JPH08503697A - T細胞を寛容化するペプチドおよびその組成物 - Google Patents

T細胞を寛容化するペプチドおよびその組成物

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JPH08503697A JP6508150A JP50815094A JPH08503697A JP H08503697 A JPH08503697 A JP H08503697A JP 6508150 A JP6508150 A JP 6508150A JP 50815094 A JP50815094 A JP 50815094A JP H08503697 A JPH08503697 A JP H08503697A
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Abstract

(57)【要約】 個体の、抗原(例えばアレルゲン、自己抗原または移植抗原)に特異的であるT細胞の少なくとも一部を寛容化することができる寛容化性ペプチドであって、抗原提示細胞(APC)のMHCと結合する能力を有し、該ペプチド−MHC複合体との個体のT細胞の少なくとも一部のT細胞受容体の結合を生起し、(1)該ペプチドおよび組織適合抗原提示細胞を用いる生体外検定において、個体の、該抗原に特異的であるT細胞の少なくとも一部の検出可能な増殖を全く生起しないか、または最小限度の増殖を生起する能力、(2)個体の、該抗原、該ペプチドおよび組織適合抗原提示細胞に特異的であるT細胞の一部を用いる生体外検定において、IL−2の検出可能な産生を全く生起しないか、または最小限度の産生を生起する能力、(3)個体の、該抗原、該ペプチドおよび組織適合抗原提示細胞に特異的であるT細胞の一部を用いる生体外検定において、IL−3の検出可能な産生を全く生起しないか、または最小限度の産生を生起する能力、および(4)個体の、該抗原、該ペプチドおよび組織適合抗原提示細胞に特異的であるT細胞の一部を用いる生体外検定において、γIFNの検出可能な産生を全く生起しないか、または最小限度の産生を生起する能力のうち少なくとも一項、好ましくはすべてを有するペプチド、ならびに少なくとも1種類のかかる寛容化性ペプチドを含有する治療用組成物。該寛容化性ぺプチドまたは該治療用組成物は、該抗原に対する個体の感受性に起因する病的状態(例えばアレルギー、移植体拒絶および自己免疫疾患)の治療に効果的である。

Description

【発明の詳細な説明】 T細胞を寛容化するペプチドおよびその組成物 発明の背景 いくつかの無関係に見える病態、例えばアレルギー、移植体拒絶および自己免 疫疾患は、少なくとも部分的にはT細胞の活性化が関与する有害な免疫反応によ って生起されるという共通の特徴を共有する。このT細胞活性化へと導く分子的 事象の一連の流れは、抗原となるペプチド(T細胞の少なくとも1エピトープを 含む発病性抗原蛋白質に由来するプロセシングされたペプチド)と主要組織適合 複合体分子(MHC)との間の複合体の形成によって間始される。これらの抗原 −MHC複合体はリガンドであって、次に、その発病性抗原に特異的であるT細 胞の表面のT細胞受容体(TCR)に認識される。三分子性の抗原−MHC−T CR複合体におけるTCRの咬合は、補助刺激性シグナルとともに、T細胞の活 性化を招き、それに続いてT細胞活性化に特徴的である一連の分子的事象、例え ば、チロシンリン酸化、Ca2+流入、イノシトールリン酸の代謝回転、サイトカ イン類(すなわちIL−2、IL−3、γインターフェロン)およびサイトカイ ン受容体の合成、ならびにT細胞の増殖の増大が生起する。 何人かの研究者は、MHC分子の抗原結合部位の遮断 によってT細胞活性化の阻害を生起する高親和性MHC結合性ペプチドを用いる ことによって、この認識過程に干渉する治療法の開発を追求している。別の研究 者らは、様々な機序によってT細胞の寛容化を招く治療法を考案しようと試みて いるが、こうした機序には、適切なMHC複合体に、しかし適切な補助剌激性シ グナルなしに結合され、そのために、標的T細胞が寛容化されるようにする標的 抗原に由来する抗原ペプチドとTCRとを咬合させることが含まれる。寛容化さ れたT細胞は、低い抗原濃度で刺激されたときには増殖せず、いかなる条件下で もIL−2を産生しなくなる。標的にされた抗原T細胞の寛容化を生起する(す なわち、このT細胞は増殖しないか、または最小限にのみ増殖するにすぎず、更 に、上記に考察したT細胞活性化に付随する他のいかなる機能も果たさない)ア レルギー、移植体拒絶または自己免疫疾患に対する治療を提供することは好都合 であろうし、その上、T細胞の寛容化が適切な補助刺激性シグナルの存在下また は不在下で発生し得るならば、好都合であろう。発明の要約 本発明は、治療的有効量で個体に投与したときに、該個体の、抗原(例えばア レルゲン、自己抗原または移植抗原)に特異的であるT細胞の少なくとも一部を 寛容化することができる寛容化性ペプチドであって、抗原提示細胞(APC)の MHCと結合する能力を有し、該ペプ チド−MHC複合体との個体のT細胞の少なくとも一部のT細胞受容体の結合を 生起し、そして下記の特性:すなわち(1)該ペプチドおよび組織適合抗原提示 細胞を用いる生体外検定において、個体の、該抗原に特異的であるT細胞の少な くとも一部の検出可能な増殖を全く生起しないか、または最小限度の増殖を生起 する能力、(2)個体の、該抗原、該ペプチドおよび組織適合抗原提示細胞に特 異的であるT細胞の一部を用いる生体外検定において、IL−2の検出可能な産 生を全く生起しないか、または最小限度の産生を生起する能力、(3)個体の、 該抗原、該ペプチドおよび組織適合抗原提示細胞に特異的であるT細胞の一部を 用いる生体外検定において、IL−3の検出可能な産生を全く生起しないか、ま たは最小限度の産生を生起する能力、および(4)個体の、該抗原、該ペプチド および組織適合抗原提示細胞に特異的であるT細胞の一部を用いる生体外検定に おいて、γIFNの検出可能な産生を全く生起しないか、または最小限度の産生 を生起する能力のうち少なくとも一項、好ましくはすべてを有するペプチド、な らびに少なくとも1種類のかかる寛容化性ペプチドを含有する治療用組成物を提 供する。好ましくは、該寛容化性ペプチドは、免疫原の形態で該ペプチドを生体 内に投与したときに、個体の、該抗原に特異的であるT細胞の少なくとも一部の 検出可能な増殖を全く生起しないか、または最小限度の増殖を生起する能力を有 する。好ましくは、本発明の 治療用組成物は、かかる個体の、該抗原に特異的であるT細胞の実質的にすべて を該抗原に対して不応性にするのに充分な数の寛容化性ペプチドを含む。 本発明は、個体における特定の抗原に対する感受性を治療する方法であって、 好ましくは非免疫原の形態で、本発明の少なくとも1種類の治療用組成物を、該 個体の、該抗原に特異的であるT細胞の少なくとも一部、好ましくは全部を該抗 原に対して不応性にするのに有効な量で該個体に投与することによる方法も提供 する。