JPH08503928A - 安定な高濃度のフルオレセイン製剤 - Google Patents
安定な高濃度のフルオレセイン製剤Info
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Abstract
(57)【要約】
本発明は、安定な高濃度の、特定のフルオレセイン誘導体の製剤、これらの製剤の製造、および特に続発性白内障の光力学的治療におけるそれらの使用に関する。本発明は、まず第一に、フルオロセインジエステル、特に低級アルカン酸エステル、とりわけフルオロセインジアセタートと、エーテル置換基がヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルまたはジヒドロキシプロピル基であり、エーテル置換基の一部がメチルまたはエチル基であってもよく、その水溶性が100m1の水に1.8gを越える部分エーテル化されたβ−シクロデキストリン、とりわけヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンとを含有する水溶液に関する。
Description
【発明の詳細な説明】
安定な高濃度のフルオレセイン製剤
本発明は、特定のフルオレセイン誘導体の安定な高濃度の製剤、特に溶液に関
し、これらの製剤の製造法に関し、そして特に光力学的治療、とりわけ続発性白
内障の処置または予防における、それらの使用に関する。
フルオレセイン誘導体としては、フルオレセインの特定のジエステル、特にフ
ルオレセインジアセタートにかかわる。本発明の製剤は、成分として、表題のフ
ルオレセイン誘導体の、特定のシクロデキストリン誘導体、特にヒドロキシプロ
ピル−β−シクロデキストリンとの、安定で高濃度の溶液の製造を可能にする。
ヨーロッパ公開特許第149,197号公報には、水に難溶な、または不安定
な医薬物質からの薬剤の調製と、その製造方法が開示されている。中でも、イン
ドメタゾンまたはデキサメタゾンのような医薬物質とともに用いるためのヒドロ
キシ−β−シクロデキストリンも提案されている。
ヨーロッパ公開特許第447,351号公報には、フルオレセインをシクロデ
キストリン硫酸エステルで錯体化し、その形態で眼科用試薬として提供すること
が開示されている。
それに対して、たとえば、フルオレセインジアセタートと、ヒドロプロピル−
β−シクロデキストリン型の化合物とを含有する製剤は、いまだ知られていない
。しかし、思いがけないことに、この種の製剤が、最も近い技術水準に対して、
特に続発性白内障における光力学的治療の領域で、予期しない利点を提供するこ
とが明らかに
なった。本発明の製剤は、たとえば予期しないほど安定であることが実証され、
さらに、たとえば続発性白内障の処置または予防における光力学的治療において
、この治療の実施を可能にするような、溶液中のフルオレセインジアセタートの
十分に高い濃度に、本発明の製剤がはじめて成功した。
そこで、本発明は、まず第一に、フルオレセインジエステル、特にフルオレセ
インジ低級アルカン酸エステルと、エーテル置換基がヒドロキシエチル、ヒドロ
キシプロピルまたはジヒドロキシプロピル基であり、一部のエーテル置換基が必
要に応じてメチルまたはエチル基であってもよい、部分エーテル化されたβ−シ
クロデキストリンとを含有する水溶液のような製剤に関する。好ましくは、該β
−シクロデキストリンは、水100ml中に1.8gを越える水溶性を示す。本発
明はまた、フルオレセインジエステル、特にフルオレセインジ低級アルカン酸エ
ステルと、エーテル置換基がヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルまたはジヒ
ドロキシプロピル基であり、一部のエーテル置換基が必要に応じてメチル基また
はエチル基であってもよい、部分エーテル化されたβ−シクロデキストリンとを
含有し、それから前述の溶液を再構成できる、乾燥製剤に関する。好ましくは、
該β−シクロデキストリンは、水100ml中に1.8gを越える水溶性を示す。
概念「低級」とは、本発明では、7個までの炭素原子、特に4個までの炭素原
子をもつ残基、または基を意味する。
低級アルキル基とは、7個までの炭素原子、特に4個までの炭素原子をもつア
ルキル基を意味し、たとえばメチル、エチル、プロピ
ル、2−プロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチルまたは2,2−ジメチルプ
ロピルで代表される。
フルオレセインジエステルは、有利には、フルオレセインの眼科用として受け
入れられるジエステルである。適切なジエステルは、たとえばフルオレセインジ
ホスファートか、またはフルオレセインジアセタート、フルオレセインジブチラ
ートもしくはフルオレセインジピバラートのようなフルオレセインジ低級アルカ
ン酸エステルである。フルオレセインジエステルはまた、たとえばフルオレセイ
ンモノホスファート−モノアセタートまたはフルオレセインモノアセタート−モ
ノブチラートのような混成ジエステルであってもよい。特に好ましいのは、フル
オレセインジアセタートである。
本発明の溶液において、フルオレセインジエステルは、特に濃度約200μmo
l/Lまで、好ましくは濃度約40〜約200μmol/L、さらに濃度約100μmol/
Lまで、特に好ましくは濃度約60〜約100μmol/L含有される。
