JPH084516B2 - 有機化合物の製造法 - Google Patents

有機化合物の製造法

Info

Publication number
JPH084516B2
JPH084516B2 JP62281131A JP28113187A JPH084516B2 JP H084516 B2 JPH084516 B2 JP H084516B2 JP 62281131 A JP62281131 A JP 62281131A JP 28113187 A JP28113187 A JP 28113187A JP H084516 B2 JPH084516 B2 JP H084516B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plasmid
reaction
pseudomonas
microorganism
stm
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP62281131A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH01124394A (ja
Inventor
清二 土井
弘毅 掘越
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idemitsu Kosan Co Ltd filed Critical Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority to JP62281131A priority Critical patent/JPH084516B2/ja
Publication of JPH01124394A publication Critical patent/JPH01124394A/ja
Publication of JPH084516B2 publication Critical patent/JPH084516B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は有機化合物の製造法に関し、詳しくは有機溶
媒に耐性を有する微生物を特定の有機化合物に作用させ
て有用な物質を生産する反応方法に関する。
[従来の技術] 従来、微生物を有機化合物と接触させて有用物質を生
産する方法としては、ノカルディア・エスピーをヘキサ
ンまたはヘキサデカンと接触させる例(R.L.Raymond(1
967),Appl.Microbiol.vol.15,p857〜865)、バクテリ
ウムJOB5をシクロペンタンまたはシクロヘキサンと接触
させる例(J.Ooyama,J.W.Foster(1965),Antonie−von
Leenwenlook,vol.31,p45〜65)、シュードモナス・エ
スピー,アクロモバクター・エスピー,ノカルディア・
エスピーをベンゼン,エチルベンゼン,トルエンまたは
キシレンと接触させる例(D.Cleus,N.Walkes(1964),
J.Gen.Microbial.,vol.36,p107〜122)などの多くの報
告がある。
しかし、炭化水素類は一般に微生物に対して強い毒性
を示すため、微生物をこれら化合物と接触させる場合、
これら化合物が微生物と直接接触しないように蒸気で供
給するか、あるいは毒性を示さない程度の低い濃度(0.
2%以下)に維持して行われる。そのため、炭化水素類
を基質として用いる醗酵においては、生産性が低く、し
かもこの基質を低濃度に制御することも容易でないた
め、操作上も問題があった。さらに、水難溶性物質を用
いる場合は、その物質の溶解度が低いために、微生物に
よる反応において生産性が低くなる欠点があった。
[発明が解決しようとする問題点] そこで本発明者らは、炭化水素類等の有機溶媒を高濃
度に含む培地においても生育可能な微生物、すなわち炭
化水素類等の有機溶媒に対して耐性を有する微生物を有
機化合物と接触させて有用物質を生産させる方法につい
て検討を重ね、本発明を完成するに至った。
[問題点を解決するための手段] すなわち本発明は、シュードモナス属に属し、脂肪族
炭化水素類,脂環式炭化水素類,芳香族炭化水素類,ア
ルコール類,エーテル類,ケトン類およびそれらの誘導
