JPH08504589A - 改変クチナーゼ、dna、ベクター及び宿主 - Google Patents
改変クチナーゼ、dna、ベクター及び宿主Info
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- JPH08504589A JPH08504589A JP6514771A JP51477193A JPH08504589A JP H08504589 A JPH08504589 A JP H08504589A JP 6514771 A JP6514771 A JP 6514771A JP 51477193 A JP51477193 A JP 51477193A JP H08504589 A JPH08504589 A JP H08504589A
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Abstract
(57)【要約】
アニオン界面活性剤との相容性が改善されるようにアミノ酸配列を改変した親クチナーゼのクチナーゼ変異体を提供する。特に、アニオン界面活性剤と酵素との結合を低減することによりアニオン界面活性剤との相容性が改善された。
Description
【発明の詳細な説明】
改変クチナーゼ、DNA、ベクター及び宿主技術分野
本発明は一般に、脂肪分解酵素の分野に関する。本発明はとりわけ、組換えD
NA技術により改変した脂肪分解酵素、その産生方法、及び特に酵素洗剤組成物
でのその使用に関する。背景及び従来技術
脂肪分解酵素は、トリグリセリドを遊離脂肪酸やジグリセリド、モノグリセリ
ド、場合によってはグリセロールに加水分解できる酵素である。前記酵素は更に
、より複雑なエステル(例えば植物のクチン層又は皮脂)を分解し得る。脂肪分
解酵素は、業界ではトリグリセリドのエステル交換やエステル合成のような種々
の酵素法で使用されている。前記酵素は更に、洗剤製品の脂肪除去性を改善する
ために洗剤組成物で使用されている。
最も広範に使用されている脂肪分解酵素は、リパーゼ(EC3.1.1.3)
である。例えば、ヨーロッパ特許出願公開第258 068号及びヨーロッパ特
許出願公開第305 216号(共にNovo Nordisk)は共に、rD
NA技術による異種宿主微生物を介した真菌リ
パーゼの産生、特にThermomyces lanuginosus/Hum icolal anuginosa
に由来するリパーゼの産生を記載している。
ヨーロッパ特許出願公開第331 376号(Amano)は、Pseudom onas cepacia
由来のリパーゼのアミノ酸配列を含め、リパーゼ、並
びにそのrDNA技術による産生及び使用を記載している。rDNA技術により
産生されるリパーゼの別の例はWO−A−89/09263号やヨーロッパ特許
出願公開第218 272号(共にGist−Brocades)に記載されて
いる。リパーゼやその改変に関する刊行物が多数あるにもかかわらず、現在のと
ころ、Humicola lanuginosa由来のリパーゼだけが洗剤製品
用添加剤としてLipolase(登録商標)の商品名で広く市販されている。
リパーゼの特徴は界面で活性を示すことである。これは、完全に溶解した基質
よりも、界面又はミセルを形成した基質への酵素活性が遥かに高いことを意味し
ている。界面活性は、基質濃度が基質の臨界ミセル濃度(CMC)よりも高くな
って、界面が形成されたときに脂肪分解活性の急増となって表れる。実験では、
この現象を酵素活性対基質濃
度のグラフで非連続性として観察することができる。
リパーゼの界面での活性化機構は、リパーゼ分子のタンパク質構造のコンホー
メーション変化によって解明されてきた。遊離した未結合の状態では、らせん状
リッド(lid)が触媒結合部位を包囲している。脂質基質との結合時には、リッ
ドが移動して、触媒部位が露出する。らせん状リッドは、脂質界面と相互作用し
て、酵素を界面と結合した状態のままにするとも考えられている。
WO−A−92/05249号(Novo Nordisk)は、脂質接触領
域が改変された遺伝子工学的改変リパーゼ、特にHumicola lanug inosa
由来のリパーゼを開示している。脂質接触領域は本明細書では、活性
形のときにらせん状リッドにより覆われた表面と定義する。改変は、脂質接触領
域の1個以上のアミノ酸残基を欠失又は置換して、静電荷を増加させ、及び/又
は脂質接触領域の疎水性を減少させ、又は脂質接触領域の表面コンホーメーショ
ンを変えることからなる。これは、脂質接触領域の1個以上の陰電荷アミノ酸残
基を欠失させ、又はこれらの残基を中性又はより陽性電荷のアミノ酸で置換し及
び/又は脂質接触領域の1個以上の中性アミノ酸残基
を陽電荷アミノ酸で置換し、及び/又は脂質接触領域の1個以上の親水性アミノ
酸残基を欠失させ、又はこれらの残基を疎水性アミノ酸で置換することにより達
成される。
クチナーゼは、ろうエステル加水分解酵素の一種である(EC3.1.1.5
0)。これらの酵素は、植物で葉や茎の保護膜として生じるエステル化長鎖脂肪
酸/脂肪アルコール網状体のクチンを分解し得る。更には、前記酵素はある程度
の脂肪分解活性を有し、即ちトリグリセリドを加水分解し得る。従って、前記酵
素は、特殊なリパーゼとみなすことができる。しかしながら、クチナーゼは、リ
パーゼとは異なり実質的な界面での活性を示さない。
クチナーゼは、植物(例えば花粉)、細菌及び真菌のような多数の産生源から
得ることができる。クチナーゼは、その脂肪分解性のために、酵素洗剤組成物の
成分として提案されている。例えば、WO−A−88/09367号(Gene
ncor)は、界面活性剤と実質的に純粋な細菌クチナーゼ酵素とを組み合わせ
た効果的な洗浄組成物の製造を提案している。グラム陰性菌Pseudomon as putida
ATCC 53552から得たクチナーゼを含む洗剤組成
物が開示されている。しかしながら、
より最近のヨーロッパ特許出願公開第476 915号(Clorox)では、
従来の方法を使用した場合、リパーゼと称する前記酵素は織物の油汚れ除去に対
して他のリパーゼほどの効果はないと開示されている。
最近、Fusarium solani pisi由来のクチナーゼの三次元
構造が解明された(Martinez等(1992)Nature 356,6
15−618)。このクチナーゼが触媒結合部位を覆うらせん状リッドを持たな
いことが知見された。その代わり、活性部位のセリン残基が溶媒とアクセスし得
るように思える。これらの知見は、リパーゼの界面での活性化機構に関する現在
の理論を確定するように思える。
Fusarium solani pisi由来のクチナーゼ遺伝子はクロー
ニングされ、配列決定されている(Ettinger等(1987)Bioch
emistry 26,7883−7892)。WO−A−90/09446号
(Plant Genetics Systems)は、E.coliでの前記
遺伝子のクローニングや産生を記載している。クチナーゼは、クチナーゼと基質
との界面の存在下及び不在下で、水性及び非水性媒質中のエ
ステルの合成や加水分解を効果的に触媒し得る。その一般的な安定性に基づき、
このクチナーゼを使用して、洗濯洗剤のような洗浄剤や、化粧品組成物やシャン
プーのような他の特定の脂肪溶解製剤を製造することができる。経済的に可能な
酵素産生方法も、クチナーゼを含む特定の酵素洗剤組成物も開示されていない。
この特徴のため、即ち界面での活性作用がないために、本明細書中ではクチナ
ーゼを、実質的に界面で活性を示さない脂肪分解酵素と定義する。従って、クチ
ナーゼは、触媒結合部位を覆うらせん状リッドを持たない点が従来のリパーゼと
異なる。
前述したように、現在のところ、Humicola lanuginosa由
来のリパーゼだけが洗剤製品用添加剤としてLipolase(登録商標)の商
品名で広く市販されている。Henrik Malmosは、Chemistr
y and Industry 1990,183−186ページに記載する論
文で、洗濯プロセス中のリパーゼ活性は一般に低く、Lipolase(登録商
標)も例外でないことは周知であると指摘している。乾燥プロセス中に、織物の
含水率が低下すると、酵素は活性を取り
戻し、脂肪汚れは加水分解される。次の洗濯サイクル中に、加水分解された物質
が除去される。これで、リパーゼ作用が1回目の洗濯サイクルの後は低いのに、
以後のサイクルで有意となる理由の説明もつく。従って、洗濯プロセス中に有意
な活性を示す脂肪分解酵素が更に必要である。
クチナーゼ、特にFusarium solani pisi由来のクチナー
ゼが明らかな洗濯中(in-the-wash)作用を示すことが知見された。しかしなが
ら、アニオン洗剤含量の多い洗剤組成物での洗濯中脂肪分解活性を改善したクチ
ナーゼ変異体やこのような酵素の産生方法が更に必要である。
本発明によれば、アニオン界面活性剤との相容性(compatibility)が改善さ
れるようにアミノ酸配列を改変したクチナーゼ変異体を提供する。特に、真核生
物クチナーゼ、特にFusarium solani pisi、Collet otrichum capsici
、Coiletotrichum gloe osporiodes
、及びMagnaporthe grisea由来のクチ
ナーゼのアニオン洗剤含量の多い洗剤組成物中での脂肪分解活性が、アニオン界
面活性剤と酵素との結合を低減することに
より改善され得ることが知見された。発明の定義
アニオン界面活性剤との相容性が改善されるように、特にアニオン界面活性剤
と酵素との結合を低減することによりアミノ酸配列を改変した親クチナーゼのク
チナーゼ変異体。発明の説明
本発明は、クチナーゼ酵素の変異体に関する。前述したように、クチナーゼは
、植物(例えば花粉)、細菌及び真菌のような多数の産生源から得ることができ
る。親クチナーゼとして、即ち組換えDNA技術による改変のための本発明の出
発材料として使用すべきクチナーゼは、真核生物クチナーゼの群の中から選択す
る。真核生物クチナーゼは、植物(例えば花粉)又は真菌のような種々の産生源
から得ることができる。
(真核生物)真菌クチナーゼの群は、葉特異性及び茎特異性と特異性の異なる
2つのファミリーからなるように思える。葉特異性クチナーゼは、酸性又は中性
pH最適値を有する傾向にあり、茎特異性クチナーゼはアルカリ性pH最適値を
有する傾向にある。アルカリ性pH最適値を有す
るクチナーゼは、ヘビィーデューティ織物粉末/液体洗剤のようなアルカリ性ビ
ルダー入り洗剤組成物での使用により適し、酸性又は中性pH最適値を有するク
チナーゼは、ライトデューティ製品又はリンスコンディショナーだけでなく、工
業洗浄製品により適している。
以下の表Iに、4種の異なる茎特異性クチナーゼとそのpH最適値を示す。
表I 茎特異性クチナーゼの例
pH最適値 Fusarium solani pisi
9Fusarium roseum culmorum
10Rhizoctonia solani
8.5Alternaria brassicicola(PNBase I)
9
野生型Fusarium solani pisiから誘導され得るクチナー
ゼ(Ettinger等,1987)が本発明で特に好ましい。このクチナーゼ
は、特定の洗剤組成物で使用すると明白な“洗濯中”作用を示す。
アミノ酸配列がFusarium solani pi si
由来のクチナーゼと高度の相同性を示すクチナーゼも、親クチナーゼ、即ち