そのエーテル置換基がヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルまたはジヒドロ
キシプロピル基であり、その一部のエーテル置換基が必要に応じてメチルまたは
エチル基であってもよく、水溶性が水100ml中に1.8gを越えるβ−シクロ
デキストリンは、すでにヨーロッパ公開特許第149,197号に記載されてい
る。本発明に用いられるβ−シクロデキストリン誘導体は、有利に眼科用に受け
入れられ、そのうえ無毒性のものである。
β−シクロデキストリンは、7個の無水グルコース単位からなる環状構造の化
合物である。それはまたシクロヘプタアミロースとも
いう。7個のグルコース環単位は、それぞれ3個のエーテル化可能な水酸基を含
有している。該水酸基は2−、3−および6−位に存在する。本発明に用いられ
る部分エーテル化されたシクロデキストリン誘導体は、これらの水酸基の一部分
だけが、前述のヒドロキシアルキル残基、および場合によってはさらにメチルも
しくはエチル残基でエーテル化されたものである。転換によって相当するアルキ
レンオキシドを生ずることができるヒドロキシアルキル基によるエーテル化は、
無水グルコース単位ごとのアルキレンオキシドのモル数をモル置換度(MS)と
して置換の度合を示す。本発明に用いられるβ−シクロデキストリンのヒドロキ
シアルキルエーテルは、モル置換度が0.05〜10、好ましくは0.2〜2に
達する。特に好ましくはモル置換度が約0.25〜約1である。
本発明の製剤に用いられる部分エーテル化されたβ−シクロデキストリンは、
ヒドロキシアルキル残基のほかに、アルキル残基、すなわちメチルまたはエチル
基を、0.05〜2.0、好ましくは0.2〜1.5の置換度まで含有すること
ができる。特に好ましくは、アルキル残基による置換度は約0.5〜約1.2で
ある。
本発明に用いられる部分エーテル化されたβ−シクロデキストリンの実例は、
ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロ
デキストリン、ジヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、その混成形、
すなわち、たとえばヒドロキシエチル−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキス
トリン、ならびにたとえばメチル−ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン
、メチル−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、エ
チル−ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリンまたはエチル−ヒドロキシプ
ロピル−β−シクロデキストリンのような、さらにメチルまたはエチル基による
混成エーテルである。特に好ましいのはヒドロキシプロピル−β−シクロデキス
トリンである。
フルオレセンジエステルの溶解性がそれによって特に高められるように、それ
はエーテル化されたβ−シクロデキストリンと包接化合物を形成する。部分エー
テル化されたβ−シクロデキストリンは、そのことによって、本発明の製剤に特
定量含有され、用いられた量のフルオレセインジエステルが完全に溶解すること
を保証する。本発明の製剤中の部分エーテル化されたβ−シクロデキストリンは
、好ましくは約1〜約20重量%、特に好ましくは約5〜約12重量%含有され
る。
本発明は、それゆえ、フルオレセインジ低級アルカン酸エステルと、エーテル
置換基がヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルまたはジヒドロキシプロピル基
である部分エーテル化されたβ−シクロデキストリンとを含有する溶液の、優れ
た実施態様に関する。
本発明は、フルオレセインジアセタートと、エーテル置換基がヒドロキシエチ
ル、ヒドロキシプロピルまたはジヒドロキシプロピル基である部分エーテル化さ
れたβ−シクロデキストリンとを含有する溶液の、特に優れた実施態様に関する
。
本発明は、フルオレセインジ低級アルカン酸エステルと、エーテル置換基がヒ
ドロキシプロピル基である部分エーテル化されたβ−シクロデキストリンとを含
有する溶液の、さらに優れた実施態様に関する。
本発明は、特にフルオレセインジアセタート約40〜約200μmol/Lと、ヒ
ドロキシプロピル−β−シクロデキストリン約1〜約20重量%とを含有する溶
液に関する。特に好ましくは、本発明は、フルオレセインジアセタート約60〜
約100μmol/Lと、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン約5〜約1
2重量%とを含有する溶液に関する。
本発明は、好ましい実施態様として、同様に、フルオレセインジ低級アルカン
酸エーテルと、エーテル置換基がヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルまたは
ジヒドロキシプロピル基である部分エーテル化されたβ−シクロデキストリンと
を含有する乾燥製剤に関する。
本発明は、特に好ましい実施態様として、フルオレセインジアセタートと、エ
