JPH08333242A - 圧縮成型製剤 - Google Patents

圧縮成型製剤

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JPH08333242A
JPH08333242A JP14229295A JP14229295A JPH08333242A JP H08333242 A JPH08333242 A JP H08333242A JP 14229295 A JP14229295 A JP 14229295A JP 14229295 A JP14229295 A JP 14229295A JP H08333242 A JPH08333242 A JP H08333242A
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JP
Japan
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cellulose
film
coated particles
preparation
protective agent
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Application number
JP14229295A
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English (en)
Inventor
Takashi Yao
孝史 八百
Hiroshi Yamahara
弘 山原
Misuzu Yamada
深鈴 山田
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Tanabe Seiyaku Co Ltd
Original Assignee
Tanabe Seiyaku Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 容易入手可能な市販の製剤添加剤を使用し
て、圧縮成型時における皮膜の損傷を低減した製剤を提
供する。 【構成】 薬物含有被覆粒子を含み、かつ平均粒子径が
約50μm以上で初期溶出速度比が4以上を示す物質の
微粒子を皮膜保護剤として含む圧縮成型製剤及びその製
法。 【効果】 薬物含有被覆粒子を、平均粒子径が約50μ
m以上で初期溶出速度比が4以上を示す物質の微粒子と
共に圧縮成型することにより、元の被覆粒子の機能を損
なうことなく、使用時又は服用後、速やかにもとの被覆
粒子に分散または崩壊する圧縮成型製剤が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は薬物含有被覆粒子を、微
粒子状の皮膜保護剤の存在下で圧縮成型することによ
り、皮膜の損傷を低減した製剤及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】放出の制御、矯味、矯臭、安定性向上な
ど種々の目的のために、医薬化合物を含む粒子に適当な
皮膜をコーティングして被覆粒子とすることは一般に実
施されているが、製剤時の取扱の容易さ、服用の容易
さ、携帯の容易さなどの種々の点を考慮すれば、被覆粒
子を圧縮成型した錠剤とするのが好ましい。しかしなが
ら、被覆粒子を圧縮して錠剤とする場合、圧縮応力によ
り皮膜が損傷することにより、所期の薬物放出挙動が達
成されないなど、しばしば被覆粒子の機能が損なわれる
という問題があった。
【0003】この問題点を解決するために、例えば
(a)平均粒子径が30μm以下で、比表面積が1.3
2/g以上の結晶セルロースを賦形剤として打錠した
製剤(特開平3−240724)、或いは(b)直径
0.01μm以上の細孔の容積が0.3cm3/g以上
で、かつ比表面積が20m2/g以上である結晶セルロ
ースを賦形剤として打錠した製剤(特開平5−3254
2)などが知られている。
【0004】しかしながら、これらの製剤で使用される
結晶セルロースはいずれも通常の結晶セルロースよりも
表面積を大きくしたり多孔性とすることにより、嵩高く
して圧縮圧を受けとめるものであって、いずれも特殊な
ものである。例えば(a)で使用される結晶セルロース
はセルロースを塩酸で加水分解したのち、水酸化ナトリ
ウム溶液に浸積し、酸化分解等で分解し、ろ過洗浄、精
製し、乾燥後粉砕することにより得られ、また(b)の
結晶セルロースはセルロースの微粒子を有機溶媒のスラ
リーとし、スプレードライ法で造粒、乾燥することによ
り得られ、いずれも入手容易とは言いえない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、薬物含有被
覆粒子の圧縮成型時における皮膜の損傷を少なくし、期
待される被覆粒子の機能が維持され、使用時又は服用後
速やかにもとの被覆粒子に分散(又は崩壊)する圧縮成
型製剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、より入手
容易で簡便に使用できる皮膜保護剤について、鋭意研究
を重ねた結果、全く以外にも、通常の粒子径、例えば平
均粒子径が50μm以上で、全く皮膜保護作用を示さな
い製剤添加物を、微粒子状となるまで粉砕した場合に
は、当該製剤添加物は極めて優れた皮膜保護作用を示す
ことを見いだし本発明を完成した。
【0007】即ち、本発明は、薬物含有被覆粒子を含
み、かつ平均粒子径が約50μm以上で初期溶出速度比
が4以上を示す物質の微粒子を皮膜保護剤として含む圧
縮成型製剤及びその製法である。
