)アクリロイル基を含んでいる
オリゴ、またはポリウレタンの塗料のバインダーとしての、または水性バインダ
ーおよび/またはコーティングとしての用途の指示を与える。このオリゴまたは
ポリウレタン成分は有機溶剤中に生成され、そしてアクリレート成分はポリウレ
タン中へ直接添加される。水中への分散または溶解は、イオン変性に基づいてジ
メチルプロピオン酸によって実行される。すべての場合NCO:OH比<1を目
指している。ポリウレタンの架橋はアクリレート成分によって実行される。
US−A−4730021およびEP−A−167188は、第1ステップに
おいて製造され、第2ステップにおいてポリイソシアネート、ポリオール、ポリ
アミンおよび他の成分と共にポリウレタンを形成するモノエチレン不飽和モノイ
ソシアネートを記載する。これらポリウレタンはイオン性成分の配合のため自己
乳化性である。それらは保護コロイドとして作用し、そしてそれらのモノエチレ
ン不飽和官能はエマルション中の他のエチレン性不飽和モノマーと共にグラフト
重合することができる。好ましくは粒子はポリウレタンシエルとポリアクリレー
ト核とによって形成される。粒子はアクリレートモノマーのグラフトパーセント
約50%を有する。このプロセスは高い耐摩耗性があるコーティング中の高価な
ポリウレタン成分の節約のために特に利用される。求められる耐摩耗性は粒子の
ポリウレタンシエルによって確保される。
US−A−5057569によれば、分子内に少なくとも一つのビニル基を有
する乾燥した固体親油性ポリマー(例えばポリウレタン、ポリエステルまたはエ
ポキシポリマー)が、水に分散したエチレン性不飽和モノマー中に溶解され、そ
してエマルション状態でグ
ラフト重合へかけられる。ビニル成分で架橋された高分子量のポリウレタンが得
られ、それらは耐水性フィルムおよびバインダー、接着剤等の製造に使用するこ
とができる。それらの水蒸気透過性は小さい。
US−A−4318833は、高い耐クラック性、耐ガソリン性、光沢保持性
および改良された接着性を有するコーティング配合物を記載する。これらは、最
初慣用の溶剤中にポリウレタンプレポリマーを生成させ、次にそれをエチレン性
不飽和モノマーと接触させてつくられる。次に重合が実施される。
成形した表面材料、特に風および水分に抵抗性であるが、水蒸気透過性である
織物をつくることに努力することにより、凝固法によってつくられた微孔質コー
ティングが織物について考慮されて来た。有機溶剤中のポリマー溶液が塗布され
た後、塗布された織物上のこの溶液の凝固が非溶媒によって行われ、次に洗浄、
乾燥される。例えばJournal of Coated Fabrics 2
0,1990,11−23を見よ。使用する非溶媒(これは通常水)とは独立し
て、このタイプのコーティングは常に少なくとも1種の有機溶剤の使用と組合わ
される。それ故、溶剤の強い蒸気が多かれ少なかれ塗布機と凝固液の間の希薄化
ゾーン中へ、およびその後の乾燥の間に逃げる。このタイプのコーティングの他
の欠点は、大量の溶剤/凝固剤混合物が発生し、蒸留によって処理するか焼却し
なければならないことである。また、このプロセスはベルトスピードの調整と、
そして凝固浴の不変組成をもって塗布量の調整に非常に技術的熟練を要求するこ
とである。
水溶性成分、例えば塩類(H,J.Buschmann and
E.Schollmeyer,Text.Praxis Int.1992,
December,1156−1158)、または酵素分解し得る物質(ドイツ
特許3,543,217)をポリマーマトリックス中に混入し、この添加物質を
次に洗い出し、そして材料を乾燥することによって、水蒸気透過性コーティング
を製造する可能性も知られている。この洗出プロセスは複雑な動力学に服し、そ
して中でも層の厚みによって影響される。さらに、相当の技術的エネルギー支出
をもって処理しなければならない浴液を発生する。
これらの理由のため、凝固浴を使用しない水性ポリマー分散液、例えば親水性
ポリウレタン分散液の織物への適用によって水蒸気透過性コーティングを製造す
る試みがしばしばなされた。しかしながらすべての公知の系は、イオン性もしく
は非イオン性基またはブロック共重合体構造によって実現される自己乳化性のた
め永久的ではない。耐洗濯性コーティングは水性分散液中の水溶性有機溶剤、例
えばアセトン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドまたはジメチルア
セタミドの使用によってのみ可能である。
ドイツ特許3,633,874には、織物構造のための水蒸気透過性コーティ
ングの製造が記載されている。それによると、コーティングは2種類の水性ポリ
ウレタン分散液、すなわち一方はカチオン基のために自己乳化性であり、他方は
アニオン基のため自己乳化性である分散液をインラインでウエットオンウエット
で適用することによって製造される。界面に発生する複合体は事実上不溶性であ
り、そして家庭内洗濯およびドライクリーニングに対して耐性でなければならな
い。しかしながらこの方法はその用途が限られる。何故ならば複合体形成は最初
のコートは基材の慣用の良好な濡れ性の
ため第2のコートよりも基材に深く浸透できるため第1のコートの深さに形成さ
れないからである。このため第2のコートの適用量も耐洗濯性を保持するために
限られる。第1のコートの利用できる反対極性のイオン性基だけが中和されるの
で、高い塗布量をもってしても第2のコーティングの一部分は複合体中に結合さ
れないであろう。また、少なくとも二つのスプレッダーを有するコーティング装
置がユーザーへ提供可能でなければならず、そして第1のコーティング後の中間
乾燥または発達または性能改良のためのさらなるコーティングの導入は、特に粗
い低密度の布帛の場合不可能である。
本発明は、織物工業のために耐洗濯性の水蒸気透過性コーティング系を提供す
ることを目的とする。
さらに本発明は、織物および他の成形した表面材料のために、何回もの薬品ク
リーニングサイクルおよび家庭内洗濯の後にもその撥水性を保持し、そしてその
製造に有機溶剤を含まない安定な耐洗濯性水蒸気透過性コーティングを開発する
ことを目的とする。それは慣用のコーティング機械において水系で加工できるも
のでなければならない。
驚くべきことに、ポリウレタンプレポリマーおよびα,β−エチレン性不飽和
モノマーのポリマー成分を基にする水性分散液が今や発見され、その粒子は相互
侵入型または半相互侵入型網目の形で存在し、そしてこれらは相互侵入型網目に
よって形成される水蒸気透過性および撥水性を生成する。
本発明はこのため、その粒子がポリマーAとBの相互侵入型もしくは半相互侵
入型網目よりなる水性ポリマー分散液において、ポリマーA成分はポリオキシア
ルキレン単位と、必要ならばポリエステ
ル、ポリカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリシロキサン、ポリブタジエン
および/またはポリアミド単位と、そして必要により尿素結合を有し、架橋ポリ
ウレタン全体質量に対するポリオキシアルキレン単位の質量分率が少なくとも1
0%である架橋または分枝ポリウレタンであり、そしてポリマー成分Bは少なく
