JPH08319471A - 酸性化合物捕獲能を有する無機粉末の用途 - Google Patents

酸性化合物捕獲能を有する無機粉末の用途

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JPH08319471A
JPH08319471A JP7128184A JP12818495A JPH08319471A JP H08319471 A JPH08319471 A JP H08319471A JP 7128184 A JP7128184 A JP 7128184A JP 12818495 A JP12818495 A JP 12818495A JP H08319471 A JPH08319471 A JP H08319471A
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powder
inorganic powder
acidic compound
coating
amino group
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JP7128184A
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Akira Nishihara
明 西原
Yukiya Yamashita
行也 山下
Kyoko Kawamura
京子 川村
Hideaki Sakurai
英章 桜井
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Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 シリカ、酸化チタン、アルミナ等の無機微粉
末をアミノ基含有アルコキシシラン化合物 (アミノ基含
有シランカップリング剤) またはアミノ変性シリコーン
オイルで表面被覆して、アミノ基を含有する被覆を1重
量%以上形成した無機粉末からなる、液体または気体か
ら酸性化合物を除去するための酸性化合物捕獲剤。 【効果】 酸性雨、微量の酸を含有する水または有機液
体、大気中の酸性物質などの除去に有効。さらに塗料中
に添加すると塗膜の防錆効果が向上し、土壌の酸性化防
止にも有効。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸性化合物捕獲能を有
する無機粉末を利用した、液体や気体から酸性化合物を
除去するための酸性化合物捕獲剤、この粉末を含有する
防錆性が改善された塗料、およびこの粉末からなる土壌
の酸性化防止剤に関する。
【0002】
【従来の技術】アミノ基を含有するアルコキシシラン化
合物は、シランカップリング剤として、ガラス繊維強化
プラスチックにおけるガラス繊維と樹脂の密着性を高め
るため、ガラス繊維の表面改質に広く用いられている。
【0003】また、気相法で得られたシリカ微粉末をア
ミノ基を含有するアルコキシシラン化合物またはアミノ
変性シリコーンオイルにより表面処理したものは、静電
記録法においてプラス帯電性を示すトナーの流動性改善
剤として利用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、酸性雨の被害が
目立ってくるにつれ、酸性雨による建物等の劣化や土壌
の酸性化を抑制するために、雨中に溶解した微量の酸性
化合物を中和反応により捕獲して除去する方法が求めら
れている。また、水や有機溶媒などの液中に微量に溶解
している酸性化合物を除去することが、例えば、水や有
機溶媒の高純度化などにおいて必要となることがある。
酸性化合物は、水溶液中では水素イオンと酸性化合物
(酸根)とに解離して存在するので、解離した陰イオン
と中和反応する塩基を用いて陰イオン、従って酸性化合
物を捕獲することができる。
【0005】酸性化合物の中和反応による捕獲に使用で
