JPH0842362A - 進角タイミングピストン用マウント - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スリーブと進角タイミングピストンとの間の
熱膨張の差による、及び摺動に起因する磨耗による、燃
料の過渡の漏出を防止する。 【解決手段】 進角タイミングピストン１９用のマウン
トは、スリーブ２２を備え、該スリーブ２２は、半径方
向外側に延出してポンプハウジングと係合することによ
りスリーブ２２をポンプハウジングに固定するように構
成された、フランジ２６，３０を有する。スリーブ２２
は、ポンプハウジングに設けた通路内に形成されてい
る。例えば、ねじ係合により或いはボルトを用いて、１
枚以上のフランジ３０をスリーブ２２に固定可能であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ディーゼル内燃機
関の各シリンダに燃料を分与するためのディストリビュ
ータポンプの進角タイミングピストン用のマウント装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のディーゼル機関のディストリビュ
ータポンプは、一般に、対応機関と同期して回転するよ
うに構成された回転可能なディストリビュータ部材を備
えている。ディストリビュータ部材は、流入口及び送出
口を有するスリーブ内で回転し、また、その回転時にス
リーブの各ポートと連通するように構成された通路を有
する。ディストリビュータ部材は、その内表面に複数の
カムローブを備えたカムリング内で回転する端部領域を
有し、この端部領域は複数の半径方向に延びる内腔を備
えている。各内腔にはプランジャが設けられて往復動作
を行うように構成され、各プランジャの外側端部は、デ
ィストリビュータ部材の回転時にカムリングのカムロー
ブと係合するローラを収容するシューを備えている。

【０００３】使用時に、燃料は、流入口に供給され、こ
の流入口がディストリビュータ部材の対応する通路と整
合すると更に流入口からディストリビュータ部材の内腔
へと供給される。ディストリビュータ部材が回転して流
入口との連通を遮断すると、カムローブと係合している
ローラがプランジャを内腔内に押し込んで燃料をディス
トリビュータ部材から、この段階までにディストリビュ
ータの対応する通路と整合した送出口を通って押し出
す。

【０００４】ディストリビュータ部材、スリーブ及びカ
ムリングは、ディストリビュータ部材とカムリングの軸
線に対して直角に延びる内腔即ち通路を含むハウジング
内に位置決めされており、この内腔内に流体圧作動の進
角タイミングピストンが収容されている。燃料を機関の
シリンダに送出するタイミングを調節するために、カム
リングの角度は調節可能であり、カムリングの移動は、
カムリングに固定されたペグが進角タイミングピストン
と係合する結果生じる。タイミングを変える必要がある
場合、ピストンに加わる燃料圧力を変化させ、ピストン
の動作をカムリングに伝達する。かかる動作により、カ
ムローブの位置を調節し、従ってローラがカムローブと
係合してプランジャを内側に移動させるタイミングを調
節する。

【０００５】別の型のディストリビュータポンプでは、
回転ディストリビュータ部材は、軸方向にも移動可能で
あり、ポンプのポンピング要素を形成する。ディストリ
ビュータ部材は、カムローブを有する正面カムを備え、
カムローブはローラと共働してディストリビュータ部材
をポンピング方向に移動させる。戻り動作はばねにより
行う。各ローラは、燃料送出のタイミングを変化させる
ためにディストリビュータ部材の回転軸線を中心に角度
を調節可能な、保持器内に取り付けられる。保持器の角
度設定は、進角タイミングピストンにより行われる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ポンプは、一般に非鉄
ハウジング、例えばアルミニウム製ハウジングを備えて
いるが、係るポンプの一つの欠点は、内腔をハウジング
内に形成した場合、内腔の磨耗により及びハウジングと
進角タイミングピストンとの間の熱膨張の差により、過
渡の漏出が生じる可能性があることである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、スリー
ブ内に進角タイミングピストンを収容すると共に、この
スリーブをポンプのハウジングに固定するための半径方
向外側に延びるフランジをスリーブに設けた、進角タイ
ミングピストン用のマウントが提供される。

【０００８】フランジの一方をスリーブと一体にし、他
方のフランジをスリーブに固定するるように構成しても
よく、好ましくはスリーブと非一体型フランジにはフラ
ンジをスリーブに固定するために互いに係合するねじ部
を設ける。

【０００９】また、両方のフランジをスリーブに固定可
能としてもよく、この場合フランジには、ポンプハウジ
ングのねじ孔に螺合するボルトを挿通する孔を設ける。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、同一部分を同一の参照符号
で示した添付図面を参照して、本発明を例示的に且つ詳
細に説明する。

