【発明の詳細な説明】
ブロム化ビスイミド類の高固形分製造法
発明の背景
本発明は、一般的に言えば、有用な難燃剤であるN,N′−ビス−(テトラブ
ロモフタルイミド)又はN,N′−アルキレン−ビス−(テトラブロモフタルイ
ミド)組成物の製造法に関する。更に詳細には、本発明は固形粒子状材料のため
のミキサー/ドライヤーとして慣用的に知られ且つ使用されているものの中で、
高程度の固形分を用いて実施されるユニークな方法に関する。
難燃剤組成物は、厳正な基準に適合して産業界で受け入れられ且つ広範囲の用
途を獲得しなければならない性能薬品(performance chemi−
cals)である。難燃剤の要求事項の中で、色と熱安定性が非常に重要性を有
する。用途の大半について、難燃剤はできるだけ白いのが望ましい。これにより
、高品質の白いプラスチック製品を得ることができるが、最終製品の色が、難燃
剤の色と特定の顔料との組み合わせよりもむしろ使用される特定の顔料からもた
らされることをポリマーの加工業者は要求するので更に重要である。勿論、難燃
剤組成物はポリマーの配合の間の高温加工条件に耐えるように熱に対して安定で
あることが望ましい。
N,N′−ビス−(テトラブロモフタルイミド)及びN,N′−アルキレン−
ビス−(テトラブロモフタルイミド)組成物はポリマー材料に配合するための有
用な難燃剤として認められている。それ故、許容できる製品特性を維持しながら
それらの大規模で経済的な製造に高い関心がある。
発明の概要
本発明の目的は、高程度の反応固形分を使用するがそれでも高品質製品を得る
、N,N′−ビス−(テトラブロモフタルイミド)又はN,N′−アルキレン−
ビス−(テトラブロモフタルイミド)組成物の製造法を提供することである。
本発明の別の目的は、高品質製品をなお維持させながら従来の公知の方法と比
較して工場生産性を増加させることのできるN,N′−ビス−(テトラブロモフ
タルイミド)又はN,N′−アルキレン−ビス−(テトラブロモフタルイミド)
組成物の製造法を提供することである。
本発明の別の目的は、大量トランスファー混合容器(例えば、ドライヤーとし
て慣用的に使用される装置のようなもの)に導入し、且つその同じ容器中で最初
から最終の乾燥製品まで操作できる、N,N′−ビス−(テトラブロモフタルイ
ミド)又はN,N′−アルキレン−ビス−(テトラブロモフタルイミド)組成物
の製造法を提供することである。
本発明のこれら及びその他の目的は、本発明の好適な実施態様により達成され
る。そのうちの一は、N,N′−ビス−(テトラブロモフタルイミド)又はN,
N′−アルキレン−ビス−(テトラブロモフタルイミド)組成物の高固形分製造
法である。本方法は、熱源と反応器内の粒状固形分を撹拌するのに有効な内部撹
拌機とを備えた反応器に、溶媒、無水テトラブロモフタル酸及び式H2N−R(n)
−NH2(式中、RはC1〜C10アルキレン基であり、nは0又は1である)のジ
アミンを装填することを含む。無水テトラブロモフタル酸、溶媒及びジアミンは
、約25重量%〜約75重量%の固形分を有する反応混合物をもたらす量で装填
する。この高固形分混合物を約100℃〜約200℃の温度に加熱し、実質的な
均質性を維持させるように効率的に撹拌しながら、無水テトラブロモフタル酸と
ジアミンとを反応させ、n=0のときはN,N′−ビス−(テトラブロモフタル
イミド)の優先的な生成物を、又はn=1のときはN,N′アルキレン−ビス−
(テトラブロモフタルイミド)の優先的な生成物を得るようにする。好適な態様
では、反応器中で無水テトラブロモフタル酸の溶媒のスラリーを調製し、少なく
とも約80℃の温度でこのスラリーにジアミンを添加し、そして少なくとも約1
20℃の温度で反応混合物を反応させ、少なくとも70%のN,N′−エチレン
−ビス(テトラブロモフタルイミド)又はN,N′−エチレン−ビス(テトラブ
ロモフタルイミド)への変換率を達成させることにより本方法を達成する。
本発明の別の好適な実施態様は、乾燥したN,N′−ビス−(テトラブロモフ
