JPH07236822A - 表面改質ポリイミド系樹脂気体分離膜及びその製造方法 - Google Patents

表面改質ポリイミド系樹脂気体分離膜及びその製造方法

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JPH07236822A
JPH07236822A JP2953794A JP2953794A JPH07236822A JP H07236822 A JPH07236822 A JP H07236822A JP 2953794 A JP2953794 A JP 2953794A JP 2953794 A JP2953794 A JP 2953794A JP H07236822 A JPH07236822 A JP H07236822A
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gas
membrane
porous layer
separation membrane
chlorine
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JP2953794A
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Inventor
Masayoshi Takatake
正義 高武
Toshikazu Suganuma
俊和 菅沼
Takanori Anazawa
孝典 穴澤
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリイミド系樹脂からなる非多孔質層を有す
る分離膜であって、光電子分光法(ESCA)による非
多孔質層表面の塩素原子数及び/又は臭素原子数の炭素
原子に対する存在比の測定値が0.01〜1.20であ
ることを特徴とする表面改質ポリイミド系樹脂気体分離
膜及びその製造方法。 【効果】 気体透過性と気体分離性能に優れた、特に、
水素、酸素、二酸化炭素の透過性能の実質的な低下なし
に、酸素/窒素、水素/メタン、二酸化炭素/メタンの
分離性能に優れた、耐熱性・耐久性を有するポリイミド
系樹脂気体分離膜を提供する事ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高透過性及び高分離性能
並びに高耐熱と高耐久性を兼ね備えたポリイミド系樹脂
気体分離膜及びその製造方法に関するものである。
【0002】膜による気体分離は、他の分離方法と比較
し、エネルギー的に有利で、装置が小型軽量、機構が簡
単でメンテナンスフリー等の特徴を有する為、各種産業
分野に活発に応用されており、本発明は例えば、空気の
酸素/窒素分離、プラットフォーミング法のオフガスか
らの水素の分離回収、アンモニア合成時の水素の分離回
収、火力発電やゴミ焼却の廃ガスからの二酸化炭素の回
収や窒素酸化物や硫黄酸化物の除去、油田のオフガスか
らの二酸化炭素の回収、天然ガスから硫化水素、二酸化
炭素等の酸性ガスの除去やヘリウムの分離、空気及び有
機蒸気の除湿、揮発性物質混合液体のパーベーパレーシ
ョン分離、液体に溶解している気体の除去、液体中への
特定気体の溶解等に利用される。
【0003】
【従来の技術】高分子気体分離膜の重要な基本要求性能
は(1)分離の目的とするガス成分と他のガス成分との分
離性能、(2)膜の気体透過性能、(3)膜の強度、耐熱、耐
久性である。膜のガス透過性能は、必要膜面積及び膜モ
ジュール、装置の大きさ、即ち装置のイニシャルコスト
を支配する特性であり、ガスの透過能の高い膜素材の開
発及び膜の分離の活性層(非多孔質層)の薄膜化により
工業的に必要とされるガス透過性能が達成される。一方
膜のガス分離性能は主に分離ガスの収率を支配する特性
である。即ち装置のランニングコストを支配する特性で
あり、本質的に膜素材固有の特性である。
【0004】ポリイミド系樹脂は強度、耐久性、耐熱性
に特に優れており、近年ポリイミド系樹脂を素材とした
気体分離膜の研究が盛んに行われている。例えば特開平
3−267130号公報には、ポリイミドを構成する主
な酸成分が2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)ヘキサフルオロプロパン(以下6FDAと略記す
る)であり、主なアミン成分がジアミノジフェニレンス
ルフォン類及び、ジアミノジメチルジフェニルメタンス
ルフォン類である可溶性の芳香族ポリイミドを膜素材と
した耐熱性、耐圧性に優れ且つガスの透過性に優れた非
対称ガス分離中空糸膜及びその製法が開示されている。
【0005】特開昭63−123420号公報には、酸
成分の主成分が6FDAであり、主なアミン成分がアミ
ン官能基に対してオルトのすべての位置に置換基を有す
る芳香族ジアミンである芳香族ポリイミドからなる気体
分離膜が開示されている。
【0006】特開平2−261524号公報には主な酸
成分として6FDAからなり、ジアミン部分を、アルキ
ル、アリールアルキル、過ハロゲン化アルキル、アリー
