JPH0840103A - 車両用左右駆動力調整装置 - Google Patents

車両用左右駆動力調整装置

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JPH0840103A
JPH0840103A JP17423194A JP17423194A JPH0840103A JP H0840103 A JPH0840103 A JP H0840103A JP 17423194 A JP17423194 A JP 17423194A JP 17423194 A JP17423194 A JP 17423194A JP H0840103 A JPH0840103 A JP H0840103A
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rotating shaft
coupling
intermediate shaft
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Kaoru Sawase
薫 澤瀬
Takahisa Niwa
貴久 丹羽
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は車両用左右駆動力調整装置に関し、
潤滑性や組立性の向上や装置の小型化及び軽量化又は部
品点数の削減を可能にすることを目的とする。 【構成】 左右の駆動輪の間に、エンジンからの駆動力
を入力されるリングギヤ1と、ベベルギヤ式差動機構4
と、上記の駆動力の伝達状態を制御して上記の左右輪へ
の駆動力配分を調整しうる駆動力伝達制御機構5とをそ
なえ、該駆動力伝達制御機構5が、該リングギヤ1側の
回転速度を増速して出力する増速機構6Aと減速して出
力する減速機構6Bとを一体化された増減速機構6と、
増速機構6Aの出力側と左右輪の回転軸2又は3のいず
れか一方との間に介装された伝達トルク容量可変型カッ
プリング7と、減速機構6Bの出力側と該一方の回転軸
2又は3との間に介装された伝達トルク容量可変型カッ
プリング8とから構成され、上記の両カップリングが互
い隣接して一体化され、該差動機構4と該増減速機構6
と該一体型カップリング7,8とが同軸上に配置される
ように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、四輪駆動式又は二輪駆
動式の自動車における左右の駆動輪への駆動力配分等に
用いて好適の、車両用左右駆動力調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、四輪駆動式自動車(以下、四輪駆
動車という)の開発が盛んに行なわれているが、前後輪
間のトルク配分(駆動力配分)を積極的に調整できるよ
うにした、フルタイム四輪駆動方式の自動車の開発も種
々行なわれている。一方、自動車において、左右輪に伝
達されるトルク配分機構を広義にとらえると従来のノー
マルディファレンシャル装置や電子制御式を含むLSD
(リミテッドスリップデフ)が考えられるが、これらは
トルク配分を積極的に調整するものでなく、左右輪のト
ルクを自由自在に配分できるものではない。
【0003】そこで、前後輪間のトルク配分調整装置と
並んで、左右輪間のトルク配分を調整できる装置の開発
も期待されていた。このような状況下で、装置を小型で
軽量なものにしながら、大きなトルクロスやエネルギロ
スを招来することなく、トルク配分を行なえるようにで
きる技術として、例えば特開平5−345535号公報
にて開示された車両用左右駆動力調整装置がある。
【0004】例えば図13はその模式的な構成図であ
る。この図13には、上記の車両用左右駆動力調整装置
が、自動車のリヤデファレンシャル(リヤデフ)の部分
に装備され、自動車(例えば四輪駆動車)の後輪の左右
駆動力移動を行なう場合を示している。即ち、この装置
は、図13に示すように、自動車のエンジン出力のうち
後輪側へ配分された回転駆動力を入力される入力軸1
と、入力軸1から入力された駆動力を出力する左輪側出
力軸2及び右輪側出力軸3とを連結するように設けられ
おり、左輪側出力軸2はその左端を左輪の駆動系に連結
され、右輪側出力軸3はその右端を右輪の駆動系に連結
されている。
【0005】この装置には、入力軸1と、差動機構4
と、駆動力伝達制御機構5とがそなえられ、この装置の
中心となるのが駆動力伝達制御機構5である。この機構
5は、増減速機構6と、第1の伝達トルク容量可変型カ
ップリング7及び第2の伝達トルク容量可変型カップリ
ング8とから構成される。そして、差動機構4と増減速
機構6とカップリング7,8とが同軸上に配置されてい
る。なお、この例では、伝達トルク容量可変型カップリ
ング7,8として電子制御油圧式の多板クラッチ機構が
設けられている。
【0006】入力軸1は、デフキャリヤ9にベアリング
を介して枢支されており、この入力軸1の端部に、ピニ
オン1Aが装着されている。このピニオン1Aは、デフ
ケース11に固定されたリングギヤ12に噛合してお
り、ピニオン1Aの回転がデフケース11に伝えられる
ようになっている。このデフケース11内に、遊星歯車
式のリヤデファレンシャル(リヤデフ)4が設けられて
いる。この遊星歯車式リヤデフ4は、ダブルピニオン式
のものであり、デフケース11内に形成されたリングギ
ヤ4Aと、左輪側出力軸2と一体回転するプラネタリキ
ャリヤ4Bと、このプラネタリキャリヤ4Bのプラネタ
リシャフト4Eに枢支されたプラネタリピニオン4C,
4Cと、右輪側出力軸3と一体回転するサンギヤ4Dと
から構成される。なお、プラネタリピニオン4C,4C
は、2つ1組のダブルピニオンである。
【0007】これにより、デフケース11が回転する
と、これと一体回転するリングギヤ4Aにより、プラネ
タリピニオン4C,4Cが駆動される。このプラネタリ
ピニオン4C,4Cは、プラネタリシャフト4Eの回り
に自転しながらサンギヤ4Dの回りを公転して、公転に
応じてプラネタリキャリヤ4Bを通じて左輪側出力軸2
に回転力を伝え、この公転と自転との釣合いに応じてサ
ンギヤ4Dを通じて右輪側出力軸3に回転力を伝えるよ
うになっている。このようなプラネタリピニオン4C,
4Cが公転と自転とのバランスを自由に変えられること
で差動機構が成立している。
【0008】そして、このリヤデフ4の隣に、駆動力伝
達制御機構5の増減速機構6が設けられている。この増
減速機構6は、左輪側出力軸2とキャリヤ4Bを介して
一体回転するように結合された中空の中間軸(第3の中
間軸)13と、第1のカップリング7に接続された中空
の中間軸(第1の中間軸)14と、第2のカップリング
8に接続された中空の中間軸(第2の中間軸)15との
間に介装されている。
【0009】なお、これらの中間軸13,14,15は
いずれも中空軸であり、中間軸13,14は、右輪側出
力軸3の外周に相対回転できるように装備され、中間軸
15は、中間軸14のさらに外周にこれも相対回転でき
るように装備されている。つまり、中間軸13は右輪側
出力軸3と仕切壁16との間に枢支され、中間軸14は
右輪側出力軸3と中間軸15との間に枢支され、中間軸
15は中間軸14の外周に枢支されている。
【0010】そして、これらの中間軸13,14,15
は後述する複合遊星歯車機構を通じてそれぞれ軸支され
ている。なお、中間軸13と仕切壁16との間、及び、
中間軸13と右輪側出力軸3との間には、それぞれオイ
ルシールが介装されており、リヤデフ4側と増減速機構
6及びカップリング7,8側とを互いに液密状態に仕切
っている。
【0011】増減速機構6は、増速機構6Aと減速機構
6Bとからなり、これらの増速機構6Aと減速機構6B
とは、複合遊星歯車機構からなっている。つまり、右輪
側出力軸3の周囲には、固定式プラネタリシャフト6C
が、複数(ここでは3つ)設けられており、これらの各
プラネタリシャフト6Cに、3種のギヤ18A,18
B,18Cをそなえた複合型プラネタリピニオン6Dが
枢支されている。
【0012】そして、複合型プラネタリピニオン6Dの
各ギヤ18A,18B,18Cに噛合するように、中間
軸13にギヤ(サンギヤ)13Aが設けられ、中間軸1
4にギヤ(サンギヤ)14Aが設けられ、中間軸15に
ギヤ(サンギヤ)15Aが設けられている。これらのギ
ヤ13A,14A,15Aの歯数をそれぞれZ1
2 ,Z3 とすると、Z2 <Z1 <Z3 の関係に設定さ
れている。また、ギヤ18A,18B,18Cの歯数を
それぞれZ4 ,Z5 ,Z6 とすると、Z6 <Z4 <Z5
の関係に設定されている。
【0013】そして、ギヤ13A,18A,18B,1
4Aの組み合わせにより増速機構6Aが構成され、ギヤ
13A,18A,18C,15Aの組み合わせにより減
速機構6Bが構成さている。即ち、増速機構6Aでは、
ギヤ13A,18A,18B,14Aの経路で、中間軸
13の回転が中間軸14に伝達されると、これらの歯数
比から、中間軸14は中間軸13よりも高速で回転する
のである。また、減速機構6Bでは、ギヤ13A,18
A,18C,15Aの経路で、中間軸13の回転が中間
軸15に伝達されると、これらの歯数比から、中間軸1
5は中間軸13よりも低速で回転するのである。
【0014】このような増減速機構6の出力は、中間軸
14及び15を介して、カップリング7,8側へ入力さ
れるようになっている。また、前述の各中間軸13,1
4,15は、固定式プラネタリシャフト6C,プラネタ
リピニオン6D及びサンギヤ13A,14A,15Aを
通じてそれぞれ軸支されている。
【0015】電子制御油圧式多板クラッチ機構である第
1及び第2のカップリング7,8は、リヤデフ4と仕切
壁16により仕切られたデフキャリヤ9内の空間内に一
体に設置されている。各カップリング7,8は、右輪側
出力軸3と一体回転するクラッチディスク7A,8A
と、中間軸14及び15と一体回転するクラッチディス
ク7B,8Bと、これらのクラッチディスク7A,7
B,8A,8Bにクラッチ圧を加える油圧ピストン(図
示略)とをそなえており、図示しないコントローラの電
子制御によって油圧ピストン7C又は8Cの駆動油圧が
油圧給排系7D,8Dを通じて調整されて、クラッチデ
ィスク7A,7B又は8A,8Bの係合状態、即ち、ト
ルク伝達状態が調整されるようになっている。
【0016】したがって、コントローラの制御によって
カップリング7が係合されると、急旋回でない通常走行
時には、高速回転する中間軸14側から右輪側出力軸3
側へと、つまり、左輪側出力軸2側から右輪側出力軸3
へと駆動力が移動して、左輪よりも右輪の駆動力の方が
大きくなる。逆に、コントローラの制御によってカップ
リング8が係合されると、急旋回でない通常走行時に
は、右輪側出力軸3側から低速回転する中間軸15側へ
と、つまり、右輪側出力軸3側から左輪側出力軸2へと
駆動力が移動して、右輪よりも左輪の駆動力の方が大き
くなる。
【0017】このように、この装置では、ブレーキ等の
エネルギーロスを用いてトルク配分を調整するのでな
く、スリップクラッチ等での速度の速い側から遅い側へ
のみトルクを伝達するという原理を利用して、一方のト
ルクの所要量を他方に転送することによりトルク配分が
調整されるため、大きなトルクロスやエネルギロスを招
来することなく、所望のトルク配分を得ることができ
る。
【0018】しかも、カップリングが中間軸を介して設
けられて、カップリング容量が少なくて済むので、装置
をコンパクト化でき、増減速機構から何れのカップリン
グへも直接駆動トルクが伝わるので、制御応答性が大き
く向上し、また、使用オイルの異なるギヤ類と多板クラ
ッチ部とを確実に分離できるので、装置をコンパクト化
できるとともに、仕切壁16を介して、デフオイル側と
カップリングオイル側との2系統にオイル供給系を簡素
化できオイル管理を容易にできるようになる利点もあ
る。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述の車両
