JPH08503283A - クロスヘッド型式の２ストローク内燃機関 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 クロスヘッド型式の２ストローク内燃機関（１）はクランクシャフトのための主軸受（８）を備えたベッドプレート（７）と、このベッドプレートに装着され、クロスヘッドのためのガイド面（１３）を支持する横方向の補強材（９）を有するＡ型フレームボックス（２）と、控えボルト（１６）によりベッドプレートと一緒にクランプされたシリンダ区分（３）とから成る。Ａ型フレームボックスの横方向補強材は単一層の板壁（９）で構成され、この板壁はその両側で２つの対向したガイド面（１３）を担持し、これらのガイド面は板壁と一緒に溶着された垂直方向に延びる補強子（１４）により支持され、ガイド面及び補強子と共働して中空のプロフィール（１５）を形成する。控えボルト（１６）は、各中空プロフィールを通って、主軸受（８）の上方のレベルに位置した領域内でベッドプレートに固定された控えボルト下端（１７）まで延びる。補強子（１４）はＡ型フレームボックスの底部まで下方へ完全に延びる。Ａ型フレームボックスの横方向補強材は外部の溶接シームにより組み立てることのできる数個の素子で構成され、大きな横方向剛性を有し、エンジンの長手方向におけるその設置スペースは最小限に抑えることができる。

Description

【発明の詳細な説明】 クロスヘッド型式の２ストローク内燃機関 本発明は、クランクシャフトのための主軸受を備えたベッドプレートと、この ベッドプレートに装着され、クロスヘッドのためのガイド面を支持する横方向の 補強材を有するＡ型フレームボックスと、ガイド面とこれらのガイド面の後側を Ａ型フレームボックスの横方向補強材に連結する補強子とによって形成された中 空プロフィール（輪郭部材）の内部で長さの一部にわたって延びる控えボルトに より、ベッドプレートと一緒にクランプされたシリンダ区分とから成るクロスヘ ッド型式の２ストローク内燃機関（エンジン）に関する。 デンマーク特許第１４７，３８３号明細書に開示されているように、このよう なエンジンは既知で、Ａ型フレームボックスの各横方向補強材は外側及び内側の 上方に延びるフランジから成る２つの梯形のフレームを備え、フランジはフレー ムの内側で中空のスペースを提供する２つの平行な板壁により相互連結されてい る。各フレーム上のガイド面はその後側に補強子を備え、この補強子は関連する 板壁に対して鋭角をなして延びる平坦な板部材の形をしている。２つの板壁は更 に、ガイド面の補強子を板壁に溶着する箇所に整合して位置した内側の垂直方向 に延びる板部材により補強される。隣接するガイド面及び２つの横方向の壁と共 働して、内側の板部材は中空のプロフィールを形成し、このプロフィールは高さ 方向においてＡ型フレームボックスの上方区分にわたってのみ延びる。単一の控 えボルトは各中空プロフィールを通って下方へ延びる。横方向の補強子の２つの 板壁間で内側補強子に対して溶接を行うのは困難で、費用が嵩み、更に、横方向 の補強子はエンジンの長手方向において大なるスペースを占め、エンジンの全長 を増大させてしまう。エンジンを船舶推進用エンジンとして使用する場合、エン ジンの設置スペース（長さ）が大きくなれば、エンジンルームも長くなり、積み 荷のために利用できるスペースが小さくなってしまう。 Ａ型フレームボックスを備えた既知の２ストローククロスヘッドエンジンにお いては、控えボルトの下端はエンジンのベッドプレートの底部に係留される。控 えボルトのこの係留は、シリンダ区分とＡ型フレームボックスとベッドプレート との間の水平接合面が分離するのを阻止するために、エンジンのフレームボック スがエンジン運転中に控ええボルトを介して伝達される大きな力を吸収できるよ うにするのを保証するために必要である。 フレームボックスの各横方向補強子が１つの面内に位置した板壁として形成さ れ、この板壁が円筒状チューブにより中断（分断）され、各円筒状チューブが控 えボルトを収容し、Ａ型フレームボックス及びベッドプレートの実質上全長（全 体高さ）にわたって延びるような、Ａ型フレームボックスを備えた２ストローク クロスヘッドエンジンも既知である。このエンジンでは、ガイド面及ぶ控えボル ト用チューブは相互に補強し合わない２つの別個の素子として形成されている。 フレームボックスの横方向補強子のこの構成は、横方向における補強子の可撓性 の約９０％が控えボルト用チューブに依存し、補強子の横方向剛性を実質上減少 させるので、好ましくない。更に、寸法が大きいため、控えボルト用チューブの 製造コストが高くなってしまう。 四辺形の区分を有するフレームボックスを備えた小型２ストローククロスヘッ ドエンジンも既知である。