JPH0835806A - 無段変速機用プーリにおけるボールスプラインのボール選択方法 - Google Patents

無段変速機用プーリにおけるボールスプラインのボール選択方法

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JPH0835806A
JPH0835806A JP17299694A JP17299694A JPH0835806A JP H0835806 A JPH0835806 A JP H0835806A JP 17299694 A JP17299694 A JP 17299694A JP 17299694 A JP17299694 A JP 17299694A JP H0835806 A JPH0835806 A JP H0835806A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 スプライン溝の精度に応じた適正なボール径
を選択する。 【構成】 固定側プーリと可動側プーリとの間の相対的
な倒れ方向誤差をなくした状態で、各スプライン溝に最
小許容寸法より予め小さく設定された基準ボールを挿入
する。その状態で可動側プーリに正転方向および逆転方
向の回転トルクを順に加えて、各スプライン溝ごとに回
転方向誤差を測定する。回転方向誤差の実測値をもとに
所定の演算を行って、その回転方向誤差が零になるボー
ル径を各スプライン溝ごとに個別に算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、VDT方式に代表され
る無段変速機のプーリにおいてそのボールスプライン部
に組み込まれるボールを選択する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の無段変速機用プーリにボールス
プラインのボールを組み付けるための装置として実開昭
61−102433号公報に記載されているものがあ
る。
【0003】上記の無段変速機用のプーリは、周知のよ
うに、固定側プーリに一体に形成された軸部の外周にそ
の軸心方向に沿う複数(例えば3つ)の溝部を形成する
一方、この固定側プーリと対をなす可動側プーリに一体
に形成されたボス部の内周には前記軸部側の溝部と同位
相位置に複数の溝部を形成し、前記軸部とボス部とを嵌
合させることにより双方の溝部同士によって形成される
スプライン溝の空間に複数のスチールボールを収容して
ボールスプラインを形成したもので、プーリのベルト巻
径を無段階に変化させるべく固定側プーリに対して可動
側プーリを滑らかにスライド変位させるためには、前記
ボールスプラインの組立精度、特に各溝部の加工精度と
それに見合ったボールの径の選択が重要な要素となる。
【0004】このようなことから、実開昭61−102
433号公報に記載された従来の技術では、前記軸部側
の溝部とボス部側の溝部とで形成されるスプライン溝
(ボール組付孔)の溝径を光学計測機等の計測手段で計
測する一方で、それぞれに径の異なるボールを収容して
いる複数のボールフィーダを予め用意しておき、上記の
計測値に基づいて複数のボールフィーダのなかからいず
れか一つのボールフィーダを選択し、その選択したボー
ルフィーダから送られてくるボールを該当するスプライ
ン溝に対して圧入パンチで圧入するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の技
術では、軸部側の溝部とボス部側の溝部とで形成される
スプライン溝の溝径を単に計測しているだけであるた
め、スプライン溝を形成している各溝部の軸心方向での
精度、振れおよび円周方向での分割誤差(ピッチ誤差)
はおろか、固定側プーリの軸部と可動側プーリのボス部
との間の倒れ方向誤差が全く考慮されておらず、各溝部
の加工精度に応じた真に適正なボールを選択することが
できない。その結果、ボールスプライン部の動作不良や
早期寿命を招き、無段変速機用プーリの信頼性の向上に
限界がある。
【0006】本発明は以上のような課題に着目してなさ
れたもので、特に各スプライン溝の分割誤差や、軸部と
