JPH08325199A - 3−メチルアジピン酸ジエステル化合物およびこれを含む液晶組成物 - Google Patents

3−メチルアジピン酸ジエステル化合物およびこれを含む液晶組成物

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JPH08325199A
JPH08325199A JP26465895A JP26465895A JPH08325199A JP H08325199 A JPH08325199 A JP H08325199A JP 26465895 A JP26465895 A JP 26465895A JP 26465895 A JP26465895 A JP 26465895A JP H08325199 A JPH08325199 A JP H08325199A
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acid
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JP26465895A
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Isa Nishiyama
伊佐 西山
Hidemi Ishizuka
英美 石塚
Atsushi Yoshizawa
篤 吉沢
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Eneos Corp
Original Assignee
Japan Energy Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 配向性あるいは電気光学特性等を調整した組
成物を作成することができ、また反強誘電性相の安定
性、しきい値特性、相転移温度、配向性あるいは電気光
学特性等を調整できる新規な3-メチルアジピン酸ジエ
ステル化合物およびらせんピッチの大きさが制御された
強誘電性液晶組成物、あるいは反強誘電性相の安定性お
よびしきい値特性等が調整された反強誘電性液晶組成物
を提供すること。 【構成】 下記一般式(I) 【化1】 (式中、Rは炭素数2〜18の直鎖のアルキル基または
そのα位にメチル基を有する炭素数3〜19のアルキル
基を示し、aおよびbはそれぞれ1または2、cおよび
dはそれぞれ1または0で、a=2、c=0かつd=1
の化合物は含まれない。尚、式中の芳香環の1以上の水
素はハロゲン基、メトキシ基またはメチル基で置換され
ていてもよい。)で表わされる新規な3-メチルアジピ
ン酸ジエステル化合物および前記化合物の少なくとも1
種以上を含有することからなる液晶組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な3-メチル
アジピン酸ジエステル化合物またはその光学活性体およ
びこれらの少なくとも一種を含む液晶組成物に関する。
この3-メチルアジピン酸ジエステル化合物およびこれ
を含む液晶組成物はディスプレイ、記録素子、ライトバ
ルブあるいはプロジェクター等のオプトエレクトロニク
ス関連素子を構成する液晶材料として極めて有用であ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、強誘電性液晶の光スイッチング現
象を利用した表示素子が、クラーク(N. A. Clark)とラ
ガーヴァール(S. T. Lagerwall)により提案された〔ア
プライドフィジックス レター(Applied Phys. Lett.),
36,899頁 (1980)〕。この強誘電性液晶を利用した素子
は双安定性を有し、しかも、従来のTN型あるいはST
N型と呼ばれる表示方式の液晶素子に比べて光学的な応
答がμsecのオーダーと速いという優れた特徴を有して
いる。
【0003】この強誘電性液晶素子において、良好なコ
ントラストを得るためには、液晶組成物が液体-コレス
テリック(Ch)相-スメクチックA(SA)相-キラルスメクテ
ィックC(Sc *)相という相系列をとり、かつCh相、Sc *
のらせんピッチを長くする必要であり、また、応答速度
を速くするためには、自発分極(Ps)を大きくしなければ
ならない。
【0004】強誘電性液晶組成物は、非キラルなベース
液晶に光学活性化合物を加えることによって調製できる
が、上記要件を満たすためには、この場合の光学活性化
合物は自発分極が大きく、しかもピッチの長いものが必
要となる。しかし、通常は、大きな自発分極を発現させ
る分子構造のものは、同時に短いらせんピッチを発現さ
せる。従って、光学活性化合物を添加して応答速度を速
く、すなわち、自発分極を大きくすればするほど、Ch
相、Sc *相のらせんピッチが短くなり、コントラストが
低下することになる。
【0005】ところで、らせんピッチには左向きと右向
きがあり、また自発分極にも+向きと−向きがある。ら
せんピッチの長さを長くするためにはこのらせんピッチ
の向きの逆のものを添加すれば良い。しかし、このらせ
んピッチの向きと自発分極の向きは化合物にほぼ共通な
もので、一方の向きが逆になった化合物を作ることは困
難である。したがって、らせんピッチを長くするため
に、らせんピッチが逆向きの化合物を添加すると自発分
極が打ち消されて弱くなる。また、らせんピッチが短い
方がねじり力は強く、逆向きのらせんピッチに添加して
らせんピッチを長くするためには、らせんピッチが短い
方が添加量を少なくできる。
【0006】そこで、自発分極にはあまり影響を与え
ず、短いらせんピッチを誘起する化合物が添加材料とし
て望まれる。
【0007】このような化合物として、本発明者らは、
下記一般式(II)
【化2】 (式中、Rはアルキル基、*は光学活性が誘起された不
斉炭素を示す)で表される化合物(J. Mater. Chem., 19
94, 4, p449および特開平6-306055号公報)を提
案し、これらがCh相およびSc *相の両相において短いら
せんピッチを誘起することを示した。しかしながら、こ
のらせんピッチは短ければ短いほど良く、さらに短いら
せんピッチを誘起する化合物が求められている。
【0008】一方、最近、強誘電性液晶材料を用いた動
作モードとして、従来の表面安定型強誘電性液晶ディス
プレイ(SSFLCDs)に代えて、新たに、階調表示が可能な
ショートピッチ双安定強誘電性液晶ディスプレイ(SBFLC
Ds)と呼ばれる方式(J. Fuenfschilling, M. Schadt、Jp
n. J. Appl. Phys., 1991, 30, p741)と、変形らせん強
誘電性液晶ディスプレイ(DHFLCDs)と呼ばれる方式(L.