組換えDNA技術による改変のための本発明の出発材料として適している。Co lletotrichum capsici
、Colletotrichum gloeosporiodes
、及びMagnaporthe grisea由
来のクチナーゼがその例である。図11にこれらのクチナーゼの部分アミノ酸配
列を示す。高度の相同性を示すことが知見され得る。
遺伝子改変によるFusarium solani pisiクチナーゼの改
良に代わる方法として、(プロ)クチナーゼをコードするFusarium s olani pisi
、Colletotrichum capsici、Co lletotrichum gloeosporiodes
、及びMagnap orthe grisea
cDNAに由来する5’及び3’DNAプローブや
、他のクチナーゼの保存配列を認識するプローブを用いて他の真核生物に由来す
るクチナーゼをコードする遺伝子情報を単離することができ、また必要とあれば
これらのプローブを用い、ポリメラーゼ連鎖反応、即ちPCR技術を使用してク
チナーゼを産生する真核細胞のメッセンジャーRNA
(mRNA)由来のcDNAを増殖させることができる(例えばWO−A−92
/05249号参照)。このようにして得られたクチナーゼコード化遺伝子を標
準的な手順に従ってE.coliにクローニングして発現した後に、クチナーゼ
の(脂肪)汚れ除去性能を適切な条件下で試験する。このようにして、洗濯中性
能の改善された前記クチナーゼの天然変異体を多数得ることができる。更には、
これらの天然クチナーゼの配列は、Fusarium solani pisi
クチナーゼの別のタンパク質を製造するための優れた基礎となる。
脂肪分解酵素の“洗濯中”活性を決定する因子に関する新たな考えや、Fus arium solani pisi
クチナーゼの3D構造の細心の検査(Ma
rtinez等(1992)Nature 356,615−618)や、Fu sarium solani pisi
クチナーゼの3D構造の検査に基づいて
、このクチナーゼ、また一般にクチナーゼとアニオン界面活性剤との相容性を組
換えDNA技術で改善するための幾つかの可能性を見出した。
Fusarium solani pisiクチナーゼの既知の3D構造を出
発点とし、SYBYL分子モデル化
ソフトウエアパッケージ(TRIPOS associates,Inc.St
.Louis,Missouri)のCOMPOSERモジュールで実施される
ようなルールベースの比較モデル化技術を適用して、Colletotrich um gloeosporiodes
由来のクチナーゼの3D構造を得た。得ら
れたColletotrichum gloeosporiodesクチナーゼ
モデルを、BIOSYM分子モデル化ソフトウエアパッケージ(BIOSYM,
San Diego,California)で実施されるようなエネルギー最
小化(EM)や分子力学(MD)技術を適用して修正した。モデルのEM及びM
D処理中に、知識をベースとするアプローチを適用した。可能なエネルギー関数
の詳細なエネルギー項(terms)や既知の構造基準について、モデルを同時に最
適化した。モデル品質を、水素結合の数や品質、二次構造要素での水素結合パタ
ーン、ペプチド単位の配向、主鎖二面角の値、芳香族基の相互作用角及びキャビ
ティー寸法のような基準により評価した。更には、不適切に埋封された電荷、極
端に露出した疎水性残基、及びジスルフィド架橋のエネルギー的に好ましくない
位置についてモデルを検査した。関係
する側鎖ロータマー(rotamers)は、Ponder & Richardsロー
タマーライブラリーから選択した(Ponder等(1987)J.Mol.B
iol.193,775−791)。このライブラリーからの特定側鎖ロータマ
ーの最終的な選択は、前述したような構造基準の評価を基準とした。MDを使用
して、側鎖原子を所定位置にアニーリングした。同様の方法を使用して、Mag naporthe grisea
に由来するクチナーゼの3D構造を得た。
本発明は、改変クチナーゼの“洗濯中”性能を変化させずにアニオン界面活性
剤との相互作用を低減できるようにクチナーゼを改変できることを示している。
これは、幾つかの方法で実施され得る。まず、アニオン界面活性剤と酵素との
相互静電作用を低減することにより、例えば、アニオン界面活性剤の非極性(ap
olair)テールと結合し得る疎水性パッチ付近に位置する1個以上の陽電荷アル
ギニン残基をリシン残基で置換することによりアニオン界面活性剤と酵素との結
合を低減することができる。前記アルギニンから約6オングストロームの距離内
に陰電荷(例えばグルタミン酸残基)を導入することにより、こ
のようなアルギニン残基の陽電荷を遮蔽するアニオン界面活性剤と酵素との相互
静電作用を低減することも可能である。あるいは、アニオン界面活性剤の非極性
テールと結合し得る疎水性パッチ付近に位置する1個以上の陽電荷アルギニン残
基を非帯電アミノ酸残基で置換することにより、アニオン界面活性剤と酵素との
相互静電作用を低減することができる。更には、アニオン界面活性剤の非極性テ
ールと結合し得る疎水性パッチ付近に位置する1個以上の陽電荷アルギニン残基
を陰電荷アミノ酸残基で置換することにより、アニオン界面活性剤と酵素との相
互静電作用を低減することができる。
アニオン界面活性剤と酵素との結合を低減する別の方法は、アニオン界面活性
剤の非極性テールと結合し得る疎水性パッチ付近に位置する1個以上のアミノ酸
残基を疎水性がより小さいアミノ酸残基で置換することである。これらの疎水性
がより小さいアミノ酸残基は、グリシン、セリン、アラニン、アスパラギン酸及
びトレオニンからなる群の中から選択することが好ましい。
アニオン界面活性剤との相容性が改善されることにより、本発明で産生したク
チナーゼ変異体は、アニオン洗剤含量
の多い洗剤や洗浄組成物の一部分として使用した際に酵素活性で利点をもたらし
得る。本発明では、アニオン洗剤含量の多いとは、洗剤又は洗浄組成物が、5%
以上、一般には10%以上、特に20%以上のアニオン界面活性剤からなる界面
活性剤系を含んでいることを意味する。
本発明のクチナーゼ変異体は、洗濯プロセスの主サイクル中に改善された洗濯
中性能を示すことが判明した。洗濯プロセスの主サイクル中の洗濯中性能とは、
酵素を含む洗剤組成物が、濃度、水の硬度、温度に関しては通常の洗濯条件を用
い、ヨーロッパタイプの自動洗濯機により、1回の洗濯プロセスで汚れた織物か
らかなりの量の油汚れを除去できることを意味する。市販されている従来の脂肪
分解酵素Lipolase(登録商標)(Novo Nordisk製)は、同
一の条件下で油汚れに対して有意な洗濯中作用を示すとは全く思えないことに留
意すべきである。
酵素の油汚れへの洗濯中作用は、以下のアッセイを用いて評価することができ
る。綿含量が10%未満の新しいポリエステル試験布を以下に示すような酵素非
含有洗剤製品を用いて予洗し、その後十分に濯ぐ。次いで、このような汚れてい
ない布にオリーブ油又は他の適切な加水分解可能
な油しみをつける。各試験布(重量約1g)を100mlのポリスチレンビン内
の30mlの洗液でインキュベートする。洗液は以下に示す洗剤製品を1g/l
含んでいる。通常の30℃主洗濯プログラムを用い、水を一杯に入れたMiel
e TMT洗濯機でビンを30分間撹拌する。予め3LU/mlのクチナーゼ変
異体を洗液に添加する。対照は酵素を含んでいない。粉末洗剤の組成を以下に示
す(重量%):
LAS 6.9
セッケン 2.0
非イオン界面活性剤 10.0
ゼオライト 27.0
炭酸ナトリウム 10.2
硫酸ナトリウム 13.0
洗濯した後に、布を冷水で十分に濯ぎ、冷風式回転乾燥機で乾燥し、残留脂肪
量を評価する。これは幾つかの方法で実施することができる。通常の方法は、試
験布をSoxhlet抽出装置中、石油エーテルで抽出し、溶媒を留去してから
計量し、布の最初の脂肪量の分数としての残留脂肪分パーセンテージを決定する
ことである。
更に高感度の第2の方法では、臭素化オリーブ油を用いて、試験布を汚す(R
ichards,S.,Morris,M.A.及びArklay,T.H.(
1968),Textile Research Journal 38,10
5−107)。次いで、各試験布を100mlのポリスチレンビン内の30ml
の洗液でインキュベートする。次いで、通常の30℃主洗濯プログラムを用い、
水を一杯に入れた洗濯機で一連のビンを撹拌する。主洗濯の後、試験布を冷水中
で5秒間入念に濯ぐ。濯いだ直後に試験布を冷風式乾燥機で乾燥する。乾燥後、
X線蛍光スペクトル分析で布の臭素含量を測定して脂肪残量を決定することがで
きる。脂肪除去は、以下のように試験布に最初に存在していた量のパーセンテー
ジとして決定することができる。
前記式中、臭素bwは洗濯前の布上の臭素パーセンテージを示し、臭素awは洗濯後
の臭素パーセンテージを示す。
酵素活性の別の評価方法は、標準的な技術に従って460nmで反射率を測定
することからなる。
本発明では、改変、突然変異もしくは突然変異体酵素、
又は酵素変異体は、突然変異体遺伝子を発現している突然変異微生物によって産
生された酵素を意味する。(サイレント突然変異のみを含むもの以外の)突然変
異体遺伝子は、直接的又は間接的に誘導され、1カ所以上の場所で対応する親酵
素の配列と異なるアミノ酸配列を有する酵素をコードする遺伝子を意味する。親
酵素とは、対応する未変化遺伝子の遺伝子産物を意味する。遺伝子のサイレント
突然変異とは、遺伝子のポリヌクレオチド配列で生じる変化又は相違のうち、(
コドン−アミノ酸関係での縮重(redundancy)のために)前記遺伝子によってコ
ードされる酵素のアミノ酸配列が変化しない場合を意味する。
突然変異体又は突然変異微生物とは、酵素に対する遺伝子が突然変異を起こし
た親微生物又はその子孫である微生物を意味する。微生物のこのような突然変異
は、(a)既に親微生物に存在している対応遺伝子(親遺伝子)を突然変異させ
るか、又は(b)他の起源から直接又は間接的に得た対応遺伝子を突然変異微生
物となるべき微生物に移入(導入)する(例えば遺伝子を突然変異させる)こと
により実施され得る。宿主微生物は、その突然変異体遺伝子又は他の起源の移入
遺伝子が一部分を構成している微生物で
ある。一般に、宿主微生物は、株又は種源又は血統が親微生物と同一であっても
異なってもよい。
本発明は特に、WO−A−90/09446号(Plant Genetic
s Systems)に開示されているFusarium solani pi si
クチナーゼ、またColletotrichum capsici、Col letotrichum gloeosporiodes
、及びMagnapo rthe grisea
由来のクチナーゼの突然変異体形態を提供する。これら
のクチナーゼ変異体は、rDNA技術で得た又は製造した遺伝子を含むrDNA
改変微生物により産生され得る。
アミノ酸残基が同定されると、それを他のアミノ酸残基、例えばFusari um solani pisi
クチナーゼ又はその相同体の配列に関する突然変
異R17Eで置換すべきである。
当業者には自明の通り、このような改変はクチナーゼの構造に影響する。明ら
かに、活性部位周辺の静電荷にそれほど影響しない改変が好ましい。本発明者ら
は酵素のコンホーメーションの不可避的な歪みと酵素活性増加の利点とのバラン