ボス部との間の倒れ方向誤差を定量的に把握して、各ス
プライン溝の精度に応じた真に適正なボール径のボール
を選択できるようにした方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、軸部が一体に形成された固定側プーリとボス部が一
体に形成された可動側プーリとを軸心方向に摺動可能に
嵌合させるとともに、前記軸部およびボス部の摺動面の
それぞれの同一位相位置に軸心方向に沿う複数の溝部を
形成し、これら双方の摺動面の溝部同士で形成されるス
プライン溝に複数のボールを収容してボールスプライン
を形成するようにした無段変速機用プーリの構造にし
て、前記各スプライン溝の精度に応じて各スプライン溝
ごとに最適なボール径を選択して決定する方法であっ
て、固定側プーリと可動側プーリとを摺動可能に嵌合さ
せてなる無段変速機用プーリをボール未収容のままで基
準面上に固定側プーリを基準として直立姿勢で位置決め
するとともに、前記固定側プーリと可動側プーリの溝部
同士の位相が相互に一致し、かつ固定側プーリと可動側
プーリの摺動方向での相対位置関係が摺動ストロークの
ほぼ中間位置となるように調整する第1の工程と、前記
固定側プーリに対して可動側プーリを左右に揺動変位さ
せて、その左右方向での倒れ方向誤差を測定し、その倒
れ方向誤差の実測値に基づいてそれらの左右方向の倒れ
方向誤差の中立位置を求めた上で、固定側プーリに対し
てその中立位置に可動側プーリを位置決めする第2の工
程と、前記固定側プーリと可動側プーリの溝部同士で形
成されるスプライン溝に、各スプライン溝の溝径よりも
ボール径を予め小さく設定した複数の基準ボールを挿入
する第3の工程と、前記可動側プーリに正転方向および
逆転方向の回転トルクを加えて、固定側プーリに対する
可動側プーリの回転方向誤差を各スプライン溝ごとに個
別に測定する第4の工程と、前記回転方向誤差の実測値
に基づいてその回転方向誤差が零になるボール径を各ス
プライン溝ごとに個別に算出した上、この算出したボー
ル径データに基づいて予め用意されている数種類のボー
ル径のなかから各スプライン溝ごとに適正なボール径を
選択して特定する第5の工程とを含んでいる。
【0008】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の要件に加えて、各スプライン溝ごとに選択された適正
なボール径のボールを前記基準ボールに代えて各スプラ
イン溝に挿入する工程と、前記適正なボール径のボール
が挿入された状態で、前記可動側プーリに正転方向およ
び逆転方向の回転トルクを加えて、固定側プーリに対す
る可動側プーリの回転方向誤差を各スプライン溝ごとに
個別に測定する工程と、前記回転方向誤差の実測値が許
容限界を越えている場合に、各スプライン溝に挿入され
ているボールを抜き取った上で、固定側プーリと可動側
プーリとを相対回転させてその固定側プーリの溝部と可
動側プーリの溝部との組み合わせを変える工程とを含
み、その後に前記第3の工程以降の動作を繰り返すこと
を特徴としている。
【0009】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
の要件に加えて、第4の工程の後に、固定側プーリと可
動側プーリとを軸心方向に相対移動させてその軸心方向
での相対位置を変化させた上で第5の工程の動作を繰り
返すことを特徴としている。
【0010】請求項4に記載の発明は、請求項1に記載
の要件に加えて、第2の工程において、固定側プーリに
対して可動側プーリが予め設定された倒れ方向誤差をも
つようにその可動側プーリの姿勢を調整して位置決めす
ることを特徴としている。
【0011】
【作用】請求項1に記載の発明によると、固定側プーリ
の軸部と可動側プーリのボス部との間の倒れ方向誤差が
零になるように調整して位置決めした上で、各スプライ
ン溝ごとに基準ボールを挿入した状態での回転方向誤差
を個別に測定するようにしているので、各スプライン溝
ごとに倒れ方向誤差がない状態で分割誤差等を考慮した
適正なボールが選択される。
【0012】請求項2に記載の発明によると、選択され
