JPH08325724A - 融点差の大きい複数の組成物から成るターゲットのスパッタ方法 - Google Patents

融点差の大きい複数の組成物から成るターゲットのスパッタ方法

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JPH08325724A
JPH08325724A JP13519295A JP13519295A JPH08325724A JP H08325724 A JPH08325724 A JP H08325724A JP 13519295 A JP13519295 A JP 13519295A JP 13519295 A JP13519295 A JP 13519295A JP H08325724 A JPH08325724 A JP H08325724A
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JP13519295A
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Noriaki Tani
典明 谷
Kyuzo Nakamura
久三 中村
Koukou Suu
紅▲コウ▼ 鄒
Ikuo Suzuki
郁生 鈴木
Michio Ishikawa
道夫 石川
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Ulvac Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】融点差の大きい組成物から成る一定組成比のタ
ーゲットを使用して各種の組成比の薄膜を成膜でき、成
膜条件が変化しても該ターゲットを変更することなく最
適組成のスパッタ膜が得られ、しかも該ターゲットの破
損を防止できる成膜方法を提供する 【構成】融点差の大きい複数の組成物から成るターゲッ
トに印加する電力をONとOFFをパルス的に繰り返し
或いは該ターゲットに印加する電力の大きさを少なくと
も2種類以上とし、各種類の電力をデジタル的もしくは
アナログ的に交互に変調させながら基板に成膜する。 【効果】低融点の組成物の欠損を防止してターゲットの
組成比通りの薄膜を形成でき、成膜条件が変化しても該
ターゲットを変更することなく最適組成のスパッタ膜が
得られ、ターゲットの破損を防止でき、その再現性も良
好になる

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、PbとTi等の融点に
比較的大きな差のある組成物で作製されたターゲットを
使用して半導体メモリのキャパシタ膜等に使用される誘
電体膜等の薄膜を基板に成膜するスパッタ方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】Pb(ZrTi)O3 膜やSrBi2
2 9 膜で代表される絶縁膜は、その高い誘電率と強
誘電性から半導体メモリデバイス等への応用が期待され
ている。かかる絶縁体膜は、融点の低いPbやBi等
と、融点の高いTaやZr等の融点差の大きい組成物か
らなり、その組成比が所定値であること、及び、製品毎
にばらつきのないことが要求され、その製造は一般にス
パッタリング法による成膜で行われている。その成膜に
はこれらの組成物からなるセラミックス焼結ターゲット
を使用しているが、PbやBi等の低融点組成物は、T
i等の他の高融点組成物に比べ蒸気圧が非常に高く、ス
パッタによる成膜の際、これら蒸気圧の高い材料が欠損
して膜中に取り込まれにくく組成ずれを起こす不都合が
ある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】こうした不都合を解消
するため、予め欠損する量を見込んで低融点のPbやB
i(もしくはPbやBiの酸化物)をターゲットに過剰
に入れておく方法が採られているが、その欠損の度合
は、スパッタ条件、例えばスパッタ装置、スパッタ圧
力、基板温度等により変化するので、化学量論組成の膜
を得ることは非常に困難であり、再現性が低かった。ま
た、これら融点が低く概して蒸気圧の高い組成物は、こ
れをターゲットに過剰添加した場合や高い電力でスパッ