用左右駆動力調整装置の具体的な構成として、図14,
図15に示すものが考えられる。図14,図15におい
て、図13と同符号は同部材を示す。即ち、1は入力
軸、1Aはピニオン、2は左輪側出力軸、3は右輪側出
力軸である。4は差動機構であり、リングギヤ4A,プ
ラネタリキャリヤ4B,プラネタリピニオン4C,サン
ギヤ4D,プラネタリシャフト4Eから構成される。
【0020】5は駆動力伝達制御機構であり、複合遊星
歯車機構からなる増減速機構6と、第1及び第2の伝達
トルク容量可変型カップリングとしての湿式多板クラッ
チ機構7,8から構成される。また、増減速機構6は増
速機構6A及び減速機構6Bから構成され、各機構6
A,6Bとも、第1の中間軸14のギヤ14A,第2の
中間軸15のギヤ15A,第3の中間軸13のギヤ13
Aおよびこれらと噛合する複合型プラネタリピニオン6
Dの各ギヤ18A,18B,18Cからなる。複合型プ
ラネタリピニオン6Dは軸位置を固定されたプラネタリ
シャフト6Cに枢支される。
【0021】このプラネタリシャフト6Cを固定するた
めに、各プラネタリシャフト6Cの相互間には、図15
に斜線を付し又は図14に鎖線で示すようなボス21
(21A,21B,21C)を仕切壁16から突設さ
れ、このボス21A,21B,21Cの先端にキャリヤ
6Eがボルト22A,22B,22Cで固定されてい
る。そして、プラネタリシャフト6Cはキャリヤ6Eと
仕切壁16とに両端を支持されている。
【0022】湿式多板クラッチ機構7,8は、右輪側出
力軸側クラッチディスク7A,8Aと中間軸側クラッチ
ディスク7B,8Bとが交互に重合してなり、クラッチ
ケース23内に設けられる。右輪側出力軸側クラッチデ
ィスク7A,8Aの外周にはスプライン軸(図示略)が
形成され、これらのスプライン軸は、クラッチケース2
3の外周部23Aの内面とスプライン結合している。ま
た、中間軸側クラッチディスク7B,8Bの内周にはス
プライン穴(図示略)が形成され、これらのスプライン
穴は、各中間軸の端部に拡径する形状に構成されたクラ
ッチハブ14B,15Bとスプライン結合する。
【0023】また、各湿式多板クラッチ機構7,8は油
圧ピストン19,20を通じて押圧され、この油圧ピス
トン19,20の油圧が解除されるとリターンスプリン
グ7E,8Eにより押圧を解除されるようになってい
る。ここでは、油圧ピストン19,20は、クラッチケ
ース23と一体回転する第1ピストン19A,20A
と、デフキャリヤ9側に回転しないように設けられた第
2ピストン19B,20Bとからなり、これらの第1ピ
ストン19A,20Aと第2ピストン19B,20Bと
の間には、ニードルベアリング10Bが介装され、スラ
スト力のみ伝達するようになっている。
【0024】これらのピストン19,20を駆動するた
めの油圧シリンダ19C,20Cは、第2ピストン19
B,20Bの後方のデフギャリヤ9側に形成されてい
る。これにより、油圧シリンダ19C,20C内の作動
油に遠心力が加わらなくなり、各部の回転状態に係わら
ず安定した油圧を発生でき、ピストン19,20の駆動
精度が高められている。
【0025】なお、図14,図15中、2A,3Aは図
示しない左輪側駆動軸及び右輪側駆動軸に結合されるフ
ランジ部であり、10はベアリング,10Bはニードル
ベアリング,10Cはころ軸受け,10Dはオイルシー
ル,11はデフケース,12はリングギヤ,24はスナ
ップリングである。ところで、例えば、湿式多板クラッ
チ機構7,8の各クラッチディスク7A,8A,7B,
8Bへは潤滑油を供給する必要があるが、デフギャリヤ
9内には、この他に増減速機構6のギヤ部もあり、これ
らにも潤滑油を供給する必要がある。
【0026】そこで、デフギャリヤ9内に潤滑油を内蔵
して、デフギャリヤ9内の各部、即ち、増減速機構6の
ギヤ部や湿式多板クラッチ機構7,8等の回転により、
潤滑油を攪拌して、これらの回転部に潤滑油を供給する
ことが考えられる。しかしながら、このような手段で
は、例えば図15に符号25で示すようなレベルまで、
デフギャリヤ9内に多量の潤滑油を内蔵しなくてはなら
ず、却って、攪拌抵抗の増大により、潤滑油の温度上昇
による潤滑性能低下や、動力伝達効率の悪化による燃費
悪化を招く不具合がある。
【0027】また、かかる装置の組み立てについて考え
ると、上述の図14,図15に示すに構成では、例えば
図16に示すように、デフギャリヤ9を、差動機構4及
び増減速機構6(したがって、第1〜第3の中間軸13
〜15も含む)を収納する第1キャリヤ部分26と、ク
ラッチケース23を収納する第2キャリヤ部分27とに
大きく二分して、この図16に示すようにそれぞれの部
分を予めアッセンブリとして組み立てた上で、第1キャ
リヤ部分26に第2キャリヤ部分27を結合する。
【0028】しかしながら、このような組み立て構成で
は、第1キャリヤ部分26に第2キャリヤ部分27を結
合する際に、多数の中間軸側クラッチディスク7B,8
Bのスプライン穴と各中間軸14,15のクラッチハブ
14B,15Bとの位相を整合させた上で、行なわなく
てはならない。このため、極めて作業性が悪い。さら
に、第1キャリヤ部分26と第2キャリヤ部分27とを
それぞれ予め組み立てておくには、第1キャリヤ部分2
6で増減速機構6の各プラネタリシャフト6Cを通じて
ピニオン18A〜18Cを支持しておくために、上述の
ように、大きくボス21A,21B,21Cを突設さ
れ、このボス21A,21B,21Cの先端にキャリヤ
6Eをそなえなくてはならない。また、第2キャリヤ部
分27における外周部27Aと端面部27Bとのボルト
結合と、第1キャリヤ部分26と第2キャリヤ部分27
とのボルト結合が別個に行なわれるので、装置の大型化
や装置の重量や部品点数の増加を招く。
【0029】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、湿式多板クラッチの潤滑性を向上できるよう
にすること,装置の組立性を向上すること,装置の小型
化及び軽量化又は部品点数の削減を実現できるようにし
た、車両用左右駆動力調整装置を提供することを目的と
する。
【0030】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1にか
かる本発明の車両用左右駆動力調整装置は、車両におけ
る左輪回転軸と右輪回転軸との間に、エンジンからの駆
動力を入力されるリングギヤと、該左輪回転軸と該右輪
回転軸との間の差動を許容しつつ該リングギヤから入力
された駆動力を上記の左輪回転軸及び右輪回転軸に伝達
するベベルギヤ式差動機構と、上記の駆動力の伝達状態
を制御して上記の左輪回転軸及び右輪回転軸への駆動力
配分を調整しうる駆動力伝達制御機構とをそなえ、該駆
動力伝達制御機構が、該左輪回転軸と該右輪回転軸との
間に介装されて該リングギヤ側の回転速度を増速して第
1の中間軸に出力する増速機構と該リングギヤ側の回転
速度を減速して第2の中間軸に出力する減速機構とを一
体化された増減速機構と、該第1の中間軸と上記の左輪
回転軸及び右輪回転軸のうちの一方の回転軸との間に介
装されて該第1の中間軸と該一方の回転軸との間で駆動
力の伝達を行ないうる第1の伝達トルク容量可変型カッ
プリングと、該第2の中間軸と該一方の回転軸との間に
介装されて該第2の中間軸と該一方の回転軸との間で駆
動力の伝達を行ないうる第2の伝達トルク容量可変型カ
ップリングとから構成され、上記の第1及び第2の伝達
トルク容量可変型カップリングが互い隣接して一体化さ
れた一体型カップリングとして構成されるとともに、該
差動機構と該増減速機構と該一体型カップリングとが同
軸上に配置されていることを特徴としている。
【0031】請求項2にかかる本発明の車両用左右駆動
力調整装置は、請求項1記載の構成において、上記の第
1及び第2の伝達トルク容量可変型カップリングが、い
ずれも電子制御式油圧多板クラッチにより構成され、こ
れらの電子制御式油圧多板クラッチが直列的に一体化さ
れることで上記一体型カップリングが構成されているこ
とを特徴としている。
【0032】請求項3にかかる本発明の車両用左右駆動
力調整装置は、請求項1又は2記載の構成において、上
記一体型カップリングが、上記の差動機構及び増減速機
構と隔壁を介して設けられていることを特徴としてい
る。請求項4にかかる本発明の車両用左右駆動力調整装
置は、車両における左輪回転軸と右輪回転軸との間に、
エンジンからの駆動力を入力される入力部と、該左輪回
転軸と該右輪回転軸との差動を許容しつつ該入力部から
入力された駆動力を上記の左輪回転軸及び右輪回転軸に
伝達する差動機構と、上記の駆動力の伝達状態を制御し
て上記の左輪回転軸及び右輪回転軸への駆動力配分を調
整しうる駆動力伝達制御機構とをそなえ、該駆動力伝達
制御機構が、該入力部と上記の左輪回転軸及び右輪回転
軸のうちの一方の回転軸との間に介装されて該入力部側
の回転速度を増速して出力する増速機構と該入力部側の
回転速度を減速して出力する減速機構とを一体化された
増減速機構と、該増速機構からの出力を受ける回転軸と
上記の左輪回転軸及び右輪回転軸のうちの一方の回転軸
との間に介装されてこれらの回転軸の間で差動制限しな
がら駆動力の伝達を行ないうる第1の伝達トルク容量可
変型カップリングと、該減速機構からの出力を受ける回
転軸と該一方の回転軸との間に介装されてこれらの回転
軸の間で差動制限しながら駆動力の伝達を行ないうる第
2の伝達トルク容量可変型カップリングとから構成さ
れ、上記の第1及び第2の伝達トルク容量可変型カップ
リングが互い隣接して一体化された一体型カップリング
として構成されカップリング用ケース内に収納されると
ともに、該差動機構と該増減速機構と該一体型カップリ
ングとが同軸上に配置されて、該一方の回転軸の外周に
該一方の回転軸と同心状に設けられて該一方の回転軸と
は異なる速度で回転しうる第1の中間軸、及び、該一方
の回転軸の外周であって該第2回転軸の内周に位置して
該一方の回転軸及び該第1の中間軸と同心状に設けられ
て該一方の回転軸及び該第1の中間軸とは異なる速度で
回転しうる第2の中間軸が設けられ、上記の第1及び第
2の中間軸のうちの一方が該増速機構の出力を受け、上
記の第1及び第2の中間軸のうちの他方が該減速機構の
出力を受けるように構成されるとともに、上記の第1及
び第2の伝達トルク容量可変型カップリングが、該第1
の中間軸又は該第2の中間軸と一体回転する複数のクラ
ッチディスク及び該一方の回転軸と一体回転する複数の
クラッチディスクとがそれぞれ交互に重合してなる多板
クラッチ機構として構成されて、該第1の中間軸と、該
第1の中間軸と一体回転する複数のクラッチディスクと
の間に、外周部にこのクラッチディスクと回転方向へ係
合する係合部を有し内周部に該第1の中間軸と回転方向
へ係合する係合部を有した第1の円筒状結合部材が介装
され、且つ、該第2の中間軸と、該第2の中間軸と一体
回転する複数のクラッチディスクとの間に、外周部にこ
のクラッチディスクと回転方向へ係合する係合部を有し
内周部に該第2の中間軸と回転方向へ係合する係合部を
有した第2の円筒状結合部材が介装されていることを特
徴としている。
【0033】請求項5にかかる本発明の車両用左右駆動
力調整装置は、請求項4記載の構成において、該増減速
機構の外周及び一端面を覆うように配設される第1のハ
ウジング部材と、上記の一体型カップリングを内装した
カップリング用ケース部材を収納する第2のハウジング
部材とがそなえられ、該第2のハウジング部材が、該カ
ップリング用ケース外周及び一端面を覆うメインハウジ
ング部と、該カップリング用ケースの他端面を覆うとと
もに該増減速機構の他端面側に配置されるサブハウジン
グ部とをそなえて構成され、該第1のハウジング部材,
該メインハウジング部及び該サブハウジング部の各外周
部分に、結合用フランジ部が形成され、該第1のハウジ
ング部材,該メインハウジング部及び該サブハウジング