体のうちの1種もしくは2種以上の有機溶媒に耐性を有
する微生物に、遺伝子工学的手法により、炭化水素分解
性プラスミド,ベンゼン酸化酵素遺伝子およびβ−チロ
シナーゼ遺伝子より選ばれた外来遺伝子を導入して得ら
れた形質転換株を、前記微生物が耐性を有する有機溶媒
を少なくとも20%含む水との2相系において、有機化合
物と接触させることにより対応する有機化合物を得るこ
とを特徴とする有機化合物の製造法に関する。
シュードモナス属に属し、上記有機溶媒に耐性を有す
る微生物としては、シュードモナス・プチダ・バールST
M−603(FERM P−9228),シュードモナス・エスピーST
M−801(FERM P−9226),シュードモナス・エスピーST
M−904(FERM P−9227)およびこれら微生物に遺伝子工
学的手法によって遺伝子を導入して形質転換せしめた微
生物が挙げられる。シュードモナス・プチダ・バールST
M−603の菌学的性質は特願昭62−48662号明細書に詳し
く記載されており、本菌は、工業技術院微生物工業技術
研究所にFERM P−9228として寄託されている。また、シ
ュードモナス・エスピーSTM−801およびシュードモナス
・エスピーSTM−904の菌学的性質は特願昭62−48663号
明細書に詳しく記載されており、これらの菌株は工業技
術院微生物工業技術研究所にFERM P−9226,FERM P−922
7としてそれぞれ寄託されている。
本発明では、上記微生物のほかこれら微生物に遺伝子
工学的手法によって遺伝子を導入して形質転換せしめた
微生物も用いられる。このような形質転換株は、本発明
における反応の種類を考慮して作成される。ここで、反
応の種類としてはエポキシ化,水酸化,脱水素などの酸
化反応、アルデヒド還元,ケトン還元、水素化などの還
元反応、エステル,多糖類,ペプチドなどの加水分解
(トランスエステル化も含む)を行なう加水分解反応、
光学活性の異性化,立体異性化(シスートランス)など
の異性化反応、グリコシル基,アシル基,リン酸基等の
転移を行なう転移反応、C−C,C−O,C−N等の結合を脱
離させるリアーゼ(脱離)反応(たとえばβ−チロシナ
ーゼの逆反応を利用してC−Cの合成を行なうL−チロ
シンの合成反応)、C−C,C−O,C−N等の結合をもつ化
合物の合成を行なうリガーゼ(合成)反応等の各種反応
を挙げることができる。
したがって、形質転換株としては、上記反応を行なう
ために必要とされる遺伝子を遺伝子工学的手法によって
上記微生物に導入し、形質転換させることによって作成
される。たとえば上記微生物に対しナフタレン分解性プ
ラスミド、トルエン分解性プラスミド,カンファー・オ
クタン分解性プラスミドなどの炭化水素分解性プラスミ
ドやベンゼン酸化酵素遺伝子を通常のシュードモナス菌
用形質転換法(たとえばCurr.Top.Microbiol.Immunol.,
96,47,1981),接合伝達法,遺伝子組換え技術(たとえ
ばMolecular Cloning,Cold Spring Harber Laboratory
刊、1982年)等の手法を用いて導入して形質転換させ、
得られた微生物を酸化反応に利用したり、β−チロシナ
ーゼ遺伝子を遺伝子組換え技術によって上記微生物に導
入して形質転換させた微生物をリアーゼ反応に利用する
ことができる。さらには、ジアミノピメリン酸異性化酵
素に対応する遺伝子を含むDNA(たとえばJ.Bacteriol.,
169,(4),1454,1987に記載のプラスミドpDF3)より
適当な制限酵素で必須部分を切出し、その遺伝子断片の
両端を好適な制限酵素(たとえばEcoRI)で切断された
切り口に変換し、一方前述の有機溶媒耐性菌で安定に保
持されうるプラスミドベクター(たとえばRSF1010)を
上記遺伝子断片と同じ切り口となるように切断し、両遺
伝子断片を連結して作成した組換えプラスミドを導入し
て上記耐性菌を形質転換せしめたものを用いてmeso体ジ
アミノピメリン酸を生産する等の異性化反応に利用する
ことができる。
また、分岐鎖ケト酸脱水素酵素に対応する遺伝子を含
むプラスミド(たとえばJ.Bacteriol.,169,(4),161
9,1987に記載のプラスミドpSS1−1)を利用して上記の
如く耐性菌を形質転換させ、得られた形質転換株を用い