【0008】本発明において、皮膜保護剤という語は、
塑性変形、粒子相互のすべりなどの物理的性質によっ
て、皮膜の損傷を圧縮力から保護しうる能力を有する添
加剤を意味する。
【0009】本発明において、初期溶出速度比とは、被
覆粒子の溶出速度に対する当該被覆粒子及び皮膜保護剤
を圧縮成型した製剤の溶出速度の比を意味し、被覆粒子
の皮膜に対する皮膜保護効果を表すパラメータである。
【0010】即ち、初期溶出速度比が1であれば、圧縮
成型時における被覆粒子の損傷がないこと、また1に近
いほど皮膜保護効果があり、数値が大きくなるほど皮膜
保護効果が低いことを表す。
【0011】本発明の圧縮成型製剤は、被覆粒子と皮膜
保護剤を含み圧縮成型して得られるものである限り、い
かなる形状、機能を持つものであってもよく、例えば単
に打錠しただけのいわゆる素錠の他、多層錠、有核錠な
どであってもよい。更にはこれらの糖衣錠や各種皮膜剤
で被覆した錠剤であってもよく、この場合皮膜剤は被覆
粒子の皮膜剤として用いられるものから適宜選択するこ
とが好ましい。
【0012】また、その薬物の作用が許すかぎり、内服
用製剤、口腔用製剤、非経口用製剤、外用製剤であって
もよく、また該製剤の溶出からみた場合、速放性のもの
であっても、持続性のものであっても何ら差し支えな
い。
【0013】更に、例えば放出特性の異なる複数の被覆
粒子を均一に分散又は積層して圧縮成型して、持続型製
剤としたものであってもよく、徐放錠の周囲に速放性被
覆粒子と皮膜保護剤の圧縮被覆層を設けた持続性製剤と
してもよい。
【0014】その他、例えばクエン酸等の有機酸と炭酸
水素塩を被覆粒子及び皮膜保護剤と共に圧縮成型し服用
後に炭酸ガスを発生させて製剤の分散や溶解を促進する
発泡錠であってもよい。
【0015】本発明において、皮膜保護剤としては、平
均粒子径が約50μm以上で初期溶出速度比が4以上を
示すものであって、微粒子とした場合に皮膜保護効果を
示し、生体に投与した場合に、薬理的に不活性なもので
あれば、特に限定されない。
【0016】このような皮膜保護剤としては、(I)水
溶性糖類、(II)セルロース誘導体、(III)多糖
類、(IV)合成高分子化合物、(V)ケイ素化合物、
(VI)アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩等を好
適に用いることができる。
【0017】(I)としては、例えば、グルコース、マ
ルトース、白糖、乳糖、麦芽糖等の単糖ないし少糖類、
マンニトール、ソルビトール等の糖アルコールがあげら
れる。
【0018】(II)としては、例えば、カルメロー
ス、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウ
ム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチル
エチルセルロース等のカルボキシアルキルセルロース、
ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセル
ロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒド
ロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメ
チルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース、メ
チルセルロース、エチルセルロース、ブチルセルロース
等のセルロースエーテル、セルロースアセテート、セル
ロースプロピオネート等のセルロースエステル、セルロ
ースアセテートサクシネート、セルロースアセテートフ
タレート、セルロースアセテートマレエート、セルロー
スベンゾエートフタレート、ヒドロキシエチルセルロー
スアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピル
メチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルエチル
セルロースフタレート等のセルロースもしくはヒドロキ
シアルキルセルロースと有機酸とのエステル等があげら
れる。
【0019】(III)としては、例えば、トウモロコ
シデンプン、バレイショデンプン、小麦デンプン、部分
アルファー化デンプン、デキストリン、カルボキシメチ
ルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、
プルラン等のデンプン類、キトサン等のムコ多糖類、ア
ルギン酸ナトリウム等のポリウロン酸、アラビアゴム、
トラガント、グアーガム等の植物ゴム、寒天、カラギー
ナン等の海藻由来の粘質多糖等があげられる。
【0020】(IV)としては、例えば、ポリビニルア
セタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアセタ
ールフタレート、ポリビニルアセテート、ポリビニルア
セトアセタールサクシネート、ポリビニルアセトアセタ
ールフタレート、ポリビニルアミノアセタール、ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルアルコールアセテートフタ
レート、ポリビニルアルコールフタレート、ポリビニル
ピロリドン、ポリビニルブチレートフタレート、ポリビ
ニルプロピオネートフタレート、ポリ塩化ビニル等のポ
リビニル系ポリマー、アクリル酸・アクリル酸ブチル共
