JPH08509267A - 超合金物体からのイオウ除去による超合金物体の耐酸化性向上方法 - Google Patents

超合金物体からのイオウ除去による超合金物体の耐酸化性向上方法

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JPH08509267A JP6523469A JP52346994A JPH08509267A JP H08509267 A JPH08509267 A JP H08509267A JP 6523469 A JP6523469 A JP 6523469A JP 52346994 A JP52346994 A JP 52346994A JP H08509267 A JPH08509267 A JP H08509267A
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Abstract

(57)【要約】 より耐酸化性に優れた超合金物体は、異種化学種の存在下に上記異種化学種が上記物体上に存在するいかなる酸化被膜とも反応してこれを改質するような温度において、上記物体を熱処理するプロセスによって製造される。上記熱処理は、上記物体のγソルバス温度より高く、かつ上記物体の溶融開始温度未満で施される。あるいは上記熱処理は上記物体の溶融開始温度と上記物体の溶融開始温度から約150℃低い温度で規定される範囲内の温度で施すこともできる。上記温度において上記異種化学種は、上記物体表面上の酸化膜と反応してこれを改質する。イオウはその後、上記改質された被膜を通して拡散し、より耐酸化性に優れた組成物が製造される。

Description

【発明の詳細な説明】 超合金物体からのイオウ除去による超合金物体の 耐酸化性向上方法 本発明は、1991年11月25日に全てを出願した出願07/796,98 1;07/797,664;及び07/797,657号の一部係属出願である 。 技術分野 本発明は超合金物体の耐酸化性を向上するための方法に関するものであり、よ り詳細には、本発明はニッケルベース超合金物体からイオウを除去することによ ってその耐酸化性を向上させるための方法に関するものである。 発明の背景 超合金はガスタービンエンジン、航空機用エンジン、及びその他のエンジンや 高温、高応力水準下で運転される機械において広く使用されている。上記超合金 から形成される鋳造物は、少なくとも2つの重要な特性を具備していなければな らない。すなわち、高温度下での機械的強度と耐酸化性である。多くの場合には 一方の特性を向上させるべく最適化すると、不都合なことに他の特性が失われる こととなる。最も高強度の超合金は最高の耐酸化性を有しているというわけでは なく、耐酸化性を有する超合金は、そのほとんどのも のが最高強度水準にはない。 上記超合金分野の研究者等は、極めて良好な強度と耐酸化性とを有する可能性 のある組成を決定するべく努力してきた。上記組成物を与える鋳造物組成は、イ ットリウムやハフニウム等の酸素活性を有する元素の他、アルミニウムやチタン を厳密な量で有してなるものである。しかしながら、これまでの研究では、上記 鋳造物中に酸素活性を有する元素を再現性良く必要量保持させたままで、コスト に見合う手段を見出すことに完全に成功したというわけではない。 酸素活性を有する元素のイットリウムは従来から使用され、被膜の耐酸化性や より最近では合金の酸化挙動が改善されているが、その耐酸化性を向上させる機 構については十分に解明されていたわけではない。最近になってイットリウムは 不純物として上記鋳造物中に必ず混入してしまうイオウを固定するという特別の 効果を有していることが研究者によって解明された。遊離又は移動可能なイオウ は、高温で上記物体の表面に形成される保護酸化膜の接着力を低下させ、物体の 耐酸化性を劣化させるのである。デクレッセント(DeCrescente)等 による米国特許第4,895,201号等に記載の超合金鋳造物のイオウ濃度制 御手段は、不都合なことにコスト的に高く、工業的に実施することは困難であっ た。 従って、超合金分野においては、高強度低イオウ濃度の物体が望まれていると ともに、その製造方法が望まれていた。 