JPH08325180A - 新規4,5−ビス(2−置換エテニル)−1,2−ジ置換ベンゼン、その製造方法、及び紫外線吸収剤 - Google Patents

新規4,5−ビス(2−置換エテニル)−1,2−ジ置換ベンゼン、その製造方法、及び紫外線吸収剤

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JPH08325180A
JPH08325180A JP7136841A JP13684195A JPH08325180A JP H08325180 A JPH08325180 A JP H08325180A JP 7136841 A JP7136841 A JP 7136841A JP 13684195 A JP13684195 A JP 13684195A JP H08325180 A JPH08325180 A JP H08325180A
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bis
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
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  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 式 【化1】 [式中、Xは、それぞれ独立してハロゲン原子またはシ
アノ基であり、Rは非置換もしくは置換フェニル基、ま
たは炭素数3〜20の非置換もしくは置換アルキル基であ
り、そしてnは0または1である。]で表わされる4,5-
ビス(2-置換エテニル)-1,2-ジ置換ベンゼン。 【効果】 波長280〜420nmの範囲に分子吸光係数の大き
い極大吸収波長を有し、種々の有機物に対して安定であ
り、光および熱に対しても安定である、長波長紫外線紫
外線吸収剤として有用な化合物が提供された。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な4,5-ビス(2-置
換エテニル)-1,2-ジ置換ベンゼン、その製造方法および
この化合物を有効成分とする紫外線吸収剤に関する。
【0002】
【従来の技術】太陽からの放射線のうち、約240〜約400
nmの範囲の波長を有する電磁波を一般に紫外線という。
紫外線はその波長領域によって3帯域に分けられる。即
ちサンタン波長と言われる320〜400nmに長波長の紫外線
(UV-A)、サンバーン波長と言われる280〜320nmの紫外線
(UV-B)、および地球のオゾン層で吸収され、地表にはほ
とんど到達しない240〜280nmの紫外線(UV-C)である。紫
外線は強いエネルギーを持ち、これを受けた化合物は分
解または不安定化する。したがって、紫外線は多くの商
業製品の変退色を引き起こし、その価値を低下させる原
因となっている。
【0003】紫外線吸収剤は、日光や蛍光灯による変退
色の少ない耐光性(耐候性)材料を提供するために、繊
維、塗料、プラスチックのような合成高分子材料、感熱
記録シートのような記録シートおよびインキや電子写真
用トナーなどの情報記録材料、または液晶表示材料等に
添加され、また、紫外線や放射線から人体を保護するた
めに、化粧品、プラスチックレンズ、溶接マスクおよび
フィルタ等に用いられてきた。また近年では、昆虫の飛
来を防止するために蛍光灯やショウウインドなどのコー
ティング材料、積層フィルムにも使用されている。
【0004】そのような紫外線吸収剤としては、従来か
ら、例えば、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベン
ゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ヒダントイ
ン誘導体、およびヒンダードアミン系(光安定剤)の化合
物が知られている。
【0005】しかしながら、これらの多くは波長290〜3
80nmの領域内の紫外線吸収性を示すものであり、波長28
0〜420nmの範囲の吸収性が不充分である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題を解決するものであり、その目的とするところは、
波長280〜420nmの範囲に充分な吸収性を有する化合物を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、式
【0008】
【化4】
【0009】[式中、Xは、それぞれ独立してハロゲン
原子またはシアノ基であり、Rは非置換もしくは置換フ
ェニル基、または炭素数3〜20の非置換もしくは置換ア
ルキル基であり、そしてnは0または1である。]で表
わされる4,5-ビス(2-置換エテニル)-1,2-ジ置換ベンゼ
ンを提供するものであり、そのことにより上記目的が達
成される。
【0010】本発明の4,5-ビス(2-置換エテニル)-1,2-
ジ置換ベンゼンは、式(I)で示す構造を有する化合物で
ある。
【0011】Xは、それぞれ独立してフッ素、塩素、臭
素およびヨウ素のようなハロゲン原子またはシアノ基で
ある。好ましくは臭素またはシアノ基である。Xは、合
成の便宜上同一であることが好ましいが異なるものでも
よい。
【0012】Rは、非置換もしくは置換フェニル基、ま
たは炭素数3〜20の非置換もしくは置換アルキル基であ
る。
【0013】Rが非置換もしくは置換フェニル基である
場合、フェニル基を置換するのに好ましい置換基として
は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチ
ル、sec-ブチル、アミル、イソアミル、ヘキシル、ヘプ
チル、2-エチルヘキシル、オクチルおよびt-オクチル基
のような炭素数1〜8のアルキル基;塩素およびフッ素
のようなハロゲン原子;およびメトキシおよびエトキシ
