【発明の詳細な説明】
電磁式に操作可能な燃料噴射弁
本発明は、請求項1の上位概念に記載の形式の電磁式に操作可能な燃料噴射弁
から出発する。
燃料噴射弁は種々の構成及び機能で公知であり、例えば、
−ピン形噴射弁(ドイツ連邦共和国特許第3533521号明細書)、この場合
には強磁性材料から成る弁ケーシング内にマグネットコイルを配置してあり、マ
グネットコイルが弁ニードルに堅く結合された可動子に作用するようになってい
る。マグネットコイルの励磁に際して、弁ニードルが引きつけられて、ばね圧に
抗して弁座から持ち上げられ、この場合、弁ニードルは弁ケーシングに配置され
たノズル部材の案内孔内に支承されている。弁ニードルはニードルピンで以てノ
ズル部材の中央の噴射開口から突出しており、円錐形の弁座面がノズル部材の案
内孔と噴射開口との間に形成されている。
基本的にノズル部材の、燃料を放出する範囲を除いて同じ若しくは類似の形式
で構成された燃料噴射弁においては、マグネットコイルによって励起されたマグ
ネット作用に基づき弁閉鎖部材が弁座から持ち上げられ、配量された燃料量が一
定の圧力降下及び流過横断
面において接続時間の変化によって規定される。
−穴形噴射弁(Spritzlochventil)を含む球欠形弁(Kalottenventil)において
は、燃料がしばしば例えば不動の穴プレート(Lochblende:aperture plate)の
所定の数によって規定され、穴プレートが球面状に構成されており、燃料供給が
例えば噴射角にとって適合させられる。このことは孔プレートにおいてむしろ傾
斜した穴を介して達成される(ドイツ連邦共和国特許出願第4026721号明
細書)。
−渦巻き弁(Drallventil)[ヨーロッパ特許出願第57407号明細書]にお
いては、燃料が配量孔で渦巻きを生ぜしめられて、円錐層に形成される。このよ
うな渦巻き弁においては、特に精密な規定によっても解決されない構造的な問題
があり、それは噴流縁部の直径が燃料層の厚さに比べて著しく小さく、即ち角に
強い放出乱れが生じて、層長さの不都合な変動を生ぜしめ、副渦巻きによって増
大されるからである。
−衝突弁(Prallventil[米国特許第4982716号明細書]においては、放
出する燃料噴流を障害物に向けてあり、そこで燃料噴流が乱れた円錐層若しくは
扇形噴流に変形される。2つの噴流を相対して向けることも公知である。
内燃機関に置いて、燃料(ガソリン、特にメタノール)を過度に高くない速度
で所定の飛行方向に噴射によって著しく微細な粒子に形成することが重要である
。これによって、すべての運転時点で良好に点火可能なかつ望ましく燃焼する燃
料空気混合気が得られる。
通常、例えば5バールよりも低い圧力で外部エネルギーの供給なしに放出する
燃料の通常の形成においては、微細な粒子の形成は、燃料が例えば衝突に基づき
生ぜしめられる層若しくは噴流の形で弁から微細に分配して放出することによっ
て行われる。v=表面/流過横断面の大きな比の流れの摩擦によって粒子の形成
が行われ、Vの増大は燃料の粒子の80μmの平均直径を下回ることのない減少
をもたらす。(噴流衝突)弁出口の前若しくは後の微細に分配された燃料噴流内
の乱流の形成も直径を80μmの前述の値を下回ることなしに減少させる。圧力
エネルギーを本出願人のK-ジェトロニック(K-Jetronic)におけるようにでき
るだけほぼ2kHzの振動に変換することも、粒子の80μmの直径を下回らせ
るために役立たない。
しかしながら、典型的な40μmへの粒子直径の減少は補助エネルギーの使用
により可能であり、この場合、エネルギーの次のような形が考えられ:
−空気、絞られて走行する内燃機関において絞りフラップでの>0.5バールの
圧力降下で十分である。高い効率での内燃機関における非絞りはこのような可能
性の連続的な使用に逆作用する。
−特に圧電共振器の使用下での外部励起された振動機構。この場合、燃料が通常
は振動するプレート若しく
は縁部に噴射されて、それによって微細な粒子に分解され、表面張力波も形成さ
れる。
−燃料の静電負荷並びに