タしようとすると、これら組成物が溶けてしまったりタ
ーゲット自体が割れてしまう等の欠点があった。
【0004】これを更にPb(ZrTi)O3 ターゲッ
トの場合で説明すると、ZrやTiに比べPbは極端に
融点が低く、例えば基板温度が高くなってくると、基板
に形成された膜中からPbが再蒸発し、膜への付着効率
が低くなる。そのため、予めターゲット材にPbOを本
来得たい膜組成よりも過剰に添加しているが、絶縁膜の
膜特性上、基板温度をより高くしなければならないとき
には、PbOをより多く添加した別のターゲットを作製
しなくてはならない。しかもPbOをあまり過剰に添加
した場合は、PbOがスパッタ時に溶けて蒸発してしま
い、ターゲットに割れやひび、穴などが生じ、また、ス
パッタ電力が大きいときも同様の不都合を生じるので、
小さい電力で成膜しなくてはならなかった。尚、Zr、
Ti、Taの融点は夫々1857℃、1667℃、2980℃であ
り、Pb、Bi、La、Srは327℃、271 ℃、920
℃、770 ℃である。
【0005】本発明は、融点差の大きい組成物から成る
一定組成比のターゲットを使用して各種の組成比の薄膜
を成膜でき、成膜条件が変化しても該ターゲットを変更
することなく最適組成のスパッタ膜が得られ、しかも該
ターゲットの破損を防止できる成膜方法を提供すること
を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、真空槽内に
融点差の大きい複数の組成物から成るターゲットと基板
を互いに対向して設置し、スパッタリングにより該ター
ゲットをスパッタして該基板の表面に該組成物の薄膜を
形成する成膜方法に於いて、該ターゲットに印加する電
力をONとOFFをパルス的に繰り返すことにより、上
記の目的を達成するようにした。該ターゲットに印加す
る電力の大きさを少なくとも2種類以上とし、各種類の
電力をデジタル的もしくはアナログ的に交互に変調させ
ながら成膜することによっても、上記の目的を達成で
き、該ターゲットを、(Pb1-x Lax y (Zr1-z
Tiz )O3 《ここで、0≦x≦1、0.5≦y≦5、
0≦z≦1》、又は、Srx Biy Taz 9 《ここ
で、0.5≦x≦5、1≦y≦10、z=2》、又はこ
れらを主成分とするセラミックス焼結ターゲットである
ときは、より適切に上記目的を達成できる。
【0007】
【作用】真空槽内に、例えばPbを20%過剰に添加し
たPb1.2 (Zr0.5 Ti0.5)O3 のセラミック焼結
ターゲットをマグネトロンスパッタカソード面に取付
け、該ターゲットに対向させてシリコン基板を設置す
る。該真空槽内を適当なArガス雰囲気の真空圧とした
のち該ターゲットを載置するカソードにDC或いはRF電力
を印加すると、アース電位の真空槽と該カソードとの電
位差により該ターゲットの表面にマグネトロン放電が発
生し、その放電により生じたArイオンが該ターゲット
をスパッタして該基板の表面に上記組成物から成る誘電
体の薄膜が形成される。該ターゲットの組成物中のPb
とTiの融点は大差があり、印加する電力が例えば20
00Wの大電力であると、ターゲットの熱伝導性が悪い
ためにこれが発熱して前記のような損傷を生じ、また成
膜された膜の組成が化学量論組成からずれる不都合があ
る。しかし、こうした不都合は、発明者等の検討結果に
よる知見、即ち、印加電力を大きくするにつれ、高融点
組成物に対する低融点組成物(即ち、ある温度に於いて
は、蒸気圧の低い組成物に対する蒸気圧の高い組成物)
の組成比が高くなり、膜中の低融点組成物の量比を多く
するために印加電力を大きくすることで膜を化学量論通
りの組成とすることができるという知見と、パルス状に
印加電力を制御する手法に基づき、低融点組成物を溶か
すことなく大電力で化学量論通りの組成をもつ膜を基板
に成膜できる。例えば、印加する電力を2000Wと
し、該電力を7秒間のONと3秒間のOFFを繰り返す
パルス状として1時間のスパッタを行うと、得られる膜
は化学量論組成であり、かつ該ターゲットの表面が冷却
される時間が存在するため、低融点組成物が溶融せず、
ターゲットに割れや穴が生じない。
【0008】また、該印加電力を大小の複数種類とし、
