JPH08505097A - 高品質の仕上外面を有する複合材の製造方法 - Google Patents

高品質の仕上外面を有する複合材の製造方法

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JPH08505097A JP6515329A JP51532994A JPH08505097A JP H08505097 A JPH08505097 A JP H08505097A JP 6515329 A JP6515329 A JP 6515329A JP 51532994 A JP51532994 A JP 51532994A JP H08505097 A JPH08505097 A JP H08505097A
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エル. ボアヴァン−イアソーニャ,デニス
ジェイ. ディオニツィオ,リチャード
エム.ザ サード サンティソ,ジョセフ
Original Assignee
ユナイテッド テクノロジーズ コーポレイション
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Abstract

(57)【要約】 高品質の外面すなわち化粧上滑らかな外観を呈する清潔な仕上げ面を有する複合材の製造方法。この方法は、成形アセンブリ準備工程と、従来の成形アセンブリを利用した従来のレイアップステップおよび硬化ステップと、改良された後硬化仕上げ工程とを含む。成形アセンブリ準備工程では、レイアップステップ用の成形アセンブリを準備し、成形アセンブリの成形表面に対する面仕上げ薄膜のレイアップおよび面合わせステップを含む。面仕上げ薄膜は、仕上げ複合材と一体の要素であり、硬化複合材の外面を規定する最も外側の層として機能する。改良された後硬化仕上げ工程は、順に、清潔な仕上げ面を有する外面を得るための洗浄ステップと、清潔な外面仕上げ薄膜層を細かいテクスチャにして従来のプライマ一塗料を一層塗布しやすくする第1の研磨ステップと、水破壊試験を行ってテクスチャ化した清潔な外面の清潔さを調べる試験ステップと、プライマー塗布した外面に環境的に安全な水系エポキシ充填剤を一層以上順次塗布するステップと、プライマー充填剤を塗布した外面から目に見えない表面欠陥を除去する第2の研磨ステップと、プライマー充填剤を塗布して研磨後の外面にプライマー塗料を塗布するステップと、最後にプライマー塗布後の外面に一層以上塗料を塗布して高品質の外面を有する仕上げ複合材を形成するステップと、を有する。

Description

【発明の詳細な説明】 高品質の仕上外面を有する複合材の製造方法 技術分野 本発明は複合材の製造方法に関し、特に、高品質の仕上外面を有する複合材の 製造方法すなわち金型アセンブリ作成工程と改良された後硬化仕上工程とを含む 方法に関する。 発明の背景 複合材は強度が高く軽量であるという好ましい特性を兼ね備えているため、特 に航空宇宙用の構造部品など多種多様な製品の製造用として広く一般に利用され ている。多くの航空宇宙用の複合構造部品にはハニカムコアが組み込まれており 、その高い強度や軽量特性がさらに増している。複合材は、織物やマットの積層 品や層から形成され、グラファイト、アラミド(例えばケブラー)、ホウ素、フ ァイバーグラスなどの繊維質材料からなるマトリックスにエポキシ、ポリマー、 フェノールなどの有機樹脂材料を含浸させたものである。通常、複合材を形成す るための方法には、減圧バッグ成形された半剛性の成形アセンブリを利用したプ レプレグ方式と樹脂トランスファー成形などののウェット方式の2つの製造方法 がある。 プレプレグ方式では、有機樹脂を予め含浸させ、部分的に硬化させた(粘着性 の)複合積層を形成するように段階的に乾燥させた繊維質の積層品を利用してい る。この複合積層品は金型アセンブリ内 にレイアップされる。レイアップ後の金型アセンブリを減圧バッグしてオートク レーブ内で温度と圧力とにより硬化させることで複合材を形成している。ウェッ ト方式では、金型アセンブリ内にレイアップして液状樹脂を含浸させた繊維質の 層を利用している。その後、レイアップされた金型アセンブリをオートクレーブ 内で温度と圧力とによって硬化させることで複合材を形成している。 