【００１１】図１を参照すると、ポンプは本体部１を備
え、本体部１内には、回転式の円筒状ディストリビュー
タ部材２が取り付けられている。ディストリビュータ部
材２の一方の端部には、内腔内に取り付けられるヘッド
３と、一対の往復動可能なポンピングプランジャ９とが
形成されている。一対のポンピングプランジャ９は、デ
ィストリビュータ部材２を取り囲む環状のカムリング１
５の内周面から半径方向内側に突出する複数のカムロー
ブの作用によりディストリビュータ部材２が回転すると
き、内側に移動するように構成されている。ディストリ
ビュータ部材２内にはまた、半径方向外側に延びる送出
路１７とある位置で連通する長手方向内腔１０が形成さ
れている。送出路１７は、ディストリビュータ部材２が
回転すると、対応機関にそれぞれ取り付けられた噴射ノ
ズルに使用時に接続される複数の流出口１８と整合する
ように構成されている。

【００１２】別の位置で長手方向内腔１０は、等角度に
配設されてディストリビュータ部材２が回転すると本体
部１内に形成された流入口１２と整合する、複数の半径
方向に延びる流入路１１と連通する。流入路１１と流入
口１２との間の連通は、複数のカムローブにより一対の
プランジャ９が外側に移動する間に生じ、送出路１７と
流出口１８との間の連通は、複数のカムローブの作用に
より一対のプランジャ９が内側に移動する前に行われ
る。尚、一対のプランジャ９はそれぞれの外側端部で、
ローラを支持するシューと係合し、各ローラの軸線はデ
ィストリビュータ部材２の回転軸線と平行に配設されて
いる。

【００１３】ディストリビュータ部材２の、プランジャ
９を収容した内腔と反対側の端部には、本体部内に入口
６と出口７とを有するベーン型フィードポンプ５のロー
タが取り付けられている。フィードポンプ５の入口６は
使用時に液体燃料源に接続され、入口６と出口７とは弁
８を介して相互に接続されている。弁８は、装置の被駆
動速度に応じて変動するように、フィードポンプ５の出
力圧を調節する。ディストリビュータ部材２は機関によ
り駆動されるので、フィードポンプ５の出力圧も機関速
度に依存し、フィードポンプ５の出口７は、調節可能な
スロットル弁１４を介して前記流入口１２と連通する。
スロットル弁１４により、一対のプランジャ９が外側に
移動している間に流入口１２を通る燃料の量を変動させ
ることができる。スロットル弁１４は、角度調節可能な
円筒状部材から成り、その設定の調節は、調速器（図示
せず）により行う。カムリング１５の角度は、燃料を機
関に送出するタイミングを変えるために、本体部内で調
節可能である。カムリング１５は、スリーブ２２内に取
り付けられた流体圧作動の進角タイミングピストン１９
に接続され、スリーブ２２は、カムリング１５に対して
接線方向に配設された円筒状の内腔２０内に位置決めさ
れている。進角タイミングピストン１９は、圧縮コイル
ばねからなる戻しばね４４により遅延位置の方に付勢さ
れ、通路４０は、ピストン１９の位置がフィードポンプ
５の出口圧力に依存するように、フィードポンプ５の出
口７を内腔２０に接続している。

【００１４】図２に示したスリーブ２２はスチール管２
４から成り、該スチール管２４の一方の端部は一体フラ
ンジ２６により閉鎖される。一体フランジ２６は、スチ
ール管２４の端部を閉鎖すると共に管の半径方向外側に
延出している。一体フランジ２６は６角形の横断面を有
し、一体フランジ２６の平坦な側面の一つは、スリーブ
２２を正確に位置決めするためにハウジングの隆起部２
８と係合するように構成されている。スチール管２４の
開放端部には、ハウジングから突出するおねじ部が形成
されている。めねじナット３０は、スチール管２４のお
ねじ部と係合するように構成され、めねじナット３０は
内腔から半径方向外側に延出している。スチール管２４
へのめねじナット３０の締め付けを容易にするために、
めねじナット３０は、スパナ又は他の適当な工具が係合
する６角形の横断面部を有する。

【００１５】スチール管２４の中心部には開口部が形成
され、使用時にはこの開口部からカムリング１５のペグ
３４が嵌挿される。

【００１６】スチール管２４は、ペグ３４が係合する凹
部３２を有する進角タイミングピストン１９を収容す
る。スチール管２４は、進角タイミングピストン１９と
一体フランジ２６との間に開口部３８を備えている。開
口部３８はハウジング内に設けた通路４０と連通してお
り、フィードポンプ５の出口７からスリーブ２２まで加
圧燃料を搬送し、進角タイミングピストン１９を移動し
てカム４リング１５の位置を調整するようにしている。
スリーブ２２の一体フランジ２６から遠い方の進角タイ
ミングピストン１９の端部には、戻しばね４４の一方の
端部を収容して軸方向に延びる円筒状の内腔４２が形成
されている。戻しばね４４の他方の端部は、中空の円筒
状部材４６の内側に延びるフランジと当接し、円筒状部
材４６はナット３０の内表面と当接している。戻しばね
４４を収容するスリーブ２２の部分は、低燃料圧力下で
ハウジングの内側の一部と連通するように構成されてい
る。