とも1種のビニルC1−C18カルボン酸エステル、またはそれと少なくとも1種
の(メタ)アクリル酸C1−C18アルキルエステルおよび/または少なくとも1
種の他のビニル化合物との混合物の線状、分枝状または架橋ポリマーである、水
性ポリマー分散液に関する。
ポリマー成分Aは、少なくとも1種のポリイソシアネートと、全ヒドロキシル
官能基数n>2と、11ないし280のヒドロキシル価を有する少なくとも1種
の脂肪族または部分的脂肪族ポリオール成分と、そして400〜10,000の
数平均分子量を有するアルキレンオキサイドのホモポリマーまたはコポリマーと
をイソシアネートプレポリマーを生成するように反応させ、そして得られたプレ
ポリマーを鎖延長および/または架橋することによって得ることができる。
本発明はまた、水蒸気透過性および水不透過性コーティングを特に織物材料お
よび被覆した材料のために製造するための水性分散液の使用に関する。本発明に
よる水性分散液は、紙および不織材料のような成形した表面材のコーティングお
よび含浸のため、接着剤およびパッキング材料として、染料および顔料のための
結合剤として、さらに発泡体または圧縮発泡体の原料として織物分野以外でも使
用することができる。
本発明による分散液は、慣用のシックナーによってペーストに加
工することができる。コーティングの製造はこれらのペーストをもって可能であ
り、その中のポリマー成分Aはポリマー成分Bと相互侵入型網目を形成する。こ
れらコーティングは、驚くべきことに、基質、好ましくは織物上のそれらの網目
性格により耐洗濯性の水不透過性であるか水蒸気透過性層を代表する。これらポ
リマー成分は比較的小さい網目密度と低いガラス転移温度を有する。それらは僅
かに膨潤するだけであり、そのため織物の洗濯中および衣類の着用中湿潤摩擦に
対して安定である。
相互侵入型または半相互侵入型網目はポリマー成分Aの存在下モノマー物質の
ポリマー成分Bの構造の結果として発生する。原則として、AとBとが架橋して
おり、両方のポリマー成分の架橋が前後する反応ステップにおいて形成できるポ
リマー成分AおよびBの相互侵入型網目と、そしてAが架橋されBが架橋されな
いかまたはその反対の半相互侵入型網目の間を区別することは可能である。例え
ばコーティングした基質の熱処理により、AまたはBの後架橋の場合、相互侵入
型網目が再び形成される。
本発明によるポリマー成分Aは、ポリオキシアルキレン単位を含んでいる架橋
ポリウレタンである。ポリマー成分Aの製造のため、ポリアルキレンオキサイド
に基づく、またはポリエステル、ポリカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリ
シロキサン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリアミド、ポリウレタンまた
はポリウレアポリオールによって代表されるポリオールとポリアルキレンオキサ
イド形ポリオールの混合物であるポリオールが使用される。これらは必要に応じ
低分子量ポリオールを含んでもよい。ポリオールまたはポリオール混合物は、平
均して1分子あたり少なくとも二つのヒ
ドロキシル基が存在するように、すなわち全ヒドロキシル官能基数n>2が存在
するように選択される。ポリアルキレンオキサイドとして、Methoden
der organischen Chemie(Houben−Weyl)4
版 E20/2巻 1367−1379頁、Ullmann’s Encycl
opedia of Industrial Chemistry(英語版)改
訂第5版、A21巻579−589頁、およびULLmann’s Encyc
lopadie der technischen Chemie,改訂増補第
4版、19巻31頁、297頁に記載されている化合物が考慮される。
ポリマー成分Aのため、エチレンオキサイドのホモポリマー、およびエチレン
オキサイドとプロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドおよび他のアルキレン
オキサイドとの共重合体、それに数平均分子量400〜10,000のブロック
共重合体が特に適している。これらポリアルキレンオキサイド成分は、ポリマー
成分Aの全質量の少なくとも10%,好ましくは少なくとも25%,そして特に
少なくとも40%のエチレンオキサイド重量分率を持っている。特に好ましくは
、数平均分子量400〜10,000、好ましくは400〜4,000、特に6
00〜2,000を有するポリエチレンオキサイドホモポリマーである。
エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパンおよびグリセリンのモノエ
ステル例えばトリメチロールプロパンモノカプリレート、ペンタエリスリトール
のジエステル
例えばペンタエリスリトールジステアレートのような低分子量ポリオールをポリ
アルキレンオキサイドポリマーと混合することができる。
イソシアネートと二重に反応性のアミノもしくはメルカプト末端化合物、例え
ばポリエーテルジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、1,
6−ヘキサンジチオール、p−ヒドロキシチオフェノール、2−アミノエタンチ
オールおよび2−アミノエタノールをポリアルキレンオキサイドポリマーへ加え
ることもできる。
線状ポリオールは3個以上のヒドロキシル基を分子内に有するポリオール、例
えばトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン、ソルビトー
ル、二量化トリメチロールプロパンまたは二量化ペンタエリスリトールのような
低分子化合物と混合することができる。
これらポリオールの代わりに、モノ、ジおよびトリアルカノールアミン例えば
トリエタノールアミンのようなイソシアネートに関し2より大きい官能性の他の
低分子量化合物を単独もしくは混合して使用することができる。
分子あたり3個以上のヒドロキシル基を有するポリオールとして以下のものを
使用してもよい。
以下の式I〜Vによって記載することができるエチレンオキサイドのホモおよ
びコポリマー、プロピレンオキサイドのホモおよびコポリマー、および他のアル
キレンオキサイドのホモおよびコポリマー。
式中:
R1,R3=同一または異なるC2−C12−アルキレン;
R2=C2−C18−アルキル;
AO=炭素数2〜4のアルキレンオキサイド残基;
a=>0の整数;
b,c,d,e=≧0の整数;
a+b+c+d+e=1〜500
R4=場合により置換されたp=3〜18C原子を有する脂肪族、脂環族または
芳香族炭化水素基;
n=3〜6,ただしn≦p
多数の合成産物からのそのような化合物の例は、N−メチルジエタノールアミ
ン、エチレンジアミンから出発したプロピレンオキサイド−エチレンオキサイド
およびエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロックコポリマー(Tet
ronicsまたはTetronicsR BASF)、プロピレンオキサイド
−エチレンオキサイド混合ポリマー(Genapol PN ヘキスト),脂肪
