JPH08333807A - 複合材料構造部材の継手構造 - Google Patents

複合材料構造部材の継手構造

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JPH08333807A
JPH08333807A JP14217995A JP14217995A JPH08333807A JP H08333807 A JPH08333807 A JP H08333807A JP 14217995 A JP14217995 A JP 14217995A JP 14217995 A JP14217995 A JP 14217995A JP H08333807 A JPH08333807 A JP H08333807A
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JP
Japan
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beam member
shaft
sleeve
column
joint structure
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JP14217995A
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Masumi Itonaga
真須美 糸永
Toshiro Aso
寿郎 麻生
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 繊維強化複合材料(FRP)で形成された一
対の梁部材及び柱部材を結合するに当たり、これら両部
材の結合部位に曲げモーメント及び剪断力が発生するの
を防止し、もってFRPからなる構造部材の異方性を最
大限に発揮させることが可能な継手構造を提供する。 【構成】 FRPで形成された一対の梁部材及び柱部材
を結合するための継手構造であって、梁部材の結合端に
当該梁部材を貫通するスリーブを埋め込み固定する一
方、柱部材には開口部を形成して上記梁部材の結合端を
当該開口部に挿入し、上記スリーブを貫通し且つ当該ス
リーブに対して相対的に回転するシャフトを上記柱部材
に係止することによって梁部材及び柱部材を結合したこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば土木建築分野及
び機械分野において、その構造物を繊維強化複合材料か
らなる構造部材で製作する場合の継手構造に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維強化複合材料は通常FRP(Fib
er Reinforced Plastics)と呼
ばれ、ニアネット成形等の手法によって様々な形状のも
のを製作できることが一つの特徴である。しかし、土木
建築分野あるいは機械分野等においては構造物の大きさ
やその形状等の理由から、梁部材や柱部材といった二つ
以上の構造部材を組合せて構造物を製作する場合があ
り、かかる場合にはこれら構造部材を結合するための継
手構造が必要となる。
【0003】従来、FRP構造部材の継手構造として
は、一対の構造部材を貫通するリベットやボルト等によ
って両構造部材を締め付けて結合した摩擦継手や、一方
の構造部材を他方の構造部材にねじ込んで結合したねじ
継手や、一対の構造部材を接着により結合した接着継手
があり、これらの継手構造は金属材料からなる構造部材
の継手構造が殆どそのまま適用されている。図16は実
開昭63−147397号公報に開示された接着継手の
一例を示すものであり、補強部材20を介して一対の構
造部材21,22を結合したものである。
【0004】このような従来の継手構造は一対の構造部
材を剛に結合するものであり、荷重が作用した場合にお
ける構造部材同士のなす角度が一定不変であって、これ
ら構造部材の間に相対的な回転が生じることがない。従
って、金属鋼材からなる梁部材等のように、自重により
撓みを生じ易い構造部材を他の構造部材に結合する際に
有効な手法であった。
【0005】また、このように一対の構造部材を剛に結
合する継手構造では、結合部分を中心とした曲げモーメ
ントが一方の構造部材から他方の構造部材に作用する
他、かかる曲げモーメントの発生を原因とする剪断力も