A. Beresnev 他、Liquid Crystals, 1989, 5, p1171)が
提案されている。これらの新しい動作モードを適用する
場合は、キラルスメクチックC(Sc *)相で、短いらせん
ピッチを有する液晶材料が必要である。
【0009】さらに、Sc *相での良好な配向を得ること
はコントラストを向上させるために重要であるが、その
ためにはCh相のピッチを長くする必要がある。この目的
のためにはSc *相とCh相のらせん構造のねじれの向きが
逆方向である化合物を得ることが必要であるが、通常は
Sc *相とCh相のねじれの向きは同一方向である化合物が
多い。ねじれの向きがSc *相とCh相では逆方向となる化
合物であって、自発分極にはあまり影響を与えず、短い
らせんピッチを誘起するものとして、本発明者らは、下
記一般式(III)
【化3】 (式中、Rはアルキル基、*は光学活性が誘起された不
斉炭素を示す)で表される化合物を提案したが(特願平
6-82601号明細書)、まだ分子構造とSc *相とCh相
のねじれの向きの相関については十分に理解が得られて
はおらず、現状ではSc *相とCh相のねじれ構造のらせん
の向きを独立に制御するのは困難であった。
【0010】また、1989年に東京工業大学の福田、
竹添らによりMHPOBCと略称される液晶において反強誘電
性相が発見され〔Jpn.J.Appl.Phys.,28(1989),L126
5〕、さらに電場誘起反強誘電-強誘電相転移に基づく3
安定状態間スイッチングが提案された〔テレビジョン学
会誌,44,536,(1990)〕。反強誘電性相は自発分極を持た
ないため、スイッチング不良という現像は生じず、配向
性、安定性も良好であると言われている。そこで反強誘
電性を示す液晶材料についても研究が進められている
が、まだ分子構造と物性の相関については十分な理解が
得られていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記課題を解
決するもので、本発明の目的は強誘電性液晶材料と混合
することにより、自発分極等に影響を与えることが少な
く、Sc *相とCh相のらせんピッチの大きさを制御できる
ため、強誘電性液晶材料開発において配向性あるいは電
気光学特性等を調整した組成物を作成することができ、
また、反強誘電性液晶材料となる組成物の一部あるいは
全部として用いることにより、反強誘電性相の安定性、
しきい値特性、相転移温度、配向性あるいは電気光学特
性等を調整することができる新規な3-メチルアジピン
酸ジエステル化合物およびこれを含むらせんピッチの大
きさが制御された強誘電性液晶組成物、あるいは反強誘
電性相の安定性およびしきい値特性等が調整された反強
誘電性液晶組成物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記一般式
(I)
【化4】 (式中、Rは炭素数2〜18の直鎖のアルキル基または
そのα位にメチル基を有する炭素数3〜19のアルキル
基を示し、aおよびbはそれぞれ1または2、cおよび
dはそれぞれ1または0で、a=2、c=0かつd=1
の化合物は含まれない。尚、式中の芳香環の1以上の水
素はハロゲン基、メトキシ基またはメチル基で置換され
ていてもよい。)で表わされる新規な3-メチルアジピ
ン酸ジエステル化合物で、特に好ましくは、前記化合物
において、不斉炭素の少なくとも1つ以上が光学活性を
誘起されていることからなる3-メチルアジピン酸ジエ
ステル化合物の光学活性体、および前記3-メチルアジ
ピン酸ジエステル化合物またはその光学活性体の少なく
とも1種以上を含有することからなる液晶組成物であ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】上記一般式(I)で表わされる化
合物としては次のものを例示できる。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】 この化合物のうち、代表的なものについて理化学的性質
を次に示す。
【0014】(R)-3-メチルアジピン酸 ビス〔(S)-4
-(1-メチルヘプチルオキシカルボニル)フェニル〕エス
テル 1 H-NMR(CDCl3,TMS基準,δ):8.06(d,J=8.9Hz,4
H)、7.15(d,J=8.9Hz,4H)、5.08-5.20(m,2H)、
2.60-2.74(m,3H)、2.46-2.55(m,1H)、2.
15-2.29(m,1H)、1.89-2.04(m,1H)、1.52
-1.82(m,4H)、1.20-1.42(m,22H)、1.14(d,
J=6.6Hz,3H)、0.88(t,J=6.9Hz,6H) IR(KBr,cm-1):2900、2850、1750、17
05、1596、1440 MS(m/z):624〔M+〕、375、263、121
【0015】(R)-3-メチルアジピン酸 ビス〔(S)-4
-(1-メチルヘプチルオキシカルボニルフェノキシカル
ボニルフェニル〕エステル 1 H-NMR(CDCl3,TMS基準,δ):8.23(d,J=8.7Hz,4
H)、8.11(d,J=8.7Hz,4H)、7.27(d,J=8.7Hz,4H)、
7.26(d,J=8.7Hz,4H)、5.16(m,2H)、2.62-2.
78(m,3H)、2.50-2.60(m,1H)、2.21-2.34
(m,1H)、1.94-2.08(m,1H)、1.53-1.87(m,6
H)、1.20-1.46(m,21H)、1.17(d,J=6.6Hz,3
H)、0.88(t,J=6.6Hz,6H) IR(KBr,cm-1):2920、2860、1746、17
08、1600、1260、1195、1060 MS(m/z):864〔M+〕、614、495 融点(℃):79
【0016】(R)-3-メチルアジピン酸 ビス〔(R)-4
-(4'-(1-メチルヘプチルオキシカルボニル)-4-ビフ
ェニルオキシカルボニル)-2-メトキシフェニル〕エス
テル 1 H-NMR(CDCl3,TMS基準,δ):8.11(d,J=7.5Hz,4
H)、7.87(d,J=8.6Hz,2H)、7.80(s,2H)、7.68
(d,J=7.5Hz,4H)、7.65(d,J=7.5Hz,4H)、7.31(d,J
=7.5Hz,4H)、7.19(d,J=8.6Hz,2H)、5.15-5.20
(m,2H)、3.93(s,6H)、2.64-2.76(m,3H)、2.
59-2.60(m,1H)、2.24-2.38(m,1H)、1.94
-2.12(m,1H)、1.55-1.88(m,6H)、1.26-1.
49(m,21H)、1.19(d,J=6.6Hz,3H)、0.88(br,6H) IR(KBr,cm-1):2920、2850、1768、17
30、1708、1604、1449、1275、11
68、1100 MS(m/z):1076〔M+〕、538、476、375
【0017】(R)-3-メチルアジピン酸 ビス〔(R)-4
-(4'-(1-メチルヘプチルオキシカルボニル)-4-ビフ
ェニルオキシカルボニル)フェニル〕エステル 1 H-NMR(CDCl3,TMS基準,δ):8.25(d,J=8.9Hz,
4H)、8.10(d,J=8.9Hz,4H)、7.67(d,J=6.3Hz,4
H)、7.64(d,J=6.3Hz,4H)、7.30(d,J=8.9Hz,4H)、
7.23(d,J=8.9Hz,4H)、5.10-5.25(m,2H)、2.
60-2.80(m,3H)、2.45-2.60(m,1H)、2.20
-2.35(m,1H)、1.90-2.15(m,1H)、1.50-1.
85(m,6H)、1.25-1.50(m,21H)、1.17(d,J=6.
6Hz,3H)、0.88(br,6H) IR(KBr,cm-1):2940、2860、1750、17
25、1710、1600 MS(m/z):1016〔M+〕、819、508、446
【0018】(R)-3-メチルアジピン酸 ビス〔(S)-
4'-(2-メチルヘプタノイル)-4-ビフェニル〕エステ
1 H-NMR(CDCl3,TMS基準,δ):8.01(d,J=8.1Hz,4
H)、7.64(d,J=8.1Hz,4H)、7.62(d,J=8.1Hz,4H)、
7.20(d,J=8.1Hz,4H)、3.42-3.55(m,2H)、2.
61-2.75(m,3H)、2.46-2.56(m,1H)、2.21
-2.33(m,1H)、1.94-2.05(m,1H)、1.74-1.
89(m,3H)、1.10-1.53(m,27H)、0.86(t,J=7.
2Hz,6H) IR(KBr,cm-1):2940、2910、2860、17
47、1674、1600、1520、1495、14
53、1232、1168、842 MS(m/z):744〔M+〕、660、435、187 融点(℃):116
【0019】(R)-3-メチルアジピン酸 ビス〔4'-(2
-メチルヘプタノイル)-4-ビフェニル〕エステル 1 H-NMR(CDCl3,TMS基準,δ):8.01(d,J=8.1Hz,4
H)、7.64(d,J=8.1Hz,4H)、7.62(d,J=8.1Hz,4H)、
7.20(d,J=8.1Hz,4H)、3.42-3.55(m,2H)、2.