族ポリアルコールから出発したプロピレンオキサイド−エチレンオキサイドおよ
びエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロックコポリマー(Pluro
nicまたはPluronicR BASF,Dowfax ダウケミカル),
エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド混合ポリマー(Glissolub
le CE BASF,ポリグリコールP41 ヘキスト),トリメチロールプ
ロパンまたはグリセリンから出発したエチレンオキサイドまたはプロピレンオキ
サイドホモポリマー(Kolb AGのImbentine,ダウケミカルのV
oranol,バイエルのDesmop
henタイプ)およびN−(C12−C18アルキル)−1,3−プロパンジアミン
のエチレンオキサイド付加物(Ethoduomeen,アクゾ)を含んでいる
。
分子あたり3個以上のヒドロキシル基を有するポリオールの代わりに、末端ア
ミノ基を有するエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドおよび他のアルキレ
ンオキサイドホモポリマー,例えばテキサコのJeffamime Tタイプを
使用することもできる。
本発明の分散液の具体例の一変形においては、官能数n≧2を有する脂肪族ま
たは部分脂肪族ポリエステルまたはポリカーボネートがポリオール成分として使
用される。それらは例えばBASFのLupraphenおよびSystolと
して知られる、または高分子量ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレン
テレフタレートのジアルコール例えばエチレングリコールおよびブタンジオール
、またはアミノアルコール例えばエタノールによるアルコリシスまたはアミノリ
シスの分解産物である、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレ
ングリコール、トリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペン
チルグリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン
、アジピン酸およびセバチン酸の数平均分子量1,000〜6,000および官
能数n=2〜3を有する統計的もしくはブロックコポリマーによって代表される
。
一変形例において、ポリマー成分Aの製造のため数平均分子量400〜2,0
00を有するポリエチレンオキサイド90〜99重量%と、トリメチロールプロ
パン、グリセリンまたはジエタノールアミン1〜10重量%よりなる混合物が使
用される。
他の変形例においては、ポリマー成分Aの製造のため、数平均分子量400〜
20,000、好ましくは600〜2,000を有するポリエチレンオキサイド
40〜60%と、ヒドロキシル価45〜70と官能数n=2.1〜2.9を有す
る、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン
と、アジピン酸系の脂肪族ポリエステルポリオール60〜40%よりなるポリオ
ール混合物が使用される。
他の変形例の場合、ポリマー成分Aの製造のため、以下の一般式(V)のポリ
シロキサンジオール:
(m=10〜250)10〜25重量%と、数平均分子量1000〜4000の
ポリエチレンオキサイド40〜50重量%と、そして平均ヒドロキシル価45〜
70および官能数n=2.1〜2.9を有するジエチレングリコール、ネオペン
チルグリコール、トリメチロールプロパンとアジピン酸系の脂肪族ポリエステル
ポリオール35〜60重量%よりなるポリオール混合物が使用される。
他の変形例によれば、ポリマー成分Aの製造のため、一般式VIおよびVIIのポ
リシロキサンポリオール:
(k=1〜5,好ましくは2〜4;m=10〜250;p=2〜150;AO=
炭素数2〜4のアルキレンオキサイド残基)5〜50重量%と、数平均分子量1
000〜4000を有するポリエチレンオキサイド50〜99重量%と、そして
平均ヒドロキシル価45〜70と官能数n=2.1〜2.9を有するジエチレン
グリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパンおよびアジピン
酸系のポリエステルポリオールかまたはグリセリンもしくはトリメチロールプロ
パン0〜50重量%よりなるポリオール混合物が使用される。
他の変形例においては、ポリマー成分Aの製造のため、以下の一般式を有する
4価のアルコールが使用される。
式中
EO,PO=ポリプロピレンオキシドまたはポリエチレンオキシド残基;
a+b+c+d=36;
e+f+g+h=30
ポリマー成分Aの製造に使用される可能なポリオールの選択は広く、そしてポ
リマー成分Aはエチレンオキシドホモまたはコポリマー分率を少なくとも10w
t%を有する事実によってのみ実際上制限されるのみである。高い水蒸気透過性
を製造するため、ポリマー成分A中のアルキレンオキサイド分率、特にエチレン
オキサイド分率を少なくとも25wt%,好ましくは少なくとも40wt%へ増
加させるのが有利である。
一般にポリオールまたはポリオール混合物は、すべてのジイソシアネートおよ
びジイソシアネート部分を有するポリイソシアネートで変換されるようにヒドロ
キシ官能数n>2を有するものが使用される。しかしながらもし変換が全官能数
n>2を有するポリイソシアネートで行われるならば、ジオールのみからなるポ
リオールまたはポリオール混合物を使用することも可能である。
本発明によるプレポリマーの他の変形例においては、ポリマー成分Aおよび本
発明の分散液の製造のためイオン性またはイオン源性基を有する低分子量ポリオ
ールが使用される。そのような物質の例
はジメチロールプロピオン酸およびN−メチルジエタノールアミンである。耐洗
濯性織物仕上げのためにはN−メチルジエタールアミンが好ましい。
最後に、プレポリマーの鎖長を制御する目的で、または良好なフィルム形成ま
たは柔軟性のような性質を確立する目的で、単官能のアルコール、アミンまたは
メルカプタンの特定量を加えることができる。そのような単官能化合物の例は、
アルキレンオキサイドポリマーのモノエーテルおよびリシノール酸である。それ
らの量は、NCOを減らすがしかし補償しないように、または一般的NCO:O
H比1.05〜2.0,好ましくは1.05〜1.75を考慮に入れて、それら
が2より大きい官能数のポリイソシアネート、または2より大きい官能数のポリ
オールおよび/またはポリアミンによって常に平衡化されるように計算される。
本発明によって使用されるポリオールの規定は他の化合物、例えばメルカプト
またはアミノ末端化合物によるポリオールの部分または完全置換についてもあて
はまる。
ポリマー成分AのためのNCO末端プレポリマーの製造のためのイソシアネー
ト化合物として慣用のポリイソシアネートを使用することができる。適当なポリ
イソシアネートは、テトラおよびヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチル
ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス
(シクロヘキシレンイソシアネート)、トリレンジイソシアネート、メチレンビ
ス(フェニレンイソシアネート)、トリメチロールプロパン1モルとヘキサメチ
レンジイソシアネート3モルの反応産物、ヘキサメチレンジイソシアネート3モ
ルと水1モルのビウレット;ヘキサメチ
レンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよび/またはトリレンジ
イソシアネートのトリイソシアヌレート;ヘキサメチレンジイソシアネート、イ
ソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートおよび
メチレンビス(シクロヘキシレンイソシアネートのウレトジオン;好ましくはヘ
キサメチレンジイソシアネート、テトラメチルヘキサメチレンジイソシアネート
、イソホロンジイソシアネートおよびメチレンビス(シクロヘキシレンイソシア
ネート)のようなポリイソシアネート、特に脂肪族ジまたはポリイソシアネート
である。
本発明による分散液製造のための別の変形においては、平均官能数n>2のポ
リイソシアネートと平均官能数2のポリオール、例えばポリエチレンオキサイド
と、そしてヘキサメチレンジイソシアネートもしくはイソホロンジイソシアネー
トのトリイソシアヌレート、または水1モルとヘキサメチレンジイソシアネート
3モルもしくはトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート3モルのビウレット
が使用される。
ポリイソシアネートの代わりに、別の製造変形例の場合、水との接触により、
または高温においてイソシアネート官能を再生し、そしてH−酸化合物によって
鎖延長し得るマスクしたポリイソシアネートが使用される。イソシアネートをマ
スクするために適したそのような物質の例は、マロン酸エステル、重亜硫酸塩、
ラクタムおよびケトオキシム、例えばマロン酸ジエチルエステル、亜硫酸のモノ
ナトリウムまたはモノカリウム塩、ε−アミノカプロラクタムおよびブタノンオ
キシムを含む。
本発明の分散液製造の他の変形によれば、低分子量ジイソシアネ
ートがイソシアネートプレポリマーを製造するためにポリオールと反応させられ
、そして次にε−アミノカプロラクタムを反応させられ、今やマスクされたイソ
シアネートプレポリマーを水相に乳化することができる。
本発明の分散液製造の他の変形によれば、溶液中のイソシアネートプレポリマ
ーは過剰または不足量の亜硫酸の酸性塩を含有する水相中へ入れられ、そのため
マスキング反応を実施する場合、熱で加水分解できるカルバモイル化合物が生成
される。そのようなカルバモイル化合物は、このためポリマーAの架橋へ、また
は基質上反応性基の存在下基質との反応へ導く。反応性基質は、例えばウール、
ポリアミド、綿、紙、レザーおよびシルクを含む。
しかしながら一般に、ジイソシアネートと、平均官能数n>2のポリオールま
たはポリオール混合物をもって作業する。この態様において分散液およびコーテ
ィングの性質、特に織物分野で要求される柔軟性を問題なく調節することができ
る。
本発明によれば、プレポリマー製造のためNCO:OH比1.05以上2未満
、好ましくは1.75以下の調節に必要なNCO官能が加えられる。この比は、
反応混合物中に遊離イソシアネート基が残留せず、そして平均してプレポリマー
分子あたり2以上のウレタン基が含まれることを確実にする。
2以上のウレタンおよび/またはウレア結合を分子あたり含有し、そして分枝
オリゴマーまたはポリマーを代表するポリマー成分AのためのNCO末端プレポ
リマーの製造のため、粘度低下をもたらすため、またはアロフアネート生成を信
頼して排除する温度において作業するため、一般に溶剤が必要である。しかしな
がらNCOプ
レポリマーの製造は溶融法でも実施される。
ケトン、塩素化炭化水素、エーテル、エステルおよび芳香族炭化水素のような
慣用のポリウレタン溶剤が本発明による分散液のためのプレポリマー製造のため
に使用される。溶剤の選択は蒸留分離性に基づくα,β−エチレン性不飽和モノ
マーの置換性と、その中のプレポリマーの溶解度によってのみ決定される。好ま
しくは、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケト
ン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロ
フラン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ベンゼンおよびトルエンのようなAOX不含
溶剤が使用される。特に好ましいのは高沸点α,β−エチレン性不飽和化合物を
容易に置換できる低沸点溶剤、例えばアセトンである。
ポリマー成分Aのためのプレポリマーの生成は溶剤の沸点、または溶剤または
溶剤混合物の沸点以下の温度で生起する。それは慣用の有機遷移金属化合物およ
び3級アミンによって触媒される。この例はジブチルスズジラウレートのような
有機スズジカルボキシレート、およびトリエチルアミンおよびトリエチルジアミ
ンである。しかしながら、好ましくは溶融法によるプレポリマーの製造において
触媒なしで作業することもできる。さらにもしエチレン性不飽和モノマーがポリ
ウレタン原料の溶剤/希釈剤として少なくともプレポリマー合成の初期において
役立つならば、溶剤を完全に省略することができる。しかしながら、公知の方法
においてもモノマーの溶剤の使用は、もしイソシアネート成分がアミノ末端成分
によって少なくとも一部プレポリマーへ製造されるならば制限される。
ポリマー成分Bの構成はα,β−エチレン性不飽和化合物単独ま
たは混合物からもたらされる。本発明によって使用できる化合物は、C1−C18
アルカンカルボン酸のビニルエステル、(メタ)アクリル酸C1−C18アルキル
エステル、ビニルC1−C18アルキルエーテル、α,β−エチレン性不飽和ジカ
ルボン酸のモノエステルおよびジエステル、(メタ)アクリルアミド誘導体、N
−ビニルアミン誘導体、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸のジアミドおよ
びイミド、それにポリアルキレンオキサイドモノ(メタ)アクリレートおよびポ
リアルキレンオキサイドモノビニルエーテルである。
成分Bは、好ましくは酢酸ビニルポリマー、または少なくとも酢酸ビニル20
wt%,好ましくは50〜99wt%と、少なくとも1種のエチレン性不飽和化
合物との混合物のポリマーである。
一具体例によると、ビニルエステル10〜85wt%と、α,β−不飽和ジカ
ルボン酸のジ−C1−C6アルキルエステル0.1〜35wt%と、そして他のコ
モノマー0〜89.9wt%を使用することができる。好適なジエステルは、マ
レイン酸、フマル酸、イタコン酸、およびシトラコン酸よりなる群からのもので
、好ましくはマレイン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル
、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジイソブチル、マレイン酸ジペンチル、マレ
