JPH0833130B2 - 内燃機関の空燃比の学習制御装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比の学習制御装置

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JPH0833130B2
JPH0833130B2 JP4037687A JP4037687A JPH0833130B2 JP H0833130 B2 JPH0833130 B2 JP H0833130B2 JP 4037687 A JP4037687 A JP 4037687A JP 4037687 A JP4037687 A JP 4037687A JP H0833130 B2 JPH0833130 B2 JP H0833130B2
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air
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尚己 冨澤
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、空燃比フィードバック制御機能をもつ電子
制御燃料噴射装置を有する自動車用内燃機関の空燃比の
学習制御装置に関し、特に高度などによる空気密度変化
に良好に対応することのできる空燃比の学習制御装置に
関する。
〈従来の技術〉 従来、空燃比フィードバック制御機能をもつ電子制御
燃料噴射装置を有する内燃機関においては、特開昭60-9
0944号公報、特開昭61-190142号公報などに示されてい
るような空燃比の学習制御装置が採用されている。
これは、機関に吸入される空気量に関与する機関運転
状態のパラメータ(例えば機関吸入空気流量と機関回転
数)から算出される基本燃料噴射量を機関排気系に設け
たO2センサからの信号に基づいて比例・積分制御など
により設定されるフィードバック補正係数により補正し
て燃料噴射量を演算し、空燃比を目標空燃比にフィード
バック制御するものにおいて、空燃比フィードバック制
御中のフィードバック補正係数の基準値からの偏差を予
め定めた機関運転状態のエリア毎に学習して学習補正係
数を定め、燃料噴射量の演算にあたって、基本燃料噴射
量を学習補正係数により補正して、フィードバック補正
係数による補正なしで演算される燃料噴射量により得ら
れるベース空燃比を目標空燃比に一致させるようにし、
空燃比フィードバック制御中はこれをさらにフィードバ
ック補正係数により補正して燃料噴射量を演算するもの
である。
これによれば、空燃比フィードバック制御中は過渡運
転時におけるフィードバック制御の追従遅れをなくすこ
とができ、空燃比フィードバック制御停止時においては
所望の空燃比を正確に得ることができる。
また、スロットル弁開度αと機関回転数Nとから基本
燃料噴射量Tpを定めるシステム(例えばαとNとからマ
ップを参照して吸入空気量Qを求め、Tp=K・Q/N(K
は定数)なる式よりTpを演算するシステム)、あるい
は、エアフローメータを有して吸入空気流量Qを検出
し、これと機関回転数Nとから基本燃料噴射量Tp=K・
Q/Nを演算するシステムで、エアフローメータとしてフ
ラップ式(体積流量検出式)のものを用いるものなどで
は、基本燃料噴射量の算出に空気密度の変化が反映され
ないが、上記の学習制御によれば、学習が良好に進行す
るという前提に立つ限りにおいては、高度あるいは吸気
温による空気密度の変化にも対応できる。
〈発明が解決しようとする問題点〉 ところで、前記空燃比フィードバック制御は機関の運
転特性が安定する定常運転時に行うようにしているの
で、前記エリア別学習制御も定常運転時に行うようにな
る。
このため、例えば高地においてエリア別学習制御が進
んだ状態で下り坂を下って低地に移行しようとすると、
以下の不具合がある。
すなわち、下り坂走行時においては、過度運転である
減速運転が頻繁に行われるので空燃比フィードバック制
御が停止されると共にエリア別学習制御が進行しなくな
る。また、下り坂走行時には減速運転或いは減速燃料カ
ット等により排気温度が低下しO2センサが不活性とな
る場合が多く、偶々アクセルペダルを踏み込んで他の運
転条件がエリア別学習制御が可能となる条件に入っても
2センサが活性化する前に減速運転に移行するため、
エリア別学習制御が行われずこれによってもエリア別学
習制御が進行しない。
これにより、下り坂走行時に高地において学習された
エリア別学習補正係数(エリア別学習補正量)に基づい
て燃料噴射量を演算すると、高度低下に逆比例する空気
