JPH08453A - 電子レンジ用炊飯器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 保温効果を向上させ、かつ、使い捨てが可能
な製造コストの安い電子レンジ用炊飯器を提供する。 【構成】 米１０及び炊飯水１１を収容する内容器２
と、該内容器２を間隙を介して収容する外容器３と、こ
の外容器３と内容器２とを塞ぐ外蓋４とを備え、前記内
容器２の炊飯水１１を対流させるべくマイクロ波遮断層
５を設けた電子レンジ用炊飯器１において、前記内容器
２と前記外容器３とにより形成される空間部Ａには、前
記炊飯水１１の一部が前記内容器の保温水１３として流
入するように、前記内容器２と外容器３とを連通させる
通水孔８を前記内容器２に穿設した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電子レンジ用炊飯器に
関する。

【０００２】

【従来の技術】電子レンジは、短時間で加熱でき、しか
も使い易いなどの利点があるので、食品の加熱、調理及
び解凍に広く用いられているが、電子レンジのマイクロ
波による照射程度が内容物を入れた容器の局部において
異なるため、加熱むらが生じるという問題があった。そ
こで、局部的な過熱がなく、長時間の煮炊き処理に適し
た電子レンジ用調理容器が特開昭６１−１３５６１５号
公報に開示されている。

【０００３】上記従来の電子レンジ用調理器を図面を参
照しながら説明する。図３及び図４は従来の電子レンジ
用調理器の断面図を示すものである。図３において、電
子レンジ用調理器は、容器１０１の中に米等の調理用内
容物１０２を収容し、該内容物１０２を電子レンジテー
ブル１０３に対して一定間隔ｈをおいて上方に保持する
ための部材１０４を有し、かつ該内容物１０２の上方及
び側方にマイクロ波遮断層１０７を設けたものである。
そして、この電子レンジ用調理器は、マイクロ波遮断層
１０７により容器１０１の底部１０８のみからの加熱が
可能となるので、内容物中で熱の効率的な対流が行わ
れ、局部的な過熱による吹きこぼれや脱水が防止でき
る。

【０００４】図４は図３の部材１０４を変形して二重容
器の形態としたものである。この電子レンジ用調理器で
は、電子レンジテーブル１２３に対して、一定間隔ｈを
おいて内容物１２２を上方に保持するための部材１２４
が、外側の容器を形成しており、蓋１２５及び内容器１
２８の側面１２６にマイクロ波遮断層１２７が設けられ
ている。このような二重容器は、図３に示した単層の容
器に比べ、保温効果にすぐれ、加熱後の蒸らし効果があ
る。

【０００５】しかしながら、図４に示した電子レンジ用
調理器の二重容器は、内容器１２８と外容器１２４とで
囲繞される空間部Ａに空気が介在しているだけであり、
保温効果が特別に優れているわけではなかった。

【０００６】そこで、実開平２−１４０２０５号公報に
開示されている電子レンジ用煮炊器では、前記空間部Ａ
に、空気よりも比熱が高い油脂系蓄熱剤を封入して、容
器を長時間加熱保温できる構成としている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記空
間部Ａに油脂系蓄熱剤を封入して保温効果を高めた電子
レンジ用煮炊器を、レトルト食品のパッケージのように
使い捨てとして使用する際には、コスト高となるという
問題点があった。

【０００８】本発明は上記問題点にかんがみ、保温効果
を向上させ、かつ、使い捨てが可能な製造コストの安い
電子レンジ用炊飯器を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
本発明は、米及び炊飯水を収容する内容器と、該内容器
を間隙を介して収容する外容器と、この外容器と内容器
とを塞ぐ外蓋とを備え、前記内容器の炊飯水を対流させ
るべくマイクロ波遮断層を設けた電子レンジ用炊飯器に
おいて、前記内容器と前記外容器とにより形成される空
間部に、前記炊飯水の一部が前記内容器の保温水として
流入するように、前記内容器と外容器とを連通させる通
水孔を前記内容器に穿設する、という技術的手段を講じ
た。

【００１０】

【作用】外蓋を取り去り、内容器に米を入れ、次に、炊
飯水を注入すると、炊飯水は、水位が上昇して通水孔か
ら空間部Ａに流入し、保温水として貯水される。そし
て、所定の水位目盛まで炊飯水を供給することにより、
内容器には炊飯水が、空間部には保温水がそれぞれ行き
渡る。次に、上記の炊飯の準備を終えた電子レンジ用炊
飯器を、家庭用電子レンジの中に入れてマイクロ波を照
射すると、炊飯水及び保温水は数分で沸騰し、米の炊飯
が行われる。この炊飯時は、マイクロ波遮断層により内
容器の下側部及び底部からの加熱が可能となるので、炊
飯水の対流が下から上に効率良く行われ、米への均一な
熱伝達が可能となる。

