JPH0840777A - 塑性成形用スラリ−組成物、それを脱水して得た塑性成形用坏土、それを使用する塑性成形体の成形方法、およびそれを焼成した焼結体 - Google Patents

塑性成形用スラリ−組成物、それを脱水して得た塑性成形用坏土、それを使用する塑性成形体の成形方法、およびそれを焼成した焼結体

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JPH0840777A
JPH0840777A JP6197742A JP19774294A JPH0840777A JP H0840777 A JPH0840777 A JP H0840777A JP 6197742 A JP6197742 A JP 6197742A JP 19774294 A JP19774294 A JP 19774294A JP H0840777 A JPH0840777 A JP H0840777A
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Kumehiko Sanada
久米彦 真田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、均一分散化やプレス機による脱水
濃縮作業を極めて効率よく行うことが出来ると共に、乾
燥性、機械的強度などに優れた特徴を持つ塑性成形用ス
ラリ−組成物、それを脱水して得た塑性成形用坏土、そ
れを使用する塑性成形体の成形方法、およびそれを焼成
した焼結体を提供する。 【構成】 素地土に再分散性樹脂粉末と水とを添加して
混合せしめるため、再分散性樹脂粉末を非常に安定的に
均一分散せしめ、このスラリ−をロ過脱水により含水率
を大きく下げ、塑性成形用坏土を調製して所要形状に塑
性成形することで機械的強度を大幅に向上せしめた成形
体を得、それにより、従来形状の製品に比して、薄く、
軽く、しかも大型状の焼結体を製造せしめることが出来
るものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塑性成形用スラリ−組
成物、それを脱水して得た塑性成形用坏土、それを使用
する塑性成形体の成形方法、およびそれを焼成した焼結
体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、陶磁器やセラミックスの成形にお
ける塑性成形では、陶磁器用素地土やセラミックス素地
土など所要の素地土に水などを適量添加して流動性を与
え(通常含水率40〜70%)、ボ−ルミル等で混合粉
砕し、スラリ−を調整せしめたのち、フィルタ−プレス
機等にかけて脱水することにより含水率10〜30%の
プレスケ−キを生成せしめている。そして、このプレス
ケ−キを真空土練機を用いて塑性成形用坏土に調製し、
塑性成形、即ち、押出し成形やろくろ成形することによ
り所要の成形体を成形するものとされている。かかる成
形体は乾燥、素焼、施釉、焼成、切削等の工程を経て最
終製品とされるものであるが、かかる方法による場合、
スラリ−の脱水が問題なく出来ること、坏土に気泡が混
入しないこと、成形体の乾燥が速く、仕上げ加工、運搬
等の取扱いが可能な程度の機械的強度を有することが必
要である。
【0003】このため、従来より陶磁器を製造する場
合、その坏土中に蛙目粘土、木節粘土などを含有させる
ことにより塑性成形上必要とされる可塑性を付与せし
め、かつ、機械的強度を得ている。しかしながら、かか
る従来の陶磁器用坏土では、大型、薄型部材成形におい
ては成形体の機械的強度が充分でなく、製造が困難であ
った。
【0004】また、セラミックス製造時の塑性成形にお
いては、セラミックス用坏土だけでは成形に必要とされ
る可塑性が不充分であり、充分な強度の塑性成形体を得
ることが出来ないという問題があった。
【0005】かかる従来の問題点を解決するものとし
て、水溶性樹脂や水性樹脂エマルジョン等をスラリ−調
製時、又は土練時に添加する方法が提案されている(特
公平3−64465号公報、特公平4−32155号公
