【発明の詳細な説明】
ポリウレタンフォームの製造方法
発明の分野
本発明は、多官能価イソシアネート及び多ヒドロキシル(polyhydric)化合物
からの軟質、半硬質または硬質ポリウレタンフォーム(発泡体)プラスチックの
製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、多ヒドロキシル化合物上のヒド
ロキシル基の一部分をアセトアセテート基で置換することを伴う。このような置
換は、フォームの性能特性に影響を与えずに多ヒドロキシル樹脂の粘度を低下さ
せる。所望の粘度低下レベルに応じて、種々の置換レベルを使用できる。
発明の背景
ウレタンフォーム系の化学成分は、多官能価イソシアネート及び多ヒドロキシ
ル化合物、ならびに反応の速度及び型を調節するのに必要な触媒、気体を放出す
る速度を調節するのに必要な発泡剤及び反応を安定化させるのに必要な界面活性
剤である。多官能価イソシアネートと多ヒドロキシル化合物とを合する場合の反
応生成物はポリウレタンである。
ポリウレタンフォームは、発泡剤として作用する揮発性液体、通常はクロロフ
ルオロカーボンを用いて製造され、発泡用混合物の加熱時に気体が発生される。
クロロフルオロカーボンは発泡剤として作用するだけでなく、全多ヒドロキシル
樹脂粘度を有意に低下させるので、加工をより簡単にすることができる。しかし
ながら、クロロフルオロカーボンに関しては、それらが高層大気のオゾン層を減
少させるという問題がある。最近、the Environmental Protection
Agensy and local Air Quality Magagement Districtsは、クロロフルオロカー
ボン(CFC's)の量を規制しようとさらに力を入れている。ウレタンフォーム製
品からのクロロフルオロカーボンの減少は、それが少しであっても、許容され得
る環境条件の達成に役立ち、さらに、業界を将来のより厳しい大気汚染規制の可
能性に対して備えされるのに役立つ。
しかしながら、水及び塩化メチレンのような非クロロフルオロカーボン発泡剤
は、発泡剤としての機能と多ヒドロキシル樹脂の粘度低下の二重の作用を有さな
いので、いつかは訪れるクロロフルオロカーボンの排除はウレタンフォーム製造
業者には重大な問題である。これに反して、本発明者らは意外にも、多ヒドロキ
シル化合物上のヒドロキシル基の一部をアセトアセテート基で置換することによ
って、多ヒドロキシル樹脂の反応性またはそれから得られるウレタンフォーム製
品の性能特性に有害な影響を与えずに多ヒドロキシル樹脂の粘度が低下されるこ
とを発見した。
米国特許第5,051,529号は、種々の架橋反応を受けることができる官能価を与
えると同時に、得られる配合物の粘度を低下させるために、被覆中にアセトアセ
テート成分を使用することを開示している。しかしながら、ポリウレタンフォー
ムに対するアセトアセチル化の作用はこれまで確認されていない。
発明の要約
従って、本発明の1つの目的は、ウレタン基を含む軟質、半硬質または硬質発
泡プラスチックの製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、クロロフルオロカーボンを添加せずにポリウレタンフォ
ームを製造するのに使用する、低粘度多ヒドロキシル樹脂の製造方法を提供する
ことにある。
これら及び他の目的は、有機ポリイソシアネート(A)と多ヒドロキシル化合
物(B)及び発泡剤(E)とを、第三窒素原子(F)を含む触媒の存在下、場合
によっては他の発泡添加剤の存在下において反応させることを含んでなるポリウ
レタンフォームの製造方法であって、多ヒドロキシル化合物(B)上のヒドロキ
シル基の3〜80モル%がアセトアセチル化剤(C)からのアセトアセテート基で
置換される点で改良された製造方法によってここに達成される。
本発明はまた、有機ポリイソシアネート(A)と多ヒドロキシル化合物(B)
及び発泡剤(E)とを、第三窒素原子(F)を含む触媒の存在下、場合によって
は他の発泡添加剤の存在下において反応させることを含んでなるポリウレタンフ
ォームの製造方法であって、第三窒素原子を含む10〜1000ppmのアセトアセチル
化触媒(D)の存在下において多ヒドロキシル化合物(B)上のヒドロキシル基
の3〜80モル%がアセトアセチル化剤(C)からのアセトアセテート基で置換さ
れる点で改良された製造方法に関する。
発明の説明
本発明に係る方法に適当なイソシアネート、成分(A)には、本質的に全ての
有機ポリイソシアネート、例えば、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族及び複