重合体、アクリル酸・アクリル酸メチル共重合体、アク
リル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸
塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体(例えば、
商品名;オイドラギットRS及びRL、ローム・ファー
マ社製)、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル共
重合体(例えば、商品名;オイドラギットNE、ローム
・ファーマ社製)、エチルアクリレート・メタアクリル
酸共重合体、スチレン・アクリル酸共重合体、ポリアク
リル酸、ポリカーボフィルカルシウム、ポリメタクリル
酸、メタアクリル酸・アクリル酸エチル共重合体(例え
ば、商品名;オイドラギットL100−55及びL30
D−55、ローム・ファーマ社製)、メタアクリル酸・
アクリル酸メチル共重合体、メタアクリル酸・メタアク
リル酸メチル共重合体(例えば、商品名;オイドラギッ
トL及びS、ローム・ファーマ社製)、メタアクリル酸
メチル・メタアクリル酸ブチル・メタアクリル酸ジメチ
ルアミノエチル共重合体(例えば、商品名;オイドラギ
ットE、ローム・ファーマ社製)、メチルアクリレート
・メタアクリル酸・オクチルアクリレート共重合体、メ
チルアクリレート・メタアクリル酸共重合体等のアクリ
ル酸系ポリマー、アクリロニトリル・メチルアクリレー
ト・マレイン酸共重合体、エチレン・スチレン・マレイ
ン酸共重合体、スチレン・マレイン酸モノエステル共重
合体、ビニルアセテート・マレイン酸無水物共重合体、
ビニルブチルエーテル・マレイン酸無水物共重合体、ブ
チルアクリレート・スチレン・マレイン酸共重合体等の
マレイン酸ビニル系ポリマー、ポリエチレングリコール
等があげられる。
【0021】(V)としては、例えば、ケイ酸、ケイ酸
アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、タルク等のケイ酸
もしくはケイ酸塩があげられる。
【0022】(VI)としては、炭酸カルシウム、リン
酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、クエ
ン酸カルシウム、安息香酸ナトリウム、ステアリン酸カ
ルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のアルカリ金属
塩もしくはアルカリ土類金属塩があげられる。
【0023】また、ゼラチン、カゼイン、グルテン、硬
化油、酸化マグネシウム等も好適に用いることができ
る。
【0024】これらの皮膜保護剤は単独で用いるだけで
なく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよく、その
製剤中における配合量は、薬物の作用、投与態様、患者
の状態などによって適宜決定される錠剤の大きさと投与
後の崩壊性、更には粒子の皮膜強度、圧縮成型の際の圧
力などにより、適当な範囲とすることができ、当業者に
おいては何ら困難を伴うことなく配合量を決定すること
が出来る。例えば配合量を非限定的に例示するとすれ
ば、錠剤中に、錠剤重量に対して約5〜99重量%、好
ましくは約30重量%以上であり、更には約30〜80
重量%程度配合されているのが好ましい。また、薬物含
有被覆粒子と皮膜保護剤との配合比率は19:1〜1:
99の範囲内が好ましく、更に好ましくは1:0.43
〜1:4である。
【0025】さらに、これら皮膜保護剤と共に、製剤技
術の分野で通常使用される崩壊剤、滑沢剤等を、皮膜保
護剤の機能を損なわない範囲内で配合しても何ら差し支
えない。
【0026】本発明の皮膜保護剤における微粒子状と
は、初期溶出速度比が4以下となるような平均粒子径で
あればよく、とりわけ初期溶出速度比が2以下となるよ
うな平均粒子径が好ましい。かかる微粒子として例えば
平均粒子径が約20μm以下のの粉末であるのがとりわ
け好ましい。
【0027】本発明における皮膜保護剤を調製するため
の粉砕は、ジェットミル、ハンマーミル、ボールミル、
振動ボールミル、ピンミルなどを用いて、常法により実
施することができる。
【0028】また、上記微細化後の皮膜保護剤が所望の
平均粒子径となっているかどうかについては、例えば顕
微鏡法、透過法、レーザー回折法などの粒子径測定装置
により測定することができる。
【0029】本発明の薬物含有被覆粒子(以下、被覆粒
子)とは、1種又は2種以上の薬物を含有する芯物質
を、徐放化、矯味、矯臭、安定性向上、表面改質などの
目的で皮膜を施したものを意味し、芯物質中には、製剤
技術分野で使用される添加物を含んでいてもよい。これ
ら被覆粒子は、圧縮成型に適した大きさであれば、特に
限定されないが、例えば約30〜1000μm程度のも
のがあげられる。
【0030】かかる被覆粒子に含まれる薬物としては、
経口投与可能な薬物であれば特に限定されない。例えば
化学療法剤、抗生物質、呼吸促進剤、鎮咳去たん剤、抗
悪性腫瘍剤、自律神経用薬剤、精神神経用薬剤、局所麻
酔剤、筋弛緩剤、消化器官用薬剤、抗ヒスタミン剤、中
毒治療剤、催眠鎮静剤、抗てんかん剤、解熱鎮痛消炎
剤、強心剤、不整脈治療剤、利尿剤、血管拡張剤、抗脂
血剤、滋養強壮変質剤、抗凝血剤、肝臓用薬剤、血糖降
下剤、血圧降下剤等種々の薬物があげられる。
【0031】該薬物が水溶性のものの他、例えば比較的
水に溶解し難いものである場合には種々の有機酸、無機
酸、有機塩基又は無機塩基などを溶解補助の目的で添加
