JPH0847221A - 鋳物の製造方法及び装置 - Google Patents

鋳物の製造方法及び装置

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JPH0847221A
JPH0847221A JP20084295A JP20084295A JPH0847221A JP H0847221 A JPH0847221 A JP H0847221A JP 20084295 A JP20084295 A JP 20084295A JP 20084295 A JP20084295 A JP 20084295A JP H0847221 A JPH0847221 A JP H0847221A
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slot
filled
molten metal
pressure
metal material
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JP20084295A
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Inventor
Shigeki Maekawa
滋樹 前川
Mikio Yamashita
幹生 山下
Kenji Kawaguchi
憲治 川口
Yuji Kobayashi
雄二 小林
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スロットを有する部材にスロット部とこれに
接続する拡大部とを鋳造により形成するに際し、溶融金
属材料全体に凝固完了まで高圧力を加えられ、収縮巣の
無い健全な無欠陥鋳物が得られる鋳物の製造方法及び装
置を得る。 【解決手段】 スロット1bを有する部材の回転子鉄心
1を金型内で拡大部のエンドリング部11bを圧縮する
方向に移動可能にし、溶融金属材料6を加圧充填して、
充填した溶融金属材料6が凝固するに従い発生する部材
1の両端間の差圧により部材1を拡大部11bを圧縮す
る方向に移動させ、拡大部11bを高圧力で押圧する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鋳物、特に狭小なス
ロットを有する部材にスロット部とその端部にスロット
部と接続する拡大部が形成されるような形状の鋳物の製
造方法及び装置に関し、例えば回転子鉄心に溶融した金
属材料を加圧充填して回転子導体を形成する方法及び装
置に関するものである。なお、この明細書においては、
かご形回転子の回転子導体形成の場合を例に説明する。
【0002】
【従来の技術】図11(a),(b) は一般的な鋳込み前のか
ご形回転子、即ち回転子鉄心を示すもので、(a)は一部
切り欠いて断面を表わす正面図、(b)は側面図であり、
図中1は回転子鉄心で、円形状鋼板1aを積層して形成
され、積層方向に貫通するスロット1bと回転軸挿入部
1cを有している。従来、このかご形回転子は、スロッ
ト1bと回転軸挿入部1cとを打ち抜いた円形状鋼坂1
aを必要枚数積層して回転子鉄心を形成し、次にアルミ
ニウムダイカストにより回転子導体(スロット導体及び
エンドリングで構成される)を形成した後、回転軸を挿
入して製造される。
【0003】図12は例えば特公昭56−47555号
公報に示された従来のかご形回転子の鋳込装置を示す断
面図で、図中、2は仮軸、3はカラー、4はナットで回
転子鉄心1は仮軸2及びカラー3を介してナット4で締
め付けられて一体化されている。5は成形後製品を取り
出すための押出棒、6は溶融したアルミニウムなどの導
体材料、7は溶融導体材料6を注入するスリーブ、8は
鋳込み圧力を加えるプランジャ、9は固定金型、10は
中間金型、11は移動金型である。矢印は溶融導体材料
6の流れを表わす。
【0004】従来のかご形回転子のダイカスト法は仮軸
2、カラー3及びナット4で一体化した回転子鉄心1
を、中間金型10の円筒状の空孔に挿入し、中間金型1
0及び移動金型11を固定金型9に加圧して型締めを行
う。しかる後、スリーブ7に注入された溶融導体材料6
がプランジャ8によって加圧され、回転子鉄心1のスロ
ット1bの中を流れ、スロット部及びエンドリング部に
高速で充填され、急速冷却された後、固定金型9と中間
金型10との間で金型を開き、押出棒5によりスロット
導体とエンドリングが形成された回転子鉄心1を押し出
す。
【0005】図13(a),(b) はこのようにして得られた
従来のかご形回転子を示すもので、(a)は断面図、(b)は
側面図であり、1dはエンドリング、1eはスロット導
体、6aは収縮巣(ヒケ巣)である。ダイカスト法では、
溶融した導体材料6を高速で充填するので、空気やガス
を巻込むとともに、凝固が完了するまで高圧力を維持し
ておらず、スロット導体1e、エンドリング1dに収縮
巣(ヒケ巣)6aが生じ、密度の低下につながってい
た。例えば、純アルミニウムの密度は2.7g/cm3である
が、この従来例の回転子導体のアルミニウム密度はせい
ぜい2.6g/cm3前後と低かった。この密度低下が回転子
に誘起された二次電流の導通を妨げ、ひいては回転トル
クを低下させていた。従って、現状では密度低下(収縮
巣による導通低下)を考慮して、回転子導体の材料特性
を十二分に発揮させる設計がなされていない。そこで、
所望のモータ特性を得るために、回転子の厚さを増した
り、一次側の固定子の巻線を太くする等の手段が取られ
ている。そのため、モータ自身が大きくなり、小型軽量
化のための支障となるばかりでなく、余分な材料が必要
でコストアップにつながっていた。さらに、スロット導
体1e内に生じた巣により回転子の強度低下が生じ、高
速回転時の断線及び破壊につながる危険性があった。
【0006】上記のような問題点を解決するため、最近
ではスロット及びエンドリングが形成される空間(以下
エンドリング部と記す)内に、溶融した導体材料、例え
ば溶融アルミニウムを遅い流動速度で充填させ、上記溶