ーテル置換基がヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルまたはジヒドロキシプロ
ピル基である部分エーテル化されたβ−シクロデキストリンとを含有する乾燥製
剤に関する。
本発明は、さらに好ましい実施態様として、フルオレセインジ低級エステルと
、エーテル置換基がヒドロキシプロピル基である部分エーテル化されたβ−シク
ロデキストリンとを含有する乾燥製剤に関する。
本発明は、特にフルオレセインジアセタート約40〜約200μmol/Lと、ヒ
ドロキシプロピル−β−シクロデキストリン約1〜約20重量%とを含有する溶
液を再構成するのに適した乾燥製剤に関する。特に好ましくは、本発明は、フル
オレセインジアセタート約60〜約100μmol/Lと、ヒドロキシプロピル−β
−シクロデキス
トリン約5〜約12重量%とを含有する溶液を再構成するのに適した乾燥製剤に
関する。
本発明の水溶液は、前述の2種の成分のほかに、たとえば、浸透圧増強剤、pH
値調節剤、溶媒、溶解助剤、増粘剤または緩衝剤のような広範囲の成分を含有す
ることができる。
浸透圧増強剤としては、特に、たとえば尿素、グリセリン、ソルビット、マン
ニット、アミノエタノールまたはプロピレングリコールのような非イオン性浸透
圧増強剤が考慮の対象になる。それに対して、塩化ナトリウムのようなイオン性
浸透圧増強剤は、本発明に関してはむしろ不適当である。浸透圧増強剤は、本発
明の溶液に一定量含有されているかぎり、近似的に等張の溶液を生ずる。近似的
に等張の溶液とは、ここでは、浸透圧が約300m0smを示す、すなわち、たとえ
ば300m0sm±10%である溶液と理解される。その場合、溶液の全成分が浸透
圧に影響を与えることを考慮に入れる。非イオン性浸透圧増強剤は、通常量、す
なわち特に約1〜約3.5重量%、好ましくは約1.5〜約3重量%添加されて
存在するであろう。
pH値調節剤としては、特に酸が適している。すなわち、本発明の溶液の安定性
は、意外にもpHの範囲が4.5〜5で著しく高いことが見出された。しかし、た
とえばフルオレセインジアセタートが、酸性領域において加水分解の傾向を減少
させることは、一般的である。そこで、適切な特定量の酸を添加して、本発明の
溶液のpH値を約2.5〜約6の範囲の値に、好ましくは約4〜5.5の範囲の値
に、特に好ましくは4.5〜5の範囲の値に調節することが有利で
あろう。適切な酸は、たとえば酢酸、クエン酸、酒石酸、乳酸もしくはプロピオ
ン酸のような有機モノもしくはジカルボン酸、またはたとえば塩酸、硫酸もしく
はリン酸のような無機酸である。
溶媒は、出来上がった本発明の溶液では、絶対に必要というのではない。しか
し、それは該溶液の製造に、卓越した役割を果たす。そこで、溶媒中のフルオレ
セインジエステルの溶液に、β−シクロデキストリン誘導体の水溶液を混合する
ことが有利である。溶媒は、水性β−シクロデキストリン相とフルオレセインジ
エステルを含有する溶媒相とを混合した後に、たとえば注意深く蒸発させるが、
凍結乾燥(Lyophilisieren)させることによって、除去できる。しかし、溶媒は
、とりわけそれが眼科用として受け入れられる場合は、該溶液中に残存していて
もよい。適切な溶媒は、たとえば酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、ジメチル
ホルムアミドまたはアセトンのような、極性の有機非プロトン溶媒である。溶媒
は、本発明の溶液中に存在しているならば、5重量%までの量、好ましくは1重
量%までの量であろう。
たとえばCremophor型、特にCremophor RH40、もしくはTween型、または他
の慣用の溶解助剤を、本発明の溶液に通常の量を添加することができる。
同様に、本発明の溶液に、通常の量の増粘剤、たとえばヒドロキシプロピルー
メチルセルロースのような有機セルロースエーテル、またはヒアルロン酸ナトリ
ウムのようなヒアルロン酸塩を添加することができる。慣用の緩衝剤もまた通常
の量を添加することができる。
本発明は、そのうえ、フルオレセインジ低級アルカン酸エステル、エーテル置
換基がヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルまたはジヒドロキシプロピルであ
る部分エーテル化されたβ−シクロデキストリン、非イオン性浸透圧増強剤、酸
、および必要に応じて溶媒を含有する、さらに好ましい実施態様に関する。
本発明は、フルオレセインジ低級アルカン酸エステル、エーテル置換基がヒド
ロキシエチル、ヒドロキシプロピルまたはジヒドロキシプロピルである部分エー
テル化されたβ−シクロデキストリン、非イオン性浸透圧増強剤としてソルビッ
ト、酸として酢酸、および必要に応じて溶媒として酢酸エステルと含有する、特
に好ましい実施態様に関する。とりわけ、フルオレセインジ低級アルカン酸エス
テルとしてフルオレセインジアセタートを、また部分エーテル化されたβ−シク
ロデキストリンとしてヒドロプロピル−β−シクロデキストリンを用いる。
全く特に好ましくは、本発明は下記を含有する溶液に関する。
a)フルオレセインジアセタート 約60〜約100μmol/L、
b)ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン 約5〜約12重量%、