部の3部材が、上記の各結合用フランジ部を同時に結合
するボルトにより一体結合されるように構成されている
ことを特徴としている。
【0034】請求項6にかかる本発明の車両用左右駆動
力調整装置は、請求項5記載の構成において、該増減速
機構が、該第1の中間軸及び該第2の中間軸にそれぞれ
形成された歯車と、これらの各歯車とそれぞれ噛合する
ように該第1の中間軸及び該第2の中間軸の外周に配設
された遊星歯車と、これらの遊星歯車を軸支する遊星歯
車回転軸とをそなえて構成され、該第1のハウジング部
材に該遊星歯車回転軸の一端を支持しうる軸受部が形成
され、該サブハウジング部に該遊星歯車回転軸の他端を
支持しうる軸受け部が形成されていることを特徴として
いる。
【0035】請求項7にかかる本発明の車両用左右駆動
力調整装置は、請求項1〜6のいずれかに記載の構成に
おいて、上記の各伝達トルク容量可変型カップリング
に、該クラッチディスクを押圧する油圧ピストンで構成
された伝達トルク容量可変機構が設けられていることを
特徴としている。請求項8にかかる本発明の車両用左右
駆動力調整装置は、車両における左輪回転軸と右輪回転
軸との間に、エンジンからの駆動力を入力される入力部
と、該左輪回転軸と該右輪回転軸との間の差動を許容し
つつ該入力部から入力された駆動力を上記の左輪回転軸
及び右輪回転軸に伝達する差動機構と、上記の駆動力の
伝達状態を制御して上記の左輪回転軸及び右輪回転軸へ
の駆動力配分を調整しうる駆動力伝達制御機構とをそな
え、該駆動力伝達制御機構が、該左輪回転軸と該右輪回
転軸との間に介装されて該入力部側の回転速度を増速し
て第1の中間軸に出力する増速機構と該入力部側の回転
速度を減速して第2の中間軸に出力する減速機構とを一
体化された増減速機構と、該第1の中間軸と上記の左輪
回転軸及び右輪回転軸のうちの一方の回転軸との間に介
装されて該第1の中間軸と該一方の回転軸との間で駆動
力の伝達を行ないうる第1の伝達トルク容量可変型カッ
プリングと、該第2の中間軸と該一方の回転軸との間に
介装されて該第2の中間軸と該一方の回転軸との間で駆
動力の伝達を行ないうる第2の伝達トルク容量可変型カ
ップリングとから構成されるとともに、上記の第1及び
第2の伝達トルク容量可変型カップリングが互い隣接し
て一体化された一体型カップリングとして構成され、該
一体型カップリングを収納するカップリング用ケース
と、該カップリング用ケースに隣接して設けられて該増
減速機構を収納するととも該増減速機構用の潤滑油を内
蔵するハウジングとがそなえられ、該伝達トルク容量可
変型カップリングが複数のクラッチディスクが重合して
なる湿式多板クラッチ機構として構成され、該カップリ
ング用ケースの該ハウジング側端部に、該第1の中間軸
の外周面に対向する内周面を有する筒状部が形成され、
該筒状部の内周面と該第1の中間軸の外周面との間に回
転時に該ハウジング内の潤滑油を該カップリング用ケー
ス内の内周側部分へ導く螺旋溝が穿設されるとともに、
該カップリング用ケースに、該カップリング用ケース内
のクラッチディスク間に潤滑を供給しうるように、潤滑
油通路が形成されていることを特徴としている。
【0036】請求項9にかかる本発明の車両用左右駆動
力調整装置は、請求項8記載の構成において、該潤滑油
通路が、該カップリング用ケースのインナ部に放射状に
穿設されて該螺旋溝から供給された潤滑油を該クラッチ
ディスク側へ導く導入路と、該カップリング用ケースの
アウタ部に放射状に穿設されて該クラッチディスク側を
潤滑した潤滑油を排出する排出路とをそなえて構成され
ていることを特徴としている。
【0037】請求項10にかかる本発明の車両用左右駆
動力調整装置は、請求項8又は9記載の構成において、
上記の各伝達トルク容量可変機構が、該クラッチディス
クを押圧する油圧ピストンで構成されていることを特徴
としている。
【0038】
【作用】上述の請求項1にかかる本発明の車両用左右駆
動力調整装置では、エンジンからの駆動力は、リングギ
ヤに入力され、さらに、ベベルギヤ式差動機構を通じ
て、左輪回転軸と右輪回転軸とにこれらの回転軸間の差
動を許容されつつ配分される。このとき、駆動力伝達制
御機構により、左輪回転軸及び右輪回転軸への駆動力配
分が調整される。
【0039】つまり、駆動力伝達制御機構では、増減速
機構の増速機構により、該リングギヤ側の回転速度が増
速されて第1の中間軸に出力され、増減速機構の減速機
構により、該リングギヤ側の回転速度が減速されて第2
の中間軸に出力される。そして、第1の伝達トルク容量
可変型カップリングが、トルク伝達状態にされると、第
1の中間軸と左輪回転軸及び右輪回転軸のうちの一方の
回転軸との間で設定された伝達トルク容量に応じて駆動
力の伝達を行なうが、増速機構により、第1の中間軸は
増速されているので、通常は第1の中間軸の方が該一方
の回転軸よりも高速となり、第1の中間軸から該一方の
回転軸へとトルク移動が行なわれる。
【0040】また、第2の伝達トルク容量可変型カップ
リングが、トルク伝達状態にされると、第2の中間軸と
左輪回転軸及び右輪回転軸のうちの一方の回転軸との間
で設定された伝達トルク容量に応じて駆動力の伝達を行
なうが、減速機構により、第2の中間軸は減速されてい
るので、通常は該一方の回転軸の方が第2の中間軸より
も高速となり、該一方の回転軸から第1の中間軸へとト
ルク移動が行なわれる。
【0041】このようにして、左右輪間でのトルク移動
により、駆動力の左右輪への配分状態が制御されるが、
この構造では、該差動機構がベベルギヤ式差動機構によ
り構成されることから、差動機構の構造を簡素かつ小型
に構成できる。さらに、上記の第1及び第2の伝達トル
ク容量可変型カップリングが一体型カップリングとして
構成され、該差動機構と該増減速機構と該一体型カップ
リングとが同軸上に配置されている構成も加わるので、
装置全体を簡素かつ小型に構成できる。
【0042】請求項2にかかる本発明の車両用左右駆動
力調整装置では、上記の第1及び第2の伝達トルク容量
可変型カップリングが、いずれも電子制御式油圧多板ク
ラッチにより構成されるので、油圧多板クラッチの係合
油圧を電子制御されることで、カップリングがトルクを
伝達する状態やトルクを伝達しない状態に調整され、ト
ルク伝達時には、電子制御により、その伝達トルク容量
を微調整される。
【0043】請求項3にかかる本発明の車両用左右駆動
力調整装置では、隔壁を通じて、一体型カップリング系
と差動機構及び増減速機構系とが区分されるようにな
り、一体型カップリングのための作動油系と差動機構及
び増減速機構のための潤滑油系とで種類の異なるものを
使用でき、一体型カップリングのための作動油系には、
レスポンスに有利な種類の油を用い、差動機構及び増減
速機構のための潤滑油系には潤滑性のよい油を用いるこ
とができる。
【0044】請求項4にかかる本発明の車両用左右駆動
力調整装置では、エンジンからの駆動力は、入力部に入
力され、さらに、ベベルギヤ式差動機構を通じて、左輪
回転軸と右輪回転軸とにこれらの回転軸間の差動を許容
されつつ配分される。このとき、駆動力伝達制御機構に
より、左輪回転軸及び右輪回転軸への駆動力配分が調整
される。
【0045】つまり、駆動力伝達制御機構では、増減速
機構の増速機構により、該入力部側の回転速度が増速さ
れて出力され、増減速機構の減速機構により、該入力部
側の回転速度が減速されて出力される。そして、第1の
伝達トルク容量可変型カップリングが、トルク伝達状態
にされると、増速機構からの出力を受ける第1の中間軸
又は第2の中間軸と左輪回転軸及び右輪回転軸のうちの
一方の回転軸との間で設定された伝達トルク容量に応じ
て駆動力の伝達を行なうが、増速機構により、第1の中
間軸又は第2の中間軸は増速されているので、通常は第
1の中間軸又は第2の中間軸の方が該一方の回転軸より
も高速となり、第1の中間軸又は第2の中間軸から該一
方の回転軸へとトルク移動が行なわれる。
【0046】また、第2の伝達トルク容量可変型カップ
リングが、トルク伝達状態にされると、第2の中間軸又
は第1の中間軸と左輪回転軸及び右輪回転軸のうちの一
方の回転軸との間で設定された伝達トルク容量に応じて
駆動力の伝達を行なうが、減速機構により、第2の中間
軸又は第1の中間軸は減速されているので、通常は該一
方の回転軸の方が第2の中間軸又は第1の中間軸よりも
高速となり、該一方の回転軸から第2の中間軸又は第1
の中間軸へとトルク移動が行なわれる。
【0047】このようにして、左右輪間でのトルク移動
により、駆動力の左右輪への配分状態が制御されるが、
この構造では、該差動機構がベベルギヤ式差動機構によ
り構成されることから、差動機構の構造を簡素かつ小型
に構成できる。さらに、上記の第1及び第2の伝達トル
ク容量可変型カップリングが一体型カップリングとして
構成され、該差動機構と該増減速機構と該一体型カップ
リングとが同軸上に配置されている構成も加わるので、
装置全体を簡素かつ小型に構成できる。
【0048】また、この車両用左右駆動力調整装置の組
み立てにあたっては、一体型カップリングとしてカップ
リング用ケース内に収納された第1及び第2の伝達トル
ク容量可変型カップリングのクラッチディスクの内周に
各係合部を回転連係するように係合させながら、第1の
円筒状結合部材及び第2の円筒状結合部材を装着し、こ
の上で、これら第1の円筒状結合部材及び第2の円筒状
結合部材の内周の係合部を、該第2回転軸及び該第3回
転軸の軸端部からその外周に回転連係するように係合さ
せながら、カップリング用ケース側を該回転軸側へ結合
する。このとき、該第2回転軸及び該第3回転軸の軸端
部が軸端側で拡径しない形状に構成されているので、該
第1の円筒状結合部材及び該第2の円筒状結合部材を該
第2回転軸及び該第3回転軸の軸端部から係合させるこ
とができる。
【0049】請求項5にかかる本発明の車両用左右駆動
力調整装置では、該増減速機構を収納した第1のハウジ
ング部材と、該カップリング用ケース外周及び一端面を
覆うように内部に収納した第2のハウジング部材のメイ
ンハウジング部と、該カップリング用ケースの他端面を
覆うように配置された第2のハウジング部材のサブハウ
ジング部とを接合させて、これらの第1のハウジング部
材,メインハウジング部及びサブハウジング部の各外周
部分にそれぞれ形成された結合用フランジ部を、ボルト
により同時に一体結合する。これにより、内部に所要の
部材を装備してハウジングが組み立てられる。特に、請
求項4記載の構成から、各クラッチディスクが第1の円
筒状結合部材及び第2の円筒状結合部材を通じてその位
相を調整されるので、このハウジングの組み付け時には
各クラッチディスクの個々の位相を考慮する必要がな
く、第1のハウジング部材,メインハウジング部及びサ
ブハウジング部の3つを同時に結合するのは容易であ
る。
【0050】請求項6にかかる本発明の車両用左右駆動
力調整装置では、該増減速機構が遊星歯車で構成される
ので、中心軸である該第2回転軸及び該第3回転軸と遊
星歯車回転軸とが一体的に構造を形成して、構造強度が
強まるが、この反面、遊星歯車回転軸をしっかりと支持
しながら組み立てる必要がある。該第1のハウジング部
材に該遊星歯車回転軸の一端を支持しうる軸受部が形成
され、該サブハウジング部に該遊星歯車回転軸の他端を
支持しうる軸受け部が形成されているので、サブハウジ
ング部の組み付けとともに遊星歯車回転軸を軸支した状
態が達成される。特に、請求項4記載の構成から、各ク
ラッチディスクの位相を考慮することなく、第1のハウ
ジング部材,メインハウジング部及びサブハウジング部
の3つを同時に結合することができ、サブハウジング部
の組み付けの際に遊星歯車回転軸を軸支させるのは容易
である。
【0051】請求項7にかかる本発明の車両用左右駆動
力調整装置では、油圧ピストンで構成された伝達トルク
容量可変機構により、各伝達トルク容量可変型カップリ
ングが、そのクラッチディスクを押圧されながら伝達ト