することも出来る。これらの酸又は塩基は、通常この技
術分野で使用されるものであれば、何らの制限なく好適
に使用することができる。
【0032】これら、被覆粒子中には、製剤技術の分野
で通常使用される、種々の添加剤、例えばデンプン、ソ
ルビトール、結晶セルロース、リン酸カルシウム、白
糖、乳糖、硫酸カルシウム等の賦形剤、タルク、ステア
リン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステア
リン酸、ワックス等の滑沢剤が、賦形剤であれば、粒子
中に約10〜25重量%、滑沢剤であれば、粒子中に約
0.1〜4.0重量%含まれていてもよく、添加剤の種
類や配合量は、いずれも本発明においては技術的に特徴
はなく、どのようなものであっても好適に用いることが
出来る。
【0033】更に、該粒子は中心部位に例えば糖類や無
機塩(乳糖、セルロース、塩化ナトリウム等)の結晶な
いし球形造粒物の担体を有していてもよい。
【0034】上記の如き被覆粒子の具体例を非限定的に
例示すれば、実施例で例示した如き薬物含有粒子(芯物
質)をエチルセルロース等のセルロース系ポリマー皮膜
で被覆してなる徐放性製剤の他、薬物及び有機酸を含有
する芯物質をアクリル酸系ポリマーのエタノール溶液を
噴霧コーティングしてなる徐放性製剤(特開昭60−1
93913号)や、芯物質を撥水性塩を含むアクリル酸
系ポリマー皮膜(例えばオイドラギットRS等)で被覆
した放出制御型製剤(特開平4−235123号)など
があげられる。
【0035】本発明の圧縮製剤は、被覆粒子と皮膜保護
剤とを混合したのち、圧縮成型することにより製するこ
とができる。
【0036】圧縮成型は、製剤技術の分野で知られてい
る方法により、容易に実施することが出来る。
【0037】例えば、被覆粒子と皮膜保護剤を、必要に
応じて滑沢剤等の存在下に、混合して圧縮する直接圧縮
法、被覆粒子と皮膜保護剤を、各種添加剤の存在下に、
一旦圧縮して粉砕の後、圧縮成型する乾式顆粒圧縮法、
被覆粒子と皮膜保護剤を、一旦湿式造粒し圧縮成型する
湿式顆粒圧縮法、中心錠の周囲に皮膜保護剤の粉末を圧
縮して成型する圧縮コーティング法、薬物や皮膜剤を異
にする被覆粒子、崩壊性を異にする被覆粒子もしくは配
合をきらう薬物を含む被覆粒子を、皮膜保護剤と共にあ
るいは別異に2層又はそれ以上の層に積層し圧縮する多
層圧縮法などにより、製造することが出来る。
【0038】これらの方法を実施するに際しては、ロー
タリー型錠剤機、エキセントリック型錠剤機、コルトン
圧縮コーティング錠剤機、菊水多層錠剤機、顆粒圧縮機
などそれぞれの圧縮方法に応じた市販の圧縮機を使用す
ればよく、またその圧縮圧力は、通常の製剤圧縮圧の範
囲内であれば、本発明の皮膜保護剤の作用により、被覆
粒子の皮膜を損なうことなく実施することが出来るが、
例えば約0.2〜3t/cm2、とりわけ0.5〜2t
/cm2が好都合である。
【0039】得られた圧縮成型製剤は所望により、糖衣
やフィルムコーティングにより、コーティング錠として
もよく、該コーティングはいずれも常法により実施する
ことも出来る。
【0040】なお、被覆粒子は、薬物を既知の乾式及び
湿式造粒法など(例えば、バスケット式造粒機、スクリ
ュー型押し出し造粒機、オシレーティング式造粒機など
による押し出し造粒、プラネタリーミキサー、高速撹拌
造粒機などによる撹拌造粒、流動層造粒機、遠心流動層
造粒機による流動層造粒、コンパクターなどによる圧縮
造粒、或いは噴霧コーティングや粉末コーティング)に
より造粒し、次いで、製剤技術分野の常法でコーティン
グすることにより、容易に調製することができ、薬物含
有粒子のコーティング方法としては、例えば、流動層コ
ーティング装置、パンコーティング装置、転動流動層コ
ーティング装置などを用いて、流動層コーティング法、
パンコーティング法、転動流動層コーティング法など、
製剤技術分野で用いられる常法により実施することがで
きる。コーティングは、水系及び非水系のいずれの方法
でもすることができ、皮膜剤を水又は有機溶媒に溶解も
しくは懸濁し、この溶液もしくは懸濁液を薬物含有粒子
へ噴霧するなどして実施することができる。
【0041】更に、該粒子の皮膜剤としては、製剤技術
の分野で通常使用される親水性又は疎水性皮膜剤があげ
られる。
【0042】親水性皮膜剤としては、水溶性高分子物
質、腸溶性高分子物質、胃溶性高分子物質、胃腸両溶性
高分子物質などを好適に用いることができる。
【0043】水溶性高分子物質の好ましい例としては、
プルラン、デキストリン、アルギン酸アルカリ金属塩等
の硫酸基を有していてもよい多糖類、ヒドロキシプロピ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、
カルボキシメチルセルロースナトリウム等のヒドロキシ
アルキル基又はカルボキシアルキル基を有する多糖類、
メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニル
アルコールもしくはポリエチレングリコール等があげら
れる。これらのうち、より好ましい水溶性高分子物質と
してはヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプ
ロピルメチルセルロースがあげられる。
【0044】また腸溶性高分子物質としては、pH5以
上の水に溶解し皮膜形成能のある高分子物質であればよ
く、例えば(1)カルボキシアルキルセルロースエーテ
ル、(2)二塩基性酸のモノエステル結合を有するセル
