JPH0838589A - 人工関節固定材料 - Google Patents

人工関節固定材料

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JPH0838589A
JPH0838589A JP7154994A JP15499495A JPH0838589A JP H0838589 A JPH0838589 A JP H0838589A JP 7154994 A JP7154994 A JP 7154994A JP 15499495 A JP15499495 A JP 15499495A JP H0838589 A JPH0838589 A JP H0838589A
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JP
Japan
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calcium
artificial
artificial joint
molar ratio
fixing material
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JP7154994A
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English (en)
Inventor
Shigeharu Takagi
茂栄 高木
Takashi Oku
隆司 奥
Keijiro Shigeru
啓二郎 茂
Tsutomu Shishikura
勉 宍倉
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Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 整形外科分野などで使用される人工関節を骨
と固着させるために用いる人工関節固定材料に関し、金
属やセラミックス等の人工関節として用いられる材料と
骨との接着性が良く、かつ、生体適応性の良い材料を提
供できるようにすることを目的とする。 【構成】 カルシウムとリンとのモル比が1.60〜1.70の
範囲にあるリン酸カルシウム化合物を1350℃以上の高温
で脱水熱分解させ粉砕したものである粉体と、生理食塩
水、血液、リンゲル液、人工血漿、またはこれらを水で
薄めた液、あるいはコラーゲン繊維を水に分散させた液
の中から選ばれた少なくとも1種を含んでなるように構
成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は整形外科分野などで使用
される人工関節を骨と固着させるために用いる人工関節
固定材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、人工関節の生体固着法として、骨
セメントを用いる方法と、骨セメントを用いない方法
(セメントレス法)とが知られている。このうち、骨セ
メントを用いる方法は、用いられる骨セメントが自己重
合性のメチルメタクリレート系セメントであったため、
重合時の発熱により周囲組織を壊死させたり、また若干
量の未反応モノマが生体内で溶け出して生体組織を害
し、発熱、人工関節の緩み、あるいは余病の併発などを
生ずることがあり、人工関節の再手術が必要になるなど
満足できるものではなかった。一方、セメントレス法で
は、人工関節が直接骨と接しているため、新生骨の形成
によって人工関節が骨と十分に固着するまでの相当期間
は体重免荷の状態にしておかねばならず、手術後早期よ
り荷重歩行ができない等の問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来における人工関節
の生体固着法には、骨セメントを用いると、重合時の発
熱により周囲組織を壊死させたり、また若干量の未反応
モノマが生体内で溶け出して生体組織を害し、発熱、人
工関節の緩み、あるいは余病の併発などを生じ、また、
セメントレス法によると、新生骨の形成によって人工関
節が骨と十分に固着するまでの期間、体重免荷の状態に
しておかねばならず、手術後長期間、荷重歩行ができな
い等、それぞれの問題点があった。
【0004】本発明は、これらの問題点に鑑みてなされ
たもので、これらの問題点を解決するための技術的課題
は、金属やセラミックス等の人工関節として用いられる
材料と骨との接着性が良く、かつ、生体適応性の良い人
工関節固定材料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明による請求項1記
載の人工関節固定材料は、カルシウムとリンとのモル比
が1.60〜1.70の範囲にあるリン酸カルシウム化合物を13
50℃以上の高温で脱水熱分解させ粉砕したものである粉
体と、生理食塩水、血液、リンゲル液、人工血漿、また
はこれらを水で薄めた液、あるいはコラーゲン繊維を水
に分散させた液の中から選ばれた少なくとも1種を含ん
でなるものである。
【0006】そして、請求項2記載の人工関節固定材料
は、前記リン酸カルシウム化合物のカルシウムとリンと