融アルミニウムを400kg/cm2 以上の高圧下で凝固さ
せる溶湯鍛造法(加圧凝固鋳造法)が導入されている。
【0007】図14は例えば特開昭62−12357号
公報に示された従来のかご形回転子の鋳込装置を示す断
面図で、図中、5は押出棒、14はノックアウトポンチ
で、押出棒5を連動して上昇させる。15はポンチ、1
6はプレス等の移動テーブル、17は支柱、11は上型
で、支柱17により移動テーブル16と連結されてい
る。9は下型で、溶融アルミニウム6を収容する湯溜り
9aが設けられ、押出棒5を備えている。上型11と下
型9で回転子鉄心1を嵌合挿入できるキャビティ9cと
キャビティ9cへ溶融アルミニウム6を導入するゲート
9bが構成されている。20はプレスのボルスタ、21
はノックアウト用下板で、ノックアウトポンチ14にネ
ジ止めされている。41はキャビティ9c上端にゲート
9bと対向位置に設けられたガス排出口である。なお、
図15は図14におけるポンチ15が下降し、下型9の
湯溜り9aに押し込まれた充填、加圧状態を示す拡大断
面図である。
【0008】まず、円周方向に均等に設けた多数のスロ
ット1b及び回転軸挿入部1cを打抜いた円形の薄鉄板
1aをスロット1bが積層方向に貫通するように多数積
み重ねて回転子鉄心とする。次いで、上型11及び下型
9を約250℃に予熱しておき、下型9のキャビティ9
c内に上記多数個のスロット1bを有するかご形回転子
鉄心をそのスロット1bが重力方向となるように嵌合挿
入し、移動テーブル16を下降し、支柱17により連結
した上型11を下型9に加圧して型締めを行う。その
後、上型11の注入口11aより溶融アルミニウム6を
下型9の湯溜り9aにその液面がゲート9b以下である
ように注入し、速やかに上ポンチ15を下降させ、湯溜
り9aに溜った溶融アルミニウム6を押出し、キャビテ
ィ9c内の回転子鉄心1のスロット1bとエンドリング
部に遅い流動速度で溶融アルミニウム6を流し込む。溶
融アルミニウム6の流動速度は、上ポンチ15のスピー
ドを制御しながら行う。溶融アルミニウム6はゲート9
ba近傍のスロットから順に上方へ満たされ、ゲート9
b近傍の上端エンドリング部からガス排出口41に到達
する。溶融アルミニウム6充填後、溶融または半溶融状
態で約400kg/cm2以上の高圧力を加えて凝固させる。
上型11と下型9を開き、押出棒5により回転子導体が
形成された回転子鉄心を押出す。
【0009】図16(a),(b)は溶湯鍛造で得られたかご
形回転子の例を示すもので、(a)は断面図、(b) は側面
図である。このように溶湯鍛造法では溶融アルミニウム
を低速で充填するため、空気やガスの巻込みが少なく、
さらに凝固完了まで高圧力を維持するので、収縮巣が生
ずることなく高密度の電気導体を得ることができる。
【0010】図17は溶湯鍛造で得られたアルミニウム
密度が2.67g/cm3のかご形回転子のトルク特性及び効
率を、2.57g/cm3のダイカスト品と対比して示す特性
図である。縦軸はトルク(kg・cm)及び効率(%)をそれぞ
れ表わし、横軸は回転数(rpm)を表わしており、イは溶
湯鍛造品のトルク特性曲線、ロはダイカスト品のトルク
特性曲線、ハは溶湯鍛造品の効率特性曲線、ニはダイカ
スト品の効率特性曲線である。図から明らかなように、
溶湯鍛造によるアルミニウムが高密度のものの方がモー
タのトルク特性も効率も向上している。このように、溶
湯鍛造によればモータ特性をダイカスト法に比べ向上さ
せることができ、そのため、回転子導体の材料特性を十
二分に発揮させる回転子の限界設計がなされ、モータの
小型軽量化、省資材あるいはコストダウンが可能とな
る。
【0011】しかしながら、上記溶湯鍛造法による場合
でも、例えばエンドリングの断面積に比べ個々のスロッ
トの断面積が比較的小さい場合には、溶融アルミニウム
が下端のエンドリング部からスロット、さらに上端のエ
ンドリング部へと充填され、凝固する過程において、上
端のエンドリング部よりスロット部が先に凝固する。そ
の際、加圧力も下端のエンドリング部からスロット、上
端のエンドリング部の順に伝えられるが、スロットが先
に凝固すれば、その圧力は上端のエンドリング部には伝
わらない。そのため上端のエンドリングには凝固が完了
するまで高圧力をかけることができず、収縮巣が発生す
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
ダイカスト法では、かご形回転子の回転子導体全体に収
縮巣が発生する。また溶湯鍛造法では、溶融導体材料の
凝固にばらつきが生じ、例えば上端のエンドリング部よ
りスロット部が先に凝固する場合には上端のエンドリン
グに収縮巣が発生する。そのため電気導通の低下をきた
して、モータのトルク、効率に悪影響を及ぼすという問
題点があった。
【0013】本発明は上記のような問題点を解消するた
めになされたもので、溶融金属材料全体に凝固が完了す
るまで高圧力を加えられ、収縮巣の無い健全な無欠陥鋳
物が得られる鋳物の製造方法及び装置を提供することを
目的とするものである。具体的には例えば、スロット導
体及びエンドリングを形成する溶融導体材料全体に、凝
固が完了するまで高圧力を加えられ、収縮巣のない健全
な回転子導体が得られるかご形回転子の製造方法及び装
置を提供することを目的とし、結果としてモータの効率
及びトルク特性が向上し、モータの小型軽量化が図れる
かご形回転子を得ようとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
鋳物の製造方法は、スロットを有する部材に溶融した金
属材料を加圧充填して凝固させ、上記スロット部と、こ
れに接続され上記部材の少なくとも一端部に配設される
拡大部を上記金属で形成する際に、上記部材を金型内で
上記拡大部を圧縮する方向に移動可能にすると共に、上
記溶融金属材料を加圧充填して、充填した上記溶融金属
材料が凝固するに従って発生する上記部材の両端間の差
圧で上記部材が上記拡大部を圧縮する方向に移動するよ
うにしたものである。