スについて必要レベルの理解を深めた。これによ
り、高い成功率で有望なクチナーゼ変異体を予測して、製造することができる。
以下の表IIや明細書の他の箇所では、ペプチド配列のアミノ酸やアミノ酸残基を
以下に示す1文字及び3文字の略字で示す。
表II
A=Ala=アラニン V=Val=バリン
L=Leu=ロイシン I=Ile=イソロイシン
P=Pro=プロリン F=Phe=フェニルアラニン
W=Trp=トリプトファン M=Met=メチオニン
G=Gly=グリシン S=Ser=セリン
T=Thr=トレオニン C=Cys=システイン
Y=Tyr=チロシン N=Asn=アスパラギン
Q=Gln=グルタミン D=Asp=アスパラギン酸
E=Glu=グルタミン酸 K=Lys=リシン
R=Arg=アルギニン H=His=ヒスチジン
本明細書では、タンパク質のアミノ酸配列に存在する突然変異、従って突然変
異体タンパク質自体は、突然変異の位置及び種類により以下の略記法で、即ち突
然変異を受けた元のアミノ酸残基のアイデンティティー、突然変異の
(配列番号による)部位、及び元のアミノ酸残基にとって代わるアミノ酸残基の
アイデンティティーにより記載され得る。余分のアミノ酸が配列に挿入されると
、その位置は、正規の配列又は基準配列の挿入直前の残基の番号に1個以上の下
付き文字を付けて示す。
例えば、17位のアルギニンがグルタミンで置換されたことを特徴とする突然
変異体はArg17Glu又はR17Eで表す。(仮に)アルギニンの後にプロ
リンのような別のアミノ酸残基を挿入すると、Arg17ArgPro又はR1
7RPで表すか、17a位を示す挿入残基を用いて*17aPとして表す。(仮
に)同じ位置でアルギニンが欠失すると、Arg17*又はR17*で表す。*
は、実際の欠失によって存在しないとみなされる場合は欠失を意味し、この位置
に残基を有する他の配列又は基準配列との単なる比較又は相同性によって存在し
ないとみなされる場合はアミノ酸残基の不在を意味する。
複数の突然変異は十記号で分けて表す。例えばR17E+S54I+A128
Fは、アミノ酸配列の前記3つの位置の各々で前述したような置換による3つの
突然変異を有する突然変異体タンパク質を表す。所望とあれば、以下の
表に示す突然変異を組み合わせてもよい。
以下の表IIIは、Fusarium solani pisi及びMagna porthe grisea
由来のクチナーゼの配列に基づく本発明のクチナー
ゼ変異体の特定の有用な例を示している。
表III Fusarium solani pisi
クチナーゼの変異体:
R17L,R17K,R17E,L51A,L51S,R78L,T80D,R
88E,R96N,R96Q,R156L,A195S,R196A,R196
K,R196E。Magnaporthe grisea
クチナーゼの変異体:
A80D,A88E,R156L。
本発明の別の態様によれば、本発明のクチナーゼ変異体の産生方法を提供する
。天然クチナーゼを産生する微生物は通常植物病原体であり、これらの微生物は
改変クチナーゼ遺伝子用宿主細胞としての作用にはあまり適さない。従って、r
DNA技術のために好ましい宿主微生物内に移入す
ることのできるrDNAベクターに、改変(プロ)クチナーゼをコードする遺伝
子を取り込んだ。このため、WO−A−90/09446号に記載のrDNAベ
クターと本質的に同様のrDNAベクターを使用することができる。
天然クチナーゼを産生する微生物は、発酵法にはあまり適さない。発酵法の収
率を改善するため、改良されたクチナーゼをコードする遺伝子を、安い培地で急
速増殖し得、また多量のクチナーゼの合成や分泌が可能な微生物に移入すべきで
ある。本発明のこのような適したrDNA改変(宿主微生物)は、細菌(とりわ
けBacilli,Corynebacteria,Staphylococc i
及びStreptomyces)又は下等な真核生物(例えばSacchar omyces cerevisiae
及び関連種、Kluyveromyces marxianus
及び関連種、Hansenula polymorpha
及び関連種、並びにAspergillus属種)である。好ましい宿主微生物
は下等な真核生物である。何故ならば、これらの微生物は、発酵法で非常によく
酵素を産生分泌し、クチナーゼ分子を解糖し得るからである。グリコシル化は、
洗浄系でのクチナーゼの安定性に寄与し得
る。
本発明は更に、改変真核生物クチナーゼ遺伝子(例えばFusarium s olani pisi
由来の遺伝子)をクローニングrDNAベクターに導入し
て得られる遺伝子材料、及び新しい宿主細胞の形質転換やクチナーゼ変異体遺伝
子の新しい宿主細胞での発現のための前記遺伝子材料の使用を提供する。
rDNA技術によって製造又は改変されて前記クチナーゼ変異体をコードする
ポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含むrDNAベクター、並びに前記ポ
リヌクレオチド及び/又は前記rDNAベクターを含むrDNA改変微生物も本
発明で提供する。本発明は更に、改変真核生物クチナーゼをコードする対応ポリ
ヌクレオチド(例えば成熟クチナーゼ変異体をコードする塩基配列を有し、最終
翻訳コドンの次に終結コドンが来るポリヌクレオチドであるが、場合によっては
成熟クチナーゼ変異体をコードするヌクレオチド配列のすぐ上流にこのクチナー
ゼ変異体のプレプロ又はプロ配列をコードするヌクレオチド配列を有する)を提
供する。
このようなポリヌクレオチドでは、産生源の微生物から
誘導される、クチナーゼをコードするヌクレオチド配列を、少なくとも1個のコ
ドン、好ましくはできるだけ多くのコドンが‘サイレント’突然変異の対象に対
し、新しい宿主に好まれるコドンである、同等のアミノ酸残基をコードするコド
ンを形成するように改変することにより、前記宿主の細胞内での使用時に、安定
性の改善された導入遺伝子用mRNAを提供することができる。
プロ又は成熟クチナーゼをコードするヌクレオチド配列の上流には、特定宿主
に適したシグナル又は分泌配列をコードするヌクレオチド配列が位置し得る。従
って、本発明の一実施態様は、クチナーゼ変異体又はその前駆体をコードするヌ
クレオチド配列が内部に挿入されたrDNAベクターに関する。
ヌクレオチド配列は例えば、以下の配列から誘導され得る:
(a)(例えばFusarium solani pisiで産生したプロプレ
又はプロクチナーゼの元のアミノ酸配列をコードする)天然ヌクレオチド配列;
(b)新しい宿主に好まれるコドンと、新しい宿主で安定なメッセンジャーRN
Aを生じさせるヌクレオチド配列と
からなり、依然として元のアミノ酸配列をコードする化学合成ヌクレオチド配列
;
(c)アミノ酸配列は異なるが、洗剤系で優れた安定性及び/又は活性を示す、Fusarium solani pisi
クチナーゼをコードする前項a又は
bに記載したヌクレオチド配列の一方に由来する遺伝子工学的に作成されたヌク
レオチド配列。
要するに、好ましい宿主のひとつで前述したようなクチナーゼ遺伝子をコード
するヌクレオチド配列の発現を指令し得るrDNAベクターは好ましくは、以下
の成分を含んでなる:
(a)成熟クチナーゼ、又はプレクチナーゼ、又は(選択される宿主細胞にとっ
て好ましい)分泌シグナルのすぐ下流でプレ配列の少なくとも一部分が除去され
た対応プレクチナーゼをコードする二本鎖(ds)DNA。但し、翻訳されるべ
き遺伝子の部分がコドンATGで開始していない場合、ATGコドンを前に置く
べきである。また、遺伝子の翻訳部分は常に適切な終結コドンで終了すべきであ
る;
(b)クチナーゼをコードするds DNA(成分(a))のプラス鎖の上流に
位置する、(選択される宿主微生物に
適した)発現レギュロン;
(c)クチナーゼをコードするds DNA(成分(a))のプラス鎖の下流に
位置する、(選択される宿主微生物に適した)ターミネーター配列;
(d1)選択される宿主のゲノム内へのds DNAの組み込みを容易にするヌ
クレオチド配列、又は
(d2)選択される宿主で適した複製起点;
(e1)場合によっては(栄養要求性)選択マーカー。栄養要求性マーカーは、
栄養要求性マーカーのコード領域と欠陥プロモーターとからなり得る;
(e2)場合によっては、選択される宿主での一前駆体形態のクチナーゼの成熟
及び/又は分泌に関与するタンパク質をコードするds DNA配列。
このようなrDNAベクターは更に、前述したようなポリヌクレオチドの上流
及び/又は下流に、クチナーゼの機能発現を容易にする別の配列を有し得る。栄
養要求性マーカーは、栄養要求性マーカーのコード領域と、欠陥プロモーター領
域とからなり得る。
本発明の他の実施態様は、前述の種々のクチナーゼ変異体の一種の発酵による
産生である。このような発酵は、通
常のバッチ発酵であっても、フェドバッチ(fed-batch)発酵であっても、連続
発酵であってもよい。使用すべき方法の選択は、宿主株や(公知の)好ましい下
流処理(down stream processing)法に依存する。従って、本発明は更に、本明
細書に記載するようなクチナーゼ変異体の産生方法を提供し、本方法は、クチナ
ーゼのアミノ酸配列に作用する少なくとも1つの突然変異をもたらすrDNA技
術により製造した遺伝子を含むrDNA改変微生物を発酵培養して、クチナーゼ
の活性を対応する親酵素と比べて改善し、微生物により産生されたクチナーゼを
発酵ブロスと分離するか又は微生物細胞を発酵ブロスと分離することによりクチ
ナーゼ変異体調製物を製造し、分離した細胞を破壊し、物理的又は化学的な濃縮
又は精製法により前記ブロスから又は前記細胞からクチナーゼ変異体を濃縮又は
部分精製する段階からなる。クチナーゼ変異体が微生物によって発酵ブロス内に
分泌され、酵素が濾過又は遠心分離による細胞除去後にブロスから回収されるよ
うな条件を選択することが好ましい。場合によっては、次いで、クチナーゼ変異
体を所望の程度に濃縮、精製することができる。これらの発酵法自体は微生物の
特殊性を除けば、既知の発酵技術や、
通常使用されている発酵/下流処理装置を基本とし得る。
rDNA技術によりクチナーゼ変異体を産生し得る改変微生物の産生方法を更
に本発明で提供する。本方法は、微生物内に導入されるクチナーゼ変異体をコー
ドする遺伝子が5’末端で、宿主微生物のシグナル又は分泌配列として機能的な
(改変)プレ配列をコードする遺伝子断片と融合することを特徴とする。
本発明の別の態様では、クチナーゼ変異体遺伝子を含み、該遺伝子によってコ
ードされるクチナーゼ変異体を産生し得るrDNA改変微生物を提供する。rD
NA改変微生物では、天然クチナーゼをコードする遺伝子が元々存在するならば
、これを除去(例えば他の構造遺伝子で置換)することが好ましい。
本発明の別の態様では、本発明のクチナーゼ変異体を含む酵素洗剤組成物を提
供する。このような組成物は、クチナーゼ変異体及び通常洗剤系で使用されてい
る他の成分(例えば洗剤組成物用添加剤、全配合洗剤及び例えばヨーロッパ特許
出願公開第258 068号に記載されいている既知の種類の洗浄組成物の成分
類)を組み合わせたものである。
このような洗剤組成物の他の成分は、例えば英国特許出願公開第1 372
034号(Unilever)、米国特許第3 950 277号、米国特許第
4 011 169号、ヨーロッパ特許出願公開第179 533号(Proc