ルクの容量を調整される。請求項8にかかる本発明の車
両用左右駆動力調整装置では、エンジンからの駆動力
は、入力部に入力され、さらに、差動機構を通じて、左
輪回転軸と右輪回転軸とにこれらの回転軸間の差動を許
容されつつ配分される。このとき、駆動力伝達制御機構
により、左輪回転軸及び右輪回転軸への駆動力配分が調
整される。
【0052】つまり、駆動力伝達制御機構では、増減速
機構の増速機構により、該入力部側の回転速度が増速さ
れて第1の中間軸に出力され、増減速機構の減速機構に
より、該入力部側の回転速度が減速されて第2の中間軸
に出力される。そして、第1の伝達トルク容量可変型カ
ップリングとしての湿式多板クラッチ機構が、トルク伝
達状態にされると、伝達トルク容量可変機構で伝達トル
ク容量を調整されつつ、第1の中間軸と左輪回転軸及び
右輪回転軸のうちの一方の回転軸との間で駆動力の伝達
を行なう。この場合、増速機構により、第1の中間軸は
増速されているので、通常は第1の中間軸の方が該一方
の回転軸よりも高速となり、第1の中間軸から該一方の
回転軸へとトルク移動が行なわれる。
【0053】また、第2の伝達トルク容量可変型カップ
リングとしての湿式多板クラッチ機構が、トルク伝達状
態にされると、伝達トルク容量可変機構で伝達トルク容
量を調整されつつ、第2の中間軸と左輪回転軸及び右輪
回転軸のうちの一方の回転軸との間で駆動力の伝達を行
なう。この場合、増減速機構により、第2の中間軸は減
速されているので、通常は該一方の回転軸の方が第2の
中間軸よりも高速となり、該一方の回転軸から第1の中
間軸へとトルク移動が行なわれる。
【0054】このようにして、左右輪間でのトルク移動
により、駆動力の左右輪への配分状態が制御されるが、
この構造では、該差動機構がベベルギヤ式差動機構によ
り構成されることから、差動機構の構造を簡素かつ小型
に構成できる。さらに、上記の第1及び第2の伝達トル
ク容量可変型カップリングが一体型カップリングとして
構成され、該差動機構と該増減速機構と該一体型カップ
リングとが同軸上に配置されている構成も加わるので、
装置全体を簡素かつ小型に構成できる。
【0055】このような伝達トルク容量可変型カップリ
ングとしての湿式多板クラッチ機構は、カップリング用
ケース内に収納されるていが、該カップリング用ケース
の筒状部の内周面と該第1の中間軸の外周面との間に穿
設された螺旋溝が、回転時に、歯車機構を収納するハウ
ジング内に内蔵された該ハウジング内の潤滑油を該カッ
プリング用ケース内の内周側部分へ導く。そして、カッ
プリング用ケースに形成された潤滑油通路を通じて、該
カップリング用ケース内の各クラッチディスク間に潤滑
が供給される。
【0056】請求項9にかかる本発明の車両用左右駆動
力調整装置では、該螺旋溝から供給された潤滑油が、該
カップリング用ケースのインナ部に放射状に穿設された
導入路から該クラッチディスク側へ導かれ、該クラッチ
ディスク側を潤滑した後に、該カップリング用ケースの
アウタ部に放射状に穿設された排出路から排出される。
【0057】請求項10にかかる本発明の車両用左右駆
動力調整装置では、伝達トルク容量可変機構を構成する
油圧ピストンにより、各伝達トルク容量可変型カップリ
ングが、そのクラッチディスクを押圧されながら伝達ト
ルクの容量を調整される。
【0058】
【実施例】以下、図面により、本発明の一実施例として
の車両用左右駆動力調整装置について説明すると、図1
はその断面図、図2はその概要構成を示す模式図、図3
は本装置をそなえた車両の駆動系構成図、図4はそのア
センブリ単位を示す図、図5はその潤滑油流路を示す
図、図6〜図12はその伝達トルク容量可変機構の油圧
ピストン部分に関して示す図である。
【0059】まず、この実施例の車両用左右駆動力調整
装置50の概略構成と、本装置50をそなえた車両の駆
動系構成を説明する。この実施例の左右駆動力調整装置
50は、図3に示すように、自動車のリヤデファレンシ
ャル(リヤデフ)4の部分に装備され、自動車の後輪の
左右駆動力移動を行なうものであって、ここでは特に四
輪駆動車の後輪側にそなえられ、センターディファレン
シャル58を通じて後輪側へ出力された駆動力をプロペ
ラシャフト68を介して入力軸1に受けて、この駆動力
を左右の後輪74L,74Rに配分できるようになって
いる。
【0060】この左右駆動力調整装置50の主要な構成
要素は、自動車のエンジン出力のうち後輪側へ配分され
た回転駆動力を入力される入力軸(入力部)1と、差動
機構(ここではリヤデフ)4と、駆動力伝達制御機構5
であり、特に、この装置の中心となるのが駆動力伝達制
御機構5である。この機構5は、増減速機構6と、第1
の伝達トルク容量可変型カップリング7及び第2の伝達
トルク容量可変型カップリング8とから構成される。こ
れらの差動機構4と増減速機構6とカップリング7,8
とが同軸上に配置されている。また、第1及び第2の伝
達トルク容量可変型カップリング7,8は油圧によって
伝達トルク容量を調整されるようになっている。
【0061】また、図3において、符号52はエンジン
であり、このエンジン52の出力はトランスミッション
54及び中間ギア56を介して差動歯車機構(=センタ
ディファレンシャル、以下、センタデフという)58に
伝達されるようになっている。このセンタデフ58の出
力は、一方において前輪用の差動歯車機構(=フロント
ディファレンシャル、以下、フロントデフという)60
を介して車軸62L,62Rから左右の前輪64L,6
4Rに伝達され、他方においてベベルギヤ機構66,プ
ロペラシャフト68及びベベルギヤ機構70,後輪用の
差動歯車装置(=リヤディファレンシャル、以下、リヤ
デフという)4を介して車軸72L,72Rから左右の
後輪74L,74Rに伝達されるようになっている。本
装置はこのリヤデフ4を含めて、車軸74L,74Rに
わたるように設けられている。
【0062】また、センタデフ8には、ビスカスカップ
リングユニット(VCU)76が設けられ、その前輪側
出力部と後輪側出力部との差動を拘束(又は制限)する
ようになっている。リヤデフ4の差動を制限しながらト
ルク移動を行なう伝達トルク容量可変型カップリング
7,8の油圧系の油圧調整は、油圧ユニット78により
行なわれるようになっている。すなわち、油圧ユニット
78では内蔵された油圧ポンプを通じてリザーバタンク
80からの作動油を伝達トルク容量可変型カップリング
7,8の油圧系に供給したり、排除したりするようにな
っている。
【0063】この油圧ユニット78は、電子制御ユニッ
ト(以下、ECUという)82により作動を制御される
ようになっている。ECU82には、例えばエンジン出
力を電子制御する電子制御ユニット(エンジンECU)
(図示省略)や、アンチロックブレーキシステム(AB
S)を電子制御する電子制御ユニット(ABSECUと
いう)84からの情報や、ハンドル角情報,前後加速度
情報,アクセル開度情報等が入力されるようになってお
り、ECU82では、これらの各情報に基づいて、油圧
ユニット78を制御するようになっている。なお、各E
CU82は、図示しないが制御に必要なCPU,RO
M,RAM,インタフェイス等をそなえている。
【0064】ここで、本車両用左右駆動力調整装置の細
部を説明すると、図1,2に示すように、本装置50に
は、前述のようにエンジン出力のうち後輪側へ配分され
た回転駆動力を入力される入力軸(入力部)1と、この
入力軸1から入力された駆動力を出力する左輪側出力軸
(左輪側回転軸)2及び右輪側出力軸(右輪側回転軸)
3とを連結するように設けられおり、左輪側出力軸2は
その左端を左輪の駆動系(図示省略)に連結され、右輪
側出力軸3はその右端を右輪の駆動系(図示省略)に連
結されている。
【0065】そして、本装置50は、入力軸(入力部)
1と、差動機構(リヤデフ)4と、増減速機構6と、第
1の伝達トルク容量可変型カップリング7及び第2の伝
達トルク容量可変型カップリング8とからなる駆動力伝
達制御機構5とをそなえている。なお、この実施例で
は、伝達トルク容量可変型カップリング7,8として電
子制御油圧式の湿式油圧多板クラッチ機構が設けられて
いるが、伝達容量可変制御式トルク伝達機構としては、
伝達トルク容量が可変制御できるトルク伝達機構であれ
ばよく、この例の機構のほかに、電磁式多板クラッチ機
構等の他の多板クラッチ機構や、これらの多板クラッチ
機構の他に、油圧式又は電磁式の摩擦クラッチや、油圧
式又は電磁式の制御可能なVCU(ビスカスカップリン
グユニット)や、油圧式又は電磁式の制御可能なHCU
(ハイドローリックカップリングユニット=差動ポンプ
式油圧カップリング)、さらには、電磁流体式あるいは
電磁粉体式クラッチ等の他のカップリングを用いること
もできる。
【0066】なお、摩擦クラッチの場合、多板クラッチ
機構と同様に油圧等で係合力を調整するものが考えら
れ、特に、この摩擦クラッチでは、トルク伝達方向が一
方向のものを所要の方向(それぞれのトルク伝達方向)
へ向けて設置することが考えられる。また、このVCU
やHCUには、従来型の動力伝達特性が一定のものも考
えられるが、動力伝達特性を調整できるようにしたもの
が適している。そして、これらの係合力調整や動力伝達
特性の調整は、油圧による他に、電磁力等の他の駆動系
を用いることも考えられる。
【0067】以下、各部を順に説明する。入力軸1は、
デフキャリヤ9にベアリング10を介して枢支されてお
り、この入力軸1の端部に、ピニオン1Aが装着されて
いる。このピニオン1Aは、デフケース11に固定され
たリングギヤ12に噛合しており、ピニオン1Aの回転
がデフケース11に伝えられるようになっている。
【0068】このデフケース11内に、ベベルギヤ式の
リヤデファレンシャル(リヤデフ)40が設けられてい
る。このベベルギヤ式リヤデフ40は、デフケース11
内に対向するように突設されたピニオン41A,41B
と、左輪側出力軸2及び右輪側出力軸3の対向する軸端
部に突設されたピニオン42A,42Bとから構成され
ている。
【0069】これにより、デフケース11が回転する
と、ピニオン41A,41Bが回転することで、ピニオ
ン42A,42Bを通じて左輪側出力軸2及び右輪側出
力軸3の差動を許容しながら、これらの左輪側出力軸2
及び右輪側出力軸3に駆動力を出力するようになってい
る。そして、このリヤデフ4の隣に、駆動力伝達制御機
構5の増減速機構6が設けられている。
【0070】この増減速機構6は、入力側のリングギヤ
12と一体回転するように結合された中空の中間軸13
と、第1のカップリング7に接続された中空の中間軸
(第1の中間軸)14と、第2のカップリング8に接続
された中空の中間軸(第2の中間軸)15との間に介装
されている。中間軸13は入力軸1と連係して回転す
る。
【0071】なお、これらの中間軸13,14,15は
いずれも中空軸であり、中間軸13,14は、右輪側出
力軸3の外周に相対回転できるように装備され、中間軸
15は、中間軸14のさらに外周にこれも相対回転でき
るように装備されている。つまり、中間軸13は右輪側
出力軸3と仕切壁16との間に枢支され、中間軸14は
右輪側出力軸3と中間軸15との間に枢支され、中間軸
15は中間軸14の外周に枢支されている。
【0072】そして、これらの中間軸13,14,15
は後述する複合遊星歯車機構を通じてそれぞれ軸支され
ている。なお、中間軸13と仕切壁16との間、及び、
中間軸13と右輪側出力軸3との間には、それぞれオイ
ルシール10Dが介装されており、リヤデフ4側と増減
速機構6及びカップリング7,8側とを互いに液密状態
に仕切っている。
【0073】増減速機構6は、増速機構6Aと減速機構
6Bとからなり、これらの増速機構6Aと減速機構6B
とは、複合遊星歯車機構からなっている。つまり、右輪
側出力軸3の周囲には、固定式プラネタリシャフト6C
が、位相をずらして複数(ここでは3つ)設けられてお
り、これらの各プラネタリシャフト6Cには、3種のギ