て分岐鎖ヒドロキシ酸を生産する等の還元方法に利用す
ることができる。同様に、γ−グルタミル−L−システ
ィン合成酵素(GSH−1)およびグルタチオン合成酵素
(GSH−2)に対応する遺伝子を含むDNA(たとえば「物
質生産のための遺伝子工学」、日本農芸化学会編集、朝
倉書店発行、1983年、185頁記載のプラスミドpBR325−g
shI′・II)を利用し、上記ジアミノピメリン酸の場合
と同様にして耐性菌中で安定に保持されうるプラスミド
ベクターに該遺伝子を組込み、上記耐性菌中に導入する
ことによりグルタチオン生産菌を育種し、これを用いて
グルタチオンを合成する等のリガーゼ反応に利用するこ
とができる。さらに、セリン−ヒドロキシメチル−トラ
ンスフェラーゼ(SHTase)に対応する遺伝子を含むDNA
(たとえば昭和60年度日本農芸化学会大会要旨集、第29
頁に記載のpBR322−glyA)を上記と同様の方法を用いて
耐性菌に導入してセリン生産菌を育種し、これを用いて
セリンを生産するなどの転移反応(ヒドロキシメチル基
の転移)に利用することができる。
なお、上記有機溶媒耐性菌をエステルの加水分解やト
ランスエステル化反応などの加水分解反応に用いること
ができる。さらには、有機溶媒に耐性を有するという特
性を利用し、上記微生物を醗酵生産、たとえば脂溶性ビ
タミン,脂溶性抗生物質,脂溶性ホルモン等の脂溶性物
質の製造に使用することも可能である。
上記の如く、本発明における反応は様々なものがある
が、微生物の生育の有無から反応を増殖系反応と休止菌
体反応に分けることが出来、前者はさらに複雑な代謝系
を経て有用物質が生産される醗酵生産と比較的単純な酵
素反応(系)を利用した変換反応に細分される。休止菌
体反応は専ら変換反応である。また、反応を反応媒質に
よって分類すると、緩衝液等の水を主体とする通常の反
応が行なわれる水系,水系と有機溶媒とが2相系をなし
た状態で反応が行われる2相系および有機溶媒中に可能
な範囲で水を含ませ、微生物の生存に必要な水分を確保
(脱水しない)して反応を行なう微水系があるが、本発
明では主に水と有機溶媒からなる2相系の反応系で行な
われる。
本発明において用いる微生物は、前記した如く、有機
溶媒の1種もしくは2種以上に耐性を有するものであ
り、特に2種以上の有機溶媒に対して耐性を示すシュー
ドモナス属の微生物はこれまでに知られていない。次
に、有機溶媒の具体例を示す。脂肪族炭化水素類として
はペンタン,ヘキサン,ヘプタン,オクタン,イソオク
タン,ノナン,デカン,1−または2−ヘキセン,1−オク
テン,1−ドデセン,1,3−ペンタジエン,1,5−ヘキサジエ
ン,1,7−オクタジエン等が、脂環式炭化水素類としては
シクロペンタン,シクロヘキサン,メチルシクロペンタ
ン,メチルシクロヘキサン等が、芳香族炭化水素類とし
てはトルエン,キシレン,スチレン、エチルベンゼン,
クロロベンゼン等が、アルコール類としては1−ヘプタ
ノール,1−オクタノール,1−デカノール等が、エーテル
類としてはn−ヘキシルエーテル,n−ブチルフェニルエ
ーテル,ジフェニルエーテル,ジベンジルエーテル,メ
トキシトルエン等が、ケトン類としては2−ペンタノ
ン,2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン
等がそれぞれ挙げられる。
次に、前記微生物と接触させる有機化合物としては、
水溶性、脂溶性の区別なく様々のものを使用でき、たと
えば前記した脂肪族炭化水素類などの各種有機化合物や
ピルビン酸,乳酸,フマル酸などの有機酸、酢酸エチ
ル,酢酸ブチル,酢酸オクチルなどのエステル類、さら
には糖類,アミノ酸類,核酸類,ステロイド類,テルペ
ノイド類およびその他の窒素化合物や硫黄化合物等を挙
げることができる。なお、たとえばL−チロシンを生産
する場合の如く、有機化合物のほかにアンモニア,その
他の無機化合物を適宜加える場合もある。本発明の方法
により生産される有機化合物の具体例としては、エポキ
シテトラデカン,エポキシオクタン,インジゴ,カテコ
ールおよびチロシンを挙げることができる。
本発明の方法に使用する微生物を培養するために用い
る培地としては、該微生物が十分に増殖しうるものであ
ればよく、通常は炭素源としてグルコース,シュークロ
ース,キシロース,澱粉,澱粉加水分解物などの糖類、