タルイミド)又はN,N'−アルキレン−ビス−(テトラブロモフタルイミド)
組成物の現場での製造方法を提供する。本方法は、熱源と反応器内の粒状固形分
を撹拌するのに有効な内部撹拌機を備えた反応器に、液−固含有反応混合物を入
れる。この反応混合物は、溶媒、無水テトラブロモフタル酸及び式H2N−R(n)
−NH2(式中、RはC1〜C10のアルキレン基であり、nは0又は1である)か
ら形成するか、あるいはそれらの予備反応させた混合物である。次いで、この反
応混合物を、実質的な均質性を維持させるのに有効な撹拌を行いながら、約10
0℃〜約200℃の温度で加熱していずれの未反応無水テトラブロモフタル酸及
びジアミンをも反応させ、n=0のときはN,N′−ビス−(テトラブロモフタ
ルイミド)生成物を又はn=1のときはN,N′−アルキレン−ビス−(テトラ
ブロモフタルイミド)生成物を得るようにする。反応混合物を継続して反応器内
で加熱及び撹拌を継続させ、溶媒を除去し、n=0のときはN,N′−ビス−(
テトラブロモフタルイミド)の、又はn=1のときはN,N′−アルキレン−ビ
ス−(テトラブロモフタルイミド)の優先的な乾燥粒状生成物を得る。
本発明の追加の目的、特徴及び利点は以下の記述より明らかになるであろう。
好適な実施態様の記述
本発明の原理の理解を促進させる目的のために、ここで一定の実施態様に言及
し、この実施態様を記載するために特定の用語を使用する。しかしながら、それ
により本発明の範囲を限定するものではなく、本発明に関連する技術の熟達者が
通常なすような、本明細書中で記載した本発明の原理の変更、更なる改良及び応
用が含まれていることを了解すべきである。
上述したように、本発明の特徴は、N,N′−ビス−(テトラブロモフタルイ
ミド)又はN,N′−アルキレン−ビス−(テトラブロモフタルイミド)生成物
(以下、「ビスイミド生成物」とも称する)の高固形分製造法である。このビス
イミド生成物は、無水テトラブロモフタル酸と式H2N−R(n)−NH2(式中、
RはC1〜約C10のアルキレン基であり、nは0又は1である。)のジアミンと
の反応により製造する。
本発明の方法に使用するのに適している無水テトラブロモフタル酸(“TBP
A”)は、例えば、グレート・レークス・ケミカル・コーポレーション(Wes
t Lafayette,Indiana,USA)から市販されて
いる。TBPAは微粉砕体または非微粉砕体のいずれでも使用できる。更に、非
水法に使用しようとする場合、TBPAの酸価は、不純物(例えば、合成に使用
されるジアミンの塩に又は発生する中間体の副反応に関連することがある不純物
)の形成を防止するために約0.2mg/g未満であることが望ましい。
本反応に使用するのに適しているジアミンは、市販供給源より又は当業界で公
知の製造法により容易に入手できる。代表的な適しているジアミンには、ヒドラ
ジン(例えば、ヒドラジン水和物)、ジアミノメタン、1,2−ジアミノエタン
(“エチレンジアミン”又は“EDA”)、1,3−ジアミノプロパン、1,4
−ジアミノブタン、1,5−ジアミノプロパン、1,6−ジアミノヘキサン、1
,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン
及び1,10−ジアミノデカン等がある。分枝したジアミノアルカン類も使用で
きる。本発明の方法に使用するジアミンは99%以上の純度の定量値を示すもの
が好ましい。特に、水及び炭酸塩を含有しないジアミンが非常に好ましい。これ
らのジアミンのうち、EDA及びヒドラジンが好ましい。
選択した反応物のためのいずれの適当な溶媒をも使用できることが了解されよ
う。好適な溶媒は酸性のものであり、例えば、C1〜約C5のカルボン酸のような
ものであり、酸はそのままで又は水溶液(通常、少なくとも約3%水溶液)とし
て使用できる。反応媒体として又は反応媒体中に使用される酸も高純度のものが
好ましい。例えば、99%以上の純度の酸の使用が好ましく、このような純度の