ロース誘導体、(3)二塩基性酸のモノエステル結合を
有するポリビニル誘導体、(4)マレイン酸・ビニル系
共重合体又は(5)アクリル酸系重合体等があげられ
る。
【0045】(1)の具体例としてはカルボキシメチル
エチルセルロース、(2)の具体例としてはセルロース
アセテートフタレート、セルロースアセテートサクシネ
ート、メチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチル
エチルセルロースフタレート、ヒドロキプロピルメチル
セルロースフタレート、ヒドロキプロピルメチルセルロ
ースアセテートサクシネート等のセルロースモノエステ
ル類、(3)の具体例としてはポリビニルアルコールフ
タレート、ポリビニルブチレートフタレート、ポリビニ
ルアセトアセタールフタレート等のビニル重合体の二塩
基酸モノエステル類があげられる。また(4)の具体例
としてはビニルアセテート・マレイン酸無水物共重合
体、ビニルブチルエーテル・マレイン酸無水物共重合
体、スチレン・マレイン酸モノエステル共重合体があげ
られ、(5)の具体例としてはメチルアクリレート・メ
タアクリル酸共重合体、スチレン・アクリル酸共重合
体、メチルアクリレート・メタアクリル酸・オクチルア
クリレート共重合体、メタアクリル酸・メタアクリル酸
メチル共重合体(オイドラギットL及びS)、メタアク
リル酸・アクリル酸エチル共重合体(オイドラギットL
100−55及びL30D−55)等があげられる。こ
れらのうち、より好ましい腸溶性高分子物質はカルボキ
シメチルエチルセルロース、ヒドロキプロピルメチルセ
ルロースアセテートサクシネート、メタアクリル酸・メ
タアクリル酸メチル共重合体又はメタアクリル酸・アク
リル酸エチル共重合体である。
【0046】更に、胃溶性高分子物質としては、pH6
以下の水に溶解し皮膜形成能のある高分子物質であれば
よく、例えば(A)アミノ基を有するセルロース誘導
体、(B)アミノ基を有するポリビニル誘導体、(C)
アミノ基を有するアクリル酸系重合体等があげられる。
【0047】(A)の具体例としてはベンジルアミノメ
チルセルロース、ジエチルアミノメチルセルロース、ピ
ペリジルエチルヒドロキシエチルセルロース等のアミノ
セルロース類、セルロースアセテートジエチルアミノア
セテート等のアミノセルロースエステル類があげられ
る。(B)の具体例としてはビニルジエチルアミン・ビ
ニルアセテート共重合体、ビニルベンジルアミン・ビニ
ルアセテート共重合体等のビニルアミン類化合物、ポリ
ビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ビニルピ
ペリジルアセトアセタール・ビニルアセテート共重合体
等のアミノビニルアセタール類化合物、ポリジエチルア
ミノメチルスチレン等があげられ、(C)の具体例とし
てはメタアクリル酸メチル・メタアクリル酸ブチル・メ
タアクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体(オイドラ
ギットE)、ポリジメチルアミノエチルメタアクリレー
ト等があげられる。
【0048】胃腸両溶性高分子物質としては、pH4.
5以下の水及びpH6以上の水に溶解し皮膜形成能のあ
る高分子物質であればよく、例えばビニルピリジン・ア
クリル酸系共重合体、アミノ基を有するカルボキシメチ
ル多糖類又はポリビニルアミノ酸誘導体があげられる。
ビニルピリジン・アクリル酸系共重合体の具体例として
は、2−メチル−5−ビニルピリジン・メチルメタアク
リレート・メタアクリル酸共重合体、2−メチル−5−
ビニルピリジン・メチルアクリレート・メタアクリル酸
共重合体、2−ビニル−5−エチルピリジン・メタアク
リル酸・スチレン共重合体、2−ビニル−5−エチルピ
リジン・メタアクリル酸・メチルアクリレート共重合
体、2−ビニルピリジン・メタアクリル酸・メチルアク
リレート共重合体、2−ビニルピリジン・メタアクリル
酸・アクリロニトリル共重合体等があげられる。またア
ミノ基を有するカルボキシメチル多糖類の具体例として
はカルボキシメチルピペリジルデンプン、カルボキシメ
チルベンジルアミノセルロース等があげられ、ポリビニ
ルアミノ酸誘導体の具体例としてはポリ2−ビニルフェ
ニルグリシン、N−ビニルグリシン・スチレン共重合体
等があげられる。
【0049】疎水性皮膜剤としては、例えばセルロース
エーテル、セルロースエステル、ポリビニルエステル、
アミノアルキル基を有するアクリル酸系重合体等があげ
られる。具体的には、例えばエチルセルロース、ブチル
セルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピ
オネート、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチレー
ト、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタア
クリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体
(オイドラギットRS)等があげられる。これらのう
ち、特に好ましい疎水性皮膜剤は、エチルセルロース、
アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリ
ル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体(オイ
ドラギットRS)である。
【0050】またこれらの皮膜剤を単独で用いるだけで