【0015】また、スロットを有する部材を溶融金属材
料加圧充填時にその流動抵抗により移動しないように保
持している。
【0016】また、充填した溶融金属材料が凝固する時
に生じる体積収縮量によりスロットを有する部材の移動
量を規定し、上記溶融金属材料を上記収縮量余分に加圧
充填している。
【0017】また、スロットを有する部材をこれを保持
する中子と共に移動可能に保持している。
【0018】さらに、請求項5に係る鋳物の製造方法
は、前記の如き鋳物を製造する際に、弾性体を有し、拡
大部を加圧する加圧機構を設け、溶融金属材料を加圧充
填し、充填される溶融金属材料が伝える圧力により上記
加圧機構が蓄勢変形し、充填された溶融金属材料が凝固
するに従って上記加圧機構の復元力により上記拡大部を
加圧するようにしたものである。
【0019】そして、請求項6に係る前記の如き鋳物の
製造装置は、スロットを有する部材が金型内で上記拡大
部を圧縮する方向に移動可能に構成し、溶融金属材料を
加圧充填し、充填した上記溶融金属材料が凝固するに従
って発生する上記部材の両端間の差圧により上記部材を
上記拡大部を圧縮する方向に移動させるようにしたもの
である。
【0020】また、溶融金属材料加圧充填時にその流動
抵抗によりスロットを有する部材が移動しないように保
持する保持手段を備えている。
【0021】さらに、スロットを有する部材の移動量を
規定する移動量規定手段を備えている。
【0022】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.以下、本発明を図について説明する。図
1は本発明の実施の形態1に係わるかご形回転子の製造
装置を示す断面構成図である。図において、1はスロッ
トを有する部材、この場合は回転子鉄心である。11は
上型、11bはこの上型11の下端に設けられ、上型1
1と中間型10とで形成される拡大部である上エンドリ
ング部、この中間型10は溶融金属材料である溶融導体
材料6の流路を形成し、また加熱した回転子鉄心1の保
温壁の役目を果たす。さらに中間型10には拡大部であ
る下エンドリング部10bと、下型9に設けられた湯溜
まり9aに収容された溶融導体材料6を導入するための
ゲート10aが設けられている。41は上エンドリング
形成部11bから型外に通じ、キャビティ内の空気やガ
スを排出するためのガス排出口である。2は回転子鉄心
1を保持する仮軸であり、回転子鉄心1の軸穴とのはめ
合いによる摩擦により溶融導体材料6が充填完了するま
での間回転子鉄心1を金型内の所定の位置に保持する機
能を有している。この仮軸2はナット3により上型11
に取り付けられ固定されている。また、仮軸2下端部は
下エンドリング部10bの内周壁を形成している。8a
は上部加圧プランジャであり、上型11、仮軸2、ナッ
ト3、回転子鉄心1及び中間型10からなる上部可動側
金型70を吊り下げており、この上下動により下型への
挿入及び加圧を行う。8bは下部加圧プランジャであり
通常は図のように湯溜まり9aの底面の一部を形成して
おり、溶融導体材料の加圧および製品の押し出しを行
う。矢印は溶融導体材料6の流れを表わす。
【0023】なお、回転子鉄心1上端と上型11下端と
の間には、回転子鉄心1が軸方向上方に移動して(浮上
して)上エンドリングを加圧するための加圧代(L)分隙
間を設けている。加圧代(L)は上エンドリング部11b
に充填された溶融導体材料6が凝固(液相から固相に相
変態)するときの体積収縮量を予め算出することによ
り、その長さを決定する。
【0024】まず、仮軸2に回転子鉄心1をはめ込み、
さらに仮軸2を上型11の穴に挿入し、ナット3により
上型11に固定する。さらに回転子鉄心部分を中間型1
0に嵌合挿入し、以上組み合わせた金型全体を上部可動
側金型70として、上部加圧プランジャ8aに固定す
る。次いで余熱した下型9の湯溜まり9aに溶融したア
ルミニウム等の導体材料6を所定量注いだ後上部加圧プ
ランジャ8aを降下させ余熱した上部可動側金型70を
湯溜まり9aに挿入、加圧する。この過程で溶融導体材
料6がゲート10a、下エンドリング部10b、スロッ
ト1bを経て上エンドリング部11bに到達する。この
際、溶融導体材料6の流速は過度にガスや空気を巻き込
むことのないよう、比較的低速(レイノルズ数が2万以
下)にするのがよい。
【0025】予め型内やスロット内にあったガスや空気
は大部分がガス排出口41で排出され、溶融導体材料6
がこのガス排出口41に達すると、この部分の導体材料
6は急速に冷却されて凝固する。この時点より、加圧プ
ランジャ8aによる加圧力が急速に立ち上がり、湯溜ま
り9a、ゲート10aを介して製品に400kg/cm2以上
の高圧力が加えられる。この際、スロット1b内の充填
された溶融導体材料6が凝固することにより発生する回
転子鉄心1両端間の差圧を受けて、即ち回転子鉄心1の
下端面が圧力を受けて、回転子鉄心1が軸方向上方へ移
動(浮上)し、上エンドリングを同様に400kg/cm2
上の高圧力で加圧する。
【0026】例えば、断面積が0.16cm2のスロット1
bを26個有する直径43mm、長さ55mmの回転子鉄心
1に溶融アルミニウム6を鋳込んで、26個のスロット
導体と、断面積が6.0cm2で、高さが20mmのエンドリ
ングを形成する場合には、予め上部可動側金型70を4
00℃、下型9を250℃に加熱しておき、湯溜り9a
に溶融導体材料6として760℃に加熱した溶融アルミ
ニウムを注ぎ、加圧プランジャ8aを6mm/secの速度で
下降させ上部可動側金型70を湯溜まり9aに挿入し、
500kg/cm2 の圧力をかけて凝固させた。溶融アルミ
ニウムの充填速度はレイノルズ数1万以下である。な
お、加圧代(L)は計算上は2mmであるが、余裕をみて5
mmに設定した。
【0027】図14からわかるように、一般にスロット
1bの断面積はエンドリング1dの断面積に比べて小さ
く、しかもエンドリング1dはその名のごとくリング状
につながっている。従ってスロット1bとエンドリング