イン酸ジイソペンチル、マレイン酸ジネオペンチル、マレイン酸ジヘキシル、マ
レイン酸ジエチルヘキシル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジ
プロピル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジイソブチル、フマル酸ジペンチル、フ
マル酸ジイソペンチル、フマル酸ジネオペンチル、フマル酸ジヘキシル、フマル
酸ジエチルヘキシル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジ
プロピル、イタコン酸ジブチル、イタコン酸ジイソ
ブチル、イタコン酸ジペンチル、イタコン酸ジイソペンチル、イタコン酸ジネオ
ペンチル、イタコン酸ジヘキシル、イタコン酸ジエチルエキシル、シトラコン酸
ジメチル、シトラコン酸ジエチル、シトラコン酸ジプロピル、シトラコン酸ジブ
チル、シトラコン酸ジイソブチル、シトラコン酸ジペンチル、シトラコン酸ジイ
ソペンチル、シトラコン酸ジネオペンチル、シトラコン酸ジヘキシル、シトラコ
ン酸ジエチルヘキシルである。
好ましい具体例によれば、酢酸ビニルがビニルバーサテートと、そしてマレイ
ン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジエチルまたはフマル酸ジエチル
との混合物に使用される。他の好ましい具体例においては、酢酸ビニルの代わり
にプロピオン酸ビニルが使用される。
さらなるコモノマーとして、以下のモノマーが好ましくは4.9〜55%使用
される。アクリロニトリル、アクリルアミドおよび/またはメタクリルアミド誘
導体、N−置換ビニルアミドおよびビニル芳香族化合物。これら他のコモノマー
の例は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、エチ
ルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オレイルアクリレート、ステ
アリルアクリレート、メチルメタクリレート、N−(メトキシメチル)アクリル
アミド、N−(エトキシメチル)アクリルアミド、N−(ブトキシメチル)アク
リルアミド、N−(メトキシメチル)メタクリルアミド、N−(エトキシメチル
)メタクリルアミド、N−(ブトキシメチル)メタクリルアミド、メチルビニル
エーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソブチルビニル
エーテル、オクタデシルビニルエーテル、エチレングリコールブチ
ルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、2−エチル
ヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、t−ブチルビニルエ
ーテル、t−アミルビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルム
アミド、スチレンおよびα−メチルスチレンである。
ポリマー成分Bの製造のため、水および/または溶剤もしくは溶剤混合物およ
び/またはα,β−不飽和化合物中に可溶な少なくとも1種の架橋成分Cが使用
される。成分Cは、それと同様な他のものと、基質の官能基と、またはポリマー
成分Aの官能基と反応できる少なくとも一つの他の官能基を有する、少なくとも
単官能α,β−エチレン性不飽和化合物である。少なくとも0.05%,好まし
くは少なくとも0.1%の成分CがBの重量に関して添加される。成分Cは、グ
リシジル(メタ)アクリレート、ビニルトリアルコキシシラン、アクリルシラン
、(メタ)アクリルアミド誘導体、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、
ヒドロキシアルキルビニルエーテル、ポリオキシアルキレン(メタ)アクリレー
ト、ポリオキシアルキレンビニルエーテル、および/または他の化合物の中から
、好ましくはビニルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルメタクリ
レート、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリ
ルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリ
ルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート
、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロ
キシプロピルメタクリレート、ポリエチレンオキサイドモノ(メタ)アクリレー
ト、ポリプロピレンオキサイドモノ(メタ)アクリレ
ート、ポリエチレンオキサイド(モノ)ビニルエーテル、ポリプロピレンオキサ
イドモノビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリアリル
ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンジアクリレート、ジアリルトリ
メチロールプロパン、およびペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ま
たはイソシアネート官能を有するα,β−エチレン性不飽和化合物、例えばメタ
クリロイルイソシアネート、または(メタ)アクリロイルクロライドから選ばれ
る。
ブタジエンおよび置換ブタジエン、アリルアクリレート、ジ−,トリおよびテ
トラアクリレートおよびジビニルベンゼンのような多官能エチレン性不飽和化合
物も成分Cとして使用できる。
織物材料のための水蒸気透過性撥水性コーティングとして使用するためにはポ
リマー成分Bの親水性の程度が重要である。成分Bの親水性を望ましい態様で調
節するため、コモノマーから誘導される親水性成分Dが組み入れられる。このた
め既に前に述べたコモノマーを考慮することができ、その中でアニオン性の親水
化成分である(メタ)アクリル酸、フマル酸、ビニルスルホン酸およびビニルリ
ン酸のアルカリ金属塩が好ましい。アクリル酸およびフマル酸の使用は水相中で
のポリウレタンプレポリマーのより容易な乳化能力と、そしてこれらプレポリマ
ーの黄変への減少した傾向をもたらす。
非イオン性または非イオン源性親水化コモノマーは置換ホスホノメチル(メタ
)アクリルアミド、例えばN−(ジメチルホスホノメチル)アクリルアミドおよ
びN−(ジメチルホスホノメチル)メタクリルアミドである。置換ホスホノメチ
ル酸エステルの添加も得られるコーティングの黄変に対する安定性を改良するた
めに有利であ
る。
好適な親水化コモノマーは、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたはN
−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミドのような、成分Cとしてポリマーを
架橋するためにも役立つエチレン性不飽和化合物のヒドロキシアルキル誘導体で
