JPH0838110A - シート状珍味 - Google Patents

シート状珍味

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JPH0838110A
JPH0838110A JP6193805A JP19380594A JPH0838110A JP H0838110 A JPH0838110 A JP H0838110A JP 6193805 A JP6193805 A JP 6193805A JP 19380594 A JP19380594 A JP 19380594A JP H0838110 A JPH0838110 A JP H0838110A
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瑞夫 矢嶋
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亮太 片平
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 魚肉および/または畜肉を用いて、強靱性の
ある食感の優れたシート状珍味を提供すること 【構成】 魚肉および/または畜肉擂潰物およびそれら
の1〜80重量%(乾量グリアジン/湿潤肉原料)の小
麦グルテンより分画されたグリアジンを含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はシート状珍味に関する。
【0002】
【従来の技術】シート状珍味には多くのものがあり、例
えばいかの胴体や足をそのまま、または牛肉をスライス
したような定型の食品素材をシート状とした伸しいかや
ビーフジャーキーなどは代表的なものである。一方、魚
肉すり身や挽き肉のように原料肉を砕いた無定型の原料
を用いてシート状珍味を作る場合もある。例えば、伸し
いかは裂きいかの模造品である鱈のすり身を用いたシー
ト状珍味が有名である。
【0003】特に、無定型原料を用いてシート状珍味を
作る場合、使用原料の物性が製品の善し悪しを大きく左
右する。また、伸しいかや裂きいかの模造品である鱈の
すり身シートにおいては、基本的には蒲鉾の製造工程と
類似しており、鱈のすり身を塩摺、擂潰したものに調味
料などを入れ、シート状としたものを加熱、乾燥し、伸
しいかや裂きいか模造品としている。この場合、その製
品は伸しいかや裂きいかのような強靱さに欠けるなどの
食感的問題がある。特に、鱈のすり身として、その等級
の低い、いわゆるC級すり身を使用する場合に一層その
傾向は強い。
【0004】また、このような問題点を補うため、蒲鉾
で使用されているグルテンなどを入れることも考えられ
るが、硬さが増強されるだけで、引き裂くときの強靱さ
は増強されないなどの問題がある。
【0005】一方、畜肉を利用したシート状珍味として
は、ビーフジャーキーがよく知られているが、魚肉と異
なり、畜肉は擂潰しても結着性、ゲル形成能が低く、擂
潰によりビーフジャーキーのような強靱性はなくなるた
め、無定型原料を用いてシート状珍味を作っても、その
食感は脆く、強靱性がないため食感の優れた製品を作る
ことができない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、魚肉
および/または畜肉を利用した、食感の優れたシート状
珍味を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、小麦グルテ
ンを構成している粘性物質であるグリアジンを弾性物質
であるグルテニンと分離し、グリアジンを魚肉および/
または畜肉とともに、擂潰混合することにより、強靱性
に優れ、従って、食感に優れたシート状物を得ることが
できることを見出し、本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明は魚肉および/または畜
肉擂潰物および小麦グルテンより分画されたグリアジン
を含むことを特徴とするシート状珍味を提供する。グリ
アジンのもつ、結着性および未加熱または加熱ゲル化物
を乾燥したときに現れる強靱性に優れる物性を利用した
ものである。
【0009】グリアジンは、一般に、小麦グルテン中の