1dの寸法のバランスによっては、エンドリング1dが
凝固するよりはるかに速くスロット1b内の導体材料6
が凝固してしまう。このような場合には加圧プランジャ
8aにより加えられる圧力は上エンドリング部11bに
達せず、従って上エンドリング部11b内の溶融導体材
料6は常圧または不十分な加圧力の下で凝固し、上エン
ドリング部11bの断面のほぼ中央に収縮巣6aが生じ
ることになる。
【0028】ところが、この実施の形態ではこのような
事態を避けるために上型11下端と回転子鉄心1上端の
間に加圧代(L)を設け、回転子鉄心1が軸方向仮軸2に
沿って上方へ移動できるように構成している。然して、
スロット1b内に充填された溶融導体材料6が凝固し、
上エンドリング11b内の溶融導体材料6が溶融または
半溶融状態で取り残されても、スロット1b内の充填さ
れた溶融導体材料6が凝固することにより発生する回転
子鉄心1両端間の差圧を受けて、即ち回転子鉄心1の下
端面が溶融導体材料6の圧力を受けて軸方向上方へ移動
(浮上)し、上エンドリングを押圧する。従って、継続
して回転子鉄心1を介して上エンドリング部11bに加
圧力を伝達、維持することが可能となる。即ち回転子鉄
心1が中間型10をシリンダーとするピストンとして作
用し、上エンドリング部11bの圧力を維持し、溶融導
体材料6を高圧下で凝固させて、収縮巣の発生を防ぐこ
とができる。なお、回転子鉄心1は溶融導体材料6加圧
充填時にその流動抵抗により軸方向に移動(浮上)しな
いように保持されているので、上エンドリング部11b
を狭くすることなく溶融導体材料6を所定量充填でき
る。さらに、充填した溶融導体材料6が凝固する時に生
じる体積収縮量により回転子鉄心1の移動量を規定し、
溶融導体材料6を加圧充填しているので、上エンドリン
グ部11bを十分加圧できる。
【0029】なお、この実施の形態においては、仮軸2
とのはめあいによる摩擦により、溶融導体材料6充填時
には回転子鉄心1は溶融導体材料6の流動抵抗により軸
方向に移動(浮上)しないように保持しており、溶融導体
材料6の充填後は立ち上がる圧力(即ち回転子鉄心1両
端間の差圧)により回転子鉄心1が軸方向に移動(浮
上)できるように保持しているが、同様の機能を有する
保持手段であれば別の手段でもよい。
【0030】図2は回転子鉄心保持手段の他の実施態様
を示す要部断面構成図で、仮軸2及び中間型10に保持
手段である係止部、この場合は小突起54a,54bを
設け、これにより回転子鉄心1を係止し、溶融導体材料
6充填中の浮上を防止している。然して、充填後立ち上
がる圧力(差圧)により浮上する回転子鉄心1により小突
起54a,54bは塑性変形して拘束を解除する。この
小突起54a,54bは例えば回転子鉄心1を仮軸2に
はめた後はがねでたたく、あるいはスポット溶接等で簡
単に形成でき、はめあいによる摩擦を利用する上記実施
の形態より簡便である。
【0031】また、図3は回転子鉄心保持手段のさらに
他の実施態様を示す要部断面構成図で、仮軸2及び中間
型10に保持手段である係止部、この場合は仮軸2及び
中間型10に凹部を設け、この凹部に配設した小球55
a,55bにより保持するようにしたもので、図2に示
す実施態様と同様の効果を奏す。この場合回転子鉄心1
の浮上により小球55a,55bは弾性変形し、拘束を
解除する。なお、係止部は仮軸2及び中間型10のどち
らか一方に形成されていればよい。
【0032】実施の形態2.図4は本発明の実施の形態
2に係わるかご形回転子の製造装置を示す断面構成図で
ある。図において、50は回転子鉄心1上端と上型11
下端との間に装入され、加圧代(L)の長さを決め、溶融
導体材料6がスロット内を上昇しエンドリング部に充填
されるまで回転子鉄心1を所定の位置に留めておくため
の保持手段と移動量規定手段を兼ねる金属製スペーサで
ある。スペーサ50は溶融導体材料6と同じ材質もしく
は電気的特性に優れた金属材料で作られており、溶融導
体材料6の高温、高圧により凝固完了後は充填された導
体材料6と一体化してエンドリングを形成する機能を兼
ね備えている。この場合は溶融導体材料6と同じアルミ
ニウムのリングである。
【0033】まず、仮軸2に回転子鉄心1をはめ込みさ
らにスペーサ50を仮軸にはめ込んだ後、それを上型1
1にナット3により固定する。さらにその回転子鉄心部
分を中間型10に嵌合挿入し、上部可動側金型70とし
て、上部加圧プランジャ8aに固定する。次いで下型9
の湯溜まり9aに溶融導体材料である溶融アルミニウム
6を所定量注いだあと上部加圧プランジャ8aを降下さ
せ上部可動側金型70を湯溜まり9aに挿入、加圧す
る。この過程で実施の形態1で述べたプロセスと同じプ
ロセスにより、製品に400kg/cm2以上の高圧力が加え
られる。
【0034】一般には上記実施の形態において述べたよ
うに、上エンドリング部11bの断面のほぼ中央に収縮
巣が生じることになる。ところが、この実施の形態2に
おいても、スロット1bの溶融導体材料6が凝固し、上
エンドリング部11b内の溶融導体材料6が溶融または
半溶融状態で取り残されても、スロット1b内の溶融導
体材料6が凝固することにより 上記実施の形態におい
て述べた原理によって、回転子鉄心1を介して上エンド
リング部11bに加圧力を伝達、維持することが可能と
なる。即ち、溶融導体材料6が充填されるまでスペーサ
50により固定されていた回転子鉄心1が、溶融導体材
料6充填直後に立ち上がる高圧と高温によりスペーサ5
0が溶解及び変形するため軸方向に移動(浮上)し、中
間型10をシリンダーとするピストンとして作用し、上
エンドリング部の圧力を維持し、溶融導体材料6を高圧
下で凝固させることができる。従って収縮巣の発生を防
止できる。さらに、スペーサ50を用いることにより、
加圧代(L)、回転子鉄心1移動量を簡単に規定でき、回
転子鉄心1の位置決め、保持が楽に行える。また、特に
この実施の形態のように導体材料6と同じ材質のもので
作られたスペーサを使用した場合、出来上がったエンド
リングを、導体材料6が本来有する材料強度および電気