ter & Gamble)、ヨーロッパ特許出願公開第205 208号及び
ヨーロッパ特許出願公開第206 390号(Unilever)、特開昭63
−078000号(1988)、1988年6月の調査レポート(Research Dis
closure)29056号や、本明細書で引用した幾つかの明細書の各々に記載さ
れているような多数の既知の種類のいずれであってもよい。前記特許出願明細書
は全て、参考として本明細書に組み入れる。
本発明のクチナーゼ変異体は、任意の適切な形態で、即ち酵素の顆粒組成物、
溶液もしくはスラリーの形態で、又は担体材料(例えばヨーロッパ特許出願公開
第258 068号に記載の材料や、Novo Nordisk製Savina
se(登録商標)及びLipolase(登録商標))と共に洗剤組成物に有効
に添加することができる。
クチナーゼ変異体の添加量は、洗剤組成物1g当たり例えば10〜20,00
0LU、好ましくは50〜2,00
0LUと広範囲で選択することができる。本明細書でのLU、即ちリパーゼ単位
は、ヨーロッパ特許出願公開第258 068号(Novo Nordisk)
で定義されている通りである。
更に存在し得るプロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼのような他の酵素の場
合も同様の規定を準用する。pIが10未満のプロテアーゼを選択し、このプロ
テアーゼをクチナーゼ変異体と共に前記洗剤組成物に存在させると有利であり得
る。ヨーロッパ特許出願公開第271 154号(Unilever)は、この
ようなプロテアーゼを多数記載している。クチナーゼ変異体と共に使用されるプ
ロテアーゼは、例えばBPN’型又は文献に開示されている多数の型のサブチリ
シン、例えばヨーロッパ特許出願公開第130 756号又はヨーロッパ特許出
願公開第251 446号(共にGenentech);米国特許第4 760
025号(Genencor);ヨーロッパ特許出願公開第214 435号
(Henkel);WO−A−87/04661号(Amgen);WO−A−
87/05050(Genex);Thomas等,J.Mol.Biol(1
987)193,803−813;Rus
sel等,Nature(1987)328,496−500に記載の突然変異
体プロテアーゼを包含し得る。
以下の実施例で本発明を更に詳しく説明する。核酸物質の遺伝子操作や分析で
使用した全ての技術は、特に明記しない限り本質的にSambrook等(19
89)が記載した方法で実施した。
添付図面の説明:
図1A: 合成Fusarium solani pisiクチナーゼ遺伝子の
カセット1及び構成するオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列。オリゴヌクレ
オチドトランジションをカセット配列に示す。小文字は読み取り枠外のヌクレオ
チド位置を示す。
図1B: 合成Fusarium solani pisiクチナーゼ遺伝子の
カセット2及び構成するオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列。オリゴヌクレ
オチドトランジションをカセット配列に示す。
図1C: 合成Fusarium solani pisiクチナーゼ遺伝子の
カセット3及び構成する
オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列。オリゴヌクレオチドトランジションを
カセット配列に示す。小文字は読み取り枠外のヌクレオチド位置を示す。
図1D: Fusarium solani pisiプレープロ−クチナーゼ
をコードする合成クチナーゼ遺伝子のヌクレオチド配列。クチナーゼのプレ配列
、プロ配列及び成熟配列を示す。クローニングやオリゴヌクレオチドトランジシ
ョンに使用する部位も示す。小文字は読み取り枠外のヌクレオチド位置を示す。
図2: Fusarium solani pisiプロクチナーゼをコードす
る配列を、E.coliphoAプレ配列の誘導体をコードする配列と連結する
ための合成DNA断片のヌクレオチド配列。クローニングで使用する制限酵素部
位やリボゾーム結合部位(RBS)を示す。コードされたphoAシグナル配列
やクチナーゼ遺伝子の一部のアミノ酸配列も1文字コードを用いて示す。
図3: インベルターゼプレ配列及び成熟Fusariu m solani pisi
クチナーゼのコード配列の融合点をコードするカセ
ット8、SacI−BclI断片のヌクレオチド配列。
図4: pUR2740由来の0.2kb SalI−NruIの欠失によって
得られたプラスミドpUR2741は、pBR322の一部と、2μmプラスミ
ドから誘導される酵母細胞における複製起点と、酵母1eu2D遺伝子と、酵母
ga17プロモーターの制御下にある酵母インベルターゼシグナル配列コード領
域と植物α−ガラクトシダーゼ遺伝子との融合物とを含んでなるE.coli− S.cerevisiae
シャトルベクターである。
図5: プラスミドpUR7219は、pBR322の一部と、2μmプラスミ
ドから誘導される酵母細胞における複製起点と、酵母leu2D遺伝子と、酵母
ga17プロモーターの制御下にある酵母インベルターゼシグナル配列コード領
域と成熟Fusarium solani pisiクチナーゼをコードする領
域との融合物とを含んでなるE. coli−S.cerevisiae
シャトルベクターである。
図6: プラスミドpUR2740は、pBR322の一部と、2μmプラスミ
ドから誘導される酵母細胞における複製起点と、酵母leu2D遺伝子と、酵母
ga17プロモーターの制御下にある酵母インベルターゼシグナル配列コード領
域と植物α−ガラクトシダーゼ遺伝子との融合物とを含んでなるE.coli− S.cerevisiae
シャトルベクターである。
図7: exlAプレ配列及び成熟Fusarium solani pisi
クチナーゼのコード配列の結合の型が異なるカセット5、6及び7のヌクレオチ
ド配列。
図8: Aspergillus niger変異株awamoriゲノムDN
Aの5.3kb SalI断片をpUC19のSalI部位に挿入して得られた
プラスミドpAW14B。
図9: pAW14BのexlA読み取り枠を含むBspHI−AflII断片
を、Fusarium s olani pisi
プレ−プロ−クチナーゼコード配列を含むBspHI−A fl
II断片で置換して得られたプラスミドpUR7280。従って、プラスミ
ドpUR7280は、A.niger変異株awamoriプロモータ及びター
ミネーターの制御下にあるFusarium solani pisiプレ−プ
ロ−クチナーゼ遺伝子を含んでいる。
図10: A.nidulans amdS及びA.niger変異株awam ori
pyrGの両方の選択マーカーをpUR7280に導入して得られたプ
ラスミドpUR7281。
図11: Fusarium solani pisi、Colletotri chum capsici
、Colletotrichum gloeospo riodes
、及びMagnaporthe grisea由来のクチナーゼの
部分アミノ酸配列であって、3D構造中の残基の位置を示す。
図12: Fusarium solani pisiク
チナーゼ及びクチナーゼ変異体の、LASを主成分とする洗剤組成物に対する相
容性。
図13: Fusarium solani pisiクチナーゼ及びクチナー
ゼ変異体の、PASを主成分とする洗剤組成物に対する相容性。
図14: Fusarium solani pisiクチナーゼ及びクチナー
ゼ変異体の、高非イオン洗剤組成物に対する相容性。
図15: Fusarium solani pisiクチナーゼ及びクチナー
ゼ変異体の、SDSに対する相容性。
図16: Fusarium solani pisiクチナーゼ及びクチナー
ゼ変異体R17Eの洗濯中作用。参考文献
実施例1 Fusarium solani pisi
プレ−プロ−クチナーゼをコードす
る合成遺伝子の構築
本質的にヨーロッパ特許出願公開第407 225号(Unilever)に
記載の方法に従って、Fusarium solani pisiプレ−プロ−
クチナーゼをコードする合成遺伝子を構築した。発表されているFusariu m solani pisi
遺伝子のヌクレオチド配列に基づいて(Solid
ay等(1984)及びWO−A−90/09446号,Plant Gene
tic Systems)、Fusarium solani pisiプレ−
プロ−クチナーゼポリペプチドをコードする領域を含む完全合成DNA断片を設
計した。この合成クチナーゼ遺伝子は、元のFusarium solani pisi
遺伝子のヌクレオチド配列に比べて幾つかのヌクレオチド変化を含み、
これにより制限酵素認識部位が、コードされたアミノ酸配列に影響することなく
遺伝子内の好都合な位置に導入されている。全合成クチナーゼ遺伝子のヌクレオ
チド配列を図1Dに示す。
合成DNAオリゴヌクレオチドから開始する3個の異な
るカセットを集合させて合成クチナーゼ遺伝子を構築した。各合成DNAカセッ
トは、最初にEcoRI部位を、最後にHindIII部位を備えている。Ap
plied Biosystems 380A DNA合成機を用いてオリゴヌ
クレオチドを合成し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動で精製した。各カセット
を構築するため、以下に示す手順を用いた。所定のカセットを構成する等モル量
(50pmol)のオリゴヌクレオチドを標準的な技術に従って混合し、5’末
端でリン酸化し、アニールし、結合した。得られた二本鎖DNA分子の混合物をEco
RI及びHindIIIで切断し、アガロースゲル電気泳動でサイズ分画
し、電気溶出でゲルから回収した。得られた合成DNAカセットをpUC9の2
.7kb EcoRI−HindIII断片と結合し、Escherichia coli
に形質転換した。適切なオリゴヌクレオチドプライマーを用いて幾つ
かのクローンのEcoRI−HindIIIインサートを両方向で完全に配列決
定し、合成カセットの配列を確定した。この手順を用いて、pUR7207(カ
セット1を含む、図1A)、pUR7208(カセット2を含む、図1B)及び
pUR7209(カセット3を含む、図
1C)を構築した。最後に、pUR7207の2.9kb EcoRI−Apa
I断片をpUR7208の0.2kb ApaI−NheI断片及びpUR72
09の0.3kb NheI−HindIII断片と結合させて、合成クチナー
ゼ遺伝子を作成し、pUR7210を得た。このプラスミドは、Fusariu m solani pisi
の完全プレ−プロ−クチナーゼをコードする読み取
り枠を含んでいる(図1D)。実施例2 Escherichia coli
でのFusarium solani pi si
(プロ)クチナーゼの発現
合成クチナーゼ遺伝子を用いて、WO−A−90/09446号(Plant
Genetic Systems)に記載のものと機能的に同様のE.col i
用発現ベクターを構築した。Fusarium solani pisiプロ
クチナーゼをコードする合成遺伝子の部分の前に、適切なE.coli発現シグ
ナル、即ち(i)誘導性プロモーター、(ii)リボソーム結合部位、及び(iii