−沸騰限界直前までの燃料の加熱、この場合には急激な圧力降下によって弁内の
燃料の弛緩に際して分解されて沸騰する燃料成分がガス抜きされ、これによって
燃料が微細な粒子に分散される。
問題は、<1msの噴射時間が高い非直線性及び不十分な調質をもたらすこと
にある。このような関係における改善が、接続横断面と配量横断面との合致する
、即ちデッド容積0を有する弁において可能である。
吸引管噴射においては一般的に、配量がコンスタントな圧力降下及びコンスタ
ントな流過横断面に基づき規定される燃料流の接続時間の変動によって生ぜしめ
られる。この場合、接続横断面、即ち燃料弁の弁座は流れ方向で見て配量横断面
の前に位置している。その間に位置するデッド容積内の燃料は従って弁の遮断段
階で吸引管圧力にあり、特に吸引管負圧に際しかつ高い温度に際して容易に気化
される。従って望ましくは、
デッド容積が最小噴射量に対して小さく、
<0.8msの調質の開始が弁開放の後に位置し、かつ
>0.8msの噴射時間までの良好な直線性が得られていることである。
このような要求が満たされた場合には、特に開いた入口弁内への噴射に際し及
び多重噴射に際して著しく短い噴射時間で作動させることが可能である。これに
よって燃焼室内の弱い混合渦巻き及び低い回転数においても所望の燃料空気比が
達成される。
しかしながらこの場合にも問題があり、それというのは接続横断面と調量横断
面との間、即ち弁の開放の際のデッド容積において圧力降下が生じ、かつ油圧的
に接続横断面の前の範囲に接続の後に圧力振動が生じるからである。
このような問題は、弁の行程H及び弁座直径Dにおいて横断面πDHが開かれ
ることに起因している。他方において弁座は容積V=π/4D Hを押しのけ、
この場合、D>>Hである。従ってこの結果として、
−部分的に閉じられた弁座と配量横断面との間に容積がなく、その結果、配量横
断面で圧力が低く、不十分な調質が生じ、それというのは
−流れが行程Hの増大に伴って連続的に増大するのではなく、行程Hの変化中の
容積Vの充填が弁の上側のストッパによって中断され、これによって流れ方向で
弁座の前の室における液力的な振動が生じる。このことは非直線性を意味してい
る。
従って本発明の課題は、低い速度において最も微細な粒子を得るようにするこ
とであり、この場合、燃料内に生じる圧力エネルギーを弁から放出する燃料の直
径に逆比例の表面エネルギーに高い効率で変換することである。これによって別
のエネルギー担体、例えば圧縮空気が省略され、既存の電磁式に操作可能な噴射
弁への組み込みが可能であるようにしたい。
本発明の利点
本発明の前記課題が請求の範囲1項に記載の構成により解決され、利点として
、燃料(例えば3バール)の圧力エネルギーを直径に逆比例の表面エネルギーに
特に高い効率でエネルギー変換することができる。この場合、微細な粒子の形成
のために一時的に使用される別のエネルギー担体が省略され、従って該エネルギ
ー担体の費用、不確実性、及び組み込み問題がなくなる。
本発明は、補助外部エネルギーの代わりに何れにしても実際に同じ大きさで与
えられる圧力エネルギーを活用し、このようなエネルギーは供給される燃料によ
って生ぜしめられ、例えば気泡防止のために所定の大きさで必要である。
本発明は、放出の際の燃料の大きな表面積、粒子再結合を阻止するための燃料
の急速な空間的な分配並びに、燃料の噴射方向の高周波数(>20kHz)の変
化により既に空気内への流入の前での燃料内での所望の乱流を可能にする。
この場合に重要なことは、放出する燃料の本発明によって可能な振動特性は所
定の振動数範囲に位置して
いることであり、このような振動数範囲は高振動数で所定の大きさ(即ち>20
kHz)だけ規定された燃料噴射弁構成要素の例えば2kHzの振動特性の上側
に位置していて、公知の形式で例えば例えばK-ジェトロニックによって生ぜし
められる。
本発明においては、配量横断面内での弁構成要素のばね特性の利用によって原
理的にばね弾性的な損失のない機構を形成することができ、このような機構が意
図された振動再生で以て励起に比べて層状に放出する燃料の高いエネルギーを生