のような炭素数1〜4のアルコキシ基等が挙げられる。
【0014】Rが非置換もしくは置換アルキル基である
場合、好ましい非置換アルキル基としては、アミル、イ
ソアミル、ヘキシル、ヘプチル、2-エチルヘキシル、オ
クチルおよびt-オクチルのような炭素数5〜8の直鎖又
は分岐鎖アルキル基が挙げられる。アルキル基を置換す
るのに好ましい置換基としては、塩素およびフッ素のよ
うなハロゲン原子;およびメトキシおよびエトキシのよ
うな炭素数1〜4のアルコキシ基等が挙げられる。
【0015】Rは、ベンゼン環の4位及び5位に置換し
たエテニル基もしくは1,3-ブタジエニル基の末端に結合
して2-置換エテニル基を形成する。2-置換エテニル基の
具体例には、フェニルエテニル基、ヘプチルエテニル基
およびスチリルエテニル基等が挙げられる。
【0016】本発明の4,5-ビス(2-置換エテニル)-1,2-
ジ置換ベンゼンは、当業者に周知の種々の方法で合成可
能である。高収率で合成可能な特に好ましい製造方法の
例には、式
【0017】
【化5】
【0018】[式中、Xは上記と同意義であり、R'は、
それぞれ独立して炭素数1〜4の直鎖もしくは分枝鎖ア
ルキル基である。]で表わされる4,5-ビス(ジアルキル
ホスホリルメチル)-1,2-ジ置換ベンゼンと、式
【0019】
【化6】
【0020】[式中、Rおよびnは上記と同意義であ
る。]で表わされるアルデヒドとを、エーテル系有機溶
媒中、アルコラートの存在下で反応させる工程を包含す
る方法が挙げられる。
【0021】本発明の4,5-ビス(2-置換エテニル)-1,2-
ジ置換ベンゼン(I)の製造方法において出発物質として
用いる4,5-ビス(ジアルキルホスホリルメチル)-1,2-ジ
置換ベンゼン(II)の好ましい具体例は、4,5-ビス(ジア
ルキルホスホリルメチル)-1,2-ジブロモベンゼン及び4,
5-ビス(ジアルキルホスホリルメチル)-1,2-ジシアノベ
ンゼンである。
【0022】4,5-ビス(ジアルキルホスホリルメチル)-
1,2-ジブロモベンゼンの合成法を以下に説明する。
【0023】まず、o-キシレンの4位および5位を臭素
化して4,5-ジブロモ-o-キシレンを得る。この反応は、o
-キシレンをI2/Fe粉触媒の存在及び窒素気流下に冷却
し、ここに臭素を滴下させて行う。反応の詳細は、例え
ば、M.ハナク(Hannack)ら、「合成(Synthesis)」、1987
年、第703頁に記載されている。
【0024】次に、4,5-ジブロモ-o-キシレンの1位お
よび2位のメチル基を臭素化してα,α',4,5-テトラブ
ロモ-o-キシレンを得る。この反応は、m-クロロ過安息
香酸および四塩化炭素溶媒中で、4,5-ジブロモ-o-キシ
レンとN-ブロモスクシン酸イミド(NBS)とを水銀灯照射
して行う。詳細は、例えば、「合成」、1993年、第4巻、
第387頁 に記載されている。
【0025】次に、α,α',4,5-テトラブロモ-o-キシレ
ンの1位および2位のブロモメチレン基をリン酸エステ
ル化することにより4,5-ビス(ジアルキルホスホリルメ
チル)-1,2-ジブロモベンゼンを得る。この反応は、α,
α',4,5-テトラブロモ-o-キシレンとトリアルキルホス
ファイト(例えばトリエチルホスファイト、トリメチル
ホスファイト)とを窒素雰囲気で加熱して行われる。
【0026】尚、本発明の方法における出発物質とし
て、臭素以外のハロゲンを有する4,5-ビス(ジアルキル
ホスホリルメチル)-1,2-ジ置換ベンゼンを合成する場合
は、o-キシレンの4位および5位を臭素以外のハロゲン
で置換すればよい。このような置換方法は当業者に周知
である。
【0027】他方、出発物質として4,5-ビス(ジアルキ
ルホスホリルメチル)-1,2-ジシアノベンゼンを合成する
場合は、まず、上述の方法により4,5-ジブロモ-o-キシ
レンを得る。次いで、4,5-ジブロモ-o-キシレンの4位
および5位の臭素をシアノ基で置換して4,5-ジシアノ-o
-キシレンを得る。この反応は、4,5-ジブロモ-o-キシレ
ンとシアン化剤(例えば、シアン化銅)とを、DMFのよう
な有機溶媒中、窒素雰囲気で加熱して行われる。詳細
は、例えば、M.ハナクら、Recl. Trav. Chim. Pays-Ba
s、1986年、第105号、第427頁に記載されている。
【0028】次いで、上述と同様にして、4,5-ジシアノ
-o-キシレンの1位および2位のメチル基を臭素化して
α,α'-ジブロモ-4,5-ジシアノ-o-キシレンを得、これ
をトリアルキルホスファイト反応させて、4,5-ビス(ジ
アルキルホスホリルメチル)-1,2-ジシアノベンゼンが得
られる。
【0029】本発明の方法では、この出発物質4,5-ビス
(ジアルキルホスホリルメチル)-1,2-ジ置換ベンゼン(I
I)をアルデヒド(III)と反応させる。
【0030】好ましいアルデヒドには、ベンズアルデヒ
ド、o-,m-,p-アニスアルデヒド、2,3-ジメトキシベンズ
アルデヒド、3,4,5-トリメトキシベンズアルデヒド、o
-,m-,p-エトキシベンズアルデヒド、o-,m-,p-トルアル
デヒド、p-(iso-プロピル)ベンズアルデヒド、o-,m-,p-
クロロベンズアルデヒド、o-,m-,p-クロロトルアルデヒ
ド、p-フルオロベンズアルデヒドおよびp-トリフルオロ
メチルベンズアルデヒドのような芳香族アルデヒド;ブ
チルアルデヒド、アミルアルデヒドおよびヘプチルアル
デヒド、オクチルアルデヒド(「オクタナール」とも言
う。)及びドデシルアルデヒドのような脂肪族アルキル
アルデヒド;およびシンナムアルデヒド等が例示でき
る。好ましくは、ベンズアルデヒド、アニスアルデヒ
ド、オクタナール及びシンナムアルデヒドである。
【0031】この反応はエーテル系溶媒(例えばTHFのよ
うな環状エーテル、エチルエーテルのようなアルキルエ