ル化したビスアニリンとした重合物構造からなるポリイ
ミド気体分離膜が開示されている。
【0007】特開昭63−111921にはジアミン成
分の一部がアミノ基に対してオルトの位置に本質的にす
べてに置換基を有し、且つ酸無水物基は少なくとも部分
的に3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボ
ン酸二無水物からなり、且つ光学的に架橋した芳香族ポ
リイミド気体分離膜が開示されている。
【0008】高分子論文集,VOL.40,NO.1,P
P.35−40(Jan.,1983)には低圧水銀灯に
より酸素の存在下でポリイミドを光学的に架橋させる事
により酸素と窒素の分離係数が向上する事が示して有
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記した、多数の先行
技術のポリイミド気体分離膜はその気体透過性能に於い
ては工業的に一部有用な水準に達しているものの、その
ガス分離性能に於いてはいまだ不十分であった。また、
分離特性向上を目的としてポリイミドの光架橋が検討さ
れていものの、この技術を工業的に適用するのは極めて
困難であった。即ち架橋による気体透過性能の低下が著
しく、例えば酸素分離や水素分離に必要な、酸素透過速
度で少なくとも10ー5[cm3/cm2・sec・cmHg]のオーダ
ー以上、水素透過速度で10ー4[cm3/cm2・sec・cmHg]
のオーダー以上の透過性能の達成が極めて困難であり、
分離能は向上するものの気体透過性能が極めて低い膜し
か得られなかった。
【0010】かかる如く各種混合気体からの特定の気体
の分離、例えば水素、メタン、二酸化炭素や特に酸素と
窒素の分離を工業的に効率的に行い得る、ポリイミドか
らなる気体分離膜はいまだ得られていない。
【0011】そこで本発明の目的は気体の分離性能が高
く且つ、高透過性及び高耐熱性並びに高耐久性を兼ね備
えた表面改質されたポリイミド気体分離膜及びその製造
方法を提供する事にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するため鋭意研究の結果、ポリイミド系樹脂から
なる非多孔質層(分離活性層)を有する気体分離膜の非
多孔質層表面に、塩素原子及び/又は臭素原子を導入す
る事により、特に水素、酸素、二酸化炭素の透過性能の
実質的な低下無しに、酸素/窒素等の分離特性が飛躍的
に向上する事を見いだし本発明を完成するに至った。
【0013】即ち本発明は、ポリイミド系樹脂からなる
非多孔質層を有する分離膜であって、光電子分光法(E
SCA)による非多孔質層表面の塩素原子数及び/又は
臭素原子数の炭素原子に対する存在比の測定値が0.0
1〜1.20であることを特徴とするポリイミド系樹脂
気体分離膜及び、ポリイミド系樹脂からなる非多孔質層
を有する気体分離膜の非多孔質層表面を、塩素ガス及び
/又は臭素ガスと接触させること、若しくはこれらのガ
スの存在下で光照射を行なうことを特徴とする表面改質
ポリイミド系樹脂気体分離膜の製造方法、並びにポリイ
ミド系樹脂からなる非多孔質層を有する気体分離膜の非
多孔質層表面を、塩素化合物及び/又は臭素化合物のガ
スの存在下でプラズマ処理を行うことにより表面処理す
ることを特徴とする表面改質ポリイミド系樹脂気体分離
膜の製造方法に関する。
【0014】本発明で言う、非多孔質層表面の塩素原子
数及び/又は臭素原子数の炭素原子に対する存在比(原
子の個数比)の測定値とは、分離膜の表面にあるポリイ
ミド系樹脂からなる非多孔質層の表面の塩素・臭素・炭
素数を光電子分光法(ESCA)により測定した値であ
る。ESCAは最表面層の数〜数十オングストロームの
原子の組成を正確に測定できる優れた分析方法であり、
本発明の膜はポリイミド系樹脂非多孔質層のごく表面の
みに塩素原子及び/又は臭素原子を含む膜である。
【0015】非多孔質層表面の塩素原子数及び/又は臭
素原子の炭素原子に対する存在比が0.01未満である
と気体の分離能に際だった効果が認められず、一方1.
20以上であると気体の透過性能の低下が著しくこれも
また好ましくない。気体の分離能と透過性をバランス良
く付与させるため、非多孔質層表面の塩素原子数及び/
又は臭素原子数の炭素原子に対する存在比は0.01〜
1.20、好ましくは0.03〜0.4であり、さらに
好ましくはその下限値が0.05以上、最も好ましくは
0.07以上であり、その上限値はさらに好ましくは
0.35以下、最も好ましくは0.29以下である。
【0016】塩素及び/又は臭素を含む非多孔質層の厚
さは、気体分離膜の用途及び分離の対象となる気体の種
類等に最適な特性となるよう、膜形状や形態及び改質さ
れるポリイミド系樹脂の種類等に応じて適宜調節できる
が、その深さ方向の厚さは1nmから100nmが好ま
しく、さらに好ましくは1nmから厚くとも30nm以
下である。処理層の厚さは膜の厚み方向の元素組成をエ
ネルギー分散型X線分光法(EDX分析と略記する場合
もある)により測定し、塩素及び/又は臭素元素の存在