61-2.75(m,3H)、2.46-2.56(m,1H)、2.21
-2.33(m,1H)、1.94-2.05(m,1H)、1.74-1.
89(m,3H)、1.10-1.53(m,27H)、0.86(t,J=7.
2Hz,6H) IR(KBr,cm-1):2940、2910、2860、17
47、1674、1600、1520、1495、14
53、1232、1168、842 MS(m/z):744〔M+〕、660、435、187 融点(℃):97
【0020】3-メチルアジピン酸 ビス〔(S)-4'-(2
-メチルヘプタノイル)-4-ビフェニル〕エステル 1 H-NMR(CDCl3,TMS基準,δ):8.01(d,J=8.1Hz,4
H)、7.64(d,J=8.1Hz,4H)、7.62(d,J=8.1Hz,4H)、
7.20(d,J=8.1Hz,4H)、3.42-3.55(m,2H)、2.
61-2.75(m,3H)、2.46-2.56(m,1H)、2.21
-2.33(m,1H)、1.94-2.05(m,1H)、1.74-1.
89(m,3H)、1.10-1.53(m,27H)、0.86(t,J=7.
2Hz,6H) IR(KBr,cm-1):2940、2910、2860、17
47、1674、1600、1520、1495、14
53、1232、1168、842 MS(m/z):744〔M+〕、660、435、187 融点(℃):124
【0021】3-メチルアジピン酸 ビス〔4-(4-ヘプ
チルオキシカルボニル-4'-ビフェニルオキシカルボニ
ル)-2-メトキシフェニル〕エステル 1 H-NMR(270MHz,CDCl3,TMS基準,δ):8.12(d,J=
8.4Hz,4H)、7.87(d,J=8.2Hz,2H)、7.80(s,2H)、
7.69(d,J=8.5Hz,4H)、7.66(d,J=8.5Hz,4H)、7.
31(d,J=8.4Hz,4H)、7.19(d,J=8.2Hz,2H)、4.34
(t,J=6.8Hz,4H)、3.93(s,6H)、2.49-2.80(m,4
H)、1.96-2.36(m,2H)、1.71-1.88(m,6H)、
1.28-1.52(m,15H)、1.19(d,J=6.8Hz,3H)、0.
90(t,J=6.8Hz,6H) IR(拡散反射法,KBr,cm-1):2920、2840、1
760、1740、1720、1603、1488、1
290、1212 MS(m/z):1048〔M+〕、587、524、461
【0022】これらの化合物のうち、a=1、c=0、
d=0の化合物は、次ぎに示す反応スキームにより合成
することができる。
【数1】
【0023】すなわち、4-アルカノイルフェノールと
3-メチルアジピン酸とを、4-ジメチルアミノピリジン
等の存在下に、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミ
ド等の脱水剤を用いてエステル化させることにより得ら
れる。a=2、c=0、d=0の化合物は、次ぎに示す
反応スキームにより合成することができる。
【数2】
【0024】すなわち、4-ヒドロキシ-4'-アルカノイ
ルビフェニルと3-メチルアジピン酸とを4-ジメチルア
ミノピリジン等の触媒の存在下に、N,N'-ジシクロヘ
キシルカルボジイミド等の脱水剤を用いてエステル化さ
せることにより得られる。a=1、b=1、c=1、d
=0の化合物は、次ぎに示す反応スキームにより合成す
ることができる。
【数3】
【0025】すなわち、4-ヒドロキシ安息香酸の水酸
基をクロロギ酸アルキルで保護して、4-アルコキシカ
ルボニルオキシ安息香酸とし、これと4-アルカノイル
フェノールとを、4-ジメチルアミノピリジン等の触媒
の存在下に、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド
等の脱水剤を用いて縮合反応させた後、脱保護し、これ
を3-メチルアジピン酸とエステル化させることにより
得られる。a=1、b=2、c=1、d=0の化合物
は、次ぎに示す反応スキームにより合成することができ
る。
【数4】
【0026】すなわち、4-ヒドロキシ-4'-アルカノイ
ルビフェニルと4-アルコキシカルボニルオキシ安息香
酸とを4-ジメチルアミノピリジン等の触媒の存在下
に、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水
剤を用いて縮合反応させた後、脱保護し、これを3-メ
チルアジピン酸とエステル化させることにより得られ
る。a=2、b=1、c=1、d=0の化合物は、次ぎ
に示す反応スキームにより合成することができる。
【数5】
【0027】すなわち、4-ヒドロキシ-4'-ビフェニル
カルボン酸の水酸基をクロロギ酸アルキルで保護して、
4-アルコキシカルボニルオキシ-4'-ビフェニルカルボ
ン酸とし、これと4-アルカノイルフェノールとを4-ジ
メチルアミノピリジン等の触媒の存在下に、N,N'-ジ
シクロヘキシルカルボジイミド等の脱水剤を用いて縮合
反応させた後、脱保護し、これを3-メチルアジピン酸
とエステル化させることにより得られる。a=2、b=
2、c=1、d=0の化合物は、次ぎに示す反応スキー
ムにより合成することができる。
【数6】
【0028】すなわち、4-ヒドロキシ-4'-アルカノイ
ルビフェニルと4-アルコキシカルボニルオキシ-4'-ビ
フェニルカルボン酸とを4-ジメチルアミノピリジン等
の触媒の存在下に、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジ
イミド等の脱水剤を用いて縮合反応させた後、脱保護
し、これを3-メチルアジピン酸とエステル化させるこ
とにより得られる。a=1、b=1、c=1、d=1の
化合物は、次ぎに示す反応スキームにより合成すること
ができる。
【数7】
【0029】4-アルコキシカルボニルオキシ安息香酸
とアルカノールを、トリフェニルホスフィンおよびジエ
チルアゾジカルボキシレート等の存在下に、エステル化
した後、脱保護して4-アルコキシカルボニルフェノー
ルとし、これと4-アルコキシカルボニルオキシ安息香
酸とを4-ジメチルアミノピリジン等の触媒の存在下
に、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水
剤を用いて縮合反応させた後、脱保護し、これを3-メ
チルアジピン酸とエステル化させることにより得られ
る。a=1、c=0、d=1の化合物は、次ぎに示す反
応スキームにより合成することができる。
【数8】
【0030】すなわち、4-アルコキシカルボニルフェ
ノールを4-メチルアミノピリジン等の触媒の存在下
に、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水
剤を用いて、3-メチルアジピン酸とエステル化するこ
とにより得られる。a=1、b=2、c=1、d=1の
化合物は、次ぎに示す反応スキームにより合成すること
ができる。
【数9】
【0031】すなわち、4-アルコキシカルボニルオキ
シ安息香酸と4'-ヒドロキシ-4-アルコキシカルボニル
ビフェニルを、4-ジメチルアミノピリジン等の触媒の