ーテル)中、アルコラート(例えば、27%メチラート)の
存在下で加熱して行われる。この反応は、一般に、ウィ
ッティッヒ-ホーナー-エモンズ(Wittig-Horner-Emonds)
反応と呼ばれる。
【0032】上述の本発明の方法によれば、式(I)にお
いて種々の置換基Xを有する4,5-ビス(2-置換エテニル)-
1,2-ジ置換ベンゼンを合成できる。出発物質として異な
る置換基を有する4,5-ビス(ジアルキルホスホリルメチ
ル)-1,2-ジ置換ベンゼンを用いればそれぞれ対応する置
換基を有する4,5-ビス(2-置換エテニル)-1,2-ジ置換ベ
ンゼンが得られるからである。
【0033】例えば、4,5-ビス(ジアルキルホスホリル
メチル)-1,2-ジブロモベンゼンを出発物質として用いる
と、4,5-ビス(2-置換エテニル)-1,2-ジブロモベンゼン
が得られる。また、4,5-ビス(ジアルキルホスホリルメ
チル)-1,2-ジシアノベンゼンを出発物質として用いる
と、4,5-ビス(2-置換エテニル)-1,2-ジシアノベンゼン
が得られる。
【0034】式(I)において種々の置換基Xを有する4,5-
ビス(2-置換エテニル)-1,2-ジ置換ベンゼンを合成する
他の方法として、特定の置換基を有する本発明の4,5-ビ
ス(2-置換エテニル)-1,2-ジ置換ベンゼンを合成し、こ
の置換基を他の置換基に変換する方法もある。この場
合、特定の置換基を有する本発明の4,5-ビス(2-置換エ
テニル)-1,2-ジ置換ベンゼンは、他の本発明の化合物を
調製するための中間体として用いる。
【0035】例えば、本発明の化合物である4,5-ビス(2
-置換エテニル)-1,2-ジブロモベンゼンは、式
【0036】
【化7】
【0037】[式中Rおよびnは上記と同意義である。]
で示すように、ジメチルホルムアミド(DMF)のような溶
媒中でシアン化剤(例えば、シアン化銅)と反応させて、
その1,2-位のジブロモ基がシアノ基に変換される。当業
者に周知の方法により、4,5-ビス(2-置換エテニル)-1,2
-ジブロモベンゼンの1,2-位のジブロモ基を他のハロゲ
ンに変換することもできる。
【0038】式(I)で示す本発明の4,5-ビス(2-置換エテ
ニル)-1,2-ジ置換ベンゼンにおいて、-Xで表わされる1,
2-位置換基および-CH=CH-(CH=CH)n-Rで表わされる4,5-
位置換基は、本発明の化合物の紫外線吸収特性に影響を
及ぼす。分子内の共役系が、両者の相互作用によって増
幅されうるからである。
【0039】例えば、Xとしてシアノ基を有する化合物
は、Xが共にハロゲン原子、例えば臭素であるものに比
べて、長波長域に紫外線吸収を示す。また、nが1であ
る化合物は、nが0であるものよりも長波長域に紫外線
吸収を示す。
【0040】より具体的には、Xが共にシアノ基であ
り、nが1である本発明の化合物は、長波長紫外線領域
であるUV-A領域に最大吸収波長を有する。Xの一方がシ
アノ基であり、nが1である本発明の化合物は、UV-B乃
至UV-Aの領域に最大吸収波長を有する。そして、nが0
である本発明の化合物は、Rが非置換もしくは置換フェ
ニル基である場合はUV-B乃至UV-Aの領域に、そしてRが
非置換もしくは置換アルキル基である場合はUV-Cの領域
に最大吸収波長を有する。
【0041】1,2-位の置換基及び4,5-位の置換基を適当
に組合せることで、本発明の4,5-ビス(2-置換エテニル)
-1,2-ジ置換ベンゼンに所望の紫外線吸収特性を付与す
ることができ、その結果、280〜420nmの範囲に充分な吸
収性を有する化合物を提供できる。
【0042】本発明の4,5-ビス(2-置換エテニル)-1,2-
ジ置換ベンゼンは、紫外線波長領域に分子吸光係数εの
大きい吸収ピークを有する。また、本発明の4,5-ビス(2
-置換エテニル)-1,2-ジ置換ベンゼンは、各種の紫外線
吸収用途に使用される溶媒、樹脂、ワックス等に一般に
良分散性もしくは可溶性を示し、そして各種の有機物
質、光および熱に対して優れた安定性を有する。
【0043】したがって、本発明の化合物は、繊維、塗
料およびプラスチックのような合成高分子材料、感熱記
録シートのような記録シート、およびインキや電子写真
用トナーのような情報記録材料、液晶表示材料、化粧
品、プラスチックレンズ、溶接マスクおよびフィルタ、
および蛍光灯やショウウインドなどのコーティング材料
のための紫外線吸収剤として有用である。
【0044】本発明の紫外線吸収剤は、粉末、水および
有機溶媒での分散体もしくは溶液、又は樹脂溶液として
使用される。
【0045】本発明の紫外線吸収剤が微分散もしくは溶
解される溶媒としては、トルエン、キシレンおよびシク
ロヘキサンのような炭化水素、塩化メチレンおよび塩化
エチレンのようなハロゲン化炭化水素、メタノール、エ
タノールのようなアルコール、エチレングリコールモノ
エチルエーテルのようなセロソルブ、酢酸エチルのよう
なエステル、およびメチルエチルケトン、メチルイソブ
チルケトンのようなケトンが例示できる。これらの溶媒
は、塗料などの各種用途の樹脂に単独、好ましくは混合
して用いられる。
【0046】本発明の紫外線吸収剤を用い得る樹脂とし
ては、塗料用の樹脂(例えば、アクリル系、塩化ビニル
系、ポリオレフィン系、ポリエステル系およびポリアミ
ド系の熱可塑性樹脂、およびフェノール系、エポキシ
系、およびポリエステル系の熱硬化性樹脂)、塗膜形成
用樹脂(例えば、酢酸セルロースのような天然樹脂また
はエチレンオキサイド樹脂、ブチラール樹脂、ビニル樹
脂、アルキッド樹脂およびアクリル樹脂)、熱転写用バ
インダー樹脂(例えば、ポリビニルブチラール、エチル
ヒドロキシエチルセルロース、スチレン-マレイン酸共
重合体、メチルメタクリレート樹脂、ポリエステル樹脂
およびワックス)、電子写真用トナーの結着樹脂(例え
ば、スチレン樹脂、スチレン-アクリル樹脂、スチレン-