発明の開示 本発明は、超合金物体から経済的にかつ効果的にイオウを除去することができ る熱処理プロセスを見出したことによりなされたものである。この熱処理プロセ スによって上記物体の耐酸化性は著しく向上できる。本発明によれば超合金物体 は、その耐酸化性がさらに向上されることになるのである。そのプロセスは、M gO等の異種化学種の存在下で、上記物体表面に存在するいかなる酸化物被膜と であっても上記異種化学種が反応し、これを改質するような温度で上記物体を熱 処理することからなる。上記熱処理は、上記物体のγプライムソルバス(gam ma prime solvus)温度以上、上記物体の溶融開始温度未満で行 うことが最適である。また、上記熱処理は、上記物体の溶融開始温度と上記物体 の溶融開始温度から約150℃低い温度で規定される範囲内で行うこともできる 。 上記温度で上記異種化学種は、上記物体表面の酸化膜と反応し、これを改質す る。イオウはその後、上記改質膜を通過して拡散され耐酸化性の改善された組成 物が得られることになる。 本発明のその他の効果、特徴、及び実施例については図面及び最良の態様の記 載をもって説明を行う。 図面の簡単な説明 図は、重量変化を時間の関数として示すとともに、本発明によっ て処理した超合金物体が優秀なサイクル耐酸化性を有していることを示すもので ある。 発明の最良の実施態様 本発明は、耐酸化性を有する超合金物体を製造することを目的とする。本出願 で使用する用語、“超合金”とは通常の意味で使用され、高温環境下で使用する ために特に開発されるとともに、1,000°Fにおいて100ksi以上の強 度があるような合金類をいう。上記金属合金類の代表例としては、アルミニウム やチタンを含有するとともにクロムやタングステン及びタンタルといった別の超 硬硬度が得られる元素を有してなる、溶液熱処理(solution heat treatment)で強化されたニッケルベース超合金を挙げることができ る。上記合金は、好ましくない不純物であるイオウを5重量ppmより多く含有 しているのが通例である。上記ニッケルベース超合金としてはPWA1480( デュール(Duhl)等による米国特許第4,209,348号参照)、とPW A1484(デュール等による米国特許第4,719,080号参照)という2 種を挙げることができる。当業者に周知の他のニッケルベース超合金については 、ジョンワイリー&サンズ(John Wiley & Sons)により出版 されたシムス(Sims)等による成書、書名“超合金 II(Superal loys II)”(1987)を参照されたい。 本発明は、上記物体のイオウ含有量を約5ppm未満にまで低減 させることによって、ニッケルベース超合金の上記耐酸化性を改善するという効 果を有する。イオウは高温下で上記物体表面上に形成される酸化保護膜の接着性 を低下させることにより上記超合金の耐酸化性を劣化させる。従って、物体のイ オウ濃度を低下すれば上記酸化保護被膜の接着性が向上し、物体の耐酸化性が向 上できることになる。 上記酸化膜を通過するイオウの拡散は極めて遅いため、ニッケルべース超合金 から効果的にイオウを除くためには多くの場合、Al23である酸化膜を物体上 から処理間は除去しておくか、又は上記通常形成される酸化膜を改質して、イオ ウがより拡散しやすいようにする必要がある。本発明では、概ねイオウ濃度を約 3ppm未満、さらにはイオウを約1ppm未満とすることが好ましい。約5p pm未満のニッケルベース超合金物体は良好な耐酸化性を有する。約3ppm未 満のニッケルベース超合金物体は極めて良好な耐酸化性を有する。約1ppm未 満のニッケルベース超合金は更に優秀な耐酸化性を有する。上述のイオウ濃度は バキュームジェネレーター(Vacuum Generators)社のVG− 9000型グロー放電型質量分析計(GDMS)を使用するか又はLECO社製 のLECO CS−444−LSを用いた燃焼分析によって測定することができ る。また、上記以外の当業者に知られている方法も使用することができる。 本発明の方法は上記ニッケルベース基体を異種化学種、例えばM gOの存在下で上記物体表面に存在するいかなる酸化物被膜ともこの異種化学種 が反応し、これを改質するような温度で加熱するプロセスを有してなる。