ぜしめ、この場合には原理的なエネルギー転換が層の相互の引っ張り際して行わ
れ、かつ側方速度が原理的に相応に完全に表面エネルギーに変換される。従って
、小さいデッド容積で可能なかぎり微細な粒子大きさでの効果的な粒化、特に開
放過程中の完全な圧力による弁開放の開始時の良好な調質、及び良好な直線性が
達成される。
従属項に記載の手段によって本発明の有利な構成が可能である。特に有利には
、振動装置のばね・質量・機構がばねを2つのダイヤフラムによって形成するよ
うに構成されており、ダイヤフラムが振動する燃料の容積を交互に受容する。従
って、ヘルムホルツ・共振器(Helmholtz-Resonator)に比べて燃料の圧縮性が
扶養になり、燃料容積が小さく維持される。振動機構の質量がダイヤフラム質量
及び液体質量から成っている。
本発明の実施例を図面につき以下に詳細に説明する。
図1は電磁式に操作可能な噴射弁の、不動の弁の弁座の下流側への組み込みに
適した配量間隙範囲の図2の線I−Iに沿った概略的な断面図、図2は図1の線
II−IIに沿った部分断面図、図3は図1の、ダイヤフラムプレートを備えた
機能部分の展開図、図4は共振の場合の燃料流量間の関係のベクトル線図、図5
は配量範囲から放出する燃料層の振動特性のダイヤグラム、図6は同じく互いに
エネルギー的に接続された2つの振動室を備えた別の実施例の図7の線VI−V
Iに沿った断面図、図7は図6の線VII−VIIに沿った断面図、図8及び図
9は振動可能なダイヤフラムを用いた配量範囲の変化例の部分断面図、図10及
び図11は本発明の別の実施例の、図6及び図7に対応する部分断面図である。
実施例の説明
本発明の基本思想は、電磁操作式の噴射弁の弁座に対して下流側に配置された
配量間隙区分の形成のために振動可能な少なくとも1つ、有利には2つの構造、
構成、ダイヤフラム、若しくはプレートを設けて、構造、構成、ダイヤフラム若
しくはプレートが逆向きの振動特性(同位−逆位)を有していて、生じる燃料噴
射流若しくは燃料層を噴射角、放出特性、振動振幅、パルスに応じて調整する。
図面は実施例の燃料放出範囲、正確に配量(リング)間隙の範囲を示しており
、該範囲は、前述のドイツ連邦共和国特許第3533521号明細書に例えばピ
ン形噴射弁(Spritzzapfenventil)に関連して述べられたそれ自体公知の電磁式
に操作可能な燃料噴射弁の弁座の下流側に配置されており、噴射ピン範囲はもち
ろん省略してあって、以下に述べる実施例によって代替されており、実施例は既
存の噴射弁への可能な付加的な取り付け部としても理解されたい。
以下に述べる実施例は電磁式に操作可能な燃料噴射弁の通常リング状の放出範
囲を示しているが、本発明は例えば側壁で終わる循環しない機構も含んでいる(
半径=∞)。
図1は燃料噴射弁の下側に配置された(循環する)リング構造体40を示して
おり、リング構造体は図1の図平面で下側に向かって圧力室41に隣接していて
、同じく上方外側へ向かって樋状に循環する凹所42を形成しており、凹所は相
対して位置する錐形に先細の側壁43a,43bから両側の段部44a,44b
を形成して、例えば半円形の均一に湾曲された溝45内に移行していて、ほぼ中
間に配置された中間ウエブ46によって仕切られており、中間ウエブは周囲に亙
って間隔を置いて開口若しくは切欠きによって中断されている。中間の中間ウエ
ブの切欠きは内側の少なくとも1つの通路若しくは管路1を介して圧力室41に
接続されており、かつ中間ウエブ46の切欠きが両側に向かって開いており、図
1に示すように全体で振動室3,2,4が形成されている。振動室3,4は振動
可能なダイヤフラム11,12若しくはプレートと関連されており、ダイヤフラ
ム若しくはプレートは図1に示すように薄板片から打ち抜き若しくは引き抜き工
程によって形成されていてよい。ダイヤフラム11,12はその縁部を、相対す
る部材と一緒に後で詳細に述べる放射リング間隙5,6を形成するように水平方
向に対して平らに延びていて、かつ端部範囲で軽く上方に曲げられて延びていて
よい。内側に向かってダイヤフラムは、曲げられて補強として役立つ湾曲部16