報、特開平5−104509号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の解決策は、水溶
性樹脂や水性樹脂エマルジョンの添加により成形体の強
度を向上せしめることが出来る反面、以下の欠点を有す
る。 まず第1に、陶磁器用素地土やセラミックス用素地土
と、水性樹脂エマルジョンなどとの密度差が大きい為に
分離しやすく、均一分散したスラリ−を調製しづらく、
ひいては、そのスラリ−から得た塑性成形体にソリやワ
レを発生しやすいものである。特に、高粘度スラリ−の
場合には均一混合が難しい。 第2に、脱水時において、水溶性樹脂や水性樹脂エマ
ルジョンは脱水される水とともに移動するため、ロ布へ
の付着、目詰りや系外への流出、ロ布面での乾燥固化、
プレスケ−キのロ布への付着等を生じ、ロ過濃縮が出来
ない状態になる。 第3に、もし脱水されたプレスケ−キが得られ、ま
た、土練時にうまく添加出来ても、成形体を乾燥処理す
るさいには樹脂の表面乾燥により皮膜化を起し、内部乾
燥の遅れやソリ、ワレ、フクレ等を生じせしめやすいも
のである。
【0007】本発明者等は、上記従来の問題点を解決す
るために鋭意研究を行なった結果、再分散性樹脂粉末を
素地土と水に加えてスラリ−化せしめることにより、均
一分散化やプレス機による脱水濃縮作業を極めて効率よ
く行うことが出来る共に、乾燥性、機械的強度などに優
れた特徴を持つ塑性成形体を成形せしめ得ることを見出
し、本発明を完成するに至ったものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この出願の第1の発明
は、陶磁器用素地土、および又はセラミックス用素地土
100重量部に対して、再分散性樹脂粉末0.5〜20
重量部、および水を添加して混合せしめてなることを特
徴とする塑性成形用スラリ−組成物である。この出願の
第2の発明は、請求項1記載の塑性成形用スラリ−組成
物を脱水した後、土練することにより生成せしめること
を特徴とする塑性成形用坏土である。この出願の第3の
発明は、請求項2記載の塑性成形用坏土を所要形状に塑
性成形せしめることを特徴とする塑性成形体の成形方法
である。この出願の第4の発明は、請求項3記載の成形
方法により成形した塑性成形体を焼成せしめてなること
を特徴とする焼結体である。
【0009】本発明における陶磁器用素地土としては、
長石、珪石、陶石、カオリン、あるいは粘土など公知の
陶磁器用原料を使用することができ、また、セラミック
ス用素地土としては、アルミナ、ジルコニア、シリカ、
フェライト、炭化珪素、窒化珪素、あるいはサイアロン
など公知のセラミックス用原料を使用することが出来
る。そして、これら陶磁器用素地土およびセラミックス
用素地土は、各々単独で、あるいは必要に応じて適宜配
合して使用することが出来る。以下、陶磁器用素地土や
セラミックス用素地土など所要の素地土を単に素地土と
略称する。
【0010】また、再分散性樹脂粉末としては、ポリ酢
酸ビニル、酢酸ビニル共重合体、あるいはアクリル樹脂
系のエマルジョンを噴霧乾燥することによって得られ
る、所謂再分散性樹脂粉末を使用する。そして、かかる
再分散性樹脂粉末のガラス転移温度は、好適な造膜形成
の面から−5℃以上が好ましく、−5℃未満の場合には
凝集して付着しやすく、また、逆にガラス転移温度が高
くなりすぎると造膜形成が不充分となりやすいため、好
ましくは0〜20℃である。なお、高めのガラス転移温
度を有する再分散性樹脂を用いる場合には、乾燥温度を
高くして時間をかけたり、あるいは可塑剤や造膜助剤を
加えるとよい。また、素地土に対する再分散性樹脂粉末
の添加量は、素地土の種類、再分散性樹脂粉末の種類、
製造されるべき焼結体の特性等によって異なるが、通常
は0.5〜20重量部、好ましくは1.0〜15重量部
である。かかる再分散性樹脂粉末の添加量が素地土に対
して0.5重量部未満の場合には、成形体の機械的強度
が不充分となり、また、20重量部をこえる場合には、
後述する脱水後のロ布からのプレスケ−キの取出し性が
低下すると共に、焼成前の機械的強度には問題ないが焼
成収縮が大きくて焼結体の強度低下が大きくなるのみな
らず、素地土の特性を減殺せしめやすいものである。こ