c)浸透圧を約300m0smに調節するソルビット、
d)pHを約4.5〜5の範囲に調節する酢酸、および
e)必要に応じて、酢酸エステル 約5重量%までの量。
同様に、全く特に好ましくは、本発明は下記を含有する乾燥製剤に関する。
a)フルオレセインジアセタート 約60〜約100μmol/L、
b)ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン 約5〜約12重量%、
c)浸透圧を約300m0smに調節するソルビット、
それによって、再構成される水溶液の量または濃度がそのつど関係づけられる
。
本発明の溶液の製造は、各成分を通常の混合により、周知の方法によって行わ
れる。有利には、そのとき、特に酢酸エステルのような溶媒を、フルオレセイン
ジエステルを溶解させるために用いる。β−シクロデキストリンエーテルを水に
分散させる。これら2個の溶液を、さらにたがいに混合する。残りの成分は、β
−シクロデキストリンエーテルの水溶液にすでに含有させていてもよく、水相と
溶媒相を一つにまとめた溶液に、後から追加してもよい。溶媒は、必要に応じて
、たとえば注意深い蒸発か、凍結乾燥によって、溶液から再び除去してもよい。
本発明の溶液は、凍結した状態で保存性がある(3カ月間保存後も変化しない
)。冷蔵庫の中で、すなわち約8℃で3カ月、室温で約2〜3週間安定である。
また、本発明の乾燥製剤の製造は、たとえば本発明の溶液から、周知の方法に
よって行うことができる。本発明の溶液を、特に溶媒を追加した後に、たとえば
トルエンおよびエタノールを混合して、共沸的に脱水することによって、注意深
く乾燥のために蒸発させる。そのようにして得られた残分を、たとえば乾燥棚で
数時間、有利な方法で乾燥する。このような方法で得られた残分は、ヒドロキシ
プロピル−β−シクロデキストリン−フルオロセインジアセター
ト錯体、ならびに用いられた本発明の溶液中に存在する場合には、等浸透圧剤、
たとえばソルビットから本質的になる。
本発明の乾燥製剤は保存が可能である。これより、有機溶媒をさらに添加する
ことなく、本発明による水溶液を再構成することができる。
本発明の別の課題は、生きている細胞の光力学的治療に、特に続発性白内障の
予防に、本発明の溶液を使用することである。フルオレセインジアセタートは、
治療法に関連して、すでに述べられている。Lehreらのヨーロッパ公開特許第2
79,757号公報には、形質変換された細胞または腫瘍細胞の選択的破壊が生
ずることが記載されている。フルオレセインジアセタートのような物質が、ミク
ロ注射によって腫瘍細胞に侵入する。引続いての照射の間に、腫瘍細胞は死滅す
る。該ヨーロッパ公開特許第279,757号公報には、やり方や、使用された
フルオレセインの溶液の濃度について、なんらの具体的な示唆は記載されていな
い。同様に、続発性白内障の予防に使用することについても、示唆を与えられて
いない。
それに対して、本発明の溶液の開示された使用が、続発性白内障の予防と処置
に多大の貢献を成し遂げるという、公知の技術的水準から容易に想到しない方法
を生み出す。最もよく調査されたフルオレセインジアセタートをもとにして、後
述の使用について、個々に、よりよい理解のために述べる。
フルオレセインジアセタート(FDA)は非蛍光性のエステルであり、ほとん
どの生きている細胞に取り入れられ、エステラーゼによって加水分解される。蛍
光性の生成物であるフルオレセインは、
細胞の外に再びゆっくりと遊離されるであろう。それゆえ、フルオレセインは一
時的に細胞の中に蓄積される。細胞外におけるFDAの濃度が高いほど、結果と
して、細胞内のフルオレセインの濃度はより高くなる。たとえば、1μMのFD
A溶液を用いたとき、T4−腫瘍細胞の内部のフルオレセインの10分以内の平
坦な濃度は25μMに達し、あるいは、もし100μMのFDA溶液を用いたなら
ば、70μMのフルオレセインに達する。細胞内のフルオレセインは、約15分
の半減期を有する。細胞内のフルオレセインを、約480nmの適当な波長のエネ
ルギーで照射すると、最大515nmの緑色の発光を生ずる。強い照射によって、
蛍光の強さは低下する。照射の強さが十分に高いときは、フルオレセインを含有
する生きている細胞は死滅する。フルオレセインの細胞内濃度が少ないほど、臨
界照射エネルギーは高くなければならない。それゆえ、少量のフルオレセインを
含有し、またはフルオレセインを含有しない細胞が害を受けないように、照射の
強さを選択できる。
さきに述べた方法は、したがって、器官の特定の標的における細胞内のフルオ
レセインへの、目標に合致して局部的な一定の照射により、局部的な細胞毒性を
誘発することに基づいている。これは、光の強さと波長を制御した光線、特にレ
ーザーまたは水晶−ヨウ素ランプにより、光線が正確に所望の部位に届くことに
よって起こる。照射されたフルオレセインを含有する細胞はそれによって死滅し
、それに対して、それを取り巻く組織は害を受けない。これに適したレーザー技
術は、専門家によってすでに知られ、用いることができる。細胞内のフルオレセ
インに当てて集束されたレーザー光線
によって引き起こされた局部的な光活性化は、細胞の焼却に基づく従来のレーザ
ー技術よりも、きわめて小さな光活性化エネルギーしか必要としない。
生きている細胞にフルオレセインが実際に取り込まれないという問題がある。