このプ ロセスによって上記物体から容易に上記イオウを拡散させることができる。拡散 理論では、20mil厚のニッケルベース超合金試料を1100℃で約25時間 処理すれば、上記イオウ含有量は5ppm以上から約0.5ppmにまで減少さ せることができると予測される。この場合にイオウ上記ニッケルベース超合金内 部での拡散係数を約6.8x10-9cm2/secとした。他の合金についても 、上記時間や温度を調節するこでほぼ同一のイオウ拡散速度を得ることができる 。 本明細書中で使用する用語“異種化学種”とは、上記イオウを上記物体からよ り迅速に拡散させることができるように上記酸化膜を改質できる様な元素や化合 物、及びそれらの混合物の一群をいう。通常異種化学種は、酸化膜が代表的なA l23である場合には次の種類に分類できる。 1.上記元素又は化合物が金属カチオンを有してなり、該カチオンはAl2 3粒界に偏析して、上記酸化膜を改質して本発明の所望の操作条件下でイオウ の拡散速度を増大させるもの。 2.上記元素又は、化合物は存在するいかなるAl23とも反応してAl2 3を含有するスピネル型等の化合物を形成するとともに、本発明の所望の操作 条件下でAl23よりも イオウの拡散速度を増大させることとなるもの。 3.上記元素又は化合物は本発明の運転条件下でAl23が少なくとも1モ ル%の溶解度を有するもの。 本発明において所望の操作条件は、約1,050℃から約1,370℃の範囲 であり、真空中であっても不活性ガス中(例えばアルゴンやヘリウムなど)であ っても、又は還元性の雰囲気中(例えば水素を含有するような)、あるいはそれ らを混合した(90%Ar、10%H等)雰囲気であっても良い。上記異種化学 種は、また上記運転条件下で約10-8barから10-3barの蒸気圧を有する 必要がある。上記蒸気圧を有する上記異種化学種は、上記物体の全面に蒸気層を 接触させることができることから好適である。 上記異種化学種としては、MgO,Fe23、Cr23、BaO、CaO、N iO、Li2O、Na2O、FeO、Ta25、Y23、Gd23、SiO2、Z rO2、Ga23、CoOを挙げることができる。また、Al23を通過するイ オウの拡散性を向上させるような効果を有する他の元素や化合物としては、例え ばAlN、Al43、Ni2Mg、NiMg2、Co2Mg、MgCl2、MgF2 、Fe等、やMgAl24及びMgZrAl26といったスピネル類を挙げるこ とができる。 本発明を実施する際には、異種化学種として種々の形態のものを 使用することができる。好適な供給源は固体であり、その固体供給源としては粉 体粒子形状のものが最も好適である。粉体粒子を使用する際には本発明は、上記 物体を上記粒子混合物に埋封することによって実施され、上記物体の加熱は真空 中、不活性ガス中、又は還元性雰囲気である水素ガス中で加熱することによって なされる。上記雰囲気はまた、低分圧の酸素を含有していてもよい。その加熱温 度は上記異種化学種が上記物体上に形成されているいかなる酸化膜とであっても 反応しかつこれを改質することができるような温度とされる。イオウはその後、 容易に上記改質被膜を通過して拡散し、上記物体中の上記イオウ含有量が低減さ れるとともに、更に耐酸化性のある組成物が製造されることとなる。このような 実施方法を埋封接触(in−pack)法と呼ぶ。 本発明はまた、上記異種化学種を上記物体から分離して(out−of−co ntact)おいて、その後上記方法によって加熱するようにしても良い。 上記物体は、また異種化学種例えばMgOを含有する被膜を上記物体上に塗布 するプロセスを用いて耐酸化性を向上させることもできる。上記被膜は上記被膜 の蒸着によって、又は上記粉体粒子を含有するスラリーの形成といった種々の方 法によって形成することができるが、これらの方法に限定されるわけではない。 上記スラリーで上記物体をコーティングする際の塗布被膜の所望 膜厚は、その断面と上記物体の体積に対する表面積の比とに依存する。すなわち 、より厚手の物体や、体積に対する表面積がより小さな物体では脱硫時間がより 多く必要となるためである。上記スラリーコーティーングが充分厚くない場合は 、上記脱硫プロセスが完了する前に該被膜は蒸発してしまうこととなる。