各種類の電力をデジタル的或いはアナログ的に交互に該
ターゲットへ印加することによっても、低融点組成物を
完全には溶かすことなく大電力で化学量論通りの組成を
もつ膜を基板に成膜できる。即ち、大電力をパルス状に
印加するとターゲットが冷却される瞬間があるから、そ
の大電力のOFFの間に小電力を印加し、その電力比と
時間比を適当に設定することで上記不都合を解消でき
る。
【0009】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づき説明すると、
図1は一般的なスパッタリング装置を示し、同図に於い
て、符号1はArガス等のスパッタガスの導入口2と真
空ポンプの排気装置に接続された排気口3を有するアー
スされた真空槽を示す。該真空槽1内の上方には、外部
の高周波電源4に接続され且つ冷却水が循環されて水冷
された板状のカソード5が配置され、該カソード5の板
面と対向する位置に配置した基板ホルダー6上にシリコ
ンウエハ等の基板7が載置される。該カソード5の背後
には磁石8を設け、該カソード5の前面にはターゲット
9が着脱自在に取り付けられる。該真空槽1には、ゲー
トバルブを備えた図示してない開口部が設けられ、該開
口部を介して適当な搬送手段により成膜処理のための基
板7が出し入れされる。また、該基板ホルダー6は基板
7の交換のために図示してない昇降装置により昇降す
る。該カソード5にはDC電源を接続してDC電力を印加す
ることも可能である。
【0010】図示の装置で基板7にスパッタ成膜を行う
場合、該排気口3から排気すると共に導入口2からAr
ガスを導入して該真空槽1内を適当な真空圧に調整し、
カソード5及びターゲット9に高周波電源4から高周波
電力を印加する。これにより該ターゲット9の前面にマ
グネトロン放電が発生し、Arガスの電離により生じた
イオンの衝突により該ターゲット9がスパッタされ、そ
のスパッタ粒子で基板7に薄膜が形成される。
【0011】該基板7にPb(ZrTi)O3 膜やSr
Bi2 Ta2 9 膜等の誘電体膜を形成する場合、ター
ゲット9としてこの組成物から成るセラミックス焼結タ
ーゲットが使用される。しかし、上記したように、この
種のターゲットは、その組成物の融点が大きく異なり、
所望の組成の誘電体膜の成膜は困難で、高いパワーを印
加するとスパッタ中のターゲット自体が損傷するため均
一な成膜を長時間に亘り継続することも困難である。ま
た、組成比を変更するには、ターゲット自体を交換しな
ければならないという不便もある。発明者は、融点差の
大きい組成物が混在したターゲットを使用したスパッタ
状況を詳細に検討した結果、該ターゲットへの印加電力
が大きくなると基板に形成される膜は、高融点組成物に
対する低融点組成物の組成比が高くなっていく現象を見
出したが、単に該印加電力を大きくしてもターゲット中
の低融点組成物が印加した大電力により溶けてしまい、
ターゲットに割れや穴を生じて実用には向かなかった。
発明者等は更に検討を重ね、大電力をパルス的に印加す
ることで該ターゲットの低融点組成物が溶けなくなるこ
とを知見し、これを前記の現象と組み合わせると、融点
差の大きい組成物が混在したターゲットをスパッタして
融点差の大きい組成物が化学量論通りの組成比を有する
薄膜を作成でき、しかも長時間に亘りターゲットの損傷
がなく、再現性も良好でターゲットを交換することなく
組成比を変更できた。
【0012】該ターゲットに印加する電力を大きくする
につれ、基板に形成された膜中に取り込まれる高融点組
成物に対する低融点組成物の組成比が高くなる理由は、
大きな電力が印加されると、ターゲットに入射するAr
イオンのエネルギーが高くなるため、ターゲットの最表
面の温度が上昇し、この時、ターゲットに含まれる低融
点組成物の原子はスパッタリングによる叩き出し効果の
他に蒸気圧が高いための蒸発的要素も加わって、小さい
電力の時よりもターゲットからの低融点組成物の基板へ
の到達量比が多くなるためである。そのため基板上に形
成される膜中への低融点組成物の元素の取り込み量比が
高くなり、低融点組成物の欠損のない化学量論組成の正
確な膜が得られる。しかし、印加電力を大きくして長時