密度の変化に対応できずベース空燃比が目標空燃比から
大きくずれ(高度低下に伴ってリーン側にずれる)、運
転性不良を発生させ最悪の場合にはエンジンストールを
招くという不具合がある。
また、下り坂を下り終わった直後に空燃比フィードバ
ック制御を開始するときには、高地において学習された
エリア別学習補正係数に基づいて燃料噴射量を演算する
ため、応答遅れ等によりベース空燃比が目標空燃比から
ずれ前記と同様な不具合がある。
また、本出願人は、特願昭61-249565号および特願昭6
1-256783号にて、スロットル弁が閉じかつ実際の回転速
度がアイドル回転速度を超える所定値以上のときに下り
坂走行時と判定し、この判定時にエリア別学習補正係数
を高度補正するものを提案している。
しかし、これらのものにおいても、下り坂走行時に渋
滞していると実際の回転速度がアイドル回転速度まで低
下し、下り坂走行時を判定できないため、この下り坂走
行時には高度補正が不可能となり空燃比を最適に制御で
きないという不具合がある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、
エリア学習制御が停止される下り坂走行時等においても
実際の空燃比を最適に制御できる空燃比の学習制御装置
を提供することを目的とする。
〈問題点を解決するための手段〉 このため、本発明は第1図に示すように構成する。
すなわち、機関に吸入される空気量に関与するパラメ
ータを少くとも含む実際の機関運転状態を検出する機関
運転状態検出手段Aと、 機関排気成分を検出しこれにより機関吸入混合気の空
燃比を検出する空燃比検出手段Bと、 前記機関運転状態検出手段Aにより検出された前記パ
ラメータに基づいて基本燃料噴射量を設定する基本燃料
噴射量設定手段Cと、 機関運転状態に対応させて設定され前記基本燃料噴射
量を補正するエリア別学習補正量を記憶する書換え可能
なエリア別学習補正量記憶手段Dと、 前記実際の機関運転状態に基づいて前記エリア別学習
補正量記憶手段からエリア別学習補正量を検索するエリ
ア別学習補正量検索手段Eと、 前記検出された実際の空燃比と目標空燃比とを比較し
実際の空燃比を目標空燃比に近づけるように前記基本燃
料噴射量を補正するフィードバック補正量を設定するフ
ィードバック補正量設定手段Fと、 前記設定されたフィードバック補正量の基準値からの
偏差を学習しこれを減少させるように新たにエリア別学
習補正量を設定し同一運転条件にて前記エリア別補正量
記憶手段Dに記憶されたエリア別学習補正量を新たなも
のに書換えるエリア別学習補正書換手段Gと、 前記基本燃料噴射量を高度補正する高度学習補正量を
記憶する書換可能な高度学習補正量記憶手段Hと、 該高度学習補正量記憶手段から高度学習補正量を検索
する高度学習補正量検索手段Iと、 スロットル弁の略全閉時を検出する全閉時検出手段J
と、 車速を検出する車速検出手段Kと、 車両の加速運転状態を検出する加速運転状態検出手段
Lと、 減速運転状態を検出する減速運転状態検出手段Mと、 減速運転状態若しくはスロットル弁が略全閉時でかつ
車両の加速運転状態を含む車両の下り走行状態を検出す
る下り走行状態検出手段Nと、 前記検出された下り走行状態に基づいて、所定期間に
おける下り走行状態が占める割合を演算する下り走行割
合演算手段Oと、 前記演算された下り走行割合に応じて、前記高度学習
補正量を修正して新たな高度学習補正量を設定し前記高
度補正量記憶手段に記憶された高度学習補正量を新たな
ものに書換える高度学習補正量修正手段Pと、 前記設定された基本燃料噴射量と、検索若しくは新た
に設定されたエリア別学習補正量と、検索若しくは新た
に設定された高度学習補正量と、を含むパラメータに基
づいて燃料噴射量を設定する燃料噴射量設定手段Qと、 設定された燃料噴射量に対する駆動パルス信号を燃料
噴射手段Rに出力する駆動パルス出力手段Sと、を含ん
で構成するようにした。
〈作用〉 このようにして、減速運転時以外にスロットル弁が略
全閉時でかつ加速運転状態のときにも下り坂走行時と判
定して高度補正を行うようにした。
〈実施例〉 以下に本発明の一実施例を説明する。
第2図において、機関1には、エアクリーナ2、スロ
ットルボディ3及び吸気マニホールド4を介して空気が
吸入される。
スロットルボディ3内には図示しないアクセルペダル
と連動するスロットル弁5が設けられていると共に、そ
の上流に燃料噴射手段としての燃料噴射弁6が設けられ
ている。この燃料噴射弁6はソレノイドに通電されて開
弁し通電停止されて閉弁する電磁式燃料噴射弁であっ
て、後述する制御装置14からの駆動パルス信号により通
電されて開弁し、図示しない燃料ポンプから圧送されて