70%エタノール可溶性物質を称し、小麦グルテンから
30〜70容量%のエタノール水溶液、または30容量
%以下の酸性エタノール水溶液で抽出分離を行って得た
上澄液から加水法、乾燥法、pH調整法などの方法によ
って分離分画して得ることができる。本発明の小麦グル
テンより分画されたグリアジンとしては、このようにし
て得られた分画物を湿潤状態のまま、または乾燥して粉
末としたものを用いてもよい。この場合、分画物中にグ
リアジンが乾量基準で50重量%以上含まれていること
が好ましい。
【0010】シート状珍味中のグリアジン含量として
は、湿潤基準(湿潤グリアジン/湿潤肉原料)で魚肉お
よび/または畜肉に対し、10〜200重量%が好まし
く、特に好ましくは10〜100重量%である。乾量基
準(乾燥グリアジン/湿潤肉原料)では、1〜80重量
%、特に好ましくは2〜50重量%である。
【0011】本発明のシート状珍味には、魚肉および/
または畜肉、グリアジンのほかに、種々の食品素材、調
味料および香辛料などを含有させることができる。食品
素材としては、例えば、スルメ、帆立て貝、海草のよう
な魚介類、野菜類、乳製品および澱粉類などを挙げるこ
とができるが、これらに限定されるものではない。調味
料としては、天然エキス類、アミノ酸、核酸、各種塩
類、甘味料などを挙げることができるが、これらに限定
されない。また、シート状珍味に、グリセリン、プロピ
レングリコール、水飴、糖質の還元物などのポリオール
類を含有させると、しなやかな製品を得ることができ
る。
【0012】本発明のシート状珍味は、魚肉および/ま
たは畜肉を原料とし、そのなかにグリアジンを混入させ
たのち、シート状に伸ばしたものを加熱および/または
乾燥することにより製造することができ、その製造工
程、条件に限定されるものではない。好ましくは、例え
ば、魚肉または畜肉に食塩を加えて擂潰(塩摺)した
後、乾燥グリアジンと前記したような食品素材や調味
料、香辛料、ソルビットなどを添加混合し、この混合物
を厚さ2〜3mmのシート状に伸ばした後、5〜10分
間の蒸煮を行い、その後、水分が20%以下になるまで
乾燥して製品とする。
【0013】また、乾燥したシート状物にさらに調味料
などの混合物を振りかけてもよく、その後、適当な大き
さに切断してシート状珍味とすることもできる。さらに
は、乾燥シート状物をいかなどの形状に切断したのち、
バッターを添着して油揚げをしたり、表面を焼いたりす
ることにより、製品とすることもできる。
【0014】また、次のような方法により製造すること
もできる。すなわち、魚肉および/または畜肉に食塩を
加え、塩摺を行ったものに、ペースト状グリアジン抽出
物または乾燥粉末を復水したものを加えた後、前記食品
素材や調味料、ポリオール類、香辛料などを混合したも
のを2〜3mmの厚さのシートとし、100〜400℃
のオーブンで焼成し、必要に応じ、さらに乾燥させたの
ち、前記と同様な操作でシート状珍味を得ることができ
る。
【0015】また、前記した2〜3mmのシート状に伸
ばしたものを、焼成や蒸したりすることなく、そのまま
乾燥することによっても同様にシート状珍味を得ること
ができる。
【0016】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。実施例中、%は断らないかぎり重量基準であ
る。
【0017】参考例1(分画物1) 小麦グルテン(粉末活性グルテン)1kgを70容量%
のエタノール水溶液8リットルに溶解分散し、室温で2
時間、プロペラ攪拌で抽出を行い、抽出液を遠心分離機
を用いて分離を行い、上澄液を得た。分離した上澄液を
1/5に濃縮した後、10リットルの水を加え、約80
0gのグリアジンを主成分とする湿分画物を得た。この
分画物の水分は60%であり、固形分中のグリアジン含
有率は90%であった。以下、これを分画物1という。
【0018】参考例2(分画物2) 小麦グルテン(粉末活性グルテン)1kgから10容量
%エタノール水溶液10リットルにクエン酸4gを溶解
させた酸性エタノール水溶液で抽出を行い、抽出液を遠
心分離機で分離し、得られた上澄液をそのまま噴霧乾燥
機で乾燥し、約350gのグリアジンを主成分とする分
画物の粉末を得た。この分画物を分画物2という。この