メタノール,エタノールなどのアルコール類、ベンゼ
ン,トルエン,キシレンなどの炭化水素類、コハク酸,
サリチル酸,トルイル酸などの有機酸類等があり、窒素
源としては肉エキス,ペプトン,酵母エキス,乾燥酵
母,コーンスティープリカー,カザミノ酸,尿素,塩化
アンモニウム,硝酸アンモニウム,硝酸ナトリウム,硫
酸アンモニウム等がある。その他にリン酸塩,マグネシ
ウム塩,カルシウム塩,鉄塩,カリウム塩,銅塩,マン
ガン塩などの無機塩類を適宜加える。
反応を増殖系で行なう場合は、上記培地に微生物を培
養する際または培養中に前述の有機化合物を1回もしく
は数回に分割して加える。また、休止菌体反応の場合
は、上記培地に微生物を培養した培養液をそのまま、も
しくは遠心分離等の操作により固液分離して得た微生
物、あるいは該微生物を適当な緩衝液等で洗浄したり、
微生物を常法により破砕処理したもの等を使用して前記
有機化合物と接触させる。なお、反応を2相系で行なう
場合、前述した有機溶媒を使用すればよく、反応系が2
相を形成する範囲で有機溶媒が添加されればよい。ま
た、有機溶媒が培地成分として含まれているときは、そ
れを充当することもできる。
培養は好気的条件下、pH4〜10、好ましくは6〜8、
温度10〜50℃、好ましくは20〜40℃にて行なう。また、
反応は好気または嫌気的条件下、pH2〜11、好ましくは
4〜10、温度5〜90℃、好ましくは20〜50℃にて目的と
する反応が十分に行なわれるまで行なう。
[実施例] 次に、本発明を実施例により詳しく説明する。なお、
実施例に用いた形質転換微生物は以下の方法により作成
した。
作成例1 ナフタレン分解性プラスミド(NAH)を保持するシュ
ードモナス・プチダPpG1064(trp-)(Proc.Natl.Acad.
Sci.U.S.A.,79,874,1982)を10mlのLB培地(1%Bacto
−tryptone,0.5%Bacto−Yeastextract,0.5%NaCl)に
接種し、30℃で4時間静置培養を行なった。これにシュ
ードモナス・プチダ・バールSTM−603(FERM P−9228)
を上記と同じ培地で振とう培養して得た培養液10mlを加
え、緩やかに混合後、その4mlをとり、ミリポアフィル
ター(孔径0.45μm)を通すことによりフィルター上に
菌体を捕集した。このフィルターをLB−寒天平板培地
(寒天2%含有)上にのせ、30℃で12時間培養した。
培養後、フィルター上の菌体を滅菌水10mlに懸濁し、
合成培地−寒天平板培地上に塗布した後、ナフタレン蒸
気雰囲気下で培養を行なった。2日後、生じたコロニー
を100mgのナフタレンを添加した合成培地(組成は下記
のとおり)10mlに接種し、さらにトルエン5mlを添加し
て30℃で24時間培養したところ、明らかに生育が認めら
れた。一方、上記培地にさらにトリプトファン20mg/lを
添加した培地でシュードモナス・プチダPpG1064(tr
p-)株およびシュードモナス・プチダ・バールSTM−603
株の培養を行なったが、いずれも生育しなかった。この
ことから、シュードモナス・プチダ・バールSTM−603株
が接合伝達によってNAHプラスミドを獲得したため、ナ
フタレンの資化能が発現し、上記培地で生育したことが
明らかである。なお、シュードモナス・プチダ・バール
STM−603株はナフタレン資化能を保有しないため、また
シュードモナス・プチダPpG1064(trp-)株はトルエン
耐性がないため、いずれも上記条件下では生育しなかっ
たものと考えられる。
合成培地組成 NH4Cl 5 g KH2PO4 1 g Na2HPO4・12H2O 3 g MgSO4・2H2O 0.2 g CaCl2・2H2O 0.05g 脱イオン水 1 pH 7.0 このようにして得られたNAHプラスミド保有シュード
モナス・プチダ・バールSTM−603株を以後シュードモナ
ス・プチダ・バールSTM−603(NAH)と記す。
作成例2 カンファーおよびオクタン分解性プラスミド(CAM−O
CT)を保持するシュードモナス・プチダAC59(trp-
(J.Ferment.Technol.,58,(3),175,1980)をプラス
ミド供与体として用い、作成例1と同様の方法で接合伝
達実験を行ない、カンファー蒸気雰囲気下で合成培地−