存在下に、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド等
の脱水剤を用いて縮合反応させ、脱保護した後、3-メ
チルアジピン酸とエステル化させることにより得られ
る。a=2、b=1、c=1、d=1の化合物は、次ぎ
に示す反応スキームにより合成することができる。
【数10】
【0032】すなわち、4-アルコキシカルボニルオキ
シ-4'-ビフェニルカルボン酸と4-アルコキシカルボニ
ルフェノールとを、4-ジメチルアミノピリジン等の触
媒の存在下に、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミ
ド等の脱水剤を用いて縮合反応させ、脱保護した後、3
-メチルアジピン酸とエステル化させることにより得ら
れる。a=2、b=2、c=1、d=1の化合物は、次
ぎに示す反応スキームにより合成することができる。
【数11】
【0033】すなわち、4-アルコキシカルボニルオキ
シ-4'-ビフェニルカルボン酸と4-ヒドロキシ-4'-ア
ルコキシカルボニルビフェニルを4-ジメチルアミノピ
リジン等の触媒の存在下に、N,N'-ジシクロヘキシル
カルボジイミド等の脱水剤を用いて縮合反応させ、脱保
護した後、3-メチルアジピン酸とエステル化させるこ
とにより得られる。
【0034】上記一般式(I)で表わされる化合物はネ
マティック(N)相またはスメクティックC(Sc)相を示す
液晶に、少量、好ましくは、0.5〜20重量%、特に
好ましくは1〜10重量%添加することにより、これら
の相に非常に短いピッチ、すなわちねじれの強いらせん
構造を誘起することができ、ピッチキャンセル剤として
優れた液晶組成物とすることができる。また、上記式中
のRがα位にメチル基をもつアルキル基を有する化合物
の場合、不斉炭素の絶対配置を適切に選択することによ
り、誘起されたコレステリック(Ch)相とカイラルスメク
ティックC(Sc *)相のらせん構造のねじれの向きを独立
に制御することができる。さらに、これらの化合物は、
単独で、あるいは2種以上混合したり、あるいは他の反
強誘電性液晶材料と混合することにより、安定な反強誘
電性相を有する液晶組成物とすることができる。
【0035】このように液晶組成物の成分として用いる
場合、これらの化合物中のRの炭素数は、液晶をとる領
域の温度範囲に若干影響を与えるのみで、液晶組成物に
用いる場合、この炭素数による特別の制限はない。しか
し、合成原料の入手のし易さ等から、直鎖のアルキル基
では炭素数2〜18、特には3〜12のものが、または
そのα位にメチル基を有するアルキル基では、炭素数3
〜19、特には4〜13のものが、安価となり好まし
い。
【0036】これらの化合物に含まれる芳香環の数は、
液晶組成物の安定性、融点、液晶相における分子間相互
作用の強さ等に影響を及ぼすので、目的に応じて、選択
されるものである。また、この芳香環への置換基、特に
好ましくは、ハロゲン基、メチル基、メトキシ基の導入
は、分子の幅が広がったり、立体障害が生じて、分子が
剛直になり、液晶の安定性、融点、液晶相における分子
間相互作用の強さに影響を及ぼすので、目的に応じて、
適宜選択して、導入される。
【0037】さらに、これらの化合物の不斉炭素のいず
れかに光学活性が導入されると、カイラリティーが生じ
る。このカイラリティーは、Ch相やSc *相のねじれ構造
の強さや反強誘電性液晶相の安定性に影響を及ぼすの
で、目的に応じて、光学純度や不斉炭素の絶対配置を選
択すると良い。なお、Rがそのα位に光学活性なメチル
基を有している場合には、それらの不斉炭素の絶対配置
の同じものが、容易に合成できるため好ましい。
【0038】
【実施例】
(実施例1) (R)-3-メチルアジピン酸 ビス[(S)-4-(1-メチル
ヘプチルオキシカルボニル)フェニル]エステル
【0039】(合成)(S)-4-ヒドロキシ安息香酸 1-
メチルヘプチル4g(0.016mol)、(R)-3-メチルア
ジピン酸1.28g(0.008mol)、4-ジメチルアミノ
ピリジン0.017gをジクロロメタン50mlに溶解し、
室温で、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド4.1
2g(0.02mol)を加えた。一晩撹拌後、生じた固体を
ろ別し、ろ液を濃縮した。得られた固体をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ジクロロメタン:
ヘキサン=10:3)で精製し、高速液体クロマトグラ
フィー〔カラム;Brownlee C18-104x30mm+Lich
sorb RP-18(7μm)4x250mm、移動相;メタノール
/水=95/5〕による測定での純度が100%の標記化
合物2.08g(3.3mmol、収率42%)を得た。この化
合物は、前述した理化学的性質を有し、比旋光度〔α〕
D 25は+41.0°(C=5.00,CHCl3)であった。
【0040】(液晶性の評価)上記で得られた(R)-3-
メチルアジピン酸 ビス〔(S)-4-(1-メチルヘプチル
オキシカルボニル)フェニル〕エステルは、室温で液体
であり、−20℃に降温しても液体のままであった。
【0041】次に、4-n-ヘキシル-4'-シアノビフェ
ニルからなるネマチック液晶に上記化合物を2重量%添
加し、Ch相のらせんピッチの大きさをケーノウェッジ法
(R.Cano., Bull. fr. Mineral. Cristall., 1968, 61,
20 )で、向きをコンタクト法(G.W. Gray et al, Mol. C
ryst. Liq. Cryst., Vol.34(Letters), p211, 1977)で
測定した。この結果、Ch相に2μmの右向きのピッチを
誘起していることがわかった。
【0042】また、5-オクチル-2-(4-ヘキシルオキ
シフェニル)ピリミジン30重量%、5-オクチル-2-
(4-デシルオキシフェニル)ピリミジン25重量%、5-
ノニル-2-(4-ヘキシルオキシフェニル)ピリミジン1
0重量%、5-ノニル-2-(4-ノニルオキシフェニル)ピ
リミジン35重量%からなるスメクティックC(SC)相を
とる液晶組成物に上記化合物を5重量%添加し、これを
300μmのセル厚からなるガラスセルに注入して、ガ
ラス基板と平行に配向させ、らせんピッチに対応する線
幅を光学顕微鏡により直接測定したところ、10μmの
右向きのらせんピッチが観測された。
【0043】この結果から、上記本発明の化合物は、少
量の添加で、Ch相およびSc *相に短いらせんピッチを誘
起し、らせんピッチの調整に使用しうることがわかる。
また融点が低いため、添加、混合し易いことがわかる。
【0044】また、(R)-3-メチルアジピン酸 ビス
〔(S)-4-(1-メチルヘプチルオキシカルボニル)フェ
ニル〕エステルを反強誘電性液晶をしめす4-オクチル
オキシビフェニルカルボン酸 4-(1-メチルヘプチルオ
キシカルボニル)フェニルエステルに5重量%になるよ
う添加し、直流電圧印加による傾き角測定〔I. Nishiya
maet al, J. Materials Chemistry, Vol3, p149 (199