た径のボールを実際に組み込んだ上で回転方向誤差を再
度測定していることから、ボールの選択精度が向上す
る。加えて、選択されたボールを実際に組み込んだ時の
回転方向誤差が許容限界を越えた場合には、各スプライ
ン溝を形成している軸部側の溝部とボス部側の溝部との
組み合わせを変えて再度測定することから、各スプライ
ン溝間でのばらつきが大きすぎてボール径を適格に選択
できない場合でも対応できるようになる。
【0013】請求項3に記載の発明によると、固定側プ
ーリと可動側プーリとの間の軸心方向での相対位置を変
えた上で再度測定を行うようにしていることから、各ス
プライン溝ごとに分割誤差等のほかに軸心方向の精度が
ばらついている場合でもそれらを考慮した適正なボール
が選択される。
【0014】請求項4に記載の発明によると、固定側プ
ーリの軸部と可動側プーリのボス部との間に積極的に倒
れ方向誤差をもたせた状態で回転方向誤差の測定を行う
ことにより、固定側プーリと可動側プーリとの間に金属
ベルトを巻き掛けた場合にそれらの両プーリが歪んで何
らかの倒れ方向誤差をもつという実際の使用状態を再現
していることから、この実際の使用状態での倒れ方向誤
差を考慮した適正なボールが選択される。
【0015】
【実施例】図2,3は本発明方法に用いる測定装置の概
略を示す図で、基準面となる定盤1上には二つのセンタ
2,3が対向配置されていて、これらのセンタ2,3に
より無段変速機用プーリ100の固定側プーリ101が
ほぼ直立姿勢となるように両持ち支持される。そして、
一方のセンタ2と固定側プーリ101とが相対回転しな
いように両者がクランパー4でクランプされる。
【0016】前記固定側プーリ101には軸部103が
一体に形成されていて、この軸部103の外周面には図
4に示すように軸心方向に沿う三つの溝部104a〜1
04cが形成されている。他方、前記固定側プーリ10
1に摺動可能にはめ合わされる可動側プーリ102には
軸部103と嵌合するボス部106が一体に形成されて
いて、このボス部106にも軸部103側の溝部104
a〜104cと同位相位置に三つの溝部107a〜10
7cが形成されている。そして、その軸部103側の溝
部104a〜104cとボス部106側の溝部107a
〜107cの位相を相互に一致させることによって形成
される各スプライン溝108A〜108Cに複数(三
個)のスチール製のボール109を個別に挿入すること
でボールスプラインが形成される。
【0017】前記可動側プーリ102の周縁には測定リ
ング5が予めボルト6により装着される。そして、この
測定リング5の外周の三等分位置には三つの測定アーム
7A〜7Cが放射状に突出形式されている。これら三つ
の測定アーム7A〜7Cはそれぞれの位置をスプライン
溝108A〜108Cの位相とほぼ一致させて、各測定
アーム7A〜7Cの測定面8が軸部103の軸心と各ス
プライン溝108A〜108Cとを結ぶ線の延長線上に
位置するように予め調整される。そして、各測定アーム
7A〜7Cの測定面8には回転方向誤差を測定するため
の二つの電気マイクロメータ9A,9Bもしくは10
A,10Bまたは11A,11Cの接触子12が当接す
ることになる。
【0018】また、定盤1のうち測定リング5の下方で
あって、かつ測定リング5の四等分位置に相当する部分
にはマイクロジャッキ13A〜13Dと図5に示す倒れ
方向誤差測定用のマイクロメータ14A〜14Dとが対
をなして設けられる。そして、マイクロジャッキ13A
〜13Dは、後述するように固定側プーリ101に対す
る可動側プーリ102の倒れ方向誤差をマイクロメータ
14A〜14Dで測定した後に、その倒れ方向誤差が零
になるように調整する際に使用される。
【0019】さらに、前記測定リング5上の二つのボル
ト6にはワイヤ15〜18が連結されていて、各ワイヤ
15〜18の端末には滑車19を介してウエイト20の
重量を加えることができるようになっている。
【0020】次に、上記の測定装置を用いた場合の本発
明のボール選択方法の一実施例を、図1のフローチャー
トを参照しながら順を追って説明する。
【0021】図2に示すように、固定側プーリ101を