プレッシャレギュレータにより所定の圧力に調整された
燃料を噴射供給する。尚、この例はシングルポイントイ
ンジェクションシステムであるが、吸気マニホールドの
ブランチ部又は機関の吸気ポートに各気筒毎に燃料噴射
弁を設けるマルチポイントインジェクションシステムで
あってもよい。
機関1の燃焼室には点火栓7が設けられている。この
点火栓7は制御装置14からの点火信号に基づいて点火コ
イル8にて発生する高電圧がディストリビュータ9を介
して印加され、これにより火花点火して混合気を着火燃
焼させる。
機関1からは、排気マニホールド10、排気ダクト11、
三元触媒12及びマフラー13を介して排気が排出される。
制御装置14は、CPU,ROM,RAM,A/D変換器及び入出力イ
ンタフェイスを含んで構成されるマイクロコンピュータ
を備え、各種のセンサからの入力信号を受け、後述の如
く演算処理して、燃料噴射弁6及び点火コイル8の作動
を制御する。
前記各種のセンサとしては、スロットル弁5にポテン
ショメータ式のスロットルセンサ15が設けられていて、
スロットル弁5の開度αに応じた電圧信号を出力する。
スロットルセンサ15内にはまたスロットル弁5の略全閉
位置でONとなる全閉時検出手段としてのアイドルスイッ
チ16が設けられている。
また、ディストリビュータ9に内蔵されてクランク角
センサ17が設けられていて、クランク角2°毎のボジシ
ョン信号と、クランク角180°毎(4気筒の場合)のリ
ファレンス信号とを出力する。ここで、単位時間当りの
ポジション信号のパルス数あるいはリファレンス信号の
周期を測定することにより機関回転数Nを算出可能であ
る。
また、機関冷却水温Twを検出する水温センサ18,車速V
SPを検出し車速検出手段,加速運転状態検出手段として
機能する車速センサ19等が設けられている。
これらスロットルセンサ15,クランク角センサ17など
が機関運転状態検出手段である。また、クランク角セン
サ17とアイドルスイッチ16とが減速運転状態検出手段で
ある。そして、アイドルスイッチ16、クランク角センサ
17、及び車速センサ19が、下り走行状態検出手段として
機能する。
また、排気マニホールド10にO2センサ20が設けられ
ている。このO2センサ20は混合気を目標空燃比である
理論空燃比付近で燃焼させたときを境として起電力が急
変する公知のセンサである。従ってO2センサ20は空燃
比(リッチ・リーン)検出手段である。
更に、制御装置14にはその動作電源としてまた電源電
圧の検出のためバッテリ21がエンジンキースイッチ22を
介して接続されている。また、制御装置14内のRAMの動
作電源としては、エンジンキースイッチ22OFF後も記憶
内容を保持させるため、バッテリ21をエンジンキースイ
ッチ22を介することなく適当な安定化電源を介して接続
してある。
ここにおいて、制御装置14に内蔵されたマイクロコン
ピュータのCPUは、第3図〜第11図にフローチャートと
して示すROM上のプログラム(燃料噴射量演算ルーチ
ン,フィードバック制御ゾーン判定ルーチン,比例・積
分制御ルーチン,学習ルーチン,KALT学習サブルーチン,
KMAP学習サブルーチン,イニシャライズルーチン等)に
従って演算処理を行い、燃料噴射を制御する。
ここでは制御装置14が基本燃料噴射量設定手段とフィ
ードバック補正量設定手段とエリア別学習補正検索手段
と高度学習補正量検索手段とエリア別学習補正量書換手
段と下り走行状態検出手段と下り走行割合演算手段と高
度学習補正手段と燃料噴射量設定手段と駆動パルス出力
手段と、を構成する。また、エリア別学習補正量記憶手
段と高度学習補正量記憶手段としては、RAMを用いる。
次に第3図〜第11図のフローチャートを参照しつつコ
ントロールユニット14内のマイクロコンピュータの演算
処理の様子を説明する。
第3図の燃料噴射量演算ルーチンにおいて、ステップ
1(図にはS1と記してある。以下同様)ではスロットル
センサ15からの信号に基づいて検出されるスロットル弁
開度αとクランク角センサ17からの信号に基づいて算出
される機関回転数Nとを読込む。
ステップ2ではスロットル弁開度αと機関回転数Nと
に応じた吸入空気流量Qを予め実験等により求めて記憶
してあるROM上のマップを参照し実際のα,Nに対応する
Qを検索して読込む。
ステップ3では吸入空気流量Qと機関回転数Nとから
単位回転当りの吸入空気量に対応する基本燃料噴射量Tp
=K・Q/N(Kは定数)を演算する。ここで、ステップ
1〜3の部分が基本燃料噴射量設定手段に相当する。
ステップ4ではスロットルセンサ15からの信号に基づ
いて検出されるスロットル弁開度αの変化率あるいはア