れら再分散性樹脂粉末は、住友化学工業株式会社製のス
ミカフレックス(登録商標)RP−100S、RP−1
10、三菱油化バ−ディッシェ株式会社製のアクロナ−
ル(登録商標)DS−6029、DS−6031、ヘキ
スト合成株式会社製のモビニル(登録商標)DM20
0、DM289、843、SA、E45等の商品名で市
販されている。なお、かかる再分散性樹脂粉末の製造方
法については、特開昭47−8188号公報、特開昭5
9−199703号公報、特開平6−24820号公報
等に開示されている。
【0011】その他、分散媒としての水は、スラリ−の
含水率がおよそ40〜70重量%となるように添加され
るのが好ましい。なお、かかる水のほか、苛性ソ−ダ、
珪酸ソ−ダ、水ガラス、リン酸エステル等の無機解膠
剤、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ピリジ
ン、ポリアクリル酸塩などの有機解膠剤、フミン酸、タ
ンニン酸、リグニンなどの保護コロイド剤、ステアリン
酸、オレイン酸、ナフテン酸等の粉砕助剤、その他、分
散剤、湿潤剤、減水剤、流動化剤、高性能流動化剤、乳
化剤等を必要に応じて添加せしめることが出来る。
【0012】スラリ−は、素地土に所要量の再分散性樹
脂粉末を加え、水および必要に応じて解膠剤などを添加
しつつ、ボ−ルミルやチュ−ブミルなど公知の粉砕機に
より素地土の粒径が0.1〜10μmになるように調製
する。このさい、再分散性樹脂粉末は、粉末状であるた
め、従来の水性樹脂エマルジョンに比して気泡を発生す
ることなく、また、素地土との密度差に伴う分離や再凝
集を生じることなく、非常に安定的に均一分散して適正
粘度のスラリ−を好適に調製せしめる。このため、調製
スラリ−中には、常に再分散性樹脂粉末が安定的に均一
分散している。なお、素地土と水とを予めスラリ−化
し、それに再分散性樹脂粉末を添加混合しても良いが、
分散しにくく、かつ、分散に時間を要するため、素地土
と再分散性樹脂粉末を同時にスラリ−化するのが好まし
い。
【0013】得られたスラリ−は、公知の方法により加
圧式ロ過機、例えばフィルタ−プレス機等により脱水濃
縮して含水率が10〜30重量%、好ましくは15〜2
5重量%のプレスケ−キに生成せしめる。この工程は、
ロ布を通してスラリ−を脱水するもので、再分散性樹脂
粉末が非常に安定的に均一分散しているために水分のみ
がロ布を通って除かれ、ロ布の目詰り、凝集付着、皮膜
化等がなく、ロ過作業を極めて容易に行うことが出来る
と共に、ロ布へのプレスケ−キの付着もなくプレスケ−
キを容易に除去せしめることが出来る。
【0014】得られたプレスケ−キは、公知の土練機に
より土練りして塑性坏土に調製する。その後、かかる塑
性坏土を用い、押出し成形や動力ろくろ成形等の塑性成
形を行ない、所望の塑性成形体を成形せしめる。得られ
た塑性成形体は適宜乾燥処理せしめるが、20℃以上で
乾燥するのがよい。なお、本発明では再分散性樹脂粉末
が安定的に均一分散した形態を呈するため、乾燥処理や
焼成処理時にフクレ、ハガレ、ワレ等を生じるおそれが
なく、焼成前の強度が強いために所望の形状を薄く生成
することが出来るものである。また、本発明は、スラリ
−の粉砕混合を最も理想的な状態で調製し、そのスラリ
−を脱水濃縮することで塑性成形用坏土を調製するもの
であるが、その塑性坏土に再び水や分散剤等を加えて塑
性成形用スラリ−を調製し、使用に供することも可能で
ある。得られた塑性成形体は、適宜乾燥処理せしめた
後、公知の方法により焼成して焼結体を生成せしめる。
【0015】
【実施例】以下に、本発明の一実施例を示すが、本発明
はこれに限定されるものではない。
【0016】実施例1〜6、および比較例1〜6 表1に示す配合割合に基づき、素地土に再分散性樹脂粉
末、水溶性樹脂及び水性樹脂エマルジョン(固形分で表
示)を加え、水を添加してボ−ルミルにより粉砕混合
し、含水率約60%のスラリ−を調製した。上記スラリ
−を株式会社マキノ製のフィルタ−プレスM14−S型
を使用し、14Kg/cm2までプレス圧を上げ、その
まま30分間保持し、減圧してプレスケ−キを得た。こ