単独で定盤1上のセンタ2,3にてほぼ鉛直姿勢となる
ように両持ち支持させるとともに、クランパー4でクラ
ンプする(図1のステップS1)。一方、可動側プーリ
102には測定リング5をセットしてボルト6にて締付
固定する(ステップS2)。この時、図3に示したよう
に固定側プーリ101の軸部103の軸心と各スプライ
ン溝108A〜108Cとを結ぶ線の延長線上に各測定
アーム7A〜7Cの測定面8が位置するように測定リン
グ5の回転方向位置を調整する。ただし、この段階では
測定リング5にワイヤ15〜18は連結されていない。
【0022】そして、固定側プーリ101に対して可動
側プーリ102をはめ合わせて、軸部103側の溝部1
04a〜14cとボス部106側の溝部107a〜10
7cとが一致して各スプライン溝108A〜108Cが
形成されるように固定側プーリ101に対する可動側プ
ーリ102の回転方向位置を調整する(ステップS
3)。
【0023】さらに、固定側プーリ101と可動側プー
リ102との間の摺動ストロークのほぼ中間位置に可動
側プーリ102が位置するようにその可動側プーリ10
2の高さ位置を調整する(ステップS4)。この時、測
定リング5の下側の各マイクロジャッキ13A〜13D
の調整ねじ21によるラフ高さ機能および調整ねじ22
による微小高さ調整機能を利用してその接触子23の高
さがほぼ均一になるように変化させ、最終的に可動側プ
ーリ102を四箇所のマイクロジャッキ13A〜13D
で支えて高さ方向の位置決めを行う。
【0024】続いて、四つのマイクロジャッキ13A〜
13Dのうち正対する一対のマイクロジャッキ13B,
13Dの高さを下げて残る一対のマイクロジャッキ13
A,13Cのみで可動側プーリ102を支えるようにし
たのち、その残る一対のマイクロジャッキ13A,13
Cの接触子23を支点として可動側プーリ102をシー
ソー式に左右に揺動変位させて、図3に示すように固定
側プーリ101に対する可動側プーリ102のX−X1
方向での倒れ方向誤差を測定する(ステップS5)。
【0025】すなわち、マイクロジャッキ13A,13
Cを支点として可動側プーリ102を左右に揺動変位さ
せたときの各マイクロメータ14B,14Dの指示値を
読み取って記録する。この時、一方のマイクロメータ1
4Bの指示値と他方のマイクロメータ14Dの指示値と
の差が固定側プーリ101に対する可動側プーリ102
のX−X1方向での倒れ方向誤差となるのであるが、そ
の倒れ方向誤差を二分する中立位置を算出して該中立位
置に可動側プーリ102を位置決めするべく、再びマイ
クロジャッキ13B,13Dの接触子23を測定リング
5に接触させて、マイクロメータ14B,14Dの指示
を見ながらマイクロジャッキ13B,13Dにて可動側
プーリ102のX−X1方向での位置を調整し、可動側
プーリ102がX−X1方向でそれぞれに上記の倒れ方
向誤差の半分の誤差をもつような状態をつくり出す。こ
れにより少なくともX−X1方向については固定側プー
リ101に対する可動側プーリ102の倒れ方向誤差が
零になったことになる。
【0026】同様にして、四つのマイクロジャッキ13
A〜13Dのうち正対する一対のマイクロジャッキ13
A,13Cの高さを下げて残る一対のマイクロジャッキ
13B,13Dのみで可動側プーリ102を支えるよう
にしたのち、その残る一対のマイクロジャッキ13B,
13Dの接触子23を支点として可動側プーリ102を
揺動変位させてY−Y1方向での倒れ方向誤差を測定
し、さらに上記と同様にしてY−Y1方向での倒れ方向
誤差が零になるように調整する。以上により、固定側プ
ーリ101と可動側プーリ102との間に倒れ方向誤差
がなくなって両者の平行度が保たれた状態となる。
【0027】次に、軸部103側の溝部104a〜10
4cとボス部106側の溝部107a〜107cとで形
成される各スプライン溝108A〜108Cに対し、該
スプライン溝に挿入されるべきボール109の最小許容
寸法よりも予め小さく設定された直径をもつ基準ボール
24を複数個ずつ挿入する(ステップS6)。この基準
ボール24は図6に示すように、各スプライン溝108
