JPH08329902A - 表示用蛍光ランプおよび表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】各封着部の気密性と封着力とを共に高める。 【構成】背面板２５に隣接するカソード室３０と、給電
用上部リードピン２７をその一端部が外部へ気密に導出
するように貫通させて一体的に封着している外向フラン
ジ３９，４０とを有するボトムボックス２３と；ボトム
ボックス２３に気密に封着される内向フランジ４１と、
カソード室３０に連通するアノード室２９とを有するト
ップボックス２２と；トップボックス２２のアノード室
出光側の開口端に封着されて気密容器２６に構成せしめ
る前面板２４と；給電用上部リードピン２７に電気的に
接続されてアノード室２９に配設されるアノード３５
と；カソード室３０に配設されるカソード４２と；アノ
ード室２９に配設された蛍光発光層３７と；気密容器２
６内に封入されるＨｇや希ガス等の放電媒体と；を具備
している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、画像表示装置の発光素
子に好適な表示用蛍光ランプおよびその表示用蛍光ラン
プを用いた表示装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、この種の表示用蛍光ランプの一例
としては、図１６，図１７に示すように構成されたもの
が提案されている。

【０００３】この表示用蛍光ランプ１は、例えば内表面
をガラス層により被覆したホーロー等よりなる角筒状の
トップボックス２の開口上端に、透明板ガラス等の前面
板３を低融点ガラスにより固着して気密に閉じている。
トップボックス２の底面には、例えば低融点ガラスによ
って図中上下両端が開口している角筒状のボトムボック
ス４の開口上端を同心状に固着している。

【０００４】ボトムボックス４は、その内表面をガラス
層により被覆した金属板により角筒状に形成され、図１
６中横方向の長さがトップボックス２の横方向の長さと
少なくとも同長以下であるが、縦方向（図中前後方向）
の長さはトップボックス２の縦よりも若干短かく形成さ
れている。ボトムボックス４は、その底面開口端に矩形
板状の背面板５を低融点ガラスにより気密に固着して、
トップボックス２と共に気密容器に構成される。この気
密容器内には水銀や希ガスが封入される。ボトムボック
ス４の前後両側面から水平方向外方へ突出するトップボ
ックス２の突出端部の外底面には複数の給電用の上部リ
ードピン６を垂下している。この上部リードピン６は背
面板５側に垂下し、かつボトムボックス４の外側面のう
ちトップボックス２の一側面に沿ってそれぞれ２列に配
列された例えば２４本（前後で合計４列４８本）のステ
ンレス製でアノード給電用のリードピンである。また、
背面板５の外底面から図中下方へ垂下するカソード給電
用の２本の下部リードピン７を設けている。

【０００５】トップボックス２の内部には、図１６の分
解斜視図である図１７に示すように、ホーロー製でアノ
ード室を形成する隔壁部材１１とセラミックス製の絶縁
基板１２とを上下に同心状に重ねて内蔵している。隔壁
部材１１はアノード室を隔壁９により例えば４行１２列
で４８個の有底角筒状の発光室１０に仕切っており、そ
の底部８には各発光室１０毎に、丸穴の放電孔８ａとア
ノード挿通孔８ｂをそれぞれ開口しており、これらの各
アノード挿通孔８ｂには、絶縁基板１２に立設される４
８個のアノード１３が各発光室１０の底部を貫通した状
態で起立するようになっている。各アノード１３は絶縁
基板１２の図中下面に植設された複数の上部リードピン
６の上端に電気的にそれぞれ接続され図示しない点灯回
路から給電されるようになっている。カソード１４は背
面板５上に立設され、ボトムボックス４内に内蔵され、
各放電孔８ａを介して各発光室１０に連通する一方、下
部リードピン７に電気的に接続され、図示しない点灯回
路から給電される。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな表示用蛍光ランプ１では、例えば図１８に示すよう
に各下部リードピン６とトップボックス２との低融点ガ
ラス等よりなる封着フリットによる封着部１５ａの気密
性が必ずしも良好とはいえず、この封着部から封入ガス
等がリークする虞がある。

【０００７】つまり、図１９に示すようにボトムボック
ス４の下端部４ａは内方に折曲して背面板５との封着し
ろを形成しているので、この封着ガラスによる封着部１
５ｂの気密性は高く、封着力も強固である。

【０００８】また、図２０に示すようにトップボックス
２の上端部内面と前面板３の側面との接合部にも封着し
ろが形成されているので、この封着ガラスによる封着部
１５ｃの気密性も高く、しかも、封着力も強固である。