的特性を損なわないものに仕上げることができる。然し
てリング状のスペーサの方が不均一部分がなくなり望ま
しい。
【0035】実施の形態3.図5は本発明の実施の形態
3に係わるかご形回転子の製造装置を示す断面構成図で
ある。この実施の形態においては中子である仮軸2も軸
方向に移動できるように構成している。(L)は回転子鉄
心1上端と上型11下端との間に設けられた、回転子鉄
心1が軸方向上方に移動して(浮上して)上エンドリング
を加圧するための加圧代で、(L’)は仮軸2上端と上型
11天井との間に、仮軸2が移動可能なように設けられ
た隙間である。なお、L≧Cなる長さの条件を満たさな
くてはいけない。但しCは導体材料が凝固するときに生
じる収縮に伴う回転子鉄心の軸方向移動量(浮上量)で
ある。他の実施の形態についても同様で、この条件を満
たさなければ十分に加圧できない。
【0036】まず、仮軸2に回転子鉄心1をはめ込み、
さらに仮軸2を上型11の穴に挿入し、ナット3により
上型11に取り付ける。この時ナット3を回転すること
により、隙間(L’)の長さを調節する。さらに回転子鉄
心部分を中間型10に嵌合挿入し、以上組み合わせた金
型全体を上部可動側金型70として、上部加圧プランジ
ャ8aに固定する。なお、回転子鉄心1は例えば仮軸2
とのはめ合いによる摩擦により溶融導体材料6充填完了
するまで金型内の所定の位置に保持されている。
【0037】次いで下型9の溶融導体材料6が注がれた
湯溜まり9aに上部加圧プランジャ8aを降下させ上部
可動側金型70を湯溜まり9aに挿入、加圧する。この
過程で実施の形態1で述べたプロセスと同じプロセスに
より、製品に400kg/cm2以上の高圧力が加えられる。
【0038】この実施の形態3では 上型11下端と回
転子鉄心1上端の間に加圧代(L)を、また仮軸2上端と
上型11天井との間に隙間(L’)を設けて、回転子鉄心
1と仮軸2が軸方向上方へ移動できるように構成してい
る。然して、スロット1bの溶融導体材料6が凝固し、
上エンドリング部11b内の溶融導体材料6が溶融また
は半溶融状態で取り残されても、スロット1b内の溶融
導体材料6が凝固することにより実施の形態1において
述べた原理によって、回転子鉄心1を介して上エンドリ
ング部11bに加圧力を伝達、維持することが可能とな
る。従って収縮巣の発生を防止できる。
【0039】この実施の形態3の場合、回転子鉄心1の
保持状態によってLやL’の設定量が変わってくる。例
えば回転子鉄心1が仮軸2に固定されている場合、L’
>L>Cなる関係を満たさなければならない。また回転
子鉄心1が仮軸2に固定されておらず相対変位ができる
場合、2L’=L=Cと設定することにより上下対称の
回転子を成形することができる。一般には2L’=L≧
Cなる条件を満たせばよい。
【0040】実施の形態4.図6は本発明の実施の形態
4に係わるかご形回転子の製造装置を示す断面構成図で
ある。図において2aは仮軸カバーで、例えば仮軸2と
螺合することにより回転子鉄心1を仮軸2に固定すると
ともに上エンドリング11bの内周壁を形成する。仮軸
2上端と上型11天井との間には隙間が設けてあり、仮
軸2が軸方向上方へ移動できるようになっており、回転
子鉄心1は仮軸2と仮軸カバー2aによって一体化され
浮動中子を形成する。52は弾性体、この場合はスプリ
ングで、溶融導体材料6がスロット内を上昇し上エンド
リング部11bに充填されるまで浮動中子を所定の位置
に留めておくためのものであり、溶融導体材料6が充填
された後は充填後に立ち上がる高圧力(即ち回転子鉄心
1両端間の差圧)により弾性変形収縮し、浮動中子が軸
方向上方へ移動(浮上)するのを妨げない。このスプリ
ング52は製品形状にほとんど影響の無い部分に設けて
あり、上型11の中に組み込まれている。なお、スプリ
ング52をスペーサに置き換えてもよく、スペーサが塑
性変形することにより同様の機能を果たす。
【0041】まず、仮軸2に回転子鉄心1をはめ込み、
さらに仮軸カバー2aで回転子鉄心1を固定し、浮動中
子を構成する。スプリング52をはめ込んだ後、中間型
10に浮動中子を嵌合挿入し、それを上型11に固定
し、それらを上部可動側金型として、上部加圧プランジ
ャ8aに固定する。次いで下型9の湯溜まり9aに溶融
したアルミニウム等の溶融導体材料6を所定量注いだ
後、上部加圧プランジャ8aを降下させ、上部可動側金
型を湯溜まり9aに挿入、加圧する。この過程で実施の
形態1で述べたプロセスと同じプロセスによって製品に
400kg/cm2以上の高圧力が加えられる。
【0042】この実施の形態4においては、仮軸2上端
と上型11天井との間に隙間を設けて、回転子鉄心1、
仮軸2及び仮軸カバー2aを一体化して浮動中子を形成
し、これが一体となって軸方向上方へ移動できるように
構成している。然して、スロット1bの溶融導体材料6
が凝固し、上エンドリング部11b内の溶融導体材料6
が溶融または半溶融状態で取り残されても、スロット1
b内の溶融導体材料6が凝固することにより実施の形態
1において述べた原理によって、回転子鉄心1を介して
上エンドリング部11bに加圧力を伝達、維持すること
が可能となる。即ち溶融導体材料6が充填されるまでス
プリング52により固定されていた浮動中子が、溶融導
体材料6の充填直後に立ち上がる高圧によるスプリング
52の縮退により上方に移動し、その結果として回転子
鉄心1が中間型10をシリンダーとするピストンとして
作用し、上エンドリング部の圧力を維持し、溶融導体材
料6を高圧下で凝固させて、収縮巣の発生を防ぐことが
できる。また、この実施の形態4では仮軸カバー2aで
上エンドリング部11b内周壁を形成しており、上型1
1下端面が平板となるので上型11の製造が容易にな
る。
【0043】実施の形態5.図7は本発明の実施の形態
5に係わるかご形回転子の製造装置を示す断面構成図で
ある。図において53は仮軸2に載せられた保持手段の
重りであり、回転子鉄心1、仮軸2、仮軸カバー2aに
よって構成される浮動中子を、溶融導体材料6が充填さ