A〜108Cに対する挿入時および取り出し時の作業性
をよくするために、細いワイヤ状の支持体25に予め挿
入支持されている。
【0028】続いて、前記測定リング5上のボルト6に
図3に示すようにワイヤ15〜18を連結し、最初にワ
イヤ16,17のみにウエイト20の重量(例えば3〜
5kg程度)を加えて可動側プーリ102に対し図3の
時計回り方向の回転トルクF1を加え、その時の各電気
マイクロメータ9A,9B,10A,10B,11A,
11Bの指示値を回転方向誤差として読み取って記録す
る(ステップS7)。
【0029】同様に、上記の時計回り方向の回転トルク
1を解除したのちに、もう一方のワイヤ15,18に
ウエイト20の重量を加えて可動側プーリ102に図3
の反時計回り方向の回転トルクF2を加え、その時の各
電気マイクロメータ9A,9B,10A,10B,11
A,11Bの指示値を回転方向誤差として読み取って記
録する(ステップS8)。
【0030】そして、各電気マイクロメータ9A,9
B,10A,10B,11A,11Bごとに時計回り方
向の回転トルク負荷時の指示値と反時計回り方向の回転
トルク負荷時の指示値との差を各スプライン溝108A
〜108Cごとの回転方向誤差(いわゆる「スプライン
がた」と称されるもの)として算出する。
【0031】ここで、図3,8に示すように各スプライ
ン溝108A〜180Cごとに測定アーム7A〜7C上
の二箇所の測定ポイントで二つの電気マイクロメータ9
A,9B,10A,10Bおよび11A,11Bを用い
て回転方向誤差を測定するようにしているのは、各スプ
ライン溝108A〜108Cの回転方向誤差の測定精度
を高めるためである。
【0032】そして、図7,8に示すように、例えば一
つのスプライン溝108Cについてみた場合、軸部10
3の軸心Oからスプライン溝108Cの中心までの距離
0、および同じく軸部103の軸心Oから各測定ポイ
ントまでの距離r1,r2はいずれも既知であり、例えば
スプライン溝108Cの実際の回転方向誤差をA、電気
マイクロメータ11Aの指示値をa1、同じく電気マイ
クロメータ11Bの指示値をaとすると、スプライン溝
108Cのもつ回転方向誤差Aは (a1−A)/(r1−r0)=(a−A)/(r2
0) の関係よりして、各電気マイクロメータ11A,11B
による測定ポイントではa1,aのようにそれぞれ拡大
されて指示されることになる。
【0033】この後、上記の各電気マイクロメータ9
A,9B,10A,10B,11A,11Bごとに正逆
転トルク負荷時の指示値の差として求めた回転方向誤差
の値をもとに所定の演算を行って、スプライン溝108
A〜108Cの回転方向誤差が零となるようなボール径
を各スプライン溝108A〜108Cごとに算出する
(ステップS9)。例えば、図7,8に示すように、電
気マイクロメータ11Aの正逆転トルク負荷時の指示値
の差として求めた回転方向誤差と、もう一方の電気マイ
クロメータ11Bの正逆転トルク負荷時の指示値の差と
して求めた回転方向誤差の値を用いて所定の演算を行う
ことより、スプライン溝108Cでの回転方向誤差が零
になるようなボール径を算出する。これは残る二つのス
プライン溝108A,108Bについても同様である。
【0034】そして、各スプライン溝108A〜108
Cごとに算出した回転方向誤差が零となるボール径デー
タを基本として、実際にボールを該当するスプライン溝
に挿入する際の設計要求締め代を考慮し、最終的には予
め用意されている複数種類のボール径のなかから最適と
思われるいずれか一つのボール径を選択して特定する
(ステップS10,S11)。
【0035】この場合、最終的に選択されたボール径が
各スプライン溝108A〜108Cごとに相違する可能
性が高いが、設計要求特性によっては例えば各スプライ
ン溝108A〜108Cごとに選択された三つのボール
径のうち最大径や最小径ある中間径のもののいずれかを
選んで三つのスプライン溝108A〜10AC間で同一
径のボール径に統一することもある。
【0036】このように本実施例によれば、適正なボー
ル径の選択にあたって軸部103とボス部106との間