3)〕によりしきい値及び傾き角を測定した結果、前者
が、2.5V/3.5μm、後者が20°であった。この結果
から、本発明の化合物が反強誘電性液晶のしきい値特性
等を調整することができ、反強誘電性液晶組成物を構成
する成分として有用であることが分かる。
【0045】(実施例2) (R)-3-メチルアジピン酸 ビス〔(S)-4-(1-メチル
ヘプチルオキシカルボニルフェノキシカルボニルフェニ
ル〕エステル
【0046】(合成) 1)4-ヒドロキシ安息香酸50.00g(0.36mol)を
水酸化ナトリウム43.5g(1.09mol)水溶液に溶解
し、0℃にてクロロギ酸メチル58.00g(0.61mol)
を滴下した。同温度にて4時間撹拌し、5規定の塩酸1
00mlを加えて、反応液を酸性に調整した。析出した固
体をろ別した後、水洗し、乾燥した。得られた固体を、
酢酸を用いて再結晶し、4-メトキシカルボニルオキシ
安息香酸を得た。
【0047】2)次に、この4-メトキシカルボニルオ
キシ安息香酸19.06g(0.097mol)、(R)-2-オク
タノール12.66g(0.097mol)、トリフェニルホス
フィン25.5g(0.097mol)をテトラヒドロフラン2
50mlに溶解し、室温にてジエチルアゾジカルボキシレ
ート16.94g(0.097mol)を滴下した。一晩撹拌
し、溶媒を留去し、析出した固体にジクロロメタンを加
え、残留した固体をろ別後、ろ液を濃縮した。得られた
固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶
媒;ヘキサン:トルエン=1:2)にて精製し、4-メト
キシカルボニルオキシ安息香酸 1-メチルヘプチルエス
テル21.03g(0.068mol、収率70%)を得た。
【0048】3)上記エステル化合物21.30g(0.0
69mol)をエタノール210mlに溶解し、室温にて29
%のアンモニア水35mlを加えた。3時間、撹拌した
後、エタノールを減圧下に留去し、水200mlを加え、
ジエチルエーテルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネ
シウムで乾燥した後、濃縮し、4-ヒドロキシ安息香酸
1-メチルヘプチルエステル16.50g(0.066mol、
収率97%)を得た。
【0049】4)上記4-ヒドロキシ安息香酸 1-メチ
ルヘプチルエステル10.00g(0.04mol)、4-メト
キシカルボニルオキシ安息香酸7.84g(0.04mol)、
および4-メチルアミノピリジン20mgをジクロロメタ
ン200mlに溶解し、室温にてN,N'-ジシクロヘキシ
ルカルボジイミド9.06g(0.044mol)を加えた。室
温で4時間撹拌し析出した固体をろ別した後、ろ液を濃
縮した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(展開溶媒;トルエン)で精製し、4-メトキシ
カルボニルオキシ安息香酸 4-(1-メチルヘプチル)フ
ェニルエステル6.95g(収率40%)を得た。
【0050】5)上記フェニルエステル化合物6.65g
(0.015mol)をエタノール(65ml)に溶解し、室温に
て29%アンモニア水10.92gを滴下した。室温で1
時間撹拌後、エタノールを減圧下留去し水100mlを加
えてエーテルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥した後、濃縮し、4-ヒドロキシ安息香酸 4-
(1-メチルヘプチル)フェニルエステルを5.69g(収率
99%)得た。
【0051】6)上記4-ヒドロキシ安息香酸 4-(1-
メチルヘプチル)フェニルエステル5.00g(0.013
5mol)、(R)-3-メチルアジピン酸0.98g(0.006
1mol)、および4-ジメチルアミノピリジン0.04gを
ジクロロメタン50mlに溶解し、N,N'-ジシクロヘキ
シルカルボジイミド6.95g(0.0337mol)を室温に
て加えた。3日間撹拌し、析出した固体をろ別した。ろ
液を濃縮し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(展開溶媒;トルエン-4%酢酸エチル)で
精製し、次にエタノールで再結晶して、この一部(0.2
12g)を分取液体クロマトグラフィー(カラム;JAIGEL
-2H-40+JAIGEL-1H-40)を用いて精製して、高速
液体クロマトグラフィー〔カラム;Brownlee C18-1
04x30mm+Lichsorb RP-18(7μm)4x250mm、
移動相;メタノール/水=95/5〕による測定での純度
が90%の標記化合物0.147g(0.170mmol)を得
た。この化合物は、前述した理化学的性質を有してい
た。
【0052】(液晶性の評価)上記で得られた(R)-3-
メチルアジピン酸 ビス[(S)-4-(1-メチルヘプチル
オキシカルボニルフェノキシカルボニルフェニル]エス
テルについて、降温時における相転移温度を測定した結
果、液体から55℃で反強誘電性スメクティック相にな
り、47℃で結晶あるいは高次のスメクティック相とな
った。
【0053】次に、4-n-ヘキシル-4'-シアノビフェ
ニルからなるネマチック液晶に上記化合物を2重量%添
加し、実施例1と同様な方法で、Ch相のらせんピッチを
測定した結果、Ch相に3μmの右向きのピッチを誘起し
ていることがわかった。
【0054】また、実施例1に記載のSC相をとる液晶組
成物に上記化合物を1重量%添加し、実施例1と同様な
方法で、らせんピッチを直接測定したところ、26μm
の右向きのらせんピッチが観測された。
【0055】この結果から、上記本発明の化合物は、少
量の添加で、Ch相およびSc *相に短いらせんピッチを誘
起し、らせんピッチの調整に使用しうることがわかる。
【0056】また、この化合物の反強誘電性スメクティ
ック相の53℃でのしきい値及び傾き角を、実施例1と
同様な方法で測定した結果、前者が、52V/3.5μm、後
者が45°であった。この結果から、本発明の化合物が
反強誘電性液晶のしきい値特性等を調整することがで
き、反強誘電性液晶組成物を構成する成分として有用で
あることが分かる。
【0057】(実施例3) (R)-3-メチルアジピン酸 ビス[(R)-4-(4'-(1-メ
チルヘプチルオキシカルボニル)-4-ビフェニルオキシ
カルボニル)-2-メトキシフェニル]エステル
【0058】(合成) 1)4-ヒドロキシ-2-メトキシ安息香酸38.85g
(0.23mol)を水酸化ナトリウム27.6g(0.69mol)
含む水溶液に溶解し、0℃にてクロロギ酸メチル36.
81g(0.38mol)を滴下した。同温度にて4時間撹拌
し、5規定の塩酸120mlを加えて、析出した固体をろ
別した後、水洗、乾燥した。得られた固体を酢酸を用い
て再結晶して、4-メトキシカルボニルオキシ-3-メト
キシ安息香酸を得た。
【0059】2)上記4-メトキシカルボニルオキシ-3
-メトキシ安息香酸2.11g(9mmol)、(R)-4'-ヒドロ
キシ-4-ビフェニルカルボン酸 1-メチルヘプチル3.