きる塩基性化合物の代表例として、アルカリ金属もしく
はアルカリ土類金属の水酸化物、ならびに有機アミン化
合物が挙げられる。しかし、液中に微量に溶解している
酸性化合物の除去にこのような塩基性化合物を使用する
と、この化合物自体が液中に溶解するため、かえって不
純物の混入量が多くなってしまう、さらには中和反応で
生成した塩(捕獲生成物)が液中に溶解するため液から
分離できないといった問題点がある。また、アルカリ金
属もしくはアルカリ土類金属水酸化物については、塩基
性が高すぎる、潮解性を示す等の理由により保存や安全
性にも問題がある。有機アミン化合物には、揮発性があ
る上、独特の臭気により使いにくいという問題がある。
【0006】本発明の目的は、上述した問題点がない、
液体や気体からの酸性化合物の除去に使用するための酸
性化合物捕獲剤を提供することである。より具体的に
は、液中に溶解せず、捕獲した酸性化合物を液から分離
でき、塩基性が温和で安全かつ保存性に優れ、揮発性や
臭気がない、酸性化合物捕獲剤と、その新たな用途を提
供することが本発明の目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、アミノ基
含有アルコキシシラン化合物またはアミノ基変性シリコ
ーンオイルで表面処理した無機粉末が、意外にも、酸性
化合物捕獲剤として機能し、それにより上記目的を達成
することができることを見出した。また、この無機粉末
を樹脂液中に分散させた塗料が防錆効果を示すこと、お
よびこの無機粉末が土壌の酸性化防止にも有効であるこ
とを見出した。
【0008】ここに、本発明は、アミノ基含有アルコ
キシシラン化合物またはアミノ変性シリコーンオイルか
ら形成されたアミノ基含有被覆を、粉末の1重量%以上
の量で表面に有する水不溶性無機粉末からなる、液体ま
たは気体から酸性化合物を除去するための酸性化合物捕
獲剤、上記の被覆粉末を含有する防錆性が改善された
塗料、および上記の被覆粉末からなる、土壌の酸性化
防止剤である。
【0009】以下本発明を詳しく説明する。本発明で
は、無機粉末をアミノ基含有アルコキシシラン化合物ま
たはアミノ変性シリコーンオイルで表面処理することに
より得られた、表面がアミノ基を含有する被覆で覆われ
た無機粉末を酸性化合物捕獲剤として使用する。
【0010】表面処理が施される無機粉末の種類は、水
不溶性であれば特に制限されない。具体例としては、シ
リカ、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、酸化錫、酸化
アンチモン、酸化インジウムなどの金属酸化物、これら
の2種以上からなる複合酸化物、水酸化アルミニウムな
どの金属水酸化物、硫化亜鉛などの硫化物、炭酸カルシ
ウム、炭酸ベリリウム、硫酸カルシウムなどの水不溶性
の塩、などが挙げられる。好ましい無機粉末は金属酸化
物であり、中でもシリカ、酸化チタン、およびアルミナ
が特に好ましい。
【0011】無機粉末の粒径にも特に制限はないが、粒
径が大きくなるほど、単位重量当たりの粉末の表面積が
小さくなり、従って粉末表面に付着する上記アルコキシ
シラン化合物またはシリコーンオイルの量が少なくなる
ので、粉末の酸性化合物捕獲能が低下する。その意味で
は微粒子が有利であるが、粒径が小さすぎると、粉末の
取扱いや濾過による回収が困難となり、また液中で凝集
してかえって酸性化合物捕獲能が低下することもある。
好ましい粉末は平均粒径が0.01〜2μm、特に0.01〜0.
5 μmの範囲のものである。
【0012】無機粉末の表面処理に用いるアミノ基含有
アルコキシシラン化合物は、次の一般式で示される化合
物である。 R1-Si-(R2)3 式中、R1 はアミノ置換アルキル基であり、各R2 基は
アルコキシル基、アルキル基、およびハロゲンから選ば
れた基であり、R2 の少なくとも1個、好ましくは2個
以上がアルコキシル基である。R2 のアルコキシル基と