エンジン内で横方向の壁、ガイド面、フレームボック ス及び控えボルトが受ける力は、Ａ型フレームボックスを備えた大型２ストロー ククロスヘッドエンジンにおいて生じる力よりも実質上小さい。この小型エンジ ンにおけるクロスヘッドは水平に延びる補強子により（単一層の壁の形をした） 横方向補強子に連結された円形のセグメント状垂直スライド面によって制御され る。控えボルトは比較的小さな二重（ダブル）ロッドであり、ベッドプレートの 上側に設けたネジ穴に螺合する。 本発明の目的は、Ａ型フレームボックスを備えた大型２ストローククロスヘッ ドエンジンにおける上述の欠点を減少又は排除することであり、特に、フレーム ボックスの個々の素子が共働してフレームボックスに大なる剛性を与え、エンジ ン運転中にＡ型フレームボックスに連結した素子へ伝達される荷重を減少させる ようにした、コンパクトで、構成が簡単なＡ型フレームボックスを提供すること である。 上記目的を達成するため、本発明の一形態におけるエンジンの特徴とするとこ ろは、ガイド面の補強子がＡ型フレームボックスの横方向補強子の底部まで下方 へ延び、控えボルトの下端が主軸受上方のレベルに位置した領域でベッドプレー トに固定できるようになっていることである。 控えボルトから発生する応力を吸収するためのＡ型フレームボックスの能力は 、フレームボックスの底部まで下方へ延びるガイド面の補強子により改善され、 また、このフレームボックスが閉じた中空プロフィールを有するため、控えボル トのまわりの領域におけるＡ型フレームボックスの捩り剛性を増大させる。控え ボルトに大きな力が作用する場合でさえも、ベッドプレートの真上の領域におけ るＡ型フレームボックスの適当に大きな圧縮及び捩り剛性により、控えボルトを ベッドプレートの上端に固定することが可能になる。その理由は、Ａ型フレーム ボックスの大きな局部剛性により、フレームボックスに大きな荷重が加わるのを 許容し、ベッドプレートが控えボルトの固定部からの反作用力をフレームボック スの比較的大きな区分上で分配させる必要がなくなるからである。従って、控え ボルトの力によりベッドプレートに応力が加わらないという利点が得られ、特に 、控えボルトを締め付けたときにベッドプレートにおける主軸受のためのボアが 変形しないという利点が得られる。 控えボルトのまわりの領域におけるベッドプレートおよびＡ型フレームボック スの下方区分に作用する局部荷重は、単一層の板壁として形成されたＡ型フレー ムボックスの横方向補強子により及び控えボルトにより更に減少させることがで き、これら板壁のうちの少なくとも１つの板壁（Ａ型フレームボックスの内側に 位置したもの）は板壁の両側でクロスヘッド面を担持して、関連する補強子を備 えた２つのクロスヘッド面は板壁と共働して２つの中空プロフィールを形成し、 控えボルトは各中空プロフィールの内部で延びる。板壁の各側部で対をなす２つ の固定ボルトは個々の控えボルトにおける力を約半分にし、それと同時に、各内 側の横方向補強子でのクロスヘッドの両側において、圧縮力及びモーメントを受 けるための２つの中空プロフィールが存在する。 本発明に係るＡ型フレームボックスは従来既知のＡ型フレームボックスよりも 実質上一層簡単に製造でき、エンジンの長手方向における設置スペースが最小限 で済み、また、横方向補強子は大きな横方向剛性を有する。 本発明の別の形態に係るＡ型フレームボックスを備えたクロスヘッドエンジン の特徴とするところは、Ａ型フレームボックスの横方向補強子が単一層の板壁と して形成され、これら板壁のうちの少なくとも１つの板壁（Ａ型フレームボック スの内側に位置したもの）が板壁の両側でクロスヘッド面を担持し、関連する補 強子を備えた２つのクロスヘッド面が板壁と共働して２つの中空プロフィールを 形成し、控えボルトが各中空プロフィールの内部で延びることである。上述のよ うに、この構成により、ある程度、控えボルトの力が倍数の控えボルトにわたっ て分配され、倍数の中空プロフィールが横方向補強子の圧縮及び捩り剛性を改善 し、横方向補強子の製造が簡単になり、エンジンの長手方向における横方向補強 子の設置スペースが小さくて済む。 上述のように、ベッドプレート上での控えボルトの荷重は、Ａ型フレームボッ クスの横方向補強子の底部まで下方に延びるガイド面の補強子により、及び、主 軸受の上方のレベルに位置する領域においてベッドプレートに固定できる控えボ ルトの下端により、適当に減少させることができる。この構成により、控えボル トのまわりの領域における大きな局部応力に耐えるＡ型フレームボックスの能力 が更に改善される。 控えボルト用チューブをガイド面の補強子の一体部分として組み込むことによ り、上述のＡ型フレームボックスを一層簡略化できる。 