ものは多くの供給源から市販品として入手できる。勿論、水性カルボン酸反応媒
体を使用するとき、好適なカルボン酸出発物質は酸中の水を不純物として排除す
る必要はない。反応媒体中にカルボン酸を使用するとき、相当する酸無水物が実
質的に含有しないのが好ましい。カルボン酸中の酸無水物が、最終製品のTGA
に悪影響を与える不純物の形成をもたらし得るからである。したがって、酸無水
物の低含量、例えば、約0.1%未満のカルボン酸を使用することが非常に有利
である。
カルボン酸は、反応媒体中で使用するとき、前回の合成の母液から再生し、次
の合成に再使用してもよい。回収した酸から水の除去を所望するとき、これは、
存在する水を除去するのに足る酸無水物、好適には相当する酸無水物(例えば、
酢酸を反応媒体として又は反応媒体中に使用するときは無水酢酸)で処理するこ
とにより達成できる。この酸無水物処理は約0〜150℃の温度で行うのが好ま
しい。更に、この処理後、母液を次の反応に使用する前に蒸留できる(これが必
要であると実証されてはいないが)。
本発明の重要な態様は、反応容器として粒状固形分用ドライヤー又はミキサー
として公知の慣用的な装置を使用できることの発見にある。前記反応容器中で、
非常に高い固形分反応を行うことができ、それでもなお高品質のビスイミド生成
物を得る。粒状固形分用ドライヤー又はミキサーは、勿論、熱源と内部機械撹拌
機を備えている。これらの撹拌機は、撹拌して実質的な均質性を与え固形粒状物
質にするのに効率的な配置をし且つ充分に粉末化させ、更に、この点で本発明の
高固形分反応塊の実質的な均質性を維持するのにも有効である。このような均質
性の維持は、ジアミン化合物のような反応物の濃度が偏ると生成物の熱安定性ば
かりでなく生成物の色にも影響を与える可能性のある有害な不純物の形成をもた
らし得るので、高品質のビスイミド生成物の製造を成功するのにきわめて重要で
ある。本発明の方法を行うのに使用できる代表的な装置は、加熱/冷却ジャケッ
ト付きハウジングを備えたものを含み、当該ハウジング中に反応物塊を混合する
ために作用する撹拌装置を設置した水平回転軸を設置している。この回転軸と撹
拌装置も内部で加熱/冷却され得る。このような装置には、パドルドライヤー、
リボンミキサーやZ−ブレードミキサーのような公知のものがある。追加の適当
な装置は、おおむね垂直に設置したスクリューを収容し(垂直スクリュードライ
ヤー若しくはミキサー)、それは材料を垂直に移動させ、混合して実質的な均質
性を達成するのに使用できる。市販されているパドルドライヤーの例は、CHE
MDRY−EO及びSTERIDRY−EOドライヤーであり、Cogeim
USA(Charlotte,North Carolina)から入手できる
。市販されている垂直スクリュードライヤーの例は、MIXODRY−EMVで
ありこれもCogeim USAから入手できる。これらの装置は、ガラス、ク
ロム等のような保護コーテイングで内部を被覆して生成物の汚染を防ぐ一助とす
ることができる。
特定の合成についての詳細に関して、まず、無水テトラブロモフタル酸の反応
溶媒中のスラリーを得るのが好ましい。このスラリーは、反応容器中で形成して
も、形成してから反応容器に入れてもよい。このスラリーを、撹拌下、おおむね
約80℃〜約160℃の間、好ましくは、約90℃〜約120℃の間の温度に予
熱する。この予熱は数時間又はそれ以上の時間できるが、しかし、約1時間まで
の期間が好ましい。その後、撹拌下でスラリーを約80℃〜約160℃、より好
ましくは、約90℃〜約120℃の温度に維持しながら、ジアミンを加える。ジ
アミンの添加を1〜2時間又はそれ以上にわたって実施できるが、しかし、好ま
しくは、約10分未満、より好ましくは約5分未満で行う。ジアミンの添加は、
望ましくは、窒素のような不活性ガスの圧力下で反応容器にジアミンを吹き込み
、迅速な添加を確実にし且つラインの膠着(hang−up)が起こらないよう