れる時の流動抵抗により動かないように、所定の位置に
押さえている。なお、重り53は溶融導体材料6が充填
完了後立ち上がる圧力により浮動中子が浮上できる程度
の重さでなければならない。
【0044】まず、仮軸2に回転子鉄心1をはめ込み、
さらに仮軸カバー2aで回転子鉄心1を固定し、浮動中
子を構成する。次に、中間型10に浮動中子を嵌合挿入
し、さらにそれを上型11に固定する。このとき上型1
1内に設けられた空間に、重り53を入れ、仮軸2の上
に載せて、その重みにより溶融導体材料6充填時に浮動
中子が上方へ移動しないように押さえる。以上を上部可
動側金型として、上部加圧プランジャ8aに固定する。
次いで下型9の湯溜まり9aに溶融したアルミニウム等
の溶融導体材料6を所定量注いだ後上部加圧プランジャ
8aを降下させ上部可動側金型を湯溜まり9aに挿入、
加圧する。この過程で実施の形態1で述べたプロセスと
同じプロセスにより、加圧プランジャ8aによる加圧力
が急速に立ち上がり、製品に400kg/cm2以上の高圧力が
加えられる。
【0045】この実施の形態5においても、実施の形態
4と同様の動作、原理により、上エンドリング部11b
に加圧力を伝達、維持することが可能となる。その結
果、上エンドリング部の圧力を維持し、溶融導体材料6
を高圧下で凝固させて、収縮巣の発生を防ぐことがで
き、実施の形態4と同様の効果を奏する。以上、本発明
による実施の形態を数例示したが、いずれの方法も上部
加圧プランジャ8aにより加圧する場合であった。しか
しながら、上部加圧プランジャ8aにより上部可動側金
型が下型9に嵌合挿入された後、下部加圧プランジャ8
bで溶融導体材料6を金型内へ充填、加圧するようにし
てもよい。
【0046】実施の形態6.続いて、本発明の実施の形
態6に係わるかご形回転子の製造装置を図8の断面構成
図で説明する。これは例えば大型の回転子鉄心(自重の
大きいもの)に適したものである。図において 上型1
1はエンドリング部の端面を形成し、11bはこの上型
11の下端に設けられた上エンドリング部、41は上エ
ンドリング部11bから型外に通じ、キャビティ内の空
気やガスを排出するためのガス排出口である。8は加圧
プランジャで、溶融導体材料6を金型内へ充填し加圧す
る。また、溶融導体材料6の凝固完了後、製品を押し出
す機能も有する。10は中間型で、溶融導体材料6の流
路を形成し、また加熱した回転子鉄心1の保温壁の役目
を果たす。この中間型10には下エンドリング部10b
と下型9に設けられた湯溜まり9aに収容された溶融導
体材料6を導入するためのゲート10aが設けられてい
る。2は回転子鉄心1を保持する仮軸である。ナット3
は仮軸2、仮軸カバー2a、回転子鉄心1を固定し、一
体化して浮動中子を構成している。仮軸カバー2aは上
エンドリング部11bの内周壁を形成している。
【0047】まず、仮軸2に回転子鉄心1をはめ込み、
さらに仮軸カバー2aをはめ込みナット3で回転子鉄心
1を固定し、浮動中子を構成する。次に中間型10に浮
動中子を嵌合挿入し、上型11をかぶせて上部金型とす
る。次いで下型9の湯溜まり9aに溶融したアルミニウ
ム等の導体材料6を所定量注いだ後上部金型を下型9に
固定し、加圧プランジャ8を上昇させ上部金型に溶融導
体材料6を充填し、加圧する。この過程で実施の形態1
で述べたプロセスと同じプロセスによって製品に400
kg/cm2以上の高圧力が加えられる。
【0048】この実施の形態6の場合、溶融導体材料6
が充填されるときの流動抵抗による浮動中子の軸方向の
移動(上昇)は浮動中子自身の重量によっておさえられて
いる。この実施の形態6においても、上記実施の形態と
同様、スロット1bの溶融導体材料6が凝固し、上部エ
ンドリング11b内の溶融導体材料6が溶融または半溶
融状態で取り残されても、スロット1b内の溶融導体材
料6が凝固することにより回転子鉄心1を介して上エン
ドリング部11bに加圧力を伝達、維持することが可能
となる。即ち溶融導体材料6が充填完了されるまで浮動
中子自身の重量により固定されていた浮動中子が、溶融
導体材料6の充填直後に立ち上がる高圧(回転子鉄心1
両端間の差圧)により軸方向上方に移動(浮上)し、その
結果として回転子鉄心1が中間型10をシリンダーとす
るピストンとして作用し、上エンドリング部の圧力を維
持し、溶融導体材料6を高圧下で凝固させて、収縮巣の
発生を防ぐことができる。また、金型構造が簡略化でき
る。
【0049】実施の形態7.図9は本発明の実施の形態
7に係わるかご形回転子の製造装置を示す断面構成図で
あり、図8に示した金型に対して、溶融導体材料を間接
的に充填、加圧する方法の一例、多数個取りの間接押し
込み例を示す。図において8は加圧プランジャで、これ
により 湯溜り9aの溶融導体材料6を加圧する。加圧
された溶融導体材料6は湯道9cを通りゲート10aを
経て下エンドリング部10b、スロット1b、上エンド
リング部11bに充填される。この時、溶融導体材料6
の流動抵抗により回転子鉄心1を押し上げようとする力
が働くが、回転子鉄心1自身の重量により所定の位置を
維持する。もしも、溶融導体材料6の流動抵抗により回
転子鉄心1が浮き上がるような場合、図9に示すように
重り53を浮動中子に付加すればよい。8cはポンチで
あり、ゲート10aの切断、製品のノックアウトを行
う。
【0050】この実施の形態7の場合も図8に示す実施
の形態6の直接押し込みの場合と同様の動作、原理によ
り上エンドリング部11bの圧力を維持し、溶融導体材
料6を高圧下で凝固させて、収縮巣の発生を防ぐことが
できる。
【0051】なお、溶融導体材料6が金型内に充填され
た後、凝固が完了するまでに湯道9cにおいて溶融導体
材料6が凝固してしまう場合には、金型内に充填された
溶融導体材料6に加圧力が伝達されなくなる。このよう
な場合には、ポンチ8cを上昇させることにより製品を
加圧するとよい。また、金型の部分は図8に示すものに
限るものではなく、上記実施の形態のどの方式の金型を
使用してもよい。