を形成して円筒形のダイヤフラム区分17′に移行していて、かつ薄いダイヤフ
ラム中間片17で以て中間の中間ウエブ46内の振動室2としての前述の切欠き
若しくはスリットを橋絡している。
このような1つの装置は圧縮可能な室3,4(圧縮性はここではダイヤフラム
11,12のばね弾性によって与えられている)、並びにスリット2及び放出リ
ング間隙5,6内の運動可能な燃料質量体(振動室3,4内の運動可能な質量体
は無視でき、それというのは速度がそこでは著しく小さいからである)から成っ
ていて、音響的なサウンドスペースを形成しており、共振の場合には燃料が中間
のスリット2を通って振動室3,4間を往復流動する。
図3に概略的な展開で示してあるように、燃料押しのけ量QMプラス放出量QA
と狭窄部内での流れの交替流量−QE(Wechselfluss)とは互いに相応している
。流入開口1は圧力の中立な範囲に位置していて、振動エネルギ−W〜が圧力室
41に達しないように比較的長くなっている。
放出開口における圧力降下は、放出する振動エネルギーW〜が負である場合に
振動にとってエネルギー的に減衰作用を生ぜしめる。これはW〜〜υA.V.A
(V=速度の定数成分)である。角度υAにとって、
って振動機構の放出エネルギーは両方の半周期で静止機構の放出エネルギーより
低くなっている。エネルギー差が振動損失をカバーする。図4のベクトル線図に
図3の交替値の位相位置が示してある。圧力Pは、ダイヤフラムの固有共振が越
えられない限りにおいてダイヤフラム位置Mに対する位相にある(共振の上側で
はPは逆位相にある)。ダイヤフラムによって搬送さ
場合には、QE〜υEは圧力Pを所定の質量に基づき90°だけ遅らせ、損失の場
合には角度は小さくなる。
開口面AはMから逆に180°ずらされる。放出速
度υAは、ノズル高さの比較的小さい場合(その質量によってわずかにしか規定
されない場合)にはPにυ
90°が確実に保証されている。QA=−QE−QMが
適当な形状においては燃料は図1で3と4との間で振動する。従って、スリッ
ト若しくは出口リング間隙5,6の面Aが交互に開く。
即ち、管路1を通って燃料が圧力室41から振動室2,3,4内へ、かつ配量
間隙リング開口5,6を通って微細な層(Lamelle)13,14として噴射室内
に流入する。ダイヤフラム11,12の端部範囲が例えば段部44a,44bに
取り付けられた案内条片8,9によって制限されて、従って燃料層(Kraftstoff
lamelle)が前方へ適当な角度をなして互いに衝突するように放出する。案内条
片とダイヤフラムとの間の半径方向及び軸線方向の配量間隙の異なる構成によっ
て(特に流れの縮小部の角度によって)、外側の燃料層14の転向が大きくなっ
ており、その結果、衝突範囲10での燃料層の衝突の後に、外側に向いた、即ち
リング形の仮想の中心点から見て外側に向けられかつ図1の図平面で右側へ延び
る燃料層の飛行方向が維持される。衝突範囲10での衝突の後に燃料は噴射軸線
に対して対称的に入射角よりも小さな出射角で反射されて、微細に霧化される。
2つのダイヤフラムが逆位相で振動する場合には、両方の層はそれぞれ同じよ
うに外側へ若しくは内側へ回転させられ、衝突範囲10が内側へ若しくは外側へ
旋回させられる。両方の層のパルスもυA.A.で変化する。個別の1つの層に
とって図5に類似して、衝突範囲10の後ろでパルス導入の後の噴射中心点も波
長(λ=燃料速度/振動数)と両方の放出点5,6間の間隔との関数として変化
する。両方の層13,14の衝突角の大きい場合には、層はすでに衝突範囲10
で滴に崩壊し、衝突角の小さい場合には1つの層が生じる。
既に述べたように、ダイヤフラム11,12は縁部で平らに水平方向に延びて
いて、回転対称的(図1で、半径R)若しくは環状の機構において伸びεmaxよ
りも大きな半径方向行程Hを可能にする(εmax=σmax/E;σmax=引っ張り
強度、E=E・モジュール)。
円筒形のダイヤフラムにとっては、Hmax=εmax・Rである。湾曲部16への
移行部における円筒形のダイヤフラム区分17′による補強は、中間の薄いダイ