一般に は、上記物体は、少なくとも10milより厚くコーティングされる。上記スラ リーは、上記粉体粒子の表面を湿潤させるため当業界で周知の界面活性剤を含有 してなることが好ましい。上記スラリーは、スプレー塗布法、刷毛塗り法(br ushing)、又は浸漬塗布法によって上記物体上に塗布することができる。 上記粉体粒子に対して種々の液体媒質が使用できるとともに、当業界において周 知のこれらとは別の塗布方法も同様に使用することができる。上記被膜を有する 物体はその後、加熱されて上記液体媒質の除去乾燥後、上記物体表面上に密着し た被膜とされる。次いで上記物体は真空中、又は不活性気体中、又は水素ガスに よる還元性雰囲気中で加熱される。この雰囲気中には低分圧の酸素が含有されて いてもよい。その加熱温度においては、上記物体は上記異種化学種と反応して、 上記物体表面に形成されているいかなる酸化被膜をも改質できる。上記イオウは このようにして改質された被膜を通過して拡散してゆくことで上記物体中の上記 イオウ含有量が低減するとともに、より耐酸化性に優れた組成物が得られること になる。 これまで開示した3種の方法の効果の一つとしては、上記物体の熱処理前に更 に清浄を行わずにすむことを挙げることができる。上 記した分離法(又は分離パック法)の重要な効果としては、例えばガスタービン エンジンに用いられるブレード及びベーン等、中空内部通路を有する物体を取り 扱うのに好適であることを挙げることができる。上記分離法を使用すれば、熱処 理中に上記異種化学種により蒸気が発生し、その蒸気は上記物体の外面で反応す るとともに、上記内部通路に容易に流れ込んで反応することになる。上記蒸気と 蒸気物体の内面外面とが接触、反応することによって上記各面を通してイオウが 拡散することとなり、その結果上記物体からのイオウ除去が加速されることにな る。 本発明の別の効果としては、上記脱硫プロセスが上記物体の溶液熱処理(so lution heat treatment)と組み合わせることができるこ とを挙げることができる。上記物体を機械的特性に優れた物体を製造するべく溶 液熱処理によって加熱した後、上記物体を上記物体の通常の溶液熱処理における 冷却速度以上の速度で冷却することによってなされる。多くの超合金については 、通常の溶液熱処理後の上記冷却速度は少なくとも約55℃/分である。所望の 冷却速度が達成できない場合には、上記物体に対し本発明の上記熱処理方法を施 した後に上記物体に対して通常の溶液処理を施すこともできる。 上記供給源は、上記異種化学種の他、上記表面酸化物と上記異種化学種との反 応に対して重大な影響を与えない限り、又は上記物体からのイオウの拡散に対し て重大な影響を与えない限りいかなる成 分でもよい。上記供給源としては、例えばマグネシアとアルミナ粉体との混合物 の他、マグネシア粉体を挙げることができる。 本発明を実施するに当たってはまた、純粋なガス状の異種化学種を使用するこ ともできる。上記異種化学種としてはMgCl2、MgF2といったマグネシウム のハロゲン化物を挙げることができる。 上記材料は、通常のCVD法、又はそれに類似の手法によって上記熱処理チャン バに導入でき、中空内部通路を有した部材を処理するために特に好適である。 本発明の上記各実施例では上記物体は、上記異種化学種を使用することで上記 物体からのイオウ除去を促進すべく上記異種化学種の存在下で加熱するものとし て説明を行ってきた。これは上記物体と上記異種化学種とが埋封接触されている 場合でも、分離している場合でも、あるいは上記異種化学種がコーティングされ ている場合であっても良い。さらには上記化学種は固体粒子形状であっても、又 はそれ以外の形状であっても良く、さらにはそれらの混合物であっても良い。 上記超合金物体は、上記異種化学種存在下で上記化学種が上記物体表面に形成 されたいかなる酸化膜とも反応してこれを改質するような温度にまで加熱される 。これにより上記物体の表面から上記イオウが拡散される。上記プロセスの反応 速度は上記熱処理の温度と時間、作業片におけるイオウの相対活性度、雰囲気、 加熱炉温度、 及び上記作業片からのイオウ拡散速度の関数となっている。 