構造部材の端部に作用する。このため、互いに結合され
る各構造部材はその形状や肉厚等がこれら曲げモーメン
ト及び剪断力の考慮に基づいて設計されなければならな
いが、金属材料からなる従来の構造部材はその殆どが等
方性であり、引張り強度や剪断強度等において特別に弱
い方向が存在しないことから、特段の設計配慮をしなく
とも前述の継手構造で十分に構造部材を組み上げること
ができた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、FRPに使用
するプリプレグ等の繊維強化複合材料素材には繊維方向
に基づく異方性が存在することから、かかる素材から製
作される構造部材も当然に異方性を備え、繊維方向に作
用する荷重に対しては高い強度を有するが、繊維方向と
直交する方向、すなわち剪断方向に作用する荷重に対し
ては強度が不足するという欠点があった。
【0007】従って、前述した従来の継手構造をそのま
まFRP製の構造部材に適用したのでは、後者の剪断強
度に基づいて構造部材全体の受持ち得る荷重が決定して
しまうことから、かかる構造部材を低荷重でしか使用す
ることができず、繊維方向に高い強度を備えるFRPの
異方性を十分に活かした構造物を設計することができな
いという問題点があった。
【0008】本発明はこのような問題点に鑑みなされた
ものであって、その目的とするところは、FRPで形成
された一対の梁部材及び柱部材を結合するに当たり、こ
れら両部材の結合部位に曲げモーメント及び剪断力が発
生するのを防止し、もってFRPからなる構造部材の異
方性を最大限に発揮させることが可能な継手構造を提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の複合材料構造部材の継手構造は、繊維強化複合材料
(FRP)で形成された一対の梁部材及び柱部材を結合
するための継手構造であって、梁部材の結合端に当該梁
部材を貫通するスリーブを埋め込み固定する一方、柱部
材には開口部を形成して上記梁部材の結合端を当該開口
部に挿入し、上記スリーブを貫通し且つ当該スリーブに
対して相対的に回転するシャフトを上記柱部材に係止す
ることによって梁部材及び柱部材を結合したことを特徴
とするものである。
【0010】このような技術的手段において、上記梁部
材及び柱部材の断面形状としては、四角形、H形、Cチ
ャネル、Lアングル又は円形パイプ等、必要とされる強
度や用途に応じてその形状を適宜選択して差し支えな
い。
【0011】また、上記梁部材及び柱部材の成形方法と
しては、FRP成形品に通常適用される方法を適用する
ことができ、例えば、押し出し成形、引き抜き成形又は
フィラメントワインディング等の方法がある。
【0012】更に、上記梁部材の結合端に固定されたス
リーブ及びこれを貫通するシャフトとしては、機械構造
用鋼(SC材)等が望ましいが、特に耐食性や軽量性等
が要求される場合には、これらスリーブ及びシャフトに
もFRPを用いることができる。
【0013】また、スリーブとシャフトとの関係は、シ
ャフトがスリーブに対して相対的に回転できるものであ
れば良く、例えばこれを具体的に寸法公差で示すとすれ
ば、スリーブの内径をH7とした場合にシャフトの外径
が中間ばめj6からすきまばめf6程度となるのが好ま
しく、シャフトがスリーブに対して相対的に回転を生じ
る限りしまりばめs6でも適用することができる。その
一方、結合後において梁部材と柱部材との間にガタつき
を生じさせないという観点からすれば、過大な隙間をシ
ャフトとスリーブとの間に形成するのは好ましくない。
但し、両部材の間にボロンナイトライド等の極圧順滑剤
を塗布すれば、0.5mm程度の大きな隙間でもガタな
くこれらを結合することができる。
【0014】
【作用】このような技術的手段によれば、梁部材に埋め
込み固定されたスリーブと柱部材に係止されたシャフト
とが相対的に回転可能なので、梁部材と柱部材とを剛に
結合する従来の継手構造と異なり、梁部材と柱部材との
間に生じる相対的な回転が許容され、これら両部材間に
曲げモーメントや剪断力が発生することがない。従っ
て、両部材の結合部分に作用する荷重は梁部材及び柱部
材の軸力のみとなり、FRPからなる梁部材及び柱部材
の剪断方向の強度が継手構造の強度に対して支配的とな
るのを防止することができる。
【0015】
【実施例】以下、添付図面に基づいて本発明の複合材料