控えボルトのまわりの領域におけるＡ型フレームボックスの大きな局部剛性は 、Ａ型フレームボックスの関連する横方向補強材の底部フランジ及び（又は）頂 部フランジに剛直に連結された関連する補強子を具備した各ガイド面の下端及び （又は）上端により、増大せしめられる。 以下、添付図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。 第１図はエンジンを通る縦断面図、 第２図及び第３図はそれぞれ、第１図のII-II線及びIII-III線におけるエンジ ンを通る拡大部分断面図、 第４図は第１図のエンジンのフレームボックスを通る拡大部分断面図である。 第１図はＡ字状の断面を呈するフレームボックス２を有するターボチャージャ 付きの大型２ストローク内燃機関（エンジン）１を示す。図示の実施例において は、Ａ型フレームボックスは中間の底部４とエンジンのシリンダライナー６を担 持する頂板５との間に位置したシリンダ区分３を有する。しかし、シリンダ区分 ３を、垂直外壁をそれぞれ有しＡ型フレームボックスの頂板上に装着できる１又 はそれ以上の別個のユニットとして構成してもよいが、この場合は、頂板が中間 の底部４を形成する。Ａ型フレームボックスはエンジンのベッドプレート７の頂 部に装着され、このベッドプレートには、クランクシャフトのための主軸受８が 装着してある。 第３図に明示するように、Ａ型フレームボックスは上下に延びる板壁９により 各シリンダ間で補強されており、この板壁９は、長手方向に延びるフレームボッ クスの外壁１０を相互連結し、中間の底部４から２つの水平なフランジ部分１１ まで高さ方向に延び、Ａ型フレームボックスはベッドプレートの上側において対 応するフランジ部分１２と一緒にボルト止めされている。板壁９が上下に延びて いるので、Ａ型フレームボックスに対して大きな横方向剛性を与える。 クロスヘッドに作用する横方向の力を支持するための垂直ガイド面１３は、例 えば溶接により、板壁９に装着される。内側板壁９の両側で、２つのガイド面１ ３は横方向で互いに対向して位置する。各ガイド面の後側は、ガイド面を板壁９ に連結する垂直に延びた補強子１４により支持される。図示のように、補強子１ ４は板壁に対して鋭角をなす平坦な板部材で構成することができるが、水平の４ 分円又は４分楕円の区分を有する補強子を使用することもできる。この場合は、 補強子は板壁９に対して実質上直角に延びることとなる。ガイド面１３、補強子 １４及び板壁９は大きな捩り剛性を有する中空プロフィール１５を構成する。 シリンダ区分３及びベッドプレート７は控えボルト１６により一緒にクランプ され、これらの控えボルトは中空プロフィールの内側で中間の底部４とＡ型フレ ームボックスの底部との間を延び、従って、中空プロフィールは、エンジンの運 転時に控えボルトによりフレームボックスへ伝達される大きな可変の圧縮力に耐 えるのに必要な圧縮剛性をＡ型フレームボックスに与える控えボルト用チューブ として作用する。控えボルトを各中空プロフィール内に配置することにより、各 シリンダの点火力は４つの控えボルト全体に分配され、各内側板壁に対して２つ の控えボルトを使用するような実施例に比べて、個々の控えボルトにおける予張 力（プレテンション力）を減少させる。Ａ型フレームボックスの横方向補強子を 単一層の板壁で構成し、ガイド面補強子及び控えボルト用チューブを単一のユニ ットとして組み込むと、Ａ型フレームボックスの横方向補強子がエンジンの長手 方向において不必要なスペースを占めず、また、補強子が外側の溶接シームによ り組み立てることのできる数個の素子のみで構成されるので、横方向補強子を簡 単な方法で製造することができる。 控えボルトの下端はベッドプレートの上側に設けたネジ穴に適当に固定される 。 これにより、控えボルトにより生じるベッドプレートの引張り応力はＡ型フレー ムボックスへ直接伝達され、主軸受を備えたベッドプレートの下方部分がこのよ うな応力の影響を受けないという利点が得られる。ネジ穴の代わりに、各控えボ ルトの下方の領域において、ベッドプレートにくぼみを設け、控えボルトを貫通 させる上方に延びたクリアランス穴にくぼみを連通させてもよい。この場合、控 えボルトの下端１７はくぼみに挿入したボルトにより固定することができる。控 えボルトをベッドプレート７の上側で固定した場合は、フランジ部分１１まで完 全に下方へ延びる補強子１４により、ベッドプレートの真上の領域で、適当な大 きさの剛性をＡ型フレームボックスに与えることができる。補強子１４はフラン ジ部分１１に溶着してもよいし、フランジ部分１１と一緒にボルト止めしてもよ いが、いずれにしても、これら２つの素子は剛直に相互連結される。