JPH083319Y2 - 衣服吊下げ用のハンガー - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本願考案は、衣服吊下げ用のハン
ガー、さらに詳しくは衣服支持用のバーに、ズボンやス
カート等を逆Ｕ字状に掛けて支持するための衣服吊下げ
用のハンガーに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、衣服吊下げ用のハンガーとして最
も広く用いられているものは、吊下げ用のフックと、こ
のフックから左右斜め下方向に伸ばされた上着支持部
と、この上着支持部の左右端間に設けられたバーとから
構成されている。そして、このバーに、ズボンやスカー
ト等を逆Ｕ字状に掛けて使用するようになっているが、
逆Ｕ字状に掛けた衣服がずれ落ちてしまい易いという問
題を有する。そこで、バーに沿って、弾性を有する係止
片を形成し、この係止片とバーとの間に衣服を挟んで、
そのずれ落ちを防止するようにしたものも実用化されて
いる。この種のハンガーに、衣服を装着するに際して
は、バーに衣服をＵ字状に掛け、バーに沿って衣服を横
にずらして、係止片とバーとの間に衣服を挿入するもの
である。しかしながら、係止片はその弾性によってバー
側に付勢されているため、上記挿入が困難であり、ま
た、挿入の際に衣服に皺が寄ってしまうという課題を有
する。

【０００３】そのため、実開昭５４−５０６３０号にお
いては、ハンガーのバーに、逆Ｕ字状に掛けた衣服がず
れ落ちてしまわないように、衣服押さえを設け、この衣
服押さえをバネ等の付勢手段によって、衣服押さえが、
バーに対する接近位置と、中間位置と、離反位置との間
を移動するようにしたものが提案されている。より詳し
くは、吊下げ用のフックと、このフックから左右斜め下
方向に伸ばされた上着支持部と、この上着支持部の左右
端間に設けられたバーと、バーに沿って設けられた衣服
押さえとを備える。衣服押さえは、上着支持部の中央に
設けられたヒンジによって、前後に回動可能に配位され
ている。そして、中間位置より接近位置側にある衣服押
さえに対して接近位置方向に付勢すると共に、この中間
位置より離反位置側にある衣服押さえに対して離反位置
方向に付勢する付勢手段を、ヒンジ付近に設けたもので
ある。

【０００４】しかも、このハンガーは、吊下げ用のフッ
クと、このフックから左右斜め下方向に伸ばされた上着
支持部と、この上着支持部の左右端間に設けられたバー
とを備えるものであるため、上着支持部とバーとで閉じ
た環状をなしており、ズボン等は、この環状内に通して
バーに掛ける必要がある。特に、ハンガーを壁にかけた
状態で、ズボン等をバーに掛けるのは困難であり、ま
た、バーからズボン等を外す時にも、ズボン等を引っ張
って順にずらして行かなければ、外すことができない。