イドルスイッチ16のONからOFFへの切換わりによる加速
補正係数、水温センサ18からの信号に基づいて検出され
る機関冷却水温Twに応じた水温補正係数、機関回転数N
と基本燃料噴射量(負荷)Tpとに応じた混合比補正係数
などを含む各種補正係数COEFを設定する。
ステップ5では高度学習補正量記憶手段としてのRAM
の所定アドレスに記憶されている一律学習補正係数K
ALTを読込む。尚、一律学習補正係数KALTは学習が開始
されていない時点では初期値0として記憶されており、
これが読込まれる。
ステップ6では機関運転状態を表わす機関回転数Nと
基本燃料噴射量(負荷)Tpとに対応してエリア別学習補
正係数KMAPを記憶してあるエリア別学習補正量記憶手
段としてのRAM上のマップを参照し、実際のN,Tpに対応
するKMAPを検索して読込む。尚、エリア別学習補正係
数KMAPのマップは、機関回転数Mを横軸、基本燃料噴
射量Tpを縦軸として、8×8程度の格子により機関運転
状態のエリアを分け、各エリア毎にエリア別学習補正係
数KMAPを記憶させてあり、学習が開始されいない時点
では、全て初期値0を記憶させてある。
ステップ7では後述する第5図の比例・積分制御ルー
チンによって設定されているフィードバック補正係数LA
MBDAを読込む。尚、このフィードバック補正係数LAMBDA
の基準値は1である。
ステップ8ではバッテリ21の電圧値に基づいて電圧補
正分Tsを設定する。これはバッテリ電圧の変動による燃
料噴射弁の噴射流量変化を補正するためのものである。
ステップ9では燃料噴射量Tiを次式に従って演算す
る。この部分が燃料噴射量演算手段に相当する。
Ti=Tp・COEF・(LAMBDA+KALT+KMAP)+Tsステッ
プ10では演算されたTiを出力用レジスタにセットする。
これにより、予め定められた機関回転同期(例えば1/2
回転毎)の燃料噴射タイミングになると、Tiのパルス巾
をもつ駆動パルス信号が燃料噴射弁6に与えられて、燃
料噴射が行われる。
第4図はフィードバック制御ゾーン判定ルーチンで、
原則として低回転かつ低負荷の場合に空燃比フィードバ
ック制御を行い、高回転又は高負荷の場合に空燃比フィ
ードバック制御を停止するためのもである。
ステップ21では機関回転数Nから比較Tpを検索し、ス
テップ22では実際の基本燃料噴射量Tp(実Tp)と比較Tp
とを比較する。
実Tp≦比較のTpの場合、すなわち低回転かつ低負荷の
場合は、ステップ23へ進んでディレータイマ(クロック
信号によりカウントアップされるもの)をリセットした
後、ステップ26へ進んでλcontフラグを1にセットす
る。これは低回転かつ低負荷の場合に空燃比フィードバ
ック制御を行わせるためである。
実Tp>比較Tpの場合、すなわち高回転又は高負荷の場
合は、原則として、ステップ27へ進んでλcontフラグを
0にする。これは空燃比フィードバック制御を停止し、
別途リッチな出力空燃比を得て、排気温度の上昇を制御
し、機関1の焼付きや触媒12の焼損などを防止するため
である。
ここで、高回転又は高負荷の場合であっても、ステッ
プ24でディレータイマの値を所定値と比較することによ
り、高回転又は高負荷に移行した後、所定時間(例えば
10秒間)経過するまでは、ステップ26へ進んでλcontフ
ラグを1にセットし続け、空燃比フィードバック制御を
続けるようにする。これは、山登り走行は高負荷領域で
行われるため、一律学習補正係数KALTについての学習
の機会を増すためである。
但し、ステップ25での判定で機関回転数Nが所定値
(例えば3800rpm)を越えた場合、あるいは、この越え
た状態が所定時間続いた場合は、安全のため空燃比フィ
ードバック制御を停止する。
第5図は比例・積分制御ルーチンで、所定時間(例え
ば10ms)毎に実行され、これによりフィードバック補正
係数LAMBDAが設定される。従ってこのルーチンがフィー
ドバック補正量設定手段に相当する。
ステップ31ではλcontフラグの値を判定し、0の場合
はこのルーチンを終了する。この場合は、フィードバッ
ク補正係数LAMBDAは前回値(又は基準値1)にクランプ
され、空燃比フィードバック制御が停止される。
λcontフラグが1の場合、すなわち空燃比フィードバ
ック制御指令の出力中は、ステップ32へ進んでO2セン
サ20の出力電圧V02を読込み、次のステップ33で理論空
燃比相当のスライスレベル電圧Vrefと比較することに
より空燃比のリッチ・リーンを判定する。
空燃比がリーン(V02<Vref)のときは、ステップ3
3からステップ34へ進んでリッチからリーンへの反転時
(反転直後)であるか否かを判定し、反転時にはステッ