上記プロセスが開始する最低温度は、上記物体のγプライムソルバス(gam ma prime solvus)よりも約100℃、あるいは上記物体の融点 から150℃低い温度である。本発明を実施するための最高温度は上記物体の溶 融開始温度である。上記γプライムソルバス温度とは、γプライム相(gamm a prime phase)が上記γ相マトリックス中で溶液となる温度であ る。一般的には上記γプライムソルバス温度はニッケルベース超合金鋳造物では 約1,150℃から約1,300℃(約2,100°Fから約2,370°F) である。上記ニッケルベース超合金鋳造物の溶融開始温度は通常約1,230℃ から約1,370℃(約2,250°Fから約2,500°F)である。 本発明の方法を実施するための熱処理条件は、真空中、又は市販純度のアルゴ ンといった不活性ガス中、又は市販純度の水素ガス、又は90%Ar10%Hで あるようなそれらの混合物のいずれを用いて行っても良い。一般には、上記熱処 理は主として経済的な理由から200時間以下で施され、使用可能な熱処理を施 すためには一般的には約50時間は必要である。これらの時間はおよその時間で あり、それぞれ累積して施すこともできる。上記熱処理が完了した時点では、上 記物体は5ppm以下のイオウを有しているが、さらにはイオウが3ppm未満 であることが好適であり、イオウが1ppm未満であることがより好適である。 後述する実施例は、本発明の特徴及び手法を示すものである。この実施例によ って本発明の範囲は制限されるわけではない。 中空翼型部分と厚い根本部分とを有する単結晶ニッケルベース超合金タービン ブレードを本発明のプロセスにより処理した。この超合金は重量%で10Co− 5.9W−1.9Mo−8.7Ta−5.6A1−3Re−5Cr−0.1Hf その他Niである組成を有してなり、融点1340℃、γプライムソルバス温度 は約1305℃であり、約8ppmから10ppmのイオウ(GDMSによって 決定された値)を有してなる。これは高強度超合金組成として知られているもの であり、デュール等の上述した特許4,719,080号中で詳細な記述がなさ れている。上記翼型部分を炭化ケイ素ペーパーで表面を研磨する通常の実験室的 方法で清浄化した後、MgOるつぼ内の−325メッシュMgO粉体中に浸漬し た。そのるつぼをグラファイト加熱体を備えてなる加熱炉中に設置し抵抗加熱を 行った。上記加熱炉を約0.05torr圧の真空中に保持した。上記運転操作 は静的すなわち、上記システムの内外でのガスフローを行わずに行った。上記タ ービンブレードをその後、約1,200から1,300℃の温度へと加熱し、約 100時間その範囲内に保持した。上記熱処理後には、上記翼型部分中の上記イ オウ含有量はGDMSによる測定によれば1ppm未満であった。 上記組成と同一のタービンブレードを、約200cm3/min で市販純度の水素ガスを定常的にフローさせ、加熱炉内を3psig(915t orr)として運転したことを除き、同一型のMgOとMgOるつぼ中で熱処理 を行った。この加熱炉の加熱体は金属製であった。上記タービンブレードを約1 ,200℃から1,300℃の温度に加熱し、約100時間上記範囲内に保持し た。上記の熱処理後、上記翼型部分の上記イオウ含有量はGMDSによって測定 したところ1ppm未満であった。 上記組成と同一組成のタービンブレードに、界面活性剤と−325メッシュの MgO粉末とを含有してなる水ベースのスラリーコーティングを上記翼型部分の 表面に熱処理前に塗布した。塗布は上記翼型を浸漬して行った。その後に空気中 で5分間約200℃でベークして上記水分を乾燥させた。上記タービンブレード を金属製の加熱体を備えてなるとともに約3torr圧の純水素ガスを定常的に フローした加熱炉中に設置した。上記タービンブレードを約1,300℃の温度 に加熱し、上記温度に約50時間保持した。上記熱処理の後、上記翼型部分中の 上記イオウ含有量は、LECO CS−444−LS燃焼分析機によれば1pp m未満であった。MgOを蒸着によりコーティングした上記同一組成を有する清 浄な翼型を熱処理することによっても実質的に同一の結果が得られた。 上記操作条件の下での熱処理は低イオウ含有量の良好な耐酸化性を有する翼型 を製造できるが、加熱体を金属製とした加熱炉のほうが、概ね良好な結果が得ら れることが多い。