【０００５】さらに、このハンガーの衣服押さえは、前
後に回動するため、ハンガーを壁に掛ける際、衣服押さ
えが前方を向くようにかけた場合はともかく、逆に、後
方に向くように掛けてしまうと、ハンガーを壁にかけた
ままでは、衣服押さえが壁にぶつかり、衣服押さえを回
動することができなくなる。そのため、ズボン等を外す
時にも、一々、壁からハンガーを外して、衣服押さえを
回動させ、ズボン等をバーから外す必要が生ずる。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】しかして、本願考案
は、ズボンやスカート等の衣服を逆Ｕ字状に掛ける際
に、逆Ｕ字状に掛けた衣服がずれ落ちてしまわないよう
に、容易に且つ綺麗に押さえることができるようした衣
服吊下げ用のハンガーであって、このハンガーを壁等に
かけたままでも、ズボンやスカート等の衣服の着脱がで
きるようにせんとするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本願考案は、衣服支持用
のバーを有するハンガー本体１と、このハンガー本体１
に設けられた吊下げ用のフック２と、衣服押さえ３とを
備えたズボンやスカート等の衣服吊下げ用のハンガーに
おいて、次の構成を有するものを提供する。この衣服吊
下げ用のハンガーにおいては、ハンガー本体１が、衣服
を吊下げるバー４と、このバー４の右端側にのみ設けら
れた連絡部５とを備える。連絡部５は、バー４の右端側
から上方に延びてバー４の左右方向の略中央にまで達し
ており、この連絡部５の端部に上記の吊下げ用のフック
２が設けられることにより、連絡部５の端部とバー４の
左端との間が開放状態となっている。衣服押さえ３は、
バー４の上方に、バー４の長手方向に沿って配位され、
且つ、衣服押さえ３の右端が、ハンガー本体１の右側に
設けられたヒンジ部８に、上下に回動可能に設けられて
いる。このヒンジ部８により、衣服押さえ３が、バー４
に対する接近位置と、中間位置と、離反位置との間を回
動移動するものであり、この中間位置より接近位置側に
ある衣服押さえに対して接近位置方向に付勢すると共
に、この中間位置より離反位置側にある衣服押さえに対
して離反位置方向に付勢する付勢手段９が、ハンガー本
体１と衣服押さえ３との間に設けられている。尚、本願
考案において、左右は絶対的な位置を示すものではな
く、相対的な位置関係を示すものに過ぎない。即ち、ハ
ンガーを裏返しにすることによって、左右は逆転するた
め、請求項に記載の左右は、このハンガーの裏返しによ
って、逆になるものである。

【０００８】

【作用】本願考案においては、バー４に逆Ｕ字状に掛け
られた衣服を、衣服押さえ３が押さえる。このとき、中
間位置より接近位置側にある衣服押さえ３に対して接近
位置方向に付勢すると共に、この中間位置より離反位置
側にある衣服押さえ３に対して離反位置方向に付勢する
付勢手段９が、この衣服押さえ３に設けられたものであ
るため、衣服を掛ける際には、衣服押さえ３を中間位置
より離反側にするだけで、付勢手段９が、衣服押さえ３
を、離反位置に止める。従って、衣服押さえ３が邪魔に
ならない状態で、衣服をバー４に掛けることをができ
る。次に、衣服押さえ３を、中間位置より接近位置側に
戻すと、付勢手段９が、衣服押さえ３を、接近位置側に
付勢して、バー４に掛けられた衣服を押さえるものであ
る。そして、ハンガー本体１が、衣服を吊下げるバー４
と、このバー４の右端側のみに設けられた連絡部５とを
備え、連絡部５が、バー４の右端側のみから上方に延び
てバー４の左右方向の略中央にまで達しており、この連
絡部５の端部に上記の吊下げ用のフック２が設けられる
ことにより、連絡部５の端部とバー４の左端との間が開
放状態となっている。そのため、開放状態のバー４の左
端から、衣服を差し込むことができ、衣服の着脱が容易
であり、ハンガーを壁等に掛けた状態でも、衣服の着脱
を行うことができる。しかも、衣服押さえ３は、バー４
の上方に、バー４の長手方向に沿って配位され、且つ、
衣服押さえ３の一端が、ハンガー本体１に設けられたヒ
ンジ部８に、上下に回動可能に設けられている。そのた
め、ハンガーを壁等に掛けた状態で、衣服押さえを回動
させても、壁等にぶつかることがなく、ハンガーを壁等
に掛けた状態でも、衣服の着脱を行うことができ、掛け
た衣服を衣服押さえで押さえることができる。

【０００９】

【実施例】以下、図面に基づき本願考案の一実施例を説
明する。図１は一実施例に係る衣服吊下げ用のハンガー
の正面図である。このハンガーｈは、ハンガー本体１
と、吊下げ用のフック２と、衣服押さえ３とから構成さ
れている。