66g(11mmol)、および4-ジメチルアミノピリジン2
0mgをジクロロメタン50mlに溶解し、室温にてN,N'
-ジシクロヘキシルカルボジイミド2.16g(10mmol)
を加えた。室温にて2時間撹拌し、析出した固体をろ別
した後、ろ液を濃縮した。得られた固体をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(展開溶媒;トルエン:酢酸エ
チル=100:1)およびエタノールによる再結晶によ
り精製し、4-メトキシカルボニルオキシ-3-メトキシ
安息香酸 4-(4'-(1-メチルヘプチルオキシカルボニ
ル))ビフェニルエステルを3.00g(5.6mmol、収率6
2%)得た。
【0060】3)上記4-メトキシカルボニルオキシ-3
-メトキシ安息香酸 4'-(1-メチルヘプチルオキシカル
ボニル)ビフェニルエステル3.00g(5.6mmol)をエタ
ノール30mlに溶解し、29%アンモニア水5mlを滴下
した。室温で2時間撹拌した後、エタノールを減圧下留
去し水を加えてエーテルで抽出した。有機層を無水硫酸
マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去し、4-ヒドロ
キシ-3-メトキシ安息香酸 4-(4'-(1-メチルヘプチ
ルオキシカルボニル))ビフェニルエステル2.57g(5.
4mmol、収率96%)を得た。
【0061】4)上記4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息
香酸 4-(4'-(1-メチルヘプチルオキシカルボニル))
ビフェニルエステル2.13g(4.47mmol)、(R)-3-
メチルアジピン酸0.33g(2.03mmol)、および4-ジ
メチルアミノピリジン0.01gをジクロロメタン50ml
に溶解し、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド1.
06g(5.16mmol)を室温にて加えた。一晩撹拌し、生
じた固体をろ別後、ろ液を濃縮した。得られた固体をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ジクロ
ロメタン:ヘキサン=10:1)および再結晶(エタノ
ール:酢酸エチル=3:2)により精製し、高速液体ク
ロマトグラフィー〔カラム;Brownlee C18-104x3
0mm+Lichsorb RP-18(7μm)4x250mm、移動相;
メタノール/水=95/5〕による測定での純度が94.
5%の標記化合物0.42g(0.39mmol、収率19%)
を得た。この化合物は、前述した理化学的性質を有し、
比旋光度〔α〕D 25は−12.6°(C=5.0, CHCl3)であっ
た。
【0062】(液晶性の評価)上記で得られた(R)-3-
メチルアジピン酸 ビス〔(R)-4-(4'-(1-メチルヘプ
チルオキシカルボニル)-4-ビフェニルオキシカルボニ
ル)-2-メトキシフェニル〕エステルについて、降温時
における相転移温度を測定した結果、液体から97℃で
反強誘電性スメクティック相になった。
【0063】次に、4-n-ヘキシル-4'-シアノビフェ
ニルからなるネマチック液晶に上記化合物を2重量%添
加し、実施例1と同様な方法で、Ch相のらせんピッチを
測定した結果、Ch相に4μmの左向きのピッチを誘起し
ていることがわかった。
【0064】また、実施例1に記載のSC相をとる液晶組
成物に上記化合物を1重量%添加し、実施例1と同様な
方法で、らせんピッチを直接測定したところ、7μmの
右向きのらせんピッチが観測された。
【0065】この結果から、上記本発明の化合物は、少
量の添加で、Ch相およびSc *相に短いらせんピッチを誘
起し、らせんピッチの調整に使用しうることがわかる。
【0066】また、この化合物の反強誘電性スメクティ
ック相の90℃でのしきい値及び傾き角を、実施例1と
同様な方法で測定した結果、前者が、18V/3.4μm、後
者が20°であった。この結果から、本発明の化合物が
反強誘電性液晶のしきい値特性等を調整することがで
き、反強誘電性液晶組成物を構成する成分として有用で
あることが分かる。
【0067】(実施例4) (R)-3-メチルアジピン酸 ビス〔(R)-4-(4'-(1-メ
チルヘプチルオキシカルボニル)-4-ビフェニルオキシ
カルボニル)フェニル〕エステル
【0068】(合成) 1)実施例2に記載の4-メトキシカルボニルオキシ安
息香酸2.53g(0.013mol)、(R)-4'-ヒドロキシ-
4-ビフェニルカルボン酸 1-メチルヘプチル4.22g
(1.3mmol)、4-ジメチルアミノピリジン0.02gをジ
クロロメタン150mlに溶解し、室温にて、N,N'-ジ
シクロヘキシルカルボジイミド4.00g(1.9mmol)を
加えた。室温にて2日間撹拌し、析出した固体をろ別し
た後、ろ液を濃縮した。得られた固体をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(展開溶媒;塩化メチレン:ヘキ
サン=10:1)にて精製し、4-メトキシカルボニルオ
キシ安息香酸4'-(1-メチルヘプチルオキシカルボニ
ル)ビフェニルエステルを3.00g(6.0mmol、収率4
6%)得た。
【0069】2)上記4-メトキシカルボニルオキシ安
息香酸 4'-(1-メチルヘプチルオキシカルボニル)ビフ
ェニルエステル3.00g(6.0mmol)をエタノール50
0mlに溶解し、29%アンモニア水20mlを徐々に滴下
した。室温で3日間撹拌した後、エタノールを減圧下留
去し、水を加えてエーテルで抽出した。有機層を無水硫
酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去し4-ヒドロ
キシ安息香酸4'-(1-メチルヘプチルオキシカルボニ
ル)ビフェニルエステル2.60g(5.8mmol、収率98
%)を得た。
【0070】3)上記4-ヒドロキシ安息香酸4'-(1-
メチルヘプチルオキシカルボニル)ビフェニルエステル
2.56g(5.74mmol)、(R)-3-メチルアジピン酸0.
