JPH08323166A - 分離膜の表面処理方法 - Google Patents

分離膜の表面処理方法

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JPH08323166A
JPH08323166A JP13379695A JP13379695A JPH08323166A JP H08323166 A JPH08323166 A JP H08323166A JP 13379695 A JP13379695 A JP 13379695A JP 13379695 A JP13379695 A JP 13379695A JP H08323166 A JPH08323166 A JP H08323166A
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gas
chlorine
fluorine
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JP13379695A
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English (en)
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Toshikazu Suganuma
俊和 菅沼
Masayoshi Takatake
正義 高武
Takanori Anazawa
孝典 穴澤
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DIC Corp
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 分離膜の有機高分子からなる緻密層表面を、
塩素含有化合物とフッ素含有化合物との混合ガスの低温
プラズマで処理することを特徴とする分離膜の処理方
法。 【効果】 気体の選択透過性のばらつきが小さく、気体
透過性と気体選択性能に優れた分離膜を提供する事がで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分離膜の気体透過・選
択性の向上を目的とした、分離活性層となる緻密層の表
層表面の処理方法に関するものである。
【0002】膜による気体分離は、他の分離方法と比較
しエネルギー的に有利で、装置が小型軽量、機構が簡単
でメンテナンスフリー等の特徴を有する為、各種産業分
野に活発に応用されており、本発明は例えば、空気の酸
素/窒素分離、プラットフォーミング法のオフガスから
の水素の分離回収、アンモニア合成時の水素の分離回
収、火力発電やゴミ焼却の廃ガスからの二酸化炭素の回
収や窒素酸化物や硫黄酸化物の除去、油田のオフガスか
らの二酸化炭素の回収、天然ガスから硫化水素、二酸化
炭素等の酸性ガスや水分(水蒸気)の除去、ランドフィ
ルガスの脱炭酸及びメタン回収、空気及び有機蒸気の除
湿、有機物水溶液の脱水、揮発性物質混合液体のパーベ
ーパレーション分離、液体に溶解している気体の除去、
液体中への特定気体の溶解等に利用される。むろん本発
明はこれら用途に限定されるものではない。
【0003】
【従来の技術】気体分離膜の重要な基本要求性能は(1)
気体の選択性(分離性と記す場合もある)、(2)気体の
透過性、(3)強度、耐熱、耐久性、耐溶剤性等である。
膜のガス透過性能は必要膜面積及び膜モジュール、装置
の大きさ、即ち装置のイニシャルコストを支配する特性
であり、ガスの透過能の高い膜素材の開発及び膜の分離
の活性層(緻密層)の薄膜化により、工業的に必要とさ
れるガス透過性能が達成される。一方膜のガス選択性能
は主に分離ガスの収率を支配する特性である。即ち装置
のランニングコストを支配する特性であり、本質的に膜
素材固有の特性である。一般に高分子膜のガス透過性と
選択性は相反関係にあり、透過性が高い高分子素材は、
低選択性である。
【0004】近年、相反する気体の透過・選択特性をバ
ランス良く保持する優れた気体分離膜を開発すべく、気
体透過性の低下を極力抑え選択性を向上させる技術とし
てハロゲン化合物をプラズマ種とするプラズマ表面処理
技術が盛んに検討されている。
【0005】特開昭62−19206号公報には熱可塑
性結晶性重合体を溶融押出し製膜した後延伸し、生じた
独立気泡又は半連通孔を有する膜を無機又は有機ガス状
物質の存在下でプラズマ処理をする事により該膜の気体
透過分離特性を向上させる方法が開示されている。
【0006】特開昭60−232205公報にはシリル
アセチレン重合体からなる形成物の表面をヘリウム、窒
素、酸素、二酸化炭素、塩素、フッ素等の無機ガスの低
温プラズマで処理する事により、空気からの高濃度酸素
含有混合ガスを得るのに好適な気体分離形成体を提供で
きる事が開示されている。
【0007】特開平2−126927号公報には酢酸セ
ルロース、ポリプロピレン等の多孔質支持体の表面にト
リメチルシリルプロピン及びオルガノシロキサンの混合
物よりなる気体分離性薄膜を形成し、次にこの薄膜表面
を低級アルカン又は塩素化低級アルカンのフッ素化物で
プラズマ処理する事により気体透過性の経時安定性を向
上させた気体分離膜を得る方法が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述した表面処理先行
技術は、処理による膜の気体分離特性の向上が不十分で
あるか、あるいは分離特性(選択特性と記す場合もあ
る)は向上できるものの処理による気体の透過性能の低
下が著しいあるいは、処理した性能にバラツキを生じる
など、工業的に実用可能な特性を有する分離膜を提供す
るに至っていない。本発明の目的は気体透過性能をそれ
ほど低下させずに分離特性を向上させる膜の表面処理方
法及び、気体透過・選択特性をバラツキ無く均一に向上
させる事のできる膜の表面処理方法を提供する事にあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは特に優れた
気体透過性と気体の選択透過性を兼ね備えた分離膜を提
供するため、表面処理技術を種々鋭意検討の結果、分離
膜の分離活性層となる緻密層の表面を、塩素含有化合物
とフッ素含有化合物の混合ガスの低温プラズマで処理す
る事より、実用可能な気体透過特性を実質的に保持した
ままその気体選択性を向上できる事を発見した。
【0010】驚くべき事に本発明の処理は、処理される
有機高分子の種類を問わずあらゆる種類の有機高分子に
対して気体の選択透過性の向上に効果を発現する。本発
明はかかる特殊な表面処理技術の発見により成された。
【0011】即ち本発明は、分離膜の有機高分子からな
る緻密層表面を、塩素含有化合物とフッ素含有化合物と
の混合ガスの低温プラズマで処理する事を特徴とする分
離膜の処理方法に関する。
【0012】本発明に記述の緻密層とは、有機高分子か
らなるものであり、酸素、窒素、水素等の非凝集性気体
の膜透過の機構が高々クヌーセン流れ律速となる孔径以
下の連通孔しか実質的に存在せず、且つその連通孔開孔
率が面積比で1×10ー3以下、好ましくは1×10ー4
下、さらに好ましくは1×10ー6以下であり、最も好ま
しく連通孔が存在せず気体の膜透過機構が溶解−拡散律
速となる、即ち連通孔開孔率が0である、緻密な薄膜層
である。その厚さは薄いほど好ましく、好ましくは2μ
m〜0.02μmであり、より好ましくは0.5μm〜
0.02μmであり、最も好ましくは0.1μm〜0.