ヤフラム区分17でスリット2を安定的に橋絡するために役立つ。
振動室3,4内の圧力は平らなダイヤフラムでは曲げ応力σによって生ぜしめ
られる(ダイヤフラムは物理的なプレートである)。平面に対する過圧の方
向でのダイヤフラムの傾きに比例して、ダイヤフラム内の圧力によって半径方向
及び接線方向の引っ張り応力が生じ、引っ張り応力はダイヤフラムの位置及び固
有振動数を曲げ強度なしに規定する(物理的にはダイヤフラムは曲げ強度を有し
ていない)。ダイヤフラムの固有振動数はプレートと逆に圧力に関連している。
このことは、間違った高い圧力においてダイヤフラム及び液力式のばね・質量・
機構の固有振動数を調節して、振動の振幅を減少させてダイヤフラムを過負荷に
対して保護するように用いられる。
別の実施例が図6及び図7に示してある。この実施例では振動可能なダイヤフ
ラム11′、12′が外側に位置するように配置されている。それぞれの固有振
動数を良好に規定するために、全体で4つ、残された中間のウエブ46′内のス
リットを振動室と見なす場合には、全体で5つの振動室若しくは圧力室が設けら
れており、溝が広く、両側でダイヤフラム11′,12′の、段部44a′,4
4b′まで延びる(一体の)ばねエレメント7,7′によって覆われている。従
って別の2つの中間ウエブ33a,33bを設けてあり、該中間ウエブは環状の
機構の場合には同じく円形に循環していて、相応の貫通孔若しくはスリット33
を備えており、貫通孔若しくはスリットは供給される燃料の流過、ひいては振動
作用を可能にする。この場合、ダイヤフラム11′,12′はばねエレメントの
形の、有利には一体的な側方の延長部、若しくは同じくダイヤフラム7,7′で
以て中間ウエブ33a,33b上に取り付けられており、燃料が振動室3,4か
ら外側に位置する別の振動室34,35に接続されている。
ダイヤフラム11′,12′はスタティックな圧力で開く。しかしながらエネ
ルギーの理由からダイヤフラムは自己励振のために運転振動数に際しては圧力で
閉じられなばならず、即ちダイヤフラムは固有振動数の上側では圧力に対するダ
イヤフラム位置の180°の位相ずれで運転されねばならず、即ちダイヤフラム
は1つの質量の振動特性を有している。接続スリット2′の接続範囲の燃料は同
じく、振動室3,4内の圧力に関連した質量特性を有する。ばねエレメント7,
7′はダイヤフラム及び接続範囲の容積流の受容のために分離して構成されてい
る。
最も低い固有振動数は、接続スリット33,2′を介して燃料を振動室34か
ら振動室35へ、次いで逆へ振動させる振動数である。振動室34に対するダイ
ヤフラム11′及び同相で振動室35に対するダイヤフラム12′の振動を生ぜ
しめる振動数は高く、従ってダイヤフラムの相応の固有共振によって励起され液
力的な低い励振によっては励起されない。
燃料がダイヤフラム間に配置されて先細の円錐形に湾曲して延びる共通の案内
片8′の適当な構成によっ
て衝突点10で逆相で集合され、この場合、パルスの受け止めによって燃料噴射
流若しくは図5に示した放出する燃料層の変調(Modulation)が生じる。図1と
同じダイヤフラム行程において、図6では特に大きな変調角が可能であり、それ
というのは図1に比較して燃料層が衝突点10まで案内され、乱流によってほと
んど妨げられず、かつ噴射角が衝突点10の前で大きく選ばれていてよいからで
あり、なぜなら衝突の際の放出側に対するパルスが案内条片8′の両側の円錐形
に先細の翼によって受け止められるからである。
別の実施例が図8に示してある。図8においては振動ダイヤフラム並びに振動
室の配置のための切欠きを有するリング部材40′が下側の部分として、場合に
よっては定置の燃料噴射弁の下側の付加部として、ほぼ半円形を成して振動室を
形成する範囲で中間ウエブによって仕切られているのではなく、周囲に均一に分
配されていてよい孔の形の燃料供給通路1に開いており、この場合、交互の振動
動作を保証する両方のダイヤフラム11″,12″が溝42″の両方の段部44
a″,44b″からそれぞれ出発している。両方のダイヤフラムはほぼ水平方向