素環式ポリイソシアネートが含まれる。具体例としては、エチレンジイソシアネ
ート;1,4−テトラメチレンジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイ
ソシアネート;1,12−ドデカンジイソシアネート;シクロブタン−1,3−
ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,3−及び1,4−ジイソシアネート、
ならびにこれらの異性体の混合物;1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル
−5−イシソアナトメチル−シクロヘキサン;2,4−及び2,6−ヘキサヒド
ロトルエンジイソシアネート、な
らびにこれらの異性体の混合物;ヘキサヒドロ−1,3−及び/または1,4−
フェニレンジイソシアネート;ペルヒドロ−2,4’及び/または−4,4’−
ジフェニルメタンジイソシアネート;1,3−及び1,4−フェニレンジイソシ
アネート;2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネート、ならびにこれらの
異性体の混合物;ジフェニルメタン2,4’−及び/または4,4’−ジイソシ
アネート;ナフタレン−1,5−ジイソシアネート;トリフェニルメタン−4,
4’,−4’−トリイソシアネート;アニリンとホルムアルデヒドとの縮合及び
それに続くホスゲン化によって得られる型のポリフェニルポリメチレンポリイソ
シアネート、たとえば、BASF,Wyandotte,MIから入手できるLUPRANATE M-20S;
過塩素化アリールポリイソシアネート;カルボジイミド基を含むポリイソシア
ネート、ジイソシアネート;カルボジイミド基を含むポリイソシアネート、ジイ
ソシアネート;アロファネート基を含むポリイソシアネート;イソシアヌレート
を含むポリイソシアネート;ウレテン基を含むポリイソシアネート;アシル化尿
素を含むポリイソシアネート;ビウレット基を含むポリイソシアネート;ならび
に前記イソシアネートとアセタールとの反応生成物が挙げられる。
また、1種またはそれ以上の前記ポリイソシアネートに場合によっては溶解さ
れた、イソシアネートの商業生産において集積したイソシアネート基を含む蒸留
残渣を使用することもできる。前記ポリイソシアネートの混合物もまた、含まれ
る。
一般に、容易に入手できるポリイソシアネート、例えば、2,4−及び2,6
−トルエンジイソシアネートならびにこれらの異性体の混合物;アニリン−ホル
ムアルデヒド縮合及びそれに続くホスゲン化によって得られる型のポリフェニル
ポリメチレンポリイソシアネート;ならびにカルボジイミド基、ウレタン基、ア
ロファネート
基、イソシアヌレート基、尿素基またはビウレット基を含むポリイソシアネート
を使用するのが特に好ましい。
第2の成分、成分(B)は、分子量200〜10,000の多ヒドロキシル化合物であ
る。特に、好ましい多ヒドロキシル化合物は、2〜8個のヒドロキシル基を含む
もの、特に、分子量250〜3,000、最も好ましくは300〜1,000を有するものである
。例としては、少なくとも2個、一般には2〜8個、好ましくは2〜6個のヒド
ロキシル基を含むポリオール、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアルキレング
リコール、ポリチオエーテル、ポリアセタール、ポリカーボネート及びポリエス
テルアミドが挙げられる。別の多ヒドロキシル化合物としては、ポリプロピレン
グリコール、OHを末端基とするポリ(エチレンアジペート)、OHを末端基とする
ポリ(ブチレンアジペート)、ポリカプロラクトン、ポリ(テトラメチレンエー
テルグリコール)、グリセロールまたはトリメチロールプロパンをプロピレンオ
キシド及び/またはカプロラクトン単位で連鎖延長することによって得られる三
官能価ポリマー、分子当たり2個より多いヒドロキシル基を有するポリマーを生
成するように二塩基酸、ジオール及びトリオールから生成されたポリエステル、
またはヒドロキシエチルアクリレート(メタクリレート)反復単位を含むポリア
クリレートが挙げられる。
ヒドロキシル基を含む適当なポリエステルの例としては、多価、好ましくは二
価及び場合によっては三価アルコールと多価、好ましくは二価カルボン酸との反
応生成物が挙げられる。遊離ポリカルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン
酸無水物またはエステルを低級アルコールまたはそれらの混合物と共にポリエス