【０００９】しかし、図１８に示すように各下部リード
ピン６とトップボックス２との封着部１５ａには封着し
ろが無いうえに、下部リードピン６が多数あり、加えて
この封着部１５ａは上記したように封着しろのある各封
着部１５ｂ，１５ｃ等と同一の封着工程にてほぼ同時に
封着されるために、この封着部１５ａのみの気密性と封
着力とを高く保持することが困難であるという課題があ
る。

【００１０】そこで本発明は、給電用リードピンの封着
部等の各封着部の気密性を高めて、ここから封入ガスが
外部へリークするのを有効に防止すると共に、封着力を
高めることができる表示用蛍光ランプおよび表示装置を
提供することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明の表示用
蛍光ランプは、背面板に隣接するカソード室と、給電用
リードピンをその一端部が外部へ気密に導出するように
貫通させて一体的に封着しているフランジとを有するボ
トムボックスと；ボトムボックスに気密に封着される一
方、カソード室に連通するアノード室の出光側開口端に
透光板を封着して気密容器に構成されるトップボックス
と；給電用リードピンに電気的に接続されてアノード室
に配設されるアノードと；カソード室に配設されるカソ
ードと；アノード室に配設される蛍光発光層と；気密容
器内に封入される放電媒体と；を具備している。

【００１２】ここで、透光板は、表示面を構成するもの
であり、透明である必要はなく、例えば光拡散を有する
ものを含む。また、外表面または内表面に色フィルター
を形成したものでもよい。背面板により背面開口を密閉
しているボトムボックスに、トップボックスを封着し、
このトップボックスの出光側開口端を透光板により密閉
することにより気密容器に構成される。

【００１３】背面板に隣接するカソード室とは、カソー
ドを収容する部屋であり、ボトムボックスと背面板で囲
まれている部分である。

【００１４】連通とは、各発光室内のアノードとカソー
ド室のカソードとの間に放電が生起されるように形成さ
れた開口である。

【００１５】アノードと発光室は、１つでも複数個でも
よい。複数色を発するためと、複数画素を１つの蛍光ラ
ンプで得るためには、複数個が好ましい。

【００１６】カソードとは、陰極である。好ましくは陰
極降下電圧の小さいフィラメントである。

【００１７】蛍光発光層は、アノード室の内壁全面に被
着されている必要はなく、一部分であってもよい。ま
た、内部に隔壁部材などが設置されている場合には、こ
の隔壁の壁面に形成したりする場合を含む。したがっ
て、必ずしも周壁内面に形成されていることを意味しな
い。

【００１８】請求項２の発明は、請求項１の表示用蛍光
ランプであって、アノード室は、内部が隔壁部材により
複数の発光室に区画され、各発光室内にアノードが配設
されている。

【００１９】隔壁部材とは、アノード室内部を複数の発
光室に互いに区画または仕切る機能をもったものであ
り、カソード室と区画する機能を併せ持ったものでもよ
い。さらに一体のものでも、２つ以上の部材を接合して
構成されているものでもよい。したがって、複数の発光
室を互いに区画または仕切る部材と、アノード室とカソ
ード室とを区画する機能を有する部材とを別部材として
もよい。さらに、隔壁部材全体またはその一部を他の部
材、例えば周側壁全体または周側壁の一部と、一体形成
させたものでもよい。

【００２０】請求項３の発明は、請求項１の表示用蛍光
ランプであって、給電用リードピンは、複数列でボトム
ボックスのフランジに植設され、その外側列のリードピ
ンのアノード室内に突出する内端部を、アノードとして
兼用している。

【００２１】請求項４の発明は、請求項１ないし３のい
ずれか一記載の表示用蛍光ランプであって、全発光室を
外側に隣接するように２列に配列し、これら発光室の各
アノードを、これら各発光室内に突出する給電用リード
ピンの内端部により兼用している。

【００２２】請求項５の発明は、請求項１ないし４のい
ずれか一記載の表示用蛍光ランプであって、ボトムボッ
クスのフランジに気密に封着されるフランジをトップボ
ックスに形成している。

【００２３】請求項６の発明は、請求項１ないし５のい
ずれか一記載の表示用蛍光ランプであって、トップボッ
クス内に、ボトムボックスを挿入して、このトップボッ
クスのフランジ上にボトムボックスのフランジを気密に
封着せしめる。

【００２４】請求項７の発明の表示用蛍光ランプは、請
求項５または６に記載の表示用蛍光ランプであって、ト
ップボックスのフランジが内向きであり、ボトムボック
スのフランジが外向きである。

【００２５】請求項８の発明の表示装置は、請求項１な
いし７のいずれか一記載の複数個の表示用蛍光ランプ
と；複数個の表示用蛍光ランプを設置する表示盤と；複
数個の表示用蛍光ランプを点灯する点灯回路と；を具備
している。