を調べる事により容易に測定できる。
【0017】気体分離活性層である非多孔質層を形成す
るポリイミド系樹脂は、製膜性を有するものであれば特
に制限は無い。例えば芳香族ポリイミド、脂肪族ポリイ
ミド、脂環式ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエー
テルイミド、ビスマレイミド等のイミド系樹脂が適用可
能であり、これらのポリイミドを50〜100重量%含
有するものである。また溶剤可溶性のものから溶剤不溶
性のものまで適用できる。溶剤不溶性のポリイミドはそ
れらのポリアミン酸形態から膜を形成させた後、化学的
又は熱的にそれらをイミド化させポリイミド膜を形成さ
せる事ができる。
【0018】ポリイミド系樹脂はテトラカルボン酸二無
水物及びその誘導体とジアミン又はジイソシアナートを
出発原料として合成される。テトラカルボン酸二無水物
として脂肪族テトラカルボン酸類、脂環族テトラカルボ
ン酸類、複素環族テトラカルボン酸類、芳香族テトラカ
ルボン酸類等を用いることが出来、ジアミン成分として
脂肪族ジアミン類、脂環族ジアミン類、芳香族ジアミン
類等が用いられ、さらにこれらポリイミド系樹脂の共重
合(グラフトも含む)改質剤としてアミノ官能性シラ
ン、シロキサン等を用いることが出来る。本発明に適用
可能なポリイミド系樹脂は、これらのいずれの出発原料
からのものでも良く何等制限はないが、芳香族テトラカ
ルボン酸類と芳香族ジアミン類から重合されたポリイミ
ド類及びシロキサンオリゴマーにより改質したポリイミ
ド類が特に気体の透過性が高く好ましい。
【0019】好ましい芳香族テトラカルボン酸二無水物
成分として例えばビフェニルテトラカルボン酸、ピロメ
リット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、6FD
A、ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸等が挙げら
れ、また好ましい芳香族ジアミン成分としてフェニレン
ジアミン類及びこれらの水素の一部をアルキル、ハロゲ
ン、アリール、カルボキシル基等で置換した各種置換体
や、ビフェニル型のベンジジン類及びこれらの水素の一
部をアルキル基等で置換した各種置換体や、二個もしく
は二個以上のベンゼン環をエーテル基、チオエーテル
基、カルボニル基、スルフォン基、メチレン基、イソプ
ロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基等で
結合したもの及び、これらの水素の一部をアルキル基、
アリール基等で置換した各種置換体等が挙げられる。
【0020】本発明に適用できる気体の透過性能が極め
て高くより好ましい芳香族ポリイミドの具体例として例
えば、酸二無水物成分の主成分が6FDA、ジフェニル
スルフォンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボ
ン酸から成る群から選ばれた成分であり、ジアミン成分
の主成分がイソプロピリデンジアニリン、ヘキサフルオ
ロイソプロピリデンジアニリン、ジアミノトルエン、ジ
アミノキシレン、トリメチルフェニレンジアミン、テト
ラメチルフェニレンジアミン、トリメチルベンジジン、
ナフタリンジアミン、ジアミノジメチルジフェニレンス
ルフォンもしくは、ジアミノジメチルジフェニルメタン
スルフォンなる群から選ばれた一種以上の成分からなる
ポリイミド系樹脂、及びこれらの共重合体が好適に挙げ
られる。
【0021】本発明のポリイミド系樹脂からなる非多孔
質層を有する気体分離膜は、分離活性層となる非多孔質
層の表面が塩素及び/又は臭素化されており、気体の透
過分離性能が工業的に適用可能である程度に充分高けれ
ば膜形状や膜構造に特に制限はない。例えば非多孔質層
を薄く多孔質支持層上に保持した複合膜や、非多孔質層
と多孔質支持体とを一体に有しているいわゆる不均質膜
が適用できる。膜形状も平膜や中空糸状膜等が適用でき
る。ここでいう複合膜及び不均質膜共に、非多孔質層が
膜の片側表面にある膜、両側表面にある膜等が挙げられ
るが、気体透過速度は非多孔質層が薄いほど速いため、
片側のみにあるものが好ましい。また、中空糸状の膜の
場合は、膜の内側表面に非多孔質層が存在する膜より
も、膜の外側表面に非多孔質層が存在する膜が、処理が
容易なためより好ましい。
【0022】本発明に適用できる膜の製法例として平膜
型の複合膜は、例えば水面上に薄く展開した非多孔質層
となるポリイミド系樹脂からなる薄膜を、例えば弗素系
樹脂やセルロース系樹脂、オレフィン系樹脂等からなる
有機微多孔膜及びガラス等の無機物からなる微多孔質層
の上に保持する事により容易に得られる。
【0023】また中空糸状の複合膜の製法例として、例
えば有機又は無機物からなる微多孔中空糸膜上に、N−
メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等のアミド系
溶剤、フェノール、クレゾール等のフェノール類、クロ