本発明の少なくとも2種類の異なる治療用組成物を同時に、または逐次的 に該個体に投与することができる。本発明のもう一つの実施態様は、個体の免疫 系による抗原特異性抗体応答の少なくとも一部を阻害する方法であって、好まし くは非免疫原の形態で、本発明の少なくとも1種類の治療用組成物を、該個体の 、該抗原に特異的であるT細胞の少なくとも一部を該抗原に対して不応性にする のに有効な量で該個体に投与することによる方法を提供する。 本発明の更にもう一つの実施態様では、本発明の寛容化性ペプチドを設計する 方法、および該寛容化性ペプチドを用いて、個体の、抗原に特異的であるT細胞 の集団の少なくとも一部を寛容化する方法が提供される。図面の説明 図1aは、マウスヘモグロビンBdの短鎖の野生型ペプチド(HbB(64− 76)、グラフではWtHbと して示されている)、または本発明の置換されたHbB(64−76)であるS er70に対するT細胞クローンであるPL−17のI−Ek移入L細胞という 繊維芽細胞を抗原提示細胞(APC)に用いたT細胞増殖検定のグラフ表示であ る。 図1bは、図1aと同様であるが、2種類の置換されたHbB(64−76) ペプチド、すなわちSer70およびG1n72をT細胞増殖検定に用いている 。 図2aは、WtHbまたは置換ペプチドSer70で刺激されたTh1クロー ンであるPL−17によるIL−2について、IL−2依存性細胞系であるCT LLの増殖として定量した生物検定のグラフ表示であって、CH27B細胞とい うリンパ腫をAPCに用いた。 図2bは、図2aと同様であるが、2種類の置換HbB(64−76)ペプチ ド、すなわちSer70およびG1n72を検定に用いている。 図3aは、WtHbおよび置換ペプチドSer70で刺激されたTh1クロー ンのPL−17によるγIFN産生についての生物検定の棒グラフ形態でのグラ フ表示であって、L細胞という繊維芽細胞を抗原提示細胞に用い、ELISAを 用いてγIFNを定量した。 図3bは、図3aと同様であるが、置換ペプチドG1n72も試験したγIF N産生についての生物検定の折れ線グラフ形態でのグラフ表示である。 図4は、WtHbまたは置換ペプチドSer70で剌 激されたTh1クローンのPL−17によるIL−3産生についての生物検定の グラフ表示であって、IL−3産生は、IL−3依存性細胞系であるGG1.1 2の増殖として定量し、B10.BR/sgSnjという脾臓細胞をAPCに用 いた。 図5aは、抗原なし(NoAgo/n)で、または50μMのSer70もし くは50μMのG1n72のいずれかとともに一晩温置し、1日休止させてから 野生型Hbペプチド(64−76)で挑戦試験したTh1クローンPL−17を 用いた寛容性検定の結果のグラフ表示であって、DCEK−Hi7というL細胞 またはB10.BR/SgSnj脾臓細胞をAPCに用いた。 図5bは、抗原なし(NoAgo/n)で、または50μMのSer70とと もに一晩温置し、3日間休止させてから野生型Hbペプチド(64−76)で挑 戦試験したTh1クローンPL−17を用いた寛容性検定の結果のグラフ表示で あって、DCEK−Hi7というL細胞またはB10.BR/SgSnj脾臓細 胞をAPCに用いた。 図5cは、抗原なし(NoAgo/n)で、または50μMのSer70とと もに一晩温置し、5日間休止させてから野生型Hbペプチド(64−76)で挑 戦試験したTh1クローンPL−17を用いた寛容性検定の結果のグラフ表示で あって、DCEK−Hi7というL細胞またはB10.BR/SgSnj脾臓細 胞をAPCに 用いた。 図5dは、抗原なし(NoAgo/n)で、または50μMのSer70とと もに一晩温置し、7日間休止させてからHbペプチド(64−76)で増殖検定 として挑戦試験したTh1クローンPL−17を用いた寛容性検定の結果のグラ フ表示であって、DCEK−Hi7というL細胞またはB10.BR/SgSn j脾臓細胞をAPCに用いた。 図6は、ペプチドなしで、またはHb(64−76)、Ser70もしくはG 1n72とともに温置したTh1クローンのPL−17細胞によるイノシトール リン酸生成についての、DCEK−Hi7というL細胞またはB10.BR/S gSnj脾臓細胞のいずれかをAPCに用いた検定の結果のグラフ表示であって 、シンチレーション計数によって総遊離イノシトールリン酸を定量した。 図7aは、抗原なし(NoAgo/n)で、または50μMのSer70(5 0μMs70o/n)、50μMのG1n72(50μMQ71o/n)もしく は100μMのG1n72(100μMQ72o/n)のいずれかとともに一晩 温置したTh1クローンのPL−17細胞、およびAPCとしてDCEK−Hi 7というL細胞の移入体を用い、次いで、抗原としてのHb(64−76)で挑 戦試験した寛容性検定の結果のグラフ表示である。 図7bは、様々な濃度の置換ペプチドSer70とともに一晩温置したTh1 クローンのPL−17、およびAPCとしてDCEK−Hi7というL細胞の移 入体を用い、次いで、抗原としてのHb(64−76)で挑戦試験した寛容性検 定の結果のグラフ表示である。 図8は、抗原なしで、または置換ペプチドSer70ととともにか、または抗 原なしでシクロスポリンAとともにか、または置換ペプチドSer70およびシ クロスポリンAとともに一晩温置したPL−17細胞、およびAPCとしてDC EK−Hi7というL細胞を用い、次いで、抗原としてのHb(64−76)で 挑戦試験した寛容性検定の結果のグラフ表示である。 図9は、DCEK/Hi7というL細胞のみとともにか、または50μMの置 換ペプチドのSer70もしくはG1n72とともに温置したPL−17細胞の 表面のIL−2受容体のレベルについてのFACScan分析試験を示すグラフ である。 図10は、DCEK/Hi7というL細胞のみとともにか、または50μMの 濃度の置換ペプチドのSer70もしくはG1n72と組合せて温置したPL− 17細胞の表面のLFA−1という粘着分子のレベルについてのFACScan 分析試験を示すグラフである。 図11aは、抗原なし(NoAgo/n)で、または50μMのSer70と ともに一晩温置し、3日間休止させてから野生型Hbペプチド(64−76)で 増殖検 定として挑戦試験したTh1クローンPL−17を用いた寛容性検定の結果のグ ラフ表示である。 図11bは、抗原なし(NoAgo/n)で、または50μMのSer70と ともに一晩温置し、3日間休止させてから野生型Hbペプチド(64−76)で 増殖検定として挑戦試験したTh1クローンPL−17を用いた寛容性検定の結 果のグラフ表示である。