なく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、コーティ
ングに際し、必要に応じて、この分野で常用される可塑
剤や凝集防止剤等他の成分を配合してもよい。
【0051】更に、本発明においては、被覆粒子の皮膜
剤と皮膜保護剤は、どのような組み合わせにおいても好
結果を得ることができるが、より好ましい組合せをあげ
るとすれば、次のような組合せをあげることができる。
【0052】被覆粒子の皮膜剤としてセルロースエーテ
ル、アミノアルキル基を有するアクリル酸系重合体と皮
膜保護剤として単糖類、少糖類、糖アルコール、デンプ
ン類、カルボキシアルキルセルロース、ヒドロキシアル
キルセルロース、セルロースエーテル、ムコ多糖類、ア
ルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩との組み合わせ、
皮膜剤として硫酸基を有してもよい多糖類、ヒドロキシ
アルキル基又はカルボキシアルキル基を有する多糖類、
メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニル
アルコール、ポリエチレングリコールと上記皮膜保護剤
との組み合わせ、皮膜剤としてカルボキシアルキルセル
ロースエーテル、二塩基性酸のモノエステル結合を有す
るセルロース誘導体、アクリル酸系重合体と上記皮膜保
護剤との組み合わせ、皮膜剤としてアミノ基を有するポ
リビニル誘導体、アミノ基を有するアクリル酸系重合体
と上記皮膜保護剤との組み合わせ、皮膜剤としてビニル
ピリジン・アクリル酸系共重合体と上記皮膜保護剤との
組み合わせがあげられる。
【0053】また、より具体的な組み合わせとしては、
皮膜剤として(a)エチルセルロース、(b)ヒドロキ
シプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロース、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロ
ースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチル
セルロースフタレート、ヒドロキシエチルセルロース、
カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロースアセテートサクシネート、(c)ア
クリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル
酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体(オイド
ラギットRS及びRL)、(d)アクリル酸エチル・メ
タアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチルア
ンモニウムエチル共重合体(オイドラギットRS及びR
L)、メタアクリル酸・アクリル酸エチル共重合体(オ
イドラギットL100−55及びL30D−55)、メ
タアクリル酸・メタアクリル酸メチル共重合体(オイド
ラギットL及びS)、メタアクリル酸メチル・メタアク
リル酸ブチル・メタアクリル酸ジメチルアミノエチル共
重合体(オイドラギットE)、(e)アクリル酸エチル
・メタアクリル酸メチル共重合体(オイドラギットN
E)、(f)ポリビニルアセタールジエチルアミノアセ
テート、ポリエチレングリコールのいずれかと皮膜保護
剤として(i)キトサンとの組み合わせ、皮膜剤として
上記(a)〜(f)のいずれかと皮膜保護剤として(i
i)乳糖、白糖との組み合わせ、皮膜剤として上記
(a)〜(f)のいずれかと皮膜保護剤として(ii
i)マンニトール、ソルビトールとの組み合わせ、皮膜
剤として上記(a)〜(f)のいずれかと皮膜保護剤と
して(iv)カルメロース、カルメロースナトリウム、
カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウ
ム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとの組み合
わせ、皮膜剤として上記(a)〜(f)のいずれかと皮
膜保護剤として(v)トウモロコシデンプン、デキスト
リン、部分アルファー化デンプン、カルボキシメチルス
ターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチとの組
み合わせ、皮膜剤として上記(a)〜(f)のいずれか
と皮膜保護剤として(vi)ポリビニルピロリドン、ポ
リビニルアルコールとの組み合わせ、皮膜剤として上記
(a)〜(f)のいずれかと皮膜保護剤として(vi
i)炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、クエン酸カル
シウム、塩化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ステア
リン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムとの組み
合わせ、皮膜剤として上記(a)〜(f)のいずれかと
皮膜保護剤として(viii)ヒドロキシプロピルセル
ロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチル
セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセル
ロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレー
ト、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチ
ルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ースアセテートサクシネートとの組み合わせ、皮膜剤と
して上記(a)〜(f)のいずれかと皮膜保護剤として
(ix)アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メ
タアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合
体(オイドラギットRS及びRL)、メタアクリル酸・
アクリル酸エチル共重合体(オイドラギットL100−
55及びL30D−55)、メタアクリル酸・メタアク
リル酸メチル共重合体(オイドラギットL及びS)、メ
タアクリル酸メチル・メタアクリル酸ブチル・メタアク
リル酸ジメチルアミノエチル共重合体(オイドラギット
E)との組み合わせ、皮膜剤として上記(a)〜(f)
のいずれかと皮膜保護剤として(x)アクリル酸エチル
・メタアクリル酸メチル共重合体(オイドラギットN
E)との組み合わせ、皮膜剤として上記(a)〜(f)
のいずれかと皮膜保護剤として(xi)タルク、プルラ
ン、ポリエチレングリコールとの組み合わせなどがあげ
られる。
【0054】また、皮膜剤として上記(a)〜(f)の
いずれかと皮膜保護剤として(i)〜(xi)の2種以
上とを組み合わせてもよい。
【0055】以下、実施例により、本発明を具体的に説
明する。
【0056】
【実施例】
実施例1 流動層コーティング装置(GPCG−1型、グラット社
製)を用い、テオフィリン結晶(粒子径53〜105μ
m)200gを装置内で流動させながら、これにエチル
セルロース(10cps、信越化学社製)を5%(W/
W)含有する65%(W/W)エタノール溶液を装置下
部の中心部に設置したスプレーノズルより噴霧すること
によりコーティングを施し、徐放性被覆粒子を得た。被
覆粒子の被覆量は、テオフィリン結晶に対して40%
(W/W)とした。次いで、被覆粒子と表1に記載した
粒子径の異なる種々の皮膜保護剤とを3:7の重量比で
混合し、打錠圧0.5t/杵で圧縮成型(オートグラ
フ、島津製作所製)することにより、直径10mm、重
量200mgの錠剤(a〜n)を得た。
【0057】得られた錠剤(a〜n)について溶出試験
(試験液:水、日本薬局方パドル法;パドル回転数:1
00rpm、温度:37℃)を行い、試験開始後、2時
間目までのテオフィリンの溶出速度を初期溶出速度と定
義し、錠剤の被覆粒子に対する初期溶出速度の比を算出
し、この比と皮膜保護剤の粒子径との関係を求めた。
【0058】その結果、図1に示すように、平均粒子形
約30μm以上でほぼ直線関係が認められ、外挿法を用
いて初期溶出速度比が1である時(圧縮による皮膜の損
傷がなく、錠剤と被覆粒子の初期溶出速度が同じ)の皮
膜保護剤の平均粒子径を求めた結果(図1の点線が横軸
と交差する点)、20μmであった。以上の結果より、
平均粒子径20μm以下の皮膜保護剤を用いれば、その
種類に拘わらず圧縮時の皮膜の破壊をほとんど防止でき
ることが確認され、事実、平均粒子径20μm以下の皮
膜保護剤を用いた錠剤a〜gの初期溶出速度比はいづれ
も1に近い値であり、皮膜の損傷が効果的に防止されて
いた。
【0059】
【表1】
【0060】実施例2 実施例1で用いた被覆粒子と表2に記載した皮膜保護剤
とを3:7の重量比で混合し、実施例1と同様に処理し
て錠剤(A〜C)を得た。
【0061】被覆粒子と錠剤A、B、及びCの溶出(試
験液:水、日本薬局方パドル法;パドル回転数:100
rpm、温度:37℃)を比較した結果、図2及び図3
に示した通り、平均粒子径が20μmより小さい皮膜保
護剤を使用した錠剤A及びBは被覆粒子とほぼ同様の溶
出挙動を示した。
【0062】このことから、本発明の製剤は被覆粒子の
皮膜を損なうことなく圧縮成型されていることが明らか
である。
【0063】
【表2】
【0064】実施例3 アセトアミノフェン結晶(粒子径125〜300μm)
100gをエチルセルロース(10cps)を5%(W
/W)含有する80%(W/W)エタノール溶液を用い
実施例1と同様にコーティングして、徐放性被覆粒子を
得た。被覆量は、アセトアミノフェン結晶に対して20
%(W/W)とした。次いで、該被覆粒子と平均粒子径
が6μmのキトサン(商品名:マリンカイト、富士紡績
製、比表面積:0.3m2/g)を1:1の重量比で混
合し、実施例1と同様に処理して錠剤Dを得た。なお、
キトサンの比表面積は、島津製作所(株)製アキュソー
プ2100−02型を用いBET法にて測定し、吸着物
質には窒素を使用した。
【0065】被覆粒子と錠剤Dの溶出を実施例2と同様
の方法で比較した結果、図4に示した通り、両者はほぼ
同様の溶出挙動を示し、被覆粒子の皮膜が全く損なわれ
ていないことがわかった。
【0066】実施例4 テオフィリン121.5g、トウモロコシデンプン48
6g、ポリエチレングリコール147.5gを混合し、
遠心転動造粒機(フロイント社製、CF−360型)を
用いて溶融造粒して素顆粒(粒子径500〜800μ
m)を得た。この素顆粒にエチルセルロース(10cp
s)を5%(W/W)含有する80%(W/W)エタノ
ール溶液を用い実施例1と同様にしてコーティングし徐
放性被覆粒子を得た。被覆量は、素顆粒に対して10%
(W/W)とした。次いで、被覆粒子と平均粒子径が6