間スパッタを続けると、ターゲットの温度が次第に高く
なり、やがてターゲット内部に含まれる低融点組成物ま
でもが完全に溶融し、ターゲットに穴が開いたり割れを
生じるに至り、これとは逆に印加電力を小さくしてスパ
ッタすると、上記蒸発的要素がないので膜中に低融点組
成物量が欠損し、良好な膜組成は得られない。
【0013】本発明に於いては、大電力を印加するの
で、低融点組成物が膜中に十分に取り込まれた良好な膜
が得られ、しかも大電力をパルス的に或いは大電力と低
電力を交互に印加するので、ターゲットの温度上昇は適
度に抑制され、低融点組成物の溶け落ちやターゲットの
割れがなく、安定したスパッタリングが行える。本発明
の具体的実施例は次の通りである。
【0014】(実施例1)Pb(ZrTi)O3 の誘電
体膜を成膜するため、低融点組成物のPbをPbO(酸
化鉛)の形で化学量論組成に対し20%過剰に添加した
Pb1.2 (Zr0. 5 Ti0.5 )O3 のターゲット9を作
製した。このターゲットの直径は250mmである。基板
7として4インチ径のシリコンウエハーを用い、図1の
装置の真空槽1内の圧力を1Pa、基板温度400℃と
し、RFマグネトロンスパッタ法で該誘電体膜を基板7に
成膜した。ターゲット9に印加する電力は、図1に示す
ような波形を有する2000WのRF電力で、7秒間放電
しその後3秒間放電を止めることを約1時間繰り返して
スパッタを行い、該基板7上に300nmの厚さの誘電体
膜を得た。該誘電体膜のPb/(Zr+Ti)比は、I
CP分析によれば約1.0であり、化学量論組成の膜が
得られていた。成膜後、ターゲット表面を観察したが、
何等の変化がなく、きれいな状態であった。
【0015】(比較例1)ターゲット9に1400Wの
電力を約1時間一定連続印加して放電を行ない、基板7
上に厚さ300nmの誘電体膜を得る以外は実施例1と同
じ方法で成膜を行った。これにより得られた誘電体膜の
Pb/(Zr+Ti)比は、約0.6であり、明らかに
膜中のPbは欠損していた。尚、ターゲットの表面はき
れいな状態であった。
【0016】(比較例2)ターゲット9に2000Wの
電力を約40分間一定連続印加して放電を行ない、基板
7上に厚さ360nmの誘電体膜を得る以外は実施例1と
同じ方法で成膜を行った。放電開始後、約2分経過した
時からターゲット表面上に赤熱した微小な輝点が見え始
め、それが次第に大きくなり、10分経過した時からそ
の赤熱点が基板7の方へ時々落下し始めた。成膜終了
後、基板7上には数点のシミが見られ、誘電体膜のPb
/(Zr+Ti)比は約1.2で、膜中にPbが過剰に
混入していた。また、ターゲット9の表面は非常に荒れ
ており、約40箇所の部分で直径1〜3mmの穴が開き、
微小なひび割れが生じていた。
【0017】(実施例2)実施例1の組成比のターゲッ
トに、図2に示すような波形の電力、即ち、2500W
のRF電力を6秒間、1000WのRF電力を4秒間印加す
ることを繰り返し、約40分間スパッタを行い、基板7
に厚さ280nmの誘電体膜を得た。その他の条件は実施
例1と同様で同様の方法で成膜を行った。得られた膜の
Pb/(Zr+Ti)比は1.0であり、化学量論組成
の膜が得られた。成膜後、ターゲットの表面を目視によ
り観察したが、何等変化がなくきれいな状態であった。
【0018】(実施例3)成膜時の基板温度を600℃
とし、ターゲット9に印加するRF電力を2800Wで6
秒間放電し、その後4秒間放電を止めることを繰り返す
ことにより、約50分間スパッタを行い、基板7に厚さ
300nmの誘電体膜を得た。その他は実施例と同じ条件
で同じ方法で成膜した。得られた膜のPb/(Zr+T
i)比は1.0であり、化学量論組成の膜が得られた。
成膜後、ターゲットの表面を目視により観察したが、何
等変化がなくきれいな状態であった。
【0019】(実施例4)SrBi2 Ta2 9 の誘電
体膜を成膜するため、低融点組成物のSrとBiをSr
OとBi2 3 の形で化学量論組成よりも過剰に添加し
たSr1.1 Bi3. 0 Ta2 10.6 のターゲット5を作
製した。基板温度を500℃、ターゲット9へ印加する
RF電力を1800Wで4秒間放電し、その後1秒間放電