これらの製造技術は、それぞれはっきりした長所と短所とがあるが、プレプレ グまたはウェット方式による技法の何れかを利用して製造される複合材は、機械 強度と重量の点から特に航空宇宙用の用途には大変満足のいくことが証明されて いる。しかしながら、この複合材では、例えば見た目などの表面化粧的なことが 重要な要素となる場合には満足のいく結果は得られなかった。今日の複合材本来 の特性と製造技術では、ほとんど全ての硬化複合材の表面には多かれ少なかれ微 細な傷があるのが普通である。硬化後の複合材の外面に対して微細な傷が発生す ると、後述するように見た目に悪影響が及ぶ。ここで、外面という用語には、仕 上げ後の複合材の化粧的な要素、すなわち見た目に耐え得る、通常状態で視認可 能な場所に配される複合材の表面を含む。 図1に、一例として硬化後の複合材、この場合、ヘリコプタの胴体の一部を構 成する複合構造パネルを示す。図示した複合構造パネルには、ハニカムコアすな わち開放面を有する構造部材が組み込まれている。一般的な表面欠陥である表面 のくぼみはゴルフボールのくぼみに似ており、図1Aに示すようにハニカムコア を組み込んだ複合材に見られる。製造時、複合面CSはハニカムコアの開口部内 にへこむので、ハニカムコアHCを覆う複合面CSはハニカムコアHCの端部に よって規定される外面と同一平面にはならない。 主な表面欠陥を2つ図1Bに図示するが、これは積層/層には必ずといってい いほど普通に生じるものである。例えば、繊維織物、樹脂を含浸させた結果硬化 した複合材の多孔性すなわち樹脂濃度の高い領域と樹脂濃度の低い領域と、金型 アセンブリの成形表面が不完全であるために生じる。 波打ちRは、繊維材料のない複合表面領域であるということ、すなわち樹脂濃 度が高いことを意味し、毛羽立ちFは、支持されていない繊維質の材料を有する 複合表面領域を意味する。図1Cに、ピンホールPと空隙Vなど、他の主要な表 面欠陥を図示するが、これらは複合材本来の特性および/または複合材を製造す るのに利用される製造技術が原因で生じるものである。例えば、製造時に複合レ イアップに抱き込まれた空気が外に逃げてピンホールPが発生する一方、空隙V は、繊維材料の樹脂飽和が不完全である場合や、樹脂材料のチッピングやクラッ キングが原因で発生する場合がある。 この表面欠陥は通常微細で肉眼ではほとんど見えず、ほとんど触感がないが、 この表面欠陥から生じる化粧上の悪影響は、複合材の外面にプライマーおよび/ または塗料を塗布した場合にはすぐに明らかになる。複合材の塗布後の外面の微 細表面欠陥からは光が分散して反射し、見た目では外面が滑らかでないという印 象を与えている。このような化粧上のマイナス面の印象は、複合材の市場性、特 に航空宇宙市場に悪影響を与える場合がある。 高品質の仕上外面、すなわち化粧上滑らかな仕上面を有する複合 材を提供するため、複合材本来の表面欠陥から生じる化粧上のマイナス面の印象 を改善する目的で、通常は2つの相互に関連した方法が利用されている。 通常、この2つの方法は視覚的に滑らかな外面を提供するために相互に関連さ せて利用される。最初の方法は、製造工程で生じる表面欠陥の発生を最小限にす る製造工程の硬化段階の前に行われる技法または工程、すなわち従来の製造工程 の改良に関するものである。第2の方法は、改良後の製造時に発生する表面欠陥 を実質的になくすために硬化後の複合材の外面に後硬化仕上処理を施すことに関 するものである。 予め硬化させた複合面、ベール層、構造接着剤の利用など、いくつかの前硬化 技術のいずれか1つを利用して、複合材の製造工程で必ず生じる表面の欠陥の数 を最小限にするようにしてもよい。製造工程のレイアップ段階の最初の工程とし て予め硬化した複合面を使用すると、この表面が金型表面に対して十分に圧縮さ れた層となるという利点がある。 さらに、複合面を予め硬化すると製造工程の硬化段階で使用する圧力を容易に 高くできる。 予め硬化させた複合面の使用は、硬化させた複合材の仕上面が金型表面の質に 左右される上にこの工程に極めて多くの労力を要するという事実から考えると好 ましいものではない。また、予め硬化させた複合面から形成される複合材は特殊 なオートクレーブサイクルを必要とするため、硬化複合材にかかるコストも全体 的に高くなる。さらに、この硬化複合材の重量も、従来の製造技術を使用して製 造 される同様の複合材よりも増える。 