構造部材の継手構造を詳細に説明する。 ◎実施例1 図1及び図2は本発明による継手構造の第一実施例に係
り、梁部材1と柱部材2の結合の様子をその前後にわた
って示している。上記梁部材1及び柱部材2は共に中空
の角パイプであり、押し出し成形、引き抜き成形あるい
はフィラメントワイディング等の方法によって製造され
る。また、上記梁部材1の結合端にはスリーブ3が貫通
しており、かかるスリーブ3は梁部材1に開設された下
孔に対して埋め込まれ固定されている。一方、柱部材2
には上記梁部材1の結合端が挿入される開口部5、並び
に挿入された梁部材1のスリーブ3に対応する係止孔6
が開設されている。
【0016】そして、このように構成された梁部材1及
び柱部材2は、梁部材1の結合端を柱部材2の開口部5
に挿入し、スリーブ3と係止孔6との中心を合致させた
状態で、柱部材2を貫通するシャフト4を係止孔に6に
挿入することで連結される。また、図2に示されるよう
に、シャフト4には頭部が形成されている一方、柱部材
2の裏面側に突出したシャフト4の先端には割りピン4
aが挿入され、これによって柱部材2に対するシャフト
4の抜けが防止される。尚、シャフト4としては頭部が
形成されていない棒状物を用いることもできるが、かか
る場合にはシャフトに対して何らかの抜け止め、例えば
図11に示す第四実施例のようにシャフトの両端にプリ
プレグを被せる等の対策が必要である。
【0017】そして、以上のように構成された本実施例
の継手構造によれば、梁部材1の結合端はシャフト3を
中心として回転可能に柱部材2と結合されているので、
梁部材1及び柱部材2の結合部位にモーメント荷重や剪
断力が作用することがない。従って、梁部材1、柱部材
2及びこれらを用いた構造物の設計に当たっては、これ
ら構造部材1,2に作用する軸力のみが支配的要素とな
り、軸方向の引張り力に強いFRP製構造部材の特性を
活かした設計が可能となる。
【0018】また、この継手構造においては、前述のよ
うに梁部材1の結合端がシャフト4を中心として回転す
るのを許容するため、梁部材1の上下と柱部材2の開口
部5の周縁との間に若干の隙間が必要である。ここで、
かかる隙間がどの程度必要であるかを考察するため、2
本の柱部材2を結合する梁部材1に荷重が作用し、梁部
材1に撓みが生じた場合を想定する。
【0019】図3に示すように、撓みの発生による梁部
材1の結合端における回転角をθ、シャフト4の中心か
ら柱部材の開口部5までの距離をaとすると、必要な隙
間cは以下の式、 c=aθ+b (b:製作寸法誤差を考慮した余裕) で表される。また、梁部材1の長手方向の中央に荷重が
集中する場合が最も撓み量が大きくなり、通常はその撓
み量が梁部材1のスパンの1/1000程度以下となる
ように梁部材1の強度を設計するので、かかる場合の梁
部材1の結合端の回転角は、 θ=0.006rad となる。一方、寸法誤差に対する余裕bは梁部材1及び
柱部材2を成形する樹脂の種類や成形方法等によっても
異なるが、これら部材の断面サイズが100〜500m
m程度の場合、b=2mm程度であると考えられる。従
って、例えば距離a=200mmであれば、隙間c=
3.2mmとなる。尚、梁部材1の左右側面と柱部材2
の開口部5の周縁との間の隙間は寸法誤差に対する余裕
bだけあれば差し支えない。
【0020】次に、このような継手構造での梁部材1上
におけるスリーブ3の最適位置、柱部材2上におけるシ
ャフトの最適位置について、図4及び図5を参照しなが
ら説明する。
【0021】梁部材1に対してこれを引張る軸力Fが作
用すると、スリーブ3が図4(a)に示す梁部材1の斜
線領域に対して押圧力を及ぼすことになる。従って、過
大な軸力Fが作用した場合、梁部材の1の斜線領域はス
リーブ3からの圧縮力によって圧潰し、あるいは周辺領
域との境界に生じる剪断力によって破断を生じることに
なる。
【0022】一般に、構造部材の結合部位において構造
部材が剪断力によって破壊される場合には、継手構造が
受け持ち得る荷重が急激に低下するため、構造物の破壊
形態としては非常に危険である。従って、剪断力によっ
て梁部材1が破壊するのを避けるためには、スリーブ3
からの圧縮力による梁部材1の破壊をかかる剪断破壊よ
りも先に生じさせることが必要である。すなわち、梁部
材1の斜線領域における許容圧縮力Pb1が許容剪断力P
s1を下回れば、圧縮破壊が剪断破壊よりも先に生じるこ