【００２６】

【作用】請求項１の発明は、給電用リードピンを予めボ
トムボックスのフランジに一体的に封着しているので、
この封着部の気密性と封着力とを予め高めておくことが
できる。

【００２７】請求項２の表示用蛍光ランプは、請求項１
の表示用蛍光ランプの作用に加え、複数の発光室と各発
光室内にアノードを有しているので、１つのランプで複
数色の発光または複数の画素としての発光が可能とな
る。

【００２８】請求項３の表示用蛍光ランプは、外側列の
リードピンの内端部をアノードとしても兼用するので、
アノード数を削減することができるうえに、アノードに
リードピンを電気的に接続せしめる工程を省略すること
ができるので、ランプ製造の組立作業性を良好にするこ
とができる。

【００２９】請求項４の表示用蛍光ランプは、全発光室
を外側に隣接するように２列に配列して、全アノードを
全リードピンにより兼用するので、全アノードを省略し
て部品数を大幅に削減することができるうえに、アノー
ドにリードピンを電気的に接続せしめる工程を全て省略
することができ、さらに全体として小型軽量化を図るこ
とができる。

【００３０】請求項５の表示用蛍光ランプは、ボトムボ
ックスとトップボックスとを、それらの封着しろである
両フランジにより封着するので、この封着部の気密性を
高めることができる。

【００３１】請求項６，７の表示用蛍光ランプは、ボト
ムボックスをトップボックス内に挿入して、いわゆる落
し込み、トップボックスの例えば内向フランジ上に、ボ
トムボックスの例えば外向フランジを封着するので、そ
の封着面積を拡大して封着力を増強することができると
共に、表示面をなす透光板を封着しているトップボック
スの横ずれ等の位置ずれを防止することができる。

【００３２】請求項８記載の表示装置は、請求項１ない
し７のいずれかの表示用蛍光ランプを具備しているの
で、これらランプと同様の作用を有する。

【００３３】

【実施例】以下、本発明の実施例を図１〜図１４に基づ
いて説明する。なお、図１〜図１４中、同一または相当
部分には同一符号を付しており、以下の説明において各
図の寸法の比率等は必ずしも正確なものではない。

【００３４】図１は、本発明の第１実施例である表示用
蛍光ランプの外観を示す斜視図である。この図におい
て、表示用蛍光ランプ２１は、角筒状の例えばホーロー
製トップボックス２２と，例えばガラス製またはセラミ
ックス製角筒状のボトムボックス２３とを上下方向で同
心状に重ねて封着している。

【００３５】トップボックス２２は例えばガラス層が表
面に被覆されたホーロー製の金属板により角筒状に形成
されており、図中上面開口端に、透明板ガラス製等透光
板の前面板２４を低融点の封着ガラスによって封着して
いる。この前面板２４が後述するように表示面を構成す
る。

【００３６】ボトムボックス２３は例えばガラス製また
はセラミックス製で角筒状に形成されており、トップボ
ックス２２とは反対側の端面には例えば透明板ガラス等
よりなる背面板２５を例えば低融点ガラスによって封着
している。これらのトップボックス２２，ボトムボック
ス２３，前面板２４，背面板２５で放電空間を形成する
気密容器２６を構成している。したがって、トップボッ
クス２２およびボトムボックス２３の周側壁２２ａ，２
３ａが気密容器２６の周側壁を形成している。気密容器
２６内には水銀や希ガスが封入される。

【００３７】トップボックス２２の図１における手前側
および奥側（図示しない）の下面からボトムボックス２
３の外側壁２３ａに沿って例えば４行１２列に配列され
た合計４８本（図において手前側、奥側とも各２列（１
列１２本））のステンレス製の上部リードピン２７を下
方に延出させており、また、背面板２５の図中下端から
も２本の下部リードピン２８を下方に延出させている。
以下、行とは図２中、リードピン２７等の横並びをい
い、列とは縦並びをいう。これらの上部リードピン２７
の一端は、後述するように一方の電極であるアノードに
接続され、２本の下部リードピン２８の一端は、他方の
電極であるカソードに接続されている。

【００３８】図２は、図１の表示用蛍光ランプ２１の一
部切欠平面図、図３は図１の分解斜視図である。これら
の図に示すようにトップボックス２２内およびボトムボ
ックス２３内は、後述するアノードが配設されるアノー
ド室２９とカソードが配設されるカソード室３０とをそ
れぞれ構成しいてる。アノード室２９は、ホーロー製の
隔壁部材３１によりマトリックス状に分離、区画されて
おり、例えば４８個（４行１２列）の有底角筒状の発光
室３２を形成している。隔壁部材３１は四角筒状の側壁
ならびに底部と一体的に形成されている。