ベール層(veil plies)を利用することにより、硬化複合材の外表面層として の犠牲層を有する複合材すなわち犠牲層が硬化複合面の上に重なった複合材を製 造することができる。しかしながら、ベール層は大変粘着力が強くて折れ易いた め、レイアップ段階で扱うのは困難である。すなわち、ベール層は大規模なレイ アップには不向きである。 また、ベール層を利用して製造された複合材の外面は、従来の製造処理技術を 使用して製造した複合材の表面の質、すなわち樹脂濃度の低い領域および/また は樹脂濃度の高い領域、毛羽立ちなどの表面本来の欠陥を有するものと同程度で ある。 構造接着剤は、製造工程のレイアップ段階には適用しやすく、後硬化による仕 上げ工程の研磨時にも問題はない。しかしながら、構造接着剤は製造工程の硬化 段階では流動特性や充填特性が良いとはいえず、硬化段階で気体が逃げて硬化複 合材にピンホールを発生させる原因となっている。 上述した通り、従来の製造工程を利用して製造した複合材や上述した改良型の 製造工程の1つを利用して製造した複合材の外面には、仕上げ面を滑らかにする ために後硬化処理が施される。すなわち、製造工程で発生した表面欠陥を実質的 になくす。先行技術の後硬化仕上げ工程は極めて多くの労力を必要とし、時間も かかるため、仕上げ工程後の複合材のコスト全体を引き上げてしまう。 また、この後硬化仕上げ工程によって、通常は仕上げ後の複合材の重量が増え るため、航空宇宙分野での利用するには明らかに不利 である。その上、この後硬化仕上げ工程は、環境規制の対象となっている化学薬 品および/または化合物を利用する場合もある。 ヘリコプタ用の複合構造部品の後硬化仕上げ用に本発明の譲受人により利用さ れる先行技術の仕上げ方法の一例は、(A)木目の粗いサンドペーパーによって 硬化複合材の外面を研磨するステップと、(B)研磨後の表面を洗浄するステッ プと、(C)洗浄後の外面を洗浄試験するステップと、(D)滑らかな外面にプ ライマーを塗布するステップと、(E)プライマー塗布後の外面に充填剤を塗布 するステップと、(F)充填剤塗布後の外面を研磨するステップと、(G)研磨 後の外面にプライマーを塗布するステップと、(H)プライマー塗布後の外面に 塗料の塗膜を一層以上塗布するステップとを含んでいる。 硬化複合材の外面は、目の粗いサンドペーパーで、約80から180の粗粒範 囲で研磨される。目の粗いサンドペーパーを使用して研磨することで、波打ちや 毛羽立ちなどの表面に固有の欠陥は発生するが、外面に付着する離型剤の除去お よび/または縁取りや穴あけなどの後硬化による機械的作業が原因で生じる不連 続部分を除去して「清潔な」外面とすることができる。 「清潔さ」という用語は、ここでは外面の仕上げ状態を定義するために使用さ れているが、目的とする定量化に即座には結びつかない本質的に重要な客観的品 質であることは当業者であれば理解できよう。ここでは、「清潔さ」は、不規則 性、粗さ、または突出が本質的にない表面として定義されるため、プライマーお よび/または塗料を塗布したとき、化粧上滑らかな外観を呈する。 定性的には、清潔な表面とは後に詳しく説明する「水破壊」試験に合格した表 面である。研磨工程には労力を必要とする上、この工程に必要なサンドペーパー の粗さによって仕上げ表面を劣化させる場合がある。例えば、研磨工程によって 外面から必要以上に樹脂が除去されてしまうと、内部の空隙および/または繊維 材料が露出する毛羽立ちの原因になる場合がある。 次に、研磨後の表面を従来の溶媒で洗浄し、研磨工程すなわちクリーニングの 結果として表面に蓄積した粒子を除去する。次に、清潔であるかどうか洗浄後の 外表面を試験する。清潔であるかどうかの定性的な試験は、「水破壊」試験によ り行われる。この試験は、ワックスがけした乗用車を洗浄する場合に得られる特 性に似た特性に基づいている。洗浄後の複合材外面に水を散布し、その水の作用 を観察する。 問題なく水が流れ落ちればその表面領域は清潔であるということになるが、水 玉になればその表面領域は清潔ではないことになる。ステップ(A)および(B )は、水破壊試験で全ての外表面が滑らかなことが分かるまで必要に応じて繰り 返される。本願発明者らは、経験則で通常の複合材の外面を滑らかにするには平 均4回の水破壊試験が必要であると判断した。 次に、複合材の滑らかな外面にMIL-P-85582などのプライマー塗料をスプレー する。このプライマー塗料は外面を効果的に着色するため、外表の見た目が良く なるのはこの時点である。