とになる。
【0023】ここで、梁部材1の板厚をt1、許容圧縮
応力をσb1、許容剪断応力をτs1、スリーブ3の外径を
1、梁部材1の端面からスリーブまでの距離をL1とす
れば、梁部材1の斜線領域における許容圧縮力Pb1、許
容剪断力Ps1は夫々、 Pb1=σb1・W1・t1 …(1) Ps1=2τs1・L1・t1 …(2) と表すことができる。そして、Pb1<Ps1の場合に圧縮
破壊が剪断破壊よりも先に生じるのだから、上記(1)
式及び(2)式をこの関係に代入して整理すると、 L1>σb1・W1/2τs1 なる関係を導き出すことができる。
【0024】一方、梁部材1に対して引張り軸力Fが作
用すると、シャフト4が図4(b)に示す柱部材2の斜
線領域に対して押圧力を及ぼすことになる。従って、梁
部材1と同様の理由から、柱部材2においてもシャフト
4による圧縮破壊を剪断破壊よりも先に生じさせること
が必要であり、柱部材2の斜線領域における許容圧縮力
b2が許容剪断力Ps2を下回るのが好ましい。
【0025】ここで、柱部材2の板厚をt2、許容圧縮
応力をσb2、許容剪断応力をτs2、柱部材2に係止され
ている部分におけるシャフト4の外径をW2、梁部材1
側における柱部材2の側面からシャフト4までの距離を
2とすれば、柱部材2の斜線領域における許容圧縮力
b2、許容剪断力Ps2は夫々、 Pb2=σb2・W2・21 …(3) Ps2=2τs2・L2・t2 …(4) と表すことができる。やはり、Pb2<Ps2の場合に圧縮
破壊が剪断破壊よりも先に生じるのだから、上記(3)
式及び(4)式をこの関係に代入して整理すると、 L2>σb2・W2/2τs2 なる関係を導き出すことができる。
【0026】従って、この関係を満たすように梁部材1
の端面からスリーブ3までの距離L 1及び柱部材2の側
面からシャフト4までの距離L2を決定すれば、過度の
引張り軸力Fが梁部材1に作用した場合であっても、梁
部材1及び柱部材2において圧縮破壊が剪断破壊よりも
先に生じ、継手構造が受け持ち得る荷重の急激な低下を
防止することができる。
【0027】次に、梁部材1に対してこれを圧縮する軸
力F′が作用する場合を考える。この場合は、シャフト
4が図5に示す柱部材2の斜線領域に対して押圧力を及
ぼすことになり、引張り力Fが作用した場合と比較して
押圧力の向きが逆さまになる。従って、引張り軸力Fが
作用した場合と同様に考え、シャフト4による圧縮破壊
が剪断破壊よりも先に生じるためには、 L2′>σb2・W2/2τs2 の関係が必要である。ここで、L2′は梁部材1と反対
側における柱部材2の側面からシャフト4までの距離で
ある。
【0028】また、かかる場合には当然に梁部材1もス
リーブ3からの押圧力を受けるが、その押圧力の方向は
梁部材1の結合端とは逆方向、すなわち梁部材1の連続
方向となるので、スリーブ3からの押圧力によって梁部
材1に剪断破壊が生じる懸念は殆どない。
【0029】◎実施例2 図6及び図7はは本発明の継手構造の第二実施例に係
り、第一実施例の梁部材1に代えて上下一対のフランジ
7aをウェブ7bで連結した断面H形の梁部材7を用い
た例を示すものである。
【0030】この実施例ではスリーブ3が梁部材7のウ
ェブ7bを貫通しており、係るスリーブ3を貫通するシ
ャフト4が柱部材2に係止されている。従って、この実
施例でも第一実施例と同様、梁部材7の結合端はシャフ
ト3を中心として回転可能に柱部材2と結合されてお
り、梁部材1及び柱部材2の結合部位にモーメント荷重
や剪断力が作用することがない。
【0031】但し、この実施例においては、梁部材7に
大きな軸力が作用すると、スリーブ3及びシャフト4が
梁部材7のウェブ7bに押圧されて大きく湾曲し、スリ
ーブ3とシャフト4との相対的な回転が阻害されてしま
う。従って、本実施例ではかかる弊害を防止するため、
梁部材7の結合端におけるウェブ7bの両側に一対の型
材8,8を設け、スリーブ3がこれら型材8,8及びウ
ェブ7bを貫通する構成を採用した。この型材8はスリ
ーブ3の曲げ変形を拘束できるものであれば、木材、プ
ラスチック等で構わないが、特に大きな軸力が梁部材7
に作用する場合にはアルミニウムや鋼等の金属を用いる
と効果的である。
【0032】このような型材8を用いることにより、本
実施例の継手構造では断面H形の梁部材7を用いている
にも拘わらず、スリーブ3とシャフト4との円滑な回転