ルフェノール、ブロムフェノール、クロルヒドロキシト
ルエン等のハロゲン化フェノール類等の適切な有機溶媒
に溶解させたポリイミドもしくはポリアミド酸をコーテ
ィングし、溶媒を必要に応じて加熱乾燥し、また必要に
応じてポリアミド酸を加熱もしくは化学的にイミド化
し、これにより微多孔中空糸膜上にポリイミド系樹脂か
らなる非多孔質層を形成させた、いわゆる中空糸複合膜
が得られる。
【0024】工業的には膜製造行程が単純で製造コスト
が安く、膜モジュールの小型化及び装置のコンパクト化
が容易な中空糸不均質膜が最も好ましい。ポリイミド系
樹脂中空糸不均質膜は従来より行われている公知な膜の
製造方法の一つである湿式製膜法や乾湿式製膜法により
容易に製造できる。
【0025】この様に製造した膜の非多孔質層表面の塩
素及び/臭素の導入は、かかる膜製造後に容易に実施で
きる。即ち本発明の膜は、まず、ポリイミド系樹脂から
なる非多孔質層を有する膜を常法にて製膜し、ついで非
多孔質層の表面に塩素及び/又は臭素を導入し表面を改
質することにより得ることが出来る。
【0026】非多孔質のポリイミド系樹脂からなる分離
膜の非多孔質層表面の塩素及び/又は臭素による改質
は、必要に応じ、鉄、第三塩化鉄等のルイス酸を加え
た、塩素ガス又は次亜塩素酸又は臭素等を溶解又は混入
させた水、アルコール類、エーテル類等の適当な液体に
該膜表面を接触又は浸せきさせるいわゆる液相処理でも
良く、また塩素ガス及び/又は臭素ガスを直接該表面に
接触させるいわゆる気相処理でも良い。このうち気相処
理が液体の除去、乾燥等の後処理が何等必要無いため好
ましい。
【0027】本発明の膜の第1の製造方法は、塩素ガス
及び/又は臭素ガスの純ガスもしくは必要に応じヘリウ
ム、窒素等の不活性ガスで適当に希釈されたガスを非多
孔質層表面に直接接触させる方法である。例えば外表面
にポリイミドからなる非多孔質層を有する中空糸不均質
膜の場合、処理は塩素ガス及び/又は臭素ガスをその外
表面に接触させる事によりなされる。処理はガスを流し
ながら行ってもバッチ式で行ってもよい。処理は減圧下
で行なう事が好ましく、反応雰囲気が10〜760トー
ルでの処理が好ましい。
【0028】ポリイミド系樹脂からなる非多孔質層表面
と塩素ガス及び/又は臭素ガスとを接触させることによ
る膜の表面処理は、処理ガスの分圧、処理温度、処理時
間等を適当に制御する事により各種気体の分離に適した
透過性と分離性を有する膜を得る事が可能である。例え
ば、二酸化炭素/窒素、二酸化炭素/メタン、水素/メ
タン、及び酸素/窒素等の分離に適した膜は、塩素及び
/又は臭素ガスの分圧が10〜760トール好ましくは
50〜300トールであり、処理温度が室温〜約250
℃好ましくは室温〜90℃であり、処理時間が1秒〜1
時間程度好ましくは5〜30分の範囲で各条件を適切に
調整する事により得ることが出来る。この様にすること
で、非多孔質層表面の塩素及び/又は臭素の炭素に対す
る存在比を調節出来、各々最適な膜特性を実現できる。
【0029】また塩素ガス及び/又は臭素ガスに少量弗
素ガスを混入させる事により、非多孔質層表面への塩素
及び/又は臭素の導入効率が増し、膜の処理効果が更に
向上し、特に酸素/窒素及び水素/メタンの分離性能の
向上に効果がある。弗素ガスの混入はあらかじめ塩素及
び/又は臭素ガスに混入しておいてもよく、また処理時
に反応容器内に順次導入してもよい。混入する弗素ガス
の分圧は2トール以下であれば良く、好ましくは0.0
1〜1.0トール、より好ましくは0.01〜0.5ト
ール、更に好ましくは0.01〜0.07トールであ
る。また弗素ガスは必要に応じヘリウム、窒素、アルゴ
ン等の不活性ガスで希釈して使用でき、反応雰囲気の弗
素分圧が上記値であればよい。本発明は塩素及び/又は
臭素ガスにごくわずかの弗素を混入させる事が重要であ
る。弗素分圧が高すぎると膜の気体分離能がむしろ低下
するばかりでなく、気体透過性能の大幅な低下と、膜強
度の大幅な低下を引き起こし極めて好ましくない。弗素
ガスを混入した塩素ガス及び/又は臭素ガスでの処理条
件は、上記の塩素及び/又は臭素ガスでの処理条件範囲
と基本的には同じであるが、処理温度、処理ガス分圧、
処理時間等、全般的に緩やかな条件で十分な効果を発揮
できる。
【0030】処理は一般に行われている方法で容易に行
う事ができる。例えば、石英ガラス及びステンレス製の
適当な反応容器中に処理する膜を入れ、塩素及び/又は
臭素ガス、もしくは弗素ガスをわずかに混入した塩素及
び/又は臭素ガスを容器中に連続して流しながら、もし
くはバッチ式で導入し、該気体と膜とを接触させれば良
い。
【0031】第2の方法として、上記の反応を光照射下
で行なう光照射処理が挙げられる。即ち光照射下での塩
素ガス及び/又は臭素ガスもしくはこれに弗素ガスを少
量混入させたガスと、非多孔質層表面を直接接触させる
事によってその効果を向上させる事ができる。処理は、
例えば塩素及び/又は臭素ガスの分圧が5〜760トー
ル好ましくは30〜250トールであり、弗素ガスを混