の倒れ方向誤差の影響がないだけでなく、各スプライン
溝108A〜108Cの円周方向でのピッチ誤差等を考
慮して各スプライン溝の精度に応じた適正なボール径を
選択することができる。
【0037】図9,10は本発明の第2の実施例を示す
図で、ステップS12以降の各ステップの処理が第1の
実施例と異なっている。
【0038】図9,10に示すように、ステップS11
で各スプライン溝108A〜108Cごとに適正なボー
ル径が選択されたならば、各スプライン溝108A〜1
08Cに挿入されている基準ボール24を抜き取った
上、代わって先に各スプライン溝108A〜108Cご
とに適正なボール径として選択された径のボールを複数
個ずつ各スプライン溝108A〜108Cに挿入する。
そして、ステップS7,S8と同じ手順で各スプライン
溝108A〜10ACの回転方向誤差を測定する(ステ
ップS13,S14)。
【0039】その結果、各スプライン溝108A〜10
8Cの回転方向誤差が許容範囲内であればそれをもって
作業を終了し(ステップS15)、他方、回転方向誤差
が許容限界を越えている場合には先に挿入した各スプラ
イン溝108A〜108Cのボールを抜き取った上で、
固定側プーリ101と可動側プーリ102を相対回転さ
せて、軸部103側の溝部104a〜104cとボス部
106側の溝部107a〜107cとの組み合わせを変
える(ステップS16,S17)。そして、再度、ステ
ップS6以降の処理を繰り返す。
【0040】本実施例によれば、適正なボール径として
選択された径のボールを実際に組み込んだ上で、再度回
転方向誤差の測定を行うことにより、選択されたボール
径が真に適正であるかどうかの確認ができるほか、選択
されたボール径のボールを組み込んだ状態での回転方向
誤差が許容限界を越えた場合に各スプライン溝108A
〜108Cを形成している溝部同士の組み合わせを変え
ることにより特に各スプライン溝部108A〜108C
の精度のばらつきが大きすぎて一回だけでは適正なボー
ル径を選択できないときに対応できる利点がある。
【0041】図11は本発明の第3の実施例を示す図
で、一回目の回転方向誤差の測定の後に、固定側プーリ
101と可動側プーリ102の軸心方向での相対位置を
変えて再度回転方向誤差の測定を行うようにした点で第
1の実施例と異なっている。
【0042】詳しくは、図11に示すように、ステップ
S8の回転方向誤差の測定が終了したならば、固定側プ
ーリ101と可動側プーリ102とを軸心方向に所定量
だけ相対移動させてその軸心方向での相対位置関係を変
化させる(ステップS9)。
【0043】そして、ステップS7,S8の手順で再度
回転方向誤差の測定を行い(ステップS10,S1
1)、最終的には二回の回転方向誤差の測定結果に基づ
いて各スプライン溝108A〜108Cごとに適正なボ
ール径を選択する(ステップS12〜S14)。
【0044】本実施例によれば、各スプライン溝108
A〜108Cの捩れ等のために軸心方向での精度がばら
ついている場合でもその軸心方向での精度誤差を考慮し
た適正なボール径を選択することができる。
【0045】図12は本発明の第4の実施例を示す図
で、この実施例では無段変速機用プーリ100の実際の
使用状態を考慮して、固定側プーリ101と可動側プー
リ102との間に予め倒れ方向誤差を積極的にもたせた
状態で回転方向誤差を測定するようにした点で第1の実
施例と異なっている。
【0046】詳しくは、図13に示すように、無段変速
機用プーリ100の溝に金属ベルト90が巻き掛けられ
た状態では、そのベルト張力のために固定側プーリ10
1と可動側プーリ102とが外側(矢印e方向)に開き
気味に倒れた状態で回転運動する。そこで、上記の倒れ
量を予め把握しておき、この倒れ状態を再現した状態の
もとで適正なボール径の選択を行うことにより、その倒
れ量に見合ったボール径の選択を行うことができる。
【0047】図12はその処理手順を示しており、ステ
ップS5において、固定側プーリ101と可動側プーリ
102との間に上記の倒れ量に相当する倒れ方向誤差を
もたせるべく、図2,3に示した四つのマイクロジャッ