を担保することができ、モーメント荷重や剪断力の発生
を可及的に抑えることができた。
【0033】◎実施例3 次に、図8は本発明の継手構造の第三実施例を示すもの
である。
【0034】例えば第一実施例に示される角パイプ状の
梁部材あるいは第二実施例に示される断面H形の梁部材
を考慮した場合、その構造上の理由から、梁部材に作用
する引張り荷重は主に水平面(前者においては上面及び
下面、後者においては上下フランジ)で受け持たせ、剪
断荷重は主に垂直面(前者においては左右側面、後者に
おいてはウェブ)で受け持たせるのが理想的であり、F
RP製の梁部材ではこのような観点からその製作過程に
おいて水平面と垂直面の許容圧縮応力や許容剪断応力を
自在に調整することが可能である。
【0035】しかし、本発明の継手構造では、梁部材に
対する引張り荷重が柱部材からシャフト4及びスリーブ
3を介して梁部材の左右側面あるいはウェブに伝達され
るので、係る引張り荷重を梁部材の左右側面から上下面
に効率良く伝達してやる必要がある。
【0036】そこで、本実施例においては、長手方向の
断面が同一の太さに形成されている第一実施例の梁部材
1に代え、結合端に太さの異なる補強部9aが形成され
た梁部材9を採用した。すなわち、この実施例ではスリ
ーブ(図示せず)が梁部材9の補強部9aを貫通してお
り、係るスリーブを貫通するシャフト4が柱部材2に係
止されている。かかる梁部材7は、第一実施例に示され
る梁部材1の端部をフィラメントワインディングあるい
はハンドレイアップ(手でプリプレグを貼り付ける手
法)等で補強して製作することができる。
【0037】従って、この実施例の継手構造では前述の
第一実施例と同様の作用効果が得られるばかりではな
く、柱部材2から梁部材9に伝達される引張り荷重を当
該梁部材9が効率良く受持ち得るので、より堅牢な構造
物を構成することができるものである。
【0038】◎実施例4 次に、図9乃至図11は本発明の第四実施例を示すもの
である。前述の第一実施例〜第三実施例においては柱部
材2に係止孔6を設け、この係止孔にシャフト4の端部
を係止していたが、かかる場合には従来の継手構造にお
けるボルト孔に比較して大きな直径の係止孔6を柱部材
2に開設する必要があり、その分だけ柱部材2の強度の
低下が懸念される。
【0039】従って、この実施例では、スリーブ3と略
同じ長さのシャフト10を当該スリーブ3に挿入する一
方、柱部材2にはこのシャフト10の断面よりも小さな
断面を有するスロット11を開設し、このスロットを貫
通する突片12を上記シャフト10の端面に埋め込むこ
とで梁部材1と柱部材2とを結合するようにした。すな
わち、図10に示すように、シャフト10の両端面には
嵌合孔10aが形成されており、柱部材2のスロット1
1を貫通した突片12の端部がこの嵌合孔10aに差し
込まれ、これによってシャフト10が柱部材2に係止さ
れるようになっている。また、一旦差し込んだ突片12
がシャフト10から抜けるのを防止するため、結合作業
の終了後において柱部材2の両側面には突片12を覆う
プリプレグ13が貼り付けられる(図11参照)。
【0040】これにより、本実施例の継手構造では前述
の第一実施例等に比較して柱部材2に開設するシャフト
10の係止孔(スロット11)を小さくすることができ
るので、その分だけ柱部材2の強度の向上を図ることが
できるものである。
【0041】次に、前述の第一実施例の継手構造を用い
た構造物の施工例を示すと共に、ボルトを用いた従来の
継手構造で同一構造物を施工した比較例を示す。各施工
例及び比較例では梁部材1及び柱部材2に歪みゲージを
貼付し、各部材の圧縮歪み、引張り歪み及び剪断歪みを
測定すると共に、これら歪みから各部材に作用する軸力
及び曲げモーメントを算出した。尚、かかる算出におい
て必要とされる梁部材1及び柱部材2の弾性率は、実験
又はFRPの積層理論によって予めこれを求めた。
【0042】◎施工例1 図12は第一実施例の継手構造を用いて構成した2本柱
の構造物を示すものであり、その地上高さは2000m
m、2本の柱部材2,2の中心距離は1500mmであ
る。柱部材2は炭素繊維(CF)及びガラス繊維(G
F)を含むハイブリッド複合材料から製作された肉厚5
mmの角パイプであり、これを地面に掘ったピットに垂
直に立設した後に、コンクリート17を打設してアンカ