にすることにより行う。この点で、勿論、ジアミンの添加が、反応容器の圧力の
一瞬の増加がEDA添加系の頭部圧力又は使用する特定の操作装置の圧力限界を
超えないような方法で行わなければならないことは重要である。
了解されるように、ジアミンは、TBPAに関して、実質的に化学量論量(即
ち、実質的に1:2のモル比)で添加する。即ち、約1モルのEDAをスラリー
中のTBPAの毎2モルに対して加える。化学量論量の比からの変動が変色した
生成物をもたらす可能性があるので化学量論量の比を維持させることは重要であ
る。この理由のため、ジアミン対TBPAのモル比を1:1.9〜1:2.1の
範囲内に維持させるのが最も好ましい。
ジアミンの添加後、通常、約100℃〜約250℃、より好ましくは、約10
0℃〜約180℃の間の温度で反応を行う。反応は、好ましくは環状化したビス
イミド生成物に少なくとも約70%転換するまでその反応温度で継続させる。ビ
スイミド生成物への転換が実質的に完了、例えば、少なくとも90%、より好ま
しくは少なくとも95%完了するまで反応を継続するのが一層好ましい。環状化
ビスイミド生成物への転換は、例えば、熱重量分析(“TGA”)により水の発
生(アミド酸中間体が環状化すると当該水の発生が起こりビスイミド最終生成物
を形成する)を観察することにより決定できる。反応の圧力は、今までのところ
では、使用した反応温度における反応混合物の自己発生圧力であるか、又はジア
ミンの添加の間に使用される加圧窒素ガスのために僅かに高い。
反応後、反応混合物を約20℃〜約100℃の温度、より典型的には80℃〜
約100℃の温度に冷却し、固形分(好適な方法では、完了した反応混合物の約
25〜75%、より典型的には25〜50%含む)を、例えば、慣用的な遠心分
離により単離できる。次いで、単離した生成物を洗うことができる。単離した固
形ビスイミド組成物を、好ましくは高温で乾燥し、存在しうる全ての溶媒を除去
し、残りの環状化を完了させビスイミド生成物にする。乾燥と残りの環状化はい
ずれの温度でも行うことができるが、少なくとも一乾燥工程を好ましくは少なく
とも約175℃の温度、より典型的には少なくとも約200℃で行う。乾燥時間
は使用する特定の乾燥温度及び乾燥しようとする物質の品質のような多くの因子
に従って変動しうる。乾燥は、いずれにしても、残りの環状化を実質的に完了し
て主にビスイミド生成物を形成(これはTGAによりモニターできる)するのに
足る温度及び時間である。ビスイミド生成物の臭素含量は普通少なくとも約65
%であり、より普通には約65%〜約69%である。
ビスイミド生成物を乾燥操作中及び/又は乾燥操作後に、例えば、Wink−
worthプラウ・シエア型ミキサー中でみられるように粉砕できる。乾燥した
生成物を、次いで、好ましくは微粉砕し、約5ミクロン以下、より好ましくは約
2ミクロン以下の粒径を得る。
本発明の別の特徴は、液体反応から乾燥生成物までのビスイミドの製造を同じ
反応器で行うことができることにある。本方法を達成するために、完了した反応
混合物そのまま反応器から単離しない。代わりに、乾燥した粒状ビスイミド生成
物を得るまで、反応器中で撹拌と加熱を継続する(場合によっては真空下で)。
次いで、この生成物を反応器から除去することができ、更に、乾燥するか所望の
場合別の処理を行う。この「ワンポット(“ONE POT”)」法は、効率的
で非常に経済的な方法を与え、価値あるビスイミド生成物を生成する。
本発明のビスイミド生成物は、難燃剤として、実質的にいかなる天然又は人工
の可燃性材料にも配合できるが、通常、可燃性合成ポリマーに慣用の配合技術を
使用して配合しうる。例えば、オレフィンモノマーの架橋又は非−架橋ポリマー
、例えば、エチレン、プロピレン及びブチレンホモポリマー若しくはそれらとそ
の他の重合性モノマーとのコポリマー;スチレンモノマーのポリマー、例えば、
耐
衝撃性ポリスチレン及びスチレンコポリマー;ポリウレタン;ポリアミド;ポリ