テルの製造に使用することもできる。ポリカルボン酸は脂肪族、脂環式、芳香族
及び/または複素環式であることができ、場合によっては例えば、
ハロゲン原子で置換されていてもよく、且つ/または不飽和であってもよい。こ
れらのポリカルボン酸の例は、コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタ
ル酸、トイメリット酸無水物、フタル酸無水物、マレイン酸、マレイン酸無水物
及びフマル酸である。適当な多価アルコールとしては、エチレングリコール、1
,2−及び1,3−プロピレングリコール、1,4−及び2,3−ブチレングリ
コール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチル
グリコール、シクロヘキサンジメタノール(1,4−ビスヒドロキシメチル−シ
クロヘキサン)、2−メチル−1,3−プロパンジオール、グリセロール、トリ
メチロール−プロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタン
トリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、キニトール、マン
ニトール、ソルビトール、メチルグリコシド、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロ
ピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、歩あり
ブチレングリコール及びポリカルボン酸のグリコールエステル、例えば、テレフ
タル酸ビスグリコールエステルが挙げられる。ポリエステルは末端カルボキシル
基を含むことができる。ラクトン、例えば、ε−カプロラクトン、またはヒドロ
キシカルボン酸、例えば、ω−ヒドロキカプロン酸のポリエステルも使用できる
。
本発明に従って使用するのに適当な少なくとも2個、通常は2〜8個、好まし
くは3〜6個のヒドロキシル基を含むポリエーテルとしては、例えば、BF3の存
在下における、または反応性水素原子を有する出発成分、例えば、水、エチレン
グリコール、1,3−もしくは1,2−プロピレングリコール、トリメチロール
プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルプロパン、アニリン、アンモニア
、
エタノールアミン及びエチレンジアミンへのエポキシドの化学的付加による、エ
ポキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド
、テトラヒドロフラン、スチレンオキシドまたはエピクロロヒドリンの重合によ
って得られるものが挙げられる。
スクロースポリエステルもまた、本発明の目的に適当である。少なくとも2個
のヒドロキシル基を含むポリブタジエンと同様に、例えば、ポリエーテルの存在
下におけるスチレンとアクリロニトリルとの重合によって得られる型のビニルモ
ノマーで改質されたポリエーテルも適当である。
使用できるポリチオ−エーテルには、チオジグリコールとそれ自体との及び/
または他のグリコール、ジカルボン酸、ホルムアルデヒド、アミノカルボン酸も
しくはアミノアルコールとの縮合生成物である。共成分に応じて、これらの生成
物はポリチオ混合エーテル、ポリチオ−エーテルエステルまたはポリチオ−エー
テルエステルアミドである。適応なポリアセタールとしては、グリコール、例え
ば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、4,4’−ジオキシエト
キシジフェニルジメチルメタン及びヘキサンジオールとホルムアミドから得られ
る化合物が挙げられる。本発明の目的に適応なポリアセタールはまた、環状アセ
タールの重合によっても得られる。
ヒドロキシル基を含む適当なポリーボネートとしては、ジオール、例えば、1
,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール及び/または1,6−ヘキサ
ンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びテトラエチレ
ングリコールとジアリールカーボネート、例えば、ジフェニルカーボネートまた
はホスゲンとを反応させることによって得られるものが挙げられる。
ポリエステルアミド及びポリアミドの例としては、多価飽和及び不飽和カルボ
ン酸またはそれの無水物と多価飽和及び不飽和アミノアルコール、ジアミン、ポ
リアミン及びそれらの混合物から得られる、主に線状の縮合物が挙げられる。
ウレタンまたは尿素基をすでに含む多ヒドロキシル化合物及び改質天然ポリオ