分画物2はグリアジン含有率60%であった。
【0019】実施例1、比較例1 擂潰機(石川式攪拌擂潰機、形式2)を用いて、2℃に
解凍した冷凍すり身300gに食塩3gを加え、10分
間塩摺を行った。これに、25gの分画物2をソルビッ
ト50gに分散させたものを加え、さらに20分間擂潰
を行った。この擂潰物をアルミ箔の上に乗せ、約2mm
の厚さに伸ばし、蒸し器で10分間蒸した後、乾燥器で
水分が20%になるまで乾燥を行い、シート状物を得
た。同時に分画物2を加えないほかは全く同様にして、
シート状物を得た(比較例1)。
【0020】両シート状物を2×10cmの大きさに切
断し、官能試験により評価した結果、比較例1のシート
状物は堅く脆いものであるのに対し、実施例1にものは
しなやかで強靱性に優れ、裂きいかのような食感であっ
た。
【0021】実施例2、3 フードカッターを用いて、2℃に解凍した冷凍すり身3
00gに食塩3gを加え、30秒間塩摺を行った。別
に、25gの分画物2に100mlの水を加え、グリア
ジンペースト物60gを得た。このグリアジンペースト
物60g(実施例2)または分画物1の60g(実施例
3)を、塩摺したすり身に加え、実施例1と同様に擂潰
した。得られた擂潰物にグリセリン10gとソルビット
49gを加えて混合したのち、スルメいかの粉末100
gと調味料3gを加え、さらに混合を行い、アルミ箔の
上で厚さ5mmのシート状に伸ばし、160℃のオーブ
ンで3分間焼成した後、水分が20%になるまで乾燥さ
せた。乾燥シート状物を幅2mm、長さ10cmに裁断
し、裂きいか用調味料をまぶし、試食用試料とした。
【0022】市販されている裂きいかを対照として、実
施例2、3の試食用試料の官能試験を行った結果、実施
例2、3のものは、ともに市販の裂きいかと食感、味お
よび強靱さの非常に近いものであった。
【0023】実施例4、比較例2 牛肉の赤身肉400gに食塩3gを加え、サイレントカ
ッターで塩摺を行い、さらに牛脂100gを加え、擂潰
を行った。得られた擂潰物200gを小分けし(比較例
2)、残りの擂潰物に分画物1を200g加え混合した
(実施例4)。両者をアルミ箔の上に乗せ、厚さ3mm
に伸ばし、55℃の温風を用いて、水分が30%になる
まで乾燥させ、乾燥品を2×10cmの大きさに切断し
た。この切断品をビーフジャーキー用調味液に1時間浸
漬した後、さらに水分が10%になるまで乾燥させ、試
食用試料とした。
【0024】これらの試料を市販のビーフジャーキーを
対照として試食評価を行った結果、比較例2の試料は製
造中に折れなどの破損問題が発生するとともに、その食
感は脆く、ビーフジャーキーのような強靱性は全くない
ものであった。一方、実施例4のものは製造中の破損も
なく、強靱性は市販のものより多少弱いが優れたもので
あった。
【0025】実施例5 冷凍すり身300gと牛肉の赤身肉300gに食塩10
gを加え、フードカッターを用いて塩摺を行った。この
ものに、300gの分画物1と実施例4で用いた調味液
70g、牛脂100gを添加混合し、実施例4と同様に
水分が10%になるまで乾燥させた後、同様の大きさに
切断した。このものと実施例4で対照とした市販品を用
いて試食評価を行った結果、実施例5のものは市販品と
同等の強靱性を持ったものであった。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、グリアジンをシート状
珍味に含有させることにより、これまでにない裂きいか
やビーフジャーキーのような強靱さのある食感のシート
状珍味を提供することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 魚肉および/または畜肉擂潰物および小
    麦グルテンより分画されたグリアジンを含有することを
    特徴とするシート状珍味。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019050752A (ja) * 2017-09-13 2019-04-04 日本水産株式会社 乾燥おつまみ及びその製造方法

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