02μmである。
【0013】緻密層に存在する連通孔径が高々クヌーセ
ン流れとなる孔径以下である事は、例えば膜を透過する
酸素と窒素の透過速度の比が誤差の範囲内で0.935
以上となる事により容易に確認できる。
【0014】本発明の処理は、上記のごとく緻密層に若
干の微少な連通孔が存在する場合にも気体の選択性を向
上させるのに有効である。例えばかかる膜は該緻密層に
本発明の処理を行った後に、シリコーン、ポリアセチレ
ン等の極めて気体透過性能の大きい素材で該分離膜の気
体透過抵抗に比べ無視できる程度の透過抵抗しか形成し
ない程度の薄膜コーティング又は目止めを行う事によ
り、処理により向上した緻密層の気体の選択透過特性を
十分に引き出す事ができる。
【0015】本発明は、塩素含有化合物とフッ素含有化
合物との混合ガスをプラズマ種として用い、分離膜の緻
密層表面を処理する事を特徴とする。ここでいうガスと
は蒸気も含む概念である。
【0016】本発明のプラズマ種となる混合ガスを形成
する、塩素含有化合物はその分子中に塩素原子を含有し
ておりフッ素原子を含まない化合物であればよく、分子
中に酸素、臭素、窒素等の水素以外の他の原子を含有し
ていてもよい。また、フッ素含有化合物はその分子中に
フッ素原子を含有しており塩素原子を含まない化合物で
あればよく、これら分子中にさらに酸素、臭素、窒素等
の水素以外の他の原子を含有していてもよい。また、本
発明に記載の化合物とは塩素分子、フッ素分子等、単一
元素からなる物質も含む概念である。
【0017】本発明の塩素含有化合物とフッ素含有化合
物を組み合わせた混合ガスによるプラズマ処理は、膜の
気体選択性の向上への効果が極めて高く、且つ気体透過
・選択特性を均一にバラつきなく向上する事ができる。
【0018】もちろん、プラズマ種となる塩素元素とフ
ッ素元素を含有する混合ガス源として、各種クロロフル
オカーボンの如く単一化合物中に塩素原子とフッ素原子
を有する単一化合物を使用することにより、膜の分離能
を向上させることも可能であるが、処理によるガス分離
性能向上への効果が低くまた、特性のバラツキもやや大
きく、工業的に高性能膜を提供する技術としてはあまり
好ましくない。
【0019】本発明に適用可能なフッ素含有化合物及び
塩素含有化合物はプラズマ処理の条件で気化するのに十
分な蒸気圧を有していれば良く、好ましくは室温での蒸
気圧が10トール以上の該化合物である。
【0020】本発明の処理に適用する好ましい塩素含有
化合物は塩素(塩素ガス)又は炭素数が1〜2個の脂肪
族炭化水素の塩素置換体であり、例えば、塩素、塩化メ
チル、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、塩
化エチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラ
クロロエタン等が好適に挙げらる。さらに好ましくは塩
素又は炭素数1〜2個の塩素置換飽和脂肪族炭化水素で
あり、最も好ましくは常温でガス状態で実質的に重合性
のない塩素である。
【0021】また、好ましいフッ素含有化合物はフッ素
(フッ素ガス)又は炭素数が1〜4個の脂肪族炭化水素
のフッ素置換体であり、より好ましくはフッ素又は炭素
数が1〜4個の飽和脂肪族炭化水素のフッ素置換体であ
り、例えばフッ素、四フッ化炭素、ジフルオロメタン、
トリフルオロメタン、フルオロメタン、ヘキサフルオロ
エタン、ペンタフルオロエタン、テトラフルオロエタ
ン、トリフルオロエタン、ジフルオロエタン、フルオロ
エタン、オクタフルオロプロパン、ヘプタフルオロプロ
パン、ヘキサフルオロプロパン、ペンタフルオロプロパ
ン、テトラフルオロプロパン、トリフルオロプロパン、
ジフルオロプロパン、フルオロプロパン、デカフルオロ
ブタン、パーフルオロイソブタン、2−(トリフルオロ
メチル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプ
ロパン等が好適に挙げられる。最も好ましくは炭素数4
個までの脂肪族炭化水素の水素原子の全てがフッ素原子
に置換したフッ素置換飽和炭化水素である。
【0022】上記塩素含有化合物又はフッ素含有化合物
はそれぞれ2種以上混合して使用しても良く、また必要
に応じてこれらの化合物のキャリヤーガス又は希釈用ガ
スとしてヘリウム、窒素等の不活性ガス等も適宜併用し
ても良い。本発明の処理で特に好ましい混合ガスとして
は、塩素ガスと脂肪族炭化水素の水素原子の全てがフッ
素原子に置換したフッ素置換飽和炭化水素からなるガス
である。
【0023】本発明の混合ガス中の塩素含有化合物とフ
ッ素含有化合物の混合割合は適宜選択する事ができ、広
範な混合割合範囲にわたり、膜の気体透過選択特性を向
上させるのにその特殊な効果を発現する。フッ素含有化
合物のみの処理では膜の気体の選択透過性、特に酸素/
窒素の選択透過性の向上は認められずむしろ低下する場
合が多い。一方、塩素含有化合物のみの処理では処理効
果、特に気体の選択透過性のばらつきが大きくなる。こ
れもまた本技術を工業生産レベルで適用する場合には障
害となる。該混合ガスを構成する塩素含有化合物のフッ
素含有化合物に対する好ましい混合割合範囲はモル比率
(塩素含有化合物/フッ素含有化合物)で100〜0.