のモル比が、1.64〜1.69の範囲にあることを特徴とす
る。
【0007】そしてまた、請求項3記載の人工関節固定
材料は、前記リン酸カルシウム化合物のカルシウムとリ
ンとのモル比が、1.66〜1.68の範囲にあることを特徴と
する。
【0008】(発明の具体的説明)本発明に使用される
粉体は、リン酸カルシウム化合物を大気中、又は窒素も
しくはアルゴン等の不活性ガス雰囲気中で1350℃以上の
高温で脱水熱分解させ、この分解生成物を粉砕すること
により得ることができる。ここで用いられるリン酸カル
シウム化合物は、ヒドロシキアパタイトであって、カル
シウムとリンとのモル比が1.60〜1.70の範囲にあるもの
とする。この範囲の中でも、カルシウムとリンとのモル
比が、1.64〜1.69の範囲にあるものが望ましく、特に、
カルシウムとリンとのモル比が、1.66〜1.68の範囲にあ
るものが好ましい。このリン酸カルシウム化合物は、例
えば、水酸化カルシウムのスラリにリン酸液を滴下して
反応熟成させ、これをろ過洗浄後に乾燥する、いわゆる
湿式法で合成することができる。
【0009】また、本発明による粉体は、α型リン酸三
カルシウム[α−Ca3(PO4)2 ]とリン酸四カルシウム
[Ca4 O(PO4)2 ]の混合物であり、水和反応性を有す
る。これは、この混合粉体に生理食塩水、血液、リンゲ
ル液等を混和させて水和反応させた時に、ヒドロキシア
パタイトを完全に生成し、硬化させることができるとと
もに生体への適応性に優れている。前記粉体のカルシウ
ムとリンのモル比が1.64〜1.69の範囲にあるリン酸カル
シウム化合物を1350℃以上の高温で脱水熱分解すると、
モル比で2 対 0.8〜1.2 の混合割合のα型リン酸三カル
シウムとリン酸四カルシウムの混合物が得られる。ま
た、前記粉体のカルシウムとリンのモル比が1.66〜1.68
の範囲にある時に、α型リン酸三カルシウムとリン酸四
カルシウムの混合割合が2対1となる。
【0010】仮に、前記粉体のカルシウムとリンのモル
比が1.60より小さいと、熱分解した時にリン酸三カルシ
ウムの割合が多くなって、水和反応後の硬化体はカルシ
ウム欠損型のアパタイトとなってしまう。また、前記粉
体のカルシウムとリンのモル比が1.70より大きいと、熱
分解物中に酸化カルシウムが含まれるカルシウム過剰型
のアパタイトとなり、人工関節固定材料として使用する
際に、酸化カルシウムの刺激が強く、炎症反応を起こす
原因となる。
【0011】本発明の粉体は、リン酸カルシウム化合物
を脱水熱分解後、粉砕機を用いて粉砕し、特に88μm以
下の粒径に粒度調整することが望ましい。そして、この
ようにして得られた粉体に、生理食塩水、血液、リンゲ
ル液、人工血漿、又はこれらを水で薄めた液、あるいは
コラーゲン繊維を水に分散させた液の中から選ばれた少
なくとも1種類を添加して練和し、骨髄腔内に充填した
後に人工関節を挿入し、水和反応させることによって硬
化させ、人工関節を骨に固定する。
【0012】前記水和反応の添加液はいずれも生体適応
性がよく、生体への害もなく安全性が高いものである。
人工血漿としてはポリビニルピロリドンが好ましく、増
粘効果を有するためにねっとりとして骨に付き易く、作
業性が向上する。また、コラーゲン繊維は特に骨の形成
能力を高める効果を有する。これら添加液は1種もしく
は2種以上が用いられ、粉体 100重量部に対して20〜 1
00重量部、好ましくは30〜70重量部が加えられる。添加
液が20重量部より少ないと混練が十分にされず、また 1
00重量部より多いと硬化に際して余分な水が多くなるの
で好ましくない。
【0013】本発明の人工関節固定材料は、例えば、以
下のようにして使用することができる。人工股関節置換
手術において、骨髄腔内を掻爬したのち、その腔部に本
発明の粉体と、例えば生理食塩水の混練物を十分に充填
し、次に人工股関節のステム部を挿入し、このステム部
を人工関節固定材料の水和反応によって固定させる。
【0014】このように、本発明における粉体は、リン
酸カルシウム化合物を出発原料とし、これを高温で脱水
熱分解することで得られるα型リン酸三カルシウムとリ
ン酸四カルシウムの混合物であり、生体適応性が良い添
加液を加えて水和反応させることによって、可逆的に、
カルシウムとリンとのモル比が同一のヒドロキシアパタ
イト組成物を得られる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 (実施例1)公知の湿式法により、水酸化カルシウムス
ラリにリン酸液を滴下して、カルシウムとリンのモル比
が1.66のリン酸カルシウムゲルを合成した。これをろ
過、洗浄後に乾燥してその一部を採取し、電気炉で 110
℃、1 時間焼成したのち、X線回折によりすべてヒドロ
キシアパタイトであることを確認した。即ち未反応の遊
離石灰もしくは反応分解したβ型リン酸カルシウムは含
まれていない。次に、このヒドロキシアパタイト粉を、
大気中で1550℃、10時間、脱水熱分解させ、α型リン酸
三カルシウム[α−Ca3(PO4)2 ]とリン酸四カルシウム
[Ca4O( PO4)2 ]の混合物を得た。第1図に、得られた