すなわち、どの微細表面欠陥も分散して反射した光に よって肉眼でも見えるようになる。例えば、先に研磨処理を施したとしてもピン ホールや空隙 などの表面欠陥には影響しない場合がある。 さらに、上述したように表面欠陥は研磨時に外面に誘引される場合がある。プ ライマー塗布した外面にはプライマー塗布後に何度か(例えば3、4回)Awl-Qu ikなどのエポキシ充填剤をスプレー塗布する。さらに、充填剤を塗布した複合材 を約6時間から8時間オーブンで乾燥させる。このような充填剤を塗布するのは 、プライマー塗布後の外面を滑らかにするため、すなわち空隙およびピンホール を埋めるおよび/または波打ち部分や露出した繊維付近の表面をメッキする目的 で適用される。充填材は、外面を被覆すると共に表面を比較的滑らかな仕上げ面 にするが、いくつかの点で不利である。第1に、充填剤を塗布することによって 仕上げ後の複合材の総重量は著しく増加し、航空宇宙分野での利用に際して大き な問題となる。充填剤被膜は、それに続くクラッキングおよび/またはチッピン グの原因になっている。例えばAwk-Quikなど、エポキシ系の充填材の中には、環 境面で危険な物質であるがゆえに地方や州および/または連邦政府の環境規制機 関から必要な証書を得なければ利用できないものもある。 充填剤を塗布した外面は、その後目の粗いサンドペーパーで再研磨され、残り の表面欠陥が除去される。次に研磨後の外面にプライマーをスプレー塗布する。 また、この時点でも残っている表面欠陥はすべて分散反射光によって可視的に確 認できる。充填剤塗布、研磨、プライマー塗布の各ステップは、仕上げ面の滑ら かな外面を得るために必要に応じて繰り返される。最後に、滑らかな外面に一層 か二層の塗料(通常二層)を塗布して乾燥させ、仕上げ後の複合材 を形成する。 複合材を製造する従来の方法、特にこの方法に関連した後硬化仕上げ方法は時 間がかかり、労力も費やすと同時に、仕上げ後の複合材の全体的なコストを引き 上げてしまう。その上、一般に先行技術の後硬化仕上げ方法は仕上げ後の複合材 の重量を増やしてしまうため不利である。また、このような従来の方法では環境 的に有害な化学薬品および/または化合物を利用せざるを得ない場合がある。 従って、高品質の仕上げ外面、すなわち化粧上見た目を満足させる滑らかな仕 上面を有する複合材を製造するための方法が望まれている。この方法を用いれば 、複合材の後硬化仕上げに伴う人件費と処理コストを低減できるはずである。ま た、複合材の後硬化仕上げに伴う重量の増加量を最小限にできるはずである。さ らに、複合材の後硬化仕上げのために環境的に有害な化学薬品および/または化 合物を使用しなくても済むようになるはずである。 発明の開示 本発明の目的は、化粧上滑らかな見た目をもたらす高品質の仕上面を有する複 合材を製造する方法を提供することにある。 本発明の他の目的は、複合材の後硬化仕上げに伴う重量の増加量を最小限にす る後硬化仕上げ方法を含む高品質の外面を有する複合材を製造する方法を提供す ることにある。 また、本発明の別の目的は、複合材の後硬化仕上げに伴う処理コストと人件費 とを低減する高品質の外面を有する複合材を製造する方法を提供することにある 。 さらに、本発明のもう1つ別の目的は、複合材の後硬化仕上げに環境的に安全 な化学薬品および/または化合物を利用する高品質の外面を有する複合材を製造 する方法を提供することにある。 本発明の上記および他の目的は、高品質の外面、すなわち化粧的に満足な見た 目を有する滑らかな仕上げ面を有する複合材を製造する方法により達成される。 本発明の方法により、複合材の製造における人件費およびコストを著しく削減す ると同時に、高品質の外面を有する仕上げ後の複合材を提供するのに必要な全体 的な製造コストを著しく削減すると共にサイクルタイムを大幅に短縮させる。本 発明の方法を利用して製造した複合材は、従来の技術を利用して製造した複合材 に比べて全体の単位重量が軽い。さらに、この方法では環境的に安全な化学薬品 および/または化合物を利用している。 本発明による方法は、成形アセンブリ準備工程と、従来の成形アセンブリを利 用した従来型のレイアップおよび硬化ステップと、改良型の後硬化仕上げ工程と を含む。成形アセンブリ準備工程では、後続のレイアップステップ用の成形アセ ンブリの準備を行う。