1の範囲である。さらに好ましくは50〜0.5の範囲
である。
【0024】本発明の低温プラズマ処理に用いる装置は
公知の装置で良く、電場を作用させる方式も内部電極方
式、外部電極方式のいずれの方式でも良いが、特に反応
容器の外部より高周波の電場を作用させ低温プラズマを
発生させる外部電極方式が、装置が簡便で、また処理膜
の量産性に優れており好ましい。低温プラズマ処理の放
電出力、真空度、ガス流量等の処理条件は使用するガス
の種類や、処理する膜の量(膜処理面積)、必要とされ
る膜特性等により最適な条件範囲を選択すれば良い。低
温プラズマ処理を行う雰囲気の真空度は0.01〜5ト
ールの範囲である事が好ましく、さらに好ましくは0.
07〜0.5トールの範囲である。高周波放電出力は1
〜500Wが好ましく、さらに好ましくは20〜300
Wの範囲である。また、低温プラズマ種となるガスの流
量は処理する膜表面積により適宜調整すればよく、好ま
しくは反応容器の試料設置部に於けるガス流路断面積1
00cm2当たり0.01〜50Ncm3/minの範囲
である。さらに好ましくは0.5〜10Ncm3/mi
nの範囲である。また処理時間は1秒〜60分が好まし
く、さらに好ましくは10秒〜20分の短時間処理であ
る。
【0025】低温プラズマ処理は分離膜の緻密層表面に
施せば良く、これは分離膜を調製後に該緻密層表面を、
塩素含有化合物とフッ素含有化合物との混合ガスからな
る、低温プラズマ種に接触させる事により容易に処理す
る事ができる。
【0026】膜の処理は低温プラズマ発生部(発光部)
である放電部分に膜を直接置いて行っても良いが、放電
を、処理する膜の設置点の前段で行い、ここで低温プラ
ズマ発生させ、その後段で処理を行ういわゆるダウンス
トリーム法(リモートプラズマ処理法と言う場合もあ
る)が膜の気体透過性を低下を抑え、透過選択特性のみ
を向上するに極めて効果が高く好ましい。処理する膜は
低温プラズマ発生部から5cm以上離れた場所に設置す
る事が好ましく、さらに好ましくは低温プラズマ発生部
より20cm〜120cm離れた位置の設置である。
【0027】本発明の処理に適用できる低温プラズマ処
理装置の一例である外部電極方式の低温プラズマ処理装
置の模式図を図1に示す。ダウンストリーム法で膜の表
面処理を行う場合は、処理する膜試料を低温プラズマを
発生させる、高周波発生コイル部分(3)の後段(真空
ポンプ側)に置き、本発明の処理を行えば良い。
【0028】本発明の処理を施す緻密層を形成する有機
高分子の種類は特に制限は無く、気体分離膜として適用
できる全ての有機高分子が含まれる。例えば、ポリイミ
ド系重合体、ポリベンゾイミダゾール系重合体、ポリベ
ンゾオキサゾール系重合体等の芳香族ヘテロ環ポリマ
ー、ポリピイミダゾピロロン系重合体、ポリピラジン系
重合体、ポリキノキサリン系重合体等の梯子型ポリマ
ー、フッ素系重合体、ポリアミド系重合体、ポリアニリ
ン系重合体、ポリ[1−(トリメチルシリル)−1−プ
ロピン等のポリアセチレン系重合体、ポリスルフォン、
ポリエーテルスルフォン、ポリアリルスルフォン、ポリ
チオエーテルスルフォン等のポリスルフォン系重合体
(ポリサルフォンと記す場合もある)、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテ
ン−1等のポリオレフィン系重合体、酢酸セルロース、
酪酸セルロース、エチルセルロース等のセルロース系重
合体、又はポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ンオキシド)、ポリ(2−アリル−6−メチル−1,4
−フェニレンオキシド、ポリ(2,6−ジアリル−1,
4−フェニレンオキシド)等のポリフェニレンオキシド
(ポリフェニレンエーテルと言う場合もある)系重合
体、ポリカーボネート系重合体、シリコーン系重合体、
又はこれらの一種以上のブレンド体又はこれら一種以上
の共重合体、グラフト共重合体、又はこれら重合体の水
素の一部をフッ素、塩素、臭素の如きハロゲン、ヒドロ
キシル基、アリール基、低級アルキル基、低級アルコキ
シ基又はスルフォン基、ニトロ基等で置換した各種置換
高分子が適用できる。
【0029】好ましくは、ポリイミド系重合体、ポリピ
イミダゾピロロン系重合体、ポリスルフォン系重合体、
ポリオレフィン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポ
リフェニレンオキシド系重合体又はこれらの一種以上の
ブレンド体又は共重合体である。特にポリイミド系樹
脂、ポリイミダゾピロロン系樹脂又はこれらの共重合体
又はこれらのブレンド体は本発明の低温プラズマ処理に
より分離膜の気体選択透過特性向上効果顕著であり、さ
らに好ましい有機高分子素材である。
【0030】本発明に記載のポリイミダゾピロロン系樹
脂とは、下記(1)式で示される一般式及び/又は
(1)式の立体異性体構造を実質的な繰り返し単位とし
て有するいわゆる梯子型ポリマーである。
【0031】
【化1】
【0032】式中、Z、Z1は4価の基であり芳香族で
ある事が好ましい。芳香族ポリイミダゾピロロン系重合
体は、芳香族テトラアミンと芳香族テトラカルボン酸二
無水物との縮重合によって得られる。重合は一般にN,
N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の
適当な溶媒中で、必要に応じて例えば無水酢酸、塩化チ
オニル、トリフルオロ酢酸無水物、ジシクロカルボジイ
ミド、ピリジン、トリエチルアミン、安息香酸等の反応
助剤を添加し、等モル量のテトラアミン成分とテトラカ