寒天平板培地上にコロニーを形成させた。
このコロニーを100mgのカンファーを添加した合成培
地(前記した)10mlに接種し、さらにトルエン5mlを添
加して30℃で24時間培養したところ、明らかに生育が認
められた。一方、上記培地にさらにトリプトファン20mg
/lを添加した培地でシュードモナス・プチダAC59(tr
p-)株およびシュードモナス・プチダ・バールSTM−603
株の培養を行なったが、いずれも生育しなかった。この
ことから、シュードモナス・プチダ・バールSTM−603株
は接合伝達によってCAM−OCTプラスミドを獲得したこと
が明らかである。このようにして得られたCAM−OCTプラ
スミドを保有するシュードモナス・プチダ・バールSTM
−603株を以後シュードモナス・プチダ・バールSTM−60
3(CAM−OCT)と記す。
作成例3 トルエン分解性プラスミド(TOL)を保持するシュー
ドモナス・プチダmt−2株(ATCC 23973)をプラスミ
ド供与体として用い、作成例1と同様の方法で接合伝達
実験を行ない、トルエン蒸気雰囲気下で合成培地−寒天
平板培地上にコロニーを形成させた。
このコロニーを100μlのトルエンを添加した合成培
地(前記した)10mlに接種し、さらにシクロヘキサン5m
lを添加して30℃で24時間培養したところ、明らかに生
育が認められた。
このようにして得られたTOLプラスミドを保有するシ
ュードモナス・プチダ・バールSTM−603株を以後シュー
ドモナス・プチダ・バールSTM−603(TOL)と記す。
作成例4 ベンゼオキシゲナーゼ遺伝子およびベンゼングリコー
ル脱水素酵素遺伝子が広宿主域プラスミドRSF1010に組
込まれたプラスミドpGR109(Agric.Biol.Chem.,51
(6),1489,1987)を用いて通常のシュードモナス菌用
形質転換法(たとえばCurr.Top.Microbiol.Immunol.,9
6,47,1981)にてシュードモナス・プチダ・バールSTM−
603株(FERM P−9228)の形質転換を行なった。
ストレプトマイシン500μg/mlを含有するLB培地に生
育した菌体よりプラスミドを分離し、アガロースゲル電
気泳動法にてプラスミドpGR109を保持するシュードモナ
ス・プチダ・バールSTM−603株であることを確認した。
なお、このときのプラスミド分離法および電気泳動法は
常法(たとえばMolecular Cloning,Cold Spring Harber
Laboratory刊、1982年)に従った。
作成例5 β−チロシナーゼ遺伝子が大腸菌用ベクターpBR325に
組込まれたプラスミドpSI2074(特願昭61−101120号明
細書参照)2μgを制限酵素EcoRIにより部分切断(37
℃,2分間)した。
一方、広宿主域ベクターとして一般的に使用されるプ
ラスミドRSF1010の2μgを制限酵素EcoRIにて完全に切
断(37℃,2分間)した後、ベクターの自己閉環を防止す
るため、アルカリフォスファターゼ処理を行なった。
上記2種の切断DNAを混合し、T4−DNAリガーゼにて連
結反応(4℃,24時間)を行なった。この反応液を用い
て大腸菌C600株に対して形質転換を行ない、ストレプト
マイシン50μg/l,L−チロシン2mg/mlを含有するLB−寒
天平板培地上にコロニーを得た。これらのコロニーの中
からL−チロシンを分解してコロニーの周辺に透明な領
域(クリアーゾーン)を形成するコロニーを選択し、プ
ラスミドDNAを抽出後、制限酵素解析を行ない、第1図
に示したハイブリッドプラスミドRSF2074を保持する1
株を得た。
このようにして得られたプラスミドRSF2074を用い、
シュードモナス・プチダ・バールSTR−603株(FERM P−
9228)を作成例4と同様にして形質転換し、シュードモ
ナス・プチダ・バールSTM−603株(RSF2074)株を得
た。
実施例1 作成例3で作成したシュードモナス・プチダ・バール
STM−603(TOL)株を4g/lのm−トルイル酸を炭素源と
して含有する合成培地20mlに接種した。同時にテトラデ
セン200μl,ヘキサン5mlを添加し、30℃で20時間培養を
行ないエポキシ化反応を実施した。
除菌後の培養終了液中のエポキシテトラデカンをガス