成形アセンブリ準備工程は、成形アセンブリの成形表面上 に面仕上げ用薄膜をレイアップするステップと、成形アセンブリの成形表面にレ イアップした面仕上げ用薄膜を合わせるステップとを含む。面仕上げ用薄膜は、 仕上げ後の複合材と一体の要素となる、硬化後の複合材の外面を規定する一番外 側の層として機能する。面仕上げ用の薄膜を設けることで、後続の従来のレイア ップステップと硬化ステップとにおいて発生する表面本来の欠陥を実質的になく すことができる。 本発明による改良された後硬化仕上げ工程は、洗浄ステップと、第1の研磨ス テップと、試験ステップと、第1のプライマー塗布ステップと、第2のプライマ ー塗布ステップと、塗料塗布ステップとで構成される。硬化後の複合材の外面は 最初に表面クリーナで洗浄される。次に清潔な外面を目の細かいサンドペーパー で研磨し、その面仕上げ用の薄膜層にテクスチャを施してプライマー塗料が付着 しやすいようにする。さらに、テクスチャを施した清潔な外面について清潔かど うか水破壊試験する。上述したステップを必要に応じて繰り返し、清潔な仕上げ 表面を有する外面を得る。 研磨した外表面に従来のプライマーを一層塗布して乾燥させる。続いて、プラ イマーを塗布した外面に対して環境的に安全な水系エポキシプライマー充填剤を 数回塗布し、このプライマー充填剤を塗布した複合材をオーブンで乾燥させる。 次に、乾燥させたプライマー塗布外面を研磨して微細表面欠陥を除去する、すな わち清潔な仕上げ外面を得る。その後、研磨した外面にもう1度従来のプライマ ーを塗布する。最後に、プライマー塗布後の外面に塗料を一層以上塗布して乾燥 させ、高品質の外面を有する仕上げ複合材を形成する。 図面の簡単な説明 本発明およびそれに付随する利点および特徴については、以下の添付図面を参 照して考慮される後述する詳細な説明からより一層完全に理解できよう。 図1は、従来の技術によって製造された複合材構造の一例を示す図である。 図1Aは、図1の線A−Aに沿って切った部分断面図であって、ハニカムコア が組み込まれた硬化複合材に特有の表面欠陥を示す図である。 図1Bは、図1の線B−Bに沿って切った部分断面図であって、硬化複合材に 特有の他の表面欠陥を2種類示す図である。 図1Cは、図1の線C−Cに沿って切った部分断面図であって、硬化複合材に 特有のさらに他の表面欠陥を2種類示す図である。 図2は、本発明による高品質の外面を有する複合材の製造方法を示すフローチ ャートである。 図3は、複合材を製造するための成形アセンブリの一例を示す図である。 図4は、本発明による高品質の外面を有する複合材の製造方法のために改良さ れた後硬化仕上げ処理を示すフローチャートである。 好適な実施例の詳細な説明 図中、複数の図面について同様の参照符号は同一あるいは類似の要素を示す。 図2に、本発明による高品質の仕上げ外面を有する複合材を製造する方法10を 図示する。この方法10は、「プレプレグ」方式でも「ウェットレジン」方式で も利用できるものである。方法10は、極めて高品質な見た目すなわち滑らかな 見た目を有する「滑らかな」外面を持つ複合材を提供する。 さらに、方法10は、以下に詳しく説明する通り、複合材の製造に際して大幅 にコストを削減し、従来の技術で製造および後硬化仕上げを施す複合材の場合と 比べて、複合材の後硬化仕上げに必要な 時間を短縮させる。さらに、本方法10に従って製造された高品質の外面を有す る仕上げ複合剤は、従来の技術を利用して製造および後硬化仕上げした複合材に 比べて全体の単位重量が軽い。 本発明による方法10は、成形アセンブリ準備工程12と、従来の複合レイア ップステップ14と従来の硬化ステップ16と後硬化外面仕上げ工程20とで構 成される。 複合レイアップ工程14および硬化工程16は、当業者が通常使用する従来の 製造技術のいずれか、すなわちプレプレグ方式かまたはウェットレジン方式から なる。 成形アセンブリ準備工程12では、従来の複合レイアップ工程14のために図 3に示すような成形アセンブリを準備する。PL795(B.F.Goodrich)、AF325( 3M Aerospace)、FM99(American Cyanamid)などの面仕上げ用薄膜13の層は 、成形アセンブリMを構成する各成形型の成形表面MSに被覆される。 成形アセンブリMを室温にし、同様に面仕上げ薄膜13も室温にすれば処理特 性を改善させることができる。