ある。
親水化コモノマーは、ポリマー成分Bの全重量に関し、一般に0.1〜15w
t%,好ましくは1〜8wt%の量で使用される。
ポリマー成分Aのためのプレポリマーは当業者には既知の方法で、例えば米国
特許4,318,833に記載されている方法に従って製造される。このためイ
ソシアネート成分は適当な溶媒中でポリオール成分と、最終粘度0.5〜50P
as,好ましくは0.5〜20Pas,そして特に1〜10Pasまで、そして
NCO含量0.1〜3%,好ましくは0.5〜1.5%(DIN53185によ
って測定)に40〜90℃の温度において1〜10時間反応させられる。
得られたポリマー成分用プレポリマーは、次に剪断力のものでそして乳化剤の
存在下鎖延長および/または架橋のため水相中へ導入される。
ポリマー成分Aの鎖延長および/または架橋は、水と、必要により水で活性化
できる少なくとも2ケ所でイソシアネートと反応性の他の化合物、特にアンモニ
ア、ヒドラジン、およびN,N’−ヒドラジン誘導体、ジアミン、オリゴマー化
したエチレンイミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ビスおよび
トリスオキサゾリン、ケチミン、ジおよび/またはポリヒドロキシル化合物の存
在下で製造される。次に所望により溶剤が除去される。
ポリマー成分Bのためのエチレン性不飽和化合物と、そして成分CおよびDは
、ポリマー成分Aの鎖延長および/または架橋の前または後に添加することがで
きる。
好ましい具体例によると、ポリマー成分Aの溶液中一定したNCO価へ反応さ
せた後、溶剤は精留カラムによって溶剤を分離することによってエチレン性不飽
和化合物によって置換される。
水相中のポリマー成分Aの鎖延長および/または架橋は、使用中黄変する系を
生ずる鎖延長剤の添加なしで便利につくられる。
ポリマー成分Aの鎖延長および/または架橋は、少なくとも1種の置換または
未置換モノ、ジ−またはポリカルボン酸、その塩およびまたは無水物、ラクタム
またはラクトンのような環状化合物、特にギ酸、酢酸、プロピオン酸、クロトン
酸、アクリル酸、メタクリル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、
無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アジピン酸、クエン酸
、1,1,2,3−プロパンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラ
カルボン酸、グリシン、ε−アミノカプロラクタム、グリコール酸、3−または
4−ヒドロキシ酪酸、酒石酸、リンゴ酸、タルトロン酸、α−ヒドロキシ−γ−
ブチロラクトンの存在下でも生起する。
ポリマー成分Aの鎖延長および/または架橋は、タウリンのようなスルホン酸
およびホスホン酸および置換ホスホン酸およびスルホン酸のような他の酸の存在
下で実施することもできる。
水相中のポリマー成分Aの鎖延長および/または架橋は、一般に乳化剤の使用
によって実施される。非イオン性界面活性剤が水相中のプレポリマーの分散のた
めの乳化剤として適していることが証明
された。適当な乳化剤は、脂肪アルキル残基中に8〜15炭素を有する飽和また
は不飽和脂肪アルコールエトキシレート、アルキル残基中6〜13炭素と4〜1
00エチレンオキシド単位を有するアルキルフェノールエトキシレート、好まし
くはラウリルアルコールエトキシレート、イソトリデカノールエトキシレート、
および/または他の脂肪アルコールエトキシレートまたはイソ脂肪アルコールエ
トキシレート、それにノニルフェノールエトキシレートおよび/または3〜50
のエチレンオキシド単位を有する他のアルキルフェノールエトキシレートである
。
親水性および疎水性成分比1:7ないし7:1のそのような乳化剤の混合物、
例えばラウリルアルコール(4EO)1部およびラウリルアルコール(40EO
)3部の混合物も非常に適している。乳化剤はプレエマルションの0〜15重量
%,好ましくは0.8〜10重量%の総量で使用される。
ソルビタンのエステルおよびエトキシ化エステルも乳化剤として同様に好適で
ある。好ましくはTween20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレー
ト)およびSpan60(ソルビタンモノステアレート)が1:1ないし1:7
の比で使用される。特に好ましいのは疎水性乳化剤の3〜15%をオレイルサル
コシドで置換することである。
このようにして調製されたエマルションはα,β−エチレン性不飽和化合物、
B,CおよびDを含んでいる。これらは後のラジカル重合ステップのためのプレ
乳化液を代表し、そして100〜400nmの平均粒子寸法を有する。プレ乳化
液は室温において貯蔵に安定である。非水性成分の濃度は20〜55wt%,好
ましくは30
〜45wt%である。
プレポリマー溶液の乳化直後またはその後の時点で、プレ乳化液中のα,β−
エチレン性不飽和成分の重合が実施される。
乳化重合が40〜80℃の温度におけるラジカルまたはレドックス重合の既知
の原理に従って、好ましくは40〜65℃の温度におけるレドックス重合として
生起する。開始剤として、慣用の無機過酸化物、例えば過硫酸ナトリウム、カリ
ウムまたはアンモニウム、または有機過酸化物、例えばt−ブチルペルオキシピ
バレートが使用される。レドックス重合は無機過酸化物と既知の触媒、例えばロ
ンガリットC(HOCH2SO2Na)によって実施される。加えて過酸化水素の
使用も可能である。
本発明による分散液は、80〜1000nm,好ましくは100〜450nm
の平均粒子寸法によって特徴化される。エマルションの固形分含量は20〜50
%,好ましくは23〜40%,そして特に好ましくは27〜37%である。分散
液は慣用の添加剤、例えば消泡剤、乳化剤、フィラー、安定剤、光学的漂白剤お
よび増粘剤を含むことができる。
本発明による分散液は空気中で透明なフィルムをつくる。織物材料へ適用のた
め、第1のコートのため粘度≧10Pas、そして第2および以後のコートのた
め≧2Pasを有するペーストが慣用の増粘剤によって調製される。変性セルロ
ースおよびポリアクリレート、ポリウレタンおよびポリエチレンオキサイド系の
増粘剤が適切な増粘剤であることが証明された。
このように調製されたペーストは慣用の態様で、例えば空気またはローラース
プレッダーによって織物材料および他の基質上に、特
に不織材料、紙、皮革、合成皮革、天然もしくは合成ポリマー材料の多孔質箔ま
たはフィルム上に適用される。好ましくは数層が適用される。このため一層また
はそれ以上の層が発泡され、または発泡そして次にプレスされることができる。
オーバーレイ量は導入されるコーティング層の数に応じて10〜100g固形分
/m2,好ましくは11〜60g固形分/m2に達する。コーティングの水分を8
0〜120℃の温度において、コーティング中の相互侵入型網目が100〜20
0℃,好ましくは130〜190℃,特に150〜185℃における縮合によっ
て完成する前に除去することが適切である。
本発明によるコーティングは、慣用の家庭用洗剤を使用する40℃における機