【００１１】そして、沸騰状態が一定時間継続し、米の
炊飯が完了すると、電子レンジを停止して蒸らし操作に
移る。蒸らし操作では、内容器内の米の熱が、外部に直
接放散せず、マイクロ波の照射によって加熱された空間
部Ａの保温水により長時間保温することができるので、
蒸らし操作を効果的に行って、美味しい御飯を得ること
ができる。

【００１２】

【実施例】本発明の電子レンジ用炊飯器を図面に基づき
具体的に説明する。

【００１３】図１は本発明の電子レンジ用炊飯器の断面
図であり、炊飯器１は、米１０及び炊飯水１１を収容す
る内容器２と、該内容器２を間隙を介して収容する外容
器３と、この外容器３と内容器２とを塞ぐ外蓋４とから
構成される。そして、前記内容器２には、内容物の米１
０及び炊飯水１１の上面側を覆うようにマイクロ波遮断
層５が設けられている。図１に示す実施例では、前記マ
イクロ波遮断層５が内容器２の中蓋５ａとして炊飯水１
１上に浮かんでおり、該中蓋５ａには、炊飯水の突沸や
吹きこぼれがないように多数の小孔６…が穿設されてい
る。また、外蓋４には、蒸気抜け穴７が穿設され、該蒸
気抜け穴７は、シール１２を剥がすことにより外気と連
通する。

【００１４】前記内容器２には、該内容器２と前記外容
器３とを連通させる複数の通水孔８が前記内容器２の上
部側の周壁部に穿設されており、前記内容器２と外容器
３とで形成される空間部Ａには、前記通水孔８から前記
炊飯水１１の一部が内容器２の保温水１３として流入す
る。

【００１５】前記通水孔８…付近には、水位目盛が設け
られており、該水位目盛９は、あらかじめ内容器２の水
量と空間部Ａの水量とを加算した炊飯量に対応する目盛
となっている。そして、所定の水位目盛９まで炊飯水１
１を供給することにより、内容器２には炊飯水１１が、
空間部Ａには保温水１３がそれぞれ行き渡る。

【００１６】前器内容器２、外容器３及び外蓋４は、電
子レンジの加熱に耐えうる素材で、しかも製造コストの
安い使い捨てが可能な素材、例えば、炊飯に適した耐熱
性を有するポリプロピレン樹脂などで形成するのが良
い。また、マイクロ波遮断層５を備えた中蓋５ａは、前
記ポリプロピレン樹脂などにアルミニウム等のマイクロ
波不透過性の金属の薄幕を被着、ラミネート、又は金属
蒸着などの手段により形成するのが良い。

【００１７】次に、上記のように構成される電子レンジ
用炊飯器の作用を説明する。

【００１８】まず、外蓋４を取り去り、内容器２に米１
０（例えば無洗米）を入れ、次に、炊飯水１１を注水す
る。しばらく注水すると、炊飯水１１は、通水孔８…か
ら空間部Ａに流入し、保温水１３として貯水される。そ
して、所定の水位目盛９まで注水した内容器２には、中
蓋５ａを炊飯水１１上に浮かべ、さらに、内容器２及び
外容器３の上面には、外蓋４を覆って容器を塞いでお
く。この時、外蓋４に穿設した蒸気抜け穴７は、外気と
連通するようにシール１２を剥がしておく。

【００１９】次に、上記の炊飯の準備を終えた電子レン
ジ用炊飯器１を、家庭用電子レンジの中に入れてマイク
ロ波を照射すると、炊飯水１１及び保温水１３は数分て
沸騰し、米１０の炊飯が行われる。すなわち、前記電子
レンジ用炊飯器１は、マイクロ波遮断層５が、内容器２
の上面を覆うように中蓋５ａとして設けられ、米１０及
び炊飯水１１が上方から加熱されないよう、つまり、内
容器２の下側部及び底部からの加熱が可能となるので、
炊飯水１１の対流が下から上に効率よく行われ、米１０
への均一な熱伝達が可能となる。特に、空間部Ａの保温
水１３は、内容器２を湯せんにするため、米１０への均
一な熱伝達を促進し、局部的な過熱による吹きこぼれを
防止できる。