46g(2.87mmol)、4-ジメチルアミノピリジン0.0
7gをジクロロメタン60mlに溶解し、N,N'-ジシクロ
ヘキシルカルボジイミド1.77g(8.61mmol)を室温
にて加えた。室温にて2日間撹拌し、生じた固体をろ別
した後、ろ液を濃縮した。得られた固体をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(展開溶媒;トルエン:酢酸エ
チル=95:5)および再結晶(エタノール:酢酸エチ
ル=3:2)により精製し、高速液体クロマトグラフィ
ー〔カラム;Brownlee C18-104x30mm+Lichsorb
RP-18(7μm)4x250mm、移動相;メタノール/水
(グラジェント)〕による測定での純度が91.6%の標
記化合物2.06g(2.03mmol、収率74%)を得た。
この化合物は、前述した理化学的性質を有し、比旋光度
〔α〕D 25は−20.0°(C=5.0, CHCl3)であった。
【0071】(液晶性の評価)上記で得られた(R)-3-
メチルアジピン酸 ビス〔(R)-4-(4'-(1-メチルヘプ
チルオキシカルボニル)-4-ビフェニルオキシカルボニ
ル)フェニル〕エステルについて、昇温時における相転
移温度を測定した結果、結晶から80℃で反強誘電性ス
メクティック相に、182℃でSA相になり、202℃で
液体になった。
【0072】次に、4-n-ヘキシル-4'-シアノビフェ
ニルからなるネマティック液晶に上記化合物を2重量%
添加し、実施例1と同様な方法でCh相のピッチを測定し
た結果、Ch相に6μmの左向きのピッチを誘起している
ことがわかった。
【0073】また、実施例1に記載のSC相をとる液晶組
成物に上記化合物を1重量%添加し、実施例1と同様な
方法で、らせんピッチを直接測定したところ、15μm
の右向きのピッチが観測された。
【0074】この結果から、上記本発明の化合物は、少
量の添加でCh相およびSC *相に短いらせんピッチを誘起
し、しかも、ピッチの向きはCh相とSC *相では反対であ
り、らせんピッチの調整に有用であることがわかる。
【0075】また、この化合物の反強誘電性スメクティ
ック相の172℃でのしきい値を、実施例1と同様な方
法で測定した結果、6V/2.7μmであった。この結果か
ら、本発明の化合物が反強誘電性液晶組成物を構成する
成分として有用であることが分かる。
【0076】(実施例5) (R)-3-メチルアジピン酸 ビス〔(S)-4'-(2-メチル
ヘプタノイル)-4-ビフェニル〕エステル
【0077】(合成)(S)-4-ヒドロキシ-4'-(2-メ
チルヘプタノイル)ビフェニル3.44g(0.011mo
l)、(R)-3-メチルアジピン酸0.71g(0.0044mo
l)および4-ジメチルアミノピリジン0.11gをジクロ
ロメタン(60ml)に溶解し、室温にてN,N'-ジシクロ
ヘキシルカルボジイミド2.28g(0.011mol)を加え
た。一晩撹拌し、析出した固体をろ別後、ろ液を濃縮し
た。得られた固体をエタノールで洗浄後、シリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ジクロロメタン)
およびエタノールを用いた再結晶により精製し、高速液
体クロマトグラフィー〔カラム;Brownlee C18-10
4x30mm+Lichsorb RP-18(7μm)4x250mm、移
動相;水/アセトニトリル(グラジェント)〕による測定
での純度が98.5%の標記化合物1.66g(2.0mmo
l、収率50%)を得た。この化合物は、前述した理化学
的性質を有していた。
【0078】(液晶性の評価)4-n-ヘキシル-4'-シ
アノビフェニルからなるネマチック液晶に上記で得られ
た(R)-3-メチルアジピン酸 ビス[(S)-4'-(2-メチ
ルヘプタノイル)-4-ビフェニル]エステルを5重量%
添加し、実施例1と同様な方法で、Ch相のらせんピッチ
を測定した結果、Ch相に46μmの右向きのピッチを誘
起していることがわかった。
【0079】また、実施例1に記載のSc *相をとる液晶組
成物に上記化合物を2重量%添加し、実施例1と同様な
方法で、らせんピッチを直接測定したところ、62μm
のらせんピッチが観測された。
【0080】この結果から、上記本発明の化合物は、少
量の添加で、Ch相およびSc *相に短いらせんピッチを誘
起し、らせんピッチの調整に使用しうることがわかる。
【0081】(実施例6) (R)-3-メチルアジピン酸 ビス〔4'-(2-メチルヘプ
タノイル)-4-ビフェニル〕エステル
【0082】(合成)実施例5において、(S)-4-ヒド
ロキシ-4'-(2-メチルヘプタノイル)ビフェニルに代え
て、4-ヒドロキシ-4'-(2-メチルヘプタノイル)ビフ
ェニルを用いた以外は、全く同様の方法で標記化合物を
合成した。この化合物は、前述した理化学的性質を有し
ていた。
【0083】(液晶性の評価)4-n-ヘキシル-4'-シ
アノビフェニルからなるネマチック液晶に上記で得られ
た(R)-3-メチルアジピン酸 ビス[4'-(2-メチルヘ
プタノイル)-4-ビフェニル]エステルを5重量%添加
し、実施例1と同様な方法で、Ch相のらせんピッチを測
定した結果、Ch相に6μmの右向きのピッチを誘起して
いることがわかった。
【0084】また、実施例1に記載したSc *相をとる液
晶組成物に上記化合物を2重量%添加し、実施例1と同
様な方法で、らせんピッチを直接測定したところ、36
μmのらせんピッチが観測された。
【0085】この結果から、上記本発明の化合物は、少
量の添加で、Ch相およびSc *相に短いらせんピッチを誘
起し、らせんピッチの調整に使用しうることがわかる。
【0086】(実施例7) 3-メチルアジピン酸 ビス〔(S)-4'-(2-メチルヘプ
タノイル)-4-ビフェニル〕エステル
【0087】(合成)実施例5において、(R)-3-メチ
ルアジピン酸に代えて、3-メチルアジピン酸を用いた
以外は、全く同様の方法で合成し、標記化合物を得た。
この化合物は、前述した理化学的性質を有していた。
【0088】(液晶性の評価)4-n-ヘキシル-4'-シ
アノビフェニルからなるネマチック液晶に上記で得られ
た3-メチルアジピン酸 ビス〔(S)-4'-(2-メチルヘ
プタノイル)-4-ビフェニル〕エステルを5重量%添加
し、実施例1と同様な方法で、Ch相のらせんピッチを測
定した結果、Ch相に4μmの左向きのピッチを誘起して
いることがわかった。
【0089】また、実施例1に記載のSc *相をとる液晶
組成物に上記化合物を2重量%添加し、実施例1と同様
な方法で、らせんピッチを直接測定したところらせんピ
ッチに対応するしま模様は観測されず、らせんピッチは
非常に長いことが分かった。
【0090】この結果から、上記本発明の化合物は、少
量の添加で、Ch相に選択的に短いらせんピッチを誘起
し、らせんピッチの調整に使用しうることがわかる。
【0091】(実施例8) (R)-3-メチルアジピン酸 ビス〔4-(4-ヘプチルカル
ボニル-4'-ビフェニルオキシカルボニル)-2-メトキシ
フェニル〕エステル
【0092】(合成) 1)4-ヒドロキシ-4'-ビフェニルカルボン酸とクロロ
ぎ酸メチルから実施例2に記載した方法と同様の方法に
より、4-メトキシカルボニルオキシ-4'-ビフェニルカ
ルボン酸を得た。
【0093】2)4-メトキシカルボニルオキシ-4'-ビ
フェニルカルボン酸3.00g(11.0mmol)と1-ヘプタ
ノール1.28g(11.0mmol)とをテトラヒドロフラン
250mlに溶解し、室温にてトリフェニルホスフィン
3.14g(12.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液20m
lを滴下した。同温度で、一晩撹拌し、溶媒を留去し
た。得られた固体にジクロロメタンを注ぎ、固体をろ別
した後、ろ液を濃縮した。得られた固体をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:ジクロ
ロメタン=2:1)にて精製し、4-ヘプチルオキシカ
ルボニル-4'-メトキシカルボニルオキシビフェニル3.