アルキル基は、好ましくは炭素数4以下、特に好ましく
は1または2である。R1 基に存在するアミノ基は第
1、第2および第3アミンのいずれでもよく、またR1
基が2以上のアミノ基を含有していてもよい。
【0013】本発明で使用可能なアミノ基含有アルコキ
シシラン化合物の例を次に示すが、これらに制限される
ものではない。これらの化合物はシランカップリング剤
として市販されており、入手が容易なため例示したもの
である。
【0014】γ−アミノプロピルトリエトキシシラン [H2N(CH2)3Si(OC2H5)3] N−β− (アミノエチル) −β−アミノプロピルメチル
ジメトキシシラン [H2N(CH2)2NHCH(CH3)CH2Si(CH3)(OCH3)2] N−β− (アミノエチル) −γ−アミノプロピルトリメ
トキシシラン [H2N(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH3)3] N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン [C6H5NH(CH2)3Si(OCH3)3] 。
【0015】アミノ基含有アルコキシシラン化合物を粉
末表面に被覆すると、ケイ素に結合した1または2以上
のアルコキシル基が周囲環境に存在する水分により加水
分解されてヒドロキシル基 (OH基) になり、これが吸
着、水素結合、または脱水縮合により、無機粉末の表面
と強く結合する。例えば、無機粉末が金属酸化物である
場合には、加水分解で生成したヒドロキシル基と粉末表
面に存在する水酸基との脱水縮合により、粉末表面に化
学的に強固に結合する。また、アルコキシシラン化合物
に2以上のアルコキシル基が存在すると、隣接分子間の
アルコキシル基同士が加水分解と脱水縮合により結合し
てポリシロキサン構造の重合体が生成し、被覆がより強
固となる。
【0016】このアミノ基含有アルコキシシラン化合物
から形成された被覆はアミノ基を含有し、塩基性を示
す。従って、この被覆を有する無機粉末を酸性化合物を
含有する液中に投ずると、被覆中のアミノ基が酸性化合
物と反応し、酸付加塩を形成して、酸性化合物が粉末に
捕獲される。被覆が無機粉末の表面に固定化されている
ので、粉末を液から分離することによって、捕獲された
酸性化合物を液から分離できる。また、この方法で粉末
表面に固定化したアルコキシシラン化合物から形成され
た被覆は、揮発性がなく、アミン独特の臭気も持たな
い。
【0017】同様に、アミノ変性シリコーンオイルも、
無機粉末の表面と強固に密着した、アミノ基を含有する
被覆を形成でき、かつ被覆中のアミノ基が酸性化合物と
反応し、その酸性化合物を粉末に捕獲することができ
る。
【0018】アミノ変性シリコーンオイルとは、ポリジ
アルキルシロキサン、通常はポリジメチルシロキサン
[(−Si(CH3)2O−)n] の構造を持つ油状のケイ素重合体
の分子末端および/または側鎖にアミノ基を導入したも
のである。アミノ基の導入は、アミノ基を持たないシリ
コーンオイルの分子末端をアミノ化する、シリコーンオ
イルの合成時にモノマーの一部としてアミノ基含有シラ
ン化合物を使用するなどの手段により可能である。アミ
ノ変性シリコーンオイルも市販されており、市販品の例
としては、信越化学工業製のX-22-161A, KF-393, KF-85
9, KF-860, KF-861, KF-865, KF-857 などがある。
【0019】無機粉末をアミノ基含有アルコキシシラン
化合物またはアミノ変性シリコーンオイルにより表面処
理して、粉末表面にアミノ基を含有する被覆を形成す
る。この表面処理方法は、粉末に固定された被覆の形成
が可能であれば特に制限されず、湿式と乾式のいずれも
可能である。
【0020】湿式の表面処理は、アミノ基含有アルコキ
シシラン化合物またはアミノ変性シリコーンオイルを適
当な溶媒に溶解し、得られた溶液に無機粉末を浸漬し、
