JPH08505154A - アルツハイマー型老人性痴呆および前アルツハイマー症候群、およびそれらの進行の治療を目的とする医薬の製造のためのイダゾキサンおよびその誘導体の使用 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 下記の一般式（I）の化合物、およびその治療上許容可能な塩、そのラセミ化合物またはその光学活性な異性体の使用。 ここで、Ｒは水素原子、線状もしくば分岐状のＣ₁〜Ｃ₄アルキル基、または線状もしくは分岐状のＣ₁〜Ｃ₄アルコキシ基を表す。この化合物は、アルツハイマー型老人性痴呆および前アルツハイマー症候群の治療およびこれらの疾病の進行の防止に使用することを目的とした薬剤の製造に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】 アルツハイマー型老人性痴呆および前アルツハイマー症候群、および それらの進行の治療を目的とする医薬の製造のためのイダゾキサン およびその誘導体の使用 本発明の目的は、アルツハイマー型老人性痴呆および前アルツハイマー症候群 、およびそれらの進行の治療を目的とする、神経を保護する医薬を得るためのイ ダゾキサンおよびその誘導体の使用である。 アルツハイマー病は、必ずしも限定されないが、特に中枢のコリン作動系（マ イネルト基底核（nucleus basalis of Meynert））を侵す進行性の神経変性疾患 であり、認識能力の喪失、知的能力の喪失、および挙動および個性の異常に現わ れる。 現在のところは、症状の治療やその進行を遅らせるための満足な治療法はない 。この病気の診断は困難であり、取り分け、ニューロン外の老人性プラークおよ びニューロン内の神経原線維（neurofibril）の縫れを明らかにして、アルツハ イマー病を明確に診断できるようにするのは、特に死後に行われる解剖学的／組 織学的分析である。細胞体の喪失および神経伝達物質、特にアセチルコリンの枯 渇も、それに関連している。 イダゾキサン、すなわち２−（１，４−ベンゾジオキサン−２−イル）−２− イミダゾリン、はα₂−アドレナリン作動レセプターに対して拮抗薬特性を有す ることが知られている。この化合物、並びに抗鬱薬としてのその治療用途は、特 許ＥＰ−０，０３３，６５５号明細書に記載されている。 他のイダゾキサン誘導体は、ＥＰ−０，０９２，３２８号明細書およびＧＢ− ２，０９２，１３９号明細書にも記載されている。 イダゾキサンは、５〜４０ｍｇの投与量変化で１日３回で４週間に亙る鬱病の 治療におけるヒトの臨床研究においても研究が行われており、プラシーボに対す るハミルトン尺度で有意な改善が見られている（Drug of the Future，10，No.9 ，782（1985））。 本発明は、アルツハイマー型老人性痴呆および前アルツハイマー症候群、およ びそれらの進行の治療を目的とした医薬を製造するためのイダゾキサンおよびそ の誘導体の使用に関する。 イダゾキサンおよびその誘導体は、下記の一般式Ｉの化合物、およびその治療 上許容可能な塩、そのラセミ化合物、またはその光学活性な異性体を意味するも のと理解される。 ここで、Ｒは水素原子、線状または分岐状のＣ₁〜Ｃ₄アルキル基、または線状も しくは分岐状のＣ₁〜Ｃ₄アルコキシ基を表す。 Ｒは、優先的には水素原子、エトキシ基またはｎ−プロピル基を表す。 １．薬理学的検討 薬理学的検討により、ノルアドレナリン作動系の病変およびコリン作動系の神 経毒性の病変の後のイダゾキサンの神経保護作用が明らかになった。 ラットでは、マイネルト基底核（ｎｂＭ）にイボテン酸の両側定位注射により 、コリン作動系の破壊が起こった。 ４群の動物をいっしょにおいた。Ａ群 : 未処理ラットの群を表す。Ｂ群 : イダゾキサンをコントロールラットに投与した。Ｃ群 : ラットは、ノルアドレナリン作動系の病変およびｎｂＭにイボテン酸に よる両側定位注射を施しており、ノルアドレナリン作動系およびコリン作動系を 欠損したラットの群（異常群）を表す。Ｄ群 : ラットをＣ群と同様に処理し、イダゾキサンを投与した。 コリン作動系の破壊の程度は、コリソ作動系の末端を標識し、その活性がその 数に比例する酵素であるコリンアセチルトランスフェラーゼ（ＣｈＡＴ）の活性 を測定することによって決定した（C．G．Gott1ries，J．Neurosci．Res.，27， 541（1990）、およびE．Perry，Br．Med．J.，1457（1978）、およびG．L．Wenk ，Brain Res.，293，184（1984））。 イダゾキサンで繰返し治療すると、神経保護作用が見らわ、イボテン酸によっ て引起こされ、酵素によって測定されるコリン作動性ニューロンの喪失が減少す ることが見られた（Ｃ群に関してのＤ群）。 従って、イダゾキサンで治療することにより、ノルアドレナリン作動系および コリン作動系の病変によって誘発された記憶性能の喪失が減少することが示され る（Ｃ群に関してのＤ群）。 ２． 製薬的検討 医薬組成物を、錠剤当たり活性成分１〜２００ｍｇ、更に詳細には５、１０、 ２０および４０ｍｇの投与量を含むゼラチンカプセルまたは錠剤の形態で経口投 与し、またはイダゾキサン０．１〜１０ｍｇの投与量を含む注射用溶液の形態で 静脈内に投与する。 ３． 臨床的検討 前アルツハイマー性痴呆に罹っていると診断された２０名の患者およびアルツ ハイマー病に罹っていると診断された２０名の被験者に、イダゾキサン２０ｍｇ を１日３回で９か月間経口投与した。有効性を、総合的症状の進行に対して測定 し、有益な効果を示した（前アルツハイマー性痴呆の７例およびアルツハイマー 病の５例で、「改善」および「若干改善」した群）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． 下記の一般式Ｉの化合物、およびその治療上許容可能な塩、そのラセミ 化合物またはその光学活性な異性体の、アルツハイマー型老人性痴呆および前ア ルツハイマー症候群およびそれらの進行の治療を目的とした医薬の製造のための 使用。 ここで、Ｒは水素原子、線状もしくは分岐状のＣ₁〜Ｃ₄アルキル基、または線状 もしくは分岐状のＣ₁〜Ｃ₄アルコキシ基を表す。 ２． Ｒが水素原子を表す、請求の範囲第１項に記載の使用。 ３． Ｒがエトキシ基を表す、請求の範囲第１項に記載の使用。 ４． Ｒがｎ−プロピル基を表す、請求の範囲第１項に記載の使用。