発明の詳細な説明 本発明は、治療的有効量で個体に投与したときに、該個体の、抗原(例えばア レルゲン、自己抗原または移植抗原)に特異的であるT細胞の少なくとも一部を 寛容化することができる寛容化性ペプチド(ここでは寛容化性置換ペプチドとも 呼ぶ)であって、組織適合抗原提示細胞を用いた生体外検定において、該個体の 、該抗原に特異的であるT細胞の少なくとも一部の検出可能な増殖を全く生起し ないか、または最小限度の増殖を生起する寛容化性ペプチド、ならびに少なくと も1種類のかかる寛容化性ペプチドを含有する治療用組成物を提供する。ここで 用いられる限りでの「寛容化」「寛容化性」「アネルギー」および「アネルギー 作用性」等々という用語は、T細胞が、MHCと複合体化された抗原による刺激 に応答できなくされることを意味する。ここでは、寛容化は、寛容化性ペプチド およびMHCの複合体とのT細胞受容体の結合を包含する。最小限度のT細胞増 殖、最小限度のリンホカイン産生等々を考察するときにここで用 いられる限りで、最小限度という用語は、有意ではない量を意味する。組織適合 抗原提示細胞とは、T細胞の集団に対して組織適合性である抗原提示細胞(AP C)のことである。これは、T細胞およびAPCが同じ供給源から得られた場合 に自動的である。しかし、それらを別個に調製してもよい。ヒトに関係する検定 については、同一被験者からの不死化されたB細胞系、MHCクラス2適合細胞 系、または適格末梢血単核細胞をAPCとして用いることができる。好ましくは 、該寛容化ペプチドは、該ペプチドを免疫原の形態で生体内に投与したときに、 個体の、該抗原に特異的であるT細胞の少なくとも一部の検出可能な増殖を全く 生起しないか、または最小限度の増殖を生起する能力を有する。免疫原の形態と は、免疫応答を誘導する、すなわちペプチドと特異的に免疫反応性であるT細胞 の活性化または抗体の産生を生起する傾向がある形態を意味する。アジュバント に混入して投与されたペプチドは免疫原性となる傾向があるが、アジュバントの 不在下で、および可溶性形態(非免疫原形態)で投与されたペプチドは寛容原性 となる傾向があることは周知である。本発明の寛容化性ペプチドのその他の特徴 は、個体の、該抗原に特異的であるT細胞の一部、および組織適合抗原提示細胞 を用いる生体外検定において、IL−2、IL−3、IL−4、γインターフェ ロン等々を包含するがそれらに限定されないリンホカイン類の検出可能な産生を 全く生起しないか、または最 小限度の産生を生起する能力を包含する。 好ましくは、本発明の治療用組成物は、本発明の少なくとも1種類の寛容化性 ペプチド、および製薬上許容され得る担体または希釈剤を含む。製薬上許容され 得る希釈剤は、食塩水および水性緩衝液を包含する。製薬上許容され得る担体は 、ポリエチレングリコール[Wie ら、International Archives of Allergy and Applied Immunology、第64巻84〜99ページ(1981年)]およびリポソーム類[St rejan ら、Journal of Neuroimmunology、第7巻27ページ(1984年)]を包含す る。一般に、かかる組成物は、注射(皮下、静脈内等々)、経口投与(例えば、 カプセルの形態として)、吸入、経皮塗布または直腸投与によって投与されるで あろう。好ましくは、本発明の治療用組成物は、かかる個体の、該抗原に特異的 であるT細胞の実質的にすべてを該抗原に対して不応性にするのに充分な数の寛 容化性ペプチドを含む。これは、1種類の寛容化性ペプチド、2種類の寛容化性 ペプチド、3種類の寛容化性ペプチド等々であると判明してもよい。本発明の治 療用組成物は、抗原に対する個体の感受性を低下させるのに有効な投与量および 時間で、該個体に投与される。ここで用いられる限りで、感受性の低下とは、抗 原に対する不応性または症状の軽快(すなわち、個体は、臨床的および/または 科学的操作によって測定される限りで、抗原に対して免疫学的に応答し得ること がより少なくなるであろう)として定義することがで きる。この軽快は主観的であってもよい(すなわち、個体は、抗原の存在にもか かわらず、より快適に感じる)。治療用組成物の有効量は、抗原に対する個体の 感受性の程度、個体の年齢、性別および体重等々のような要因に従って変動する であろう。 本発明は、個体における特定の抗原に対する感受性を治療する方法であって、 好ましくは非免疫原の形態で、本発明の少なくとも1種類の治療用組成物を、該 個体の、該抗原に特異的であるT細胞の少なくとも一部、好ましくは全部を該抗 原に対して不応性にするのに有効な量で該個体に投与することによる方法も提供 する。本発明の少なくとも2種類の異なる治療用組成物を同時に、または逐次的 に該個体に投与することができる。T細胞の少なくとも一部を抗原に不応性にす ることによって、抗原特異性抗体応答のの少なくとも一部が阻害される。T細胞 のエピトープは、それもまた疾患の臨床的症状の原因となる、蛋白質または蛋白 質複合体である抗原に対する免疫応答の開始および永続化に関与するものと考え られる。これらのT細胞エピトープは、APC表面の適切なHLA分子と結合し 、T細胞の適格な下位集団を刺激することによって、Tヘルパー細胞のレベルで の初期の事象を誘発するものと考えられる。適格なT細胞下位集団を抗原に対し て不応性にしておくならば、抗体の産生に導くB細胞の一連の動きの活性化をは じめとする様々な事象は発生しないであろう。この個体が、アレルギー 反応もしくはアレルギー性ぜんそく、リウマチ様関節炎、または移植片拒絶の症 状のような疾患に対する感受性を示す臨床的症状を経験しているならば、本発明 の治療用組成物の投与に際して、これらの症状を停止させ、または軽減すること ができる。 本発明の更にもう一つの実施態様では、本発明の寛容化性ペプチドを設計する 方法が提供される。一つの方法では、アレルギー、移植拒絶または自己免疫疾患 の原因となることが知られている抗原からの免疫原ペプチドを最初に単離するこ とによって、寛容化性ペプチドを設計してよい。これは、例えば、免疫原ペプチ ドである(すなわち、その抗原の少なくとも1個のT細胞エピトープを有する) ことが以前に知られている抗原に由来する合成または組換えペプチドを用いるこ とによって、実施することができる。これは、問題の抗原の構造を調べ、問題の 抗原に対して感受性であることが知られているT細胞の集団中での、T細胞の応 答に影響を及ぼし得るそれらの能力について調べようとするペプチドを(合成に よるか、またはその他の手段で、表現系を通じて)製造し、そして細胞によって 認識された少なくとも1エピトープを有する適切なペプチドを選ぶことによって も、実施することができる。エピトープに言及すると、エピトープは、受容体、 特に免疫グロブリン、組織適合抗原およびT細胞の受容体による認識の基本的要 素または最小単位となるものと思われ、受容体の認識に不可欠であるア ミノ酸を含む。 