ルボン酸二無水物を縮重合して得られる、実質的に溶剤
に可溶なポリイミダゾピロロン前駆体をさらに加熱閉環
する事により得られる。該前駆体のポリイミダゾピロロ
ン化は、例えば赤外吸収スペクトル等により容易に確認
できる。
【0033】本発明に記載のポリイミダゾピロロンの重
合に用いられるテトラカルボン酸二無水物成分として、
4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタ
ル酸二無水物(以下6FDAと略記)、ピロメリット酸
二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノン
テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフ
ェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物、3,
3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸
二無水物、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボ
ン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカル
ボン酸二無水物等が好適に挙げられ、特に好ましくは6
FDAが挙げられる。
【0034】またテトラアミン成分として互いにオルト
位に隣接するアミノ基のペアを有する各種テトラアミン
及びその誘導体が使用でき、3,3’,4,4’−テト
ラアミノジフェニルエーテル、4,4’−テトラアミノ
ビフェニル(以下ジアミノベンジジンと略記)、1,
2,4,5−テトラアミノベンゼン等が好適に挙げられ
る。
【0035】また、本発明の処理に適用できるポリイミ
ドは、芳香族ポリイミドである事が好ましい。芳香族ポ
リイミドは一般に、ポリイミドの繰り返し単位の4価の
基を構成する芳香族テトラカルボン酸二無水物と、2価
の基を構成する芳香族ジアミンを等モル量で縮重合させ
て得られる。ここで芳香族テトラカルボン酸二無水物
は、上記したポリイミダゾピロロンと共通の物が好適に
使用できる。
【0036】2価の基を構成するジアミン成分として
は、数多くの芳香族ジアミンが使用でき、例えばm−フ
ェニレンジアミン等のフェニレンジアミン、又はこのベ
ンゼン環骨格の水素の一部をアルキル基、水酸基、カル
ボキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、ハロゲン等で置
換した、例えばジアミノトルエン、ジアミノキシレン、
ジアミノ安息香酸、ジアミノフェノール等の各種置換ジ
アミン、又は二個もしくは二個以上のベンゼン環をエー
テル基、チオエーテル基、カルボニル基、スルフォン
基、スルフィド基、メチレン基、イソプロピリデン基、
ヘキサフルオロイソプロピリデン基、アミノ基、アミド
基等で結合したジアミン成分又はこれらのベンゼン環水
素の一部をアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハ
ロゲン、カルボキシル基等で置換した各種置換ジアミ
ン、又はベンジジン、及びベンジジン骨格の水素をアル
キル基、ハロゲン、アルコキシ基、トリフルオロメチル
基等で置換した、例えばトリメチルベンジジン、ジメチ
ルベンジジン、ジメトキシベンジジン、ジクロロジメト
キシベンジジン、ジヒドロキシベンジジン、その他ナフ
タレンジアミン、ジアミノフルオレン、ビスアニリンフ
ルオレン、ジアミノカルバゾール、ジアミノアントラセ
ン、ジメチルナフチジン、又はアミノ官能性シラン又は
シロキサン等の群から選ばれた一種以上の成分が好適に
使用できる。
【0037】さらにまた各種テトラアミン成分とジアミ
ン成分を混合物、又は3,4,4’−トリアミノジフェ
ニルエーテル、1,2,4−トリアミノベンゼン等のト
リアミンとテトラカルボン酸二無水物とを縮重合させた
ポリイミドとポリイミダゾピロロンの共重合体も本発明
の表面処理用素材として好適に使用する事ができる。
【0038】本発明の処理を施す緻密層を有する分離膜
の膜形状、形態に特に制限は無いが、膜形態として、分
離膜に必要とされる強度、耐久性、気体の高透過性(緻
密層の薄膜化)等の特性をバランス良く保有できる非対
称膜が好ましい。好適な非対称膜として、例えば気体の
分離活性層となる緻密層と多孔質支持層が同一の素材か
らなる、いわゆる不均質膜や、該緻密層を、これと異な
る素材からなる多孔質支持層上に保持した、いわゆる複
合膜等が挙げられる。緻密層の位置はの片側表面にある
事が好ましい。また膜形状は少ない占有面積で大きな膜
面積を得る事ができる中空糸膜が好ましい。このような
膜は、例えば湿式紡糸法、乾湿式紡糸法、溶融紡糸法、
湿式共押し出し法、水面展開法、溶媒キャスト法、コー
ティング法、界面重合法等を応用して得る事ができる。
【0039】有機高分子からなる緻密層を有する中空糸
不均質膜の製造は、通常一般的行われる乾湿式紡糸によ
り容易に製造できる。またポリイミダゾピロロン系重合
体等の溶剤に不溶な重合体の不均質膜は、溶剤に可溶な
前駆体で不均質膜を製膜し、次いで熱処理等でポリイミ
ダゾピロロン化する等の方法で製造できる。
【0040】また中空糸複合膜の製造は、例えば特開昭
49−62380に詳しく開示されていごとく、多重円
環ノズルを用いた共押し出し法を応用する事によっても
製造できる。一般には多重円環ノズルを用い、緻密層を
形成する為の紡糸用ドープ(a)をノズルの最外層の円
環より、支持多孔層となる樹脂ドープ(b)をノズルの
中間円環より、そして空気、窒素等の気体又は水、アル