の操作を最高20回繰り返し、その結果を表2に示す。
次に、生成したプレスケ−キを石川時鐡工所株式会社製
のSY−11型真空土練機に投入し、NGKクレイハ−
ドネステスタ−で硬度11になるように塑性成形用坏土
を調製した。その後、下記記載の方法により押出し成
形、及び動力ロクロ成形を行った。
【0017】押出し成形:上記の真空土練成形機を用
い、縦10mm×横30mmの連続押出し成形を行い、
長さ50mm毎に切り出した。 動力ロクロ成形:動力ろくろ成形機を用い、縦50mm
×横30mm×厚10mmの成形体が得た。 上記の2方法で得られた成形体をそれぞれ20℃下で2
4時間風乾し、次に110℃下で24時間乾燥させた。
さらに、1230℃まで5時間かけて昇温し、そのまま
1時間保持せしめたのち、4時間で冷却して焼結体を得
た。そして、焼成前の20℃下で乾燥後、110℃下で
乾燥後、及び焼成後の曲げ強度、また、焼成時の収縮
率、及び吸水率を以下の方法により測定した。その結果
を表2に示す。
【0018】曲げ強度:三点支持法で曲げ強度を測定し
た。 P: 荷重(kgf) L: スパン(cm) b: 試験体幅(cm) h: 試験体厚(cm)
【0019】収縮率
【0020】吸水率 * : 水中より取出して表面水を拭き取る。 **: 乾燥後、20℃−65%にて24時間放置後の重
量とする。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば以上の次第で、素地土に
再分散性樹脂粉末と水とを添加して混合せしめるため、
再分散性樹脂粉末を非常に安定的に均一分散せしめ、こ
のスラリ−をロ過脱水により含水率を大きく下げ、塑性
成形用坏土を調製して所要形状に塑性成形することで、
機械的強度を大幅に向上せしめた成形体を得、それによ
り、従来形状の製品に比して、薄く、軽く、しかも大型
状の焼結体を製造せしめることが出来るものである。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 35/622 (72)発明者 武藤 浩 三重県四日市市羽津中三丁目2番5号 株 式会社ミヤオカンパニ−リミテド内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陶磁器用素地土、および又はセラミック
    ス用素地土100重量部に対して、再分散性樹脂粉末
    0.5〜20重量部、および水を添加して混合せしめて
    なることを特徴とする塑性成形用スラリ−組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の塑性成形用スラリ−組成
    物を脱水した後、土練することにより生成せしめること
    を特徴とする塑性成形用坏土。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の塑性成形用坏土を所要形
    状に塑性成形せしめることを特徴とする塑性成形体の成
    形方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の成形方法により成形した
    塑性成形体を焼成せしめてなることを特徴とする焼結
    体。
JP19774294A 1994-03-05 1994-07-29 塑性成形用スラリー組成物、該塑性成形用スラリー組成物の製造法、該塑性成形用スラリー組成物をロ過脱水及び土練して得た塑性成形用坏土、該塑性成形用坏土を用いた塑性成形体の成形方法、該成形方法により成形された塑性成形体、該塑性成形体を乾燥させて得た乾燥した塑性成形体 Expired - Lifetime JP3672598B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001302360A (ja) * 2000-04-21 2001-10-31 Gantsu Kasei Kk 焼成によりセラミックスとなる乾燥成形物、その製造方法およびセラミックス
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