次いで無機粉末を濾過または溶媒の蒸発によって液と分
離して回収し、必要であれば回収した無機粉末を加熱す
ることにより行われる。
【0021】乾式の表面処理は、無機粉末を機械的に激
しく攪拌して流動または浮遊状態にし、ここにアミノ基
含有アルコキシシラン化合物またはアミノ変性シリコー
ンオイルを適当な溶媒に溶解した溶液を滴下または噴霧
し、必要によってさらに粉末を加熱することにより実施
できる。
【0022】いずれの方法でも、好ましい溶媒は、アル
コキシシラン化合物ではアルコールなどの親水性有機溶
媒または炭化水素系有機溶媒であり、シリコーンオイル
では炭化水素系有機溶媒である。処理後の無機粉末の加
熱は、被覆中のアミノ基の酸化を防止するために非酸化
性雰囲気中で行うことが好ましい。非酸化性雰囲気とし
ては、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲
気が好ましい。
【0023】この時の加熱温度は、被覆を粉末表面と結
合させて固定化するのに十分な温度であればよく、表面
処理に用いた材料により異なる。通常は、被覆材料がア
ミノ基含有アルコキシシラン化合物の場合には80〜150
℃、アミノ変性シリコーンオイルの場合には 180〜300
℃の温度である。一般にシリコーンオイルの方が、無機
粉末への十分な密着性を得るのにシラン化合物よりも高
温を要する。
【0024】アミノ基含有アルコキシシラン化合物また
はアミノ変性シリコーンオイルによる無機粉末の被覆量
は、無機粉末の種類、表面積、粒径等で異なるが、一般
に粉末重量%の1重量%以上である。1重量%未満であ
ると、粉末表面に存在するアミノ基の個数が少なすぎ、
酸性化合物の捕獲能が不十分となる。上限は特に限定さ
れないが、60重量%を超える多量の被覆は、無機粉末粒
子の凝集を生じたり、被覆の外側部分が無機粉末と結合
できず、酸性化合物の捕獲を行う液体中に溶解して、液
体を汚染する等の問題が起こることがあるので、60重量
%以下とすることが好ましい。より好ましい被覆量は5
〜40重量%の範囲である。被覆量は粉末に実際に被覆さ
れた重量である。
【0025】このアミノ基含有アルコキシシラン化合物
またはアミノ変性シリコーンオイルにより表面処理され
た、アミノ基含有被覆を有する無機粉末を酸性化合物捕
獲剤として、酸性化合物が溶解した液体に投入すると、
前述したように、粉末表面に結合した被覆中に存在する
アミノ基が液中に存在する酸性化合物と反応して酸付加
塩を形成し、酸性化合物がこの粉末に捕獲される。酸性
化合物が溶解した液の溶媒は、水、有機溶媒、および混
合溶媒のいずれでもよい。
【0026】一般に、アミノ基含有アルコキシシラン化
合物で表面被覆された無機粉末は、親水性が高いので、
水中の(水溶液状態の)酸性化合物の捕獲に適してい
る。一方、アミノ変性シリコーンオイルで表面被覆され
た無機粉末は疎水性が高いため、有機液体中の酸性化合
物の捕獲に適しているが、この無機粉末を水に投入する
と浮遊するので、攪拌を十分に行えば、水中の酸性化合
物の捕獲も十分に可能であり、かつ浮遊するために水と
の分離が容易であるという長所も有する。逆に、アミノ
基含有アルコキシシラン化合物で表面被覆された無機粉
末を有機液体中の酸性化合物の捕獲に使用することもで
きる。
【0027】本発明の酸性化合物捕獲剤を適用する液体
中の酸性化合物濃度は特に制限はないが、一般にppm オ
ーダーの微量から0.5 重量%程度までの範囲が適当であ
る。それより高濃度の場合には、沈殿反応を利用した酸
性化合物の除去の方が効率的である。従って、例えば、
酸性雨中に含まれる微量の硫酸イオンや硝酸イオンを除
去するのにも使用できる。
【0028】また、本発明の被覆無機粉末からなる酸性
化合物捕獲剤は、液中のみならず、気体中に存在する酸
性化合物と反応してこれを捕獲することができる。例え
ば、この被覆粉末をガス流通可能な適当な容器内に充填