ブタジエン樹脂、スチレン-ビニルメチルエーテル樹脂
およびポリエステル)、プラスッチクレンズ用のアクリ
ル樹脂、ポリカーボネート、アリルジグリコールカーボ
ネート樹脂、および成形用プラスチックおよびプラスチ
ックフィルム用樹脂が挙げられる。その他高分子液晶等
にも好適に用いることができる。
【0047】本発明の紫外線吸収剤を上記の各種用途の
組成物に配合する場合に、配合量は所望の程度の安定化
もしくは光吸収を行うに充分な量であれば特に限定され
ない。一般に、本発明の紫外線吸収剤は、有機物質の固
体含有量当たり0.001〜2%の量で使用し得る。
【0048】ディッピング法で染色性プラスチック基板
などに染着する場合においては表面染着と見做せるの
で、実質的には極く微量の使用であっても効果が得られ
る。2重量%を越えると分散不良、有機着色物質や樹脂
組成物の色障害など発生して好ましくない。また、吸収
効果についても2重量%以上添加しても適性量に比べて
大きな差はなく、実用上コストが高くなるため好ましく
ない。
【0049】本発明の紫外線吸収剤は、従来よく知られ
たUV-Bの紫外線吸収剤と悪影響なく併用し得る。さら
に、本発明の紫外線吸収剤には、用途および目的に応じ
て、蛍光増白剤、およびラジカル捕捉剤などを添加する
ことができる。
【0050】また、本発明の化合物である4,5-ビス(2-
置換エテニル)-1,2-ジシアノベンゼンは、有機溶剤に対
して高い溶解性を示す高溶解性フタロシアニンの原料と
して有用である。高溶解性フタロシアニンは、情報記録
などオプトエレクトロニクス関連に重要な役割を果たす
近赤外吸収材料及びそれを用いて作製される光カードの
ような光記録媒体として近年注目されている化合物であ
る。
【0051】例えば、4,5-ビス(2-フェニルエテニル)-
1,2-ジシアノベンゼンを縮合することにより、光学特性
に優れたフタロシアニンが高収率で得られる。
【0052】本発明の化合物の非限定的な例を以下に列
挙する。
【0053】
【化8】
【0054】
【化9】
【0055】
【化10】
【0056】
【化11】
【0057】
【化12】
【0058】
【化13】
【0059】
【化14】
【0060】
【化15】
【0061】
【化16】
【0062】
【化17】
【0063】
【化18】
【0064】
【化19】
【0065】
【化20】
【0066】
【化21】
【0067】
【化22】
【0068】
【化23】
【0069】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されない。
【0070】実施例1 4,5-ビス(ジエチルホスホリルメチル)-1,2-ジブロモベ
ンゼン[C16H25O6Br2P2=535.8]の合成 α,α',4,5-テトラブロモ-o-キシレン21.1g(50mmol)、
トリエチルホスファイト17.2ml(100mmol)を3口フラス
コに仕込み、窒素雰囲気下で徐々に加熱し、1時間をか
けて150℃にした。この間に副成する塩化エチルを、反
応系外へ除去した。さらに150℃で1時間加熱撹拌を行
った後、反応混合物を氷/水バスを用いて0〜5℃に冷
却して水30mlを加えることにより反応を完結させた。
【0071】得られた反応混合物から有機物を50mlのエ
ーテルを用いて3回抽出し、エーテル層を水と飽和食塩
水で洗浄して、無水硫酸ナトリウム上で乾燥後、溶媒を
留去して黄色固体を得た。この固体を熱ヘキサン100ml
を用いて洗浄して精製した。以下の分析結果からこのも
のは、式
【0072】
【化24】
【0073】で示す、4,5-ビス(ジエチルホスホリルメ
チル)-1,2-ジブロモベンゼンであることを確認した。収
量は22.0g(41.1mmol)、収率は82.1%であった。
【0074】
【表1】1 H-NMR(CDCl3,89.5MHz) δ=1.23(t, 12H, JHH=7.0MHz) δ=3.29(d, 4H, JHP=20.4Hz) δ=4.00(dq, 8H, JHH=7.0Hz, JHP=7.0Hz) δ=7.46(s, 2H)13 C-NMR(CDCl3,22.4MHz) δ=16.2,30.4(d,Jcp=138.3Hz),62.1,122.8,132.3,135.8 IR(KBr,cm-1) ν=2978,2915,1464(m),1244,1047,1016,958,935(s),530
(m) MS:m/z=536 m.p.=84-85℃
【0075】実施例2 4,5-ビス(2-フェニルエテニル)-1,2-ジブロモベンゼン
(2a)[C22H16Br2=439.8]の合成 実施例1で得た4,5-ビス(ジエチルホスホリルメチル)-
1,2-ジブロモベンゼン5.36g(10mmol)とテトラヒドロフ
ラン(THF)30ml(100mmol)との混合液にナトリウムメチラ
ート5.8g(28%メタノール溶液、30mmol)を-15〜-20℃で
加え、1時間この温度で撹拌した。次いで、この混合溶
液にベンズアルデヒド2.3ml(22mmol)を-15〜-20℃でゆ
っくり加え、室温で5時間撹拌した。反応を完了後、反
応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液(sat.NH4Cl)30ml
を用いて冷却した。
【0076】得られた反応混合物から生成物を50mlのエ
ーテルを用いて3回抽出し、得られたエーテル層を水、
飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し
た。引続き無水硫酸ナトリウム上で乾燥後、溶媒を留去
して固体を得、この固体を熱ヘキサン(100ml)中ですり
つぶして、精製した。以下の分析結果からこのものは、
【0077】
【化25】
【0078】で示す、4,5-ビス(2-フェニルエテニル)-
1,2-ジブロモベンゼンであることを確認した。収量は3.