ヤ18A,18B,18Cをそなえた複合型プラネタリ
ピニオン6Dが枢支されている。
【0074】そして、複合型プラネタリピニオン6Dの
各ギヤ18A,18B,18Cに噛合するように、中間
軸13にギヤ(サンギヤ)13Aが設けられ、中間軸1
4にギヤ(サンギヤ)14Aが設けられ、中間軸15に
ギヤ(サンギヤ)15Aが設けられている。これらのギ
ヤ13A,14A,15Aの歯数をそれぞれZ1
2 ,Z3 とすると、Z2 <Z1 <Z3 の関係に設定さ
れている。また、ギヤ18A,18B,18Cの歯数を
それぞれZ4 ,Z5 ,Z6 とすると、Z6 <Z4 <Z5
の関係に設定されている。
【0075】そして、ギヤ13A,18A,18B,1
4Aの組み合わせにより増速機構6Aが構成され、ギヤ
13A,18A,18C,15Aの組み合わせにより減
速機構6Bが構成さている。即ち、増速機構6Aでは、
ギヤ13A,18A,18B,14Aの経路で、中間軸
13の回転が中間軸14に伝達されると、これらの歯数
比から、中間軸14は中間軸13よりも高速で回転する
のである。また、減速機構6Bでは、ギヤ13A,18
A,18C,15Aの経路で、中間軸13の回転が中間
軸15に伝達されると、これらの歯数比から、中間軸1
5は中間軸13よりも低速で回転するのである。
【0076】このような増減速機構6の出力は、中間軸
14及び15を介して、カップリング7,8側へ入力さ
れるようになっている。また、前述の各中間軸13,1
4,15は、固定式プラネタリシャフト6C,プラネタ
リピニオン6D及びサンギヤ13A,14A,15Aを
通じてそれぞれ軸支されている。
【0077】電子制御湿式油圧多板クラッチ機構である
第1及び第2のカップリング7,8は、リヤデフ4と仕
切壁16により仕切られたデフキャリヤ9内の空間内に
一体に設置されている。これらの湿式多板クラッチ機構
7,8は、右輪側出力軸側クラッチディスク7A,8A
と中間軸側クラッチディスク7B,8Bとが交互に重合
してなり、クラッチケース(カップリング用ケース)2
3内に設けられる。右輪側出力軸側クラッチディスク7
A,8Aの外周にはスプライン軸(図示略)が形成さ
れ、これらのスプライン軸は、クラッチケース23の外
周部23Aの内面とスプライン結合している。また、中
間軸側クラッチディスク7B,8Bの内周にはスプライ
ン穴(図示略)が形成され、これらのスプライン穴は、
各中間軸の端部側とスプライン結合する。
【0078】また、各湿式多板クラッチ機構7,8は油
圧ピストン19,20を通じて押圧され、この油圧ピス
トン19,20の油圧が解除されるとリターンスプリン
グ7E,8Eにより押圧を解除されるようになってい
る。ここでは、油圧ピストン19,20は、クラッチケ
ース23と一体回転する従動側の第1ピストン19A,
20Aと、デフギャリヤ9側に回転しないように設けら
れた駆動側の第2ピストン19B,20Bとからなり、
これらの第1ピストン19A,20Aと第2ピストン1
9B,20Bとの間には、ニードルベアリング(スラス
トベアリング)34が介装され、スラスト力のみ伝達す
るようになっている。
【0079】これらのピストン19,20を駆動するた
めの油圧シリンダ19C,20Cは、第2ピストン19
B,20Bの後方のデフギャリヤ9側に形成されてい
る。これにより、油圧シリンダ19C,20C内の作動
油に遠心力が加わらなくなり、各部の回転状態に係わら
ず安定した油圧を発生でき、ピストン19,20の駆動
精度が高められている。
【0080】なお、第1ピストン19A,20Aが応答
性良く作動するように、第1ピストン19A,20Aは
クラッチケース23の穴部に遊嵌されており、リターン
スプリング7E,8Eも剛性の低いものが採用されてい
る。そして、図示しないコントローラの電子制御によっ
て油圧ピストン19又は20の駆動油圧が油圧給排系7
D,8Dを通じて調整されて、クラッチディスク7A,
7B又は8A,8Bの係合状態、即ち、トルク伝達状態
が調整されるようになっている。
【0081】したがって、コントローラの制御によって
カップリング7が係合されると、急旋回でない通常走行
時には、高速回転する中間軸14側から右輪側出力軸3
側へと、つまり、左輪側出力軸2側から右輪側出力軸3
へと駆動力が移動して、左輪よりも右輪の駆動力の方が
大きくなる。逆に、コントローラの制御によってカップ
リング8が係合されると、急旋回でない通常走行時に
は、右輪側出力軸3側から低速回転する中間軸15側へ
と、つまり、右輪側出力軸3側から左輪側出力軸2へと
駆動力が移動して、右輪よりも左輪の駆動力の方が大き
くなる。
【0082】このように、本装置では、スリップクラッ
チ等での速度の速い側から遅い側へのみトルクを伝達す
るという差動制限時の原理を利用したものである。とこ
ろで、本装置では、中間軸(第2回転軸)15とクラッ
チディスク8Bとの間に第1のクラッチハブ(第1の円
筒状結合部材)31が介装され、中間軸(第3回転軸)
14とクラッチディスク8Bとの間に、第2のクラッチ
ハブ(第2の円筒状結合部材)32が介装される。
【0083】これらのクラッチハブ31,32は、中間
軸15,14とも各クラッチディスク8B,7Bとも別
個に形成され、各外周部に、クラッチディスク8B,7
Bと回転方向へ係合(即ち、クラッチディスク7B,8
Bのスプライン穴とスプライン結合)する係合部(スプ
ライン)31D,32Dを有し、各内周部に中間軸1
5,14と回転方向へ係合(即ち、スプライン結合)す
る係合部(スプライン)31E,32Eを有している。
【0084】また、中間軸15,14の軸端には、外周
に突出した拡径部等は形成されておらず、カップリング
用ケース23内に、第1の伝達トルク容量可変型カップ
リング7及び第2の伝達トルク容量可変型カップリング
8を内装し、これらの各カップリング7,8のクラッチ
ディスク7B,8Bに第1及び第2のクラッチハブ3
1,32を係合した状態で、中間軸15,14の軸端
(図中右側)からこれらの第1及び第2のクラッチハブ
31,32を嵌入させてスプライン結合させることが容
易にできるようになっている。
【0085】また、装置のハウジング(デフキャリヤに
相当する)9も、増減速機構6の外周及び一端面を覆う
ように配設される第1のハウジング部材9Aと、一体型
カップリングを内装したカップリング用ケース部材23
を収納する第2のハウジング部材9Bとに分割でき,特
に、第2のハウジング部材9Bは、カップリング用ケー
ス23外周及び一端面(図中右側端面)を覆うメインハ
ウジング部9Cと、カップリング用ケース23の他端面
(図中左側端面)を覆うサブハウジング部9Dとをそな
えて構成される。
【0086】さらに、第1のハウジング部材9A,第2
のハウジング部材9Bのメインハウジング部9C及びサ
ブハウジング部9Dの各外周部分に、結合用フランジ部
9a,9c,9dが形成され、これらの第1のハウジン
グ部材9A,メインハウジング部9C及びサブハウジン
グ部9D該第1のハウジング部材の3部材が、各結合用
フランジ部9a,9c,9dをぞれぞれ同時に結合する
単一のボルト38で一体に結合されるように構成されて
いる。
【0087】したがって、図4に示すように、第1のハ
ウジング部材9A側のアセンブリ45と、第2のハウジ
ング部材9B側のアセンブリ46とをそれぞれ組み立て
たうえで、両者を結合できるようになっている。なお、
この結合組み立ての際には、第1のハウジング部材9A
側のアセンブリ45の左輪側(図4中左側)を下に向け
て、この上方から、第2のハウジング部材9B側のアセ
ンブリ46を組み付けることができる。これは、前述の
ように、カップリング用ケース23内に、第1の伝達ト
ルク容量可変型カップリング7及び第2の伝達トルク容
量可変型カップリング8を内装し、これらの各カップリ
ング7,8のクラッチディスク7B,8Bに第1及び第
2のクラッチハブ31,32を係合して第2のハウジン
グ部材9B側のアセンブリ46を組み立てれば、各クラ
ッチディスク7B,8Bの位相が整った状態となり、前
述のように、中間軸15,14の軸端(図中右側でこの
場合上向きになる)から第2のハウジング部材9B側の
アセンブリ46をスプライン結合させることができる。
【0088】この時、第1のハウジング部材9Aと第2
のハウジング部材9Bのメインハウジング部9Cとの間
に、サブハウジング部9Dを介装するが、このサブハウ
ジング部9Dには、固定式プラネタリシャフト6Cの一
端を係止しうる溝(軸受け部)39Aが形成されてい
る。また、第1のハウジング部材9Aと一体の仕切壁1
6には固定式プラネタリシャフト6Cの他端を係止しう
る溝(軸受け部)39Bが形成されている。これによ
り、上述のように第1のハウジング部材9A側のアセン
ブリ45の左輪側を下に向けた状態では、複合型プラネ
タリピニオン6DA組み込んだ固定式プラネタリシャフ
ト6Cを仕切壁16の溝39B上に載置して、この上か
らサブハウジング部9Dを載せて、さらに、メインハウ
ジング部9Cを載せた上で、各結合用フランジ部9a,
9c,9dをぞれぞれボルト38で一体に結合すること
ができる。
【0089】ところで、ハウジング(デフキャリヤ)9
の内部には、増減速機構6のギヤ部を潤滑しうる潤滑油
が内蔵されており、この潤滑油が各伝達トルク容量可変
型カップリング7,8のクラッチディスク間の潤滑のた
めに供給されるようになっている。すなわち、カップリ
ング用ケース23の端面(第1ハウジング部材側端部)
23Cは、中間軸(第2回転軸)15の外周面に対向す
るように、筒状部30が形成され、この筒状部30の内
周面と中間軸(第2回転軸)15の外周面との間には、
回転時にハウジング内の潤滑油を該カップリング用ケー
ス内の内周側部分へ導く螺旋溝30Aが穿設されてい
る。
【0090】そして、カップリング用ケース23及び第
1及び第2のクラッチハブ31,32に潤滑油通路31
B,31C,32B,31Cが形成されている。これら
の潤滑油通路31B,31C,32B,31Cは放射状
に形成されている。潤滑油通路31B,31C,32
B,31Cのうち31B,32Bは、カップリング用ケ
ース23のインナ部に相当する第1及び第2のクラッチ
ハブ31,32にに放射状に穿設されて螺旋溝30Aか
ら供給された潤滑油をクラッチディスク側へ導く導入路
であり、31C,32Cは、カップリング用ケース23
のアウタ部(外周部)23Aに放射状に穿設されてクラ
ッチディスク側を潤滑した潤滑油を排出する排出路であ
る。
【0091】これにより、螺旋溝30Aからカップリン
グ用ケース23側に送られてきた潤滑油は、まず、第1
のクラッチハブ31内の空間31Aから、導入路31B
を通ってカップリング用ケース23内に送られ、カップ
リング用ケース23のクラッチディスクを潤滑して、排
出路31Cから排出される。また、螺旋溝30Aからカ
ップリング用ケース23側に送られてきた潤滑油の一部
は、第1のクラッチハブ31に穿設された油路31Fか
ら、第2のクラッチハブ32内の空間32Aを経て、導
入路32Bを通ってカップリング用ケース23内に送ら
れ、カップリング用ケース23のクラッチディスクを潤
滑して、排出路32Cから排出されるようになってい
る。
【0092】さらに、この装置では、各油圧ピストン1
9,20の第1ピストン19A,20Aと第2ピストン
19B,20Bとの間に介装されるニードルベアリング
34のインナレース部分に特徴がある。油圧ピストン1
9を例に説明すると、図6に示すように、油圧ピストン
19はカップリング7の外周に近い部分に設けられ、駆
動側の第2ピストン19Bは、背部の油圧シリンダ19
Cにより前進して、従動側の第1ピストン19Aを押圧
する。また、駆動側の第2ピストン19Bの圧力が下が
ると、従動側の第1ピストン19Aの外周部に設けられ
たリターンスプリング(環状板バネで形成される)7E
により、第1ピストン19Aが後退するようになってい
る。そして、第1ピストン19Aは例えば円柱状の押圧