それとは逆に、ほとんどの生きている細胞にFDAエステルが良好に取り込まれ
、そしてエステラーゼの作用で生成物のフルオレセインを生じ、ゆっくりと再び
細胞外の液体に放出される。しかし、細胞内の空間にフルオレセインを組み込む
ことは、FDAが細胞外の液体中でもすでにエステラーゼによって加水分解され
ることにより、複雑になる。それによって、細胞に自由に組み込むためのFDA
の量が減少する。再現しうる臨床的な使用のためには、あらかじめ細胞外のエス
テラーゼの濃度を下げることが奨められる。これは、処置すべき領域の周辺を洗
浄することによって、適切に行われる。もうひとつの問題は、本来使用する箇所
のFDAが拡散し、その結果として、全く処置すべきでない細胞にも取り込まれ
ることが起こりうることである。この問題は、FDAの局部的な投与と、また、
たとえば特に良好に集束された光線を用いて照射を最適にすることによって、対
処できる。
FDAを用いて光による毒性を局部的に誘発することにより、前述の光力学的
治療にFDAを使用する原則的な処理方法は、次に記すとおりである。a)処置
する領域を、その箇所の細胞外の体液を除去するために、生理的食塩水で洗浄す
る。b)処理する領域を、細胞にフルオレセインを組み込むために、40μMの
FDA食塩水溶液で約10分温置する。c)取り込まれなかったFDAを除去す
る
ために、温置された領域を生理的食塩水で洗浄する。d)すでに触媒毒が誘発さ
れてはいない標的細胞を検知できるように、低エネルギー光で該領域を照射して
、調査する。e)10〜30分の間、選択された標的細胞に、約15秒〜数分、
たとえば3分まで、局部的な細胞毒性を誘発するために高エネルギー光を集束さ
せる。f)最後に、残留物を除き、残りの細胞からのフルオレセインの拡散を容
易にするために、該領域を新たに洗浄する。
白内障とは、眼の水晶体の濁りと理解されている。白内障は視力をひどく損な
い、盲目に至らせる。水晶体の外科的な除去と、眼球内への水晶体の装入は、視
力を修復することができる。いわゆる原発性白内障の嚢外外科が全般に有利であ
り、それは副作用がわずかしか現われず、人工水晶体の装入を容易にすることも
できる。水晶体の後嚢は、水晶体の取出しのために前嚢の約四分の一を除去する
間、無傷に保たれる。すべての事例の約50%では、後方膜の前の部分へ、残っ
た前方水晶体膜の前側の上皮が伸び、このようにして続発性白内障(後部星芒)
が起こる。現在では、通常、レーザー光線によってこの膜を除去する。この治療
方法は、約50%も事例で後方膜の破壊が起こり、約5%の事例で、たとえば緻
密斑の浮腫によって、手術した眼の失明が続いて起こる。これは、最初の原発性
白内障の手術を受けた患者の2.5%に該当する。それに対して、水晶体嚢の赤
道膜および前方膜の上皮細胞層を除去したときは、続発性白内障を起こさない。
この問題の解決には、驚くべきことに、本発明の製剤がそれぞれの解決に用い
られる。フルオレセインジエステルの高濃度溶液を
使用するという原則が、前述の例のように、FDAの例で説明された。
眼の外科手術は、水晶体を摘出するまで、標準的な手順に従って行われる。水
晶体の空洞を生理的食塩水で洗浄し、本発明のFDA溶液を満たす。溶液を約1
0分作用させて、余剰のFDAを除去するために新しく洗浄する。約480nm(
たとえばアルゴン青色レーザー)と低エネルギーの非集束のレーザー光線を水晶
体上皮細胞に投入している間、細胞内に緑色の可視的な蛍光を作る。ついで、水
晶体の前方膜と後方膜を、約20分探査し、次に、細胞の位置に、良く集束され
たレーザー光線(焦点深度1/10〜1/100mm)を約10〜20秒、あらか
じめ層を形成するために用いられたエネルギーのように大きいエネルギーで照射
する。最後に、空洞を新しく洗浄し、標準的な手順に従って、さらに人工水晶体
の装入などによる手術を行う。
代わりの方法として、健全な水晶体に、FDA溶液を被膜下に直接注射する(
注水解剖をFDAを組み合わせて)ことによって、水晶体嚢の上皮内の細胞を死
滅させることもできる。細胞への組込みを、アルゴンレーザーによる低エネルギ
ー準位で視察する。余剰のFDAを水晶体核の断片とともに洗い去り、ついで、
標的細胞への高エネルギー照射を行う。不正確に投与されたFDAは、水晶体上
皮の細胞と同様に他の細胞にも取り込まれることがある。この状態で、フルオレ
セインが十分に組み込まれ、約20分の間照射された細胞は、細胞毒性を引き起
こす。観察の目的に低エネルギーを働かせて、表面の探査(走査)であらかじめ
選ばれた部位に、集束され
た光線による高エネルギー照射を行うことによって、それを避けることができる
。
続発性白内障に関して先に述べたのと基本的に類似の方法によって、本発明の
溶液は、光力学的治療の原理に基づいて、他の病気を治療するのにも利用できる
。
そのひとつの例が、結膜の後天性メラノーシスである。この場合、最初に、た
とえば結膜嚢を生理的食塩水で洗浄することによって、細胞外のエステラーゼの
濃度を下げなければならない。それから、本発明のFDA溶液を、結膜嚢の中で
約10分温置する。余剰のFDAを、強力な洗浄によって、次の20分以内に除
去し、肉眼で調節しながら、集束されたレーザー光線を腫瘍に照射する。生理的
食塩水で洗浄して修復する。この処理を、細胞が層をなして切除されるまで、任