α型リン酸三カルシウムとリン酸四カルシウムのX線回
折パターンを示す。その次に、この混合物を小型ポット
ミルで粉砕し、粒径88μm以下に粒度調整して、本発明
の人工関節固定材料の粉体を得た。
【0016】(実施例2)実施例1で製造した粉体 100
gに、生理食塩水 60 gを添加し、ビーカー内で混練し
たのち、1cm×1cm× 10 cmの型枠に流し込み、強度試
験用の試料を作成した。この混練物を37℃で養生し、
1日後、7日後の曲げ強さ(JIS R1601 「ファインセラ
ミックスの曲げ強さ試験方法」による)は、それぞれ9
0 kgf/cm2、130 kgf/cm2であった。また、同様の混
練物を、37℃の生理食塩水内に入れ、硬化実験を行っ
たところ、1日で硬化し、X線回折で確認したところ、
リン酸四カルシウムが一部残存しているものの、ほとん
どヒドロキシアパタイトに変化し硬化していた。第2図
に生成物のX線回折パターンを示す。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、本発明における請
求項1記載の人工関節固定材料は、カルシウムとリンと
のモル比が1.60〜1.70の範囲にあるリン酸カルシウム化
合物を1350℃以上の高温で脱水熱分解させ粉砕すること
によって得られた粉体に、生理食塩水、患者の血液、お
よびリンゲル液等を添加したものであるから、水和反応
を生じさせて、硬化させることができる。水和反応させ
て得られる硬化体が、カルシウム欠損を生じることがな
く、また固定材料として使用する際に熱分解物中に生じ
た酸化カルシウムにより炎症反応を起こすようなことも
ない、生体親和性の良好なヒドロキシアパタイトを生成
することができる。ヒドロキシアパタイトに変化させる
ことができるため、硬化後の生体親和性が良好となり、
この硬化した材料が生体内では周辺の骨組織に害を及ぼ
すことがなく、人工関節を安全かつ確実に固着させるこ
とができる。人工関節を安全かつ確実に固着させる自己
硬化性材料であるため、自然骨に人工関節を早く固着さ
せ、手術後における荷重歩行が早期に開始できるように
なり、患者の負担を軽減させることができる。このた
め、粉体が添加された液中の水と水和反応して硬化する
自己硬化性を有するとともにヒドロキシアパタイトを完
全に生成させるため、作業性の良い、利便性に富む固定
材料であるとともに生体への適応性に優れた固定材料を
提供することができる。
【0018】そして、請求項2記載の人工関節固定材料
は、前記粉体のカルシウムとリンとのモル比が1.64〜1.
69の範囲にあるため、水和反応性が高く、水和反応によ
りヒドロキシアパタイトに変化させることができて、生
体適応性に優れた、利便性に富む固定材料を提供するこ
とができる。
【0019】そしてまた、請求項3記載の人工関節固定
材料は、前記粉体のカルシウムとリンとのモル比が1.66
〜1.68の範囲にあるため、反応活性が高く、水和反応に
より理想的なモル比に近いヒドロキシアパタイトに変化
させることができて、生体適応性が非常に優れた、きわ
めて利便性に富む、最適な人工関節固定材料を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の人工関節固定材料に使用する粉体のX
線回折図である。
【図2】本発明の人工関節固定材料の硬化1日後のX線
回折図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルシウムとリンとのモル比が1.60〜1.
    70の範囲にあるリン酸カルシウム化合物を1350℃以上の
    高温で脱水熱分解させ粉砕したものである粉体と、 生理食塩水、血液、リンゲル液、人工血漿、またはこれ
    らを水で薄めた液、あるいはコラーゲン繊維を水に分散
    させた液の中から選ばれた少なくとも1種とを含んでな
    る人工関節固定材料。
  2. 【請求項2】 前記リン酸カルシウム化合物のカルシウ
    ムとリンとのモル比が、1.64〜1.69の範囲にあることを
    特徴とする請求項1記載の人工関節固定材料。
  3. 【請求項3】 前記リン酸カルシウム化合物のカルシウ
    ムとリンとのモル比が、1.66〜1.68の範囲にあることを
    特徴とする請求項1記載の人工関節固定材料。
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Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60142857A (ja) * 1983-12-29 1985-07-29 住友セメント株式会社 骨セメント組成物
JPS60253454A (ja) * 1984-03-24 1985-12-14 大日本塗料株式会社 骨・歯牙充填用組成物
JPS6171060A (ja) * 1984-09-13 1986-04-11 名神株式会社 骨、歯牙充填用のα―リン酸三カルシウム含有組成物

Patent Citations (3)

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