部をカップリング用ケース23の端部23Bに嵌入させ
るようにして、環状に断続的に設けられている。各ピス
トン19Aはリターンスプリング7Eにより保持されて
はいるが、このスプリング7Eは、クラッチの制御応答
を確保するように極めて低く設定されるので、その横剛
性は低く、各ピストン19Aを十分支持できない。
【0093】そこで、図6〜図8に示すように、ニード
ルベアリング34の第1ピストン19A側レース35
を、ニードルベアリング34のピストン19A側に沿っ
て外周方向へ延在するように屈曲させて且つこの外周方
向へ屈曲したレース35の鍔上部35Bの外周端部に、
各ピストン19Aの外周面に当接しうるように折れ曲が
って該ピストン19Aを収納するインロー部35Cを形
成している。
【0094】なお、35Aはニードルベアリング34の
内周側に屈曲された内周屈曲部であり、37はニードル
ベアリング34を収納する保持器(ケージ)であり、図
9に示すように、この保持器37に放射状に形成された
矩形穴37A内に各ニードルベアリング34が収納され
ている。また、ニードルベアリング34の第2のピスト
ン19B側のレース36は、通常は図7に示すように、
薄板状のものだが、このレース36はピストン19Bの
押圧により移動するので、図6中に示すように、板厚の
プレート部分を有するように構成するのが好ましい。
【0095】このように、レース35にインロー部35
Cが形成されるので、各ピストン19Aはインロー部3
5Cにより確実に保持されるようになる。なお、図7,
図8に示すものでは、インロー部35Cをレース35の
外周全体に設けているが、例えば図10,図11に示す
ように、インロー部35Cを部分的に突出した爪状35
Dのものとして、レース35の外周全体に所要な数だけ
設けるようにしてもよい。
【0096】この例では、爪状のインロー部35Dを等
間隔に3個設けており、このように、レース35の外周
に部分的にインロー部35Dを設けることにより、レー
ス35のプレス加工前の打ち抜き状態のブランクを小さ
くでき、軽量化や材料コストの低減に寄与し、プレス加
工時に僅かなプレス力だけでよいため生産性も良好にな
る。
【0097】さらに、図12に示すように、インロー部
35Cを延長して、スプリング7Eまでもホールドする
ようにしてもよい。爪状のインロー部35Dについても
同様に構成できる。なお、図中、2A,3Aは図示しな
い左輪側駆動軸及び右輪側駆動軸に結合されるフランジ
部であり、10はボールベアリング,10Bはニードル
ベアリング,10Cはころ軸受け,10Dはオイルシー
ル,11はデフケース,24はスリップリングである。
【0098】本発明の一実施例としての車両用左右駆動
力調整装置は、上述のように構成されているので、コン
トローラの制御によってカップリング7,8を適宜作用
させることで、左右輪の駆動力移動により、例えは左右
輪の駆動力を不均等にすることで旋回モーメントを発生
させて車両の旋回性能を向上させたり、逆に、左右輪の
駆動力が均衡するように制御を行なって車両の直進性能
を向上させたりすることができる。
【0099】しかも、ブレーキ等のエネルギーロスを用
いてトルク配分を調整するのでなく、一方のトルクの所
要量を他方に転送することによりトルク配分が調整され
るため、大きなトルクロスやエネルギロスを招来するこ
となく、所望のトルク配分を得ることができる。そし
て、この装置では、カップリング7,8が中間軸13〜
15を介して設けられて、カップリング容量が少なくて
済むので、装置をコンパクト化できる。
【0100】また、制御方向の切換スイッチが省略され
ており、増減速機構6から何れのカップリング7,8へ
も直接駆動トルクが伝わるので、制御応答性が大きく向
上する。さらに、リヤデフ4がベベルギヤ式デフで構成
されているので、拡径することなくコンパクトに構成で
きる。また、増速機構6Aと減速機構6Bとを一体化し
た増減速機構6が設けられているので、すべての機構を
同軸上に設置でき、また、使用オイルの異なるギヤ類と
多板クラッチ部とを分離できるので、装置をコンパクト
化できるとともに、オイル管理を容易にできるようにな
る利点もある。
【0101】さらに、増減速機構6として、複合遊星歯
車機構を使用しているので、歯車の自動調心効果によっ
て、中間軸13,14,15の軸心が自動的に一致し
て、勝つ歯車の噛み合い反力が相殺されて、安定した作
動を行なえる。また、差動機構として、ベベルギヤ式の
ものを用いることができ、ベベルギヤ式を採用すること
で、構造が簡素且つ小型で、元来低コストな上に他の一
般的な差動機構と部品を共用化できるため、この面で
も、コストを削減できる。
【0102】また、螺旋溝30A及び潤滑油通路31
B,31C,32B,31C,31Fにより、カップリ
ング7,8の回転にともなって、自動的に、潤滑油がク
ラッチディスク面に供給されるので、ポンプ等の特別な
手段を設けることなく、デフギャリヤ9内に多量の潤滑
油を内蔵しなくても、極めて低コストで、クラッチディ
スク面への確実な潤滑油供給を行なえ、潤滑油による駆
動ロスを招くことなく、装置の信頼性や耐久性の向上を
実現できる。
【0103】なお、本実施例では、螺旋溝30Aを筒状
部30と中間軸(第2回転軸)15との間の外側、つま
り、筒状部30の内周面に設けているが、螺旋溝30A
は必ずしも筒状部30の側に設けなくてはならないもの
でなく、中間軸(第2回転軸)15側へ設けてもよい。
さらに、図4に示すように、第1のハウジング部材9A
側のアセンブリ45と、第2のハウジング部材9B側の
アセンブリ46とをそれぞれ組み立てたうえで、両者を
結合できる。特に、この結合組み立ての際には、第1の
ハウジング部材9A側のアセンブリ45の左輪側(図4
中左側)を下に向けて、この上方から、第2のハウジン
グ部材9B側のアセンブリ46を組み付けることができ
る。
【0104】特に、前述のように、カップリング用ケー
ス23内の各クラッチディスク7B,8Bに第1及び第
2のクラッチハブ31,32を係合して第2のハウジン
グ部材9B側のアセンブリを組み立てれば、各クラッチ
ディスク7B,8Bの位相が整った状態となり、中間軸
15,14の軸端(図中右側でこの場合上向きになる)
から第2のハウジング部材9B側のアセンブリを容易に
スプライン結合させることができ、組み立て性が大きく
向上する。
【0105】また、この組み立て時に、サブハウジング
部9Dの溝(軸受け部)39Aと仕切壁16の溝(軸受
け部)39Bとの間に、プラネタリシャフト6Cを固定
することができ、プラネタリシャフト6Cを支持するた
めの構造が極めて簡素化され、組み立て性の向上や部品
点数削減やコスト削減や装置の軽量化に寄与する。ま
た、第1のハウジング部材9A,第2のハウジング部材
9Bメインハウジング部9C及びサブハウジング部9D
が、同時に同一のボルト38で一体に結合されるので、
この点でも、組み立て性の向上や部品点数削減やコスト
削減や装置の軽量化に寄与する。
【0106】さらに、各ピストン19Aはインロー部3
5Cにより確実に保持されるようになり、第1ピストン
19Aの応答性を向上させるように、第1ピストン19
A,20Aはクラッチケース23の穴部に遊嵌させ、リ
ターンスプリング7E,8Eに剛性の低いものを採用し
ても、第1ピストン19Aのガタ付き、こじりやかじり
を回避することができ、装置の性能向上に寄与しうる。
【0107】なお、本装置では、増減速機構6として必
ずしも複合遊星歯車機構を用いなくてもよく、増減速機
構6を例えば上述のカウンタシャフト利用の平行2軸の
ものにしてもよい。また、実施例では、右輪側へ本装置
を設けた場合を示したが、本装置は勿論左輪側へ設けて
もよい。
【0108】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1にかかる
本発明の車両用左右駆動力調整装置によれば、車両にお
ける左輪回転軸と右輪回転軸との間に、エンジンからの
駆動力を入力されるリングギヤと、該左輪回転軸と該右
輪回転軸との間の差動を許容しつつ該リングギヤから入
力された駆動力を上記の左輪回転軸及び右輪回転軸に伝
達するベベルギヤ式差動機構と、上記の駆動力の伝達状
態を制御して上記の左輪回転軸及び右輪回転軸への駆動
力配分を調整しうる駆動力伝達制御機構とをそなえ、該
駆動力伝達制御機構が、該左輪回転軸と該右輪回転軸と
の間に介装されて該リングギヤ側の回転速度を増速して
第1の中間軸に出力する増速機構と該リングギヤ側の回
転速度を減速して第2の中間軸に出力する減速機構とを
一体化された増減速機構と、該第1の中間軸と上記の左
輪回転軸及び右輪回転軸のうちの一方の回転軸との間に
介装されて該第1の中間軸と該一方の回転軸との間で駆
動力の伝達を行ないうる第1の伝達トルク容量可変型カ
ップリングと、該第2の中間軸と該一方の回転軸との間
に介装されて該第2の中間軸と該一方の回転軸との間で
駆動力の伝達を行ないうる第2の伝達トルク容量可変型
カップリングとから構成され、上記の第1及び第2の伝
達トルク容量可変型カップリングが互い隣接して一体化
された一体型カップリングとして構成されるとともに、
該差動機構と該増減速機構と該一体型カップリングとが
同軸上に配置されるという構成により、以下のような効
果や利点が得られる。
【0109】ブレーキ等のエネルギーロスを用いてトル
ク配分を調整するのでなく、一方のトルクの所要量を他
方に転送することによりトルク配分が調整されるため、
大きなトルクロスやエネルギロスを招来することなく、
所望のトルク配分を得ることができる。特に、カップリ
ングがエンジンからの駆動力の入力系に対して中間軸を
介して設けられているので、カップリング容量が少なく
て済む。
【0110】この容量を低減できる点と、2つのカップ
リングが一体型に設けられることから、装置をコンパク
ト化できる。差動機構と増減速機構と一体型カップリン
グとが同軸上に配置される点も、装置をコンパクト化に
寄与しうる。また、増減速機構から何れのカップリング
へも直接駆動トルクが伝わるので、制御応答性が大きく
向上する。
【0111】さらに、ベベルギヤ式差動機構の採用によ
り、構造を簡素且つ小型にでき、元来低コストな上、他
の一般的な差動機構と部品を共用化できるため、この面
でも、コストを削減できる利点がある。請求項2にかか
る本発明の車両用左右駆動力調整装置によれば、請求項
1記載の構成において、上記の第1及び第2の伝達トル
ク容量可変型カップリングが、いずれも電子制御式油圧
多板クラッチにより構成され、これらの電子制御式油圧
多板クラッチが直列的に一体化されることで上記一体型
カップリングが構成されることにより、制御性のよい駆
動力調整装置を実現できる。
【0112】請求項3にかかる本発明の車両用左右駆動
力調整装置によれば、請求項1又は2記載の構成におい
て、上記一体型カップリングが、上記の差動機構及び増
減速機構と隔壁を介して設けられることにより、一体型
カップリングのための作動油系には、レスポンスに有利
な種類の油を用い、差動機構及び増減速機構のための潤
滑油系には潤滑性のよい油を用いることができ、カップ
リングのレスポンスの向上と、差動機構及び増減速機構
の潤滑性の向上とを、同時に実現できる。
【0113】上述の請求項4にかかる本発明の車両用左
右駆動力調整装置によれば、車両における左輪回転軸と
右輪回転軸との間に、エンジンからの駆動力を入力され
る入力部と、該左輪回転軸と該右輪回転軸との差動を許
容しつつ該入力部から入力された駆動力を上記の左輪回
転軸及び右輪回転軸に伝達する差動機構と、上記の駆動
力の伝達状態を制御して上記の左輪回転軸及び右輪回転
軸への駆動力配分を調整しうる駆動力伝達制御機構とを
そなえ、該駆動力伝達制御機構が、該入力部と上記の左
輪回転軸及び右輪回転軸のうちの一方の回転軸との間に
介装されて該入力部側の回転速度を増速して出力する増
速機構と該入力部側の回転速度を減速して出力する減速