【００１０】このハンガー本体１は、衣服を逆Ｕ字状に
して吊下げるバー４と、このバー４の一端（図１の右
端）から斜め上方に延びる連絡部５とから構成されてい
る。この連絡部は、バー４の左右方向の略中央まで延び
ており、その端部には、フック取付部６と、補助フック
７とが設けられている。このフック取付部６は、上端に
貫通孔を有し、この貫通孔にフック２の下端が回動可能
に挿入されている。補助フック７は、図１の紙面前方に
突出しており、図２に示すように、複数のハンガーｈを
順次吊り下げることができるようにしたものである。こ
のように、連絡部５は、バー４の一端側にのみ設け、他
端側が開放した状態となっているため、バー４への衣服
の吊下げ作業が容易である。

【００１１】次に、衣服押さえ３には、バー４に上方か
ら沿わされる押さえ部３１と、この押さえ部の先端に設
けられた指掛け部３２が形成されている。押さえ部３１
は、図３に示すように断面逆Ｕ字状をなし、その上面に
は図４及び図５に示すように、押さえバネ３１ａ，３１
ａが２個形成されており、衣服をより確実に押さえるよ
うにしている。

【００１２】押さえ部３１の基端にはバネ係止用の突起
３３が形成され、さらにその基端側には二股に分かれた
回動部３４，３４が形成されている。この回動部３４，
３４には、後述の回動軸８２，８２が嵌入される挿入孔
３５，３５が形成されている。尚、この挿入孔３５，３
５に、回動軸８２，８２を容易に挿入することができる
よう、案内溝３６，３６を形成しておく方が、組付け作
業の容易化の点で有利である。

【００１３】次に、上記の連絡部５には、ヒンジ形成部
８が設けられている。このヒンジ形成部８の基端側には
バネ係止用の突起８１が形成され、ヒンジ形成部８の先
端側には一対の回動軸８２，８２が形成されている。こ
のヒンジ形成部８の先端側は、上記の回動部３４，３４
間に挿入され、その一対の回動軸８２，８２が回動部３
４，３４の挿入孔３５，３５に挿入される。そして、両
バネ係止用の突起３３，８１間に、引っ張りコイルスプ
リング９が掛け渡される。この引っ張りコイルスプリン
グ９は、図１に示すように、両バネ係止用の突起３３，
８１間と回動軸８２とが一直線上に並んだ中間位置ａ
で、最伸長状態となる。そして、ヒンジ形成部８のバネ
係止用の突起８１と回動軸８２とを結んだ線より、図１
の下方側に、衣服押さえ３のバネ係止用の突起３３が位
置すると、引っ張りコイルスプリング９の引張力によっ
て、衣服押さえ３が下方（図１の矢印ｂ方向）に回動し
て、バー４を押圧する。他方、ヒンジ形成部８のバネ係
止用の突起８１と回動軸８２とを結んだ線より、図１の
上方側に、衣服押さえ３のバネ係止用の突起３３が位置
すると、引っ張りコイルスプリング９の引張力によっ
て、衣服押さえ３が上方（図１の矢印ｃ方向）に回動し
て、バー４から離反する方向に回動する。

【００１４】従って、使用に際しては、指掛け部３２等
を摘んで、衣服押さえ３を中間位置ａより上方に持ち上
げると、衣服押さえ３は、引っ張りコイルスプリング９
の力によって上方に跳ね上がる。そして、衣服をバー４
に吊下げた後、衣服押さえ３を中間位置ａより下方に押
し下げると、衣服押さえ３は、引っ張りコイルスプリン
グ９の力によって下方に回動して、バー４との間で衣服
を挟むものである。このように、このハンガーは、衣服
をバー４にスムーズに且つ綺麗に挟むことができるもの
である。

【００１５】上記の実施例では、引っ張りコイルスプリ
ング９を用いたが、他のスプリングに変更して実施する
こともできる。図６は、図１の実施例における引っ張り
コイルスプリング９を、円弧状の板バネ９１に変更した
例を示すものである。また図７は、直線部分と円弧状部
分とを備えた板バネ９２に変更した例を示すものであ
る。この図７の場合には、直線部分を設けることによ
り、円弧部分が回動部３４に沿うようになり、図６のも
のよりも、よりスマートなものとなる。尚、機能的に
は、何れの場合も、引っ張りコイルスプリング９と同様
の機能を果たすものである。また、これらの例のスプリ
ングは、ハンガーの表裏何れか一方に設ければ足りる
が、双方に設けることも当然可能である。