)翻訳開始コドンを提供し、またプロクチナーゼの細胞質膜からの送出に必要な
情報を提供するシグナル配列が位置する構
築物を設計した。
E.coli phoAシグナル配列の誘導体(Michaelis等、19
83)を合成クチナーゼ遺伝子のプロ配列と融合するための合成リンカーを設計
した(図2参照)。シグナルペプチドの開裂やプロクチナーゼの分泌を最適化す
るため、このリンカーのヌクレオチド配列は、phoAシグナル配列の3個のC
末端アミノ酸残基(Thr−Lys−Ala)をAla−Asn−Alaに変換
し、クチナーゼプロ配列のN末端アミノ酸残基(Leu1、図1D参照)をAl
aに変換するようなものであった。この構築により、クチナーゼのペリプラスム
間隙内への分泌は確実である(WO−A−90/09446号参照、Plant
Genetic Systems)。
このような構築物を得るため、クチナーゼプレ配列とプロ配列の一部を含む6
9bp EcoRI−SpeI断片をpUR7210から取り出し、E.col i
phoAプレ配列の誘導体及びクチナーゼプロ配列の改変N末端アミノ酸残
基を提供する合成DNAリンカー配列(EcoRI−SpeI断片)で置換した
(図2)。得られたプラスミドをpUR7250と名付け、これを使用して、リ
ボソ
ーム結合部位及びphoAシグナル配列コード領域に融合したプロクチナーゼコ
ード領域を含む0.7kb BamHI−HindIII断片を単離した。この
断片をpMMB67EHの8.9kb BamHI−HindIII断片(Fu
rste等、1986)と連結して、pUR7220を得た。このプラスミドで
は、プロクチナーゼをコードする合成遺伝子をphoAシグナル配列の変種と融
合して、誘導性tacプロモーターの制御下に置く。
pUR7220を含むE.coli株WK6を、
0.017M KH2PO4
0.017M K2HPO4
12g/l バクト−トリプトン
24g/l バクト−酵母抽出物
0.4%グリセロール(v/v)
からなる0.5リットルのIXTB培地(Tartof及びHobbs,198
8)を含む2リットルの振盪フラスコで増殖させた。
培養物を強く振盪しながら(150rpm)、100μg/mlのアンピシリ
ンの存在下、25℃〜30℃で一晩増殖させた。610nmでのODは10〜1
2であった。
次いで、IPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)を添加し
て、最終濃度を10μMとし、更に12〜16時間インキュベーションを継続し
た。培養物から取り出した試料の分析判定で、生じた脂肪分解活性の量に更なる
顕著な増加が観察できなかったときには、細胞を遠心分離で収集し、最初の培養
容量の20%スクロース含有緩衝液に0℃で再度懸濁させた。細胞を遠心分離で
収集し、最初の培養容量の氷冷水に再度懸濁させると、浸透圧ショックで細胞が
溶解した。細胞破片を遠心分離で除去し、無細胞抽出物に酢酸を添加してpH4
.8に酸性化し、4℃で一晩放置し、得られた沈殿物を除去した。この段階で、
無細胞抽出物の超濾過/凍結乾燥により、殆ど内在性リパーゼを含まない純度7
5%以上のクチナーゼ調製物が得られた。あるいは、SP−sephadex上
に酸性化無細胞抽出物を負荷し、酵素をpH8.0の緩衝液で溶出し、濃アルカ
リ性溶液を適量のDEAE−cellulose(Whatman DE−52
)に通し、DEAE通過液を直接Q−sepharose HP(Pharma
cia)カラムに通すことによって、クチナーゼを均一になるまで精製(純度9
5%以上)することができる。塩勾配で
溶出すると、典型的には75%以上の総収率で、均一なクチナーゼ調製物が得ら
れた。実施例3 Fusarium solani pisi
クチナーゼの変異体をコードする遺
伝子の構築
実施例1に記載のFusarium solani pisiプレ−プロ−ク
チナーゼの合成遺伝子を使用して、コード化したアミノ酸配列に変化を含む変異
体遺伝子を構築した。この構築では、完全合成遺伝子を構成する3個のカセット
の構築について実施例1で説明したのと本質的に同じ方法を適用した。例えば、
突然変異を起こすべき位置のコード化トリプレットをカバーする2個のオリゴを
除いて、実施例1に記載したのと同じオリゴヌクレオチド(オリゴ)を用いて新
種のカセット1を作成した。代わりには、2個の新しい合成オリゴを使用した。
これらのオリゴは、突然変異体配列を含んでいるが、これ以外は置換前のオリゴ
と同一である。実施例3A
CUTI1C IG及びCUTI1I IGの代わりにそれぞれCUTI1C
IG変異体(AGAの代わりにG
AGを含む)及びCUTI1I IG変異体(TCTの代わりにCTCを含む)
を取り込むカセット1の変異体を用いて、Fusarium solani p isi
クチナーゼ変異体R17Eをコードする遺伝子を構築した(図1A参照)
。本質的に実施例1に記載した方法で新しいカセット1をクローニングして配列
決定し、突然変異R17Eを含む約120bp EcoRI/NruI DNA
断片をpUR7210の対応断片と置換してpUR7240(R17E)を得た
。このプラスミドに由来する0.6kBSpeI−HindIII断片を使用し
て、pUR7220の対応断片を置換し、E.coli発現プラスミドpUR7
222(R17E)を得た。このE.coli発現プラスミドをE.coli株
WK6に形質転換した。形質転換細胞を実施例2に記載した方法で増殖させ、変
異体プロクチナーゼ酵素を本質的に実施例2に記載した方法で回収し、精製した
。同様に、Arg 17をLys又はLeuで置換することができた。実施例3B
CUTI3F MH及びCUTI3M MHの代わりにそれぞれCUTI3F
MH変異体(CGGの代わりにG
AGを含む)及びCUTI3M MH変異体(CCGの代わりにCTCを含む)
を取り込むカセット3の変異体を用いて、Fusarium solani p isi
クチナーゼ変異体R196Eをコードする遺伝子を構築した(図3A参照
)。本質的に実施例1に記載した方法で新しいカセット3をクローニングして配
列決定し、突然変異R196Eを含む約120bp EcoRI/NruI D
NA断片をpUR7210の対応断片と置換してpUR7241(R196E)
を得た。このプラスミドに由来する0.6kB SpeI−HindIII断片
を使用して、pUR7220の対応断片を置換し、E.coli発現プラスミド
pUR7225(R196E)を得た。このE.coli発現プラスミドをE. coli
株WK6に形質転換した。形質転換細胞を実施例2に記載した方法で増
殖させ、変異体プロクチナーゼ酵素を本質的に実施例2に記載した方法で回収し
、精製した。CUTI3F MH及びCUTI3M MHの代わりにそれぞれC
UTI3F MH変異体(CGGの代わりにAAGを含む)及びCUTI3M
MH変異体(CCGの代わりにCTTを含む)を用いて、同一の方法でArg
196をLys(R196K)で置
換した。同様に、CUTI3F MH及びCUTI3M MHの代わりにそれぞ
れCUTI3F MH変異体(CGGの代わりにCTTを含む)及びCUTI3
M MH変異体(CCGの代わりにAAGを含む)を用いて、Arg 196を
Leu(R196L)で置換した。同一の方法を使用して、Arg 196をA
la(R196A)で置換した。実施例3C
CUTI1F IG及びCUTI1L IGの代わりにそれぞれCUTI1F
IG変異体(CTCの代わりにGCTを含む)及びCUTI1L IG変異体
(GAGの代わりにAGCを含む)を取り込むカセット1の変異体を用いて、F usarium solani pisi
クチナーゼ変異体L51Aをコードす
る遺伝子を構築した(図1A参照)。本質的に実施例1に記載した方法で新しい
カセット1をクローニングして配列決定し、突然変異L51Aを含む約120b
p EcoRI/NruI DNA断片をpUR7210の対応断片と置換して
pUR7242(L51A)を得た。このプラスミドに由来する0.6kBSp e
I−HindIII断片を使用して、pUR722
0の対応断片を置換し、E.coli発現プラスミドpUR7245(L51A
)を得た。このE.coli発現プラスミドをE.coli株WK6に形質転換
した。形質転換細胞を実施例2に記載した方法で増殖させ、変異体プロクチナー
ゼ酵素を本質的に実施例2に記載した方法で回収し、精製した。同様にLeu
51をSerで置換することができた。実施例3D
実施例3A及び3Bで構築したカセットを用いて、2個の改変を含むクチナー
ゼ変異体を構築することができる。実施例3Aでは、pUR7240(R17E
)の構築を説明した。実施例3Bでは、突然変異R196Eを含むEagI/H in
dlII DNA断片の構築を説明した。pUR7240(R17E)のA pa
I/HindlIIDNA断片をpUR7241のApaI/HindlI
I DNA断片で置換して、pUR7243(R17E+R196E)を得た。
このプラスミドに由来する0.6kB SpeI−HindIII断片を使用し
て、pUR7220の対応断片を置換し、E.coli発現プラスミドpUR7
226(R17E+R196E)を得た。このE. coli
発現プラスミドを使用して、E.coli株WK6に形質転換した。形
質転換細胞を実施例2に記載した方法で増殖させ、変異体プロクチナーゼ酵素を
本質的に実施例2に記載した方法で回収し、精製した。実施例3E
実施例3A及び3Cで構築したカセットを用いて、2個の改変を含むクチナー
ゼ変異体を構築することができる。実施例3Aでは、pUR7240(R17E
)の構築を説明した。実施例3Cでは、突然変異L51Aを含むDNA断片の構
築を説明した。pUR7242のBclI/ApaI 断片をpUR7240の
対応する断片で置換して、pUR7244(R17E+L51A)を得た。この
プラスミドに由来する0.6kB SpeI−HindIII断片を使用して、
pUR7220の対応断片を置換し、E.coli発現プラスミドpUR724
6(R17E+L51A)を得た。このE.coli発現プラスミドを使用して
、E.coli株WK6に形質転換した。形質転換細胞を実施例2に記載した方
法で増殖させ、変異体プロクチナーゼ酵素を本質的に実施例2に記載した方法で
回収し、精製した。実施例4 Saccharomyces cerevisiae
でのFusarium s olani pisi
クチナーゼの発現
Saccharomyces cerevisiaeでのFusarium solani pisi
クチナーゼ合成遺伝子の発現のために、成熟クチナーゼ
をコードする合成遺伝子の前に、S.cerevisiaeインベルターゼのプ
レ配列(Taussig及びCarlsson,1983)及び強い誘導性ga
l7プロモーター(Nogi及びFukasawa,1983)が存在する発現
ベクターを構築した。このような融合のための合成クチナーゼ遺伝子を産生する
ため、インベルターゼプレ配列のコード配列を、成熟クチナーゼのN末端のコー
ド配列と融合するアダプター断片を合成した。この断片を、本質的に実施例1に
記載したようなpUC9のEcoRI−HindIIIカセットとして作成して
(カセット8、図3参照)、pUR7217を得た。プラスミドpUR7210
及びpUR7217をE.coli JM110(damメチラーゼ活性の欠失
した株)に形質転換し、pUR7217の2.