に延びており、図8で左側のダイヤフラム11′が図面に示してあるように、ま
ず著しくなだらかな角度で外側へ延びて、次いで下側に別のダイヤフラム12″
に向かって曲げられているのに対して、相対するダイヤフラム12″は同じく
なだらかな角度で外側へ延びて、次いで凹面状にくぼんで内側へ湾曲して延びて
いており、端部範囲が燃料のための狭い放出(リング)配量間隙を形成するよう
に振動ダイヤフラム11″の前方の縁部に向けられていて同列を成している。
機能は次のように行われ:振動室2,3,4内の圧力振動のポジチブな瞬間値
においてダイヤフラム12″が配量間隙5′を閉じ(同相で静力学的及び動力学
的)、この場合、ダイヤフラム11″は配量間隙5′を圧力に抗して付加的に閉
じる(逆相で静力学的及び動力学的:振動数が固有共振、質量特性の上側にある
)。これによって自己励起のためのエネルギー条件が満たされ、開口A(図4)
の振動及び速度振動が逆相にある。圧力に対する相における燃料容積は、圧力室
2内、むしろこの場合共通の右側の室半部内、即ち圧力室4内の最大圧力の瞬間
値にあり、ばねエネルギーがダイヤフラム11″,12″内に蓄えられ、運動エ
ネルギー=0である。ばねエネルギーは振動の次の四分の一周期で燃料及びダイ
ヤフラムの運動エネルギーに変換され、それも圧力室若しくは室部分範囲2,3
,4内の燃料の運動エネルギーがむしろダイヤフラム12″のばねエネルギーか
ら生ぜしめられるのに対して、ダイヤフラム11″の運動エネルギーが主に固有
のばねエネルギーから発せられる。従って、圧力室2内の圧力(及びひいてはほ
ぼ放出速度υA)が配量間
開弁)。このことは、理論的に(ダイヤフラム加速のための力の差し引きの後の
)発生するばね力のみがダイヤフラム12″に作用し、かつ生じる質量がダイヤ
フラム11″に作用して、次いで部分室若しくは振動室2,3,4内の燃料質量
が加算され得る場合にも当てはまる。
適当に小さな半径Rのすべてのダイヤフラムはたわみ範囲で水平位置を離れな
いので、振動するダイヤフラムダイヤフラムの運動がそれに対して垂直な方向で
行われる。配量リング間隙5の開放方向が水平方向に対して45°である場合に
は、行程の乗根二次部分(wurzelzweite Teil des Hubes)はオープンに変換さ
れる。噴射円錐角の開放角は一般に90°よりも小さくなっていなければならな
いので、噴射された層19の転向が例えば図8に示すように必要である。従って
、ダイヤフラム12″から層の離れる角もダイヤフラムのほぼ直角の鋭角な折り
曲げ範囲18で水平な経過から内側に向けられた凹面の形に拡大される。図8に
相応した層の角度調節は前に述べた別の実施例に比べて小さくなっていてよい。
図9に示す実施例は図8に示す実施例にほぼ相応しており、水平に対してなだ
らかな角度で外側へ延びるダイヤフラム11′″,12′″が端部によって形成
された配量リング間隙の範囲で軸線方向及び半径方向間隔
を有しており、燃料の放出層19が図9に示す角度を有している。ダイヤフラム
が振動すると、角度調節が図5のダイヤグラム経過に相応して生じる。
図10及び図11は図6及び図7の実施例に類似した実施例を示しており、同
じ部材には同じ符号が付けてある。
相違として、中央の案内条片8″が−図6及び図7とほぼ同じ形で−電磁式に
操作可能な燃料噴射弁の閉鎖部材を形成しており、換言すれば弁座が振動ダイヤ
フラム11′,12′の内側の縁部面によって形成されており;弁部材内で同時
に案内条片を形成する中間部分が有利には磁気回路の可動子(Anker)22の部
分として一体的に構成されており、磁気回路は磁気コイル25に配属されている
。磁気回路は案内部分23,24を有しており、この場合、可動子/案内条片2
2,8″がばね弾性的な部分若しくはリング部分26によって半径方向及び軸線
方向に案内されており、ばね弾性的な部分若しくはリング部分は符号26aの箇
所で緊定されており、磁気コイル25の無電流状態で可動子22が案内条片8″
と一緒にダイヤフラム11′,12′に向けて押され、これによって機構が閉じ
られるようになっている。燃料室若しくは振動室3,4は、ここでもリング円形