プ35へ進んでフィードバック補正係数LAMBDAを前回値に
対し所定の比例定数P分増大させる。反転時以外はステ
ップ36へ進んでフィードバック補正係数LAMBDAを前回値
に対し所定の積分定数I分増大させ、こうしてフィード
バック補正係数LAMBDAを一定の傾きで増大させる。尚、
P>>Iである。
空燃比がリッチ(V02>Vref)のときは、ステップ3
3からステップ37へ進んでリーンからリッチへの反転時
(反転直後)であるか否かを判定し、反転時にはステッ
プ38へ進んでフィードバック補正係数LAMBDAを前回値に
対し所定の比例定数P分減少させる。反転時以外はステ
ップ39へ進んでフィードバック補正係数LAMBDAを前回値
に対し所定の積分定数I分減少させ、こうしてフィード
バック補正係数LAMBDAを一定の傾きで減少させる。
第6図は学習ルーチン、第7図はKALT学習サブルー
チン、第8図はKMAP学習サブルーチンである。
第6図のステップ41ではλcontフラグの値を判定し、
0の場合は、ステップ42へ進んでカウント値CALT,CMAP
をクリアした後、このルーチンを終了する。これは空燃
比フィードバック制御が停止されているときは学習を行
うことができないからである。
λcontフラグが1の場合、すなわち空燃比フィードバ
ック制御指令の出力中は、ステップ43以降へ進んで一律
学習補正係数KALTについての学習(以下KALT学習とい
う)とエリア別学習補正係数KMAPについての学習(以
下KMAP学習という)との切換えを行う。
すなわち、KALT学習は、空気密度変化分のみを学習
するため、スロットル弁5の開度変化に対しシステムの
バラツキの無くなる領域であるところの、第12図にハッ
チングを付して示すように各機関回転数Nでスロットル
弁開度αの変化に対し吸入空気流量Qがほぼ変化しなく
なる所定の高負荷領域(以下Qフラット領域という)で
優先的に行い、KMAP学習は、その他の領域で行うの
で、ステップ43では機関回転数Nから比較α1を検索
し、ステップ44では実際のスロットル弁開度α(実α)
と比較α1とを比較する。
比較の結果、実α≧比較α1(Qフラット領域)の場
合は、原則としてステップ48,49へ進ませ、カウント値
MAPをクリアした後、第7図のKALT学習サブルーチン
を実行させる。
但し、シングルポイントインジェクションシステムの
場合、スロットル弁開度が極めて大きい領域では吸気流
速が遅くなり、各気筒への分配性が悪化するので、分配
悪化領域を機関回転数に対するスロットル弁開度で割付
けておき、それ以上のスロットル弁開度でKALT学習を
禁止する。このため、ステップ45で機関回転数Nから比
較α2を検索し、ステップ46で実αと比較α2とを比較し
て、実α>比較α2の場合は、ステップ50,51へ進ませ、
カウント値CALTをクリアした後、第8図のKMAP学習サ
ブルーチンへ移行させる。
また、シングルポイントインジェクションシステムの
場合、燃料噴射弁6から機関1の燃焼室までの距離が長
く、急加速中は壁流燃料の影響で、正確なKALT学習が
できないので、急加速した時は所定時間すなわち壁流が
定常となるまで待ってKALT学習を行う。このため、ス
テップ47で加速後所定時間経過したか否かを判定し、経
過していない場合は、ステップ50,51へ進ませ、カウン
ト値CALTをクリアした後、第8図のKMAP学習サブルー
チンへ移行させる。
ステップ44での判定で、実α<比較α1の場合は、ス
テップ50,51へ進ませ、カウント値CALTをクリアした
後、第8図のKMAP学習サブルーチンへ移行させる。
次に第7図のKALT学習サブルーチンについて説明す
る。このKALT学習サブルーチンが一律学習補正係数K
ALTについての学習補正係数修正手段に相当する。
ステップ61でO2センサ20の出力が反転すなわちフィ
ードバック補正係数LAMBDAの増減方向が反転したか否か
を判定し、このサブルーチンを繰返して反転する時に、
ステップ62で反転回数を表わすカウント値CALTを1ア
ップし、例えばCALT=3となった段階で、ステップ63
からステップ64へ進んで現在のフィードバック補正係数
LAMBDAの基準値1からの偏差(LAMBDA−1)をΔLAMBDA
1として一時記憶し、学習を開始する。
そして、CALT=4以上となると、ステップ63からス
テップ65へ進んでそのときのフィードバック補正係数LA
MBDAの基準値1からの偏差(LAMBDA−1)をΔLAMBDA2
として一時記憶する。このとき記憶されているΔLAMBDA
1とΔLAMBDA2とは第13図に示すように前回(例えば3回
目)の反転から今回(例えば4回目)の反転までのフィ