8kb BclI−HindIII断片をpUR7210の0.6kb Bcl
I−HindIII断片に連結することにより、成熟クチナーゼポリペプチドの
コード化ヌクレオチド配列がS.cerevisiaeインベルターゼプレ配列
コード領域の一部と融合したpUR7218を得た。
pUR2740の8.9kb NruI−SalI断片を単離し、SalI突
出末端をクレノーポリメラーゼで充填し(fill in)、断片を再度円形にして(r
ecircularization)、pUR2740(Verbakel,1991,図6参照
)から発現ベクターpUR2741(図4参照)を誘導した。pUR2741の
7.3kb SacI−HindIII断片をpUR7218の0.7kb S ac
I−HindIII断片と連結して、pUR7219を得た(図5参照)。
場合によって、S.cerevisiae polIIターミネーターをクチナ
ーゼ遺伝子の後ろのHindIII部位に置くことができるが、これはクチナー
ゼ遺伝子の効果的な発現には重要ではないことが判明した。E.coli−S. cerevisiae
シャトルプラスミドpUR7219は、2μプラスミドを
保有するS.cerevisiae
株(cir+株)の複製起点と、S.cerevis iae
leu2-株での高コピー数形質転換細胞の選択を可能とするプロモー
ター欠失種のS.cerevisiae Leu2遺伝子と、強い誘導性S.c erevisiae
gal7プロモーターの制御下にあってS.cerevi siae
インベルターゼプレ配列に操作的に連結したFusarium sol ani pisi
クチナーゼの成熟部分をコードする合成遺伝子とを含んでいる
。
酵母細胞の電気穿孔法の標準的なプロトコルを用いて、株YT6−2−lL(
Erhart及びHollenberg,1981)と同一のS.cerevi siae
株SU50(a,cir0,leu2,his4,can1)を、2μ
のS.cerevisiaeプラスミドとpUR7219との等モル混合物で同
時形質転換した。ロイシン原栄養性について形質転換細胞を選択し、幾つかの形
質転換細胞から全DNAを単離した。全ての形質転換細胞は、2μプラスミド及
びpUR7219の両方を含むように思え、このことは、pUR7219上に含
まれるプロモーター欠失種のleu2遺伝子が、2μ酵母プラスミドと共存
するために高いコピー数で存在すると、leu2欠失株を単に機能的に補い得る
ことを示している。完全培地で40世代以上培養し、次いで固形の選択及び完全
培地でレプリカ平板培養して1個の形質転換細胞をpUR7219プラスミドに
ついて処理(cure)し、S.cerevisiae株SU51(a,cir+,
leu2,his4,canl)を得た。 pUR7219を保有するS.ce revisiae
株SU51を、
−アミノ酸を含まない酵母窒素塩基(YNB) 6.7g/l
−ヒスチジン 20mg/l
−グルコース 20g/l
からなる0.2リットルのMM培地を含む1リットルの振盪フラスコ内で増殖さ
せた。
培養物を強く振盪(150rpm)しながら30℃で一晩増殖させた。610
nmでのODは2〜4であった。細胞を遠心分離により収集し、2リットルの振
盪フラスコ内で、
−酵母抽出物 10g/l
−バクトペプトン 20g/l
−ガラクトース 50g/l
からなる1リットルのYPGAL培地に再度懸濁させ、更に12〜16時間イン
キュベーションを継続した。一定の間隔で、試料を培養物から取り出し、遠心分
離にかけてバイオマスを除去した。オリーブ油を基質として用い、上清のクチナ
ーゼ活性を滴定法で分析した。各試料に対し、5.0mlのリパーゼ基質(Si
gma、リパーゼの基質としてオリーブ油を含む)と25.0mlの緩衝液(5
mMトリス−HCl pH9.0,40mM NaCl,20mM CaCl2
)の撹拌混合物に100〜200μlの濾液を添加した。30℃でアッセイを実
施し、Mettler DL25滴定装置を用い、0.05M NaOHによる
pH9.0までの自動滴定により脂肪酸の放出を測定した。滴定液量対時間の曲
線が得られた。試料中に含まれるリパーゼ活性の量を、この曲線の最大勾配から
計算した。1酵素活性単位は、前述の条件下で、1分間でオリーブ油から1μm
olの脂肪酸を放出させる酵素の量として定義する。このような測定法は、当業
者には公知である。
クチナーゼ活性の発生量が増加しなくなると、細胞を遠心分離にかけて除去し
、無細胞抽出物に酢酸を加えてpH4.8に酸性化して、クチナーゼを実施例1
に記載した方
法で回収した。実施例5 S.cerevisiae
でのFusarium solani pisiクチ
ナーゼの変異体の発現
pUR7241(R196E)の0.5kb ApaI−HindIII断片
を使用してpUR7218の類似断片を置換し、変異を含む遺伝子がS.cer evisiae
シグナル配列をコードする配列に操作的に融合したpUR722
9(R196E)を得た。pUR2741の7.0kb SacI−HindI
II断片を、pUR7229(R196E)の0.7kb SacI−Hind
III断片に連結して、pUR7235(R196E)を得た。このプラスミド
を使用して、S.cerevisiae株SU51に形質転換した。得られた形
質転換細胞を実施例4に記載した方法でインキュベートし、産生した変異体酵素
を実施例4及び1に記載した方法で培養ブロスから回収した。実施例6
AspergilliでのFusarium solani pisiクチナー
ゼの発現
Aspergillus niger変異株awamoriでの合成Fusa rium
solani pisiクチナーゼ遺伝子の発現のために、Fusa rium solani pisi
プレ−プロ−クチナーゼをコードする合成遺
伝子をA.niger変異株awamoriの強い誘導性exlAプロモーター
(Maat等,1992,de Graaff等1992)の制御下に置いた発
現ベクターを構築した。
プラスミドpAW14Bからプレ−プロ−クチナーゼ発現プラスミド(pUR
7280)を構築した。前記pAW14Bは、1990年5月31日にCBS2
37.90の番号でCentraalbureau voor Schimme
lcultures,Baarn,The NetherlandsにE.co li
株JM109で寄託されたものであり、0.7kbのエンドキシラナーゼII
(exlA)遺伝子が2.5kbの5’フランキング配列及び2.0kbの3’
フランキング配列と共に存在する約5.3kbのSalI断片を含んでいる(図
8)。pAW14Bで、exlAコード化領域をプレ−プロ−クチナーゼコード
化領域で置換した。exlA遺伝子の開始コドン(A
TG)を含むBspHI部位(5’−TCATGA−3’)及びexlA遺伝子
の終結コドン(TAA)を含むAflII部位(5’−CTTAAG−3’)は
、pUR7280の構築を容易にした。
以下の方法で構築した:pAW14B(7.9kb)をBspHIで部分的に
切断し、線状化プラスミド(7.9kb)をアガロースゲルから単離した。その
後、単離した7.9kb断片を、問題のBspHI部位の数ヌクレオチド下流で
切断するBsmIで切断して、他のBspHI部位で線状化したプラスミドを除
去した。断片をアガロースゲルで分離し、7.9kb BspHI−BsmI断
片を単離した。これをAflIIで部分的に切断し、得られた7.2kb Bs p
HI−AflII断片を単離した。
Fusarium solani pisiプレ−プロ−クチナーゼをコード
する全読み取り枠を含むpUR7210の0.7kb BspHI−AflII
断片を、pAW14Bの7.2kb BspHI−AflII断片と連結して、
pUR7280を得た。その後、構築したベクター(pUR7280)を従来の
同時形質転換技術によりカビ(例えばAspergillus niger,A sp ergillus niger
変異株awamori等)に移植することができ
、次いでプレ−プロ−クチナーゼ遺伝子をエンドキシラナーゼIIプロモーターの
誘導により発現させることができる。構築したrDNAベクターは更に、従来の
選択マーカー(例えばamdS又はpyrG)ヒグロマイシン等)を備えていて
もよく、またカビを得られたrDNAベクターで形質転換して、所望のタンパク
質を産生してもよい。一例としては、amdS及びpyrG選択マーカーを発現
ベクターに導入してpUR7281(図10)を産生した。このため、合成オリ
ゴヌクレオチド(5’−AATTGCGGCCGC−3’)を用いて(プレ−プ
ロ−クチナーゼ遺伝子のATGコドンの1.2kb上流に存在する)EcoRI
部位をNotI部位に変換してNotI部位を生成して、pUR7282を産生
した。全A.nidulans amdS遺伝子及びA.niger変異株aw amori
pyrG遺伝子をそれら自体のプロモーターやターミネーターと共
に含んでいる適切なDNA断片は、フランキングNotI部位を備えており、こ
れをpUR7282のNotI部位に導入してpUR7281(図10)を産生
した。
Aspergillus niger変異株awamoriでの合成Fusa rium solani pisi
クチナーゼ遺伝子の代替の発現方法として、
成熟クチナーゼをコードする合成遺伝子の前にそれ自体のプレ−プロ配列ではな
く、A.niger変異株awamori exlAのプレ配列が存在する発現
ベクターを構築した。
このような融合のための合成クチナーゼ遺伝子を産生するために、exlAプ
レ配列のコード化配列が種々の方法で成熟クチナーゼのN末端のコード化配列に
結合した数個のアダプター断片を合成した。カセット5では、この結合は、ex
lAプレ配列をクチナーゼのプロ配列と融合して行う。カセット6では、exl
Aプレ配列を成熟クチナーゼのN末端残基と融合する。カセット7はカセット6
と同一であるが、コード化成熟クチナーゼポリペプチドのN末端残基を元のグリ
シンからセリン残基に変えて、シグナルペプチドの開裂要件により適合するよう
にした。本質的に実施例1に記載したように、カセット5、6及び7を合成オリ
ゴヌクレオチドから作成した(図7参照)。カセット5を使用して、pUR72
10の0.1kb EcoRI−SpeI断片を置換してpUR7287を産生
した。カ
セット6、7を使用して、pUR7210の0.1kbEcoRI−BclI断
片を置換し、それぞれpUR7288及びpUR7289を産生した。プラスミ
ドpUR7287、pUR7288及びpUR7289の各々について、0.7
kb BspHI−AflII断片をpAW14Bの7.2kb BspHI−Afl
II断片と連結して、それぞれpUR7290、pUR7291及びpU
R7292を得た。
その後、従来の同時形質転換技術により、構築したrDNAベクターをカビ(Aspergillus niger
、Aspergillus niger変
異株awamori)に移植し、エンドキシラナーゼIIプロモーターの誘導によ
りプレ−(プロ)−クチナーゼ遺伝子を発現した。本実施例でpUR7280に
ついて説明したように(上記参照)、構築したrDNAベクターは更に、従来の
選択マーカー(例えばamdS又はpyrG)ヒグロマイシン)を備えていても
よく、またカビを得られたrDNAベクターで形質転換して、所望のタンパク質
を産生してもよい。
(対応するプロ配列を備えた又は備えていないFusarium solan i pisi
成熟クチナーゼコード
領域と、(A.niger変異株awamori exlAプロモーター及びタ
ーミネーターの制御下のクチナーゼシグナル配列又はexlAシグナル配列とを
含む)発現ベクターpUR7280、pUR7281、pUR7290、pUR
7291、pUR7292の各々で形質転換したAspergillus株を、
以下の条件下で増殖させた:400mlの合成培地(pH6.5)を含む多数の
1リットル振盪フラスコに、胞子(最終濃度:10E6/ml)を接種した。培
地組成を以下に示す(AW培地):
スクロース 10g/l
NaNO3 6.0g/l
KCl 0.52g/l
KH2PO4 1.52g/l
MgSO4・7H2O 0.49g/l
酵母抽出物 1.0g/l
ZnSO4・7H2O 22mg/l
H3BO3 11mg/l
MnCl2・4H2O 5mg/l
FeSO4・7H2O 5mg/l
CaCl2・6H2O 1.7mg/l
CuSO4・ 5H2O 1.6mg/l
NaH2MoO4・2H2O 1.5mg/l
Na2EDTA 50mg/l
Mk Xインキュベーターシェーカーで、200rpm、30℃で24時間イ
ンキュベートした。増殖後、細胞を濾過(0.45μmフィルター)して収集し
、スクロース及び酵母抽出物を含まないAW培地(塩溶液)で2度洗浄し、50