機構とを一体化された増減速機構と、該増速機構からの
出力を受ける回転軸と上記の左輪回転軸及び右輪回転軸
のうちの一方の回転軸との間に介装されてこれらの回転
軸の間で差動制限しながら駆動力の伝達を行ないうる第
1の伝達トルク容量可変型カップリングと、該減速機構
からの出力を受ける回転軸と該一方の回転軸との間に介
装されてこれらの回転軸の間で差動制限しながら駆動力
の伝達を行ないうる第2の伝達トルク容量可変型カップ
リングとから構成され、上記の第1及び第2の伝達トル
ク容量可変型カップリングが互い隣接して一体化された
一体型カップリングとして構成されカップリング用ケー
ス内に収納されるとともに、該差動機構と該増減速機構
と該一体型カップリングとが同軸上に配置されて、該一
方の回転軸の外周に該一方の回転軸と同心状に設けられ
て該一方の回転軸とは異なる速度で回転しうる第1の中
間軸、及び、該一方の回転軸の外周であって該第2回転
軸の内周に位置して該一方の回転軸及び該第1の中間軸
と同心状に設けられて該一方の回転軸及び該第1の中間
軸とは異なる速度で回転しうる第2の中間軸が設けら
れ、上記の第1及び第2の中間軸のうちの一方が該増速
機構の出力を受け、上記の第1及び第2の中間軸のうち
の他方が該減速機構の出力を受けるように構成されると
ともに、上記の第1及び第2の伝達トルク容量可変型カ
ップリングが、該第1の中間軸又は該第2の中間軸と一
体回転する複数のクラッチディスク及び該一方の回転軸
と一体回転する複数のクラッチディスクとがそれぞれ交
互に重合してなる多板クラッチ機構として構成されて、
該第1の中間軸と、該第1の中間軸と一体回転する複数
のクラッチディスクとの間に、外周部にこのクラッチデ
ィスクと回転方向へ係合する係合部を有し内周部に該第
1の中間軸と回転方向へ係合する係合部を有した第1の
円筒状結合部材が介装され、且つ、該第2の中間軸と、
該第2の中間軸と一体回転する複数のクラッチディスク
との間に、外周部にこのクラッチディスクと回転方向へ
係合する係合部を有し内周部に該第2の中間軸と回転方
向へ係合する係合部を有した第2の円筒状結合部材が介
装されているという構成により、以下のような効果や利
点が得られる。
【0114】ブレーキ等のエネルギーロスを用いてトル
ク配分を調整するのでなく、一方のトルクの所要量を他
方に転送することによりトルク配分が調整されるため、
大きなトルクロスやエネルギロスを招来することなく、
所望のトルク配分を得ることができる。特に、カップリ
ングがエンジンからの駆動力の入力系に対して中間軸を
介して設けられているので、カップリング容量が少なく
て済む。
【0115】この容量を低減できる点と、2つのカップ
リングが一体型に設けられることから、装置をコンパク
ト化できる。差動機構と増減速機構と一体型カップリン
グとが同軸上に配置される点も、装置をコンパクト化に
寄与しうる。また、増減速機構から何れのカップリング
へも直接駆動トルクが伝わるので、制御応答性が大きく
向上する。また、ベベルギヤ式差動機構を採用できる。
【0116】さらに、この装置の組み立てが、極めて容
易になり、組み立て精度の向上や組み立てコストの削減
に寄与しうる。請求項5にかかる本発明の車両用左右駆
動力調整装置によれば、請求項4記載の構成において、
該増減速機構の外周及び一端面を覆うように配設される
第1のハウジング部材と、上記の一体型カップリングを
内装したカップリング用ケース部材を収納する第2のハ
ウジング部材とがそなえられ、該第2のハウジング部材
が、該カップリング用ケース外周及び一端面を覆うメイ
ンハウジング部と、該カップリング用ケースの他端面を
覆うとともに該増減速機構の他端面側に配置されるサブ
ハウジング部とをそなえて構成され、該第1のハウジン
グ部材,該メインハウジング部及び該サブハウジング部
の各外周部分に、結合用フランジ部が形成され、該第1
のハウジング部材,該メインハウジング部及び該サブハ
ウジング部の3部材が、上記の各結合用フランジ部を同
時に結合するボルトにより一体結合されるという構成に
より、組み立て性の向上や部品点数削減やコスト削減や
装置の軽量化に寄与する。
【0117】請求項6にかかる本発明の車両用左右駆動
力調整装置によれば、請求項5記載の構成において、該
増減速機構が、該第1の中間軸及び該第2の中間軸にそ
れぞれ形成された歯車と、これらの各歯車とそれぞれ噛
合するように該第1の中間軸及び該第2の中間軸の外周
に配設された遊星歯車と、これらの遊星歯車を軸支する
遊星歯車回転軸とをそなえて構成され、該第1のハウジ
ング部材に該遊星歯車回転軸の一端を支持しうる軸受部
が形成され、該サブハウジング部に該遊星歯車回転軸の
他端を支持しうる軸受け部が形成されるという構成によ
り、クラッチディスクの位相を考慮することなく、第1
のハウジング部材,メインハウジング部及びサブハウジ
ング部の3つを同時に結合することが容易になり、サブ
ハウジング部の組み付けの際に遊星歯車回転軸を軸支さ
せるのも容易になって、組み立て性の向上や部品点数削
減やコスト削減や装置の軽量化に寄与する。
【0118】請求項7にかかる本発明の車両用左右駆動
力調整装置によれば、請求項1〜6のいずれかに記載の
構成において、上記の各伝達トルク容量可変型カップリ
ングに、該クラッチディスクを押圧する油圧ピストンで
構成された伝達トルク容量可変機構が設けられるという
構成により、油圧ピストンにより円滑に伝達トルク容量
を調整できるようになり、駆動力調整をより好フィーリ
ングで行なえる。
【0119】請求項8にかかる本発明の車両用左右駆動
力調整装置によれば、特に、伝達トルク容量可変型カッ
プリングが複数のクラッチディスクが重合してなる湿式
多板クラッチ機構として構成され、カップリング用ケー
スのハウジング側端部に、第1の中間軸の外周面に対向
する内周面を有する筒状部が形成され、該筒状部の内周
面と該第1の中間軸の外周面との間に回転時に該ハウジ
ング内の潤滑油を該カップリング用ケース内の内周側部
分へ導く螺旋溝が穿設されるとともに、該カップリング
用ケースに、該カップリング用ケース内のクラッチディ
スク間に潤滑を供給しうるように、潤滑油通路が形成さ
れるという構成により、カップリング用ケース内の各ク
ラッチディスク間に自動的にしかも極めて簡素な構成で
潤滑油が供給され、装置の耐久性や信頼性を低コストで
向上できるようになる。
【0120】請求項9にかかる本発明の車両用左右駆動
力調整装置によれば、請求項8記載の構成において、該
潤滑油通路が、該カップリング用ケースのインナ部に放
射状に穿設されて該螺旋溝から供給された潤滑油を該ク
ラッチディスク側へ導く導入路と、該カップリング用ケ
ースのアウタ部に放射状に穿設されて該クラッチディス
ク側を潤滑した潤滑油を排出する排出路とをそなえて構
成されることにより、カップリング用ケース内の各クラ
ッチディスク間への潤滑油の供給が促進されて、装置の
耐久性や信頼性を低コストでより向上できる。
【0121】請求項10にかかる本発明の車両用左右駆
動力調整装置によれば、請求項8又は9記載の構成にお
いて、上記の各伝達トルク容量可変機構が、該クラッチ
ディスクを押圧する油圧ピストンで構成されることによ
り、油圧ピストンにより円滑に伝達トルク容量を調整で
きるようになり、差動制限をより好フィーリングで行な
える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての車両用左右駆動力調
整装置を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施例としての車両用左右駆動力調
整装置の概要構成を示す模式図(スケルトン図)であ
る。
【図3】本発明の一実施例としての車両用左右駆動力調
整装置をそなえた車両の駆動系構成図である。
【図4】本発明の一実施例としての車両用左右駆動力調
整装置のアセンブリ単位を示す図である。
【図5】本発明の一実施例としての車両用左右駆動力調
整装置の潤滑油流路を示す図である。
【図6】本発明の一実施例としての車両用左右駆動力調
整装置の伝達トルク容量可変機構の油圧ピストン部分を
示す拡大断面図である。
【図7】本発明の一実施例としての車両用左右駆動力調
整装置の伝達トルク容量可変機構の油圧ピストン部分に
おけるニードルベアリングのレースを示す図であり、
(a)は正面図であり、(b)は(a)におけるA−A
矢視断面図である。
【図8】本発明の一実施例としての車両用左右駆動力調
整装置の伝達トルク容量可変機構の油圧ピストン部分に
おけるニードルベアリングのレースを示す斜視図であ
る。
【図9】本発明の一実施例としての車両用左右駆動力調
整装置の伝達トルク容量可変機構の油圧ピストン部分に
おけるニードルベアリングを示す模式的な部分正面図で
ある。
【図10】本発明の一実施例としての車両用左右駆動力
調整装置の伝達トルク容量可変機構の油圧ピストン部分
におけるニードルベアリングのレースの変形例を示す図
であり、(a)は正面図であり、(b)は(a)におけ
るB−B矢視断面図である。
【図11】本発明の一実施例としての車両用左右駆動力
調整装置の伝達トルク容量可変機構の油圧ピストン部分
におけるニードルベアリングのレースの変形例を示す斜
視図である。
【図12】本発明の一実施例としての車両用左右駆動力
調整装置の伝達トルク容量可変機構の油圧ピストン部分
の変形例を示す拡大断面図である。
【図13】従来例の車両用左右駆動力調整装置の概要構
成を示す模式図(スケルトン図)である。
【図14】本発明の案出過程で提案された車両用左右駆
動力調整装置を示す断面図である。
【図15】本発明の案出過程で提案された技術の課題を
説明する図である。
【図16】本発明の案出過程で提案された技術の課題を
説明する図である。
【符号の説明】
1 入力軸(入力部) 1A ピニオン 2 左輪側出力軸(左輪側回転軸) 2A,3A フランジ 3 右輪側出力軸(右輪側回転軸) 4 差動機構としてのリヤデファレンシャル(リヤデ
フ) 5 駆動力伝達制御機構 6 増減速機構 6A 増速機構 6B 減速機構 6C 固定式プラネタリシャフト 6D 複合型プラネタリピニオン 6E キャリヤ 7 第1の伝達トルク容量可変型カップリング 8 第2の伝達トルク容量可変型カップリング 7A,8A,7B,8B クラッチディスク 7C,8C 油圧ピストン 7D,8D 油圧給排系 7E,8E リターンスプリング 9 デフキャリヤ(ハウジング) 9A 第1のハウジング部材 9B 第2のハウジング部材 9C 第2のハウジング部材9Bのメインハウジング部 9D 第2のハウジング部材9Bのサブハウジング部 9a,9c,9d 結合用フランジ部 10 ボールベアリング 10B ニードルベアリング 10C ころ軸受け 10D オイルシール 11 デフケース 12 リングギヤ 13 中空の中間軸 14 中空の中間軸(第1の中間軸) 15 中空の中間軸(第2の中間軸) 13A,14A,15A ギヤ 16 仕切壁 18A,18B,18C ギヤ 19,20 油圧ピストン 19A,20A 第1ピストン(従動側ピストン) 19B,20B 第2ピストン(駆動側ピストン) 19C,20C 油圧シリンダ 23 クラッチケース 23A クラッチケース23の外周部 23B,23C クラッチケース23の端部 24 スリップリング 30 筒状部 30A 螺旋溝 31 第1のクラッチハブ(第1の円筒状結合部材) 31B,31C,32B,31C 潤滑油通路 31D,32D,31E,32E 係合部(スプライ
ン) 32 第2のクラッチハブ(第2の円筒状結合部材) 34 ニードルベアリング(スラストベアリング) 35,36 レース 35A 内周屈曲部 35B 鍔上部 35C インロー部 35D 爪状インロー部 37 保持器(ケージ) 38 ボルト 39A,39B 溝(軸受け部) 40 ベベルギヤ式のリヤデファレンシャル(リヤデ