ール、例えば、ヒマシ油、炭水化物及び澱粉も使用できる。アルキレンオキシド
とフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのまたはさらに尿素−ホルムアルデヒド
樹脂との付加物も本発明に従って使用できる。
Eastoma Chemical Companyから市販されている適当な多ヒドロキシル化合物と
しては、THANOL(商標)シリーズのポリオールが挙げられる。例えば、THANOLポ
リオールとしては、F-1500(ヒドロキシル価106〜118),F-3000(ヒドロキシル
価54.5〜57.5)、F-3020(ヒドロキシル価54.5〜57.5)、F-3048(ヒドロキシル
価54.5〜57.5)、F-3520(ヒドロキシル価46.5〜49.5)、F-3548(ヒドロキシル
価46〜50)、F-3550(ヒドロキシル価46〜50)、R-350-X(ヒドロキシル価520〜
540)、R-420(ヒドロキシル価520〜540)、R-470-X(ヒドロキシル価460〜480
)、R-572(ヒドロキシル価520〜545)、R-575(ヒドロキシル価510〜530)、R-
650-X(ヒドロキシル価440〜460)、R-3421(ヒドロキシル価460〜500)、SF-26
5(ヒドロキシル価625〜645)、E-2103(ヒドロキシル価54〜58)、PPG-400(ヒ
ドロキシル価240〜265)、PPG-1000(ヒドロキル価110〜114)、PPG-2000(ヒド
ロキシル価55〜57)、SF-700(ヒドロキシル価232〜248)、SF-1343(ヒドロキ
シル価34〜36)、SF-1345(ヒドロキシル価33〜35)、SF-1373(ヒドロキル価2
6〜28)、SF-1502(ヒドロキシル価106〜118)、SF-1505(ヒドロキシル価106〜
118)、SF-5505(ヒドロキシル価32〜35)、SF-5507(ヒドロキシル価32〜35)
、SF-6509(ヒドロキシル価
27〜29)が挙げられる。
本発明の第3成分、成分(C)はアセトアセチル化剤である。適当なアセトア
セチル化剤としては、ケテン二量体、及び多ヒドロキシル化合物と反応して多ヒ
ドロキシル化合物のアセトアセテート誘導体を形成するケテン二量体付加物が挙
げられる。適当なケテン二量体としては、脂肪族ケテン二量体、例えば、ジケテ
ン、メチルケテン二量体、ヘキシルケテン二量体、プロペニルケテン二量体、フ
ェニルケテン二量体及びフェニルエチルケテン二量体が挙げられる。ジケテンが
好ましい。反応性ケテン二量体付加物としては、アセトンとジケテンとの反応生
成物、例えば、2,2,6−トリメチル−4H−1,3−ジオキシン−4−オン
(TKD)が挙げられる。反応性ケテン二量体付加物としてはまた、アセトアセテ
ートエステルと称する、アルコールとジケテンとの反応生成物が挙げられる。適
当なアセトアセテートエステルとしては、メチルアセトアセテート、エチルアセ
トアセテート、イソプロピルアセトアセテート、ブチルアセトアセテート、t−
ブチルアセトアセテート、メチルベンジルアセトアセテート、ドデシルアセトア
セテート及び同様な脂肪族アセトアセテートが挙げられる。好ましくはアセトア
セテートエステルはt−ブチルアセトアセテートである。
このようなアセトアセチル化剤の使用によって多ヒドロキシル化合物の粘度が
有意に低下され、それによって、ポリウレタンフォーム製造業者は優れたフォー
ム特性を保持しながらCFCが比較的低いフォームを製造できるようになる。表I
は、選ばれた多ヒドロキシル化合物に関して、15モル%のアセトアセテート置換
の粘度の減少を、非置換に比較して示す。
表Iの結果は、15モル%のアセトアセテート置換によって多ヒドロキシル化合物
の粘度が40〜60%低下することを明白に示す。
表IIは、Thanol R-650-Xポリオールを用いた75モル%のアセトアセテート置換
の粘度に対する作用をThanol R-650-Xポリオールでの非置換に比較して示す。
表IIの結果は、多ヒドロキシル化合物の粘度は少なくとも75モル%の置換までは
アセトアセチル化の量に正比例することを示す。
さらに、多ヒドロキシル化合物の老化は、このような多ヒドロキシル化合物の
粘度に影響を与えない。表IIIは、THANOLポリオールR-575及びR-650-Xに関して
、60℃において30日間の老化の粘度に対する影響を、このようなポリオールの初
期の、すなわち老化させていない場合の比較して示す。
表IIIの結果は、ポリオールの老化が同様な置換レベルにおいてこのようなポ