これに対応 して、補強子１４の上端を中間の底部４又はＡ型フレームボックスの頂部フラン ジに剛直に連結することができる。 シリンダ区分３の幅がＡ型フレームボックスの底部の幅より実質的に小さいの で、控えボルト力に対する必要な圧縮剛性は中間の底部４から頂板５まで高さ方 向に延びる横方向の壁１８により提供される。シリンダ区分３の圧縮剛性は、シ リンダ区分において控えボルトを控えボルト用チューブで包囲することにより得 られる。 通常のように控えボルトをベッドプレート７の底部に固定した場合は、本発明 においては、補強子１４がＡ型フレームボックスの底部まで完全に延びていない 場合でさえも、Ａ型フレームボックスの横方向補強子を簡単な構成にすることが できるという利点が得られる。しかし、好ましくは、控えボルトをベッドプレー トの上側に固定する。

───────────────────────────────────────────────────── 【要約の続き】 剛性を有し、エンジンの長手方向におけるその設置スペ ースは最小限に抑えることができる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．クランクシャフトのための主軸受（８）を備えたベッドプレート（７）と、 このベッドプレートに装着され、クロスヘッドのためのガイド面（１３）を支持 する横方向の補強材（９）を有するＡ型フレームボックス（２）と、上記ガイド 面と同ガイド面の後側を上記Ａ型フレームボックスの上記横方向補強材に連結す る補強子（１４）とによって形成された中空プロフィール（１５）の内部て長さ の一部にわたって延びる控えボルト（１６）により、上記ベッドプレートと一緒 にクランプされたシリンダ区分（３）とから成るクロスヘッド型式の２ストロー ク内燃機関（１）において、 上記ガイド面用の補強子（１４）が上記Ａ型フレームボックス（２）の上記横 方向補強材（９）の底部まで下方に延びており；上記控えボルト（１６）の下端 （１７）が、上記主軸受（８）の上方のレベルに位置した領域において上記ベッ ドプレート（７）に固定できることを特徴とする内燃機関。 ２．請求の範囲第１項に記載の２ストローク内燃機関において、上記Ａ型フレー ムボックスの上記横方向補強材が単一層の板壁（９）として形成され、上記Ａ型 フレームボックスの内側に位置したこれら板壁のうちの少なくとも１つの板壁が 当該板壁の両側でクロスヘッド面（１３）を担持し、関連する補強子（１４）を 備えた２つの上記クロスヘッド面が該板壁（９）と共働して２つの中空プロフィ ール（１５）を形成し、上記控えボルト（１６）が当該各中空プロフィールの内 部で延びていることを特徴とする内燃機関。 ３．クランクシャフトのための主軸受（８）を備えたベッドプレート（７）と、 このベッドプレートに装着され、クロスヘッドのためのガイド面（１３）を支持 する横方向の補強材（９）を有するＡ型フレームボックス（２）と、上記ガイド 面と同ガイド面の後側を上記Ａ型フレームボックスの上記横方向補強材に連結す る補強子（１４）とによって形成された中空プロフィール（１５）の内部で長さ の一部にわたって延びる控えボルト（１６）により、上記ベッドプレートと一緒 にクランプされたシリンダ区分（３）とから成るクロスヘッド型式の２ストロー ク内燃機関（１）において、 上記Ａ型フレームボックスの上記横方向補強材が単一層の板壁（９）として形 成され、上記Ａ型フレームボックスの内側に位置したこれら板壁のうちの少なく とも１つの板壁が当該板壁の両側でクロスヘッド面（１３）を担持し、関連する 補強子（１４）を備えた２つの上記クロスヘッド面が該板壁（９）と共働して２ つの中空プロフィール（１５）を形成し、上記控えボルト（１６）が当該各中空 プロフィールの内部で延びていることを特徴とする内燃機関。 ４．請求の範囲第１項に記載の２ストローク内燃機関において、上記ガイド面用 の補強子（１４）が上記Ａ型フレームボックス（２）の上記横方向補強材（９） の底部まで下方に延びており；上記控えボルト（１６）の下端（１７）が、上記 主軸受（８）の上方のレベルに位置した領域において上記ベッドプレート（７） に固定できることを特徴とする内燃機関。 ５．請求の範囲第１項、第２項又は第４項のいずれかに記載の２ストローク内燃 機関において、関連する補強子を備えた上記各ガイド面（１３）の下端が上記Ａ 型フレームボックスの関連す上記横方向補強材上の底部フランジ（１１）に剛直 に連結されていることを特徴とする内燃機関。 ６．請求の範囲第１項ないし第５項のいずれかに記載の２ストローク内燃機関に おいて、関連する補強子を備えた上記各ガイド面（１３）の上端が上記上記Ａ型 フレームボックスの関連す上記横方向補強材上の頂部フランジ（４）に剛直に連 結されていることを特徴とする内燃機関。