ードバック補正係数LAMBDAの基準値1からの偏差の上下
のピーク値である。
このようにしてフィードバック補正係数LAMBDAの基準
値1からの偏差の上下のピーク値ΔLAMBDA1,ΔLAMBDA2
が求まると、ステップ66に進んで、それらの平均値 (次式参照)を求める。
次にステップ67に進んでRAMの所定アドレスに記憶さ
れている現在の一律学習補正係数KALT(初期値0)を
読出す。
次にステップ68に進んで次式に従って現在の一律学習
補正係数KALTにフィードバック補正係数の基準値から
の偏差の平均値 を所定割合加算することによって新たな一律学習補正係
数KALTを演算し、RAMの所定のアドレスの一律学習補正
係数のデータを修正して書換える。
(MALTは加算割合定数で、0<MAL<1) この後は、ステップ69で次の学習のためΔLAMBDA2
ΔLAMBDA1に代入する。
そして、ステップ70でKALT学習カウンタを1アップ
する。尚、このKALT学習カウンタは、エンジンキース
イッチ22(又はスタートスイッチ)の投入時に実行され
る第9図のイニシャライズルーチンによって0にされて
いるもので、エンジンキースイッチ22の投入後からのK
ALT学習の回数をカウントしている。
次に第8図のKMAP学習サブルーチンについて説明す
る。このKMAP学習サブルーチンがエリア別学習補正係
数KMAPについてのエリア別学習補正量書換手段に相当
する。
ステップ81で機関運転状態を表わす機関回転数Nと基
本燃料噴射量Tpとが前回と同一エリアにありか否かを判
定し、エリアが変わった場合は、ステップ82に進んでカ
ウント値CMAPをクリアした後、このサブルーチンを終
了する。
前回と同一エリアの場合は、ステップ83でO2センサ2
0の出力が反転すなわちフィードバック補正係数LAMBDA
の増減方向が反転したか否かを判定し、このサブルーチ
ンを繰返して反転する毎に、ステップ84で反転回数を表
わすカウント値CMAPを1アップし、例えばCMAP=3と
なった段階で、ステップ85からステップ86へ進んで現在
のフィードバック補正係数LAMBDAの基準値1からの偏差
(LAMBDA−1)をΔLAMBDA1として一時記憶し、学習を
開始する。
そして、CMAP=4以上となると、ステップ85からス
テップ87へ進んで、そのときのフィードバック補正係数
LAMBDAの基準値1からの偏差(LAMBDA−1)をΔLAMBDA
2として一時記憶する。
このようにしてフィードバック補正係数LAMBDAの基準
値1からの偏差の上下のピーク値ΔLAMBDA1,ΔLAMBDA2
が求まると、ステップ88に進んでそれの平均値 を求める。
次にステップ89に進んでRAM上のマップに現在のエリ
アに対応して記憶してあるエリア別学習補正係数KMAP
(初期値0)を検索して読出す。
次にステップ90に進んでKALT学習カウンタの値を所
定値と比較し、所定値未満のときはステップ91で加算割
合定数(重み付け定数)MMAPを0を含む比較的小さな
値M0にセットする。また、所定値以上のときはステッ
プ92で加算割合定数(重み付け定数)MMAPを比較的大
きな値M1(但し、M1<<MALT)にセットする。
次にステップ93に進んで次式に従って現在のエリア別
学習補正係数KMAPにフィードバック補正係数の基準値
からの偏差の平均値 を所定割合加算することによって新たなエリア別学習補
正係数KMAPを演算し、RAM上のマップの同一エリアのエ
リア別学習補正係数のデータを修正して書換える。
この後は、ステップ94で次の学習のためΔLAMBDA2
ΔLAMBDA1に代入する。
前述の加算割合定数(重み付け定数)について、M
ALT>>MMAPとするのは、空気密度変化に係るKALT
習を先に進行させた上で、エリア別のKMAP学習をさせ
るためである。また、エンジンキースイッチ22(又はス
タートスイッチ)投入後のKALT学習の回数に応じてM
MAPの値を変化させるのは、KALT学習を経験するまで、
MAP学習の進行を抑え、極端な場合はMMAP=0として
MAP学習を禁止するためである。
このようにして、登坂走行時或いは高地に移行したと
きにもエリア別学習補正係数KMAPと一律学習補正係数
ALTとに基づいて空燃比が最適になるように燃料噴射
量が演算される。尚、一律学習補正係数KALTは、高度
が高くなるに従って密気密度が小さくなるため負の値に
なる。
次に、山下り走行時に有効に適用される高度学習補正
ルーチンについて第10図により説明する。このルーチン
が下り走行割合演算手段と高度学習補正量修正手段と高
度補正量検索手段である。
S101ではタイマによりカウントされたカウント時間が