意の時間を置いて繰返してもよい。細胞内のフルオレセインの望ましくない活性
化を減らすために、場合によっては、予防措置として、FDAを投与した時点か
らFDAを除去する50分後までのすべての実施を緑色−赤色光(>530nm)
中で行う。
本発明の溶液を組み込まれ、その結果としてエステラーゼの作用を受けてフル
オレセインを含有する標的細胞に照射する方法は、局部的な洗浄の経過のために
、FDA溶液で局部的に温置するために、そして集束した光線によって局部的に
照射するために、表面から近づきうる標識細胞を、すべての処置に用いるように
する。その方法の実行を可能にするための重要な前提は、自然の空洞(窩洞)か
、外科手術による人工的に形成された窩洞の存在である。この種
の外科手術は、たとえば管状組織の目標領域の近位および遠位の端部に膨張が起
こりうる。代表的には、口腔または鼻腔の良性または悪性の腫瘍、さらに食道ま
たは腸管、尿道または関節の窩洞である。そこで、直腸鏡検査により、または尿
道を経由する前立腺外科によって、この方法を使用できなければならない。さら
に、粘稠な滴薬としてか、それを付着させた鐘型シャーレ(ベルジャー)の中の
いずれかで局部的に投与されて、FDAを含む温置媒体で腫瘍を覆うときに、皮
膚腫瘍への応用の可能性がある。
たとえばFDAを使用した光力学的治療の原理的な特徴は、フルオレセインの
局部的な細胞内濃度が高いので、照射のためにわずかのエネルギーしか必要とし
ないことである。そのほか、フルオレセインの高い局部的な細胞内濃度が存在す
るとき、照射の精度は明らかに改良される。そのことから、今や、同時に周囲の
組織を保護しながら、ねらいをつけた細胞を死滅させることを実現できる。標的
がフルオレセインの高い局部的な細胞内濃度に達するために特に重要なことは、
高濃度のFDA溶液を使用できることである。この課題は、本発明の方法によっ
て初めて解決された。今までの方法では、必要な量のフルオレセインジエステル
、たとえばFDAを、安定な製剤の形態、特に水溶液でもたらすことは不可能で
あった。その結果、同様に、今まで、必要な、ないし望ましい高濃度のフルオレ
セインを細胞内で合成することもできなかった。
以下の実施例は、いかなる方法によっても実施例の範囲に限定することなしに
、本発明を説明する。温度は摂氏で示される。
実施例1
水(注射用水)784.12gにEncapsinHPB(ヒドロキシプロピル−β−
シクロデキシトリン)200.000gとソルビット57.0gを加えて溶解さ
せた。ついで、1%酢酸でpHの値を4.5に調節した。次に、酢酸エチルに溶解
させたフルオレセインジアセタート(酢酸エステル100.0mlにフルオレセイ
ンジアセタート1,250mgを溶解させた溶液2.88g)を加えて、水相と
混合した。溶液を滅菌ろ過した。水(注射用水)960.00g中にMethocelE
4Mを40.00g溶解させた。溶液をオートクレーブにかけた。両方の溶液を
、比率1:1で混合した。このようにして、pHの値が4.5±0.3で、浸透圧
が約300m0sm/kgの溶液が得られた。
実施例2
実施例1に類似の方法で、次の成分を含有する溶液を製造した。
EncapsinHPB(ヒドロキシプロピル−p
−シクロデキストリン)100.00 mg
ソルビット 28.50 mg
1%酢酸 必要量
フルオレセインジアセタート 0.0333mg
酢酸エステル 2.88 mg
注射用水 全体が1mlになる量(ad 1ml)
この溶液は、フルオレセインジアセタート80μmol/Lを含有していた。それ
はpH値が4.72で、浸透圧が313m0sm/kgの、無色透明な液体であった。
実施例3
実施例2の溶液を1ヵ月保存した後に、次の特性値を示した。すなわち、−1
8℃で貯蔵後、pH値:4.61、浸透圧:306m0sm/kg、フルオレセイン含有
量:当初の含有量の99.8%を示した。+8℃で貯蔵後、pH値:4.57、浸
透圧:304m0sm/kg、フルオレセイン含有量:当初の含有量の94.0%を示
した。+25℃で貯蔵後、pH値:4.51、浸透圧:298m0sm/kg、フルオレ
セイン含有量:当初の含有量の69.7%を示した。
実施例4
実施例2の溶液5.0mlに、無水エタノール40mlとトルエン10mlを加えた
(エタノール:トルエンの4:1の混合物は、水の共沸除去に役立つ)。この混
合物を、水浴温度80℃で、回転蒸発器により、蒸発乾固させた。溶媒を除去す
るまで、残留物を乾燥棚中、120℃で2時間乾燥させた。そのようにして得ら
れた乾燥した製剤は、実際にヒドロキシ−β−シクロデキスリン−フルオレセイ
ンジアセタート錯体および等浸透圧化剤であるソルビットからなっていた。それ
は有機溶媒の添加なしに、いつでも再び水に溶けた。
3ヵ月間保存された乾燥製剤から再構成された水溶液の安定性試験(HPLC
を用いて)は、FDAの減少や、他のなんらかの崩壊現象を示さなかった。この
ことは、本発明の乾燥製剤が長時間安定を保ち、室温(15〜25℃)で保存で
きることを示している。
実施例5
FDA(蛍光を発しない)から細胞内でのフルオレセイン(蛍光を発する)の
取込みと遊離を、顕微鏡蛍光分析(励起480nm、発光520nm)の助けを借り
て、たとえばヒト個体のT24癌細胞の組織培養によって調査した。細胞内のフ
ルオレセイン濃度は、約4分間直線的に上昇し、10分後にほぼ平坦な値に達し