問題の抗原の少なくとも1エピトープを有する少なくとも1アミノ酸配列(免 疫原ペプチド)を単離または決定したならば、その免疫原ペプチド(ここでは野 生型ペプチドまたは自生ペプチドとも呼ぶ)の各アミノ酸を異なるアミノ酸(保 存的アミノ酸、自然界には見いだされないアミノ酸またはアラニンでもよい)と 置き換えることによって、置換ペプチドを生成する。したがって、各置換ペプチ ドは、問題の免疫原ペプチド(または野生型ペプチド)の同じ部位のアミノ酸と は異なる1個またはそれ以上の置換アミノ酸を有する。保存的アミノ酸置換の例 は、表1に示したものを包含するが、それらに限定されない。 次いで、置換ペプチドを、問題の抗原に特異的なT細胞の一部を寛容化できる か否かを判定するために試験する。本発明に適した寛容化性置換ペプチドである と判定された置換ペプチドは、抗原提示細胞のMHCと結合する能力を有し、該 ペプチド−MHC蛋白質複合体との個体のT細胞の少なくとも一部のT細胞受容 体の結合を生起し、下記の特性:すなわち(1)該ペプチドおよび組織適合抗原 提示細胞を用いる生体外検定において、個体の、該抗原に特異的であるT細胞の 少なくとも一部の検出可能な増殖を全く生起しないか、または最小限度の増殖を 生起する能力、(2)個体の、該抗原、該ペプチドおよび組織適合抗原提示細胞 に特異的であるT細胞の一部を用いる生体外検定において、IL−2の検出可能 な産生を全く生起しないか、または最小限度の産生を生起する能力、(3)個体 の、該抗原、該ペプチドおよび組織適合抗原提示細胞に特異的であるT細胞の一 部を用いる生体外検定において、IL−3の検出可能な産生を全く生起しないか 、または最小限度の産生を生起する能力、および(4)個体の、該抗原、該ペプ チドおよび組織適合抗原提示細胞に特異的であるT細胞の一部を用いる生体外検 定において、γIFNの検出可能な産生を全く生起しないか、または最小限度の 産生を生起する能力のうち少なくとも一項、好ましくはすべてを有する。 本発明は、ペプチド結合で結合されたサブユニットですべてが構成されてはい ないが、他の結合(例えばチオ ールエステル結合)で結合されている化合物のような、上記の本発明の寛容化性 置換ペプチドを模倣するいかなる化合物も包含してよいが、この非ペプチド化合 物は、増殖および/またはサイトカイン産生の不在下で非ペプチドとMHCとの 複合体とのT細胞受容体の結合を通じてT細胞を寛容化できる寛容化性ペプチド を模倣することを条件とする。 最も好ましくは、本発明の寛容化性置換ペプチド(または該ペプチドを模倣す る化合物)は、問題の抗原に特異的であるT細胞の集団の少なくとも一部の検出 可能な増殖を全く生起しないか、または最小限度の増殖を生起し、IL−2、I L−3等々のリンホカイン類の検出可能な増殖を全く生起しないか、または最小 限度の増殖を生起するが、本発明の好適な寛容化性ペプチドは、IL−2受容体 の上方調節および/またはLFA−1粘着分子産生を刺激することができ、こう して、この置換ペプチドが、適切なクラス2MHC複合体とともにT細胞を結合 かつ咬合させ、そしてT細胞の部分的活性化を生起していることを示す。 本発明の寛容化性置換ペプチドがここに記載されたように機能する理由に関す る一つの仮説は、T細胞受容体とのペプチド−MHC複合体の接触は、複合的な 細胞内経路が活性化されるのを誘発するということかもしれない。したがって、 T細胞受容体を自生または野生型の免疫原ペプチドとは異なって結合させなけれ ばならない本 発明の置換ペプチドは、これらの経路のうちの自生ペプチドより少ない経路を刺 激し、誘発された細胞内経路は、T細胞が寛容化されるようにする経路である可 能性がある。 上記の寛容化性ペプチドは、個体の、抗原に特異的であるT細胞の集団の少な くとも一部を、初めに上記の方法を用いて寛容化性ペプチドを生成し、そして該 ペプチドを治療用組成物として、T細胞の該集団の少なくとも一部の寛容化を生 起するのに有効な量で投与することによって寛容化するための方法に用いてよい 。 下記の限定的ではない実施例において、本発明を更に説明する。 実施例1 Th1クローンであるPL−17(ここではPL−17細胞とも呼ぶ)は、I −Ekの状況では、マウスヘモグロビンβdの短鎖であるHbβ(64−76)( ここでは自生ペプチド、自生免疫原性ペプチドまたは野生型ペプチド(WtHb )とも呼ぶ)という公知の免疫原ペプチドに特異的である。表2に示したとおり 、保存的な単一のアミノ酸置換を自生ペプチドのアミノ酸第67〜76残基のい ずれか1個所で導入することによって、置換Hb(64−76)ペプチドを生成 した。 Hb(64−76)ペプチドおよび置換ペプチドは、DuPontのRaMPS装置 を用いて合成し、Beckman6300というアミノ酸分析機での逆相HPLCを用 いて精製した。 I−Ek移入L細胞という繊維芽細胞であるDCEK−Hi7をAPCとして 用い、70番の位置のA1aをSerに置き換えることによって生成したペプチ ド(ここではS70、Ser70またはSer70−Hb(64−76)とも呼 ぶ)は、自生免疫原ペプチドで最大の増殖を生起する濃度(実施例2)より10 倍も高い濃度でさえ、増殖性応答を完全に抑止することが見いだされた(図1a および1b)。その上、置換ペプチドG1n72(ここではG72、G1y72 −Hb(64−76 )とも呼ぶ)はPL−17がサイトカインを産生するのを刺激できなかった。図 2aおよび2bは、自生Hb(64−76)で提示したときには、T細胞は有意 量のIL−2を製造するが、いずれの置換ペプチドによっても、刺激に対して検 出可能なIL−2は全く認められなかったことを示している。他者による報告は 、Th1クローンによるIL−3およびγIFNの産生は、TCRの咬合のみに よって発生し得るが、IL−2の産生には追加の補助刺激が必要であることを示 唆している。そのため、ペプチド類似体による刺激後に、γIFN(図3aおよ び3b)またはIL−3(図4)の産生(実施例2)について上清を分析した( 実施例2)。しかし、IL−2の様相に関する限り、自生免疫原ペプチドHb( 64−76)のみが、PL−17がγIFN(図3aおよび3b)およびIL− 3(図4)を合成するのを可能にする適切な活性化を与え得たにすぎなかった。 類似の実験で新鮮なB10BR/SgSnj脾臓細胞をAPCとして用いたとき も、同様な結果が見いだされた(データは示さず)。 TCRの咬合後に発生するはずの最も初期の細胞内事象の一つは、膜のリン脂 質の分解とイノシトールリン酸の生成とを触媒するホスホリパーゼCの活性化で ある。上記の仮説で考察したとおり、サイトカイン産生より初期の活性化という 事象は、置換Hbペプチドによって剌激され得る可能性がある。したがって、自 生Hb(64 −76)または置換ペプチド(Ser70もしくはG1y72)の一つ、および DCEK−Hi7細胞でT細胞を刺激した後に、総イノシトールリン酸産生につ いてPL−17細胞を検定した(実施例2)。