イミド;ポリカーボネート;ポリエーテル;アクリル樹脂;ポリエステル、例え
ば、ポリ(エチレンテレフタレート)及びポリ(ブチレンテレフタレート);エ
ポキシ樹脂;アルキド樹脂;フエノール樹脂;エラストマー、例えば、ブタジエ
ン/スチレンコポリマー及びブタジエン/アクリロニトリルコポリマー;アクリ
ロニトリル、ブタジエン及びスチレンのターポリマー;天然ゴム;ブチルゴム;
ポリシロキサン;ウール;セルロース;ポリ塩化ビニル等にEBT生成物を配合
できる。
了解し得るように、可燃性材料に配合するビスイミド生成物の量は、例えば、
使用する特定の可燃性材料、意図する用途、存在するその他の添加剤等の多くの
因子により広く変動し得る。典型的には、系の総重量を基準に約1%〜50%の
間、より普通には系の総重量を基準に約5%〜30%の間の量でビスイミドを配
合し得る。
可燃性材料にその他の慣用的な添加剤も配合できることは了解し得る。例えば
、ビスイミド生成物をその他の難燃剤、例えば、第V族元素の酸化物、特に酸化
アンチモンと共に配合できる。追加の慣用的な添加剤には、酸化防止剤、静電防
止剤、着色剤、繊維強化剤、充填剤、発泡剤、触媒、熱安定剤、耐衝撃性改良剤
、滑剤、可塑剤、加工助剤、紫外線安定剤、架橋/硬化剤等がある。
本発明、その特徴及び利点の更なる認識並びに理解を促進するために、下記に
実施例を示す。これらの実施例は本発明の例証であって、限定するものではない
ことは了解されるであろう。本明細書に示すパーセントは別に特記しないかぎり
重量パーセントである。実施例中の色分析は、ASTM1313に準じた
Minolta Tricolorstimulus色計を用いて行った。
実施例 1
本実施例ではパドルドライヤーを使用した。このドライヤーは外側の加熱/冷
却ジヤケットを備えたハウジングを有する水平配置パドルドライヤーである。こ
のハウジングはその中を水平に延びる加熱した主軸、その上に加熱したパドルが
取り付けられ、効率的な熱伝達と生成物の排出を与える。熱媒体としてスチーム
又は熱油を使用でき、これらはジヤケット、軸及びパドルに供給される。軸のシ
ールは特殊なスタッフイングボックス又はメカニカルシールにより行う。撹拌機
は可逆性/変速スピードモーターに連結した歯車箱を有する。ジャケット付き防
塵フイルターを、機械振盪機または逆ジェットクリーニング装置と共に備えてい
る。これは、ドライヤーを真空乾燥操作を行うのに使用するとき、真空装置内に
いかなる微紛も運搬されるのを避けるために設置されている。
ドライヤーは真空下又は加圧下のいずれでも使用でき、典型的にはステンレス
スチール、ハステロイ(ニッケル系合金)又はガラス内張スチールから構成され
ている。
TBPA(500g)と酢酸(2リットル)をドライヤーに入れた。得られた
スラリーを92℃に撹拌加熱し、エチレンジアミン(32.3g)を2バールで
窒素を使用する加圧滴下ロートより3分間にわたって添加した。得られたスラリ
ーを加熱し135℃で18時間激しく撹拌した。生成物を濾過により単離(約8
0C)し、200℃の流動床ドライヤー上で約12時間乾燥させた。次の特性値
を有する白色生成物を得た。
1%重量損失 357℃
不純物レベル n/d
白色度指数 73.9
黄色度指数 4.4
実施例 2
TBPA(1000g)と酢酸(2リットル)をドライヤーに入れた。得られ
た混合物を92℃に加熱し、エチレンジアミン(64.8g)を実施例1と同様
の加圧窒素ロートより添加した。得られたスラリーを135℃で18時間撹拌し
加熱した。生成物を濾過により単離(約80C)し、200℃の流動床ドライヤ
ー上で約12時間乾燥させた。次の特性値を有する乾燥生成物を得た。
1%重量損失 323℃
不純物レベル 1.06%
白色度指数 68.5
黄色度指数 8.3
実施例 3
TBPA(1000g)と酢酸(2リットル)をドライヤーに入れた。得られ
た混合物を95℃に加熱し、エチレンジアミン(66.0g)を実施例1と同様
の加圧窒素ロートより添加した。得られたスラリーを135℃で18時間撹拌し