リオールの粘度に影響を与えないことを明白に示す。
本発明の目的では、顕著な粘度低下を達成するためには少なくとも3モル%の
多ヒドロキシル化合物がアセトアセチル化される必要がある。3モル%未満では
多ヒドロキシル化合物の粘度に対して顕著な作用はない。多ヒドロキシル化合物
上のヒドロキシル基の80モル%以下がアセトアセテート基で置換されていること
は本発明の範囲内である。本発明者らは、表Iに示されるように、15モル%のア
セトアセテート置換が多ヒドロキシル化合物の粘度を40〜60%低下させることを
確認した。従って、好ましくは、多ヒドロキシル化合物の5〜25モル%、より好
ましくは12〜18モル%がアセトアセチル化される。
アセトアセチル化剤の量は、多ヒドロキシル化合物の重量を多ヒドロキシル化
合物の当量で割り、アセトアセチル化剤の当量を掛け、次いで、必要な置換パー
セントを掛けることによって求められる。
たとえば、THANOL R-650-Xを1000g用いてヒドロキシル基をアセトアセテート基
で20モル%置換するのに使用するt−ブチルアセトアセテートの量を計算するた
めには、以下の式が使用されるであろう(ポリオールの当量は124.7であり且つ
アセトアセチル化剤の当量は158である):1000/124.7×158×0.20=253.4g。
従って、ヒドロキシル基をアセトアセテートで20モル%置換するためには、t−
ブチルアセトアセテート253.4gが必要であろう。THANOL R-650-Xポリオールを
用いてヒドロキシル基をアセトアセテート基で5モル%置換するのに使用するジ
ケテンの量を計算するためには以下の式が使用される(ジケテンの当量は84.1で
ある):0.05×84.1=ジケテン4.2g/多ヒドロキシル化合物124.7g。
本発明の方法においては、アセトアセチル化剤は、アセトアセチ
ル化触媒、成分(D)を場合によっては含む多ヒドロキシル化合物に添加する。
成分(D)は、アセチル化剤と多ヒドロキシル化合物上のヒドロキシル基との反
応を促進するものであるならば、第三窒素原子を含む任意の触媒である。このよ
うな触媒としては、トリブチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミ
ン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−エチルモル
ホリン、N,N−ジメチルアミのピリジン、トリアミルアミンなどが挙げられる
。アセトアセチル化触媒(D)は、発泡及び架橋反応において使用される触媒と
同一であることができる。アセトアセチル化触媒は10ppm〜1000ppm、好ましくは
50ppm〜300ppmの範囲で使用する。本発明者らは、ジケテンをアセトアセチル化
剤と使用する場合には、アセトアセチル化触媒が必要であるが、t−ブチルアセ
トアセテートを使用する場合にはアセトアセチル化触媒は必要ないことを確認し
た。ポリオールと触媒と混合物は50〜160℃の設定温度に加熱する。混合物の温
度を設定温度から10℃以内に保持しながら、アセトアセチル化剤を混合物に徐々
に添加する。t−ブチルアセトアセテートを使用する場合のように、t−ブタノ
ールのような副生成物を除去するための蒸留工程が必要である場合もあるし、ア
セトアセチル化剤がジケテンである場合のように、副生成物が形成されないため
に蒸留工程が必要でない場合もある。
本発明によれば、ポリウレタンフォームの製造において、発泡剤、成分(E)
としては水及び/または有機物質を使用することが多い。適当な有機発泡剤とし
ては、ハロゲン置換アルカン、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチ
リデン、塩化ビニリデン、モノフルオロジクロロメタン、クロロジフルオロメタ
ン、ジクロロジフルオロメタン、ブタン、ヘキサン、ヘプタン及びジエチルエー
テルが挙げられる。発泡作用は、室温より高い温度において自然に分解
して、窒素のような気体を放出する化合物を添加することによって得られる。こ
のような化合物の例としては、アゾイソブチロニトリルのようなアゾ化合物が挙
げられる。
本発明に使用する発泡剤の具体例としてはAtochemから入手できるCFC-11及びH
CFC-141bが挙げられる。HCFC-141bは標準的なクロロフルオロカーボンより低い
気圧で分解する水素化クロロフルオロカーボンであるが、オゾン減少物質ではな
い。しかしながら、本発明の方法によれば、多ヒドロキシル樹脂の加工性及び性
能特性を保持しがなら、環境上安全でないクロロフルオロカーボン発泡剤の代わ
りに不揮発性有機発泡剤を使用することが可能になることに注目することが重要