入させる場合の弗素ガスの分圧は第1の方法と同様であ
る。処理時間は1秒〜30分間程度好ましくは5〜20
分、処理温度は例えば弗素ガスを混入した塩素ガスでの
処理の場合は特に加熱の必要はなく簡便な操作で処理が
可能となり、臭素ガス処理の場合必要に応じて若干の加
熱を行う事により最適な膜特性を実現できる。これら処
理ガスの分圧、処理温度、処理時間等を適当に調節する
ことで、分離対象気体に合わせた最適な膜特性にするこ
とが出来る。
【0032】照射光は、可視光の短波長領域から紫外領
域の光が適用でき、市販の低圧水銀ランプ、中圧水銀ラ
ンプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、及びキ
セノンランプ等の光源が適用でき、また光強度は使用す
るガスの種類、濃度及び圧力、処理時間、処理温度等に
より異なるが、0.01〜0.5mw/cm2の低強度
でも適用可能であるが好ましくは0.5〜300mw/
cm2であり、更に好ましくは1〜100mw/cm2
ある。
【0033】処理は第1の方法と同様に、一般の方法例
えば、透明な石英ガラスの密閉容器中に処理する膜を入
れ、塩素及び/又は臭素ガス、もしくは弗素ガスをわず
かに混入した塩素及び/又は臭素ガスを容器中に連続し
て流しながら、もしくはバッチ式で導入し、同時に光を
照射する事により膜の表面処理を行う事ができる。この
際光は塩素及び/又は臭素ガスの雰囲気に照射されてお
ればよく、光が膜に直接照射されないことが、膜の透過
速度の低下がより少ないため好ましい。これは膜と光源
の間に適当な仕切を設ける事により容易に達成できる。
【0034】このように第1、第2の方法共に、比較的
簡単な装置により表面改質された分離膜を製造すること
が出来る。第3の方法として、プラズマ処理による方法
が挙げられる。分離膜の非多孔質層を、塩素化合物及び
/又は臭素化合物(塩素原子、臭素原子も含む)のガス
(蒸気も含む)の存在下でプラズマ処理することにより
容易にガス透過分離特性を向上できる。
【0035】本発明のプラズマ処理に用いる装置は公知
の装置で良く、電場を作用させる方式も内部電極方式、
外部電極方式のいずれの方式でも良い。このうち反応容
器の外部より高周波の電場を作用させプラズマを発生さ
せる外部電極方式が、膜表面処理が簡便で、量産性に優
れより好ましい。プラズマ処理の例えば放電出力、真空
度、ガス流量等のプラズマ処理条件は、使用するガス又
は蒸気の種類やポリイミド樹脂の種類及び必要とする膜
特性により最適値な条件範囲を選ぶ事ができる。
【0036】プラズマ処理の真空度は0.01〜5トー
ル、好ましくは0.07〜0.3トールの範囲であり、
高周波放電出力は1〜250W、好ましくは5〜70W
の範囲であり、ガス流量は反応管の試料設置部に於ける
ガス流路断面積100cm2当たり0.01〜5Ncm3
/min、好ましくは0.1〜1Ncm3/minの範囲
であり、処理時間は1秒〜30分、好ましくは30秒〜
20分の範囲である。本発明のプラズマ処理はこれらの
処理条件範囲から適宜最適条件を選択できる。
【0037】本発明のプラズマ処理に用いられるプラズ
マ種としての塩素化合物及び/又は臭素化合物は、その
分子内に塩素原子及び/又は臭素原子を含有している物
質であり、常温での蒸気圧が10トール以上であればよ
い。例えば塩素、臭素、塩化水素、臭化水素、三弗化塩
素、三弗化臭素、五弗化臭素、塩素を含むフロン類、脂
肪族炭化水素の塩素及び/又は臭素置換体で好ましくは
炭素数が1〜4の脂肪族炭化水素の塩素及び/又は臭素
の1〜4置換の置換脂肪族炭化水素である。置換脂肪族
炭化水素の好適な例として塩化メチル、ジクロロメタ
ン、クロロホルム、四塩化炭素、塩化エチル、塩化プロ
ピル、塩化tert−ブチル、トリクロロエチレン、塩
化ビニル、臭化メチル、臭化エチル、臭化エチレン等が
挙げられる。これらのガスはヘリウム、窒素、アルゴン
等の不活性ガスで適宜希釈したり、2種類以上のガス又
は蒸気を混合させて用いても良い。処理条件を適宜調節
することで、塩素及び/又は臭素の炭素原子に対する存
在比を変える事が出来、分離対象となる気体に応じた最
適な膜を得る事が出来る。この様に非多孔質層表面を塩
素化及び/又は臭素化することにより、ポリイミド系樹
脂がもつ優れた耐熱性、耐久性はそのままに、気体の分
離特性を向上出来る。本発明の気体分離膜は、各種気体
の分離特性、特に、水素、酸素、二酸化炭素の透過性能
の実質的な低下なしに、酸素/窒素、水素/メタン、二
酸化炭素/メタン等の分離特性がすぐれるため、種々の
気体分離の用途に用いる事ができる。
【0038】
【実施例】
参考例1 <ポリイミド複合膜の製造>窒素雰囲気下で、3,7−
ジアミノ−2,8ジメチルジフェニレンスルフォン0.
2モルのNーメチルピロリドン(NMP)500mlの
攪拌溶液(65℃)に2,2−ビス(3,4−ジカルボ
キシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物0.