し、この容器に被処理ガスを通すことにより、各種排ガ
スの脱硫や脱硝、さらには空気の清浄化といった用途に
使用できる。
【0029】本発明の酸性化合物捕獲剤では、酸性化合
物は被覆中のアミノ基に酸付加塩の形態で捕獲される。
この酸性化合物捕獲後の粉末を、被覆中のアミノ基より
塩基性の高い強塩基性化合物で処理すると、アミノ基に
付加した酸性化合物がこの強塩基性化合物と反応して脱
離し、アミノ基は遊離状態に戻る。こうして本発明の酸
性化合物捕獲剤を再生し、再利用することができる。
【0030】本発明の酸性化合物捕獲剤 (即ち、上記の
表面被覆された無機粉末) を塗料中に含有させると、樹
脂マトリックス中にこの表面被覆無機粉末を含む塗膜が
形成される。この塗膜に酸性化合物を含有する液体
(例、酸性雨) または気体が浸透すると、錆の発生原因
となる酸性化合物が粉末に捕獲される結果、塗膜の防錆
効果が増大する。例えば、上記の塗料を建材用の鋼板や
表面処理鋼板 (例、トタンなどのめっき鋼板) に塗布し
ておくと、鋼板の耐食性がより高まる。酸性化合物捕獲
剤の塗料への添加量は、樹脂固形分に対して10〜60重量
%の範囲内が好ましい。
【0031】この場合、表面被覆に用いる無機粉末とし
て、塗料の着色に使用する無機顔料(例、酸化チタン顔
料) を用いることもできる。それにより、着色剤として
の機能と酸性化合物捕獲剤としての機能を併せ持つ顔料
が得られ、これを塗料に顔料として使用すると防錆効果
の向上した塗料が得られる。また、無機粉末が平均粒径
0.5 μm以下、特に0.2 μm以下の微粉末である場合に
は、本発明の酸性化合物捕獲剤は透明性を有しているの
で、透明塗料 (クリアー塗料) 中に使用した場合にも塗
膜の透明性を阻害せずに、その防錆効果を高めることが
できる。
【0032】さらに、本発明の酸性化合物捕獲剤を土壌
に散布または混入しておくと、土壌中に含まれる酸性化
合物が水に溶解して生ずる酸性化合物や酸性雨中の酸性
化合物がこれに捕獲され、土壌の酸性化が防止される。
このような土壌の酸性化防止剤としては、土壌1m2当た
り10〜100 g程度を散布すればよい。
【0033】
【実施例】
(実施例1)無機粉末として平均粒径12 nm のシリカ粉末
(アエロジル#200 、日本アエロジル社製) 20gをジュ
ーサーミキサーに入れ、粉末が浮遊するように激しく攪
拌しながら、アミノ基含有アルコキシシラン化合物であ
るγ−アミノプロピルトリエトキシシラン (信越化学工
業製、KBE-903)2gをヘキサン4gに溶解した溶液から
なる表面処理液を2分間かけて滴下した。滴下終了後、
この粉末を容量1リットルのセパラブルフラスコに移
し、窒素気流中で120 ℃に2時間加熱し、アミノ基を含
む被覆をシリカ粉末の表面に形成した。被覆量はシリカ
粉末の重量の9重量%であった。
【0034】このアミノ含有被覆を有するシリカ粉末5
gを、0.1 重量%濃度の酢酸水溶液100 gに投入し、室
温で1時間攪拌した。攪拌終了後、溶液を加圧濾過して
粉末から分離し、溶液中に残留する酢酸の濃度をイオン
クロマトグラフで測定して、水中の酸性化合物の捕獲能
を評価した。
【0035】(実施例2)無機粉末として平均粒径0.1 μ
mの酸化チタン粉末20gを、表面処理液としてN−フェ
ニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン (信越化
学工業製、KBM-573)4gをヘキサン8gに溶解した溶液
を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。
【0036】(実施例3)無機粉末として平均粒径50 nm
のアルミナ粉末20gを、表面処理液としてN−β− (ア
ミノエチル) −γ−アミノプロピルトリメトキシシラン
(信越化学工業製、KBM-603)2gをヘキサン4gに溶解
した溶液を用いた以外は実施例1と同様の操作を行っ