93g、収率は89.4%であった。
【0079】
【表2】1 H-NMR(CDCl3, 89.5MHz) δ=6.85(m, 16H)13 C-NMR(CDCl3, 22.4MHz) δ=123.5,124.1,126.8,128.3,128.8,131.1,131.3,132.
8,136.6,136.7 IR(KBr,cm-1) ν=3037,3021,1630,1599,1576,1495,1456,1122,960,95
1,918,895,746,685,509 m.p.=118.5-120℃
【0080】表9および図1に、得られた化合物の紫外
線吸収特性を示す。尚、吸収スペクトルの測定は、メタ
ノール溶媒を用いて行った。
【0081】実施例3 4,5-ビス(2-p-メトキシフェニルエテニル)-1,2-ジブロ
モベンゼン(2b)[C24H20O2Br2=499.8]の合成 実施例2で用いた4,5-ビス(ジエチルホスホリルメチル)
-1,2-ジブロモベンゼン5.36g(10mmol)及びベンズアルデ
ヒド2.3ml(22mmol)を、4,5-ビス(ジエチルホスホリルメ
チル)-1,2-ジブロモベンゼン1.07g(2.0mmol)及びアニス
アルデヒド0.47ml(4.4mmol)に代え、実施例2と全く同
様な操作を施し精製した。以下の分析結果から、得られ
たものは、式
【0082】
【化26】
【0083】で示す、4,5-ビス(2-p-メトキシフェニル
エテニル)-1,2-ジブロモベンゼンであることを確認し
た。収量は0.8g(1.6mmol)、収率は80.0%であった。
【0084】
【表3】1 H-NMR(CDCl3, 89.5MHz) δ=3.83(s, 6H),6.85-7.76(m,14H)13 C-NMR(CDCl3, 22.4MHz) δ=55.2,55.5,114.3,122.1,123.0,128.1,130.0,130.9,1
31.1,132.2,136.7,159.8 IR(KBr,cm-1) ν=3035,3002,2951,2929,2906,2833,1604,1576,1510,14
58,1282,1252,1174,1120,1031,957,812,536 m.p.=118-119℃
【0085】表9および図2に、得られた化合物の紫外
線吸収特性を示す。尚、吸収スペクトルの測定は、メタ
ノール溶媒を用いて行った。
【0086】実施例4 4,5-ビス(2-スチリルエテニル)-1,2-ジブロモベンゼン
(2c)[C26H20Br2=491.8]の合成 実施例2で用いた4,5-ビス(ジエチルホスホリルメチル)
-1,2-ジブロモベンゼン5.36g(10mmol)及びベンズアルデ
ヒド2.3ml(22mmol)を、4,5-ビス(ジエチルホスホリルメ
チル)-1,2-ジブロモベンゼン10.7g(20.0mmol)及びシン
ナムアルデヒド5.8ml(44mmol)に代え、実施例2と全く
同様な操作を施し精製した。以下の分析結果から、得ら
れたものは、式
【0087】
【化27】
【0088】で示す、4,5-ビス(2-スチリルエテニル)-
1,2-ジブロモベンゼンであることを確認した。収量は8.
6g(17.5mmol)、収率は87.4%であった。
【0089】
【表4】1 H-NMR(CDCl3, 89.5MHz) δ=6.76-7.77(m,20H)13 C-NMR(CDCl3, 22.4MHz) δ=123.4,126.6,127.6,128.0,128.7,130.8,133.0,134.
6,136.1,137.0 IR(KBr,cm-1) ν=3022,1606,1491,1444,1363,1219,1122,982,922,889,
744,687,513,476 m.p.=166-167℃
【0090】表9および図3に、得られた化合物の紫外
線吸収特性を示す。尚、吸収スペクトルの測定は、メタ
ノール溶媒を用いて行った。
【0091】実施例5 4,5-ビス(2-ヘプチルエテニル)-1,2-ジブロモベンゼン
(2d)[C24H36Br2=483.8]の合成 実施例2で用いた4,5-ビス(ジエチルホスホリルメチル)
-1,2-ジブロモベンゼン5.36g(10mmol)及びベンズアルデ
ヒド2.3ml(22mmol)を、4,5-ビス(ジエチルホスホリルメ
チル)-1,2-ジブロモベンゼン10.7g(20.0mmol)及びオク
チルアルデヒド5.63ml(44mmol)に代え、実施例2と全く
同様な操作を施し、クロマト精製した。以下の分析結果
から、得られたものは、式
【0092】
【化28】
【0093】で示す、4,5-ビス(2-ヘプチルエテニル)-
1,2-ジブロモベンゼンであることを確認した。収量は3.