【００１７】通路４０内の燃料圧力はフィードポンプ５
の作動速度に依存し従って機関速度に依存するので、機
関速度が増加すると、開口部３８から進角タイミングピ
ストン１９に高圧燃料が付与され、図２に示したように
進角タイミングピストン１９を左側に押す。このような
動作により、カムリング１５の位置を調節して燃料を機
関に送出するタイミングを早めると共に、戻しばね４４
を圧縮する。進角タイミングピストン１９の左側への移
動は、ピストン１９の端部が円筒状部材４６と係合する
ことにより、規制される。

【００１８】機関速度を低下させると、通路４０内の圧
力は減少し、戻しばね４４の作用によりピストン１９が
右側に移動してカムリングを反時計方向に移動させ、機
関への燃料の送出タイミングを遅らせる。

【００１９】スリーブ２２とハウジングとの間でポンプ
から燃料が漏出するのを防ぐために適当なシール４８を
設け、また、ハウジングに対してナット３０を封止する
ためにシーラント５０を設ける。

【００２０】図３に示した実施形態は、図２に示した実
施形態と類似しているが、燃料を進角タイミングピスト
ン１９に付与するための開口部３８の代わりに、ハウジ
ングとスチール管３４との間に環状の通路５２が設けら
れ、進角タイミングピストン１９内には燃料を衝撃弁５
６に供給するためのポート５４が設けられている。使用
時にはローラがカムローブ２６と接触すると、大きな力
がカムリング１５に加わり、ディストリビュータ部材の
回転方向である反時計方向にカムリング１５を移動させ
る。衝撃弁５６は実際には、ローラがカムローブ２６と
接触する際に極めて高い圧力がピストン１９に加わると
閉じる、逆止弁であり、これにより、ピストン１９が右
側へ移動するのを実質的に防いでいる。衝撃弁５６と平
行に、小型のドレン５８が設けられ、漏出と共に燃料圧
力が低下したとき進角タイミングピストン１９を含むス
チール管２４から燃料を流出させるようにしている。燃
料圧力が低下すると、進角タイミングピストン１９は、
戻しばね４４の作用により右側に移動する。

【００２１】図４、図５、及び図７に示したスリーブ
は、それぞれ、スチール管６０から成り、スチール管６
０の両端部は、使用時に一対のスチールディスク（又は
矩形プレート）６２，６４により閉鎖される。一対のデ
ィスク６２，６４は、それぞれ、ハウジングのねじ孔と
係合可能なボルト６６を挿通するための複数の孔を有す
る。従って、ディスク６２，６４は、スチール管６０の
両端部と係合し、また、ハウジングの内腔より大きいの
で、組み立て時にスチール管６０が内腔から外れるのを
防いでいる。

【００２２】図５及び図７の実施形態では、スチール管
６０をディスク６２、６４と整合させるためにダボ又は
ピン７０が設けられ、これにより、カムリング１５のペ
グ３４を進角タイミングピストン１９に係合せしめるハ
ウジングの開口部と整合した開口部７２に対して、スチ
ール管６０を正確に位置決めしている。

【００２３】各実施形態では、燃料がポンプから漏出す
るのを防ぐために、適当なシール４８を設けている。

【００２４】図６は、スリーブ２２が、外側に延出して
ハウジングの外表面と係合するように構成されたフラン
ジ７６を一方の端部に有する管７４から成り、使用時に
管７４がスチールディスク７８により閉鎖される実施形
態を示す。内腔の他方の端部は第二のスチールディスク
８０により閉鎖され、一方の端部を一体壁で閉鎖した中
空円筒状部材８２が、第二のディスク８０により内腔内
に固定されている。また、必要に応じて、ディスク８０
と中空円筒状部材８２とを互いに一体としてもよい。ス
リーブ２２を所定の位置に確保するために、スチールデ
ィスク７８，８０及び外側に延出するフランジ７６に、
ハウジング内のねじ孔と係合するボルト８４を挿通する
複数の孔を設けてもよい。