を止めることを繰り返し、約30分間スパッタを行い、
基板7上に厚さ200nmの誘電体膜を得た。他の成膜条
件は実施例1の場合と同じである。膜のSr/Ta比は
0.5、Bi/Ta比は1.0であり、化学量論組成の
SrBi2 Ta2 9 の膜が得られた。成膜後のターゲ
ット9の表面はきれいな状態であった。
【0020】(比較例3)Sr1.1 Bi3.0 Ta2 9
のターゲットに1200Wの一定のRF電力を約40分間
連続して印加し、基板7上に厚さ200nmの誘電体膜を
得た。他の成膜条件は実施例4の場合と同じである。膜
のSr/Ta比は0.45、Bi/Ta比は0.7で、
化学量論組成に対しSrとBiが欠損していた。成膜後
のターゲットの表面はきれいな状態であった。
【0021】(比較例4)Sr1.1 Bi3.0 Ta2 9
のターゲット9に2200Wの一定のRF電力を約20分
間連続して印加し、基板7上に厚さ250nmの誘電体膜
を得た。他の成膜条件は実施例4と同じである。放電開
始の約1分後から該ターゲット表面上に赤熱した輝点が
見え始めた。得られた膜のSr/Ta比は0.6、Bi
/Ta比は1.2であり、化学量論組成の膜に対してS
r,Biが過剰に添加されており、また放電後のターゲ
ット9の表面は凹凸が激しく、全面に亘ってひび割れが
生じ、一部に直径1cmの溶け落ちた跡が5箇所見られ
た。
【0022】Pb(ZrTi)O3 の誘電体膜を成膜す
るターゲット9は、その組成物Pbの融点が低く、膜組
成がPb欠損になり易いので、PbOが20%過剰添加
されている。しかし、このPbOも融点が低く、スパッ
タ中に酸素が解離していくとPbの融点まで下がる。比
較例2では、印加したRF電力でターゲット9の最表面だ
けでなくある程度ターゲットの表面近傍まで温度が上昇
してPb成分が溶け、これが赤熱輝点として観察できた
ものと考えられる。ターゲット9は水冷されたカソード
5に通常はバッキングプレートを介して取り付けられて
冷却されるが、ターゲット9の熱伝導率が他の一般的な
セラミックス材と同様に小さいため、ターゲット表面付
近の高温化の現象が生じる。この場合、Pbの組成分が
赤熱するくらいに高温になっているので、ターゲット表
面からスパッタリングによるPb成分の叩き出し以外に
一種の蒸発的な要素でPbが十分に多く供給されて、得
られた膜にはPb欠損が生じない。しかし、Pbが溶け
るくらいの高温になっていることでターゲット9は熱膨
張によるひび割れや、極端な場合には部分的に溶けて凹
状の穴が開いてしまう。一方、比較例1に記載したよう
に、ターゲット9の表面にダメージを与えない程度の小
さい電力では、ターゲット表面での蒸発的要素はほとん
どなく、スパッタリングによるPb成分の供給しか行わ
れないので、得られた膜はPb欠損を生じる。ここで再
びターゲットを作り直してより多くのPbOを添加した
ターゲットを準備することも考えられるが、融点の低い
PbO量がより増えるため、ターゲットにダメージを与
えない印加電力値もまた低くなって結局はPb欠損にな
り易い。
【0023】実施例2のようにターゲットにダメージを
与えない十分な時間があれば、電力をOFFにしないで
小電力で成膜し続けてもよい。また、基板温度を高くす
ると、基板表面でもPbの再蒸発が起こり、Pb欠損し
た膜になるが、実施例3のようにターゲット9に印加す
る瞬間の電力を大きくし、その分、冷却時間を長めに取
ればよく、ターゲットを作り代えなくても電力の大きさ
とON/OFFのパルス比を変えることによってPb欠
損がなく化学量論組成の良好な膜が得られる。すなわ
ち、ターゲットの最表面のみがPbの蒸発が起こるよう
な温度であり、それよりも深い所まで高温になってター
ゲットが溶けたり破損するようなことを避けることがで
きる。
【0024】尚、以上の説明に於いて、誘電体膜をスパ
ッタリングにより作製する実施例を述べたが、ターゲッ
トの組成物の融点差(若しくは蒸気圧差)が大きい場合
に本発明の方法を適用することができ、合金ターゲット
や焼結ターゲットを使用しても本発明は有効である。ま
た、以上の実施例で成膜完了毎に基板を交換して多数枚
の基板に成膜できることは従来のスパッタリングと同様
であり、この場合には各基板の膜組成は均一になり、再
