JPH084774B2 - Ptp包装体用積層プラスチックシ−トの製造方法 - Google Patents

Ptp包装体用積層プラスチックシ−トの製造方法

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JPH084774B2
JPH084774B2 JP12579587A JP12579587A JPH084774B2 JP H084774 B2 JPH084774 B2 JP H084774B2 JP 12579587 A JP12579587 A JP 12579587A JP 12579587 A JP12579587 A JP 12579587A JP H084774 B2 JPH084774 B2 JP H084774B2
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勝義 木本
富三 久保田
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旭化成ポリフレックス株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、特に塩化ビニリデン系共重合体(以下「PV
DC」という)層を有し、医薬品のPTP包装体として好適
な透明な積層プラスチックシートの製造方法に関する。
[従来の技術] 従来、プラスチックシートへのPVDCの積層は、PVDCエ
マルジョンの塗布と、90〜150℃の温度下での乾燥と
を、必要な層厚が得られるまで繰り返すことによって行
っている(特公昭49−24587号)。90〜150℃という温度
範囲での乾燥は、プラスチックシートの熱収縮による変
形を防止すると同時に、効率的に乾燥を行うためのもの
で、通常、上記温度範囲の熱風の吹き付けによって行わ
れている。
[発明が解決しようとする問題点] ところで、積層プラスチックシートにおけるPVDC層
は、例えば酸素や水蒸気等の透過を遮断するバリヤー性
をもたらすもので、一般に、PVDC層が厚いほど、この層
が介在する積層プラスチックシートのバリヤー性が向上
する。従って、一般に高いバリヤー性及び成型性が要求
される医薬品のPTP包装材料用として利用される積層プ
ラスチックシートの製造に際しては、硬質ポリ塩化ビニ
ルに厚くPVDC層を積層することが多い。ちなみに、この
ような用途においては、PVDCエマルジョンを、固形分で
20〜130g/m2程度塗布して10〜50μ、好ましくは14〜50
μの厚さのPVDC層を形成する必要がある。
しかしながら、前記従来の方法では、一回で十分満足
すべきものとして塗布できる量は固形分で6〜7g/m2
あり、上記厚いPVDC層を積層するときには、塗布乾燥を
何度も繰り返さなければならず、生産性が悪い問題があ
る。
従来の方法で、一回の塗布量を増大させて塗布乾燥回
数を減らしても、一回当りの乾燥時間をかなり長くとら
ないと十分な乾燥を行えなくなり、かえって生産性を悪
化させることになる。乾燥時間を短かくすると、乾燥不
足となり、得られるシートが白濁して外観が悪化するだ
けでなく、その性質の低下をも来たす。これを、熱風の
温度を上げることによって防止することは、硬質ポリ塩
化ビニルシートの変形防止上困難である。また、熱風の
温度を上げても、塗布量が多いときには、さほど乾燥時
間の短縮にはつながらない。
上述のような理由から、厚いPVDC層の積層を行う場合
にも、PVDCエマルジョンの少量ずつの塗布乾燥を余儀な
くされているのが現状である。
[問題点を解決するための手段] 本発明は、次のような本発明者等の知見に基づいてな
されたものである。
まず、PVDCエマルジョンの塗布量を増すと、塗布層か
ら除去すべき水分の全体量が多くなるので、その分乾燥
時間が長くなるといえる。しかし、乾燥時間は、単にこ
のような除去すべき水分量の増加によってのみ長時間化
するのではなく、次のようなPVDC特有の原因があると考
えられる。
厚く塗布したPVDCエマルジョン層に熱風を吹き付ける
と、PVDCエマルジョン塗布層の表面は比較的短時間で乾
燥されるが、内深部は、熱の伝達が遅れるので、表面に
比して乾燥が遅れる。このような現象は、PVDC以外のエ
マルジョンの乾燥にも起こり得ることではあるが、PVDC
の場合、前述したようにバリヤー性に優れているので、
塗布層の表面が乾燥されてPVDCの膜が形成されると、乾
燥が遅れている内深部の水の気散がこれによって妨げら
れ、かなり長時間の乾燥処理を行っても乾燥不足になり
がちとなる。乾燥不足になるからといって、熱風の温度
を上げてもさほど改善につながらないのは、熱風の温度
を上げても、表面の乾燥が促進されるだけで、内深部の
乾燥促進にはならないためと考えられる。
本発明は、上記本発明者等の知見に基づき、PVDCエマ
ルジョンの塗布層全体をできるだけ均一に加熱できるよ