ここで、ハードウェア位置や鋭利なだぼ(例えば 小さな段差などの表面過渡領域)など、通常研削やバリ取りなどの対象となる領 域については面仕上げ薄膜13を二重層にしてもよい。 その後、ローラやスキージなど従来の手段を利用してレイアップ後の面仕上げ 薄膜13に力を印加し、レイアップ後の面仕上げ薄膜13をそれぞれの成形表面 MSにぴったりと合うようにする。レイアップ後の面仕上げ薄膜13と一体にし てから成形アセンブリMを減圧バッグし、例えば約5分から15分間程度の短時 間オートクレ ーブ内でかさばらないようにし、残っているエアポケットを無くすようにする。 これで、レイアップ後の面仕上げ薄膜13が成形アセンブリMの成形表面MSに ぴったりと合うようになる。 以下に詳述する通り、面仕上げ薄膜13は、仕上げ複合材と一体の要素として 構成される。具体的には、面仕上げ薄膜13は、本発明による方法10で製造し た仕上げ複合材の外面を規定する最も外側の層で構成される。これは、製造工程 の前硬化処理の改良としてベール薄膜を利用するのとは対照的である。面仕上げ 薄膜13は、繊維素子を含まず、製造時に樹脂飽和状態にならない限りは実質的 に表面欠陥をなくす機能を果たす。 成形アセンブリ準備工程12の完了後、複合材の製造に利用する方式がプレプ レグ方式かウェットレジン方式かに応じて周知の技術を利用してレイアップ工程 14を実行する。プレプレグ方式の場合、プレプレグ層およびハニカムコアや半 剛性心金などの内部素子は、成形アセンブリMとの組み合わせとしてレイアップ される。すなわち、プレプレグ層は、面仕上げ薄膜13の上に重なる。 レイアップ後の成形アセンブリMは必要に応じて準備され、例えば、硬化工程 16のために減圧バッグされる。ウェットレジン方式の場合、乾燥した繊維材の 層と内部素子は成形アセンブリMとの組み合わせでレイアップされる。すなわち 、乾燥した層は面仕上げ薄膜13の上に重なる。レイアップ後の成形アセンブリ Mは必要に応じて準備され、雄/雌の成形型を組み合わせて固定して閉型し、加 圧下で有機樹脂を密閉した成形アセンブリMに注入して複合レイアップの層を飽 和させる。 レイアップ後の成形アセンブリMは、従来の硬化工程16の一環として、オー トクレーブ内で所定の硬化サイクル、すなわち圧力、温度、時間で硬化される。 硬化サイクルの硬化圧力、硬化温度、硬化時間は、複合レイアップを形成する繊 維材と有機樹脂によって決まる。 硬化サイクル終了後、硬化複合材を成形アセンブリMから離型し、必要に応じ て、縁取りや穴開けなどの従来の機械的作業を施す。この機械的作業は、複合材 の外面がバリ取りされたり研削されたりすることのないような方法で行うべきで 、これを怠ると面仕上げ層13を破損してしまい、後述するように本発明による 後硬化仕上げ工程20によって提供される外面仕上げに悪影響が及ぶ。 本発明による後硬化仕上げ工程20を図4に示す。この工程は、洗浄ステップ 22と、第1の研磨ステップ24と、試験ステップ26と、第1のプライマー塗 布ステップ28と、ブライマー充填剤塗布ステップ30と、第2の研磨ステップ 32と、第2のプライマー塗布ステップ34と、塗料塗布ステップ36とで構成 される。 3M汎用接着剤クリーナー#08984(3M社、St.Paul,Mn)などの複合 材用の表面クリーナーを利用する洗浄ステップ22で硬化後の複合材の外面をき れいに拭き、硬化複合材に付着した離型剤、オイル、埃などを除去する。次に、 ステップ24において洗浄後の複合材外面を目の細かいサンドペーパーで研磨す る。 本発明による後仕上げ工程20の場合、目の細かいサンドペーパーは、3M Gol d Stikit Fi1mなど約400グリットのサンドペーパーであると定義される。研 磨ステップ24は、「摺り傷を付ける」 すなわち軽く荒削りをしたり細かくテクスチャを施したりするのに有効で、複合 材の滑らかな外面を規定する面仕上げ薄膜13は、プライマー塗布ステップ28 で塗布されるプライマー塗料の粘着を容易にする外面テクスチャとなる。また、 研磨ステップ24は、外面から成形用離型剤を除去するよう作用する。 洗浄してテクスチャ処理を施した外面は、その後上述した水破壊試験を利用し た試験ステップ26において清潔であるかどうか試験される。水破壊試験で外面 領域が清潔でないことが示された場合、外面が清潔になるまで必要に応じて洗浄 ステップ22および研磨ステップ24を順次繰り返す。 