【００２０】前記内容器２内の炊飯水１１及び通水孔８
より上方の保温水１３は、炊飯により米１０に吸水され
るとともに、水蒸気となって小孔６を経て蒸気抜け穴７
から排出される。そして、沸騰状態が一定時間継続し、
米１０の炊飯が完了すると、電子レンジを停止して蒸ら
し操作に移る。この蒸らし操作は、米粒表層部に付着し
ている水分が急激に米粒内に吸収され、水分分布を均一
にさせるために炊飯に欠くことのできない操作であり、
この期間は米粒を高温で保持することが好ましい。本実
施例の電子レンジ用炊飯器１は、内容器２内の米１０の
熱が、外部に直接放散せず、マイクロ波の照射によって
加熱された空間部Ａの保温水１３により長時間保温する
ことができるので、蒸らし操作を効果的に行って、美味
しい御飯を得ることがてきる。また、前記中蓋５ａは、
加熱による炊飯水１１の減少にともなって下降するの
で、炊飯水１１との間にすき間が形成されず、効果的に
マイクロ波を遮断する。

【００２１】図２は、本発明の別の実施例を示す断面図
である。この実施例では、マイクロ波遮断層５が、外蓋
４に備えられており、該外蓋４は、内容器２の上面側及
び側面側を覆うように、その周縁部１４を外容器３の外
周壁まで垂下させている。そして、該周縁部１４の端部
１６を水平方向に屈曲させて、外容器３の外周壁から水
平方向に延設した取っ手部１５と嵌合させる構成となっ
ている。

【００２２】次に、上記のように構成された電子レンジ
用炊飯器１を先の実施例と比較してその効果を説明す
る。先の実施例では、マイクロ波遮断層５を備えた中蓋
５ａが炊飯水１１上に浮かんでいるため、内容器２の上
面側のみがマイクロ波が不透過になるが、本実施例で
は、マイクロ波遮断層５を備えた外蓋４により、内容器
２の上面側及び側面側においてマイクロ波が不透過とな
るため、炊飯水１１に浸漬している米１０のみの加熱、
特に、内容器２の底部のみの加熱が行われるので、米１
０へのより均一な熱伝達が可能となる。

【００２３】また、先の実施例では、炊飯前に中蓋５ａ
を炊飯水１１上に浮かべて、炊飯が終了した喫食時に、
中蓋５ａを取り去る操作をするのであるが、本実施例で
は、中蓋５ａを設ける必要がない。

【００２４】

【発明の効果】本発明は以上説明したように、前記内容
器と前記外容器とにより形成される空間部に、前記炊飯
水の一部が前記内容器の保温水として流入するように、
前記内容器と外容器とを連通させる通水孔を前記内容器
に穿設したので、蒸らし操作の際に、内容器２内の米の
熱が、外部に直接放散せず、マイクロ波の照射によって
加熱された空間部Ａの保温水により長時間保温すること
ができるので、蒸らし効果を効果的に行って、美味しい
御飯を得ることができる。

【００２５】また、前記電子レンジ用炊飯器は、炊飯に
適した耐熱性を有するポリプロピレン樹脂などで形成さ
れるため、電子レンジの加熱に耐えることができ、しか
も、製造コストも安いので、使い捨てが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の電子レンジ用炊飯器の実施例を示す断
面図である。

【図２】本発明の電子レンジ用炊飯器の別の実施例を示
す断面図である。

【図３】従来の電子レンジ用炊飯器を示す断面図であ
る。

【図４】従来の電子レンジ用炊飯器を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 電子レンジ用炊飯器 ２ 内容器 ３ 外容器 ４ 外蓋 ５ マイクロ波遮断層 ５ａ 中蓋 ６ 小孔 ７ 蒸気抜け穴 ８ 通水孔 ９ 水位目盛 １０ 米 １１ 炊飯水 １２ シール １３ 保温水 １４ 周縁部 １５ 取っ手部 １６ 端部 Ａ 空間部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 米及び炊飯水を収容する内容器と、該内
   容器を間隙を介して収容する外容器と、この外容器と内
   容器とを塞ぐ外蓋とを備え、前記内容器の炊飯水を対流
   させるべくマイクロ波遮断層を設けた電子レンジ用炊飯
   器において、前記内容器と前記外容器とにより形成され
   る空間部に、前記炊飯水の一部が前記内容器の保温水と
   して流入するように、前記内容器と外容器とを連通させ
   る通水孔を前記内容器に穿設したことを特徴とする電子
   レンジ用炊飯器。