自生Hb(64−76)ペプチド は、有意レベルのイノシトールリン酸の産生を可能にしたが、置換ペプチドSe r70およびG1n72は可能にしなかった(図6)。したがって、Th1クロ ーンPL−17に関しては、保存的アミノ酸置換を自生免疫原ペプチドの様々な 残基で導入することは、検出可能な増殖、サイトカイン産生、およびイノシトー ルリン酸生成を刺激する活性化シグナルの欠失を招いた。 更に、活性化の際に、T細胞は、LFA−1およびIL−2Rをはじめとする 各種の細胞表面分子を上方調節することが公知である。そのため、Hb(64− 76)、G1n72またはSer70で刺激した後のPL−17でのこれらの分 子のレベルを比較した。FACScan(FACS)分析(実施例3)は、G1 n72での刺激は、概して、いずれの受容体も対照レベルを超えて増大させなか ったが、Ser70による刺激は、LFA−1(図10)およびIL−2R(図 9)のレベルをともに有意に上方調節した。これらの結果は、TCRの咬合の際 に、Ser70は、部分的なシグナルをPL−17に送達しているが、それはイ ノシトールリン酸の生成とは無関係であることを示唆した。更に、これらの結果 は 、G1n72がT細胞に結合していなかったことを示唆するが、これは、上記の とおり、本発明の寛容化性置換ペプチドの必要条件である。 部分的なT細胞の刺激は、T細胞の活性化および増殖ではなく寛容性の誘導に 導き得るという仮説によって、置換ペプチドSer70およびG1n72で提示 された後に免疫原ペプチドに応答できるというT細胞の能力が示された。生存す る機能性APCのみの供給源としてのDCEK−Hi7(図11a)もしくはB 10.BR/SgSnj脾臓細胞(図11b)、またはSer70およびG1n 72というペプチド類似体で予め刺激しておいたPL−17細胞を用いて、増殖 の挑戦検定を実施した。G1n72という類似体を予め認めていたT細胞は、こ の挑戦検定で正常に応答したものの、Ser70で予め提示されていたPL−1 7は、このとき免疫原ペプチドに完全に不応性であった(図11aおよび11b )が、外来IL−2(データは示さず)またはPMAおよびイオノマイシン(デ ータは示さず)には充分に応答することができた。これらの結果は、単一の保存 的アミノ酸置換のみが自生免疫原ペプチドと異なるにすぎない置換ペプチドは、 部分的シグナルをT細胞に形質導入すること(T細胞の部分的活性化)が可能で あり、それがT細胞を自生免疫原ペプチドによるその後の挑戦に不応性にさせ、 そのため、不応性となり、寛容化されると思われることを示唆する。この観察結 果は、増殖、サイトカ イン産生およびFACS検定においてSer70と同様な結果を与えていた(デ ータは示さず)もう一つの置換ペプチドであるAsp73の寛容化能を研究する ことによって、更に拡張された。Asp73で予め提示しておいたPL−17細 胞は、Hb(64−76)ペプチドで挑戦試験したときには、増殖することが完 全に不可能であった。しかし、このアネルギー状態を誘導するには、Ser70 置換ペプチドより多量のAsp73置換ペプチドを必要とするように思われ(1 0μMのSer70と比較して少なくとも30μMのAsp73)、おそらく、 自生ペプチドのこれら2ケ所の位置に対する変化が、TCRが置換ペプチド−M HC複合体によって咬合される方式に対して異なる効果を有するということを示 唆する。 次に、この不応性の状態がどれだけ長期間持続し得るかを調べる研究を実施し た。T細胞を1、3、5および7日間休止させてから(実施例5)Hb(64− 76)で挑戦試験したときは、それらは依然として増殖性応答を演じることがで きず(図5a〜5d)、置換ペプチドSer70は、PL−17を深いアネルギ ーの状態に誘導したという結論に導いた。同様な実験(実施例6)では、Ser 70の相対的低濃度をはじめとする様々な濃度が寛容性を誘導できることが示さ れた(図7aおよび7b)。しかしながら、図7aの結果は、G1n72は寛容 性を誘導できなかったことを示し、それがTCRに 結合しておらず、本発明の寛容化性置換ペプチドに要求されるように、T細胞を 部分的に活性化してもいないことを示した。 アネルギーを誘導するために化学的に固定したAPC(すなわちECDIで処 理したAPC)および免疫原ペプチドを用いた以前の研究では、培養物へのシク ロスポリンAまたは同種脾臓の添加は、生存する固定されたAPCでのその後の 挑戦に対してT細胞が不応性になるのを防止することが示された。本系でも同様 に、Ser70とともにシクロスポリンAを加えることはこのアネルギーの誘導 を防止するが(図8)、補助刺激源としてのT枯渇同種脾臓細胞の添加は効果が ない(データは示さず)ことが見いだされた。これらの結果は、専門的APCに 対する置換ペプチドSer70によって誘導されるアネルギーの機序は、固定さ れたAPCによるペプチドの提示によって生起されたそれと似てはいるが、明確 に異なることを示唆する。 他の研究では、非免疫原ペプチド類似体は、T細胞に対するいかなる検出可能 なシグナルも形質導入することなくTCR部位について競合することによって、 拮抗するように機能することはできないことが示された。しかし、この系で、S er70は、T細胞をアネルギー化ささせるので、T細胞に何らかのシグナルを 送っているはずであるのに対し、G1n72は、T細胞をアネルギー化しないの で、T細胞にシグナルを送ってはいない。こ れがどのように発生するかの根源的機序は、現在のところ未知である。しかし、 この系では、補助刺激がAPCから与えられているのであるから、この寛容化は 補助刺激的シグナルの存在下でさえ発生する。 TCRとのペプチド−MHC複合体の接触が、おそらくはそれぞれCD3複合 体の異なる鎖に接続された、複合的な細胞内経路が活性化されるのを誘発すると も考えられ得る。この考えの裏付けとして、多くの最近の研究は、CD3複合体 を構成する分子のいくつかが、機能性ドメインを包含し、複合体の残余とは無関 係にシグナルを発することができることを示している。したがって、免疫原ペプ チドとは異なる方式でTCRを結合するに相違ない置換ペプチドは、自生ペプチ ドより少ないこれらの経路を刺激し、Ser70およびAsp73に関しては、 誘発される細胞内経路は、アネルギーを生起するそれであることがあり得る。こ れが真実であるならば、アネルギー誘導のためのシグナルは、すべての抗原性刺 激に対するT細胞の応答の正常な部分であるが、通常は、増殖性の応答を許す刺 激性の経路によって優先されることになる。T細胞によって自生ペプチドとは僅 かに異なって認識されるにすぎない置換ペプチドを選ぶことによって、これらの 活性化の経路を分離することが可能になる。 実施例2 本発明のHb(64−76)の置換ペプチドに対する PL−17というTh1クローン(PL−17細胞)の増殖、リンホカインおよ びイノシトール生成という応答を示す研究を実施した。 