【0052】実施の形態8.図10は本発明の実施の形
態8に係わるかご形回転子の製造装置を示す断面構成図
で、図において 2aは仮軸カバーで、回転子鉄心1を
仮軸2に固定し上エンドリング部11bの内周壁を形成
する。回転子鉄心1は仮軸2と上記仮軸カバー2aによ
って一体化し中子を形成する。この実施の形態8の場
合、中子は金型内で固定されており、動くことはない。
80はエンドリング部を加圧する加圧機構で、この場合
上エンドリング部11bの端面を形成するエンドリング
部押さえ板60とエンドリング部押さえ板60を保持す
る弾性体のスプリング52で構成されている。
【0053】まず、仮軸2に回転子鉄心1をはめ込み、
さらに仮軸カバー2aで回転子鉄心1を固定し、中子を
形成する。次に、中間型10に中子を嵌合挿入し、さら
にそれを上型11に固定し、それらを上部可動側金型と
して上部加圧プランジャ8aに固定する。次いで下型9
の湯溜まり9aに溶融したアルミニウム等の導体材料6
を所定量注いだ後上部加圧プランジャ8aを降下させ上
部可動側金型を湯溜まり9aに挿入、加圧する。この過
程で実施の形態1で述べたプロセスと同じプロセスによ
り、加圧プランジャ8aによる加圧力が急速に立ち上が
る。その加圧力によりスプリング52が圧縮されエンド
リング部押さえ板60が上方に押し上げられる。そして
加圧力とスプリング52の復元力が釣り合った時点で
エンドリング部押さえ板60が停止し、湯溜まり9a、
ゲート10aを介して製品に400kg/cm2以上の高圧力
が加えられる。
【0054】一般には最初の実施の形態において述べた
ように、上エンドリング部11bの断面のほぼ中央に収
縮巣が生じることになる。ところが、この実施の形態8
ではエンドリング加圧機構80を設けており、スロット
1bの溶融導体材料6が凝固し、上エンドリング部11
b内の溶融導体材料6が溶融または半溶融状態で取り残
されても、溶融導体材料6が充填された時点で蓄勢変形
したスプリング60の復元力により上エンドリング部1
1bに圧力を加えることができる。その結果、上エンド
リング部11bの圧力を維持でき、溶融導体材料6を高
圧下で凝固させて、収縮巣の発生を防止できる。この加
圧機構80は金型へ溶融導体材料6を加圧充填する際の
加圧力を利用しており、他に加圧源を用いることなく、
簡単な構成で、エンドリング部の圧力を維持できるとい
う効果がある。
【0055】なお、加圧機構の構成はこれに限るもので
はなく、またエンドリング部側面を押圧するようにして
も、下エンドリング部に設けてもよい。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
の鋳物の製造方法においては、スロットを有する部材に
溶融した金属材料を加圧充填して凝固させ、上記スロッ
ト部と、これに接続され上記部材の少なくとも一端部に
配設される拡大部とを上記金属で形成するに際し、上記
部材を金型内で上記拡大部を圧縮する方向に移動可能に
すると共に、上記溶融金属材料を加圧充填して、充填し
た上記溶融金属材料が凝固するに従って発生する上記部
材の両端間の差圧で上記部材が上記拡大部を圧縮する方
向に移動するようにしたので、上記部材を介して圧力低
下をきたすおそれのある上記スロット部より先、下流、
他方の拡大部をも加圧できるので、収縮巣の発生を防止
でき、健全な鋳物が得られる効果がある。例えば、かご
形回転子の場合は、回転子鉄心を介して圧力低下をきた
すおそれのある他方のエンドリングをも加圧できるの
で、即ち両方のエンドリングに加圧でき、収縮巣の発生
を防止し健全な回転子導体が得られ、回転子導体が強固
となり遠心力などによる破損が防止できるとともに、電
気抵抗が減少し、モータの効率及びトルク特性が向上
し、モータの小型軽量化が図れるかご形回転子が得られ
る効果がある。
【0057】また、スロットを有する部材を溶融金属材
料加圧充填時にその流動抵抗により移動しないように保
持しているので、他方の拡大部を狭くすることなく溶融
金属材料を所定量充填できる。
【0058】また、充填した溶融金属材料が凝固する時
に生じる体積収縮量によりスロットを有する部材の移動
量を規定し、上記溶融金属材料を上記収縮量余分に加圧
充填しているので、他方の拡大部を十分加圧できる。
【0059】さらに、請求項5に係る鋳物の製造方法に
よれば、前記の如き鋳物を製造する際に、弾性体を有
し、拡大部を加圧する加圧機構を設け、溶融金属材料を
加圧充填し、充填される溶融金属材料が伝える圧力によ
り上記加圧機構が蓄勢変形し、充填された溶融金属材料
が凝固するに従って上記加圧機構の復元力により上記拡
大部を加圧するようにしたので、他に加圧源を用いるこ
となく、加圧充填する際の加圧力を利用して、上記拡大
部の圧力を維持でき収縮巣の発生を防止できる。
【0060】そして、請求項6に係る前記の如き鋳物の
製造装置においては、スロットを有する部材が金型内で
上記拡大部を圧縮する方向に移動可能に構成し、溶融金
属材料を加圧充填し、充填した上記溶融金属材料が凝固
するに従って発生する上記部材の両端間の差圧により上
記部材を上記拡大部を圧縮する方向に移動させるように
したので、上記部材を介して圧力低下をきたすおそれの
ある上記スロット部より先、下流、他方の拡大部をも加
圧できるので、収縮巣の発生を防止でき、健全な鋳物が
得られる効果がある。
【0061】また、溶融金属材料加圧充填時にその流動
抵抗によりスロットを有する部材が移動しないように保
持する保持手段を備えているので、他方の拡大部を狭く
することなく溶融金属材料を所定量充填できる。
【0062】さらに、スロットを有する部材の移動量を
規定する移動量規定手段を備え、充填した溶融金属材料
が凝固する時に生じる体積収縮量によりスロットを有す
る部材の移動量を規定し、上記溶融金属材料を上記収縮
量余分に加圧充填しているので、他方の拡大部を十分加
圧できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係わるかご形回転子
の製造装置を示す断面構成図である。