これは、グラファイト 加熱体は、一酸化炭素を発生させる場合があり、このために上記試験片の機械的 特性がある種の劣化を受けるためと推定している。 上記同一組成を有するとともに上記熱処理を行った各サンプルについて、その サイクル耐酸化性を測定することによって評価を行った。この評価はガスタービ ンエンジン工業において使用される上記超合金鋳造物に対して一般的かつ重要な ものであり、品質面から上記鋳造物中のイオウを測定することに相当する。上記 試験では、上記サンプルは1,180℃で55分間、室温5分間というサイクル にさらされる。1サイクルは上記の55分と5分とを組み合わせたものである。 上記試験の結果を図に示すが、大きな重量減少は保護酸化膜が破壊されたことを 示すとともに、サイクル酸化特性が不良であることを示している。逆に、重量減 少が小さなことは、良好な耐酸化性を有していることを示す。図によれば上記本 発明によって熱処理されたサンプルについては、熱処理を施していない試料に比 較してきわめて僅かな重量減少がみられるのみである。従って本発明の熱処理を 施した翼型は良好な耐酸化性を有することがわかる。本発明により処理された試 料の中には試験中に重量が実質的に増加しているのがあるが、これは接着性のあ る保護酸化膜が形成されたことを示すものである。上記試験は、超合金鋳造物中 のイオウ含有量の低減と、耐酸化性良化との密接な関連性を示している。 これまで本発明を、詳細な実施例をもって説明し記載を行ってきたが当業者に よれば、その形態及びその詳細について請求項に係わ る発明の趣旨及び範囲内で種々の変更を加えることができる。例えば、本発明は 一般には鋳造物体について用いられるが、粉末冶金により形成された物体のほか 圧延物体又は鍛造物体からイオウを除去する際にも使用できる。さらには本発明 において記載する代表的な酸化膜はAl23であるが、本発明はまた、Cr23 などの他の酸化膜についても適用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ボーンスタイン,ノーマン エス. アメリカ合衆国,コネチカット 06117, ウエスト ハートフォード,リッチモンド レイン 43 (72)発明者 チン,スティーブン アメリカ合衆国,コネチカット 06492, ウォーリングフォード,テンプルトン ロ ード 9 (72)発明者 デクレッセント,マイケル アメリカ合衆国,コネチカット 06109, ウェザースフィールド,シーダー ストリ ート 297 (72)発明者 デュール,デイヴィッド エヌ. アメリカ合衆国,コネチカット 06111, ニューイントン,ビーコン ストリート 31 (72)発明者 パーリル,ドナルド アール. アメリカ合衆国,コネチカット 06074, サウス ウィンザー,バーチ ヒル ドラ イブ 6 (72)発明者 パイク,ロスコウ エイ. アメリカ合衆国,コネチカット 06035, グランビー,ウィンドミル ドライブ 55 (72)発明者 スメッギル,ジョン ジー. アメリカ合衆国,コネチカット 06070, シムスベリー,トウルゲイト レイン 12

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. マグネシウム供給源の存在下で物体を加熱するステップを有してなるとと もに、該加熱温度は上記供給原中のマグネシウムと物体とを反応させ、かつ上記 物体から上記イオウが拡散する温度であることを特徴とするニッケルベース超合 金物体からのイオウ除去方法。 2. 上記物体は、上記加熱ステップ中に上記マグネシウム供給源に埋封されて いることを特徴とする請求項1に記載の方法。 3. 上記物体は、加熱ステップ中には上記マグネシウム供給源と分離されてい ることを特徴とする請求項1に記載の方法。 4. 上記マグネシウム供給源を有してなる被膜は上記加熱ステップの前に上記 成型体表面上に塗布されてなることを特徴とする請求項1に記載の方法。 5. 上記被膜は、スラリーであることを特徴とする請求項4に記載の方法。 6. 上記マグネシウム供給源は、純マグネシウムであることを特徴とする請求 項1に記載の方法。 7. 