4g(7.02mmol)、収率は36.2%であった。
【0094】
【表5】1 H-NMR(CDCl3, 89.5MHz) δ=0.86(t,6H,JH-H=5,9Hz),1.31(br-s,20H),2.16(m,4
H),5.94-6.51(m,4H),7.35-7.66(m,2H)13 C-NMR(CDCl3, 22.4MHz) δ=14.1,22.7,29.2,31.9,33.3,121.7,122.5,122.6,122.
8,125.8,126.0,130.1,130.4,131.0,131.2,134.0,135.0,
136.1,136.1,136.5,136.7 IR(KBr,cm-1) ν=2956,2925,2854,1647,1624,1456,1377,1358,1119,96
2,918,891,723,658 MS:m/z=484 m.p.=N/A
【0095】表9および図4に、得られた化合物の紫外
線吸収特性を示す。尚、吸収スペクトルの測定は、メタ
ノール溶媒を用いて行った。
【0096】実施例6 4,5-ビス(2-フェニルエテニル)-1,2-ジシアノベンゼン
(3a)[C2416=332.0]の合成 4,5−ビス(2-フェニルエテニル)-1,2-ジブロモベン
ゼン(2a)2.64g(5.96mmol)とシアン化銅1.62g(18mmol)と
の混合物をDMF中、8時間還流した。反応混合物を冷却
後、濃いアンモニア水(conc.NH4OH)100mlに投入して、
水蒸気を通して12時間バブルした。反応物を濾過してク
ロロホルム50mlを用いて3回抽出した。得られた有機層
を薄いアンモニア水で洗浄し、次いで水洗し、無水硫酸
ナトリウム上で乾燥後、溶媒を留去して固体を得た。こ
の固体を熱ヘキサン中ですりつぶして精製した。以下の
分析結果からこのものは、式
【0097】
【化29】
【0098】で示す、4,5-ビス(2-フェニルエテニル)フ
タロニトリルであることを確認した。収量は1.12g、収
率は56.6%であった。
【0099】
【表6】1 H-NMR(CDCl3, 89.5MHz) δ=7.01-7.96(m,16H)13 C-NMR(CDCl3, 22.4MHz) δ=113.5,115.6,122.7,127.2,129.0,129.4,131.6,135.
8,136.4,140.6 IR(KBr,cm-1) ν=3059,3026,2229,1624,1589,1576,1529,1496,1448,95
8,748,690,515 m.p.=183-184℃
【0100】実施例7 4,5-ビス(2-p-メトキシフェニルエテニル)フタロニトリ
ル(3b)[C26H24O2N2=396]の合成 4,5-ビス(2-p-メト
キシフェニルエテニル)-1,2-ジブロモベンゼン(2b)0.40
g(0.8mmol)とシアン化銅0.25g(2.4mmol)との混合物をDM
F中、8時間還流した。反応混合物を冷却後、濃いアン
モニア水(conc.NH4OH)50mlに投入して、水蒸気を通して
12時間バブルした。反応物を濾過して塩化メチレン50ml
を用いて3回抽出した。得られた有機層を薄いアンモニ
ア水で洗浄し、次いで水洗し、無水硫酸ナトリウム上で
乾燥後、溶媒を留去して固体を得た。この固体を熱メタ
ノール中ですりつぶして精製した。以下の分析結果から
このものは、式
【0101】
【化30】
【0102】で示す、4,5-ビス(2-p-メトキシフェニル
エテニル)フタロニトリルであることを確認した。収量
は0.16g、収率は51.0%であった。
【0103】
【表7】1 H-NMR(CDCl3, 89.5MHz) δ=3.86ppm(s,6H) δ=6.89-7.92ppm(m,14H)13 C-NMR(DMSO-d6) δ=55.3,111.7,114.3,116.4,120.0,129.1,129.2,131.4,
135.7,140.1,160.1 IR(KBr,cm-1) ν=3002,2943,2839(w),2231(m),1250,1174(s),1020(m),
976(w),962(m),825(w),818(m),779,524(w) m.p.=178-179℃
【0104】表9および図6に、得られた化合物の紫外
線吸収特性を示す。尚、吸収スペクトルの測定は、メタ
ノール溶媒を用いて行った。
【0105】実施例8 4,5-ビス(2-スチリルエテニル)フタロニトリル(3c)[C
28H20N2=384.0]の合成 4,5-ビス(2-フェニルエテニル)-1,2-ジブロモベンゼン
(2a)を、4,5-ビス(2-スチリルエテニル)-1,2-ジブロモ
ベンゼン7.4g(15.0mmol)に代え、実施例6と同様な操作
を施し精製した。以下の分析結果から、得られたもの
は、式
【0106】
【化31】
【0107】で示す、4,5-ビス(2-スチリルエテニル)フ
タロニトリルであることを確認した。収量は4.06g(10.6
mmol)、収率は70.5%であった。
【0108】
【表8】1 H-NMR(CDCl3, 89.5MHz) δ=6.90-7.88(m,20H)13 C-NMR(CDCl3, 22.4MHz) δ=113.1,115.7,125.8,126.9,127.9,128.9,131.1,131.