48g(9.4mmol、収率85%)を得た。
【0094】3)4-ヘプチルオキシカルボニル-4'-メ
トキシカルボニルオキシビフェニル3.28g(9.4mmo
l)をエタノール100mlに溶解し、29%濃度のアンモ
ニア水5mlを加えた。室温にて、一晩撹拌した後、エタ
ノールを留去し、水を加え、エーテルで抽出した。有機
層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去
し、4-ヘプチルオキシカルボニル-4'-ヒドロキシビフ
ェニル2.83g(9.1mmol、収率98%)を得た。
【0095】4)4-ヘプチルオキシカルボニル-4'-ヒ
ドロキシビフェニル2.62g(8.4mmol)と3-メトキシ
-4-メトキシカルボニルオキシ安息香酸1.90g(8.4
mmol)と4-ジメチルアミノピリジン50mgとをジクロロ
メタンに溶解し、室温にて、N,N'-ジシクロヘキシル
カルボジイミド2.06g(10.0mmol)を加えた。室温
で、一晩撹拌した後、析出した固体をろ別し、ろ液を濃
縮した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(展開溶媒;ヘキサン:ジクロロメタン=1:
3)で精製し、4-(4-ヘプチルオキシカルボニルビフ
ェニル-4'-オキシカルボニル)-2-メトキシ-1-メトキ
シカルボニルフェニル1.37g(2.6mmol、収率30
%)を得た。
【0096】5)これをエタノール200mlに溶解し、
29%濃度のアンモニア水3mlを加えた。室温にて、一
晩撹拌した後、エタノールを留去し、水50mlを加え、
エーテルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで
乾燥した後、溶媒を留去し、4-(4-ヘプチルオキシカ
ルボニルビフェニル-4'-オキシカルボニル)-2-メトキ
シフェノール1.19g(2.57mmol、収率98%)を得
た。
【0097】6)4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸
4-(4-ヘプチルオキシカルボニルビフェニル)1.00g
(2.16mmol)と(R)-3-メチルアジピン酸0.18g
(1.1mmol)と4-ジメチルアミノピリジン20mgとをジ
クロロメタン50mlに溶解し、室温にて、N,N'-ジシ
クロヘキシルカルボジイミド0.52g(2.50mmol)を
加えた。室温で、一晩撹拌し、析出した固体をろ別後、
ろ液を濃縮した。得られた固体をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(展開溶媒;ジクロロメタン〜ジクロロ
メタン:酢酸エチル=30:1)および再結晶(エタノ
ール)により精製した。この結果、高速液体クロマトグ
ラフィー〔カラム;Brownlee C18-104x30mm+Li
chsorb RP-18(7μm)4x250mm、移動相;メタノー
ル/水=95/5〕による測定において、純度が99.7
%の前述した理化学的性質を有する3-メチルアジピン
酸 ビス[4-(4-ヘプチルオキシカルボニルビフェニル-
4'-オキシカルボニル)-2-メトキシフェニル]エステル
0.56g(0.53mmol、収率47%)を得た。この化合
物の比旋光度〔α〕D 25は+17.8(C=5.0,CHCl3)であ
った。
【0098】(液晶性の評価)上記で得られた(R)-3-
メチルアジピン酸 ビス〔4-(4-ヘプチルオキシカルボ
ニル-4'-ビフェニルオキシカルボニル)-2-メトキシフ
ェニル〕エステルについて、降温時における相転移温度
を測定した結果、液体から172℃でCh相に、126℃
で、Sc *相に、100℃で、高次のスメクティック相に
なった。
【0099】次に、4-n-ヘキシル-4'-シアノビフェ
ニルからなるネマティック液晶に上記化合物を2重量%
添加し、実施例1と同様な方法でCh相のらせんピッチの
向きを測定した結果、右向きであった。
【0100】また、実施例1に記載のピリミジン系液晶
組成物に、上記化合物を1重量%添加し、これを300
μmのセル厚からなるガラスセルに注入して顕微鏡によ
る組織観察〔松本・角田共著「液晶の基礎と応用」(株)工
業調査会1991年発行、第49頁〕により、64℃
で、Ch相のらせんピッチを測定した結果、15μmのピ
ッチが認められた。また、実施例1と同様な方法で、Sc
*相のらせんピッチを直接測定したところ、9μmの右向
きのピッチが観測された。
【0101】この結果から、上記本発明の化合物は、少
量の添加で、Ch相およびSc *相に短いらせんピッチを誘
起し、らせんピッチの調整に有用であることがわかる。
【0102】また、この化合物は、単体でCh相およびSc
*相を安定して示し、添加した組成物のCh相やSc *相の安
定性に与える影響が少ないという利点がある。
【0103】(実施例9)表1に示した3種類のシアノ
ビフェニル化合物を、同表に示した割合で混合し、スメ
クティック液晶構造をとる組成物Aを調製した。
【0104】
【表1】
【0105】この組成物Aに実施例2の化合物を2重量
%添加して液晶組成物Bを、組成物Aに実施例4の化合
物を5重量%添加して液晶組成物Cを、それぞれ調製し
た。これらの組成物の降温時の相転移温度は、表2のと
おりであった。
【0106】
【表2】
【0107】これらの液晶組成物A、B、Cのスメクテ
ィック相の層構造の強さを評価するため、これらの組成
物をITO膜、ポリイミド配向膜を有し、ラビング処理
を施した2枚のガラス板からなる厚さ12μmのセルに
注入し、スメクティックA相をホモジニアス配向させ
た。これらのセルに室温でそれぞれ電界を印加し、偏光
顕微鏡下、液晶の配列状態の変化を光の透過量の変化で
観察した。電界を印加しない状態での光の透過量を10
0%としたときの印加電界(MV/m)に対する透過量(%)の
変化を表3に示す。なお、比較のため、上記液晶組成物
Aについても全く同様にして透過量の変化を室温で測定
し、その結果を表3に併記した。
【0108】
【表3】
【0109】この結果から明らかなように、本発明の化
合物を添加することにより液晶の配列状態の変化を起こ
すに必要な印加電界を著しく低下させ、また組成物Aの
液晶配列状態の変化が1段階であるのに比べて、発明の
化合物を添加した組成物では多段階の変化になってお
り、階調表示が可能な液晶組成物とすることが分かる。
【0110】
【発明の効果】以上のように、本発明の化合物は、強誘
電性液晶材料と混合することにより、自発分極等、他の
物性に影響を与えることが少なく、SC *相とCh相のらせ
んピッチの大きさを制御することができ、また、強誘電
性液晶材料開発における相転移温度、しきい値電圧、配
向性、安定性、作動温度範囲、またはしきい値特性等を
調整するための反強誘電性液晶性化合物とすることがで
きるという格別の効果を奏する。これにより、らせんピ
ッチの大きさが適切に制御され、コントラストが良好
で、応答速度が速い液晶組成物あるいは反強誘電性の液
晶組成物が得られ、ディスプレイ、記録素子、ライトバ
ルブあるいはプロジェクター等のオプトエレクトロニク
ス関連素子を構成する液晶材料として極めて有用なもの
となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C07M 7:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I) 【化1】 (式中、Rは炭素数2〜18の直鎖のアルキル基または
    そのα位にメチル基を有する炭素数3〜19のアルキル
    基を示し、aおよびbはそれぞれ1または2、cおよび
    dはそれぞれ1または0で、a=2、c=0かつd=1
    の化合物は含まれない。尚、式中の芳香環の1以上の水
    素はハロゲン基、メトキシ基またはメチル基で置換され
    ていてもよい。)で表わされる3-メチルアジピン酸ジ
    エステル化合物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の化合物において、不斉
    炭素の少なくとも1つ以上が光学活性を誘起されている
    ことを特徴とする3-メチルアジピン酸ジエステル化合
    物の光学活性体。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の3-メチルア
    ジピン酸ジエステル化合物またはその光学活性体の少な
    くとも1種以上を含有することを特徴とする液晶組成
    物。
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