上記マグネシウム供給源は、マグネシウムを含有してなる化合物であるこ とを特徴とする請求項1に記載の方法。 8. 上記物体は、上記物体の融点と上記物体のγプライムソルバス温度より約 100℃低い温度とで規定される範囲内の温度に加熱されることを特徴とする請 求項1に記載の方法。 9. 上記物体は、上記物体の融点と上記物体の融点より約150℃低い温度と で規定される範囲内の温度に加熱されることを特徴とする請求項1に記載の方法 。 10. 上記加熱ステップは、真空中で施されることを特徴とする請求項1に記 載の方法。 11. 上記加熱ステップは、水素雰囲気下で施されることを特徴とする請求項 1に記載の方法。 12. 上記熱処理ステップは、不活性ガス雰囲気中で施されることを特徴とす る請求項1に記載の方法。 13. 物体をマグネシウム粉体を含有してなる供給源中に埋封するステップと 、その後上記物体を真空中又は、水素雰囲気中又は、不活性ガス雰囲気中におい て上記物体の融点と上記物体のγソルバス温度より100℃低い温度とで規定さ れる範囲内まで加熱すると ともに、上記物体中のイオウを約5重量ppm未満にまで減少させるに十分な時 間加熱するステップとを有してなることを特徴とするニッケルベース超合金物体 からのイオウ除去方法。 14. 物体をマグネシウムを含有する粉体粒子である供給源と分離して配する ステップと、その後上記物体を真空中又は、水素雰囲気中又は、不活性ガス雰囲 気中において上記物体の融点と上記物体のγソルバス温度より100℃低い温度 とで規定される範囲内まで加熱するとともに、上記物体中のイオウを5重量pp m未満にまで減少させるに十分な時間加熱するステップとを有してなることを特 徴とするニッケルベース超合金物体からのイオウ除去方法。 15. 物体表面にマグネシウム供給源を有してなる被膜を塗布するステップと 、その後上記物体を真空中又は、水素雰囲気中又は、不活性ガス雰囲気中におい て上記物体の融点と上記物体のγソルバス温度より100℃低い温度とで規定さ れる範囲内まで加熱するとともに、上記物体中からイオウを5重量ppm未満に まで減少させるに十分な時間加熱するステップとを有してなることを特徴とする ニッケルベース超合金物体からのイオウ除去方法。 16. 異種化学種の存在下で上記物体を加熱するステップであって、該異種化 学種は高温下で上記物体表面上に存在する酸化物を改質して上記物体からイオウ を拡散しうる効果を有するものからなるステップと、その後上記物体表面上の上 記酸化物と上記異種化学種 とが反応して上記酸化物を改質する温度にまで上記物体を加熱して、上記物体中 の上記イオウを移動させて上記イオウを上記物体から拡散させるステップとを有 してなるニッケルベース超合金物体からのイオウ除去方法。 17. 上記異種化学種は、金属カチオン類を有してなるとともに上記表面酸化 物粒界に偏析し高温においてイオウの拡散を促進することを特徴とする請求項1 6に記載の方法。 18. 上記高温とは、上記物体の融点と上記物体の融点から約150℃低い温 度とで規定される範囲であることを特徴とする請求項17に記載の方法。 19. 上記高温とは、上記物体の融点と上記物体のγソルバス温度から約10 0℃低い温度とで規定される範囲であることを特徴とする請求項17に記載の方 法。 20. 上記異種化学種は、上記温度範囲内において蒸気相が移動しうる約10-8 barから約10-3barの蒸気圧を示すことを特徴とする請求項17に記載 の方法。 21. 上記異種化学種は、存在する表面酸化物と反応して表面酸化物を含有し てなる化合物を形成するとともに、高温においてイオウの拡散を促進することを 特徴とする請求項16に記載の方法。 22. 上記高温とは、上記物体の融点と上記物体の融点から約150℃低い温 度とで規定される範囲であることを特徴とする請求項21に記載の方法。 23. 上記高温とは、上記物体の融点と上記物体のγソルバス温度から約10 0℃低い温度とで規定される範囲であることを特徴とする請求項21に記載の方 法。 24. 上記異種化学種は、上記温度範囲内において蒸気相が移動しうる約10-8 barから約10-3barの蒸気圧を示すことを特徴とする請求項21に記載 の方法。 25. 