2モルのN−メチルピロリドン300mlの溶液を徐々
に添加した。窒素雰囲気下、65℃で12時間攪拌した
後、溶液を95℃に昇温し、無水酢酸約1モルとトリエ
チルアミン約1モルを急速に添加し3時間攪拌した。反
応液にメタノールを多量に添加し、生じた固形分をろ過
した。ろ過物をメタノールで充分洗浄し、真空オーブン
内で100℃で12時間真空乾燥し、128.3gの固
形生成物を得た。上記固形物の1.5重量%のNMP溶
液を調製し、ガラス板上にコーターでコートし、110
℃の真空オーブン内で12時間真空乾燥し、ついで28
0℃で4時間真空乾燥を施し、ガラス板上にポリイミド
の緻密な薄膜を形成させた。ついで上記ガラスを純水中
に浸せきし、ポリイミドの緻密な薄膜をガラスより剥離
させ水面上に浮かせた。ついでこの薄膜をポリ弗化ビニ
リデンからなる平均孔径0.65μmのマイクロフィル
トレーション(MF)膜上にすくい上げ乾燥し、ポリ弗
化ビニリデンのMF膜を支持層とし、ポリイミドの非多
孔質層を気体分離活性層とする複合膜を得た。ASTM
D−1434により本複合膜の各種気体透過特性を測
定した。結果を表1に示す。
【0039】参考例2〜6 数種の異なったジアミン成分を2,2−ビス(3,4−
ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水
物と等モル量用い、参考例1と同様の方法で複合膜を調
製し、各種気体透過特性をASTM D−1434によ
り測定した。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】(実施例1)参考例1及び3で調製したポ
リイミドの緻密な薄膜をガラス板に密着させた状態で、
該ガラス板を石英ガラス製の反応器に入れ、ロータリー
式真空ポンプで0.1トール以下まで充分に真空引きを
行った後、反応器内圧が200トールになるまで塩素ガ
スを導入し、25℃で10分間静置し、薄膜の片表面の
みを処理した。反応器内をヘリウムガスで充分に置換し
た後、該ガラス板を取りだし、参考例1と同様の方法で
ポリ弗化ビニリデンのMF膜を支持層とし、ポリイミド
の非多孔質層を気体分離活性層とする複合膜を得た。表
面処理された該非多孔質層の表面元素組成をESCAに
より測定した。また本膜の酸素と窒素の透過特性をAS
TM D−1434により測定した。これらの結果を表
2に示す。
【0042】(実施例2)参考例1、2、3、5で調製
したポリイミドの緻密な薄膜をガラス板に密着させた状
態で、該ガラス板を石英ガラス製の反応器に入れ、ロー
タリー式真空ポンプで0.1トール以下まで充分に真空
引きを行った後、反応器内圧が200トールになるまで
塩素ガスを導入し、直後にヘリウムで0.5vol%濃度
に希釈した弗素混合ガスをさらに50トール分導入し反
応器内圧を250トールとし、25℃で10分管静置し
た。反応器内をヘリウムで充分置換した後、該ガラス板
を取り出し、参考例1と同様の方法でポリ弗化ビニリデ
ンのMF膜を支持層とし、ポリイミドの非多孔質層を気
体分離活性層とする複合膜を得た。実施例1と同様にE
SCAによる表面分析及び気体透過特性を測定した。結
果を表2に示す。
【0043】(実施例3)参考例1、2、3で調製した
ポリイミドの緻密な薄膜をガラス板に密着させた状態
で、該ガラス板を石英ガラス製の反応器に入れ、ロータ
リー式真空ポンプで0.1トール以下まで充分に真空引
きを行った後、140w高圧水銀アーク灯の光を反応器
の外側より照射しつつ、反応器の圧が100トールにな
るまで塩素ガスをすばやく導入し、10分間静置した。
この際、アルミ箔を光源とポリイミドのフィルムの間に
挿入し、光がフィルムに直接照射しないようにした。反
応器内をヘリウムで充分置換した後、該ガラス板を取り
出し、参考例1と同様の方法でポリ弗化ビニリデンのM
F膜を支持層とし、ポリイミドの非多孔質層を気体分離
活性層とする複合膜を得た。実施例1と同様にESCA
による表面分析及び気体透過特性を測定した。結果を表
2に示す。
【0044】(実施例4)参考例1、2、3、4、5で
調製したポリイミドの緻密な薄膜をガラス板に密着させ
た状態で、該ガラス板を周囲にプラズマ発生用の高周波
コイルを巻いた内径約10cmの石英ガラス製の円筒反応
容器に入れ、ロータリー式の真空ポンプで1×10-3
ール以下まで真空引きを行った後、ポンプを作動させた
まま反応間内の真空度が0.1トールになるようにプラ
ズマ種となる塩素ガスを約15Ncm3/分で流し入れつ
つ、高周波出力25Wで反応器内でプラズマ放電を1分
間行った。反応器内をヘリウムで充分置換した後、該ガ
ラス板を取り出し、参考例1と同様の方法でポリ弗化ビ
ニリデンのMF膜を支持層とし、ポリイミドの非多孔質
層を気体分離活性層とする複合膜を得た。実施例1と同
様にESCAによる表面分析及び気体透過特性を測定し
た。結果を表2に示す。
【0045】(実施例5)参考例3、4で調製したポリ
イミドを用い、プラズマ種として塩化メチルと臭化メチ
ルの1:1混合ガス(体積)を用いる以外は実施例4と
同じ方法で処理を行った。実施例1と同様にESCAに
よる表面分析及び気体透過特性を測定した。結果を表2
に示す。
【0046】(実施例6)参考例1、3で調製したポリ
イミドの緻密な薄膜をガラス板に密着させた状態で該ガ
ラス板を、臭素20ccを満たしたビーカーを入れた臭素