である。
発泡及び架橋反応に適当な触媒、成分(F)としては、有機塩基、例えば、ト
リブチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルモルホ
リン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−エチルモルホリン、N,N−ジメ
チルアミンピリジン、トリアミルアミン及び有機錫化合物、例えば、カルボン酸
の錫−(II)−塩、例えば、錫−(II)−アセテート、錫−(II)−オクトエー
ト、錫−(II)−エチルヘキソエート及び錫−(II)−ラウレート、ならびにカ
ルボン酸のジアルキル錫塩、例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラ
ウレート、ジブチル錫マレエートまたはジオクチル錫ジアセートが挙げられる。
市販の第三アミン触媒としては、Air Products,Allentown,PAから入手できるP
OLYCAT 8(商標)及びDABCO 33LV(商標)(ジアゾビシクロ<2,2,2>オク
タン)が挙げられる。
発泡及び架橋用の触媒は一般に、イソシアネートと反応できる少なくとも2個
の水素原子を含む、分子量が400〜10,000の有機化合物の量に基づき0.001〜10重
量%の量で存在する。総配合物の重量
に基づき0.1〜3.0重量%の触媒濃度がよい。前記触媒の混合物もウレタンフォー
ムの製造に使用できる。本発明に従って使用する触媒は、発泡反応に対する驚く
ほど強い促進作用と、それらを用いて生成されたフォームが無臭であり且つ好適
な加水分解挙動を示すという事実を特徴とする。
本発明によれば、界面活性剤、乳化剤及び気泡安定剤も使用できる。乳化剤の
例としては、ヒマシ油スルホネートもしくは脂肪酸のナトリウム塩または脂肪酸
とアミンの塩、例えば、ジエチルアミン/オレイン酸またはジエタノールアミン
/ステアリン酸が挙げられる。スルホン酸のアルカリ塩もしくはアンモニウム塩
、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸もくはジナフチルメタンジスルホン酸の
アルカリ塩もしくはアンモニウム塩、またはさらに脂肪酸、たとえば、リシノー
ル酸またはポリマー脂肪酸のアルカリ塩もしくはアンモニウム塩も界面活性剤と
して使用できる。さらに、Union Carbide,Danbury,Connecticutから入手でき
るL-5421のような珪素界面活性剤も使用できる。
適当な気泡安定剤としては水溶性ポリエーテルシロキサンが挙げられる。これ
らの化合物は一般に、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマーが
ポリジメチルシロキサン基に結合した構造を有する。
本発明によれば、反応遅延剤、例えば、塩酸または有機酸ハロゲン化物;気泡
調節剤、例えば、パラフィンもしくは脂肪アルコールまたはジメチルポリシロキ
サン;顔料または染料:防炎加工剤、たとえば、トリソクロル−エチルホスフェ
ートまたはアンモニウムホスフェート及びポリホスフェート、例えばAkzo Chemi
cal Co.Chicago,ILから入手できるFYROL PCF(商標);老化及び天候の作用に
対する安定剤;可塑剤;制カビ作用及び制細菌作用を有する
物質;ならびに充填剤、例えば、硫酸バリウム、多孔質珪藻土、カーボンブラッ
クまたは加(prepared)チョークを使用することもできる。Cape Industiries
,Wilmington,NCから入手できるTERATE203(商標)のようなポリエステル/ポ
リオールも製品の防炎性を増大するために使用できる。
気泡ポリウレタンの一般的製造方法は、前記成分を混合し、そして反応の発熱
量が発泡剤の発泡及びそれによる樹脂の発泡を引き起こすように条件及び反応対
を調製することえある。混合物の物理的性質の変化は、所望の密度に対応する時
にポリマーを架橋することによって寸法安定化が得られるように、発泡性混合物
の発泡と同時に起こるように時間が調節される。
2つの一般的型の方法が、商業規模での気泡ポリウレタンの製造のために開発
されている。これらの2つの方法は、一般的に「ワンショット」法及び「プレポ
リマー」法と称されている。ワンショット法においては、フォームの製造に必要
な成分全てを一緒に混合し、ミキサーから適当な面上に排出する。反応は直ちに
始まり、発泡が10秒で開始且つ全発泡が1〜2分で完了するような速度で進行す
る。硬化の完了には数日を要するであろう。
プレポリマー法においては、多ヒドロキシル化合物は、イソシアネート末端基