【００３９】各発光室３２の底部には、後述するよう
に、放電がアノード室２９とカソード室３０との間を通
過できるように丸形状あるいは四角形状の隔壁連通孔３
３が形成され、また隔壁連通孔３３とは別に、後述する
絶縁基板３４上に起立する４８個のアノード３５を隔壁
部材３１の底面側から各発光室３２内に導くための小円
孔状あるいは小四角形孔状のアノード導通孔３６がそれ
ぞれ設けられている。

【００４０】隔壁連通孔３３は、図２において上から第
１行目および第３行目の発光室３２ではその内部の図中
下端部の位置に配置される一方、第２行目および第４行
目の発光室３２ではその内部の上端部の位置にそれぞれ
設けられている。

【００４１】一方、上記アノード導通孔３６は、上から
第１行目および第３行目の発光室３２ではその内部の上
端部の位置に配置され、第２行目および第４行目の発光
室３２ではその内部の下端の位置にそれぞれ設けられて
いる。すなわち第１行目と第２行目、および第３行目と
第４行目の隔壁連通孔３３はそれぞれ互いに隣接した位
置に設けられている。

【００４２】そして、各発光室３２の内壁面および内底
面には、蛍光発光層３７が形成されている。この蛍光発
光層３７は、１画素を構成する３つの発光室３２毎に、
Ｒ（赤色），Ｇ（緑色），Ｂ（青色）にそれぞれ発光す
る蛍光体が各１色ずつ塗布されている。したがって、図
２における左右方向および上下方向にそれぞれ４画素ず
つ（４行４列）配列されることになり、表示用蛍光ラン
プ２１全体で１６画素が備えられている。

【００４３】また、ボトムボックス２３と隔壁部材３１
との間には、図３に示すように例えばセラミックスから
成る絶縁基板３４が備えられている。絶縁基板３４上に
は図３中前後方向の内側、つまり、第２行目と第３行目
にて２行１２列（２４個）のアノード３５を立設してお
り、外側２列にはアノード３５を挿通せしめるアノード
挿通孔３５ａを２行分の２４個を穿設している。また、
絶縁基板３４の下面には、例えば２４個の引出し端子孔
をそれぞれ穿設しており、この端子孔内に上部リードピ
ン２７の上端部を差し込むことにより絶縁基板３４に固
定して封着ガラスにより封着すると同時に、図示しない
配線導体を介して２４個の内側のアノード３５に電気的
に接続するようになっている。

【００４４】そして、ボトムボックス２３は図３に示す
ようにその角筒状の本体２３ａの上端開口端部の前，後
面に、その全長に亘って、矩形板状の前後一対の外向フ
ランジ３９，４０を一体に突設する一方、下端開口端に
は図６に示すように、内向フランジ２３ｂを一体に形成
している。

【００４５】これら各外向フランジ３９，４０には、予
め内外２列の上部リートピン２７ａ，２７ｂをそれぞれ
厚さ方向に貫通させて一体的に封着しており、その外側
列、つまり、図３では上から第１行目と第４行目の上部
リードピン２７ｂは、内側の第２行目と第３行目の上部
リードピン２７ａよりも図３中上方へ高く突出してお
り、その突出上端部２７ｂ1 はさらに絶縁基板３４の外
側列のアノード挿通孔３５ａと各発光室３２のアノード
貫通孔３６をそれぞれ挿通して各発光室３２内に突出し
て、給電ピンとアノード３５として兼用される。

【００４６】一方、内側列の上部リードピン２７ａの図
３中上端部は絶縁基板３４の引出し端子孔内に挿入して
固定され、図示しない配線導体を介して、絶縁基板３４
上に立設されている内側列の各アノード３５に電気的に
接続されるようになっている。

【００４７】そして、トップボックス２２は図３に示す
ように、図中開口下端に内向フランジ４１を例えば全周
に亘って突設しており、ボトムボックス２３の本体２３
ａをトップボックス２２の上方から、その開口下端へ落
し込み、挿通させたときに、この内向フランジ４１の図
中上面上に、ボトムボックス２３の外向フランジ３９，
４０の前，後縁部が載置され、封着ガラスにより気密に
封着されるようになっている。

【００４８】背面板２５の図３中上面上にはカソード４
２を植設する一方、水銀放出構体４３を設置している。
カソード４２は一対の下部リードピン２８，２８に電気
的に接続されるフィラメント電極であり、映像信号に応
じてアノード３５との間に瞬時に放電が生起されるよう
に、常時通電予熱されている。また、このフィラメント
には、低いエネルギーで電子放出が容易に行なえるよう
に例えばバリウム・ストロンチウム炭酸塩等のエミッタ
が塗布されている。