飽和蒸気圧濃度で満たした反応容器中に入れ、該反応容
器を密閉し、雰囲気温度約25℃で1時間放置した後、
該ガラス板を取り出し、参考例1と同様の方法でポリ弗
化ビニリデンのMF膜を支持層とし、ポリイミドの非多
孔質層を気体分離活性層とする複合膜を得た。実施例1
と同様にESCAによる表面分析及び気体透過特性を測
定した。結果を表3に示す。
【0047】(実施例7)参考例3で調製したガラス板
上に形成させたポリイミドの緻密な薄膜のプラズマ処理
に於いて、高周波出力を60Wとし、処理時間を15分
とする以外実施例4と同様の処理を行い、該複合膜を得
た。実施例1と同様にESCAによる表面分析及び気体
透過特性を測定した。結果を表3に示す。
【0048】(実施例8)参考例3で調製したガラス板
上に形成させたポリイミドの緻密な薄膜の塩素ガス存在
下での光照射処理に於いて、処理時間を1時間とする以
外実施例3と同様の処理を行い、該複合膜を得た。実施
例1と同様にESCAによる表面分析及び気体透過特性
を測定した。結果を表3に示す。
【0049】
【表2】 ※ QO2 :酸素透過速度[×10-6cm3/cm2 sec cmHg] α :酸素/窒素分離係数[−], CL/C :塩素/炭
素原子個数比[−] (CL+Br)/C:(塩素+臭素の個数)/炭素原子個数比
[−] CL/Br/C :塩素/臭素/炭素原子個数比[%]
【0050】
【表3】 ※ QO2 :酸素透過速度[×10-6cm3/cm2 sec cmH
g] α :酸素/窒素分離係数[−] CL/C :塩素/炭素原子個数比[−] Br/C :臭素/炭素原子個数比[−]
【0051】(参考例6) <ポリイミド不均質膜の製造>窒素雰囲気下で、1,4
−ジアミノ−3,6ジメチルベンゼン1モルのN−メチ
ルピロリドン(NMP)1400ml(65℃)の攪拌
溶液に、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)ヘキサフルオロプロパン二無水物1モルのN−メチ
ルピロリドン1000mlの溶液を徐々に添加した。窒
素雰囲気下、55℃で12時間攪拌した後、溶液を90
℃に昇温し、無水酢酸約3モルとピリジン3モルを急速
に添加し、4時間攪拌した。得られた溶液を500メッ
シュのフィルターでろ過し、真空ポンプで充分に脱泡を
行い、 徐々に室温まで冷却して中空糸紡糸用ドープ液
を得た。このドープ液を中空糸製造用2重円管ノズルよ
り、芯材として水を用い、中空糸状に約30cmのチム
ニ中を通じ、0℃に調節した70重量%のエタノール水
溶液中押し出し凝固させ、ついでボビンに巻き取った。
ボビンごとエタノールに浸漬し充分に洗浄し、ついでn
-ウンデカンでエタノールを置換し、真空乾燥器中で1
80℃で4時間ついで290℃で1時間n-ウンデカン
の蒸発及び熱処理を行い、中空糸の外表面に気体の分離
活性相となる非多孔質層を有する芳香族ポリイミド中空
糸不均質膜を製造した。得られた中空糸膜の気体透過特
性をASTM D1434により測定した。 結果を表
4に示す。
【0052】
【表4】
【0053】(実施例9)参考例6で調製したポリイミ
ドの中空糸膜を石英ガラス製の反応器に入れ、ロータリ
ー式真空ポンプで0.1トール以下まで充分に真空引き
を行った後、反応器内圧が100トールになるまで塩素
ガスを導入し、25℃で8分間静置した。反応器内をヘ
リウムガスで充分に置換した後、中空糸膜を取りだし、
ESCAにより表面分析を行った。また、本膜の酸素と
窒素の透過特性をASTM D−1434により測定し
た。これらの結果を表5に示す。
【0054】(実施例10)参考例6で調製したポリイ
ミドの中空糸膜を石英ガラス製の反応器に入れ、ロータ
リー式真空ポンプで0.1トール以下まで充分に真空引
きを行った後、反応器内圧が100トールになるまで塩
素ガスを導入し、直後にヘリウムで0.5%体積濃度に
希釈した弗素混合ガスをさらに20トール分導入し反応
器内圧を120トールとし、25℃で5分間静置した。
反応器内をヘリウムで充分置換した後中空糸膜を取り出
し、実施例1と同様にESCAによる表面分析と気体透
過特性を測定した。結果を表5に示す。
【0055】(実施例11)参考例6で調製したポリイ
ミドの中空糸膜を石英ガラス製の反応器に入れ、ロータ
リー式の真空ポンプで0.1トール以下まで充分に真空
引きを行った後、140ワット高圧水銀アーク灯の光を
反応器の外側より照射しつつ、あらかじめバッファータ
ンク内で塩素ガスと弗素ガスを分圧比1000:1で混
合したガスを反応器内圧が60トールになるまですばや
く導入し、10分間静置した。この際、アルミ箔を光源
とフィルムの間挿入し、光がフィルムに直接照射しない
ようにした。反応器内をヘリウムで充分置換した後中空
糸膜を取り出し、実施例1と同様にESCAによる表面
分析と気体透過特性を測定した。結果を表5に示す。
【0056】(実施例12)参考例6で調製したポリイ
ミドの中空糸膜を、周囲にプラズマ発生用の高周波コイ
ルを巻いた石英ガラス製の反応容器に入れ、ロータリー
式の真空ポンプで1×10-3トールまで充分に真空引き
を行った後、ポンプを作動させたまま反応間内の真空度
が0.1トールで安定するようにプラズマ種となる四塩
化炭素のガスを約15Ncm3/分で流し入れつつ、高周波
出力50Wで反応器内でプラズマ放電を1分間行った。
反応器内をヘリウムで充分置換した後中空糸膜を取り出