状に構成された可動子22内の既に述べた相応の通路若しくは横開口2′を介し
て互いに接続されており、従ってダイヤフラム11′,
12′がプッシュプル(Gegentakt)で振動できる。この場合、ダイヤフラム7
,7′によって形成されるばね弾性的な範囲(室若しくは振動室34,35はヘ
ルムホルツの圧縮性を伴う大きな燃料容積で構成されていてよく、それというの
は燃料容積はもはやデッド容積として作用せず(即ち、場合によっては任意に大
きく)、なぜなら狭め箇所若しくは配量(リング)間隙5,6の前の範囲が常に
過圧下にあり、開放の際の蒸発及び圧力降下が阻止されるからである。ダイヤフ
ラム11′,12′の振動は既に開放行程中に始まっている。ダイヤフラム11
′,12′のほぼ50kHzの仮定された振動数においては開放行程の多くの時
期が振動開始に用いられる。
異なる実施例の構成は互いに任意に種々に組み合わされ、この場合、半径R(
図1)の実際値における水平からのダイヤフラム面の傾きの示した限界は機構が
環状でなく、例えば側壁で終わっていると当てはまらない。
本発明は制限された粒子放出速度での最も微細な粒子の形成を可能にし、特に
図1及び図6の実施例において燃料層の生ぜしめられる転向が衝突の際のパルス
のエネルギー的に極めて有効な定数で作用する。パルスがエネルギー的に良好に
調節され、ダイヤフラムのばね弾性が特に燃料質量と一緒に原理的に損失のない
ばね弾性的な機構を生ぜしめる。意図された振動再生
を伴うこのような損失のない若しくは損失の少ない機構のみが励起に比べて高い
振動エネルギーを生ぜしめ得る。この場合、原理的なエネルギー転換は図5に示
してあるように層の離反に際して初めて生じ、側方速度(Seitengeschwindikeit
)が相応に表面エネルギーに変換される。この場合、側方速度は原理的に完全に
表面速度に変換され、従って角度αmaxはもはや増大することはない。このよう
な状況は空気中では達成されず、それというのは本発明の構成に基づき広幅側で
空気に向かって放出する燃料層の空気抵抗は空気層厚さによって除され、少なく
とも広幅側の長さだけ、狭幅側で空気に向かって放出する従来の燃料層の抵抗よ
りも大きくなっているからである(従来はこの抵抗が粒子崩壊のために作用して
いた)。従って、燃料層が放出速度の主成分によって微細な粒子に破壊され、小
さな表面張力によって大きな粒子に集結されることはない。このことは図5のダ
イヤフラムに対応して|α|
範囲では燃料/空気の相対速度が通常より大きくなっており、それというのは空
気が放出する従来の燃料層によっては連行されないからである。大きなせき止め
圧力を伴う端面は、摩擦力だけが作用する従来のところよりも大きくなっている
。従ってα〜αmaxにおいても良好に粒化される。さらに燃料が特に効果的に制
動されて、流入する空気によって連行され、壁に達す
ることはない。
小さなデッド容積、弁開放の開始時の良好な調質のようなダイナミックな要求
が、特に開放過程中の完全な圧力により、かつ良好な直線性が外側に開く弁によ
り申し分なく達成されるものの、わずかな疑念があり、それというのは弁が燃料
の過圧下で開かれ、閉鎖部材の破損に際して危険な大きな貫流を生ぜしめること
である。
図9及び図10の実施例によっても前述のダイナミックな要求はデッド容積=
0であるので最適に満たされ、それというのは弁座と配量(リング)間隙とが互
いに合致しており、弁開放の開始のための良好な調節が相応に良好な直線性で直
ちに可能であるからである。これに加えて、図10及び図11の実施例において
は利点として、供給路横断面内での振動の励起が明瞭に低く、それというのはそ
こでは同じ横断面積及び弁行程Hにおいて押しのけられた燃料容積H・π/4・
(D2 2−D1 2)であり、外側に開く従来の同じ横断面積の弁においては押しのけ
られた燃料容積はH・π/4・(D1+D2)2であるからである。図10の実施
例に基づく燃料容積は従来の弁に比べて少なくとも5分の1に小さくなっている
。
請求の範囲及び図面に示したすべての構成は単独に若しくは互いに組み合わせ
て用いられる。