コール等の適当な液体の芯材をノズルの中心部の管より
同時に押し出し、凝固液に導き固化させ、次いで必要に
応じて加熱して、膜を乾燥する事により製造できる。ま
たポリイミダゾピロロン系重合体等の溶剤に不溶な重合
体の製膜は、不均質膜の製造と同様に、溶剤に可溶な該
ポリイミダゾピロロンの前駆体で、まず前駆体の複合膜
を製膜し、次いで不均質膜の製造と同様に熱処理等を行
う事により実施できる。この際、中空糸複合膜の多孔質
支持層を形成する樹脂として、ポリアミド系樹脂、ポリ
スルフォン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリイミダゾピ
ロロン系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂又はこれ
らら樹脂の一種以上の混合体が好適に使用できる。
【0041】本発明の分離膜の該緻密層表面の表面処理
は例えば先に例示した分離膜製造後に容易に実施でき
る。本発明の処理による有機高分子からなる緻密層の表
面改質の分離特性向上への効果は、光電子分光法(ES
CA)により測定された該緻密層表面への塩素原子とフ
ッ素原子の導入量を代用特性とできる。即ち、本発明の
方法により、気体の透過特性の実質的な低下が無く分離
特性が有意に向上した分離膜は、処理を行った該緻密層
表面に塩素原子とフッ素原子が有意に導入されている。
しかしこれらは本発明をなんら制限するものでは無い。
【0042】
【実施例】
<参考例1>窒素雰囲気下、ジアミノベンジジン0.3
モルを脱水処理したN−メチルピロリドン(以下NMP
と略記)1000gに溶解した後、トリエチルアミン約
0.6モルを添加した。次いでこの溶液を50℃に保ち
攪拌しながら、この溶液に4,4’−(ヘキサフルオロ
イソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(以下6FDA
と略記)0.3モルを溶解した、NMP850gの溶液
をゆっくりと滴下した。滴下終了後50℃に保温し約5
時間攪拌した。得られた反応溶液を多量のイソプロパノ
ール中に落とし、濾過し固形物を分離した。得られた固
形物をさらに多量のエタノールで十分洗浄した後、約1
00℃の真空オーブン中で十分乾燥してポリイミダゾピ
ロロン前駆体の固形物を得た。得られた固形物を約60
℃のジメチルアセトアミド(以下DMACと略記)に2
4重量部溶解し、60℃に保温しながら孔径20μmの
ステンレスフィルターで濾過し、次いで減圧脱泡を行い
ポリイミダゾピロロンの前駆体の紡糸ドープ(a)を得
た。
【0043】マトリイミド5218(チバガイギー社:
可溶性ポリイミド)とレーデルA−100(アモコパフ
ォーマンスプロダクツ社:ポリエーテルスルフォン)
の、7/3重量部の混合物をDMACに27重量部溶解
し、孔径20μmのステンレスフィルターでろ過し、減
圧脱泡を行い紡糸用ドープ(b)を得た。
【0044】これらのドープ液を、円管外径よりφ1.
8−φ1.5−φ1.1−φ0.45−φ0.23[m
m]の多重円環ノズルを使用し、ノズル中心円管より水
を流しつつ、内側の円環より複合膜の多孔質支持層を形
成させる為のドープ(b)を約3g/minの吐出量
で、外側の円環より約50℃に加温したポリイミダゾピ
ロロン前駆体のドープ液(a)を約0.7g/minの
吐出量で、同時に空気雰囲気中に吐出した。その後連続
して5℃に調整した、イソプロピルアルコール/水の比
が65/35の混合凝固液中に導入凝固させ、連続して
約19m/minの巻き取り速度でボビンに巻き取っ
た。得られた中空糸を流水中へ浸漬し十分に洗浄した
後、水切り乾燥を行い、さらにイソプロピルアルコール
に一晩浸せきした後、約120℃で十分な真空乾燥を行
った。次いで真空中で350℃で8時間熱処理を行い該
前駆体をポリイミダゾピロロン化した。得られた中空糸
複合膜は、内径約220μm、外径約460μm、該中空
糸の顕微鏡観察により外表面に緻密層を有する中空糸複
合膜であることを確認した。得られた中空糸複合膜の各
気体透過速度をそれぞれ純ガスを使用し25℃雰囲気、
ΔP=約2[kg/cm2]でASTM D1434に
準じて圧力法で測測定した。結果を以下に示す 酸素:4.66×10ー5[cm3(STP)/cm2・sec
・cmHg] 窒素:0.74×10ー5[cm3(STP)/cm2・sec
・cmHg] 二酸化炭素:17.1×10ー5[cm3(STP)/cm2
sec・cmHg] メタン:0.27×10ー5[cm3(STP)/cm2・se
c・cmHg] 水素:42.8×10ー5[cm3(STP)/cm2・sec
・cmHg]
【0045】<参考例2>窒素雰囲気下で、ジアミノベ
ンジジン0.15モルと2,2−ビス(3−アミノ−4
−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン0.1
5モルを、約50℃のNMP1200gに溶解した後、
トリエチルアミン0.2モルを添加した。次いで約50
℃に保ち攪拌しながら、この溶液に6FDA0.3モル
溶解したNMP800gの溶液をゆっくりと滴下した。
滴下終了後50℃に保温し約4時間攪拌した。得られた
反応溶液を多量のイソプロパノール中に落とし、濾過し
固形物を分離した。得られた固形物をさらに多量のエタ
ノールで十分洗浄した後、約100℃の真空オーブン中
で十分乾燥してポリイミダゾピロロン共重合体の前駆体
の固形物を得た。紡糸ドープ(a)の樹脂として上記ポ
リイミダゾピロロン共重合体の前駆体を用いる以外、参
考例1と同様の方法で中空糸複合膜を得た。得られた中