キ13A〜13Dを高さを調節して可動側プーリ102
に所定の傾きをもたせる。その後に、第1の実施例と同
様にステップS6以降の処理を行う。
【0048】本実施例によれば、無段変速機用プーリの
実際の使用状態での倒れ量を考慮した適正なボール径を
選択できるので、ボール転動部での偏摩耗やかじり現象
を防止して無段変速機用プーリの耐久性向上に貢献でき
る利点がある。
【0049】
【発明の効果】以上のように請求項1に記載の発明によ
れば、固定側プーリと可動側プーリとの間の倒れ方向誤
差が零になるように調整した上で、各スプライン溝ごと
の回転方向誤差を測定して適正なボール径を決定するよ
うにしているので、倒れ方向誤差の影響がないだけでな
く、各スプライン溝のピッチ誤差を考慮した適正なボー
ル径を選択することができる。その結果、ボールスプラ
イン部での偏摩耗やかじり現象を原因とする動作不良や
早期寿命を防いで、その耐久性および信頼制の向上が図
れる。
【0050】請求項2に記載の発明によれば、選択され
たボール径のボールを実際に組み込んだ上で回転方向誤
差を再度測定しているため、請求項1記載の発明と同様
の作用効果に加えてボール径の選択精度が向上する利点
がある。また、選択されたボールを実際に組み込んだ時
の回転方向誤差が許容限界を越えた場合には、各スプラ
イン溝を形成している軸部側の溝部とボス部側の溝部と
の組み合わせを変えて再度測定することから、各スプラ
イン溝間でのばらつきが大きすぎてボール径を適格に選
択できない場合でも対応できる。
【0051】請求項3に記載の発明によれば、一旦固定
側プーリと可動側プーリとの間の回転方向誤差を測定し
たのち、その軸心方向での固定側プーリと可動側プーリ
の相対位置を変えて再度回転方向誤差を測定しているの
で、請求項1に記載の発明と同様の作用効果に加えて、
各スプライン溝の捩れ等のために軸心方向での精度がば
らついている場合でも、その軸心方向での精度誤差を考
慮した適正なボール径を選択することができる利点があ
る。
【0052】請求項4に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明と同様の作用効果に加えて、無段変速機用
プーリの実際の使用状況での倒れ量を考慮して適正なボ
ール径を選択できるので、無段変速機用プーリのボール
スプライン部での偏摩耗やかじり現象を防止して耐久性
の向上に貢献できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す処理手順のフロー
チャート。
【図2】本発明方法に用いられる測定装置の概略を示す
構成説明図。
【図3】図2の平面説明図。
【図4】図2のD−D線に沿う断面図。
【図5】図2に示すマイクロメータの説明図。
【図6】基準ボールの支持状態を示す斜視図。
【図7】図3の構成を摸式化した概略説明図。
【図8】図7の作動説明図。
【図9】本発明の第2の実施例を示す処理手順のフロー
チャート。
【図10】本発明の第2の実施例を示す処理手順のフロ
ーチャート。
【図11】本発明の第3の実施例を示す処理手順のフロ
ーチャート。
【図12】本発明の第4の実施例を示す処理手順のフロ
ーチャート。
【図13】無段変速機用プーリの倒れ発生時の説明図。
【符号の説明】
24…基準ボール 100…無段変速機用プーリ 101…固定側プーリ 102…可動側プーリ 103…軸部 104a〜104c…溝部 106…ボス部 107a〜107c…溝部 108A〜108C…スプライン溝 109…スチールボール

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸部が一体に形成された固定側プーリと
    ボス部が一体に形成された可動側プーリとを軸心方向に
    摺動可能に嵌合させるとともに、前記軸部およびボス部
    の摺動面のそれぞれの同一位相位置に軸心方向に沿う複
    数の溝部を形成し、これら双方の摺動面の溝部同士で形
    成されるスプライン溝に複数のボールを収容してボール
    スプラインを形成するようにした無段変速機用プーリの
    構造にして、前記各スプライン溝の精度に応じて各スプ