た。それは細胞外に供給したFDAの濃度に依存していた。すなわち、10分後
に細胞内のフルオレセイン濃度は、FDA0.04mmol/Lで0.017mmol/L、
FDA0.02mmol/Lで0.015mmol/L、FDA0.01mmol/Lで0.01mm
ol/L、そしてFDA0.001mmol/Lで0.004mmol/Lになったのに対して、
FDA0.0001mmol/Lではもはや測定できなかった。純粋なフルオレセイン
を細胞に供給したときは、取込みは確認されなかった。組織培養の培地からFD
Aを除去した後に、細胞からのフルオレセインの遊離を測定した。個々の細胞か
らのフルオレセインの排出は速度論的に一次で、半減期は約10〜25分であっ
た。細胞内のフルオレセインの蛍光の強さは、相当するフルオレセインが活発な
ときに低下した。退色が強いほど、与えられた照射エネルギーによる細胞内フル
オレセイン濃度が高い。退色効果の下限は、71mJ/mm2に対して0.004mmol
/Lであり、560mJ/mm2(照射時間120秒)に対して0.002mmol/Lであっ
た。0.1mW/mm2で1〜10分の照明(細胞の観測のため)では、測定しうる退
色は認められなかった。
実施例6
FDAからの細胞内のフルオレセインの照射(励起480nm)の
細胞毒性効果を、たとえばヒトT24癌細胞の組織培養で調査した。このために
、個々の細胞の顕微鏡による蛍光分析(励起480nm、発光520nm)による細
胞内のフルオレセイン濃度と、Propidium Iodid(商品名)の取込みによる活力
を測定した。細胞内のフルオレセイン濃度が少ないほど、細胞毒性効果は少ない
。フルオレセイン<0.0015mmol/Lの細胞内フルオレセイン濃度、およびフ
ルオレセイン<0.001mmol/Lの退色では、一度ならず1.2J/mm2(2分あ
たり)のような極度の照射条件で、細胞毒性は認められなかった。同様な照射エ
ネルギーによって、細胞内のフルオレセイン濃度が高いほど、また照射時間が長
いほど、細胞毒性はきわ立っていた。0.013mmol/Lの細胞内フルオレセイン
をもつ細胞が15秒、フルオレセイン0.005mmol/Lをもつ個々の細胞が12
0秒照射されたときに、200mJ/mm2の照射で50%の細胞が死滅し、またはフ
ルオレセイン0.007mmolをもつ細胞が15秒、フルオレセイン0.003mm
olをもつ個々の細胞が120秒照射されるときに、500mJ/mm2で50%の細胞
が死滅した。
実施例7
粘稠な媒体であるHymcel(登録商標、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース
)に溶解させたFDAからのフルオレセインの細胞内取込みを、ヒトT24癌細
胞の組織培養において調査した。そのために、個々の細胞について、細胞内のフ
ルオレセインの濃度を、顕微鏡による蛍光分析(励起480nm、発光520n
m)で測定した。細胞内フルオレセイン濃度の上昇と平坦値は、水環境での細胞
の温置後のそれにほぼ対応した。粘稠な媒体を除去し、細胞を洗浄し
てから8分後に、細胞内フルオレセイン濃度は、0.004〜0.005mmol/L
で0.01mmol/LのFDA、0.007〜0.009mmol/Lで0.02mmol/Lの
FDA、および0.019mmol/Lで0.04mmol/LのFDAになった。
実施例8
細胞内のフルオレセインに、488nmのレーザー光(アルゴン)を照射するこ
との細胞毒性効果を、ウサギの角膜について生体内で調査した。そのために、角
膜にFDA溶液に10分間滴下して、生理的食塩水で洗浄し、ついで照射を実施
した。角膜の蛍光の強さはこの時に大きく上昇し、やがて5時間以内にゆっくり
と減少して、洗浄後にゼロになった。蛍光を生じた角膜への照射の結果、黒いし
みを生じ、その大きさはレーザー光を当てた範囲に相当していた。この退色効果
に対する最小の有効エネルギーは、0.01mmol/LのFDAで2.4J/mm2であ
り、0.02mmol/LのFDAで0.11J/mm2であった。肉眼で見える層状の黒
いしみは、角膜の最外層の死んだ上皮細胞の組織学的な広がりに相当した。この
細胞毒性効果のための照射エネルギーの下限は、0.02mmol/LのFDAを用い
て、0.38mJ/mm2(5秒および20秒)であった。
実施例9
細胞内のフルオレセインに、488nmのレーザー光(アルゴン)を照射するこ
との細胞毒性作用を、ウサギの眼の水晶体上皮について、生体内で調査した。こ
のために、はじめにウサギの両眼にVoltaren(登録商標)点眼剤で(24時間に
3回)予備処理して、手術の直前に、散瞳剤で瞳孔を広げた。ウサギを全身麻酔
にかけ
た。角膜を小さく切開した後、前眼房を食塩水で1分間すすぎ(自然の房水を除
去するために)、その後、5mlのFDA溶液でゆっくり洗浄し(1ml/min)、溶
液を充満させ、さらに5分間そのままにして、再び食塩水で1分間洗浄した(余
剰のFDA溶液を除去するため)。房をFDA溶液で洗浄する間、角膜に食塩水
を点眼した(房に逆流したFDA溶液を急速に希釈し、除去するために)。表面
蛍光モードの立体顕微鏡による水晶体の観察で、前方水晶体嚢の蛍光の絶え間な
い明らかな増加が見られた。さらに、切開された部位に近い周辺の角膜表面もま
た少し蛍光を発していた。最後に、30秒の期間の照射(0.92Wおよび0.