空糸複合膜の酸素透過速度と窒素透過速度を参考例1と
同様の方法で測定した。結果を以下に示す。 酸素:4.94×10ー5[cm3(STP)/cm2・sec
・cmHg] 窒素:0.71×10ー5[cm3(STP)/cm2・sec
・cmHg]
【0046】(実施例1)第1図に模式図で示した処理
装置を使用し、内径約10cmの石英ガラスの反応容器
に巻かれたグロー放電用の高周波コイル部分(図中3)
から約40cm後部に、参考例1で製造した中空糸複合
膜を長さ約20cm、糸本数30本の糸束の状態にして
入れ、ロータリー式の真空ポンプで1×10-3トールま
で真空引きを行った後、ポンプを作動させたまま、塩素
ガスと4フッ化炭素を各々約8Ncm3/min、ガス
流量合計が約16Ncm3/minで定常的に流しなが
ら反応管内の真空度が0.17トールで安定するように
バルブ(6)を調整し、高周波出力約200Wで放電
し、低温プラズマを2分間発生させ中空糸膜の処理を行
った。次いで反応容器内をヘリウムで充分置換し、中空
糸膜を取り出し、参考例1と同様の方法で各気体透過速
度を測定した。結果を表1に示す。
【0047】(実施例2)処理する膜が参考例2で製造
した中空糸複合膜である以外、実施例1と同様の処理を
行った。処理を行った中空糸複合膜の糸一本ずつ個別に
気体透過速度を参考例1と同じ方法で測定したところ、
30本の各糸間での変動係数は11%であり、酸素/窒
素の分離係数の変動係数はわずかに3%であった。特性
の平均値を表1に示す。
【0048】<参考例3>酸二無水物成分として6FD
Aを用い、ジアミン成分として3,3’−ジメチルナフ
チジンを用い化学イミド化の常法によりポリイミドを重
合した。このポリイミドをDMACに25重量部溶解し
約50℃保ちながら、孔径20μmのステンレスフィル
ターで濾過し紡糸ドープ(a)を得た。このドープ液
を、円環外径よりφ1.2−φ0.5−φ0.2[m
m]の紡糸ノズルを使用し、中心円管より水をを流しつ
つ、約50℃に加温したドープ(a)を円環部から4g
/minの吐出量で、一旦空気雰囲気中に吐出した後、
連続して5℃に調整したイソプロピルアルコール/水の
約1/1の混合凝固液中に導き凝固(ゲル化)させ、連
続して約25m/minの巻き取り速度でボビンに巻き
取った。得られた中空糸を流水中へ浸漬し十分に洗浄し
た後、水切り行い、さらにイソプロピルアルコールに一
晩浸せきした後、約120℃で十分な真空乾燥を行い、
次いで230℃で6時間真空乾燥した。中空糸の外表面
に緻密層を有する内径約260μm、外径約480μmの
中空糸不均質膜を得た。参考例1と同様の方法で各気体
の透過速度を測定した。結果を以下に示す。 酸素:38.4×10ー5[cm3(STP)/cm2・sec
・cmHg] 窒素:9.87×10ー5[cm3(STP)/cm2・sec
・cmHg]
【0049】<参考例4>酸二無水物成分として6FD
Aを用い、ジアミン成分として2,2−ビス[3,5−
ジブロモ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プ
ロパンを用い化学イミド化の常法により重合したポリイ
ミドを使用した以外参考例3と同様の方法で中空糸不均
質膜を得た。得られた膜の各気体の透過速度を参考例1
と同様の方法で測定した。結果を以下に示す。 酸素:1.95×10ー5[cm3(STP)/cm2・sec
・cmHg]、窒素:0.33×10ー5[cm3(STP)/
cm2・sec・cmHg]、 二酸化炭素:9.68×10ー5[cm3(STP)/cm2
sec・cmHg] メタン:0.25×10ー5[cm3(STP)/cm2・se
c・cmHg]、 水素:18.2×10ー5[cm3(STP)/cm2・sec
・cmHg]であった。
【0050】<参考例5>酸二無水物成分として6FD
Aを用い、ジアミン成分として2,2−ビス(3−アミ
ノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン
を用い化学イミド化の常法により重合して得られたポリ
イミドを使用した以外、参考例3と同様の方法で中空糸
不均質膜を得た。得られ膜の各気体透過速度を参考例1
と同様の方法で測定した。結果を以下に示す 酸素:1.75×10ー5[cm3(STP)/cm2・sec
・cmHg] 窒素:0.237×10ー5[cm3(STP)/cm2・se
c・cmHg]
【0051】<参考例6>酸二無水物成分として6FD
Aを用い、ジアミン成分として2,4,6−トリメチル
−1,3−フェニレンジアミンと2,2−ビス(3−ア
ミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパ
ンの7/3(モル比)の割合で使用し、化学イミド化の
常法により重合して得られたポリイミドを使用した以
外、参考例3と同様の方法で中空糸不均質膜を得た。得
られ膜の各気体透過速度を参考例1と同様の方法で測定
した。結果を以下に示す。 酸素:14.0×10ー5[cm3(STP)/cm2・sec
・cmHg] 窒素:2.81×10ー5[cm3(STP)/cm2・sec
・cmHg]
【0052】(実施例3)処理する膜として参考例3で
製造した中空糸不均質膜を用いた以外、実施例1と同様
の処理を行った。得られ膜の各気体透過速度を参考例1
と同様の方法で測定した。結果を表1に示す。
【0053】(実施例4)処理する膜として参考例4で
製造した中空糸不均質膜を使用し、プラズマ種となる混
合ガスとして、ジクロロメタンを10Ncm3/miで
流すのと同時にヘキサフルオロエタンを5Ncm3/m
inで流した以外、実施例1と同様の処理を行った。得