し、実施例1と同様にESCAによる表面分析と気体透
過特性を測定した。結果を表5に示す。
【0057】(実施例13)参考例6で調整したポリイ
ミドの中空糸膜をリボンヒーターを巻いた石英ガラス製
の反応器に入れ、ロータリー式真空ポンプで少なくとも
0.1トールまで充分に真空引きを行った後、反応器内
圧が100トールになるまで臭素蒸気を導入し、反応器
内の雰囲気温度を約220℃に保ち20分間静置した。
反応器内をヘリウムで充分置換した後中空糸膜を取り出
し、実施例1と同様にESCAによる表面分析と気体透
過特性を測定した。結果を表5に示す。
【0058】(実施例14)参考例6で調製したポリイ
ミドの中空糸膜を石英ガラス製の反応器に入れ、ロータ
リー式の真空ポンプで0.1トール以下まで充分に真空
引きを行った後、気化させた臭素を導入し、容器内圧を
100トールとし、さらに0.5vol%にヘリウムガス
で希釈した弗素ガスを50トール分導入し容器内圧を1
50トールとした。ついで140ワット高圧水銀灯の光
を反応器の外側より約20分間照射した。この際、アル
ミ箔を光源とフィルムの間挿入し、光がフィルムに直接
照射しないようにした。反応器内をヘリウムで充分置換
した後中空糸膜を取り出し、実施例1と同様にESCA
による表面分析と気体透過特性を測定した。結果を表5
に示す。
【0059】(実施例15)参考例6で調製したポリイ
ミドの中空糸膜を使用し、プラズマ発生用の高周波コイ
ルを巻いた石英ガラス製の反応容器に入れ、ロータリー
式の真空ポンプで1×10-3トールまで充分に真空引き
を行った後、ポンプを作動させたまま反応間内の真空度
が0.1トールになるようにプラズマ種となる臭化メチ
ルガスを約15Ncm3/分で流し入れつつ、高周波出
力50Wで反応器内でプラズマ放電を1分間行った。反
応器内をヘリウムで充分置換した後中空糸膜を取り出
し、実施例1と同様にESCAによる表面分析と気体透
過特性を測定した。結果を第5表に示す。
【0060】
【表5】 ※ QO2 ,QN2,QCO2, :酸素,窒素,炭酸ガ
ス,水素,メタンガス透過 QH2 ,QCH4 度[×10-6cm3/cm2 sec cmH
g] CL/C :塩素/炭素原子個数比[−] Br/C :臭素/炭素原子個数比[−]QO2 QCO2 QH2 :酸素/窒素,炭酸ガス/メ
タン,水素/メタン QN2 ; QCH4; QCH4 分離係数
【0061】
【発明の効果】気体透過性と気体分離性能に優れた、特
に、水素、酸素、二酸化炭素の透過性能の実質的な低下
なしに、酸素/窒素、水素/メタン、二酸化炭素/メタ
ンの分離性能に優れた、耐熱性・耐久性を有するポリイ
ミド系樹脂気体分離膜を提供する事ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08J 7/12 CFG B 7310−4F // B32B 27/34 7421−4F

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリイミド系樹脂からなる非多孔質層を
    有する分離膜であって、光電子分光法(ESCA)によ
    る非多孔質層表面の塩素原子数及び/又は臭素原子数の
    炭素原子に対する存在比の測定値が0.01〜1.20
    であることを特徴とする表面改質ポリイミド系樹脂気体
    分離膜。
  2. 【請求項2】 非多孔質層表面の塩素原子及び/又は臭
    素原子数の炭素原子数に対する存在比が0.03〜0.
    40である請求項1記載の分離膜。
  3. 【請求項3】 ポリイミド系樹脂気体分離膜が中空糸不
    均質膜である請求項1又は2記載の分離膜。
  4. 【請求項4】 ポリイミド系樹脂気体分離膜が複合膜で
    ある請求項1又は2記載の分離膜。
  5. 【請求項5】 ポリイミド系樹脂からなる非多孔質層を
    有する気体分離膜の非多孔質層表面を、塩素ガス及び/
    又は臭素ガスと接触させることを特徴とする表面改質ポ
    リイミド系樹脂気体分離膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 非多孔質層表面を、塩素ガス及び/又は
    臭素ガスの存在下で光照射処理を行なうことにより表面
    処理する事を特徴とする請求項5記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 塩素ガス及び/又は臭素ガスが、弗素ガ
    スとの混合ガスである事を特徴とする請求項5又は6記
    載の製造方法。
  8. 【請求項8】 ポリイミド系樹脂からなる非多孔質層を
    有する気体分離膜の非多孔質層表面を、塩素化合物及び
    /又は臭素化合物のガスの存在下でプラズマ処理を行う
    ことにより表面処理することを特徴とする表面改質ポリ
    イミド系樹脂気体分離膜の製造方法。
  9. 【請求項9】 分離膜が中空糸不均質膜である請求項5
    〜8のいずれか1項記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 分離膜が複合膜である請求項5〜8の
    いずれか1項記載の製造方法。
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