64W)を行い、それによって、水晶体の平面における円形の照射表面が95mm2
(直径11mm)になった。照射後、水晶体表面はもはや蛍光を発しない。眼の
組織学的診断(一連の切開)をそのように行って、約18時間後に殺されたウサ
ギは、照射された領域の上皮に、細胞毒性作用の証拠を生み出した。すなわち、
顕微鏡的に変化のない基底膜の水晶体上皮全体の壊死、ピクノーゼ核の残渣、お
よび水晶体の後方嚢下領域の浮腫性の腫れである。すべての調査された照射線量
(291〜19mJ/mm2)が有効であった。ここに示された眼とは反対に、照射さ
れたがFDA溶液を注射されていなかったものは、組織病理学的に証明される変
化はなかった。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
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Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.フルオレセインジエステルと、エーテル置換基がヒドロキシエチル、ヒド ロキシプロピルまたはジヒドロキシプロピル基であり、エーテル置換基の一部が 必要に応じてメチルまたはエチル基であってもよい、部分エーテル化されたβ− シクロデキストリンとを含有する製剤。 2.該β−シクロデキストリンエーテルが水100mlあたり1.8gを越える 水溶性を示す請求の範囲第1項記載の製剤。 3.フルオレセインジ低級アルカン酸エステルと、エーテル置換基がヒドロキ シエチル、ヒドロキシプロピルまたはジヒドロキシプロピル基である部分エーテ ル化されたβ−シクロデキストリンとを含有する請求の範囲第1項記載の製剤。 4.フルオレセインジアセタートと、エーテル置換基がヒドロキシエチル、ヒ ドロキシプロピルまたはジヒドロキシプロピル基である部分エーテル化されたβ −シクロデキストリンを含有する請求の範囲第1項記載の製剤。 5.フルオレセインジ低級アルカン酸エステルと、エーテル置換基がヒドロキ シプロピル基である部分エーテル化されたβ−シクロデキストリンを含有する請 求の範囲第1項記載の製剤。 6.さらに、浸透圧増強剤、pH値調節剤、溶媒、溶解助剤、増粘剤および緩衝 剤からなる群より選ばれる1種または多種の成分を含有する請求の範囲第1項記 載の製剤。 7.フルオレセインジ低級アルカン酸エステル、エーテル置換基がヒドロキシ エチル、ヒドロキシプロピルまたはジヒドロキシプロ ピル基である部分エーテル化されたβ−シクロデキストリン、非イオン性浸透圧 増強剤、酸および必要に応じて溶媒を含有する請求の範囲第6項記載の製剤。 8.フルオレセインジ低級アルカン酸エステル、エーテル置換基がヒドロキシ エチル、ヒドロキシプロピルまたはジヒドロキシプロピル基である部分エーテル 化されたβ−シクロデキストリン、非イオン性浸透圧増強剤としてのソルビット 、酸としての酢酸、および必要に応じて溶媒としての酢酸エステルを含有する請 求の範囲第7項記載の製剤。 9.フルオレセインジ低級アルカン酸エステルがフルオレセインジアセタート であり、部分エーテル化されたβ−シクロデキストリンがヒドロキシプロピル− β−シクロデキストリンである請求の範囲第8項記載の製剤。 10.水溶液である請求の範囲第1〜9項のいずれか一項に記載の製剤。 11.濃度約200μmol/Lまで、好ましくは濃度約40〜約200μmol/L、特 に濃度約100μmol/Lまで、特に好ましくは濃度約60〜約100μmol/Lのフ ルオレセインジエステルをその中に含有する範囲第10項記載の溶液。 12.フルオレセインジアセタートを約40〜約200μmol/Lと、ヒドロキシ プロピル−β−シクロデキストリンを約1〜約20重量%含有する請求の範囲第 10項記載の溶液。 13.フルオレセインジアセタートを約60〜約100μmol/Lと、ヒドロキシ プロピル−β−シクロデキストリンを約5〜約12 重量%含有する請求の範囲第10項記載の溶液。 14.a)フルオレセインジアセタート 約60〜約100μmol/L、 b)ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン 約5〜約12重量%、 c)浸透圧を約300m0smに調節するソルビット、 d)pHを約4.5〜5に調節する酢酸、および e)必要に応じて、酢酸エステル 約5重量までの量 含有する請求の範囲第10項記載の溶液。 15.乾燥製剤である請求の範囲第1〜9項のいずれか一項に記載の製剤。 16.a)フルオレセインジアセタート 約60〜約100μmol/L、 b)ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン 約5〜約12重量%、お よび c)浸透圧を約300m0smに調節するソルビット、 を含有し、それによって、再構成される水溶液の量または濃度がそのつど関係づ けられる、請求の範囲第15項記載の製剤。 17.成分を慣習的な混合を行うことによって特徴づけられる請求の範囲第10 項記載の溶液の製造方法。 18.フルオレセインジエステルを溶媒中の溶液として、残りの成分と混合する 請求の範囲第17項記載の製造方法。 19.フルオレセインを生きている細胞に組み込むために、温置媒体として、請 求の範囲第10項記載の溶媒を使用する方法。 20.光力学的治療の予備段階として、生きている細胞への組込みが起こる請求 の範囲第19項記載の使用方法。 21.続発性白内障の光力学的治療または予防に用いられる請求の範囲第20項 記載の使用方法。
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