械洗濯に対して安定であり、12g/m2以上のオーバーレイにおいて水柱50
0ないし>1500mm(ショッパー値)において安定であり、そしてDIN5
4101による水蒸気透過性275,好ましくは12〜29g/m2/ミリバー
ル/hrを有する密な膜を代表する。
この水蒸気透過性、ショッパー値およびオーバーレイは多数回のケミカルクリ
ーニングおよびまたは40℃の家庭内洗濯の結果少しもまたは僅かしか変化しな
い。
本発明によるコーティングは一またはそれ以上の層を含むことができる。一具
体例によれば、疎水性を与える剤、好ましくはフルオロカーボン樹脂が第1層と
して適用され、または疎水化剤で含浸した基質が使用される。他の具体例によれ
ば、疎水化剤は最後の層として適用されるか、またはコートされた基質が後から
疎水化剤の含浸にかけられる。
他の具体例によれば、軟かい必要ならば粘着性ポリマーフィルムが第1層また
は最初のいくつかの層に使用される。この層の硬度または粘着性格は酢酸ビニル
および/またはアルキレンオキサイド単位の分率によって制御することができる
。これら成分の割合が大きければ大きい程、得られるコーティングが硬くなる。
以下の実施例は、本発明を限定することなく本発明の水性分散液の組成、製造
および使用を例証する。
実施例1
A)プレポリマー溶液の製造
ブレード攪拌機、還流冷却器、温度計、および乾燥チューブを備えた乾燥窒素
でパージした250mL4首フラスコ中に、室温においてヘキサメチレンジイソ
シアネート9.6g,無水ポリエチレングリコール1000を25g、そしてO
H価60と平均官能数2.5を有するアジピン酸とジエチレングリコールと脂肪
族トリオールの無水脂肪族ポリエステル25gを加えた。ジブチルスズジラウレ
ート0.15gを添加した後、混合物をよく混合し、アセトン100gを溶剤と
して加えた。65℃へ加熱した後、これを5時間攪拌した。酢酸ビニル86.3
g,フマル酸ジエチル2g,およびアクリル酸ブチル25gを加え、アセトンを
1.5−mビクロ−カラムで残留量<50ppm(ガスクロマトグラフィー)に
なるまでゆっくり留去する。粘稠な泡を含む混濁した溶液を40℃へ冷却し、ノ
ニルフェノールエトキシレート(6EO)を加え、混合物をさらに10分間攪拌
する。
B)プレエマルションの製造
水380g,過硫酸アンモニウム0.5g,N−メチロールアク
リルアミド50%水溶液4.6g,酢酸4gおよびノニルフェノールエトキシレ
ート(30EO)8.8gをビーカー中で攪拌し、氷浴中で5℃に冷却する。そ
の中へプレポリマー溶液を導入し、慣用の高速ミキサーを用いて乳化する。平均
粒子寸法は290nmであり、プレエマルションの粘度は160cPsである。
C)重合
水110gと混合したプレエマルション36gを、還流冷却器、窒素導入管、
インペラー攪拌機、そして2個の滴下ロートを備えた1L重合容器に導入し、5
0℃へ加熱する。水25gに溶解したロンガリットC0.5gを第1の滴下ロー
トから4時間以内にゆっくり滴下する。初期の発熱反応の後、残りのプレエマル
ションを第2の滴下ロートから1時間以内に滴下する。最初冷却し後で加熱する
ことにより、温度を50±1℃のコンスタントに保つ。分散液の固形分含量28
.1%,平均粒子寸法75nm,最終分散液の粘度96.5cPs。
D)ペーストの製造、織物コーティング
ポリエチレンオキサイド系の慣用の増粘剤(ROTTAコーティング1227
)6gまたは2.5gをC)で製造した分散液100g中分散ディスクによって
攪拌する。ペーストの粘度は約20または2Pasになる。
目付量65g/m2のポリアミド材料を液含量25g/Lおよび吸水率70%
において慣用のフルオロカーボン樹脂(ROTTA GmbHのDIPOLIT
457)で予備含浸し、120℃/90秒で乾燥する。
張力下の材料に空気スプレッダーによって2種類のペーストのコ
ーティングを施し、各コーティングの後100℃で中間乾燥し、縮合を160℃
/3分で行う。
平滑な柔軟なコーティングは、慣用の洗剤による40℃の機械洗濯5回の前お
よび後でそれぞれさ980mmおよび500mmの水柱を有する。DIN541
01による水蒸気透過性は塗布量14.5g/m2において16.0および12
.3g/m2/ミリバール/hrである。
実施例2
実施例1と同様に、酢酸ビニル72g,ブチルアクリレート20gおよびアク
リル酸0.5gの添加後プレポリマーを製造した後、アセトンを留去する。開始
剤/触媒の量を過硫酸アンモニウム0.4gおよびロンガリットC0.2gに減
らす。
比較的剛直なコーティングは洗濯前>1000mmの水柱と水蒸気透過性17
g/m2/ミリバール/hrを有し、40℃における5回の機械洗濯後水柱70
0mmと水蒸気透過性12.5g/m2/ミリバール/hrを有する。
実施例3
実施例1と同様に、酢酸ビニル72g,ブチルアクリレート20g,ジエチル
フマレート2gおよびアクリル酸0.5gの添加後プレポリマーを製造した後、
アセトンを留去する。開始剤/触媒の量は過硫酸アンモニウム0.4gおよびロ
ンガリットC0.2へ減らす。
コーティングは洗濯前水柱>1000と水蒸気透過性19g/m2/ミリバー
ル/hrを有し、40℃における5回の機械洗濯後水柱700mmと水蒸気透過
性15.5g/m2/ミリバール/hrを有
する。
実施例4
実施例1と同様に、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールそ
れぞれ68.6g,分子量3000の両末端プロピルアルコール基のポリジメチ
ルシロキサン17.8g,ヘキサメチレンジイソシアネート40g,酢酸ビニル
270g,ブチルアクリレート76.8g,ジブチルスズジラウレート0.4g
,乳化剤3.4gまたは14.8g,水1270g,酢酸11.8g,N−メチ
ロールアクリルアミド15.3g,過硫酸アンモニウム1.2g,および水8m
Lに溶解したロンガリットC0.6gを用いる。
分散液固形分含量30.8%,平均粒子寸法171nm,最終分散液の粘度3
9cPs,洗濯前水柱≧1000mmおよび水蒸気透過性17.0g/m2/ミ
リバール/hr、5回機械洗濯後水柱605mmおよび水蒸気透過性12.4g
/m2/ミリバール/hr
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年7月7日
【補正内容】
請求の範囲
1.ポリマー成分AおよびBの相互侵入型または半相互侵入型網目の粒子を含ん
でいる水性ポリマー分散液であって、
ポリマー成分Aは、脂肪族ポリイソシアネートとポリオキシエチレン単位と
、そして必要ならばポリオキシプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、
ポリカプロラクトン、ポリシロキサン、ポリブタジエン、および/またはポリア
ミド単位と、そして必要により尿素化合物から得られた単位を有する架橋または
分技ポリウレタンであり、かつ架橋ポリウレタンの全質量に対するポリオキシエ
チレン単位の質量分率が40〜90%であり、
ポリマー成分Bは、少なくとも1種のビニルC1−C18カルボン酸エステル
、またはそれと少なくとも1種の(メタ)アクリル酸C1−C18アルキルエステ