られ膜の各気体透過速度を参考例1と同様の方法で測定
した。結果を表1に示す。
【0054】(実施例5)処理する膜として参考例5で
製造した中空糸不均質膜を使用し、低温プラズマ種とな
る混合ガスとして塩素ガスと、ヘリウムで3.0体積部
に希釈された希釈フッ素ガスをそれぞれ各8Ncm3
minで同時に流した以外、実施例1と同様の処理を行
った。得られ膜の各気体透過速度を参考例1と同様の方
法で測定した。結果を表1に示す。
【0055】(実施例6)参考例6で製造した中空糸不
均質膜を使用し、低温プラズマ種となる混合ガスとして
塩素ガスを10Ncm3/minで流すのと同時に、4
フッ化炭素を6Ncm3/minで流した以外、実施例
1と同様の処理を行った。処理を行った中空糸膜の糸一
本ずつ個別に気体透過速度を参考例1と同じ方法で測定
したところ、30本の各糸間での変動係数は9%であ
り、酸素/窒素の分離係数の変動係数は3%であった。
特性の平均値を表1に示す。
【0056】(実施例7)特公平2−38250号公報
に開示された方法に従って溶融延伸法によりポリ(4−
メチルペンテン−1)からなる外表面に緻密層を有する
内径約120μm、外形約210μmの中空糸不均質膜
を得た。この中空糸不均質膜の酸素透過速度と窒素透過
速度を、参考例1と同様の方法で測定した結果、 酸素:1.27×10-5[cm3(STP)/cm2・sec
・cmHg] 窒素:0.298×10-5[cm3(STP)/cm2・se
c・cmHg] であった。
【0057】実施例1と同じ処理装置を使用し、高周波
コイル部分(図中3)から約30cm後部に、得られた
ポリ(4−メチルペンテン−1)からなる中空糸不均質
膜を長さ約20cm、糸本数30本の糸束の状態にして
入れ、ロータリー式の真空ポンプで1×10-3トールま
で真空引きを行った後、ポンプを作動させたまま、ジク
ロロメタンと4フッ化炭素を各約9Ncm3/min、
即ち混合ガス流量合計約18Ncm3/minで定常的
に流しながら反応管内の真空度が0.25トールで安定
するようにバルブ(6)を調整し、高周波出力約150
Wで放電し低温プラズマを3分間発生させ中空糸膜の処
理を行った。次いで反応容器内をヘリウムで充分置換
し、中空糸膜を取り出し、参考例1と同様の方法で各気
体透過速度を測定した。結果を表1に示す。
【0058】(実施例8)レーデルA−100(テイジ
ンアモコ社:ポリスルフォン)の20重量部のDMAC
溶液を調製し、ガラス板上にキャストし、直ちに約5℃
に冷却した水/エタノール=50/50重量部溶液に浸
せきし、ゲル化させた。次いで70℃で4時間、さらに
130℃で20時間真空乾燥を行い、膜の空気側表面に
緻密層を有するロブ膜(非対称膜)を得た。得られた膜
の気体透過速度を参考例1と同じ条件で測定した結果、 酸素:0.264×10-5[cm3(STP)/cm2・se
c・cmHg] 窒素:0.042×10-5[cm3(STP)/cm2・se
c・cmHg] であった。
【0059】実施例1と同じ処理装置を使用し、得られ
たロブ膜の緻密層表面が処理されるよう膜をテフロン板
上に保持し、高周波コイル(図中3)部の後段側末端か
ら約50cm離して反応容器内に入れ、ロータリー式の
真空ポンプで1×10-3トールまで真空引きを行った
後、ポンプを作動させたまま、クロロホルムと4フッ化
炭素混合ガスを各約9Ncm3/min、即ち混合ガス
流量合計約18Ncm3/minで定常的に流しながら
0.15トールで安定するようにバルブ(6)を調整
し、高周波出力約90Wで放電し低温プラズマを5分間
発生させ処理を行った。次いで反応容器内をヘリウムで
充分置換し、中空糸膜を取り出し、上記測定法で各気体
透過速度を測定した。結果を表1に示す。
【0060】(実施例9)1−トリメチルシリル−1−
プロピン95重量部と 1−(1’,1’,3’,3’
−テトラメチル−1’,3’−ジシラブチル)−1−プ
ロピン5重量部を共重合させた、ポリアセチレン系重合
体15重量部含むトルエン溶液を調製し、ガラス板上に
キャストした後、直ちに約5℃に冷却したエタノールに
浸せきし、ゲル化させた。次いで60℃で4時間、さら
に120℃で20時間真空乾燥を行いロブ膜(非対称
膜)を得た。得られた膜の気体透過速度を実施例8と同
じ方法で測定した。結果を以下に示す。 酸素:422×10-5[cm3(STP)/cm2・sec・
cmHg] 窒素:226×10-5[cm3(STP)/cm2・sec・
cmHg] 得られた膜を用い、低温プラズマ種として塩素を5Nc
3/minで流すのと同時にオクトフルオロプロパン
を9Ncm3/minで流した混合ガスを使用した以
外、実施例7と同様の処理を行った。得られた膜の気体
透過速度を表1に示す。
【0061】(実施例10)ポリ2,6−ジメチルフェ
ニレンエーテルをトルエンに溶解し20重量部の溶液を
調製し、ガラス板上にキャストした後、直ちに約5℃に
冷却したエタノールに浸せきしゲル化させた。次いで6
0℃で4時間、さらに130℃で20時間真空乾燥を行
いロブ膜(非対称膜)を得た。得られた膜の気体透過速
度を実施例8と同じ方法で測定した。結果を以下に示
す。 酸素:4.92×10-5[cm3(STP)/cm2・sec
・cmHg] 窒素:1.41×10-5[cm3(STP)/cm2・sec
・cmHg] 得られた膜を使用し、低温プラズマ種となる混合ガスと
して、塩化エチルと4フッ化炭素のガスを各約5Ncm
3/min、即ち混合ガス流量合計約10Ncm3/mi
nで流した以外、実施例7と同様の処理を行った。次い
で処理した膜を室温硬化型の液状シリコーンゴムの1.