うにし、もって前記問題点を解決すべくなされたもので
ある。
前記問題点を解決するために講じられた手段を説明す
ると、本発明は、PTP包装体用の硬質ポリ塩化ビニルシ
ートにPVDCラテックスのエマルジョンを塗布した後、こ
の塗布面への遠赤外線(一般に0.75〜400μ)の照射と
熱風の吹き付けとを併用して、塗布面の乾燥を行う、と
いう手段を講じているものである。
更に本発明を詳細に説明する。
本発明によって製造されるPVDC層を有する積層プラス
チックシートは、熱成形性とバリヤー性を兼備したPTP
包装用に利用されるものであるが、例えば、PVC/PVDC/P
E/PVDC/PVC(PVC:硬質ポリ塩化ビニル、PVDC:ポリ塩化
ビニリデン、PE:ポリエチレン)の層構成を有する150〜
2000μ程度の厚さのシートてある。この層構成のうち、
硬質ポリ塩化ビニルは被積層プラスチックシートであ
り、その厚さは、上記用途から30〜1000μであることが
好ましく、特に50〜250μが好ましい。
本発明で用いるPVDCエマルジョンとしては、塩化ビニ
リデンの単量体80〜95重量%と、塩化ビニリデンと共重
合する単量体20〜5重量%とを乳化共重合させた水分散
体が好ましい。塩化ビニリデンの単量体比が少な過ぎる
と、十分なバリヤー性を有するPVDC層が得にくく、逆に
多過ぎると、重合が困難となると共にエマルジョンの安
定性が悪くなる。また、塩化ビニリデンと共重合する単
量体としては、例えば塩化ビニル、メタクリル酸、アク
リロニトリル、メチルメタクリレート、メチルアクリレ
ート、エチルアクリレート、酢酸ビニル等を挙げること
ができ、これらの一種又は二種以上が使用される。
PVDCエマルジョンの製造に用いられる乳化剤、重合開
始剤、界面活性剤等は、特に種類を制限されるものでは
ないが、良好なバリヤー性を有するPVDC層を得る上で、
使用量をできるだけ少量とし、更には、乳化重合後に透
析処理を行って除去を図ることが好ましい。
特に本発明は、バリヤー性に富むPVDC層の形成に有益
なもので、前記PVDCエマルジョンの中でも、バリヤー性
に富むPVDC層が得られるものとしては、塩化ビニリデ
ン、メタクリル酸及びアクリロニトリル及び/又はメチ
ルメタクリレートを乳化重合した水分散体を挙げること
ができる。
硬質ポリ塩化ビニルシートへのPVDCラテックスの塗布
は、硬質ポリ塩化ビニルシートへ直接行ってもよいが、
被積層プラスチックシートとの間の良好な接着性を得る
ため、アンカーコート剤を塗布してから行うことが好ま
しい。このアンカーコート剤としては、例えばアルキル
チタネート系、ポリイソシアネート系、ポリアルキレン
イミン系等のアンカーコート剤を用いることができる
る。
PVDCラテックスの塗布は、例えばエアナイフコート
法、グラビアコート法、スムージングコート法、ロール
コート法等によって行うことができる。
PVDCラテックス塗布後のその乾燥は、遠赤外線の照射
と熱風の吹き付けを併用し、当該塗布面の表面温度を30
〜70℃にして行うことが好ましい。遠赤外線の照射又は
熱風の吹き付けのどちらか一方のみでは、長時間をかけ
てゆっくりと乾燥を行わなければ良好な乾燥状態が得ら
れなくなる。また、遠赤外線と熱風を併用しても、塗布
面の表面温度が30℃未満では、やはり乾燥時間が長くな
り、逆に塗布面の表面温度が70℃を越えると、良好な乾
燥状態が得にくい。短かい乾燥時間で確実に良好な乾燥
状態を得るために、乾燥時の塗布面の温度は40〜60℃で
あることが好ましい。
遠赤外線の照射と熱風の抜き付けの併用による乾燥
は、両者を同時に同一塗布面に作用させるようにしても
よいが、第1図に示されるような装置を用いて、両者を
交互に作用させることが好ましい。両者を同時に作用さ
せる場合に比して、交互に作用させると、遠赤外線の照
射温度と熱風の温度を高くしても、塗布面の表面温度を
低く抑えやすく、より短時間での良好な乾燥が可能とな
る。
第1図の装置について説明すると、PVDCエマルジョン
が塗布された硬質ポリ塩化ビニルシート(図示されてい
ない)は、移送ローラ1上を、図面上、左側から右側へ
と連続して移送されるもので、その上方には、熱風吹き
出しノズル2と、遠赤外線灯3とが、交互に位置してい
る。熱風吹き出しノズル2は、各々ダクト4に連結され
ていて、ファン5によって熱風が供給されるものとなっ
ている。また、遠赤外線灯3は、側周をケース6で囲ま
れていて、直下方向に集中して遠赤外線を照射できるよ
うになっている。
上記のような装置によって遠赤外線の照射と熱風の吹
き付けを行うと、両者を交互に作用させつつ連続的に乾
燥を行うことができる。
遠赤外線の照射と、熱風の吹き付けとは、遠赤外線の
照射温度を熱風の温度より高くして行うことが好まし
い。熱風の温度が遠赤外線の温度より高くなると、塗布