クロマトグラフィー(FID検出,カラム:シリコンGE−S
E30、ガスクロ工業株式会社製)で測定したところ、ヘ
キサン相中にエポキシテトラデカンが80mg/l生産されて
いた。
実施例2 作成例1で作成したシュードモナス・プチダ・バール
STM−603(NAH)株を4g/lのサリチル酸を炭素源として
含有する合成培地20mlに接種し、同時にテトラデセン20
0μl,トルエン5mlを添加し、30℃で20時間培養を行ない
エポキシ化反応を実施した。
除菌後の培養終了液について実施例1と同様の分析を
行なった結果、トルエン相中にエポキシテトラデカンが
50mg/l生産されていた。
このことは微生物の生育を阻止しない溶媒の添加系に
おいて、微生物を生育させながら物質生産が可能である
ことを示している。
実施例3 作成例1,2および3で作成したシュードモナス・プチ
ダ・バールSTM−603(NAH),シュードモナス・プチダ
・バールSTM−603(CAM−OCT),シュードモナス・プチ
ダ・バールSTM−603(TOL)をそれぞれ4g/lのサリチル
酸,カンファー,m−トルイル酸を炭素源として含む合成
培地100mlに接種し、30℃で20時間培養した。培養終了
液より遠心分離機にて集菌し、50mM−リン酸緩衝液(pH
7.0)で洗浄後、菌濃度を分光光度計(波長550nm)での
濁度が10になるように同一緩衝液に懸濁した。この懸濁
液1mlにヘキサンとシクロヘキサンの混合液(1:1)を1m
l,エタノール5μl,反応基質としてオクテンまたはテト
ラデセンを10μl添加し、30℃にて休止菌体反応を実施
した。20時間反応後、溶媒中のエポキシオクタン,エポ
キシテトラデカンの生成量をガスクロマトグラフィーに
て定量したところ、第1表に示す結果を得た。なお、水
相中には生産物は検出されなかった。
実施例4 シュードモナス・プチダ・バールSTM−603(TOL)株
を用い、反応系に添加する溶媒をトルエン,キシレン,
エチルベンゼン,ジクロルベンゼン,n−ヘプタノール,n
−オクタノールを用い、反応基質をテトラデセンとした
他は実施例3と同一条件で反応を行なった。溶媒中に生
成したエポキシテトラデカンの測定値を第2表に示す。
実施例5 炭素源としてサリチル酸4g/lを含む合成培地100mlに
シュードモナス・プチダ・バールSTM−603(NAH)株を
接種し、30℃で20時間培養した。培養終了液より集菌
し、洗浄した後、菌濃度が分光光度計(波長550nm)で
の濁度が10になるように50mM−リン酸緩衝液(pH7.0)
に懸濁した。この懸濁液1mlにインドール10mg,エタノー
ル5μlおよびクロロホルム1mlを添加し、30℃にて振
とうしながら休止菌体反応を実施した。20時間後、反応
液を遠心分離により菌体沈澱物,水相およびクロロホル
ム相に分けたところ、クロロホルム相のみが生成したイ
ンジゴにより青色を呈していた。このクロロホルム中相
のインジゴ含有量を分光光度計(波長600nm)での吸光
度を指標として定量したところ、280mg/lであった。
実施例6 作成例4で得たシュードモナス・プチダ・バールSTM
−603(pGR109)をコハク酸4g/lおよびストレプトマイ
シン100μg/mlを含有する合成培地で30℃,20時間振とう
培養後、遠心分離を行なって集菌した。菌体を50mMリン
酸緩衝液(pH7.0)で洗浄後、分光光度計(波長550nm)
での濁度が10になるように懸濁し、その1mlに対して5
μlのベンゼンを含有させたヘキサン1mlを添加して反
応を開始した。30℃で20時間振とう反応を行なった後、
水相中の生成カテコール量をアミノアンチピリン法(Bi
ochem.J.,73,16,1959)で測定したところ、25mg/lのカ
テコール生成を確認した。
実施例7 作成例5で得たシュードモナス・プチダ・バールSTM
−603(RSF2074)をストレプトマイシン100μg/lを含有
するLB培地(10ml)で30℃,20時間振とう培養後、遠心
分離を行なって集菌した。菌体を生理食塩水にて洗浄
後、10mlの反応液(ピルビン酸10g/l,酢酸アンモニウム
5g/l,EDTA1g/l,亜硫酸ソーダ2g/l,pH8.0)に懸濁し、さ
らにフェノール100mgを含有するクロロホルム3mlを添加
して30℃にて反応を開始した。2時間後の反応液の水相