た。
【0037】(実施例4)実施例1で用いたのと同じシリ
カ粉末をジューサーミキサーに入れ、粉末が浮遊するよ
うに激しく攪拌して浮遊しながら、アミノ変性シリコー
ンオイル (信越化学工業製、KF-393) 2gをヘキサン4
gに溶解した溶液からなる表面処理液を2分間かけて滴
下した。滴下終了後、この粉末を容量1リットルのセパ
ラブルフラスコに移し、窒素気流下で250 ℃に2時間加
熱し、アミノ基を含む被覆をシリカ粉末の表面に形成し
た。被覆量は粉末重量の10重量%であった。この表面被
覆したシリカ粉末を用いて実施例1と同様に酢酸溶液に
よる酸性化合物の捕獲能を評価した。
【0038】(実施例5)無機粉末として平均粒径0.5 μ
mの酸化亜鉛粉末20g、表面処理液として別のアミノ変
性シリコーンオイル (信越化学工業製、KF-857) 4gを
ヘキサン8gに溶解した溶液を用いた以外は実施例4と
同様の操作を行った。
【0039】(比較例1〜4)上記実施例で使用したのと
同じシリカ、酸化チタン、アルミナ、および酸化亜鉛の
各未処理の粉末を用いて、実施例1と同様に酢酸溶液に
よる酸性化合物の捕獲能を評価した。 (比較例5)実施例3と同様にアルミナ粉末を表面処理し
たが、滴下した表面処理液の量をアルコキシシラン化合
物0.2 gとヘキサン4gからなる溶液に変更した。アル
ミナ粉末の被覆量は1重量%未満であった。
【0040】(比較例6)実施例4と同様にシリカ粉末を
表面処理したが、滴下した表面処理液の量をアミノ変性
シリコーンオイル0.15gとヘキサン4gからなる溶液に
変更した。シリカ粉末の被覆量は1重量%未満であっ
た。
【0041】以上の実施例1〜5および比較例1〜6の
結果を表1にまとめて示す。
【0042】
【表1】
【0043】表1からわかるように、未処理の無機粉末
では酢酸はほとんど除去できないが、本発明に従って表
面被覆した無機粉末は、有機液体中の酸性化合物捕獲剤
として有効であり、70〜92%の酢酸を除去することがで
きた。特に、粉末をアミノ基含有アルコキシシラン化合
物で表面処理した実施例1〜3の酸性化合物捕獲能が高
かった。
【0044】(実施例6〜8)実施例1、2、および5で
得たアミノ基含有アルコキシシラン化合物またはアミノ
変性シリコーンオイルで表面処理された無機粉末5g
を、塩化水素50 ppmを含有する水溶液95 ml に投入し、
室温で1時間攪拌した。攪拌終了後、上澄みを加圧濾過
により粉末と分離し、分離された上澄み中の塩素量をイ
オンクロマトグラフで測定して、水中の酸性化合物の捕
獲能を評価した。
【0045】(比較例7〜9)実施例6〜8で使用したの
と同じ無機粉末を未処理で使用して、実施例6〜8と同
様に塩素イオンの捕獲能を調べた。以上の水中の塩素イ
オン捕獲能の結果を次の表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】本発明の酸性化合物捕獲剤は水中の酸性化
合物捕獲能も優れ、微量の塩素イオンを含有する水から
80〜88%以上の塩素イオンを除去できた。
【0048】(実施例9〜11)還流器、温度計、滴下ロー
ト、機械攪拌器を備えた300 ml三つ口フラスコにキシレ
ン60gを仕込み、90℃に昇温した後、スチレン20g、ア
クリル酸メチル19.5g、アクリル酸0.5 g、およびアゾ
ビスイソブチロニトリル2gを4時間かけて添加した
後、10時間反応させて、不揮発分41%、樹脂の重量平均
分子量10,000、酸価9.7 の樹脂溶液を得た。
【0049】この樹脂溶液5gに実施例1、2または3
で得られた表面被覆した無機粉末5gを添加し、十分に
攪拌して、塗料を作製した。この塗料を鉄板に乾燥厚み
が1μmとなるように塗布し、120 ℃で2時間乾燥して
塗膜を形成した。その後、この塗装鉄板を、塩化水素ガ
ス50 ppmを含む容器中に入れ、密閉して20日間放置し、
鉄板の表面状態を目視で観察した。