mlの塩溶液に再度懸濁させ、キシロースを添加して10g/lの最終濃度にし
た50mlの塩溶液(誘導培地)を含む300mlの振盪フラスコに移した。上
記と同一条件下でのインキュベーションを一晩継続した。得られた培養物をミラ
クロス(miracloth)で濾過してバイオマスを除去し、クチナーゼを本質的に実
施例2に記載した方法で回収した。実施例7
AspergilliでのFusarium solani pisiクチナー
ゼの変異体の発現
本質的に実施例6に記載した方法により、但し真菌発現ベクターの構築のため
にpUR7210の代わりにプラス
ミドpUR7240(R17E)又はpUR7241(R196E)又はpUR
7242(L51A)を用いて、前述の変異を含むFusarium sola ni pisi
クチナーゼの変異体をAspergillus niger変異
株awamoriで産生した。実施例8 Fusarium solani pisi
クチナーゼ遺伝子に関連する遺伝子
の同定及び単離
Fusarium solani pisiクチナーゼとの相同性の程度が異
なるクチナーゼのコード化遺伝子を種々の真菌から単離した。Hankin及び
Kolattukudy(1968)が記載する培地200mlに0.25%グ
ルコースを補充したものを含む500mlの振盪フラスコで真菌培養物を増殖さ
せ、Mk Xインキュベーターシェーカー(100rpm)で、28℃で4日間
インキュベートした。この時点で、グルコースが消費され、本質的にEttin
ger等(1987)が記載したようにクチン水解物を添加してクチナーゼの産
生を誘導した。一定の間隔で試料を培養物から取り出し、標準的な技術に従って
(実施例4参照)脂肪分解活性の存在を分析した。通常、
誘導から約2日後に、脂肪分解活性を実証することができ、この時点で、標準的
な技術を用いて細胞を濾過して収集した。標準的な技術に従って、菌糸を洗浄し
、液体窒素中で凍結し、凍結乾燥した。グアニジニウムチオシアネート法を用い
て全細胞RNA調製物を単離し、本質的にSambrook等(1989)が記
載したように、塩化セシウム密度勾配遠心分離により精製した。polyAT管
(tract)mRNA単離キット(Promga)を用いてpolyA(+)mR
NA画分を単離した。標準的な技術に従い、Fusarium solani pisi
クチナーゼ遺伝子に由来するcDNA断片をプローブとして用いて、p
olyA(+)mRNA画分をノーザンハイブリダイゼーション分析で使用して
、クチナーゼ関連遺伝子の発現を検証した。ZAP cDNA合成キット(St
ratagene,La Jolla)を供給業者の指示に従って用いて、プロ
ーブとハイブリダイズし得る物質を含むmRNA調製物でcDNAを合成して、
poly−A領域に隣接しているXhoI付着端と、他端にEcoRIアダプタ
ーを有するcDNA断片を得た。得られたcDNA断片を用い、λZAPIIベ
クタ」(Stratagene,La J
olla)でのセンス方向のダイレクショナルクローニングにより発現ライブラ
リーを構築すると、β−ガラクトシダーゼ融合タンパク質(Huse等、198
8)を発現することができた。Fusarium solani pisiクチ
ナーゼに対する抗血清を用いて、これらのライブラリーをスクリーニングした。
あるいは、クチナーゼ特異的プライマー(表2参照)を用いて、合成cDNA
画分をPCRスクリーニングにかけた。これらのプライマーは、数種の真菌クチ
ナーゼ遺伝子のアミノ酸配列(Ettinger等、1987)の比較により得
られたものである。Fusarium solani pisiクチナーゼ由来
のcDNAを対照として用いて、PCR反応の条件を、各組のプライマーについ
て最適化した。同一条件下で、長さがFusarium solani pis i
クチナーゼ由来のcDNAで産生されるPCR断片と同様である(又はそれ以
上の)特異的PCR断片の産生に使用され得るcDNA調製物について、PCR
断片をゲル電気泳動で精製して、ゲルから単離した。
代替の方法としては、クチナーゼ特異的プライマーを用いるPCRスクリーニ
ング技術は更に、Fusarium solani pisi
のゲノムDNAを陽性対照として用いることにより、
幾つかの真菌株のゲノムDNAに直接適用される。同一条件下で、長さがFus ariumsolani pisi
クチナーゼ由来のcDNAで産生されるPC
R断片と同様である(又はそれ以上の)特異的PCR断片の産生に使用され得る
真菌ゲノムDNA調製物について、PCR断片をゲル電気泳動で精製して、ゲル
から単離した。
発現ライブラリー法又は(cDNAもしくはゲノムDNAを用いる)PCRス
クリーニング法で陽性と評価された株や、他の幾つかの株について、高分子量ゲ
ノムDNAを単離した。株を本質的にEttinger等(1987)の記載し
た方法で増殖させ、ゲノムDNAをGraaff等(1988)が記載した方法
で単離した。ゲノムDNAを種々の制限酵素で消化し、類似cDNAインサート
(発現ライブラリー法)又はPCR断片(PCRスクリーニング法)又はFus arium solani pisi
クチナーゼ遺伝子(他の株)をプローブと
して用いて、サザンハイブリダイゼーションで分析し、クチナーゼ遺伝子の物理
マップを構築した。ゲノムDNAの適切な消化物をゲ
ル電気泳動でサイズ分画し、適切サイズの断片をゲルから単離し、pUC19に
サブクローニングした。これらのゲノムライブラリーを対応するcDNAインサ
ート(発現ライブラリー法)又はPCR断片(PCRスクリーニング法)でスク
リーニングして、クチナーゼ遺伝子のゲノムコピーを含むクローンを産生した。
これらの遺伝子を両方向に配列決定した。対応cDNAを配列決定するか又は他
のクチナーゼ配列(Ettinger等、1987)と比較してイントロンを同
定した。成熟クチナーゼポリペプチドのN末端を更にこのような比較から推定し
た。標準的なPCR技術を用いて、イントロンを除去し、HindIII部位を
読み取り枠のすぐ下流で作成し、Saccharomyces cerevis iae
インベルターゼ遺伝子(前にSacI部位が存在する、カセット8を比較
、図3)のプレ配列のコード化配列を、成熟クチナーゼのN末端のコード化配列
に融合した。S.cerevisiaeインベルターゼプレ配列をコードする配
列に操作的に連結したクチナーゼ遺伝子を含む産生SacI−HindIII断
片を、pUR7241(図4参照)の7.3kb SacI−HindIII断
片と連結し、S.cerevisi ae
株SU51に形質転換した。真菌クチナーゼを発現し、本質的に実施例4に
記載したように培養ブロスから回収した。実施例9 Fusarium solani pisi
クチナーゼ変異体R17E、R19
6E、R17E+R196Eと種々のアニオン界面活性剤との相容性
Fusarium solani pisiクチナーゼ及びFusarium solani pisi
クチナーゼ変異体R17E、R196E、R17E+
R196Eと種々のアニオン界面活性剤との相容性を以下の方法で試験した。種
々の洗剤製品中の酵素溶液を調製した。溶液を40℃でインキュベートし、一定
の間隔で試料を取り出した。次いで、実施例4に記載するアッセイに従って、酵
素活性を決定した。以下の洗剤製品A〜Cを使用した。:製品A
製品B
製品C
組成物A−Cの結果を図12〜14に示す。特にアニオン含量の多い組成物A
で、クチナーゼ変異体が野生型Fusarium solani pisiクチ
ナーゼよりも安定である。実施例10 Fusarium solani pisi
クチナーゼ変異体R196K、R1
96Lとドデシル硫酸ナトリウム(SDS)との相容性
Fusarium solani pisiクチナーゼ及びFusarium solani pisi
クチナーゼ変異体R196K、R196Lとドデシル
硫酸ナトリウム(SDS)との相容性を以下の方法で試験した。0.4mM S
DS及び10mMトリス中の0゜FHでの酵素溶
液を調製した。溶液を40℃でインキュベートし、一定の間隔で試料を取り出し
、実施例4に記載のアッセイに従って残留酵素活性を決定した。結果を図15に
示す。両方のクチナーゼ変異体が野生型Fusarium solani pi si
クチナーゼよりもアニオン界面活性剤のドデシル硫酸ナトリウムに対して安
定であることが判明し得る。実施例11 Fusarium solani pisi
クチナーゼ変異体R17Eの洗濯中
活性の測定
ポリエステル/綿織布から作った試験布を純粋なオリーブ油で汚した。次いで
、各試験布を100mlのポリスチレンビン内の30mlの洗液でインキュベー
トした。通常の40℃主洗濯プログラムを用い、水を一杯に入れたMiele
TMT洗濯機でビンを撹拌した。洗液は、実施例9の粉末洗剤A、Bを2g/l
(27゜FH)を含んでいた。
結果を図16に示す。種々の洗濯条件下で、クチナーゼ変異体R17Eの洗濯
中性能(油汚れ除去)が野生型Fusarium solani pisiクチ
ナーゼに比べ
て改善されることは明白である。比較として、更に同じ実験をLipolase
(登録商標)を用いて実施した。全ての条件下で、クチナーゼ変異体R17Eの
方が優れていた。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1994年12月21日
【補正内容】
請求の範囲
1.(a)アニオン界面活性剤の非極性テールと結合し得る疎水性パッチ付近に
位置する1個以上の陽電荷アルギニン残基を、リシン残基、非帯電アミノ酸残基
もしくは陰電荷アミノ酸残基で置換してアニオン界面活性剤と酵素との相互静電
作用を低減することにより、及び/又は
(b)アニオン界面活性剤の非極性テールと結合し得る疎水性パッチ付近に位置
する1個以上のアミノ酸残基を疎水性がより小さいアミノ酸残基で置換すること
によりアニオン界面活性剤と酵素との結合を低減してアニオン界面活性剤との相
容性が改善されるようにアミノ酸配列を改変した親クチナーゼのクチナーゼ変異
体。
2.疎水性がより小さいアミノ酸残基が、グリシン、セリン、アラニン、アスパ
ラギン酸及びトレオニンからなる群の中から選択される請求項1に記載のクチナ
ーゼ変異体。
3.親クチナーゼが真核生物クチナーゼである請求項1又は2に記載のクチナー
ゼ変異体。
4.親酵素が、Fusarium solani pisi由来のクチナーゼに
対する抗体と免疫学的に交差反応す
るクチナーゼである請求項1から3のいずれか一項に記載のクチナーゼ変異体。
5.改変残基が、Fusarium solani pisiクチナーゼのアミ
ノ酸配列又は異なるクチナーゼの対応するアミノ酸の以下の位置:
17,51,78,80,88,96,156,195及び196
の1つ以上に位置する請求項1から4のいずれか一項に記載のクチナーゼ変異体
。
6.改変残基が、Fusarium solani pisiクチナーゼのアミ
ノ酸51及び195又は異なるクチナーゼの対応するアミノ酸の周辺の疎水性パ
ッチに位置する請求項1から5のいずれか一項に記載のクチナーゼ変異体。
7.Magnaporthe grisieaクチナーゼの変異体であり、以下
の変異:A80D、A88E、R156Lの1個以上を含む請求項1から6のい
ずれか一項に記載のクチナーゼ変異体。
8.rDNA技術により製造されてクチナーゼ変異体をコードする遺伝子を含む
rDNA改変微生物を発酵培養し、
微生物で産生されたクチナーゼ変異体を発酵ブロスと分離するか又は微生物細胞
を発酵ブロスと分離することによりクチナーゼ変異体調製物を製造し、分離した
細胞を破壊し、物理的又は化学的な濃縮又は精製法により前記ブロスから又は前
記細胞からクチナーゼを濃縮又は部分精製する段階を包含する請求項1から7の
いずれか一項に記載のクチナーゼ変異体の産生方法。
9.請求項1から7のいずれか一項に記載のクチナーゼ変異体をコードする遺伝
子を保有するrDNAベクターによって形質転換されて、前記クチナーゼ変異体
を発現し得るrDNA改変微生物。
10.5’末端で、宿主微生物のシグナル又は分泌配列として機能的な(改変)
プレ配列をコードする遺伝子断片と融合することによって微生物内に導入される
クチナーゼ変異体をコードする遺伝子を保有する請求項9に記載のrDNA改変
微生物。
11.宿主微生物が真核生物、例えばSaccharomyces属、Kluy veromyces
属もしくはHansenula属の酵母菌、又はAsper gillus
属の真菌である請求項9又は10に記載のrDNA改変微
生物。
12.請求項1から7のいずれか一項に記載のクチナーゼ変異体をコードする組
換えDNAベクターを保有し、かつ先祖細胞のひとつで栄養要求性マーカーをコ
ードする遺伝子を置換して栄養要求性突然変異体となった請求項9から11のい