を有し且つ過剰のイソシアネートを含むプレポリマーを形成するのに充分なポリ
イソシアネートと反応させる。次いで、プレポリマー混合物を水と反応させて、
発泡のために二酸化炭素を放出するのと同時に架橋マトリックス中に連鎖させる
。この方法は軟質フォームの製造に特に有用である。
「セミプレポリマー法」においては、過剰のイソシアネートを含むプレポリマ
ーを比較的多量の多ヒドロキシル樹脂及びハロカーボンのような別の発泡剤と混
合する。この場合、プレポリマーは総多
ヒドロキシル樹脂のわずか数%であろう。この方法は硬質フォームの製造に特に
有用である。
混合後、樹脂は数種の異なる方法によって分取できる。代表的な方法は、(1
)発泡性液体として、(2)面及びこれらの面上のフォームに付着する数滴の混
合樹脂のスプレーとして、ならびに(3)混合ヘッドから出る前の組成物と若干
の気体が混合され、大気圧に出る際のその圧力の低下時に液体混合物が起泡させ
られる泡としてである。第3の方法の変法では、泡がチャンク中の面上に噴霧さ
れて、続いて硬化の間にさらに発泡することができる。
本発明に係る最終生成物はウレタン基を含む、軟質、半硬質または硬質フォー
ムプラスチックである。the American Society for Testing and Materials(AS
TM)は、硬質プラスチックを、剛性、すなわち、23℃において7,000kg/cm2(10
0,000psi)より大きい見掛けの弾性率、Eを有するプラスチックとして定義して
いる。半硬質プラスチックはEの値が10,000〜1000,000psiであり、軟質プラス
チックはEの値が10,000psi未満である。それらは、この型の製品の通常の用途
に使用される。代表的には、このようなフォームは、マットレス中に、家具及び
自動車の椅子張り材料として、自動車の保護詰め物として、遮音材料として及び
たとえば、建築工業または冷凍産業における断熱材として使用される。
本明細書中で使用する材料及び試験方法は次の通りである:
芯部密度:ASTM-D1622
熱伝導率:ASTM-C518
圧縮強さ:ASTM-D1621
寸法安定性:ASTM-D2126
「クリーム」時間は、イソシアネート成分を入れた攪拌してから混合物が発泡し
始めるまでの時間(秒)である。
「ストリングゲル」時間は、イソシアネート成分を入れて攪拌してから接触によ
ってストリングが発生するまでの時間(秒)である。「不粘着」時間は、イソシ
アネート成分を入れて攪拌してからフォームの表面がもはや粘着性でなくなるま
での時間(秒)である。
本発明を、以下の例を考察することによってさらに説明するが、それらの例は
本発明を説明するためのものである。例中の全ての部及び百分率は、特に断らな
い限り重量に基づく。
例I
以下の配合を用いて硬質ポリウレタンフォームを調製した:
前記成分1〜7を、均質になるまで25℃の温度においてローラーミキサーを用い
て混合して、ポリオール樹脂を形成した。成分8、ジイソシアネートをポリオー
ル樹脂に添加し、得られた混合物を攪拌した。混合物をボックスに注入し、膨張
させ、その間に発熱反応が起こった。サンプルを72時間硬化させた後、表IVに示
した物理的性質が測定された。
例II
THANOL R-575ポリオールのヒドロキシル基の5,10及び15モル%をアセトアセ
テート基で置換する以外は例Iに示した配合を用いて、アセトアセチル化硬質ポ
リウレタンフォームを調製した。アセトア
セチル化剤としてはジケテンを用いた。
5,10及び15モル%置換でTHANOL R-575ポリオールをアセトアセチル化するこ
の方法は、ジアゾビシクロ<2,2,2>オクタン触媒50ppmをポリオールに添
加することを必要とした。ポリオールと触媒の混合物を70℃に加熱した。温度を
約70℃に保持しながらジケテンを滴加した。ジケテンの臭気がもはやわからなく
なるまで、15モル%の場合には約45分間、反応を続けた。
均質になるまで25℃の温度においてローラーミキサーを用いてポリオール樹脂
成分を混合して、ポリオール樹脂を形成した。ポリオール樹脂にジイソシアネー
トを添加し、得られた混合物を攪拌した。混合物をボックスに注入し、膨張させ
、その間に発熱反応が起こった。サンプルを72時間硬化させた後、表IVに示した
物理的性質が測定された。
表IVのデータは、種々のアセチル化度と多ヒドロキシル樹脂の粘度の有意な減
少は、このような樹脂から取られるポリウレタンフォームの反応特性または物理
的性質に有害な影響を及ぼさないことを明白に示す。つまり、アセトアセチル化
のレベルの増加は、フォームの熱伝導率の指標である「K」因子を実際に改良し