本願発明者らは、経験から従来の後硬化仕上げ方法を利用した場合には水破壊 試験が平均4回は行われるのと比べ、通常の硬化複合材で清潔な外面を得るには 水破壊試験は1回でよいことがが必要であるという結論に達した。 ステップ28において、研磨後の外面にMIL-P-85582などのプライマーを一層 塗布し、例えば10分から15分程度の短時間で乾燥させる。ステップ30では 、複合材のプライマー塗布後の外面に、DuPont 275S gray/DuPont 285S activat or(E.I.du Pont de Nemours Co.)などの水系エポキシプライマー充填剤を少 なくとも1回、通常は3回から4回塗布する。 プライマー充填剤の塗布後は、次の塗布を行う前に3分から5分間、フラッシ ュすなわち乾燥させる。プライマー充填剤を最後に塗布した後、ステップ30で 利用した水系エポキシプライマー充填剤の特性に基づいて、プライマー充填剤を 塗布した複合材を所定の時 間、所定の温度でオーブン乾燥させる。DuPont 275Sあるいは285Sなどの水系エ ポキシプライマー充填剤を用いる場合、華氏約110度で1時間以上4時間未満 かけて乾燥させる。 ステップ30で水系エポキシプライマー充填剤を使用すると、上述した従来の 後硬化仕上げ工程で利用したエポキシ系充填剤の場合の6時間から8時間に対し て、プライマー充填剤塗布の外面を有する複合材を得るのに必要な乾燥サイクル 時間は約1時間から4時間と大幅に短縮される。 さらに、同等の複合材について見ると、プライマー充填剤を塗布した複合材は 、従来の後硬化仕上げ工程など上述した工程における比較可能な段階における複 合材の総重量が軽い。さらに、DuPont 275SおよびDuPont 285Sなどの水系エポキ シプライマー充填剤は、環境的にも安全であるため、その利用について環境関係 機関からの証書を得る必要もない。 プライマー充填剤を塗布した外面を乾燥させた後(例えば、塗膜に爪を押しつ けた時に跡がつかなければプライマー充填剤は乾燥している)、ステップ32に おいて例えば約400グリッド程度の目の細かいサンドペーパーを利用してプラ イマー充填材塗布後の外面を研磨する。 プライマー充填剤塗布後の外面を研磨して表面欠陥を除去する。すなわち、こ の処理によってプライマー充填剤塗布後の外面は滑らかな仕上げ面を有する。研 磨ステップ32の完了後、ステップ34においてMIL-P-85582など別のプライマ ーを研磨後の外面に塗布して乾燥させる。最後に、ステップ36においてプライ マー塗布後の 滑らかな外面に一層以上(本実施例では二層)塗料を塗布して乾燥させ、高品質 の外面を有する仕上げ複合材を形成する。 上述した通り、高品質の仕上げ外面を有する複合材を製造する方法10は、従 来の製造技術および後硬化仕上げ技術を利用して製造される複合材に比べて、明 らかな利点がいくつかある。見た目で滑らかな外観を有する外面を有する仕上げ 複合材を提供できるだけでなく、本発明による製造方法10では全体の処理サイ クル時間を著しく短縮して労働時間と労働コストの大幅な削減を実現すると同時 に、結果的に全体的な製造総コストを削減できる。 また、製造方法10は、仕上げ後の複合材についての再作業、すなわちストリ ッピングや目に見えない微細表面欠陥を除去するための仕上げ複合材の再処理の 必要性を大幅に少なくしている。 これらの利点を定量化するために、本願発明者らは従来の製造方法および後硬 化仕上げ技術、すなわち先行技術による方法と対比する形で本発明による方法1 0を利用して製造された同一の複合材の製造に関する製造コスト、労働支出、時 間について経験則によるデータを集めた。 この経験的なデータから、先行技術による方法のサイクル時間は約8時間であ るのに対して本発明による方法10のサイクル時間は約3時間であることが分か った(いずれの方法でも従来のレイアップおよび硬化工程に必要な時間は除く) 。労働支出は、先行技術による方法の場合が約0.41時間/平方フィートであ るのに対して、本発明による方法10を用いた場合は約0.26時間/平方フィ ートになり、約37%減少した。 それに伴い、製造方法10の労働コストは、先行技術による方法の約13.4 6ドル/平方フィートに対して約21.43ドル/平方フィートで、同様に削減 された。しかしながら、材料コストについてみると、この製造方法10では成形 アセンブリ準備工程12で面仕上げ薄膜13を使用するため従来技術による方法 の材料コストより高くなった。