3,136.3,136.4,137.3,139.9 IR(KBr,cm-1) ν=3055,3026,2231,1606,1581,1525,1483,1446,1396,12
88,1273,1261,1228,1178,1169,1157,985,904,748,690,5
32,476 m.p.=187-188.5℃ 表9および図7に、得られた化合物の紫外線吸収特性を
示す。尚、吸収スペクトルの測定は、メタノール溶媒を
用いて行った。
【0109】実施例9 4,5-ビス(2-ヘプチルエテニル)フタロニトリル(3d)[C
26H36N2=376.0]の合成 4,5-ビス(2-フェニルエテニル)-1,2-ジブロモベンゼン
(2a)を、4,5-ビス(2-ヘプチルエテニル)-1,2-ジブロモ
ベンゼン3.4g(7.03mmol)に代え、実施例6と同様な操作
を施し精製した。以下の分析結果から、得られたもの
は、式
【0110】
【化32】
【0111】で示す、4,5-ビス(2-ヘプチルエテニル)フ
タロニトリルであることを確認した。収量は1.65g(4.39
mmol)、収率は62.4%であった。
【0112】
【表9】1 H-NMR(CDCl3, 89.5MHz) δ=0.89(t,6H,JH-H=5,9Hz),1.33(br-s,20H),2.26(m,4
H),5.77-6.68(m,4H),7.53-7.85(m,2H)13 C-NMR(CDCl3, 22.4MHz) δ=13.9,22.6,29.1,31.7,33.4,112.9,113.6,115.7,124.
5,124.8,125.0,131.3,131.5,134.6,137.6,139.0,139.3,
140.3,140.5,141.7 IR(KBr,cm-1) ν=2922,2856,2233,1645,1620,1591,1531,1485,1466,13
79,1261,964,910,739,723,532 MS:m/z=376 m.p.=N/A
【0113】表9および図8に、得られた化合物の紫外
線吸収特性を示す。尚、吸収スペクトルの測定は、メタ
ノール溶媒を用いて行った。
【0114】実施例10 4,5-ビス(2-スチリルエテニル)-1-ブロモ-2-シアノベン
ゼン(3c')[C27H20NBr=437.9]の合成 4,5-ビス(2-スチリルエテニル)-1,2-ジブロモベンゼン
(2c)7.37g(15mmol)とシアン化銅1.35g(15mmol)との混合
物をDMF中、8時間還流した。反応混合物を冷却後、濃
いアンモニア水(conc.NH4OH)100mlに投入して、水蒸気
を通して12時間バブルした。反応物を濾過してクロロホ
ルム50mlを用いて3回抽出した。得られた有機層を薄い
アンモニア水で洗浄し、次いで水洗し、無水硫酸ナトリ
ウム上で乾燥後、溶媒を留去して固体を得た。この固体
を少量のクロロホルムに溶解させ、カラムクロマトグラ
フィーによって単離精製することにより、式
【0115】
【化33】
【0116】で示す4,5-ビス(2-スチリルエテニル)-1-
ブロモ-2-シアノベンゼンを得た。収量は3.51g、収率は
53.5%であった。
【0117】表9及び図9に、得られた化合物の紫外線
吸収特性を示す。尚、吸収スペクトルの測定は、メタノ
ール溶媒を用いて行った。
【0118】実施例11 実施例2で得られた4,5-ビス(2-フェニルエテニル)-1,2
-ジブロモベンゼン(2a)と実施例7で得られた4,5-ビス
(2-スチリルエテニル)フタロニトリル(3c)とを1:1の
重量比で混合し、メタノール溶媒を用いてこの混合物の
紫外線吸収スペクトルを測定した。結果を表9および図
10に示す。
【0119】実施例12 実施例2で得られた4,5-ビス(2-フェニルエテニル)-1,2
-ジブロモベンゼン(2a)と実施例10で得られた4,5-ビス
(2-スチリルエテニル)-1-ブロモ-2-シアノベンゼン(3
c')とを1:1の重量比で混合し、メタノール溶媒を用
いてこの混合物の紫外線吸収スペクトルを測定した。結
果を表9および図11に示す。
【0120】比較例1 メタノール溶媒を用いて1,2-ジフェニルエテニルベンゼ
ンの紫外線吸収スペクトルを測定した。結果を表9に示
す。
【0121】比較例2 メタノール溶媒を用いて4,5-ジメチルフタロニトリルの
紫外線吸収スペクトルを測定した。結果を表9に示す。
【0122】
【表10】実施例 化合物No. 吸収ピーク/nm (ε/104) 有効波長域/nm 2 2a ○289.3(3.31), 321.6(2.72) 250〜355 3 2b ○307.5(4.94), 340.0(3,62) 260〜380 4 2c ○319.4(5.24), 351.8(4.01) 265〜390 5 2d ○223.2(3.05) <250 6 3a ○307.2(2.94), 349.9(2.60) 250〜375 7 3b ○333.0(3.44), 365.8(3.04) <425 8 3c ○337.3(4.93), 390.4(4.26) 260〜430 9 3d ○263.5(2.50), 291.5(1.67) 230〜330 10 3c' ○324.8(5.78), 365.4(4.47) 260〜410 11 2a+3c 295, ○332, 388 250〜420 12 2a+3c' (295), ○318 250〜390 比較例1 ○287(4.0), 323(3.0) 250〜350比較例2 ○248.6(1.25) <250 表中、○印は最大吸収波長を示す。
【0123】実施例A プラスチックレンズ レンズ用モノマーであるアクリルジグリコールカーボネ
ート(徳山層達社製、「CR-39」)に、実施例4で得られた
化合物2cをモノマー全量に対して0.01重量%の量で添