の一部をとり、シリカゲル薄層クロマトグラフ上にスポ
ットし、ブタノール:酢酸:水=4:2:1の溶媒で展開さ
せ、ニンヒドリン溶液を噴霧して発色させた。その結
果、標準チロシンと同一のRf値に明瞭な発色域が存在す
ることを確認した。
[発明の効果] 本発明にしたがい有機溶媒耐性菌を使用して様々な態
様で反応を行うことにより有用物質を効率よく生産する
ことができる。そのため、本発明は化成品,医薬,農薬
等の製造に有用である。
【図面の簡単な説明】
第1図はプラスミドRSF2074の構築法を示したフローチ
ャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 17/10 7432−4B // C12N 15/09 (C12P 17/02 C12R 1:40) (C12P 7/22 C12R 1:40) (C12P 13/22 C12R 1:40) (C12P 17/10 C12R 1:40) (C12N 15/09 C12R 1:40) C12R 1:40)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シュードモナス属に属し、脂肪族炭化水素
    類,脂環式炭化水素類,芳香族炭化水素類,アルコール
    類,エーテル類,ケトン類およびそれらの誘導体のうち
    の1種もしくは2種以上の有機溶媒に耐性を有する微生
    物に、遺伝子工学的手法により、炭化水素分解性プラス
    ミド,ベンゼン酸化酵素遺伝子およびβ−チロシナーゼ
    遺伝子より選ばれた外来遺伝子を導入して得られた形質
    転換株を、前記微生物が耐性を有する有機溶媒を少なく
    とも20%含む水との2相系において、有機化合物と接触
    させることにより対応する有機化合物を得ることを特徴
    とする有機化合物の製造法。
  2. 【請求項2】シュードモナス属に属する微生物が、シュ
    ードモナス・プチダである特許請求の範囲第1項記載の
    方法。
  3. 【請求項3】シュードモナス・プチダが、シュードモナ
    ス・プチダ・バールSTM−603(FERM P−9228)である特
    許請求の範囲第2項記載の方法。
  4. 【請求項4】炭化水素分解性プラスミドが、ナフタレン
    分解性プラスミド,トルエン分解性プラスミドおよびカ
    ンファー・オクタン分解性プラスミドのいずれかである
    特許請求の範囲第1項記載の方法。
JP62281131A 1987-11-09 1987-11-09 有機化合物の製造法 Expired - Lifetime JPH084516B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62281131A JPH084516B2 (ja) 1987-11-09 1987-11-09 有機化合物の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62281131A JPH084516B2 (ja) 1987-11-09 1987-11-09 有機化合物の製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH01124394A JPH01124394A (ja) 1989-05-17
JPH084516B2 true JPH084516B2 (ja) 1996-01-24

Family

ID=17634798

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP62281131A Expired - Lifetime JPH084516B2 (ja) 1987-11-09 1987-11-09 有機化合物の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH084516B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6112639A (en) * 1995-12-18 2000-09-05 Kabushiki Kaisha Toyoda Jidoshokki Seisakusho Structure for collecting leaking oil in compressor