増殖検定(結果を図1aおよび1bに示す)を、96穴平底プレートにおいて 、10%ウシ胎児血清(Hyclone社、米国ユタ州ローガン)、2mMのグルタミン 、50μg/mlのゲンタマイシン、10mMのHEPES緩衝液および2−ME( 2x10-5モル)を含有するRPMI−1640培養液200μl中で実施した 。2.104細胞/ウエルのPL−17クローン、I−Ekの構成を用いて5x1 04細胞/ウエルで移入したマイトマイシンCで処理したDCEK/Hi7とい うL細胞である繊維芽細胞(HBSS中で77μg/mlとして37℃で90分、 Sigma Chemical社、米国ミズーリ州セントルイス)、およびHbペプチド(0〜 100μM)を適切なウエルに加えた。検定物を37℃で72時間温置し、最後 の20時間は3H−チミジン(0.4μlCi/ウエル)を加えた。図1aおよび1 bに示した結果は、置換ペプチドSer70は、免疫原ペプチドHb(64−7 6)で最大の増殖を与える濃度より10倍も高い濃度でさえ、T細胞の増殖性応 答を抑止することを示す。その上、置換ペプチドG1n72は増殖を刺激するこ とができなかった。 上記培養物からの24時間(IL−2)または48時間(γIFN)の上清を 用いて、IL−2(図2aおよ び2b)およびγIFN(図3aおよび3b)のリンホカインの応答を評価した 。IL−2検出には、検定の感度を上昇させるために、L細胞である繊維芽細胞 に代えてCH−27B細胞というリンパ腫(上記のとおりマイトマイシンで処理 、3〜5x104細胞/ウエル)をAPCとして用いた。IL−2は、IL−2 依存性細胞系であるCTLLの増殖として生物検定で定量した。略述すると、C TLL細胞(5x103細胞/ウエル)を試験上清とともに48時間温置した。 最後の20時間はトリチウム化チミジンを含有させた。図2aおよび2bの結果 は、Hb(64−76)で提示されたときには、細胞は有意量のIL−2を産生 したが、いずれの置換ペプチドでの刺激に対しても、検出可能なIL−2が全く 認められなかったことを示す。 R.Schreiber(ワシントン大学、米国ミズーリ州セントルイス)によって提供 された試薬とともに記載されたとおりにELISAを用いて、γIFNを定量し た。γIFN特異性モノクローナル抗体(H22)を、pH9.6の炭酸緩衝液中 で4℃で一晩かけてImmulon2(Dynatech社)96穴プレートに吸着させた。多 価ウサギ抗マウスγIFN、次いで、ペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ウサギIgG (TAGO)を用いて、結合したγIFNを同定した。ABTS試薬で基質を展 開し、414nmで読み取った。図3aおよび3bに示したとおり、結果は、免疫 原ペプチドのHb(64−76)のみが、PL−1 7細胞にγIFNを合成させる適切な活性化を与えることができたにすぎないこ とを示す。 IL−3依存性細胞系であるGG1.12(J.McKearn、Monsanto社、米国ミ ズーリ州チェスターフィールド)の増殖としての生物検定で、IL−3を定量し た。略述すると、GG1.12細胞(1x104細胞/ウエルを)上記の試験上 清(48時間で捕集)とともに48時間温置し、最後の20時間は3H−チミジ ンを含有させた。図4に示したとおり、結果は、免疫原ペプチドのHb(64− 76)のみが、PL−17細胞にγIFNを合成させる適切な活性化を与えるこ とができたにすぎないことを示す。 イノシトールリン酸生成の検出には、20〜50μCi/mlのミオ[2−3H] イノシトール(Amersham社)および10%FCS(PBS中で透析してイノシト ールを除去)を含有するイノシトール不含RPMI中で、PL−17細胞を1〜 2x107細胞/mlで一晩温置した。次いで、細胞をHBSS中で洗浄し、RP MI1640完全培地および10mMLiCl(イノシトール−1−リン酸の阻害 剤)に再懸濁した。7〜10x105細胞でのT細胞を指示量のHb(64−7 6)またはペプチド類似体、およびDCEK−Hi7cL細胞(5.104細胞 /ウエル)または照射B10.BR/SgSnj脾臓細胞(5.105細胞/ウ エル)とともに96穴平底プレートで90〜120分間温置した。遊離イノシト ー ルリン酸の蓄積について試料を検定した。略述すると、培養物をクロロホルムお よびメタノールの1:2混合物1ml次いでクロロホルムおよびH2 00.25ml で抽出した。遠心分離によって相を分離し、水溶性分画をAG1−X8ギ酸0. 25mlのイオン交換カラム(Bio-Rad社)に載せ、次いで5mMのミオーイノシト ールで何度も洗浄した。1.5mlの体積とした0.1モルのギ酸および1モルの ギ酸ナトリウムを用いて総遊離イノシトールリン酸をカラムから溶出させ、シン チレーション計数によって放射能標識を定量した。図6に示したとおり、結果は 、免疫原ペプチドHb(64−76)は有意レベルのイノシトールリン酸を産生 させたが、置換ペプチドSer70およびG1n72は産生させなかったことを 示す。 増殖およびリンホカインのいくつかの検定には、L細胞の移入体を照射BR/ SgSnj脾臓細胞(2,000ラド、5x105細胞/ウエル)で置き換えた 。 実施例3 FACscan分析機を用いた研究を用いて、PL−17細胞でのLFA1粘 着分子およびIL−2受容体(IL−2R)の存在を判定し、結果を図9および 10に示す。PL−17(5x105細胞/ウエル)を、マイトマイシンCで処 理したDCEK/Hi7のL細胞(5x105細胞/ウエル)のみと、または5 0μMでの類似体ペプチドであるSer70−Hb(64−76)も しくはG1n72−Hb(64−76)とともに24穴プレート中で48時間温 置した。次いで、Ficoll-Paque(1.077g/ml、Pharmacia LKB社、米国ニ ュージャージー州)上での300rpm、15分間の遠心分離によって、T細胞を L細胞から分離し、3回洗浄してからFACS分析のために標本作成した。各群 について、1.105細胞を、a.FO441.9(抗LFA1、RagIgG )またはb.抗IL−2R(ラットIgG、E.Unanue、ワシントン大学、米国 ミズーリ州セントルイス)とともに氷上で30分間温置し、0.5%BSAおよ び0.1%アジ化ナトリウムを含有するPBS中で2回洗浄し、FITC標識ヤ ギ抗ラットIgG(Southern Biotech.社)とともに氷上で30分間温置し、次 いで、再び2回洗浄し、上記のPBSに再懸濁した。FACScan分析機で細 胞を分析した。 図9および10に示したとおり、結果は、Hb(64−76)およびSer7 0Hb(64−76)の剌激は、LFA−1(図10)およびIL−2R(図9 )双方のレベルを有意に上方調節したことを示す。これらの結果は、Ser70 は、TCRの咬合の際に、イノシトールリン酸生成とは無関係である部分的シグ ナルをPL−17に送達していたことを示唆する。 