【００４９】水銀放出構体４３は、例えばニッケル等の
電気抵抗体となるその構体基体にＺｒ−Ａｌ合金を封着
させ、これに水銀を含浸させたものである。水銀放出構
体４３は、各内部導入線４４を通電することにより、抵
抗発熱し、その熱で気密容器２６内の放電空間に放電に
必要な水銀を供給する。また、水銀放出構体４３は不純
ガスを吸着する機能を有する。水銀放出構体４３からの
水銀放出は、上記の方法に拠らずに、例えばこの表示用
蛍光ランプ２１の製造工程のうちの、排気工程終了後
に、外部からの加熱によって行ってもよい。例えば、背
面板２５を透過するレーザー光を水銀放出構体４３に照
射したり、誘導コイルを近接させ、誘導加熱により水銀
放出構体４３だけを効率的に加熱して水銀を放出させる
こともできる。

【００５０】背面板２５に穿設した排気孔４５は、密閉
容器２６内部を排気し、希ガスを封入するためのもので
あり、排気チップ４６が形成されている。排気チップ４
６はランプ完成前は図示しない排気装置に接続できる十
分な長さを有する排気用ガラス管であり、排気工程で排
気用ガラス管を介して内部を排気し、その後内部に希ガ
スを封入した後は、この排気用ガラス管を根元で溶断し
て気密に密閉したものである。すなわち排気チップ４６
は排気用ガラス管の残留跡である。希ガスの封入圧力は
この実施例では約１０００Ｐａ（パスカル）である。

【００５１】以上の実施例の表示用蛍光ランプ２１は、
図４に示すようにトップボックス２２と前面透光板２４
との封着ガラスによる封着部４７ａに封着しろがあるの
で、その封着ガラスによる封着部４７ａの気密性を高め
ることができると共に、封着強度を増強することができ
る。

【００５２】また、図５に示すように、トップボックス
２２内にボトムボックス２３を落し込むことにより、ト
ップボックス２２の内向フランジ４１上にボトムボック
ス２３の各外向フランジ３９，４０を載せて封着ガラス
により封着するが、この封着部４７ｂは封着しろを有す
るので、この封着部４７ｂの気密性と封着強度とを共に
向上させることができる。

【００５３】しかも、各上部リードピン２７は予め絶縁
基板３４に一体的に封着しているので、その封着部の気
密性と封着強度とを予め高めことおくことができる。

【００５４】また、図６に示すようにボトムボックス２
３の下部内向フランジ２３ａと背面板２５との封着ガラ
スによる封着部４７ｃにも封着しろがあるので、その封
着部４７ｃの気密性と封着強度とを共に高めることがで
きる。

【００５５】そして、本実施例の表示用蛍光ランプ２１
は、各上部リードピン２７への通電を各々制御すること
により、表示用蛍光ランプ２１毎に点灯を各々制御する
スタティック駆動により駆動される。また、ランプ２１
は気密容器２６をトップボックス２２，前面板２４，ボ
トムボックス２３，背面板２５の４つの部材だけで構成
しているので、真空に近い気密な構造を容易に得られ
る。つまり、これまで蛍光ランプ一般に常用されてきた
ボタンステムやフレアステムを用いるためにボトムボッ
クス２３として従来技術のような通常の円筒形ガラス管
を用いると、連通孔を構成する隔壁連通孔３３、基板連
通孔３８，ボックス連通孔を丸いガラス管で全て覆うこ
とはできず、簡単な構成で気密容器を構成することが困
難であるが、本実施例では真空に近い気密構造を容易に
得ることができる。。

【００５６】また、この実施例の蛍光ランプ２１は、背
面板２５が透明ガラス板であるので、その外部からカソ
ード４２を透視することができる。このために、視認し
易く、点灯異常があった場合、例えば、エミッタの消耗
とか、カソード４２に形成される輝点の様子から輝点温
度の異常等、その原因を追求し易い。特に、背面板２５
には、排気チップ４６が形成されていてこの部分が透明
ではないが、排気チップ４６に比べて背面板２５は多数
の発光室３２を形成した蛍光ランプのカソード室２９を
形成しているので面積が大きく、排気チップ４６以外の
部分を通してカソード４２を視認し易い。

【００５７】この実施例の蛍光ランプ２１は、トップボ
ックス２２を金属基体表面をガラスコートしたホーロー
製で構成した場合には、例えば、ガラスやセラミックス
製のものに比べて強度を損うことなく、薄く軽量に構成
できる。また、基体が金属であるので、外形が複雑な形
状も容易に成形できる。