面のみの乾燥が生じやすくなるのに対し、遠赤外線の照
射温度が熱風の温度より高いときには、遠赤外線による
塗布層の全体加熱が先行するので、表面のみの乾燥が生
じにくくなる。尚、遠赤外線の照射温度とは、遠赤外線
雰囲気温度をいい、熱風の温度とは、熱風吹き出し時の
温度をいう。また、遠赤外線(一般に0.75〜400μ)と
しては、波長が6〜15μのものが好ましい。
[作 用] 本発明において、遠赤外線は、PVDCエマルジョンの塗
布層に吸収されて、当該層全体を均一に加熱する作用を
なすと考えられる。一方、熱風は、上記遠赤外線によっ
て蒸発されて来る水分を飛散させて、塗布層からの水分
の気散を助けるもので、熱風であるが故に、塗布層から
温度をうばって乾燥を遅らせることなくこの作用をなし
得るものである。
また、本発明においては、特に上記遠赤外線によっ
て、PVDCエマルジョンの塗布層全体が加熱される反面、
塗布面の表面温度を30〜70℃に抑えることにより、塗布
面表面のみが先に乾燥し、バリヤー性に富んだPVDCの膜
を形成して内深部の乾燥が妨げられることがなく、乾燥
不足や乾燥時間の長時間化を防止できる。
以上のことから、本発明によれば、固形分で10〜50g/
m2、好ましくは20〜35g/m2のPVDCエマルジョンを一度に
塗布しても良好な乾燥状態を得ることができる。
[実施例] 実施例1〜4 第1図に示されるような装置を用いて乾燥処理を行っ
た。遠赤外線灯としては、八光電機株式会社製の「ハイ
レックスバランスヒーター」を使用した。
プラスチックシートとして、厚さ100μの硬質塩化ビ
ニルシート(住友ベークライト株式会社製の「スミライ
トVSS−8142」を用い、その片面にイソシアネート系の
アンカーコート剤(日本ポリウレタン工業株式会社の
「コロネートL」と東洋紡株式会社製の「バイロン30
S」と酢酸エチルを重量比で2:12:86の割合で混合し、固
形分濃度5%としたもの)を塗布乾燥した後、同じ面
に、PVDCエマルジョン(旭化成工業株式会社製の「L−
509」)をエアナイフコート法により、固形分で30g/m2
となるよう塗布して乾燥処理した。
乾燥条件及び結果を第1表に示す。
比較例1〜3 熱風の吹き付けのみを用いて乾燥処理を行った他は実
施例1〜4と同様にしてPVDCエマルジョンの塗布乾燥を
行った。
乾燥条件及び結果を第1表に示す。
比較例4,5 遠赤外線の照射のみを用いて乾燥を行った他は実施例
1〜4と同様にしてPVDCエマルジョンの塗布乾燥を行っ
た。
乾燥条件及び結果を第1表に示す。
実施例5〜10 プラスチックシートである硬質塩化ビニルシートを厚
さ30μのものに変更した以外は、実施例1〜4と同様に
してPVDCエマルジョンの塗布乾燥を行った。
乾燥条件及び結果を第2表に示す。
比較例6〜8 熱風の吹き付けのみを用いて乾燥を行った他は実施例
5〜10と同様にしてPVDCエマルジョンの塗布乾燥を行っ
た。
乾燥条件及び結果を第2表に示す。
比較例9,10 遠赤外線の照射のみを用いて乾燥を行った他は実施例
5〜10と同様にしてPVDCエマルジョンの塗布乾燥を行っ
た。
乾燥条件及び結果を第2表に示す。
尚、第1表及び第2表において、表面到達温度は、乾
燥装置から移出されて来た直後のシートの表面温度を無
接触式赤外表面温度計で測定した値である。また、結果
は、目視により判別した状態である。
[発明の効果] 以上説明の通り、本発明によれば、PVDCエマルジョン
を厚く塗布しても良好な乾燥状態が得られ、PVDC層によ
る高いバリヤー性を奏する積層プラスチックシートを、
生産性よく製造でき、その大幅のコストダウンを図るこ
とができるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は遠赤外線の照射と熱風の吹き付けを併用した乾
燥装置の一例を示す説明図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】硬質ポリ塩化ビニルシートに塩化ビニリデ
    ン系共重合体ラテックスを塗布した後、この塗布面への
    遠赤外線の照射と熱風の吹き付けとを併用して、塗布面
    の乾燥を行うことを特徴とするPTP包装体用積層プラス
    チックシートの製造方法。
  2. 【請求項2】塗布面への遠赤外線の照射と熱風の吹き付
    けを、順次交互に行うことを特徴とする特許請求の範囲
    第1項記載の方法。
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JP6461610B2 (ja) * 2015-01-06 2019-01-30 株式会社フジシール 印刷層付き熱収縮性フィルムの製造方法、印刷層付き熱収縮性フィルム、包装体及び包装体の製造方法

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