上記異種化学種は、上記物体上の酸化物を高温下で溶解しうることを特 徴とする請求項16に記載の方法。 26. 上記高温とは、上記物体の融点と上記物体の融点から約150℃低い温 度とで規定される範囲であることを特徴とする請求項25に記載の方法。 27. 上記高温とは、上記物体の融点と上記物体のγソルバス温度から約10 0℃低い温度とで規定される範囲であることを特徴とする請求項25に記載の方 法。 28. 上記異種化学種は、上記温度範囲内において蒸気相が移動しうる約10-8 barから約10-3barの蒸気圧を示すことを特徴とする請求項25に記載 の方法。 29. 上記物体は、上記加熱ステップ中には上記異種化学種中に埋封されてい ることを特徴とする請求項16に記載の方法。 30. 上記物体は、上記加熱ステップ中に上記異種化学種と分離した状態で配 されていることを特徴とする請求項16に記載の方法。 31. 上記物体は、上記加熱ステップの前に上記異種化学種によってコーティ ングされていることを特徴とする請求項16に記載の方法。 32. 上記コーティングはスラリーであることを特徴とする請求項31に記載 の方法。 33. 上記加熱ステップは真空中で施されることを特徴とする請求項16に記 載の方法。 34. 上記加熱ステップは、水素還元性雰囲気中で施されることを特徴とする 請求項16に記載の方法。 35. 上記加熱ステップは不活性ガス中で施されることを特徴とする請求項1 6に記載の方法。 36. 上記異種化学種は、AlN、Al43、Li2O、Na2O、BaO、C aO、MgO、FeO、NiO、CoO、Y23、Gd23、SiO2、ZrO2 、Cr23、Fe23、Ga23、Ni2Mg、NiMg2、Co2Mg、MgC l2、MgF2、MgAl24、MgZrAl26、Ta25、Feを有してなる 群から任意に選択される材料であることを特徴とする請求項16に記載の方法。 37. 物体を異種化学種中に埋封するステップであって、この異種化学種は上 記物体表面上に存在する酸化を高温において改質することが可能であるとともに 、上記物体の融点と上記物体の融点から約150℃低い温度とで規定される範囲 内の温度において約10-8barから10-3barの蒸気圧を有してなるステッ プと、その後上記物体を真空中、水素還元雰囲気中、不活性ガス雰囲気中におい て上記温度範囲内で十分な時間加熱して、上記異種化学種と上記物体表面上の酸 化物とを反応させるとともに、上記イオウを上記物体から拡散させて上記イオウ を上記物体中で5重量ppm未満にまで減少させるステップとを有するニッケル ベース超合金の耐酸化性改善方法。 38. 物体を異種化学種中から分離して配するステップであって、この異種化 学種は上記物体表面上に存在する酸化物を高温において 改質することが可能であるとともに、上記物体の融点と上記物体の融点から約1 50℃低い温度とで規定される範囲内の温度において約10-8barから10-3 barの蒸気圧を有してなるステップと、その後上記物体を真空中、又は水素や 不活性ガスを含有してなる雰囲気中において上記温度範囲内で十分な時間加熱し て、上記異種化学種と上記物体表面上の酸化物とを反応させるとともに、上記イ オウを上記物体から拡散させて上記イオウを上記物体中で5重量ppm未満にま で減少させるステップとを有するニッケルベース超合金の耐酸化性改善方法。 39. 物体表面に異種化学種を含有するコーティングを塗布するステップであ って、この異種化学種は上記物体表面上に存在する酸化物を高温において改質す ることが可能であるとともに、上記物体の融点と上記物体の融点から約150℃ 低い温度とで規定される範囲内の温度において約10-8barから10-3bar の蒸気圧を有してなるステップと、その後上記物体を真空中、又は水素還元雰囲 気中、又は不活性ガス雰囲気中において上記温度範囲に十分な時間加熱して、上 記異種化学種と上記物体表面上の酸化物とを反応させるとともに、上記イオウを 上記物体から拡散させて上記イオウを上記物体中で5重量ppm未満にまで減少 させるステップとを有するニッケルベース超合金の耐酸化性改善方法。
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