製造方法10の材料コストは、従来技術による方 法の約42.53ドル/平方フィートに対して、約46.89ドル/フィートで あった。 製造方法10の製造総コストは、先行技術による方法の約63.96ドル/平 方フィートに対して、約60.35ドル/平方フィートであった。結果として本 発明による製造方法10を利用すると、総体コストで3.61ドル/平方フィー トの節約になることが明らかになった。これは、NAVAL HAWKヘリコプタ(米海軍 Sikorsky S-70型BLACKHAWKヘリコプタの変形)の全製造コストに換算すると約 1230ドル/1機、CH−53E型ヘリコブタで約5250ドル/1機、Siko rsky S−76(R)型については約1440ドル/1機の節約となる。 本発明の製造方法10および先行技術による方法を利用して製造した同一の複 合材が、方法10と先行技術による方法との間で総重量でどれだけ節約になるか を判断するために塗料の塗布前後に計量した。はっきりと示されたデータからは 、製造方法10は、結果的に総重量で先行技術による方法と比べて約0.08ポ ンド/平方フィートの削減となることが分かった。これは、機体総重量に換算す るとNAVAL HAWKヘリコプタについては27ポンド/1機、 CH−53E型については約116ポンド/1機、S−76(R)型ヘリコプタ については32ポンド/1機の削減となる。 上述のはっきりと示されたデータは、基本的に製造方法10の成形アセンブリ 準備工程12においてAF325またはFM99などの面仕上げ薄膜13を使用した場合 のものである。予備データは、PL795を使用することで製造方法10の総コスト を大幅に削減できることを示している。具体的には、この予備データから、面仕 上げ薄膜としてPL795を利用することで、製造方法10を使用して総コストで7 .29ドル/平方フィート(3.61ドル/平方フィートに対して)の節約を実 現できることが分かる。これは、AF325またはFM99の単位コスト(約5.67ド ル/平方フィート)に対するPLL795の単位コスト(約1.90ドル/平方フィー ト)の差から生じる材料コスト削減に伴う結果である。 上述した教示内容に関してついて本発明に様々な改良および変更を加えること ができる。従って、添付の特許請求の範囲内では、本発明はここで具体的に説明 した形以外でも実用化できることは理解できよう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ディオニツィオ,リチャード ジェイ. アメリカ合衆国,コネチカット 06489, サウズィントン,ポール ハイツ 21 (72)発明者 サンティソ,ジョセフ エム.ザ サード アメリカ合衆国,コネチカット 06488, サウスベリー,ジェレミー ロード 696

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 高品質の外面を有する複合材の製造方法であって、成形表面を有する従来 の成形アセンブリを利用した従来のレイアップステップおよび硬化ステップを含 む複合材製造方法において、 成形アセンブリの成形表面に面仕上げ薄膜の層を塗布するステップと、 成形アセンブリ内に複合レイアップを形成するとともに、前記面仕上げ薄膜層 は複合レイアップの最も外側の層であるステップと、 複合レイアップを硬化させて外面を有する複合材を形成するステップと、 表面クリーナーで硬化複合材の外面を洗浄するステップと、 目の細かい材質の研磨材で硬化複合材の外面を研磨して外面に細かいテクスチ ャを施すステップと、 細かいテクスチャを施した外面の水破壊試験を行って清潔さを判定するステッ プと、 テクスチャを施した外面にプライマーの塗膜を塗布するステップと、 プライマー塗布後の外面に少なくとも一層のプライマー充填剤塗膜を塗布する ステップと、 目の細かい材質の研磨材でプライマー充填剤塗布後の外面を研磨して表面欠陥 を除去するステップと、 研磨後の外面にプライマー塗膜を塗布するステップと、 プライマー塗布後の外面に少なくとも一層の塗料を塗布して高品 質の外面を有する前記仕上げ複合材を形成するステップと、を有する複合材製造 方法。
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