5重量部のイソペンタン溶液に約30秒間浸せきし、室
温で約3時間真空乾燥した後約70℃で7時間真空乾燥
した。得られた膜の気体透過速度を表1に示す。
【0062】(比較例1)実施例1と同じ処理装置を用
い、参考例6で製造した中空糸不均質膜を反応容器の高
周波コイル部分(図中3)の中心付近に入れ、ロータリ
ー式の真空ポンプで1×10-3トールまで充分に真空引
きを行った後、真空ポンプを作動させたまま、低温プラ
ズマ種となる4フッ化炭素を15Ncm3/minで定
常的に流しつつ、バルブ(6)を調整し反応管内の真空
度を0.20トールに調整し、高周波出力60Wでプラ
ズマ放電を2分間行い膜の処理を行った。処理後反応器
内をヘリウムで充分置換した後中空糸膜を取り出し、参
考例1と同様に気体透過速度を測定した。結果を表1に
示す。
【0063】(比較例2)実施例1と同じ処理装置を用
い、反応容器の高周波コイル部分(図中3)から約50
cm後部に参考例6で製造した中空糸不均質膜を長さ約
20cm、糸本数約30本の糸束を入れ、ロータリー式
の真空ポンプで1×10-3トールまで真空引きを行った
後、真空ポンプを作動させたまま、低温プラズマ種とし
て塩素を15Ncm3/minで定常的に流しつつ、バ
ルブ(6)を調整し反応管内の真空度を0.17トール
に調整し、高周波出力200Wでプラズマ放電を4分間
行い膜の処理を行った。処理後反応器内をヘリウムで充
分置換した後中空糸膜を取り出し、処理を行った中空糸
膜の糸一本ずつ個別に気体透過速度を参考例1と同じ方
法で測定したところ、30本の各糸間での変動係数は2
5%であり、酸素/窒素の分離係数の変動係数は13%
であった。特性の平均値を表1に示す。
【0064】(比較例3)低温プラズマ種とするガスを
トリフルオロエチレンとした以外、比較例2と同じ処理
を行った。中空糸30本の各糸間での変動係数は28%
であり、酸素/窒素の分離係数の変動係数は18%であ
った。特性の平均値を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【発明の効果】本発明の処理は、膜の気体の選択透過性
を向上させ、かつ気体の選択透過性のバラツキが小さい
ため、工業生産に適する製造方法を提供できる。本処理
方法によると、気体透過性と気体選択性能に優れた分離
膜を提供する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理を実施するための低温プラズマ処
理装置の模式図である。
【符号の説明】
1 ガス導入バルブ 2 ガス流量計 3 低温プラズマ発生用高周波コイル部分 4 反応容器 5 ピラニー真空計 6 ニードルバルブ 7 真空ポンプ 8 除害装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01D 71/62 B01D 71/62 71/64 71/64 71/68 71/68

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分離膜の有機高分子からなる緻密層表面
    を、塩素含有化合物とフッ素含有化合物との混合ガスの
    低温プラズマで処理する事を特徴とする分離膜の処理方
    法。
  2. 【請求項2】 塩素含有化合物が塩素、又は炭素数1〜
    2の飽和脂肪族炭化水素の塩素原子置換体であり、フッ
    素含有化合物がフッ素、又は炭素数1〜4の飽和脂肪族
    炭化水素のフッ素原子置換体である事を特徴とする請求
    項1記載の処理方法。
  3. 【請求項3】 塩素含有化合物が塩素であり、フッ素含
    有化合物が飽和脂肪族炭化水素の水素原子がフッ素原子
    で全て置換された化合物である事を特徴とする請求項2
    記載の処理方法。
  4. 【請求項4】 混合ガス中の塩素含有化合物とフッ素含
    有化合物のモル数の割合が100/1〜1/10の範囲
    である事を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載
    の処理方法。
  5. 【請求項5】 低温プラズマ処理がダウンストリーム法
    である請求項1〜4のいずれか1項記載の処理方法。
  6. 【請求項6】 分離膜の緻密層がポリイミド系重合体、
    ポリイミダゾピロロン系重合体、ポリスルフォン系重合
    体、ポリオレフィン系重合体、ポリアセチレン系重合
    体、ポリフェニレンオキシド系重合体から選ばれる一種
    以上の重合体又は共重合体からなる事を特徴とする請求
    項1〜5のいずれか1項記載の処理方法。
  7. 【請求項7】 分離膜の緻密層がポリイミド系重合体、
    ポリピロロン系重合体から選ばれる一種以上の重合体又
    は共重合体からなる事を特徴とする請求項6記載の処理
    方法。
  8. 【請求項8】 分離膜が中空糸不均質膜である請求項1
    〜7のいずれか1項記載の処理方法。
  9. 【請求項9】 分離膜が中空糸複合膜である請求項1〜
    7のいずれか1項記載の処理方法。
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