加熱した。生成物を濾過により単離(約80C)し、200℃の流動床ドライヤ
ー上で約12時間乾燥させた。次の特性値を有する乾燥生成物を得た。
1%重量損失 332℃
不純物レベル 0.76%
白色度指数 67.3
黄色度指数 7.5
実施例 4
TBPA(1000g)と酢酸(2リットル)をドライヤーに入れた。得られ
た混合物を95℃に加熱し、エチレンジアミン(67.5g)を実施例1と同様
の加圧窒素ロートより添加した。得られたスラリーを135℃で18時間撹拌し
加熱した。生成物を濾過により単離(約80C)し、200℃の流動床ドライヤ
ー上で約12時間乾燥させた。次の特性値を有する乾燥生成物を得た。
1%重量損失 390℃
不純物レベル n/d
白色度指数 60.7
黄色度指数 7.8
実施例 5
TBPA(1000g)と酢酸(2リットル)をドライヤーに入れた。得られ
た混合物を97℃に加熱し、エチレンジアミン(70.0g)を実施例1と同様
の加圧窒素ロートより添加した。得られたスラリーを135℃で18時間撹拌し
加熱した。生成物を濾過により単離(約80C)し、200℃の流動床ドライヤ
ー上で約12時間乾燥させた。次の特性値を有する乾燥生成物を得た。
1%重量損失 327℃
不純物レベル 1.24
白色度指数 54.6
黄色度指数 10.2
実施例 6
TBPA(500g)、水(60ミリリットル)及び酢酸(2リットル)をド
ライヤーに入れた。得られた混合物を92℃に加熱し、エチレンジアミン(70
.0g)を実施例1と同様の加圧窒素ロートより添加した。得られたスラリーを
135℃で18時間撹拌し加熱した。生成物を濾過により単離(約80C)し、
200℃の流動床ドライヤー上で約12時間乾燥させた。乾燥生成物は上述の実
施例に示したのと同様、良好なTGA、不純物レベル並びに白色度指数及び黄色
度指数を有した。
実施例 7
TBPA(1000g)、水(60ミリリットル)及び酢酸(2リットル)を
ドライヤーに入れた。得られた混合物を92℃に加熱し、エチレンジアミン(7
0.0g)を実施例1と同様の加圧窒素ロートより添加した。得られたスラリー
を135℃で18時間撹拌し加熱した。生成物を濾過により単離(約80C)し
、200℃の流動床ドライヤー上で約12時間乾燥させた。乾燥生成物は上述の
実施例に示したのと同様、良好なTGA、不純物レベル並びに白色度指数及び黄
色度指数を有した。
実施例 8
TBPA(500g)及び酢酸(2リットル)をドライヤーに入れた。得られ
た混合物を92℃に加熱し、エチレンジアミン(32.3g)を実施例1と同様
の加圧窒素ロートより添加した。得られたスラリーを135℃で18時間撹拌し
加熱した。溶媒を除去し、生成物をその場で200℃で乾燥させた。得られた生
成物は良好なTGA、不純物レベル並びに白色度指数及び黄色度指数を有した。
実施例 9
TBPA(1000g)及び酢酸(2リットル)をドライヤーに入れた。得ら
れた混合物を92℃に加熱し、エチレンジアミン(64.8g)を実施例1と同
様の加圧窒素ロートより添加した。得られたスラリーを135℃で18時間撹拌
し加熱した。溶媒を除去し、生成物をその場で200℃で乾燥させた。得られた
生成物は良好なTGA、不純物レベル並びに白色度指数及び黄色度指数を有した
。
本発明をいくらか詳細に説明をしたが、これは本発明の例証として考えるべき
であることは了解されよう。そして、本発明の精神内に入る全ての変更又は修正
は本発明の一部であることを意図している。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年5月15日
【補正内容】
(請求の範囲第1項、第2項、第12項、第23項、第31項及び第32項を補
正、その他の請求項は変更なし。)
英文請求の範囲第18頁(翻訳文第13頁第1行〜第23行)
請求の範囲
1.N,N′−ビス−(テトラブロモフタルイミド)又はN,N′−
アルキレン−ビス−(テトラブロモフタルイミド)組成物の高固形分製造法であ