ーリングした。一方、これら柱部材2,2を繋ぐ梁部材
1は柱部材2と同じ材料で作られた角パイプ(上下側面
の肉厚5mm、左右側面の肉厚7mm)であり、その両
結合端には外径50mmのスリーブ3が埋め込み固定さ
れている。そして、外径40mmのシャフト4を上記柱
部材2及びスリーブ3に同時に貫通させるようにして、
梁部材1と柱部材2とを結合した。尚、シャフト4には
焼き入れ処理及び焼き戻し処理がなされたSCM435
を用いる一方、スリーブにはS30Cを用い、シャフト
3及びスリーブ4の寸法公差は夫々H7/f6とした。
【0043】そして、このような構造物の柱部材2,2
の頭部に対し、これら柱部材2,2の間隔を狭める向き
に沿って5tfの荷重を反力壁から油圧ジャッキを用い
て加えた。油圧ジャッキと柱部材2との間には厚さ10
mmのゴムシートを敷き、局部的柱部材2の破壊を防止
した。
【0044】このような条件下で梁部材1の結合端にお
ける軸力ならびに曲げモーメントを算出した結果、梁部
材1に発生する引張り軸力の最大値は2.70tf、圧
縮軸力の最大値は0.25tfであつた。また、曲げモ
ーメントは0.1tf・m以下であり、剪断力は0.1
tf以下であった。
【0045】◇比較例1 図13は、前述の施工例1と同一の2本柱の構造物を従
来の継手構造を用いて施工した比較例を示すものであ
る。梁部材1及び柱部材2は施工例1と全く同じものを
使用し、柱部材2,2の立設方法も全く同一である。但
し、梁部材1と柱部材2との結合にはM8ボルト18を
用い、ボルトの本数は一ヶ所の結合部当たり36本とし
た。これにより、本比較例では梁部材1の柱部材2に対
する回転が拘束されている。そして、施工例1と全く同
じ荷重を柱部材の頭部に加え、梁部材1に発生する軸力
等を測定した。
【0046】その結果、梁部材1に発生する引張り軸力
の最大値は2.30tf、圧縮軸力の最大値は0.8t
fであったが、曲げモーメントの最大値は4.2tf・
m、剪断力の最大値は2.11tfとなり、施工例1と
比較して明らかに曲げモーメント及び剪断力が激増して
しまった。
【0047】◎施工例2 図14は第一実施例の継手構造を用いて構成した4本柱
の構造物を示すものであり、各柱部材2の間が夫々梁部
材を用いて連結されている。その大きさは地上高さは2
000mm、幅2000mm、奥行き1000mmであ
り、これら幅及び奥行きは共に柱部材2,2の中心間距
離である。梁部材1及び柱部材2は施工例1と全く同じ
ものを使用し、柱部材2,2の立設方法も全く同一であ
る。梁部材1の両結合端には外径90mmのスリーブ3
が埋め込み固定されており、外径80mmのシャフト4
を上記柱部材2及びスリーブ3に同時に貫通させるよう
にして、梁部材1と柱部材2とを結合した。尚、施工例
1と同様、シャフト4には焼き入れ処理及び焼き戻し処
理がなされたSCM435を用いる一方、スリーブには
S30Cを用い、シャフト3及びスリーブ4の寸法公差
は夫々H7/f6とした。
【0048】そして、幅方向(紙面方向)に沿って隣接
する柱部材2,2の頭部に対し、これら柱部材2,2の
間隔を狭める向きに沿って8tfの荷重を反力壁から油
圧ジャッキを用いて加えた。油圧ジャッキと柱部材2と
の間には厚さ10mmのゴムシートを敷き、局部的柱部
材2の破壊を防止した。
【0049】このような条件下で梁部材1の結合端にお
ける軸力ならびに曲げモーメントを算出した結果、梁部
材1に発生する引張り軸力の最大値は3.89tf、圧
縮軸力の最大値は0.62tfであつた。また、曲げモ
ーメントは0.2tf・m以下であり、剪断力は0.1
tf以下であった。
【0050】◇比較例2 図15は、前述の施工例1と同一の4本柱の構造物を従
来の継手構造を用いて施工した比較例を示すものであ
る。梁部材1及び柱部材2は施工例2と全く同じものを
使用し、4本の柱部材2の立設方法も全く同一である。
但し、梁部材1と柱部材2との結合にはM8ボルト18
を用い、ボルトの本数は一ヶ所の結合部当たり50本と
した。これにより、本比較例では梁部材1の柱部材2に
対する回転が拘束されている。そして、施工例2と全く
同じ荷重を柱部材の頭部に加え、梁部材1に発生する軸
力等を測定した。
【0051】その結果、梁部材1に発生する引張り軸力
の最大値は3.62tf、圧縮軸力の最大値は0.56
tfであったが、曲げモーメントの最大値は5.80t