加、溶解し、キャスト成形法にて重合形成し、厚さ2.5m
mの透明な重合板を得た。400nmでの透過率を測定したと
ころ0.1%であった。
【0124】実施例B 紫外線遮断材 メタアクリレート樹脂(PMMA)1000g、実施例7で得られ
た化合物3cの0.05g及び実施例2で得られた化合物例2a
の0.05gをステンレス製タンブラーで1時間よく撹拌し
た。この混合物をベント式押出機を使い、240℃で溶融
混合し、常法にて成形用ペレットを作製した。次にこの
ペレットを80℃で3時間乾燥処理した後、射出成形機を
使用して厚さ3mmの成形板を得た。400nmでの透過率を
測定したところ0%であった。
【0125】実施例C 紫外線遮断保護部材 ダイヤナールLR-1065(三菱レイヨン社製、アクリル樹脂
の40%MEK溶液)100g及び実施例9で得られた化合物2c'
の0.5gからなる透明塗料を100μmのポリエチレンテレフ
タレート(PET)フィルム上に乾燥膜厚が30μm程度となる
ようにバーコータを用いて塗布した。ついで、これを乾
燥してPETフィルム上に転写層を形成し、転写剥離型の
紫外線遮断保護部材を得た。次いでインクジェットプリ
ンターを用いてインククジェット記録用紙にマゼンタ色
のベタ印字を行い、これにラミネータを用いて、先に作
製した保護部材を、その転写層が記録面を覆うようにラ
ミネートして、その後、PETフィルムを記録面から剥離
することによりラミネート試料を得た。
【0126】ラミネート試料と、紫外線遮断保護部材を
ラミネートしないこと以外は、同様にして作製した比較
試料とを、耐光性試験をして評価した。耐光性試験は、
試料を日光の当たる窓ガラスに張り、2ヶ月間の試験を
行った。
【0127】その結果、試料Aでは、マゼンタ印字部の
試験前後での変退色が僅か認められたが、比較試料で
は、変退色が顕著であった。
【0128】
【発明の効果】本発明の化合物は、波長280〜420nmの範
囲に分子吸光係数の大きい極大吸収波長を有し、種々の
有機物に対して安定であり、光および熱に対しても安定
である。したがって、本発明の化合物は長波長紫外線紫
外線吸収剤として有用である。また、本発明の4,5-ビス
(2-置換エテニル)-1,2-ジシアノベンゼンは、長波長シ
フト化可能な高溶解性フタロシアニンの原料としても有
用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で得られた化合物2aの紫外線吸収スペ
クトルである。
【図2】実施例3で得られた化合物2bの紫外線吸収スペ
クトルである。
【図3】実施例4で得られた化合物2cの紫外線吸収スペ
クトルである。
【図4】実施例5で得られた化合物2dの紫外線吸収スペ
クトルである。
【図5】実施例6で得られた化合物3aの紫外線吸収スペ
クトルである。
【図6】実施例7で得られた化合物3bの紫外線吸収スペ
クトルである。
【図7】実施例8で得られた化合物3cの紫外線吸収スペ
クトルである。
【図8】実施例9で得られた化合物3dの紫外線吸収スペ
クトルである。
【図9】実施例10で得られた化合物3c'の紫外線吸収ス
ペクトルである。
【図10】実施例11で得られた混合物2a+3cの紫外線吸
収スペクトルである。
【図11】実施例11で得られた混合物2a+3c'の紫外線吸
収スペクトルである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 253/30 C07C 253/30 255/50 255/50 255/51 255/51 C09K 3/00 104 C09K 3/00 104Z // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式 【化1】 [式中、Xは、それぞれ独立してハロゲン原子またはシ
    アノ基であり、Rは非置換もしくは置換フェニル基、ま
    たは炭素数3〜20の非置換もしくは置換アルキル基であ
    り、そしてnは0または1である。]で表わされる4,5-
    ビス(2-置換エテニル)-1,2-ジ置換ベンゼン。
  2. 【請求項2】 式 【化2】 [式中、Xは、それぞれ独立してハロゲン原子またはシ
    アノ基であり、R'は、それぞれ独立して炭素数1〜4の
    直鎖もしくは分枝鎖アルキル基である。]で表わされる
    4,5-ビス(ジアルキルホスホリルメチル)-1,2-ジ置換ベ
    ンゼンと、式 【化3】 [式中、Rは非置換もしくは置換フェニル基、または炭
    素数3〜20の非置換もしくは置換アルキル基であり、そ
    してnは0または1である。]で表わされるアルデヒド
    とを、エーテル系有機溶媒中、アルコラートの存在下で
    反応させる工程を包含する、請求項1記載の4,5-ビス(2
    -置換エテニル)-1,2-ジ置換ベンゼンの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の4,5-ビス(2-置換エテニ
    ル)-1,2-ジ置換ベンゼンを有効成分とする紫外線吸収
    剤。
JP13684195A 1995-06-02 1995-06-02 新規4,5−ビス(2−置換エテニル)−1,2−ジ置換ベンゼン、その製造方法、及び紫外線吸収剤 Expired - Fee Related JP3795553B2 (ja)

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WO2012157760A1 (ja) * 2011-05-19 2012-11-22 宇部興産株式会社 多価ビニル芳香族化合物およびその製造方法

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