って、
熱源と反応器内の乾燥した粒状固形分を撹拌するのに有効な内部撹拌機とを備
えた反応器に、溶媒、無水テトラブロモフタル酸及び式H2N−R(n)−NH2(
式中、RはC1〜C10アルキレン基であり、nは0又は1である。)のジアミン
を装填し、当該装填が約25重量%〜約75重量%の固形分を有する反応混合物
を与えるのに足る量であり;
反応混合物を実質的に均質性が維持されるように効率的に撹拌しながら約10
0℃〜約200℃で加熱及び反応をさせ、n=0の場合は主にN,N′−ビス−
(テトラブロモフタルイミド)の固形生成物、又はn=1の場合は主にN,N′
−アルキレン−ビス−(テトラブロモフタルイミド)の固形生成物を25重量%
〜75重量%含有する反応完了混合物を生じさせるようにする、前記方法。
2.反応器中で無水テトラブロモフタル酸と酢酸又は水性酢酸とのス
ラリーを形成し;
ジアミンをスラリーに、n=1の場合は、少なくとも約80℃の温度で添加し
て反応混合物を形成し;
この反応混合物を少なくとも約120℃の温度で反応させて少なくとも70%
のN,N′−アルキレン−ビス−(テトラブロモフタルイミド)沈殿物への転換
率を達成し;そして
この沈殿物を反応器中でその場で乾燥させてN,N′−アルキレン−ビス−(
テトラブロモフタルイミド)から主に構成される粒状生成物を得る、請求の範囲
第1項記載の方法。
英文請求の範囲第20頁(翻訳文第14頁第13行〜第15頁第9行)
12.N,N′−ビス−(テトラブロモフタルイミド)又はN,N′
−アルキレン−ビス−(テトラブロモフタルイミド)の乾燥組成物の製造法であ
って、
熱源と反応器内の乾燥した粒状固形分を撹拌するのに有効な内部撹拌機とを備
えた反応器に、(i)溶媒、無水テトラブロモフタル酸及び式H2N−R(n)−N
H2(式中、RはC1〜C10アルキレン基であり、nは0又は1である。)のジア
ミン又は(ii)それらの予備反応させた混合物を含む反応混合物を装填し;
装填した反応混合物を、実質的に均質性が維持されるように効率的に撹拌しな
がら、約100℃〜約200℃で加熱していずれの未反応無水テトラブロモフタ
ル及びジアミンをも反応させ、n=0の場合はN,N′−ビス−(テトラブロモ
フタルイミド)生成物を、又はn=1の場合はN,N′−アルキレン−ビス−(
テトラブロモフタルイミド)生成物を生じさせるようにし;
反応器内でその場で生成物を更に加熱及び撹拌をして溶媒を除去し、n=0の
場合は主にN,N′−ビス−(テトラブロモフタルイミド)の乾燥した粒状生成
物を、又はn=1の場合は主にN,N′−アルキレン−ビス−(テトラブロモフ
タルイミド)の乾燥した粒状生成物を得る、前記方法。
13.反応器中で無水テトラブロモフタル酸と酢酸又は水性酢酸との
スラリーを形成し;
ジアミンをスラリーに、n=1の場合、少なくとも約80℃の温度で添加して
反応混合物を形成し;
この反応混合物を少なくとも約120℃の温度で反応させて少なくとも70%
のN,N′−アルキレン−ビス−(テトラブロモフタルイミド)沈殿物への転換
率を達成し;そして
この沈殿物を乾燥させてN,N′−アルキレン−ビス−(テトラブロモフタル
イミド)から主に構成される粒状生成物を得る各工程を含む、請求の範囲第12
項記載の方法。
英文請求の範囲第22頁〜第24頁(翻訳文第16頁〜第18頁)
23.N,N′−ビス−(テトラブロモフタルイミド)又はN,N′
−アルキレン−ビス−(テトラブロモフタルイミド)組成物の製造法であって、
ハウジング、当該ハウジング内に収容した撹拌部材を取り付けた軸、及び反応
器内の乾燥した粒状固形分を撹拌するのに足る力で上記軸の回転を行うことので
きる手段を有する反応器に反応混合物を装填し、当該反応器が反応器内の物質に
熱を伝導するのに有効な熱源をも備えており;
前記反応混合物は約25重量%〜約75重量%の固形分を含有し且つ溶媒、無
水テトラブロモフタル酸及び式H2N−R(n)−NH2(式中、RはC1〜C10アル