実施例4 置換ペプチドSer70−Hb(64−76)がPL−17のアネルギーを誘 導するか否かを判定するため、 寛容性検定の形態での研究を実施し、結果を図11aおよび11bに示す。 PL−17細胞(5x105細胞/ウエル)および、マイトマイシンCを投与 した、(図11a)DCEK/Hi7というL細胞の移入体(5x105細胞/ ウエル)もしくは(図11b)B10.BR/SgSnj脾臓細胞(5x106 細胞/ウエル)を、それらのみで、または50μMの指示された類似体ペプチド とともに、最終体積を700μlとして24穴組織培養プレート中で37℃で2 0〜24時間温置した。次いで、Ficoll-Paque(1.077g/ml、Pharmacia LKB社、米国ニュージャージー州)上での3,000rpm、15分間の遠心分離に よってT細胞をAPCから分離し、HBSS中で3回洗浄し、48穴組織培養プ レート中、RPMI培養液中で3日間休止させた。次いで、抗原としてHb(6 4−76)を用いて、実施例2に記載の増殖検定でT細胞を挑戦試験した(図1 1a)。挑戦検定では、マイトマイシンを投与したDCEK−Hi7というL細 胞の移入体またはCH−27細胞(3〜5x104細胞/ウエル)を脾臓細胞と 置き換えることができる(データは示さず)。 図11aおよび11bに示したとおり、結果は、予めG1n72を認めていた T細胞は、挑戦検定で正常に応答したが、予めSer70で提示しておいたPL −17は、今度は、免疫原ペプチドHb(64−76)に対し て完全に不応性であったことを示す。 実施例5 Ser70で誘導されたアネルギーは、(a)長期的であり、(b)シクロス ポリンAによって防止されることを示す研究を実施し、結果を図5a−dおよび 図8に示す。 実施例4に記載のマイトマイシンC投与DCEK/Hi7というL細胞を用い 、図8に示した研究で用いた細胞にシクロスポリンA(1μg/ml)(Pharmaci a社)を加えて、PL−17細胞を寛容性検定に用いた。実施例2に記載のとお り、Ficollを用いてT細胞をAPCから分離した。次いで、T細胞を48穴組織 培養プレート中で(a)1日間(図5a)、(b)3日間(図5b)、(c)5 日間(図5c)および(d)7日間(図5d)休止させてから、実施例2に記載 した増殖検定として挑戦試験した。 図5a〜5dの結果は、T細胞は、7日間まで休止させてからHb(64−7 6)で挑戦試験してさえ、依然として増殖性応答を演じることができなかったこ とを示し、それは、置換ペプチドSer70が、誘導されたPL−17に作用し て寛容化の状態に至らせていたことを示す。その上、図8に示した結果は、培養 物へのシクロスポリンAの添加は、T細胞がその後の生存APCによる挑戦試験 に不応性になるのを防止したことを示す。 実施例6 様々な濃度の本発明の置換ペプチドSer70は寛容化を誘導することができ ることを示す研究を実施し、図7aおよび7bに示す。 PL−17を実施例5に記載の寛容性検定に用いたが、APCの存在下で、T 細胞を様々な濃度の置換ペプチドSer70(S70)(図7aおよび7b)お よびG1n72(Q72)(図7aのみ)とともに一晩温置した。 図7aに示した結果は、Ser70とともに温置したT細胞は寛容化されたの に対し、抗原なしに、またはG1n72とともに温置したT細胞は寛容化されな かったことを示す。図7bに示した結果は、非常に低濃度のSer70とともに 温置したT細胞は、免疫原ペプチドHb(64−76)の高い濃度でさえ、依然 として寛容化されたことを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,CA, CH,CZ,DE,DK,ES,FI,GB,HU,J P,KP,KR,LK,LU,MG,MN,MW,NL ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE, SK,UA (72)発明者 エバボルド,ブライアン ディー. アメリカ合衆国 63021 ミズーリ,ボル ウィン,シェパズ クロシング 520

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.製薬上許容され得る担体または希釈剤、および治療的有効量で個体に投与し たときに、該個体の、抗原に特異的であるT細胞の少なくとも一部を寛容化する ことができる少なくとも1種類の寛容化性ペプチドを含む治療用組成物であって 、該ペプチドが、寛容化性ペプチドと主要組織適合複合体蛋白質(MHC)との 複合体とのT細胞受容体の結合を生起すること、更に、組織適合抗原提示細胞を 用いる生体外検定において、個体の、該抗原に特異的であるT細胞の少なくとも 一部の検出可能な増殖を全く生起しないか、または最小限度の増殖を生起するこ とを特徴とする治療用組成物。 2.ペプチドが、該ペプチドを免疫原の形態で生体内に投与したときに、個体の 、抗原に特異的であるT細胞の少なくとも一部の検出可能な増殖を全く生起しな いか、または最小限度の増殖を生起することを特徴とする請求項1記載の治療用 組成物。 3.抗原が、アレルゲン、自己抗原および移植抗原からなる群から選ばれる請求 項1記載の治療用組成物。 4.組成物が少なくとも2種類の異なる寛容化性ペプチドを含む請求項1記載の 治療用組成物。 5.組成物が、個体の、抗原に特異的であるT細胞の実質的にすべてを該抗原に 対して不応性にするのに充分な数の寛容化性ペプチドを含む請求項1記載の治療 用組成 物。 6.製薬上許容され得る担体または希釈剤、および治療的有効量で個体に投与し たときに、該個体の、抗原に特異的であるT細胞の少なくとも一部を寛容化する ことができる少なくとも1種類の寛容化性ペプチドを含む治療用組成物であって 、該ペプチドが、個体の、該抗原に特異的であるT細胞の一部および組織適合抗 原提示細胞を用いる生体外検定において、IL−2の検出可能な産生を全く生起 しないか、または最小限度の産生を生起することを特徴とする治療用組成物。 7.抗原が、アレルゲン、自己抗原および移植抗原からなる群から選ばれる請求 項6記載の治療用組成物。 8.組成物が少なくとも2種類の異なる寛容化性ペプチドを含む請求項6記載の 治療用組成物。 9.組成物が、個体の、抗原に特異的であるT細胞の実質的にすべてを該抗原に 対して不応性にするのに充分な数の寛容化性ペプチドを含む請求項6記載の治療 用組成物。 10.製薬上許容され得る担体または希釈剤、および治療的有効量で個体に投与 したときに、該個体の、抗原に特異的であるT細胞の少なくとも一部を寛容化す ることができる少なくとも1種類の寛容化性ペプチドを含む治療用組成物であっ て、該ペプチドが、個体の、該抗原に特異的であるT細胞の一部および組織適合 抗原提示細胞を用いる生体外検定において、IL−3の検出可能な産 生を全く生起しないか、または最小限度の産生を生起することを特徴とする治療 用組成物。 