【００５８】この実施例の表示用蛍光ランプ２１は、カ
ソード室３０の断面外形で四角形であるので、四角の背
面板２５を封着するのに適している。特に全ての部品を
四角形にするとランプの構造設計が容易で材料に無駄が
少なくなり、後述するる表示装置への蛍光ランプ２１の
実装密度も高くできる。

【００５９】この実施例の表示用蛍光ランプ２１は、カ
ソード室３０内の背面板２５の近傍に水銀放出構体４３
を設置しているので、カソード４２をより観察し易く、
また、水銀放出構体４３を透明ガラス板の背面板２５を
通して誘導加熱またはレーザービームを用いて水銀放出
をし易くなる。

【００６０】４８ドット分の発光室３２が１つの気密容
器２６内に備えられて、各発光室３２内のアノード３５
と１つのカソード４２との間で放電させられるため、各
アノード３５に対してそれぞれカソード４２が設けられ
ている場合に比較して、カソード４２の消費電力を低減
できる。

【００６１】１つの表示用蛍光ランプ２１に１６画素
（すなわち４８ドットに相当する）発光室３２が備えら
れているため、従来の１つの表示用蛍光ランプ２１に１
画素あるいは１ドットのみが備えられている場合に比較
して、ドット密度を高くすることが容易である。

【００６２】なお、図７（ａ）に示すようにトップボッ
クス２２の先端部２２ａを前面板２４の外面よりも先方
へ突出させると共に、前面板２４の外面外周縁部にテー
パｔを形成してもよい。つまり、図７（ｂ）に示すよう
にトップボックス２２の先端を前面板２４の図中上面と
ほぼ面一にした場合には、このトップボックス２２と前
面板２４とを封着する封着ガラス４８の一部がトップボ
ックス２２の外側面側に食み出すので、複数のランプ２
１を高密度実装して表示装置に構成する際に、この食み
出した封着ガラス４８の一部が、隣り合うトップボック
ス２２の間隙を拡大し、高密度実装を阻害する場合があ
る。

【００６３】しかし、図７（ａ）に示すようにトップボ
ックス２２の先端部２２ａを先方へ突出させることによ
り封着ガラス４９の一部が外側面へ食み出すのを防止す
ることができるので、ランプ２１の実装密度を高めるこ
とができる。

【００６４】また、図８に示すようにトップボックス２
２の図中上端側面２２ｂを庇状に先方へ突出させること
により、外光を遮光してランプ２１の視認性を高めるこ
とができる。

【００６５】図９は本発明の第２実施例の外観斜視図、
図１０はその平面図、図１１はその側面図であり、この
実施例の表示用蛍光ランプ２１Ａは、Ｒ，Ｇ，Ｂよりな
る１画素を２行４列で配列して８画素に構成し、上部リ
ードピン２７を全て上記実施例の外側上部リードピン２
７ｂに構成して、全アノード３５と兼用する点に特徴が
ある。

【００６６】つまり、この実施例はＲ，Ｇ，Ｂにそれぞ
れ発光する１画素分の発光室３２を２行４列で配列し、
図１２に示すようにボトムボックス２３の前後一対のフ
ランジ３９，４０に、外側上部リードピン２７ｂを予め
貫通させた状態で封着しておき、図１３，図１４に示す
ように、各上部リードピン２７ｂの先端部２７ｂ1 を、
各発光室３２内に突出させ、これらの全ての突出端部２
７ｂ1 を全てのアノード３５として兼用するように構成
している。

【００６７】この実施例によれば、上記実施例の内側上
部リードピン２７ａを設けないので、これら内側上部リ
ードピン２７ａを、絶縁基板３４上に予め立設してある
アノード３５に電気的に接続する必要がない。このため
に、絶縁基板３４を削除することができると共に、リー
ドピン２７とアノード３５とを電気的に接続する工程を
省くことができる。したがって、コスト低減とランプ組
立作業性を良好にすることができる。

【００６８】図１５は上記表示用蛍光ランプ２１，２１
Ａのいずれか、例えば２１を用いた表示装置５１の正面
図である。この表示装置５１は表示用蛍光ランプ２１の
多数個を、基台５２上に設置された表示盤５３にマトリ
ックス状に配置し、これら表示用蛍光ランプ２１を、そ
の背後の表示盤５３内または基台５２内に設置された点
灯制御回路５４により点灯制御するものである。

【００６９】以上、本発明の実施例を図面を参照して詳
細に説明したが、本発明は次に示すようにさらに別の態
様でも実施することができる。

【００７０】例えば、前述の第１実施例の表示用蛍光ラ
ンプ２１が１６画素、第２実施例の表示用蛍光ランプ２
１Ａが８画素であるが、これらの画素数は適宜変更でき
る。例えば１画素×４画素のように構成してもよいし、
反対に２０画素あるいはそれ以上の画素数を有するよう
に構成してもよい。