【００１６】さらに図８は、合成樹脂製のスプリング１
０１部を用いた例であり、この例では、スプリングを含
めてハンガーの全てを合成樹脂で成型することができ
る。より詳しくは、バー１０４と衣服押さえ１０３と
を、屈曲可能な合成樹脂のヒンジ部１０２，１０２及び
スプリング１０１部を介して一体に形成する。このスプ
リング部１０１は、その両端１０１ａ，１０１ｂがバー
１０４と衣服押さえ１０３との夫々に屈曲可能に形成さ
れている。そして、このスプリング部１０１は、図８の
（Ｂ）から（Ｄ）に示すように、自由状態においてコ字
状に屈曲するように形成されている。従って、図８の
（Ｃ）の両端１０１ａ，１０１ｂとヒンジ部１０２とが
一直線上に並んだ状態を中間位置として、図８の（Ｂ）
の矢印ａ方向及び図８の（Ｄ）の矢印ｂ方向にスプリン
グ部１０１の弾性力によって回動するものである。この
構造は、衣服押さえの適宜位置に採用することができ、
前述の各実施例と同様の作用を発揮し得るものである。

【００１７】

【考案の効果】以上、本願考案は、ズボンやスカート等
の衣服を逆Ｕ字状に掛ける際に、逆Ｕ字状に掛けた衣服
がずれ落ちてしまわないように、容易に且つ綺麗に押さ
えることができるようした衣服吊下げ用のハンガーであ
って、このハンガーを壁等にかけたままでも、ズボンや
スカート等の衣服の着脱ができるようにしたものであ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願考案の一実施例に係る衣服用ハンガーの正
面図である。

【図２】同ハンガーの吊下げ状態を示す側面図である。

【図３】同ハンガーの衣服押さえの側面図である。

【図４】同ハンガーの衣服押さえの平面図である。

【図５】図４の中央横断面図である。

【図６】図１のハンガーのスプリングの変更例を示す要
部拡大図である。

【図７】図１のハンガーのスプリングのさらに他の変更
例を示す要部拡大図である。

【図８】（Ａ）は本願考案の他の実施例に係る衣服用ハ
ンガーの要部斜視図であり、（Ｂ）乃至（Ｄ）は同作動
状態の説明図である。

【符号の説明】

１ ハンガー本体 ２ 吊下げ用のフック ３ 衣服押さえ ４ バー ８ ヒンジ形成部 ９ コイルスプリング

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 衣服支持用のバーを有するハンガー本体
   （１）と、このハンガー本体（１）に設けられた吊下げ
   用のフック（２）と、衣服押さえ（３）とを備えたズボ
   ンやスカート等の衣服吊下げ用のハンガーにおいて、 ハンガー本体（１）が、衣服を吊下げるバー（４）と、
   このバー（４）の右端側にのみ設けられた連絡部（５）
   とを備え、 連絡部（５）が、バー（４）の右端側から上方に延びて
   バー（４）の左右方向の略中央にまで達しており、この
   連絡部（５）の端部に上記の吊下げ用のフック（２）が
   設けられることにより、連絡部（５）の端部とバー
   （４）の左端との間が開放状態となっており、 衣服押さえ（３）が、バー（４）の上方に、バー（４）
   の長手方向に沿って配位され、且つ、衣服押さえ（３）
   の右端が、ハンガー本体（１）の右側に設けられたヒン
   ジ部（８）に、上下に回動可能に設けられ、 このヒンジ部（８）により、衣服押さえ（３）が、バー
   （４）に対する接近位置と、中間位置と、離反位置との
   間を回動移動するものであり、 この中間位置より接近位置側にある衣服押さえに対して
   接近位置方向に付勢すると共に、この中間位置より離反
   位置側にある衣服押さえに対して離反位置方向に付勢す
   る付勢手段（９）が、ハンガー本体（１）と衣服押さえ
   （３）との間に設けられたことを特徴とする衣服吊下げ
   用のハンガー。