f・m、剪断力の最大値は2.51tfとなり、施工例
2と比較して明らかに曲げモーメント及び剪断力が激増
してしまった。
【0052】すなわち、これら施工例及び比較例の対比
から明らかなように、本発明の継手構造は構造部材を剛
に結合する従来の継手構造に比較して、結合部分に作用
する曲げモーメントが約1/30〜1/40に、剪断力
が約1/20〜1/25に低減した。
【0053】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の複合
材料構造部材の継手構造によれば、梁部材及び柱部材の
結合部分に作用するモーメント荷重及び剪断力が著しく
低減されるので、剪断方向の強度が低く且つ引張り方向
の強度が高いといったいFRPの異方性を最大限に発揮
させる構造物の設計が可能となり、構造物自体の許容荷
重を大きく設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一実施例を示す斜視図である。
【図2】 第一実施例の柱部材をシャフトに沿って切断
した断面図である。
【図3】 梁部材と柱部材の開口部との間に要求される
隙間の大きさ示す説明図である。
【図4】 第一実施例の梁部材に引張り軸力Fが作用す
る場合の問題点を示す説明図である。
【図5】 第一実施例の梁部材に圧縮軸力F′が作用す
る場合の問題点を示す説明図である。
【図6】 本発明の第二実施例を示す斜視図である。
【図7】 第二実施例の柱部材をシャフトに沿って切断
した断面図である。
【図8】 本発明の第三実施例を示す斜視図である。
【図9】 本発明の第四実施例を示す斜視図である。
【図10】 第四実施例にかかるシャフトと突片との係
合状態を示す分解図である。
【図11】 第四実施例の柱部材をシャフトに沿って切
断した断面図である。
【図12】 第一実施例に係る継手構造を用いた構造物
の第一施工例を示す正面図である。
【図13】 第一施工例と同一の構造物を従来の継手構
造を用いて施工した比較例を示す正面図である。
【図14】 第一実施例に係る継手構造を用いた構造物
の第二施工例を示す斜視図である。
【図15】 第二施工例と同一の構造物を従来の継手構
造を用いて施工した比較例を示す斜視図である。
【図16】 従来の継手構造の一例を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
1…梁部材、2…柱部材、3…スリーブ、4…シャフ
ト、5…開口部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維強化複合材料で形成された一対の梁
    部材及び柱部材を結合するための継手構造であって、 梁部材の結合端に当該梁部材を貫通するスリーブを埋め
    込み固定する一方、柱部材には開口部を形成して上記梁
    部材の結合端を当該開口部に挿入し、上記スリーブを貫
    通し且つ当該スリーブに対して相対的に回転するシャフ
    トを上記柱部材に係止することによって梁部材及び柱部
    材を結合したことを特徴とする複合材料構造部材の継手
    構造。
  2. 【請求項2】 梁部材の軸力として引張力が生じる場合
    において、 梁部材の許容圧縮応力をσb1、許容剪断応力をτs1、ス
    リーブ外径をW1、梁部材の端面からスリーブまでの距
    離をL1としたとき、 L1>σb1・W1/2τs1 を満足させると共に、 柱部材の許容圧縮応力をσb2、許容剪断応力をτs2、柱
    部材に係止されている部分におけるシャフトの外径をW
    2、梁部材側における柱部材の側面からシャフトまでの
    距離をL2としたとき、 L2>σb2・W2/2τs2 を満足させることを特徴とする請求項1に記載の複合材
    料構造部材の継手構造。
  3. 【請求項3】 梁部材の軸力として圧縮力が生じる場合
    において、 柱部材の許容圧縮応力をσb2、許容剪断応力をτs2、柱
    部材に係止されている部分におけるシャフトの外径をW
    2、梁部材と反対側における柱部材の側面からシャフト
    までの距離をL2′としたとき、 L2′>σb2・W2/2τs2 を満足させることを特徴とする請求項1に記載の複合材
    料構造部材の継手構造。
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