11.抗原が、アレルゲン、自己抗原および移植抗原からなる群から選ばれる請 求項10記載の治療用組成物。 12.組成物が少なくとも2種類の異なる寛容化性ペプチドを含む請求項10記 載の治療用組成物。 13.組成物が、個体の、抗原に特異的であるT細胞の実質的にすべてを該抗原 に対して不応性にするのに充分な数の寛容化性ペプチドを含む請求項10記載の 治療用組成物。 14.製薬上許容され得る担体または希釈剤、および治療的有効量で個体に投与 したときに、該個体の、抗原に特異的であるT細胞の少なくとも一部を寛容化す ることができる少なくとも1種類の寛容化性ペプチドを含む治療用組成物であっ て、該ペプチドが、個体の、該抗原に特異的であるT細胞の一部および組織適合 抗原提示細胞を用いる生体外検定において、γIFNの検出可能な産生を全く生 起しないか、または最小限度の産生を生起することを特徴とする治療用組成物。 15.抗原が、アレルゲン、自己抗原および移植抗原からなる群から選ばれる請 求項14記載の治療用組成物。 16.組成物が少なくとも2種類の異なる寛容化性ペプチドを含む請求項14記 載の治療用組成物。 17.組成物が、個体の、抗原に特異的であるT細胞の実質的にすべてを該抗原 に対して不応性にするのに充分 な数の寛容化性ペプチドを含む請求項14記載の治療用組成物。 18.個体における抗原に対する感受性を治療する方法であって、該個体の、該 抗原に特異的であるT細胞の少なくとも一部を該抗原に対して不応性にするのに 有効な量の請求項1記載の少なくとも1種類の治療用組成物を該個体に投与する ことを含む方法。 19.抗原が疾患を生起する抗原であり、寛容化性ペプチドが、組織適合抗原提 示細胞を用いる生体外検定において個体の、該抗原に特異的であるT細胞の少な くとも一部の検出可能な増殖を全く生起せず、そして該個体が該疾患の臨床的症 状を経験している時間中に治療用組成物を該個体に投与する請求項18記載の方 法。 20.抗原が移植抗原であり、寛容化性ペプチドが、組織適合抗原提示細胞を用 いる生体外検定において個体の、該抗原に特異的であるT細胞の少なくとも一部 の検出可能な増殖を全く生起せず、そして該個体が移植片拒絶の臨床的症状を経 験している時間中に治療用組成物を該個体に投与する請求項18記載の方法。 21.治療用組成物を非免疫原の形態で個体に投与する請求項18記載の方法。 22.個体の、抗原に特異的であるT細胞の実質的にすべてを該抗原に対して不 応性にする請求項18記載の方法。 23.個体における抗原に対する感受性を治療する方法 であって、該個体の、該抗原に特異的であるT細胞の少なくとも一部を該抗原に 対して不応性にするのに有効な量の請求項1記載の少なくとも2種類の異なる組 成物を同時に、または逐次的に該個体に投与することを含む方法。 24.個体の、抗原に特異的であるT細胞の実質的にすべてを該抗原に対して不 応性にする請求項23記載の方法。 25.個体における抗原に対する感受性を治療する方法であって、該個体の、該 抗原に特異的であるT細胞の少なくとも一部を該抗原に対して不応性にするのに 有効な量の請求項4記載の少なくとも1種類の治療用組成物を該個体に投与する ことを含む方法。 26.組成物が、個体の、抗原に特異的であるT細胞の実質的にすべてを該抗原 に対して不応性にするのに充分な数の寛容化性ペプチドを含む請求項25記載の 方法。 27.個体の免疫系による抗原特異性抗体反応の少なくとも一部を阻害する方法 であって、該個体の、該抗原に特異的であるT細胞の少なくとも一部を該抗原に 対して不応性にするのに有効な量の請求項1記載の少なくとも1種類の治療用組 成物を該個体に投与することを含む方法。 28.個体における抗原に対する感受性を治療する方法であって、該個体の、該 抗原に特異的であるT細胞の少なくとも一部を該抗原に対して不応性にするのに 有効な 量の請求項6記載の少なくとも1種類の治療用組成物を該個体に投与することを 含む方法。 29.個体における抗原に対する感受性を治療する方法であって、該個体の、該 抗原に特異的であるT細胞の少なくとも一部を該抗原に対して不応性にするのに 有効な量の請求項10記載の少なくとも1種類の治療用組成物を該個体に投与す ることを含む方法。 30.個体における抗原に対する感受性を治療する方法であって、該個体の、該 抗原に特異的であるT細胞の少なくとも一部を該抗原に対して不応性にするのに 有効な量の請求項14記載の少なくとも1種類の治療用組成物を該個体に投与す ることを含む方法。 31.個体の、抗原に特異的であるT細胞の集団の少なくとも一部を寛容化する 方法であって、 該抗原に由来する、少なくとも1個のT細胞エピトープを含む少なくとも1ペ プチドを単離する段階、 該ペプチドの少なくとも1アミノ酸残基を異なるアミノ酸で置き換える結果、 置換されたペプチドが、組織適合抗原提示細胞を用いる生体外検定では、個体の 、該抗原に特異的であるT細胞の少なくとも一部の検出可能な増殖を全く生起し ないか、または最小限度の増殖を生起するが、治療的有効量で該個体に投与した ときには、個体の、該抗原に特異的であるT細胞の少なくとも一部を寛容化する ことができるようにする段階、および そのT細胞を寛容化することが望まれる個体に、該置 換ペプチドおよび製薬上許容され得る担体または希釈剤を含む治療用組成物を、 T細胞の該集団の少なくとも一部の寛容化を生起するのに有効な量で投与する段 階を含む方法。 32.アミノ酸の置換が保存的アミノ酸置換である請求項31記載の方法。 33.置き換えようとするアミノ酸を、自然界に見いだされる天然アミノ酸では ないアミノ酸で置き換える請求項31記載の方法。 34.寛容化性ペプチドが、該寛容化性ペプチドを模倣する化合物である請求項 1記載の治療用組成物。 35.治療的有効量で個体に投与したときに、該個体の、抗原に特異的であるT 細胞の少なくとも一部を寛容化することができるペプチドを設計する方法であっ て、該ペプチドが、組織適合抗原提示細胞を用いる生体外検定において、個体の 、該抗原に特異的であるT細胞の少なくとも一部の検出可能な増殖を全く生起し ないか、または最小限度の増殖を生起することを特徴とし、 該抗原に由来する、少なくとも1個のT細胞エピトープを含む少なくとも1ペ プチドを単離する段階、および 該ペプチドの少なくとも1アミノ酸残基を異なるアミノ酸で置き換える結果、 置換されたペプチドが、組織適合抗原提示細胞を用いる生体外検定では、個体の 、該抗原に特異的であるT細胞の少なくとも一部の検出可能な増殖を全く生起し ないか、または最小限度の増殖を生起 するが、治療的有効量で該個体に投与したときには、個体の、該抗原に特異的で あるT細胞の少なくとも一部を寛容化することができるようにする段階を含む方 法。
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