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4349633A (en) 1980-11-10 1982-09-14 Worne Howard E Process of microbial extraction of hydrocarbons from oil sands

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4452894A (en) * 1981-10-09 1984-06-05 Microlife Genetics, Inc. Pseudomonas compositions

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4349633A (en) 1980-11-10 1982-09-14 Worne Howard E Process of microbial extraction of hydrocarbons from oil sands

Also Published As

Publication number Publication date
JPH01124394A (ja) 1989-05-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2729044B2 (ja) 立体選択的に加水分解する微生物エステラーゼ及びその利用
EP0606899B1 (en) Processes for production of optically active 4-halo-3-hydroxybutyric acid esters
JP2623345B2 (ja) 光学活性なα―置換有機酸の製造方法
JPH084515B2 (ja) 有機化合物の製造方法
EP0299558B1 (en) Process for the preparation of ibuprofen
FR2641285A1 (fr) Gene de la glucose-6-phosphate deshydrogenase, plasmide et microorganisme le contenant et procede de preparation de la glucose-6-phosphate deshydrogenase
EP0693557A2 (en) Method of producing fumaric acid
JPH084516B2 (ja) 有機化合物の製造法
JPS61247396A (ja) ゲニステインの製造法
JP3146640B2 (ja) ベンゾイルギ酸の製造方法
JP3459331B2 (ja) 分岐シクロデキストリンカルボン酸の製造法
JP3055711B2 (ja) 光学活性(s)−3−フェニル−1,3−プロパンジオールの製造法
JP2928797B2 (ja) p―キシレン耐性コリネバクテリウム属細菌及びこれを用いる反応方法
JP3011472B2 (ja) 酵素法によるインジゴの製造法
JP3413294B2 (ja) 2,5−ジヒドロキシピリジンの製造法および2,5−ジヒドロキシピリジン生産菌
JPH0515387A (ja) 細菌によるアルギン酸の分解法
JP3926914B2 (ja) 3,4−ジヒドロキシ安息香酸の製造法
JP4269416B2 (ja) α−ハロ−α,β−飽和カルボニル化合物の製造方法
JP3809472B2 (ja) 改変シクロデキストリン合成酵素及びその製造法並びに該酵素を用いたシクロデキストリンの製造法
JP3272416B2 (ja) 新規サイクロデキストリン・グルカノトランスフェラーゼ、その製造法及び該酵素を用いるサイクロデキストリンの製造法
JP2588707B2 (ja) サルコシン・オキシダーゼの製造法
JPS6296095A (ja) 酵素によるアセトアミド桂皮酸のl−フエニルアラニンへの転化方法
EP0179789A1 (en) Method of production of quinoproteins
JP2002017387A (ja) インドール誘導体の製造法
JPS61205498A (ja) 軸性不斉化合物の製造方法