キレン基であり、nは0又は1である。)のジアミンを含み;
装填した反応混合物を約100℃〜約200℃で加熱及び反応させ;
前記加熱及び反応の間、前記撹拌部材を取り付けた軸を回転させることにより
前記反応混合物を撹拌し、反応混合物の実質的な均質性を維持し、n=0の場合
は主にN,N′−ビス−(テトラブロモフタルイミド)の固形生成物を、又はn
=1の場合は主にN,N′−アルキレン−ビス−(テトラブロモフタルイミド)
の固形生成物を約25重量%〜75重量%含有する反応完了混合物生じさせるよ
うにする、前記方法。
24.前記反応器の軸を実質的に水平に配置する請求の範囲第23項
記載の方法。
25.無水テトラブロモフタル酸及びジアミンを約2:1のモル比で
装填する請求の範囲第23項記載の方法。
26.反応器に無水テトラブロモフタル酸及び溶媒を最初装填してス
ラリーを形成し、次いで、このスラリーにジアミンを装填して反応混合物を形成
する請求の範囲第25項記載の方法。
27.溶媒がC1〜C5カルボン酸を含有し、n=1である請求の範囲
第26項記載の方法。
28.溶媒がそのままの又は水性のプロピオン酸若しくは酢酸であり
、ジアミンがエチレンジアミンである請求の範囲第27項記載の方法。
29.溶媒がそのままの又は水性の酢酸である請求の範囲第28項記
載の方法。
30.溶媒が酢酸そのものである請求の範囲29項記載の方法。
31.N,N′−ビス−(テトラブロモフタルイミド)又はN,N′
−アルキレン−ビス−(テトラブロモフタルイミド)組成物の製造法であって、
熱源と反応器内で乾燥した粒状固形分を撹拌するのに有効な内部撹拌機とを備
えた反応器内で無水テトラブロモフタル酸と酢酸又は水性酢酸とのスラリーを調
製し;
式H2N−R(n)−NH2(式中、RはC1〜C10アルキレン基であり、nは0又
は1である。)のジアミンを少なくとも約80℃の温度でスラリーに加えて反応
混合物を形成し;
反応混合物を反応させて少なくとも70%のN,N′−ビス−(テトラブロモ
フタルイミド)沈殿物への転換率を達成させ且つ25重量%〜75重量%の固形
分を含有する反応完了混合物を与え;
当該沈殿物を乾燥させて主にN,N′−アルキレン−ビス−(テトラブロモフ
タルイミド)又はN,N′−ビス−(テトラブロモフタルイミド)から主に構成
される粒状生成物を得る、前記方法。
32.N,N′−ビス−(テトラブロモフタルイミド)又はN,N′
−アルキレン−ビス−(テトラブロモフタルイミド)組成物の製造法であって、
熱源と反応器内で乾燥した粒状固形分を撹拌するのに有効な内部撹拌機とを備
えた反応器内で無水テトラブロモフタル酸と酸性溶媒とのスラリーを調製し、こ
こで無水テトラブロモフタル酸が約0.2mg/g未満の酸価を有し;
式H2N−R(n)−NH2(式中、RはC1〜C10アルキレン基であり、nは0又
は1である。)のジアミンを少なくとも約80℃の温度でスラリーに加えて反応
混合物を形成し;
反応混合物を反応させて少なくとも70%のN,N′−アルキレン−ビス−(
テトラブロモフタルイミド)又はN,N′−ビス−(テトラブロモフタルイミド
)沈殿物への転換率を達成させ且つ25重量%〜75重量%の固形分を含有する
反応完了混合物を与え;
当該沈殿物を乾燥させて主にN,N′−アルキレン−ビス−(テトラブロモフ
タルイミド)又はN,N′−ビス−(テトラブロモフタルイミド)から主に構成
される粒状生成物を得る、前記方法。
33.n=1であり、生成物が主にN,N′−アルキレン−ビス−(
テトラブロモフタルイミド)から構成される請求の範囲第31項又は32項記載
の方法。
34.n=0であり、生成物が主にN,N′−ビス−(テトラブロモ
フタルイミド)から構成される請求の範囲第31項又は32項記載の方法。
35.溶媒が水性酸性溶媒である請求の範囲第33項記載の方法。
36.溶媒が水性酸性溶媒である請求の範囲第34項記載の方法。
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