ルおよび/または少なくとも1種の他のビニル化合物との混合物の線状、分枝状
または架橋ポリマーであり、該ポリマー成分Bは、成分Bの重量の少なくとも0
.05%の、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ビニルトリ
アルコキシシラン、アクリルシラン、および/またはアクリルアミドもしくはメ
タクリルアミドの誘導体から選ばれた少なくとも1種の架橋成分Cと、そして成
分Bの重量の少なくとも0.03%の、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、
ビニルホスホン酸、ビニルスルホン酸、N−(ジメチルホスホノメチル)(メタ
)アクリルアミド、N−(ジエチルホスホノメチル)(メタ)アクリルアミド、
ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエ
チルメタクリレート、ヒ
ドロキシプロピルアクリレート、およびヒドロキシプロピルメタクリレートから
選ばれた少なくとも1種の親水化成分Dから得られた単位を含んでいる
ことを特徴とする分散液。
2.成分Aは、少なくとも1種のポリイソシアネートを、全ヒドロキシル官能数
n>2とヒドロキシル価11〜280を有する少なくとも1種のポリオールおよ
び数平均分子量400〜10,000を有するエチレンオキサイドのホモポリマ
ーまたはエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのコポリマーをもってイ
ソシアネートプレポリマーへ変換し、そして得られたプレポリマーを鎖延長およ
び/または架橋することによって得られる請求項1の分散液。
3.ポリイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキ
サメチレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシレンイソシアネート
)、および/またはイソホロンジイソシアネートである請求項1または2の分散
液。
4.ポリイソシアネートが、水または酸水素原子に反応性のイソシアネート、特
にマロン酸エステル、重亜硫酸塩、ラクタムおよびケトオキシムの付加物である
請求項1ないし3のいずれかの分散液。
5.ポリウレタンプレポリマーは、当初NCO/OH比1.05〜1.95,好
ましくは1.05〜1.75において調製される請求項2ないし4のいずれかの
分散液。
6.ポリウレタンの鎖延長および/または架橋は、水と、必要により水で活性化
されイソシアネートに関し少なくとも二重に反応す
る他の化合物、特にアンモニア、ヒドラジン、N,N’−ヒドラジン誘導体、ジ
アミン、オリゴマー化エチレンイミン、モノ−およびジエタノールアミン、ビス
−およびトリスオキサゾリン、ケチミン、ジ−およびポリヒドロキシル化合物の
存在下で実施される請求項2ないし5のいずれかの分散液。
7.鎖延長および/または架橋は、少なくとも1種の置換または未置換モノ−,
ジ−またはポリカルボン酸、それらの酸および/またはラクタムまたはラクトン
のような環状化合物、特にギ酸、酢酸、プロピオン酸、クロトン酸、アクリル酸
、メタクリル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、無水マレイン酸
、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アジピン酸、クエン酸、1,1,2,
3−プロパンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、グ
リシン、ε−アミノカプロン酸、ε−アミノカプロラクタム、グリコール酸、3
−または4−ヒドロキシ酪酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸、α−ヒドロキ
シ−γ−ブチロラクトン、α−ヒドロキシメチル−γ−ブチロラクトンの存在下
で行われる請求項2ないし6のいずれかの分散液。
8.ポリマー成分Bは、酢酸ビニルとエチルヘキシルアクリレートとの混合物ま
たは酢酸ビニルとブチルアクリレートと必要に応じ他のモノ−またはジエチレン
性不飽和化合物との混合物の酢酸ビニル単位を含み、酢酸ビニルを50〜99重
量%含んでいる請求項1ないし7のいずれかの分散液。
9.架橋成分Cは、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ト
リメトキシシリルプロピルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N
−メチロールメタクリルアミド、N
−メトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド、N
−ブトキシメチルアクリルアミド、そして特に好ましくはN−メチロールアクリ
ルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、およびビニルトリメトキシシラン
から選ばれる請求項1ないし8のいずれかの分散液。
10.成分B+C+Dの重量分率は、A,B,CおよびDの全量の20〜80重量
%である請求項1ないし9のいずれかの分散液。
11.乳化剤、フィラー、艷消剤、安定剤、光学的増白剤、増粘剤および/または
疎水化剤を含んでいる請求項1ないし10のいずれかの分散液。
12.固形分含量10〜60重量%を有する請求項1ないし11のいずれかの分散
液。
13.特に織物材料のために一層または二層,好ましくは二層、三層または四層よ
りなる水蒸気透過性および撥水性コーティングを製造するための請求項1ないし
12のいずれかの分散液の使用。
14.請求項1ないし13のいずれかの分散液を成形した表面材料に適用し、コー
トした材料を100〜200℃の温度で処理して得られるコーティングした成形
表面繊維材料。
15.基質が織物材料、不織材料、紙、皮革、合成皮革、多孔質箔、または天然も
しくは合成ポリマー材料のフィルムである請求項14のコーティングした材料。
16.ポリマー分散液から得られた一以上の層を有する請求項14または15のコ
ーティングした材料。
17.疎水化剤好ましくはフルオロカーボン樹脂が最初の層として適用されるか、
疎水化剤で予備含浸した材料が使用されるか、疎水
化剤好ましくはフルオロカーボン樹脂が最終層として適用されるか、またはコー
ティングした材料が後から疎水化剤で含浸される請求項14または15のコーテ
ィングした材料。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C09D 133/06 PGG 8619−4J C09D 133/06 PGG
169/00 PLP 8933−4J 169/00 PLP
175/00 PHX 8620−4J 175/00 PHX
D06M 15/333 7633−3B D06M 15/333
15/564 7633−3B 15/564
D06N 3/14 7722−4F D06N 3/14
D21H 17/46 7633−3B D21H 3/48