フ) 41A,41B,42A,42B ピニオン 45 第1のハウジング部材9A側のアセンブリ 46 第2のハウジング部材9B側のアセンブリ 50 車両用左右駆動力調整装置 52 エンジン 54 トランスミッション 56 中間ギア 58 差動歯車機構(センタディファレンシャル) 60 前輪用の差動歯車機構(フロントディファレンシ
ャル) 62L,62R 車軸 64L,64R 前輪 66 ベベルギヤ機構 68 プロペラシャフト 70 ベベルギヤ機構 72 後輪用の差動歯車装置(リヤディファレンシャ
ル) 72L,72R 車軸 74L,74R 後輪 76 ビスカスカップリングユニット(VCU) 78 油圧ユニット 80 リザーバタンク 82 電子制御ユニット(ECU) 84 電子制御ユニット(ABSECU)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両における左輪回転軸と右輪回転軸と
    の間に、エンジンからの駆動力を入力されるリングギヤ
    と、該左輪回転軸と該右輪回転軸との間の差動を許容し
    つつ該リングギヤから入力された駆動力を上記の左輪回
    転軸及び右輪回転軸に伝達するベベルギヤ式差動機構
    と、上記の駆動力の伝達状態を制御して上記の左輪回転
    軸及び右輪回転軸への駆動力配分を調整しうる駆動力伝
    達制御機構とをそなえ、 該駆動力伝達制御機構が、 該左輪回転軸と該右輪回転軸との間に介装されて該リン
    グギヤ側の回転速度を増速して第1の中間軸に出力する
    増速機構と該リングギヤ側の回転速度を減速して第2の
    中間軸に出力する減速機構とを一体化された増減速機構
    と、 該第1の中間軸と上記の左輪回転軸及び右輪回転軸のう
    ちの一方の回転軸との間に介装されて該第1の中間軸と
    該一方の回転軸との間で駆動力の伝達を行ないうる第1
    の伝達トルク容量可変型カップリングと、 該第2の中間軸と該一方の回転軸との間に介装されて該
    第2の中間軸と該一方の回転軸との間で駆動力の伝達を
    行ないうる第2の伝達トルク容量可変型カップリングと
    から構成され、 上記の第1及び第2の伝達トルク容量可変型カップリン
    グが互い隣接して一体化された一体型カップリングとし
    て構成されるとともに、 該差動機構と該増減速機構と該一体型カップリングとが
    同軸上に配置されていることを特徴とする、車両用左右
    駆動力調整装置。
  2. 【請求項2】 上記の第1及び第2の伝達トルク容量可
    変型カップリングが、いずれも電子制御式油圧多板クラ
    ッチにより構成され、これらの電子制御式油圧多板クラ
    ッチが直列的に一体化されることで上記一体型カップリ
    ングが構成されていることを特徴とする、請求項1記載
    の車両用左右駆動力調整装置。
  3. 【請求項3】 上記一体型カップリングが、上記の差動
    機構及び増減速機構と隔壁を介して設けられていること
    を特徴とする、請求項1又は2記載の車両用左右駆動力
    調整装置。
  4. 【請求項4】 車両における左輪回転軸と右輪回転軸と
    の間に、エンジンからの駆動力を入力される入力部と、
    該左輪回転軸と該右輪回転軸との差動を許容しつつ該入
    力部から入力された駆動力を上記の左輪回転軸及び右輪
    回転軸に伝達する差動機構と、上記の駆動力の伝達状態
    を制御して上記の左輪回転軸及び右輪回転軸への駆動力
    配分を調整しうる駆動力伝達制御機構とをそなえ、 該駆動力伝達制御機構が、 該入力部と上記の左輪回転軸及び右輪回転軸のうちの一
    方の回転軸との間に介装されて該入力部側の回転速度を
    増速して出力する増速機構と該入力部側の回転速度を減
    速して出力する減速機構とを一体化された増減速機構
    と、 該増速機構からの出力を受ける回転軸と上記の左輪回転
    軸及び右輪回転軸のうちの一方の回転軸との間に介装さ
    れてこれらの回転軸の間で差動制限しながら駆動力の伝
    達を行ないうる第1の伝達トルク容量可変型カップリン
    グと、該減速機構からの出力を受ける回転軸と該一方の
    回転軸との間に介装されてこれらの回転軸の間で差動制
    限しながら駆動力の伝達を行ないうる第2の伝達トルク
    容量可変型カップリングとから構成され、 上記の第1及び第2の伝達トルク容量可変型カップリン
    グが互い隣接して一体化された一体型カップリングとし
    て構成されカップリング用ケース内に収納されるととも
    に、該差動機構と該増減速機構と該一体型カップリング
    とが同軸上に配置されて、 該一方の回転軸の外周に該一方の回転軸と同心状に設け
    られて該一方の回転軸とは異なる速度で回転しうる第1
    の中間軸、及び、該一方の回転軸の外周であって該第2
    回転軸の内周に位置して該一方の回転軸及び該第1の中
    間軸と同心状に設けられて該一方の回転軸及び該第1の
    中間軸とは異なる速度で回転しうる第2の中間軸が設け
    られ、 上記の第1及び第2の中間軸のうちの一方が該増速機構
    の出力を受け、上記の第1及び第2の中間軸のうちの他
    方が該減速機構の出力を受けるように構成されるととも
    に、 上記の第1及び第2の伝達トルク容量可変型カップリン
    グが、該第1の中間軸又は該第2の中間軸と一体回転す
    る複数のクラッチディスク及び該一方の回転軸と一体回
    転する複数のクラッチディスクとがそれぞれ交互に重合
    してなる多板クラッチ機構として構成されて、 該第1の中間軸と、該第1の中間軸と一体回転する複数
    のクラッチディスクとの間に、外周部にこのクラッチデ
    ィスクと回転方向へ係合する係合部を有し内周部に該第
    1の中間軸と回転方向へ係合する係合部を有した第1の
    円筒状結合部材が介装され、且つ、該第2の中間軸と、
    該第2の中間軸と一体回転する複数のクラッチディスク
    との間に、外周部にこのクラッチディスクと回転方向へ
    係合する係合部を有し内周部に該第2の中間軸と回転方
    向へ係合する係合部を有した第2の円筒状結合部材が介
    装されていることを特徴とする、車両用左右駆動力調整
    装置。
  5. 【請求項5】 該増減速機構の外周及び一端面を覆うよ
    うに配設される第1のハウジング部材と、上記の一体型
    カップリングを内装したカップリング用ケース部材を収
    納する第2のハウジング部材とがそなえられ、 該第2のハウジング部材が、該カップリング用ケース外
    周及び一端面を覆うメインハウジング部と、該カップリ
    ング用ケースの他端面を覆うとともに該増減速機構の他
    端面側に配置されるサブハウジング部とをそなえて構成
    され、 該第1のハウジング部材,該メインハウジング部及び該
    サブハウジング部の各外周部分に、結合用フランジ部が
    形成され、 該第1のハウジング部材,該メインハウジング部及び該
    サブハウジング部の3部材が、上記の各結合用フランジ
    部を同時に結合するボルトにより一体結合されるように
    構成されていることを特徴とする、請求項4記載の車両
    用左右駆動力調整装置。
  6. 【請求項6】 該増減速機構が、該第1の中間軸及び該
    第2の中間軸にそれぞれ形成された歯車と、これらの各
    歯車とそれぞれ噛合するように該第1の中間軸及び該第
    2の中間軸の外周に配設された遊星歯車と、これらの遊
    星歯車を軸支する遊星歯車回転軸とをそなえて構成さ
    れ、 該第1のハウジング部材に該遊星歯車回転軸の一端を支
    持しうる軸受部が形成され、 該サブハウジング部に該遊星歯車回転軸の他端を支持し
    うる軸受け部が形成されていることを特徴とする、請求
    項5記載の車両用左右駆動力調整装置。
  7. 【請求項7】 上記の各伝達トルク容量可変型カップリ
    ングに、該クラッチディスクを押圧する油圧ピストンで
    構成された伝達トルク容量可変機構が設けられているこ
    とを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の車両
    用左右駆動力調整装置。
  8. 【請求項8】 車両における左輪回転軸と右輪回転軸と
    の間に、エンジンからの駆動力を入力される入力部と、
    該左輪回転軸と該右輪回転軸との間の差動を許容しつつ
    該入力部から入力された駆動力を上記の左輪回転軸及び
    右輪回転軸に伝達する式差動機構と、上記の駆動力の伝
    達状態を制御して上記の左輪回転軸及び右輪回転軸への
    駆動力配分を調整しうる駆動力伝達制御機構とをそな
    え、 該駆動力伝達制御機構が、 該左輪回転軸と該右輪回転軸との間に介装されて該入力
    部側の回転速度を増速して第1の中間軸に出力する増速
    機構と該入力部側の回転速度を減速して第2の中間軸に
    出力する減速機構とを一体化された増減速機構と、 該第1の中間軸と上記の左輪回転軸及び右輪回転軸のう
    ちの一方の回転軸との間に介装されて該第1の中間軸と
    該一方の回転軸との間で駆動力の伝達を行ないうる第1
    の伝達トルク容量可変型カップリングと、 該第2の中間軸と該一方の回転軸との間に介装されて該
    第2の中間軸と該一方の回転軸との間で駆動力の伝達を
    行ないうる第2の伝達トルク容量可変型カップリングと
    から構成されるとともに、 上記の第1及び第2の伝達トルク容量可変型カップリン
    グが互い隣接して一体化された一体型カップリングとし
    て構成され、 該一体型カップリングを収納するカップリング用ケース
    と、 該カップリング用ケースに隣接して設けられて該増減速
    機構を収納するととも該増減速機構用の潤滑油を内蔵す
    るハウジングとがそなえられ、 該伝達トルク容量可変型カップリングが複数のクラッチ
    ディスクが重合してなる湿式多板クラッチ機構として構
    成され、 該カップリング用ケースの該ハウジング側端部に、該第
    1の中間軸の外周面に対向する内周面を有する筒状部が
    形成され、 該筒状部の内周面と該第1の中間軸の外周面との間に回
    転時に該ハウジング内の潤滑油を該カップリング用ケー
    ス内の内周側部分へ導く螺旋溝が穿設されるとともに、 該カップリング用ケースに、該カップリング用ケース内
    のクラッチディスク間に潤滑を供給しうるように、潤滑
    油通路が形成されていることを特徴とする、車両用左右
    駆動力調整装置。
  9. 【請求項9】 該潤滑油通路が、該カップリング用ケー
    スのインナ部に放射状に穿設されて該螺旋溝から供給さ
    れた潤滑油を該クラッチディスク側へ導く導入路と、該
    カップリング用ケースのアウタ部に放射状に穿設されて
    該クラッチディスク側を潤滑した潤滑油を排出する排出
    路とをそなえて構成されていることを特徴とする、請求
    項8記載の車両用左右駆動力調整装置。
  10. 【請求項10】 上記の各伝達トルク容量可変機構が、
    該クラッチディスクを押圧する油圧ピストンで構成され
    ていることを特徴とする、請求項8又は9記載の車両用
    左右駆動力調整装置。
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FR2864191A1 (fr) * 2003-12-19 2005-06-24 Peugeot Citroen Automobiles Sa Differentiel asymetrique dissipatif a double embrayage excentre, pour vehicule automobile
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