た。あせとあせちる化置換を含むポリウレタンフォームの反応性のわずかな減少
が認められるが、このような減少は有意ではなく、フォームの性能
特性に影響を与えない。
例III
次の配合を用いて硬質ポリウレタンフォームを調製した:
均質になるまで25℃の温度においてローラーミキサーを用いて成分1〜7を混
合して、ポリオール樹脂を形成した。成分8、ジイソシアネートをポリオール樹
脂に添加し、得られた混合物を攪拌した。混合物をボックスに注入し、膨張させ
、その間に発熱反応が起こった。サンプルを72時間硬化させた。前記ポリオール
を用いて調製したポリウレタンフォームの反応特性を表Vに要約する。表Vはま
た、25℃において90日間老化させた前記ポリオール樹脂を用いて調製したポリウ
レタンフォームに関する反応性のデータを含む。
例IV
THANOL R-650-Xポリオールのヒドロキシル基の5モル%をアセトアセテート基
で置換する以外は例IIIに示した配合を用いて、アセトアセチル化硬質ポリウレ
タンフォームを調製した。アセトアセチル化剤としてはジケテンを用いた。
5モル%置換でTHANOL R-650-Xポリオールをアセトセチル化するこの方法は、
ジアゾビシクロ<2,2,2>オクタン触媒50ppmをポリオールに添加すること
を必要とした。ポリオールと触媒の混合
物を70℃に加熱した。温度を約70℃に保持しながらジケテンを滴加した。ジケテ
ンの臭化がもはやわからなくなるまで反応を続けた。例IIIに示した方法を用い
てポリウレタンフォームを調製した。前記ポリオールを用いて調製したポリウレ
タンフォームの反応性特性を表Vに要約する。表Vはさらに、25℃において90日
間老化させた前記ポリオール樹脂を用いて調製したポリウレタンフォームに関す
る反応性のデータを含む。
表のVの結果は、ポリウレタンフォーム樹脂の反応性は、樹脂を25℃において
90日間老化させることによって影響されないことを示す。
例V
次の配合を用いて標準硬質ポリウレタンフォームを調製した:
均質になるまで25℃の温度においてローラーミキサーを用いて前記成分1〜4
を混合して、ポリオール樹脂を形成した。ポリオール
樹脂に成分5、ジイソシアネートを添加し、得られた混合物を攪拌した。混合物
をボックスに注入し、膨張させ、その間に発熱反応が起こった。サンプルを72時
間硬化させた。前記ポリオールを用いて調製したポリウレタンフォームに関する
反応性特性を表VIに要約する。表VIはさらに、60℃において30日間老化させた前
記ポリオール樹脂を用いて調製したポリウレタンフォームに関する反応性のデー
タを含む。
例VI
THANOL R-650-Xポリオールのヒドロキシル基の5モル%をアセトアセテート基
で置換する以外は例Vに示した配合を用いて、アセトアセチル化硬質ポリウレタ
ンフォームを調製した。アセトアセチル化剤としてはジケテンを用いた。
5モル%置換でTHANOL R-650-Xポリオールをアセトアセチル化するこの方法は
、ジアゾビシクロ<2,2,2>オクタン触媒50ppmをポリオールに添加するこ
とを必要とした。ポリオールと触媒の混合物を70℃に加熱した。温度を約70℃に
保持しながらジケテンを滴加した。ジケテンの臭気がもはやわからなくなるまで
反応を続けた。例IIIに示した方法を用いてポリウレタンフォームを調製した。
前記ポリオールを用いて調製したポリウレタンフォームに関する反応性特性を表
VIに要約する。表VIはさらに、60℃において90日間老化させた前記ポリオール樹
脂を用いて調製したポリウレタンフォームに関する反応性のデータを含む。
表VIの結果は、ポリウレタンフォーム樹脂の反応性が、このような樹脂を調製
するのに使用する多ヒドロキシル化合物を25℃において90日間老化させることに
よって影響されないことを示す。
前記の詳細な説明を考え合わせれば、当業者には多くの変型が考えられるであ
ろう。このような明らかな変更は全て、添付した請求の範囲の意図された最大限
の範囲内である。
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フロントページの続き
(72)発明者 ペトロスキー,ウェイド ティモシー
アメリカ合衆国,テネシー 37660,キン
グスポート,バークシャー レーン 2828
(72)発明者 ウィリアムス,トーマス ヒュー
アメリカ合衆国,テネシー 37656,フォ
ールブランチ,ピー.オー.ボックス 67
(番地なし)
(72)発明者 ジマ,ジョージ チェスター
アメリカ合衆国,テネシー 37660,キン
グスポート ユニバーシティ ブールバー
ド 1000,エフ45