    ライン溝ごとに最適なボール径を選択して決定する方法
    であって、 固定側プーリと可動側プーリとを摺動可能に嵌合させて
    なる無段変速機用プーリをボール未収容のままで基準面
    上に固定側プーリを基準として直立姿勢で位置決めする
    とともに、前記固定側プーリと可動側プーリの溝部同士
    の位相が相互に一致し、かつ固定側プーリと可動側プー
    リの摺動方向での相対位置関係が摺動ストロークのほぼ
    中間位置となるように調整する第1の工程と、 前記固定側プーリに対して可動側プーリを左右に揺動変
    位させて、その左右方向での倒れ方向誤差を測定し、そ
    の倒れ方向誤差の実測値に基づいてそれらの左右方向の
    倒れ方向誤差の中立位置を求めた上で、固定側プーリに
    対してその中立位置に可動側プーリを位置決めする第2
    の工程と、 前記固定側プーリと可動側プーリの溝部同士で形成され
    るスプライン溝に、各スプライン溝の溝径よりもボール
    径を予め小さく設定した複数の基準ボールを挿入する第
    3の工程と、 前記可動側プーリに正転方向および逆転方向の回転トル
    クを加えて、固定側プーリに対する可動側プーリの回転
    方向誤差を各スプライン溝ごとに個別に測定する第4の
    工程と、 前記回転方向誤差の実測値に基づいてその回転方向誤差
    が零になるボール径を各スプライン溝ごとに個別に算出
    した上、この算出したボール径データに基づいて予め用
    意されている数種類のボール径のなかから各スプライン
    溝ごとに適正なボール径を選択して特定する第5の工
    程、 とを含むことを特徴とする無段変速機用プーリにおける
    ボールスプラインのボール選択方法。
  2. 【請求項2】 各スプライン溝ごとに選択された適正な
    ボール径のボールを前記基準ボールに代えて各スプライ
    ン溝に挿入する工程と、 前記適正なボール径のボールが挿入された状態で、前記
    可動側プーリに正転方向および逆転方向の回転トルクを
    加えて、固定側プーリに対する可動側プーリの回転方向
    誤差を各スプライン溝ごとに個別に測定する工程と、 前記回転方向誤差の実測値が許容限界を越えている場合
    に、各スプライン溝に挿入されているボールを抜き取っ
    た上で、固定側プーリと可動側プーリとを相対回転させ
    てその固定側プーリの溝部と可動側プーリの溝部との組
    み合わせを変える工程とを含み、 その後に前記第3の工程以降の動作を繰り返すことを特
    徴とする請求項1記載の無段変速機用プーリにおけるボ
    ールスプラインのボール選択方法。
  3. 【請求項3】 第4の工程の後に、固定側プーリと可動
    側プーリとを軸心方向に相対移動させてその軸心方向で
    の相対位置を変化させた上で第5の工程の動作を繰り返
    すことを特徴とする請求項1記載の無段変速機用プーリ
    におけるボールスプラインのボール選択方法。
  4. 【請求項4】 第2の工程において、固定側プーリに対
    して可動側プーリが予め設定された倒れ方向誤差をもつ
    ようにその可動側プーリの姿勢を調整して位置決めする
    ことを特徴とする請求項1記載の無段変速機用プーリに
    おけるボールスプラインのボール選択方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP0915318A2 (en) * 1997-11-05 1999-05-12 Nissan Motor Co., Ltd. Ball spine joint slackness measuring method and measuring apparatus
WO2013024614A1 (ja) * 2011-08-15 2013-02-21 本田技研工業株式会社 位置決め部材の組付方法、決定方法、径決定方法、測定装置及び決定装置

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