μmのキトサンとを1:1の重量比で混合し、実施例1
と同様に処理して錠剤Eを得た。
【0067】被覆粒子と錠剤Eの溶出を実施例2と同様
の方法で比較した結果、図5に示した通り、両者はほぼ
同様の溶出挙動を示し、被覆粒子の皮膜が全く損なわれ
ていないことがわかった。
【0068】
【発明の効果】かくして得られた本発明の製剤は、圧縮
時の皮膜の損傷がなく、被覆粒子の所期の機能が維持さ
れた錠剤であるという優れた効果を有するものであっ
て、該効果は、皮膜保護剤が被覆粒子の周囲を覆うよう
に存在し、圧縮成型時に被覆粒子同士が接触するのを妨
げるとともにクッションの役割をして皮膜の損傷を防止
又は低減するというものであり、粒子径が小さくなるこ
とによって飛躍的に該効果が増強したものと考えられ
る。しかも、本発明の製剤は、粒子径の大きい保護剤を
用いて同じ圧力で成型した場合にくらべ、製剤硬度が高
いという効果も得られ、例えば乳糖の場合であれば、約
10〜20%も硬度が高くなる。
【0069】更に、本発明の製剤は、服用後の崩壊性に
優れており、速やかに元の被覆粒子に分散(崩壊)する
という特徴をも併せもつ。
【図面の簡単な説明】
【図1】 薬物(テオフィリン)含有被覆粒子に粒子径
の異なる種々の皮膜保護剤を配合して圧縮成型した錠剤
(a〜n)の、該被覆粒子に対する初期溶出速度比と皮
膜保護剤の粒子径との相関性を示す。
【図2】 薬物(テオフィリン)含有被覆粒子、及び該
被覆粒子に平均粒子径5μmの乳糖を配合して圧縮成型
した錠剤Aの薬物放出挙動を示す。
【図3】 薬物(テオフィリン)含有被覆粒子、該被覆
粒子に平均粒子径13μmのカルメロースカルシウムを
配合して圧縮成型した錠剤B、及び該被覆粒子に平均粒
子径50μmのカルメロースカルシウムを配合して圧縮
成型した錠剤Cの薬物放出挙動を表す。
【図4】 薬物(アセトアミノフェン)含有被覆粒子、
及び該被覆粒子に平均粒子径約6μmのキトサンを配合
して圧縮成型した錠剤Dの薬物放出挙動を示す。
【図5】 薬物(テオフィリン)含有被覆粒子、及び該
被覆粒子に平均粒子径約6μmのキトサンを配合して圧
縮成型した錠剤Eの薬物放出挙動を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 47/12 A61K 47/12 A 47/26 47/26 A 47/32 47/32 A 47/34 47/34 A 47/36 47/36 A 47/38 47/38 A 47/42 47/42 A

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薬物含有被覆粒子を含み、かつ平均粒子
    径が約50μm以上で初期溶出速度比が4以上を示す物
    質の微粒子を皮膜保護剤として含む圧縮成型製剤。
  2. 【請求項2】 皮膜保護剤が平均粒子径約20μm以下
    である請求項1記載の製剤。
  3. 【請求項3】 薬物含有被覆粒子と皮膜保護剤との配合
    比率が19:1〜1:99の範囲内である請求項1又は
    2記載の製剤。
  4. 【請求項4】 錠剤である請求項1、2又は3記載の製
    剤。
  5. 【請求項5】 皮膜保護剤が水溶性糖類、セルロース誘
    導体、多糖類、合成高分子化合物、ケイ素化合物又はア
    ルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩である請求項
    1、2、3又は4記載の製剤。
  6. 【請求項6】 皮膜保護剤が単糖もしくは少糖類、糖ア
    ルコール、カルボキシアルキルもしくはヒドロキシアル
    キルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエス
    テル、有機酸とセルロースもしくはヒドロキシアルキル
    セルロースとのエステル、デンプン類、ムコ多糖類、ポ
    リウロン酸、植物ゴム、海藻由来の粘質多糖、ポリビニ
    ル系ポリマー、アクリル酸系ポリマー、マレイン酸・ビ
    ニル系ポリマー、ケイ酸もしくはケイ酸塩又は無機もし
    くは有機酸とアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属と
    の塩、或いはポリエチレングリコール、カゼイン、ゼラ
    チン、グルテン、硬化油及び酸化マグネシウムからなる
    群より選ばれるいずれかの1種或いは2種以上である請
    求項1、2、3又は4記載の製剤。
  7. 【請求項7】 皮膜保護剤が少糖類、糖アルコール、カ
    ルボキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセル
    ロース、デンプン類又はムコ多糖類である請求項6記載
    の製剤。
  8. 【請求項8】 皮膜保護剤がカルメロースカルシウム、
    乳糖、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、マンニ
    トール、トウモロコシデンプン又はキトサンである請求
    項7記載の製剤。
  9. 【請求項9】 薬物含有粒子に皮膜を施してなる薬物含
    有被覆粒子を、平均粒子径が約50μm以上で初期溶出
    速度比が4以上を示す物質の微粒子と共に圧縮成型する
    ことを特徴とする製剤の製造法。
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