現性も良好であった。
【0025】
【発明の効果】以上のように本発明によるときは、融点
差の大きい複数の組成物から成るターゲットをスパッタ
して基板の表面に該組成物の薄膜を形成する成膜方法に
於いて、該ターゲットに印加する電力をONとOFFを
パルス的に繰り返すようにしたので、低融点の組成物の
欠損を防止してターゲットの組成比通りの薄膜を形成で
き、成膜条件が変化しても該ターゲット組成を変更する
ことなく最適組成のスパッタ膜が得られ、ターゲットの
破損を防止でき、その再現性も良好である効果が得ら
れ、該ターゲットに印加する電力の大きさを少なくとも
2種類以上とし、各種類の電力をデジタル的もしくはア
ナログ的に交互に変調させながら成膜しても同様の効果
が得られ、特に冷却の困難なセラミックス焼結ターゲッ
トを使用して長時間のスパッタを行える効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に使用したスパッタリング装置の
截断側面図
【図2】本発明の実施に使用した電力のタイムチャート
【図3】本発明の実施に使用した電力の他のタイムチャ
ート
【符号の説明】
1 真空槽 5 カソード 7 基板 9 ターゲット 2 スパッタガス導入口 6 基板ホルダー 3 排気口 8 磁石 4 スパッタ電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 郁生 千葉県山武郡山武町横田523 日本真空技 術株式会社千葉超材料研究所内 (72)発明者 石川 道夫 千葉県山武郡山武町横田523 日本真空技 術株式会社千葉超材料研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空槽内に融点差の大きい複数の組成物か
    ら成るターゲットと基板を互いに対向して設置し、スパ
    ッタリングにより該ターゲットをスパッタして該基板の
    表面に該組成物の薄膜を形成する成膜方法に於いて、該
    ターゲットに印加する電力をONとOFFをパルス的に
    繰り返すことを特徴とする融点差の大きい複数の組成物
    から成るターゲットのスパッタ方法。
  2. 【請求項2】真空槽内に融点差の大きい複数の組成物か
    ら成るターゲットと基板を互いに対向して設置し、スパ
    ッタリングにより該ターゲットをスパッタして該基板の
    表面に該組成物の薄膜を形成する成膜方法に於いて、該
    ターゲットに印加する電力の大きさを少なくとも2種類
    以上とし、各種類の電力をデジタル的もしくはアナログ
    的に交互に変調させながら成膜することを特徴とする融
    点差の大きい複数の組成物から成るターゲットのスパッ
    タ方法。
  3. 【請求項3】上記ターゲットは、(Pb1-x Lax y
    (Zr1-z Tiz )O3 《ここで、0≦x≦1、0.5
    ≦y≦5、0≦z≦1》、又は、Srx BiyTaz
    9 《ここで、0.5≦x≦5、1≦y≦10、z=
    2》、又はこれらを主成分とするセラミックス焼結ター
    ゲットである請求項1又は2に記載の融点差の大きい複
    数の組成物から成るターゲットのスパッタ方法。
JP13519295A 1995-06-01 1995-06-01 融点差の大きい複数の組成物から成るターゲットのスパッタ方法 Pending JPH08325724A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009068095A (ja) * 2007-09-18 2009-04-02 Toppan Printing Co Ltd 低欠陥成膜法及び低欠陥薄膜並びに低欠陥膜成膜装置

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JP2009068095A (ja) * 2007-09-18 2009-04-02 Toppan Printing Co Ltd 低欠陥成膜法及び低欠陥薄膜並びに低欠陥膜成膜装置

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