【0050】(比較例10〜12)無機粉末を未処理のまま使
用した以外は実施例9〜11と同様に塗料を作製し、試験
した。実施例9〜11および比較例10〜12の試験結果を表
3にまとめて示す。
【0051】
【表3】
【0052】本発明の酸性化合物捕獲剤を塗料中に含有
させて、この酸性化合物捕獲剤を含有する塗膜を形成す
ると、錆の発生が抑制され、塗膜の防錆効果が高まるこ
とがわかる。
【0053】(実施例12〜14)実施例1、2、および5で
得たアミノ基含有アルコキシシラン化合物またはアミノ
変性シリコーンオイルで表面被覆された無機粉末5g
を、人工砂として市販特級試薬の海砂100 gと十分に混
合し、これを100 mlのビーカーに入れた。この砂に100
ppm 濃度の硝酸水溶液10 ml を1日に1回噴霧しながら
10日間放置した後、噴霧を行わずにさらに3日間放置し
た。その後、海砂の表面にpH試験紙を置き、表面のp
Hを測定することにより、土壌の酸性化防止能を調べ
た。
【0054】(比較例13〜15)実施例12〜14で使用したの
と同じ無機粉末を未処理で用いて、実施例12〜14と同様
の操作を行った。以上の土壌の酸性化防止能の試験結果
を次の表4に示す。本発明の酸性化合物捕獲剤は、酸性
雨などによる土壌の酸性化防止にも有効であることがわ
かる。
【0055】
【表4】
【0056】
【発明の効果】本発明の酸性化合物捕獲剤は、水不溶性
の無機粉末の表面にアミノ基含有アルコキシシラン化合
物またはアミノ変性シリコーンオイルから形成された塩
基性の表面被覆を有しており、水、有機液体、気体など
から酸性化合物を高い効率で除去できる。また、本発明
の酸性化合物捕獲剤では、上記被覆が無機粉末に固定化
されているため、酸性化合物が溶解している水や有機液
体を汚染しない上、揮発性や臭気の問題もない。また、
この酸性化合物捕獲剤は潮解性がなく、塩基性が温和で
あるので、保存や安全性にも問題がない。
【0057】本発明の酸性化合物捕獲剤は、塗料に添加
すると、得られた塗膜の防錆効果を高めることができ、
また土壌の酸性化防止にも有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 5/08 PQE C09D 5/08 PQE 7/12 PSK 7/12 PSK C09K 17/38 C09K 17/38 H 17/42 17/42 H 17/48 17/48 H // C09K 101:00 (72)発明者 桜井 英章 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社中央研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミノ基含有アルコキシシラン化合物ま
    たはアミノ変性シリコーンオイルから形成されたアミノ
    基含有被覆を、粉末の1重量%以上の量で表面に有する
    水不溶性無機粉末からなる、液体または気体から酸性化
    合物を除去するための酸性化合物捕獲剤。
  2. 【請求項2】 アミノ基含有アルコキシシラン化合物ま
    たはアミノ変性シリコーンオイルから形成されたアミノ
    基含有被覆を、粉末の1重量%以上の量で表面に有する
    水不溶性無機粉末を含有する、防錆性が改善された塗
    料。
  3. 【請求項3】 アミノ基含有アルコキシシラン化合物ま
    たはアミノ変性シリコーンオイルから形成されたアミノ
    基含有被覆を、粉末の1重量%以上の量で表面に有する
    水不溶性無機粉末からなる、土壌の酸性化防止剤。
JP7128184A 1995-05-26 1995-05-26 酸性化合物捕獲能を有する無機粉末の用途 Withdrawn JPH08319471A (ja)

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