設定走行時間T(例えば3分間)を経過したか否かを判
定し、YESのときにはS102に進みNOのときにはタイマの
カウント時間が前記設定走行時間T未満であると判定し
S108に進む。
S102では、後述するS111で積算された積算時間Tsと前
記設定走行時間Tとから設定走行時間に占める積算時間
Tsの時間割合X(=Ts/T×100(%))を演算する。
S103では、演算された時間割合Xに基づいてマップか
ら時間補正率K1を検索する。前記時間補正率K1は前記
時間割合Xが大きくなるようにしたがって、大きくなる
ように設定されている。
ここで、時間割合は、一般市街地等の平地走行時には
例えば20%と小さくなる一方下り坂走行時等には例えば
60%と大きくなるようになっている。したがって、前記
補正率K1は、時間割合Xが20%付近においては0に設
定され、20%を越えた領域において増大するように設定
されている。
S104では、検出された車速に基づいて車速補正率K2
を検索する。この車速補正率K2は、車速が80km/h以下
では車速に比例するように設定され、80km/hを超えたと
きには略一定になるように設定されている。また、車速
補正率K2は車速40km/hで1に設定され、車速80km/hで
2に設定されている。
S105では、一律学習補正係数KALTを前記RAMから検索
する。
S106では、検索された一律学習補正係数KALTに時間
補正率K1と車速補正率K2とを乗算した値を加算して新
たな一律学習補正係数KALTを演算し、前記RAMのデータ
を新たな一律学習補正係数KALTに修正して書換える。
即ち、下り走行状態時間Tsの、車両の設定走行時間T内
に占める割合Xが大きければ、高度低下量は大きいと推
定して、S103で一律学習補正係数〔高度学習補正係数〕
ALTの時間補正率K1を大きく設定して、S105で一律学
習補正係数KALT(負の値)に加算し(一律学習補正係
数KALTは0に近づく)、更に車速の大小によって高度
低下量が異なるので、これを考慮すべく、S104で、車速
補正率K2を車速が大きくなる程大きくなるように設定
して、S106で前記補正率K1に乗算するようにしてい
る。つまり、下り走行状態時間の占める割合が大き程、
車速が大きい程高度低下量は大きいので、上記S103〜S1
06の処理により、一律学習補正係数KALTをこの高度低
下量に応じて補正するようにして、高精度に高度低下量
分の空気密度の回復分による空燃比のズレを修正するも
のである。
S107ではタイマのカウント値を初期値にリセットす
る。
一方、S108では、アイドルスイッチ16の検出信号に基
づいてスロットル弁5が略全閉か否かを判定し、YESの
ときにはS109に進み、NOのときにはルーチンを終了させ
る。
S109では、検出された水温Twに基づいてマップから設
定回転速度Neを検索する。この設定回転速度Neは、アイ
ドル回転速度よりやや高めに設定され、かつ水温Twが高
くなるに従って低下するようにマップに記憶されてい
る。
S110では、検出された機関回転速度が前記設定回転速
度Ne以上か否かを判定し、YESのときには、S111に進
み、NOのときにはS112に進む。
このようにして、スロットル弁5が略全閉でかつ実際
の機関回転速度が設定回転速度Ne以上のときには減速運
転、即ち下り走行状態状態と判定し、S111にてこの減速
運転が検出された時間をタイマによりカウントして積算
時間Tsを求める。
一方、S110にて実際の機関回転速度が設定回転速度Ne
未満と判定されたときには、後述する車速変化量ΔVsp
に基づいて車両が加速運転状態か否かを判定し、YESの
ときには前記S111に進み、NOのときにはルーチンを終了
させる。
車速変化量ΔVspは、第11図に示すルーチンにおいてS
121にて読込まれた現在の車速Vsp1から前回検出された
車速Vsp2をS122にて減算して求める。
このようにして、実際の機関回転速度が略アイドル回
転速度であってもスロットル弁5が略全閉でかつ車両が
加速運転状態にあるときは、渋滞時の下り坂走行と判定
し、この判定状態の時間をS111にて、タイマをカウント
させて積算時間TBに加算する。
そして、下り坂走行時の減速運転時間と、スロットル
弁が略全閉でかつ車両が加速運転状態にあるときの2つ
の運転条件時にその積算時間Tsと車速に応じて、一律学
習補正係数KALTを学習制御すると、下り坂走行時の高
度低下を、正確に検出できるため、例えば下り坂走行時
に変化する密気密度に対応して、一律学習補正係数K
ALTを変化できる。
したがって、かかる一律学習補正係数KALTと前記エ
リア別学習補正係数KMAPとに基づいて燃料噴射量を演