【００７１】また上記実施例では、背面板２５は全体が
透明ガラス板から形成されているので、背面板２５全面
が観察窓としてと機能するが、背面板２５の一部に観察
窓としての透明部分が残り、他の部分がフロスト加工さ
れていて内部が観察できないものであってもよい。さら
に観察窓となる部分を除いて、フロスト加工されている
部分がボトムボックスと一体的にホーロー加工された金
属で構成しているものであってもよい。

【００７２】上記各実施例では、ボトムボックス２３の
四面が全てホーロー製であるが、一部分、例えば水銀放
出構体４３の近接する一側面を透明ガラス製にしてもよ
い。このようにすれば、重量をそれほど増加させること
なく、カソード４２の視認性を高めることができる。ま
た、水銀放出構体４３を高周波誘導加熱するにあたり、
ボトムボックス２３の四面が全てホーロー製であると、
高周波電磁波が金属基体を有するホーローに吸収され
て、水銀放出構体４３を十分加熱できないが、水銀放出
構体４３の近接する一側面を透明ガラス製にすること
で、水銀放出構体４３の近接する二側面がガラス製とな
り、高周波電磁波の吸収が少なくなって、水銀放出構体
４３の加熱を行ない易くなる。さらに、ボトムボックス
２３の側壁の一面が透明であるので、ここからも内部が
観察できる。

【００７３】上記各実施例の表示用蛍光ランプ２１，２
１Ａは、カソード室３０内に水銀放出構体４３を設置し
ているが、排気管４６を通して液体水銀を封入してもよ
い。

【００７４】発光室３２を形成する隔壁部材３１、およ
び絶縁基板３４を、ホーローガラスやセラミックス等の
各種の絶縁材料により構成してもよい。

【００７５】上記各実施例ではトップボックス２２とボ
トムボックス２３とを別体で構成しているが、一体的に
構成してもよい。

【００７６】上記各実施例では表示用蛍光ランプ２１，
２１Ａをスタティック駆動させているが、ダイナミック
駆動することにより上部リードピン２７の数を減少させ
てもよい。

【００７７】カソード４２は、１つの表示用蛍光ランプ
２１，２Ａに対して１つ設けられているが、複数設けて
もよい。

【００７８】上記表示用蛍光ランプ２１，２１Ａの複数
をマトリックス状に配置して、大型画像表示装置５１に
構成する場合には、各表示用蛍光ランプ２１，２１Ａを
ダイナミック駆動またはスタティック駆動により駆動さ
せてもよい。

【００７９】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１の発明
は、給電用リードピンを予めボトムボックスのフランジ
に一体的に封着しているので、この封着部の気密性と封
着力とを予め高めておくことができる。

【００８０】請求項２の表示用蛍光ランプは、請求項１
の表示用蛍光ランプの作用に加え、複数の発光室と各発
光室内にアノードを有しているので、１つのランプで複
数色の発光または複数の画素としての発光が可能とな
る。

【００８１】請求項３の表示用蛍光ランプは、外側列の
リードピンの内端部をアノードとしても兼用するので、
アノード数を削減することができるうえに、アノードに
リードピンを電気的に接続せしめる工程を省略すること
ができるので、ランプ製造の組立作業性を良好にするこ
とができる。

【００８２】請求項４の表示用蛍光ランプは、全発光室
を外側に隣接するように２列に配列して、全アノードを
全リードピンにより兼用するので、全アノードを省略し
て部品数を大幅に削減することができるうえに、アノー
ドにリードピンを電気的に接続せしめる工程を全て省略
することができ、さらに全体として小型軽量化を図るこ
とができる。

【００８３】請求項５の表示用蛍光ランプは、ボトムボ
ックスとトップボックスとを、それらの封着しろである
両フランジにより封着するので、この封着部の気密性を
高めることができる。

【００８４】請求項６，７の表示用蛍光ランプは、ボト
ムボックスをトップボックス内に挿入して、いわゆる落
し込み、トップボックスの例えば内向フランジ上に、ボ
トムボックスの例えば外向フランジを封着するので、そ
の封着面積を拡大して封着力を増強することができると
共に、表示面をなす透光板を封着しているトップボック
スの横ずれ等の位置ずれを防止することができる。

【００８５】請求項８記載の表示装置は、請求項１ない
し７のいずれかの表示用蛍光ランプを具備しているの
で、これらランプと同様の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例の表示用蛍光ランプを示す
斜視図。