ずれか一項に記載のrDNA改変微生物。
13.最終翻訳コドンの次に終結コドンが存在し、場合によっては、成熟酵素を
コードするヌクレオチド配列のすぐ上流にこのクチナーゼのプレ配列をコードす
るヌクレオチド配列を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の成熟クチ
ナーゼ変異体をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチド。
14.最終翻訳コドンの次に終結コドンが存在し、場合によっては、成熟酵素を
コードするヌクレオチド配列のすぐ上流に対応プレ配列の少なくとも一部分、及
び/又は選択される宿主微生物に適したシグナル配列もしくは分泌配列をコード
するヌクレオチド配列を有する請求項1から7のいずれか一項に記載のクチナー
ゼ変異体をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチド。
15.請求項1から7のいずれか一項に記載の成熟クチナ
ーゼ変異体をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチドであって、産生源の
微生物から誘導される、クチナーゼ変異体をコードするヌクレオチド配列を、少
なくとも1個のコドン、好ましくはできるだけ多くのコドンが‘サイレント’突
然変異の対象に対し、請求項9から12のいずれか一項に記載の新しい宿主に好
まれるコドンである、同等のアミノ酸残基をコードするコドンを形成するように
改変することにより、前記宿主の細胞内での使用時に、安定性の改善された導入
遺伝子用mRNAを提供する前記ポリヌクレオチド。
16.プロ又は成熟クチナーゼ変異体をコードするヌクレオチド配列の上流に、
請求項9から12のいずれか一項に記載の宿主に適したシグナル配列又は分泌配
列をコードするヌクレオチド配列が位置する請求項13から15のいずれか一項
に記載のポリヌクレオチド。
17.請求項1から7のいずれか一項に記載のクチナーゼ変異体を含む酵素洗剤
組成物。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C12N 15/09
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C12R 1:865)
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C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
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TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CZ,DE,DK,ES,FI,GB,H
U,JP,KP,KR,KZ,LK,LU,MG,MN
,MW,NL,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,
SD,SE,SK,UA,VN
(72)発明者 フアン・デル・ヘイデン,ヘンドリクス・
テオドールス・ウエー・エム
オランダ国、エヌ・エル―2907・カー・ベ
ー・カペレ・アー/デー・イエツセル、エ
イダ・64
(72)発明者 ミユステルス,ウオウテル
オランダ国、エヌ・エル―3141・エル・デ
ー・マースルイス、ウイペルスパーク・
138
(72)発明者 ペーテルス,ハンス
オランダ国、エヌ・エル―3051・イツク
ス・ベー・ロツテルダム、サフイエルスト
ラート・12
(72)発明者 フエルリツプス,コルネリス・テオドール
ス
オランダ国、エヌ・エル―3142・カー・ベ
ー・マースルイス、ハーヘドールン・18
(72)発明者 デ・フレイグ,ヤーコブ
オランダ国、エヌ・エル―3142・アー・ペ
ー・マースルイス、カスタニエーダル・32
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.アニオン界面活性剤との相容性が改善されるようにアミノ酸配列を改変した 親クチナーゼのクチナーゼ変異体。 2.アニオン界面活性剤と酵素との結合を低減することによりアニオン界面活性 剤との相容性を改善した請求項1に記載のクチナーゼ変異体。 3.アニオン界面活性剤と酵素との相互静電作用を低減することによりアニオン 界面活性剤と酵素との結合を低減した請求項1又は2に記載のクチナーゼ変異体 。 4.アニオン界面活性剤の非極性テールと結合し得る疎水性パッチ付近に位置す る1個以上の陽電荷アルギニン残基をリシン残基で置換することによりアニオン 界面活性剤と酵素との相互静電作用を低減する請求項1から3のいずれか一項に 記載のクチナーゼ変異体。 5.アニオン界面活性剤の非極性テールと結合し得る疎水性パッチ付近に位置す る1個以上の陽電荷アルギニン残基を非帯電アミノ酸残基で置換することにより アニオン界面活性剤と酵素との相互静電作用を低減する請求項1から3のいずれ か一項に記載のクチナーゼ変異体。 6.アニオン界面活性剤の非極性テールと結合し得る疎水 性パッチ付近に位置する1個以上の陽電荷アルギニン残基を陰電荷アミノ酸残基 で置換することによりアニオン界面活性剤と酵素との相互静電作用を低減する請 求項1から3のいずれか一項に記載のクチナーゼ変異体。 7.アニオン界面活性剤の非極性テールと結合し得る疎水性パッチ付近に位置す る1個以上のアミノ酸残基を疎水性がより小さいアミノ酸残基で置換することに よりアニオン界面活性剤と酵素との結合を低減する請求項1から3のいずれか一 項に記載のクチナーゼ変異体。 8.疎水性がより小さいアミノ酸残基が、グリシン、セリン、アラニン、アスパ ラギン酸及びトレオニンからなる群の中から選択される請求項7に記載のクチナ ーゼ変異体。 9.親クチナーゼが真核生物クチナーゼである請求項1から8のいずれか一項に 記載のクチナーゼ変異体。 10.親酵素が、Fusarium solani pisi由来のクチナーゼ に対する抗体と免疫学的に交差反応するクチナーゼである請求項1から9のいず れか一項に記載のクチナーゼ変異体。 11.Fusarium solani pisi、Colletotrich um capsici 、Colle totrichum gloeosporiodes 、Magnaporthe grisiea に由来するクチナーゼをコードする遺伝子の5’及び/もしく は3’末端並びに/又はクチナーゼの保存された配列と広範な相同性を示す遺伝 子によってコードされる請求項1から10のいずれか一項に記載のクチナーゼ変 異体。 12.改変残基が、Fusarium solani pisiクチナーゼのア ミノ酸配列又は異なるクチナーゼの対応するアミノ酸の以下の位置: 17,51,78,80,88,96,156,195及び196 の1つ以上に位置する請求項1から11のいずれか一項に記載のクチナーゼ変異 体。 13.改変残基が、Fusarium solani pisiクチナーゼのア ミノ酸51及び195又は異なるクチナーゼの対応するアミノ酸の周辺の疎水性 パッチに位置する請求項1から12のいずれか一項に記載のクチナーゼ変異体。 14.Magnaporthe grisieaクチナーゼの変異体であり、以 下の変異:A80D、A88E、R 156Lの1個以上を含む請求項1から13のいずれか一項に記載のクチナーゼ 変異体。 15.rDNA技術により製造されてクチナーゼ変異体をコードする遺伝子を含 むrDNA改変微生物を発酵培養し、微生物で産生されたクチナーゼ変異体を発 酵ブロスと分離するか又は微生物細胞を発酵ブロスと分離することによりクチナ ーゼ変異体調製物を製造し、分離した細胞を破壊し、物理的又は化学的な濃縮又 は精製法により前記ブロスから又は前記細胞からクチナーゼを濃縮又は部分精製 する段階を包含する請求項1から14のいずれか一項に記載のクチナーゼ変異体 の産生方法。 16.請求項1から14のいずれか一項に記載のクチナーゼ変異体をコードする 遺伝子を保有するrDNAベクターによって形質転換されて、前記クチナーゼ変 異体を発現し得るrDNA改変微生物。 17.5’末端で、宿主微生物のシグナル又は分泌配列として機能的な(改変) プレ配列をコードする遺伝子断片と融合することによって微生物内に導入される クチナーゼ変異体をコードする遺伝子を保有する請求項16に記載のrDNA改 変微生物。 18.宿主微生物が真核生物、例えばSaccharomyces属、Kluy veromyces 属もしくはHansenula属の酵母菌、又はAsper gillus 属の真菌である請求項16又は17に記載のrDNA改変微生物。 19.請求項1から14のいずれか一項に記載のクチナーゼ変異体をコードする 組換えDNAベクターを保有し、かつ先祖細胞のひとつで栄養要求性マーカーを コードする遺伝子を置換して栄養要求性突然変異体となった請求項16から18 のいずれか一項に記載のrDNA改変微生物。 20.最終翻訳コドンの次に終結コドンが存在し、場合によっては、成熟酵素を コードするヌクレオチド配列のすぐ上流にこのクチナーゼのプレ配列をコードす るヌクレオチド配列を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の成熟ク チナーゼ変異体又はその機能等価物又はその突然変異体をコードする塩基配列を 有するポリヌクレオチド。 21.最終翻訳コドンの次に終結コドンが存在し、場合によっては、成熟酵素を コードするヌクレオチド配列のすぐ上流に対応プレ配列の少なくとも一部分、及 び/又は選択される宿主微生物に適したシグナル配列もしくは分泌配列 をコードするヌクレオチド配列を有する請求項1から14のいずれか一項に記載 のクチナーゼ変異体をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチド。 22.請求項1から14のいずれか一項に記載の成熟クチナーゼ変異体又はその 機能等価物又はその突然変異体をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチド であって、産生源の微生物から誘導される、クチナーゼ変異体をコードするヌク レオチド配列を、少なくとも1個のコドン、好ましくはできるだけ多くのコドン が‘サイレント’突然変異の対象に対し、請求項16から19のいずれか一項に 記載の新しい宿主に好まれるコドンである、同等のアミノ酸残基をコードするコ ドンを形成するように改変することにより、前記宿主の細胞内での使用時に、安 定性の改善された導入遺伝子用mRNAを提供する前記ポリヌクレオチド。 23.プロ又は成熟クチナーゼ変異体をコードするヌクレオチド配列の上流に、 請求項16から19のいずれか一項に記載の宿主に適したシグナル配列又は分泌 配列をコードするヌクレオチド配列が位置する請求項20から22のいずれか一 項に記載のポリヌクレオチド。 23.(a)成熟クチナーゼ変異体、又はプレクチナーゼ、 又は(選択された宿主細胞にとって好ましい)分泌シグナルのすぐ下流でプレ配 列の少なくとも一部分が除去された対応プレクチナーゼをコードする二本鎖(d s)DNAであるが、但し、翻訳されるべき遺伝子の部分がコドンATGで開始 していない場合はATGコドンを前に置くべきとし、更に翻訳されるべき遺伝子 部分は適切な終結コドンで終了する即ち前記コドンを付加するものとする、前記 DNA; (b)クチナーゼ変異体をコードするds DNA(成分(a))のプラス鎖の 上流に位置する、(選択される宿主微生物に適した)発現レギュロン; (c)クチナーゼ変異体をコードするds DNA(成分(a))のプラス鎖の 下流に位置する、(選択される宿主微生物に適した)ターミネーター配列; (d1)選択される宿主のゲノム内へのds DNAの取り込みを容易にするヌ クレオチド配列、又は (d2)選択される宿主に適した複製起点; (e1)場合によっては(栄養要求性)選択マーカー; (e2)場合によっては、選択される宿主でのクチナーゼ変異体の一前駆体形態 の成熟及び/又は分泌に関与するタ ンパク質をコードするds DNA配列 を含んでなる、クチナーゼ変異体遺伝子をコードするヌクレオチド配列の発現を 指令し得る組換えDNAベクター。 25.前記定義のポリヌクレオチドの上流及び/又は下流に、クチナーゼの機能 発現を容易にする別の配列を更に保有する請求項24に記載の組換えDNAベク ター。 26.栄養要求性マーカーのコード領域と、欠陥プロモーター領域とからなる栄 養要求性マーカーを保有する請求項24又は25に記載の組換えDNAベクター 。 27.請求項1から14のいずれか一項に記載のクチナーゼ変異体を含む酵素洗 剤組成物。
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