【図2】 本発明の実施の形態1に係わる回転子鉄心保
持方法の他の実施態様を示す要部断面構成図である。
【図3】 本発明の実施の形態1に係わる回転子鉄心保
持方法のさらに他の実施態様を示す要部断面構成図であ
る。
【図4】 本発明の実施の形態2に係わるかご形回転子
の製造装置を示す断面構成図である。
【図5】 本発明の実施の形態3に係わるかご形回転子
の製造装置を示す断面構成図である。
【図6】 本発明の実施の形態4に係わるかご形回転子
の製造装置を示す断面構成図である。
【図7】 本発明の実施の形態5に係わるかご形回転子
の製造装置を示す断面構成図である。
【図8】 本発明の実施の形態6に係わるかご形回転子
の製造装置を示す断面構成図である。
【図9】 本発明の実施の形態7に係わるかご形回転子
の製造装置を示す断面構成図である。
【図10】 本発明の実施の形態8に係わるかご形回転
子の製造装置を示す断面構成図である。
【図11】 一般的な回転子鉄心を一部切り欠いて断面
を表わす正面図である。
【図12】 従来のかご形回転子の鋳込装置を示す断面
図である。
【図13】 従来のかご形回転子を示す断面図である。
【図14】 従来の溶湯鍛造法によるかご形回転子の鋳
込装置を示す断面図である。
【図15】 図14の部分拡大断面図である。
【図16】 溶湯鍛造法で得られたかご形回転子を示す
断面図である。
【図17】 溶湯鍛造法によるかご形回転子のトルク特
性及び効率をダイカスト品と対比して示す特性図であ
る。
【符号の説明】
1 回転子鉄心、1b スロット、1d エンドリン
グ、1e スロット導体、2 仮軸、2a 仮軸カバ
ー、6 溶融導体材料、8 加圧プランジャ、8a上部
加圧プランジャ、8b 下部加圧プランジャ、9 下
型、9a 湯溜り、10 中間型、10b 下エンドリ
ング部、11 上型、11b 上エンドリング部、L
加圧代、50 金属製スペーサ、L’ 仮軸2と上型1
1との隙間、 52 弾性体であるスプリング、53
重り、54a,54b 係止部である小突起、55a,
55b 係止部を構成する小球、80 弾性体であるス
プリング52とエンドリング部押え板60で構成される
加圧機構。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 雄二 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機 株式会社生産技術研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スロットを有する部材に溶融した金属材
    料を加圧充填して凝固させ、上記スロット部と、これに
    接続され上記部材の少なくとも一端部に配設される拡大
    部とを上記金属で形成する鋳物の製造方法において、上
    記部材を金型内で上記拡大部を圧縮する方向に移動可能
    にすると共に、上記溶融金属材料を加圧充填して、充填
    した上記溶融金属材料が凝固するに従って発生する上記
    部材の両端間の差圧で上記部材が上記拡大部を圧縮する
    方向に移動するようにしたことを特徴とする鋳物の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 スロットを有する部材は溶融金属材料加
    圧充填時にその流動抵抗により移動しないように保持さ
    れていることを特徴とする請求項1記載の鋳物の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 充填した溶融金属材料が凝固する時に生
    じる体積収縮量によりスロットを有する部材の移動量を
    規定し、上記溶融金属材料を加圧充填していることを特
    徴とする請求項1または2記載の鋳物の製造方法。
  4. 【請求項4】 スロットを有する部材はこれを保持する
    中子と共に移動可能に保持されていることを特徴とする
    請求項1ないし3のいずれかに記載の鋳物の製造方法。
  5. 【請求項5】 スロットを有する部材に溶融した金属材
    料を加圧充填して凝固させ、上記スロット部と、これに
    接続され上記部材の少なくとも一端部に配設される拡大
    部とを上記金属で形成する鋳物の製造方法において、弾
    性体を有し、上記拡大部を加圧する加圧機構を設け、上
    記溶融金属材料を加圧充填し、充填される上記溶融金属
    材料が伝える圧力により上記加圧機構が蓄勢変形し、充
    填された溶融金属材料が凝固するに従って上記加圧機構
    の復元力により上記拡大部を加圧するようにしたことを
    特徴とする鋳物の製造方法。
  6. 【請求項6】 スロットを有する部材に溶融した金属材
    料を加圧充填して凝固させ、上記スロット部と、これに
    接続され上記部材の少なくとも一端部に配設される拡大
    部とを上記金属で形成する鋳物の製造装置において、上
    記部材を金型内で上記拡大部を圧縮する方向に移動可能
    に構成し、上記溶融金属材料を加圧充填し、充填した上
    記溶融金属材料が凝固するに従って発生する上記部材の
    両端間の差圧により上記部材を上記拡大部を圧縮する方
    向に移動させるようにしたことを特徴とする鋳物の製造
    装置。
  7. 【請求項7】 溶融金属材料加圧充填時にその流動抵抗
    によりスロットを有する部材が移動しないように保持す
    る保持手段が設けられていることを特徴とする請求項6
    記載の鋳物の製造装置。
  8. 【請求項8】 スロットを有する部材の移動量を規定す
    る移動量規定手段が設けられていることを特徴とする請
    求項6または7記載の鋳物の製造装置。
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Cited By (2)

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