【図２】図１で示す表示用蛍光ランプの一部切欠平面
図。

【図３】図１で示す実施例の分解斜視図。

【図４】図１で示す実施例の一部の拡大部分断面図。

【図５】図１で示す実施例の他の部分の拡大部分断面
図。

【図６】図１で示す実施例のさらに他の部分の拡大部分
断面図。

【図７】（ｂ）は図１で示す実施例の一部拡大断面図、
（ａ）はその変形例の部分拡大縦断面図。

【図８】図１で示す実施例のさらに他の変形例の外観斜
視図。

【図９】本発明の第２実施例の表示用蛍光ランプの斜視
図。

【図１０】本発明の第２実施例の表示用蛍光ランプの平
面図。

【図１１】本発明の第２実施例の表示用蛍光ランプの側
面図。

【図１２】本発明の第２実施例の表示用蛍光ランプの部
分底面図。

【図１３】図１０のXIII−XIII線に沿う切断部の端面
図。

【図１４】図１０のXIV −XIV 線に沿う切断部の端面
図。

【図１５】図１の表示用蛍光ランプを用いた表示装置の
正面図。

【図１６】従来の表示用蛍光ランプの外観斜視図。

【図１７】図１６で示す従来例の分解斜視図。

【図１８】図１６で示す従来例の一部の拡大縦断面図。

【図１９】図１６で示す従来例の他の一部の拡大縦断面
図。

【図２０】図１６で示す従来例のさらに他の一部の拡大
縦断面図。

【符号の説明】

２１，２１Ａ 表示用蛍光ランプ ２２ トップボックス ２３ ボトムボックス ２４ 前面板 ２５ 背面板 ２６ 気密容器 ２７ 上部リードピン ２７ａ 内側上部リードピン ２７ｂ 外側上部リードピン ２８ 下部リードピン ２９ アノード室 ３０ カソード室 ３１ 隔壁部材 ３２ 発光室 ３３ 隔壁連通孔 ３４ 絶縁基板 ３５ アノード ３７ 蛍光発光層 ３９，４０ 外向フランジ ４１ 内向フランジ ４２ カソード ４３ 水銀放出構体 ４６ 排気チップ ５１ 表示装置 ５３ 表示盤 ５４ 点灯制御回路

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 正秋 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目１番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 背面板に隣接するカソード室と、給電用
   リードピンをその一端部が外部へ気密に導出するように
   貫通させて一体的に封着しているフランジとを有するボ
   トムボックスと；ボトムボックスに気密に封着される一
   方、カソード室に連通するアノード室の出光側開口端に
   透光板を封着してボトムボックスと共に気密容器に構成
   されるトップボックスと；給電用リードピンに電気的に
   接続されてアノード室に配設されるアノードと；カソー
   ド室に配設されるカソードと；アノード室に配設される
   蛍光発光層と；気密容器内に封入される放電媒体と；を
   具備していることを特徴とする表示用蛍光ランプ。
2. 【請求項２】 アノード室は、内部が隔壁部材により複
   数の発光室に区画され、各発光室内にアノードが配設さ
   れていることを特徴とする請求項１記載の表示用蛍光ラ
   ンプ。
3. 【請求項３】 給電用リードピンは、複数列でボトムボ
   ックスのフランジに植設され、その外側列のリードピン
   のアノード室内に突出する内端部を、アノードとして兼
   用していることを特徴とする請求項１または２記載の表
   示用蛍光ランプ。
4. 【請求項４】 全発光室を外側に隣接するように２列に
   配列し、これら発光室の各アノードを、これら各発光室
   内に突出する給電用リードピンの内端部により兼用して
   いることを特徴とする請求項１または２記載の表示用蛍
   光ランプ。
5. 【請求項５】 ボトムボックスのフランジに気密に封着
   されるフランジをトップボックスに形成していることを
   特徴とする請求項１ないし４のいずれか一記載の表示用
   蛍光ランプ。
6. 【請求項６】 トップボックス内に、ボトムボックスを
   挿入して、このトップボックスのフランジ上にボトムボ
   ックスのフランジを気密に封着せしめることを特徴とす
   る請求項１ないし５のいずれか一記載の表示用蛍光ラン
   プ。
7. 【請求項７】 トップボックスのフランジが内向きであ
   り、ボトムボックスのフランジが外向きであることを特
   徴とする請求項５または６記載の表示用蛍光ランプ。
8. 【請求項８】 請求項１ないし７のいずれか一記載の複
   数個の表示用蛍光ランプと；複数個の表示用蛍光ランプ
   を設置する表示盤と；複数個の表示用蛍光ランプを点灯
   する点灯回路と；を具備していることを特徴とする表示
   装置。