算すれば下り坂走行時に密気密度が変化しても、その空
気密度変化に対応してベース空燃比(空燃比)を目標空
燃比に近づけることができ、もって機関の運転性能を良
好に維持できる。また、下り坂を下り終わった直後に空
燃比フィードバック制御を開始しても応答性良く空燃比
を目標空燃比に近づけることができ機関の運転性能を良
好に維持できる。
尚、累積時間の代わりに累積走行距離をカウントし、
このカウント値と設定走行距離とからその累積割合を求
めてもよい。
〈発明の効果〉 本発明は、以上説明したように、減速運転状態とスロ
ットル弁が略全閉でかつ車両が加速運転状態にあるとき
に下り坂走行時と判定し、それら運転状態の積算値と車
両に基づいて高度補正するようにしたので、渋滞時の下
り坂走行時にも検出できるため、車両の高度低下を正確
に検出でき、高地からの下り坂走行時或いは低地に移行
した直後に空燃比を目標空燃比に近づけることができ、
もって機関の運転性能を良好に維持できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の構成を示す機能ブロック図、第2図は
本発明の一実施例を示すシステム図、第3図〜第11図は
演算処理内容を示すフローチャート、第12図は一律学習
補正係数についての学習領域を示す図、第13図はフィー
ドバック補正係数の変化の様子を示す図である。 1……機関、5……スロットル弁、6……燃料噴射弁、
14……コントロールユニット、15……スロットルセン
サ、16……アイドルスイッチ、17……クランク角セン
サ、19……車速センサ、20……O2センサ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】機関に吸入される空気量に関与するパラメ
    ータを少くとも含む実際の機関運転状態を検出する機関
    運転状態検出手段と、 機関排気成分を検出しこれにより機関吸入混合気の空燃
    比を検出する空燃比検出手段と、 前記機関運転状態検出手段により検出された前記パラメ
    ータに基づいて基本燃料噴射量を設定する基本燃料噴射
    量設定手段と、 機関運転状態に対応させて設定され前記基本燃料噴射量
    を補正するエリア別学習補正量を記憶する書換可能なエ
    リア別学習補正量記憶手段と、 前記実際の機関運転状態に基づいて前記エリア別学習補
    正量記憶手段からエリア別学習補正量を検索するエリア
    別学習補正量検索手段と、 前記検出された実際の空燃比と目標空燃比とを比較し実
    際の空燃比を目標空燃比に近づけるように前記基本燃料
    噴射量を補正するフィードバック補正量を設定するフィ
    ードバック補正量設定手段と、 前記設定されたフィードバック補正量の基準値からの偏
    差を学習しこれを減少させるように新たなエリア別学習
    補正量を設定し同一運転条件にて前記エリア別学習補正
    量記憶手段に記憶されたエリア別学習補正量を新たなも
    のに書換えるエリア別学習補正量書換手段と、 前記基本燃料噴射量を高度補正する高度学習補正量を記
    憶する書換可能な高度学習補正量記憶手段と、 該高度学習補正量記憶手段から高度学習補正量を検索す
    る高度学習補正量検索手段と、 スロットル弁の略全閉時を検出する全閉時検出手段と、 車速を検出する手段と、 車両の加速運転状態を検出する加速運転状態検出手段
    と、 減速運転状態を検出する減速運転状態検出手段と、 減速運転状態若しくはスロットル弁が略全閉時でかつ車
    両の加速運転状態を含む車両の下り走行状態を検出する
    下り走行状態検出手段と、 前記検出された下り走行状態に基づいて、所定期間にお
    ける下り走行状態が占める割合を演算する下り走行割合
    演算手段と、 前記演算された下り走行割合に応じて、前記高度学習補
    正量を修正して新たな高度学習補正量を設定し前記高度
    補正量記憶手段に記憶された高度学習補正量を新たなも
    のに書換える高度学習補正量修正手段と、 前記設定された基本燃料噴射量と、検索若しくは新たに
    設定されたエリア別学習補正量と、検索若しくは新たに
    設定された高度学習補正量と、を含むパラメータに基づ
    いて燃料噴射量を設定する燃料噴射量設定手段と、 設定された燃料噴射量に対する駆動パルス信号を燃料噴
    射手段に出力する駆動パルス出力手段と、を含んで構成
    されることを特徴とする内燃機関の空燃比の学習制御装
    置。
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