【００２５】また、他の実施形態のように進角タイミン
グピストン１９を右側に戻すために、圧縮コイルばねか
らなる戻しばねを配設している。

【００２６】図４乃至図７に示した実施形態は、それぞ
れ、第二の実施形態の衝撃弁５６とドレン５８とを有す
る。必要に応じて、弁５６とドレン５８を省略してもよ
く、或いは燃料をハウジングからスリーブに搬送するハ
ウジング通路内に同様の弁を設けてもよい。更に、弁５
６及びドレン５８を図２の実施形態に設けてもよい。

【００２７】各実施形態において、スリーブ２２及び進
角タイミングピストン１９はいずれも、スチールその他
の鉄を含む材料から構成されている。従って、ピストン
１９とスリーブ２２とが同様の温度上昇に晒された場
合、ピストン１９とスリーブ２２は略等しい熱膨張率を
有するので、熱膨張によりピストン１９とスリーブ２２
との間の隙間が著しく増大することはない。温度変化に
対して略一定の隙間を維持することにより、ピストン１
９とスリーブ２２との間から逃げる燃料の量を減少する
ことができる。更に、硬度が同じ材料を使用したので、
従来の構成と比較して摺動による磨耗が減少する。

【００２８】

【発明の効果】本発明によれば、スリーブと進角タイミ
ングピストンに熱膨脹があっても、これらの隙間が一定
に維持されるので、燃料の過度の漏出がない。また、ス
リーブと進角タイミングピストンとの摺動による磨耗が
少ないので、磨耗による燃料の漏出が防止される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第一の実施形態に係るマウント装置を
含むディストリビュータポンプの断面図。

【図２】図１のディストリビュータポンプの部分断面
図。

【図３】第二の実施形態に係る、図２と同様の図。

【図４】第三の実施形態に係る、図２と同様の図。

【図５】第四の実施形態に係る、図２と同様の図。

【図６】第五の実施形態に係る、図２と同様の図。

【図７】第六の実施形態に係る、図２と同様の図。

【符号の説明】

１９ 進角タイミングピストン ２０ 通路 ２２ スリーブ ２６，３０，６２，６４，８０ フランジ ６６ ボルト ７０ ピン

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 進角タイミングピストン（１９）を収容
   するスリーブ（２２）を備え、 該スリーブ（２２）をポンプハウジングに固定するため
   に、半径方向外側に延出するフランジ（２６，３０，６
   ２，６４，８０）を前記スリーブ（２２）に設けたこと
   を特徴とする進角タイミングピストン用マウント。
2. 【請求項２】 前記フランジの第一のもの（２６）を、
   前記スリーブ（２２）と一体にしたことを特徴とする請
   求項１記載のマウント。
3. 【請求項３】 前記フランジの第二のもの（３０）を、
   前記スリーブ（２２）に固定するようにしたことを特徴
   とする請求項２記載のマウント。
4. 【請求項４】 前記第二のフランジ（３０）を前記スリ
   ーブ（２２）に固定するために、第二のフランジ（３
   ０）とスリーブ（２２）とに、互いに螺合するねじ部を
   設けたことを特徴とする請求項３記載のマウント。
5. 【請求項５】 前記フランジの第一及び第二のもの（６
   ２，６４，８０）を、前記スリーブ（２２）に固定可能
   としたことを特徴とする請求項１記載のマウント。
6. 【請求項６】 各フランジ（６２，６４，８０）に設け
   た孔に挿通されるボルト（６６）により、前記第一及び
   第二のフランジ（６２，６４，８０）の少なくとも一枚
   を前記スリーブ（２２）に固定可能であり、ポンプハウ
   ジングに設けたねじ孔に前記ボルト（６６）を収容した
   ことを特徴とする請求項５記載のマウント。
7. 【請求項７】 更に、 各フランジ（６２、６４）を前記スリーブ（２２）に対
   して位置決めするために、少なくとも一本の位置決めピ
   ン（７０）を有することを特徴とする請求項５又は６記
   載のマウント。
8. 【請求項８】 前記スリーブ（２２）と前記進角タイミ
   ングピストン（１９）とを、略同一の熱膨張率を有する
   材料から形成したことを特徴とする前記請求項１から７
   のいずれか一項記載のマウント。
9. 【請求項９】 前記スリーブ（２２）と前記進角タイミ
   ングピストン（１９）とを、いずれも、鉄を含む材料か
   ら形成したことを特徴とする前記請求項１から８のいず
   れか一項記載のマウント。
10. 【請求項１０】 通路（２０）を内部に有するハウジン
    グと、 前記請求項１から９のいずれか一項に記載の進角タイミ
    ングピストン用マウントとを備えた進角装置であって、 前記マウントのスリーブ（２２）を、前記通路（２０）
    内に収容したことを特徴とする進角装置。