JPH08314537A - 大規模システムの保全解析方法及びその装置 - Google Patents

大規模システムの保全解析方法及びその装置

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JPH08314537A
JPH08314537A JP11589995A JP11589995A JPH08314537A JP H08314537 A JPH08314537 A JP H08314537A JP 11589995 A JP11589995 A JP 11589995A JP 11589995 A JP11589995 A JP 11589995A JP H08314537 A JPH08314537 A JP H08314537A
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JP11589995A
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Katsuo Jinno
勝夫 陣野
Hiromi Shimokawa
広実 下川
Haruyoshi Hirano
晴義 平野
Katsumi Hiruta
克己 蛭田
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Hitachi Ltd
Hitachi Plant Technologies Ltd
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Hitachi Ltd
Hitachi Plant Technologies Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 過去のデータ等を利用せずに最適な保全計画
を立案する。 【構成】 多数の機器で構成される大規模システムの保
全解析において、大規模システムのシステム構成に対し
てフォールトツリー解析を行って該システムにおける各
機器の重要度または該システムに対する影響度を求め、
該重要度または影響度に基づいて各機器の保全計画を決
定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプラント等の大規模シス
テムの保全解析方法及びその装置に係り、特に、大規模
システムを構成する機器やサブシステムの保全要否,保
全順序,保全方式を最適に決定するのに好適な保全解析
方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力,火力,水力の各発電プラントや
化学プラント,鉄鋼プラントなど多数の機器で構成され
た大規模システムでは、各機器やサブシステム等の保全
を図る必要がある。しかし、大規模システムでは、その
保全対象機器が膨大な数に昇るため、また、各機器毎に
保全方法,修理方法等が異なるため、計算機を用いて保
全計画を立案する必要がある。
【0003】従来の大規模システムの保全に関する技術
として、例えば特開平3―285118号公報記載のも
のがある。この従来技術では、システムを構成する各機
器の余寿命に基づいて、予防保全を行う様になってい
る。また、特開平3―90892号公報記載の従来技術
では、過去の事故・故障データを記憶装置に蓄積してお
き、このデータベースを利用して過去の事故等の再発防
止を図っている。更に、特開平4―147014号公報
記載の従来技術では、機器の状態を監視し、この監視デ
ータを記憶装置に格納しておき、この監視データに基づ
いて機器の保全を図るようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】大規模システムの保全
計画を立案する場合、上述した従来技術の様に機器の状
態監視データや過去の事故等のデータに基づいて行うの
はあまり現実的ではなく、現状のプラント等に適用する
のは困難である。その理由は、現在各地に存在し稼働し
ているプラントでは、小さな事故等は起こっているが、
最適保全計画立案に参考となるようなデータが取れるよ
うな事故等は滅多に起きていないためである。そこで、
過去のデータや現在動作している機器の状態データから
保全計画を立案する代わりに、他の方法で最適保全計画
を立案できる方法が要望されている。
【0005】本発明の目的は、過去のデータ等を利用せ
ずに最適な保全計画を立案できる保全解析方法及びその
装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的は、多数の機器
で構成される大規模システムの保全解析において、前記
大規模システムのシステム構成に対してフォールトツリ
ー解析を行って該システムにおける各機器の重要度また
は該システムに対する影響度を求め、該重要度または影
響度に基づいて各機器の保全計画を決定することで、達
成される。
【0007】
【作用】システムを設計したときのデータであるシステ
ム構成に対してフォールトツリー解析を行い、この解析
結果に基づいて保全計画を立案するので、過去のデータ
や現在の機器状態とは無関係に保全計画が立案でき、現
在動作中のプラント等には直に適用できる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。本発明の以下に述べる実施例では、保全の対象
となる機器やサブシステムを選定しその優先順位を決定
するために、各機器やサブシステム毎の故障が全体シス
テムに対して、致命的故障となるか否かを判断する方法
として、フォールトツリー解析(Fault Tree Analsi
s:想定し得るシステム故障を頂上事象とし、これに至
るシステム構成機器の個々の故障要因を論理記号に基づ
いて樹木状に展開し、個々の要因の故障率や修復時間等
の定量的データを基に、頂上事象の発生確率や不稼働率
を算出する解析方法。)を用いる。これにより、各機器
毎の故障によりシステムへの影響度を定量的に分析で
き、システムに対して致命的故障であるか否かを機械的
に判断できるので、保全対象機器やサブシステムを適切
に選定することが可能となる。また、定量的な解析結果
の情報が得られるので、プラント等の大規模システムへ
の影響度や重要度に応じて、優先保全順位を決定するこ
とが可能となる。
【0009】保全対象機器や優先保全順位の情報は、次
に最適な保全方法を決定するために、システムやプラン
トの特徴によって予め定められた保全方法決定のための
ロジックとして設定しておき、このロジックに従って判
断し、最終的に最適な保全方法を決定する。これらの一
連の作業は、予め蓄積した機器,サブシステム毎の設備
情報(機能,故障モード,故障率,使用時間等)を電子
情報や磁気情報として記憶装置に蓄積しておき、これら
の情報を読み出し機械的に行うことができるので、非熟
練者でも容易に適切な保全対策を講じることが可能とな
る。システムに部分的な改良が施された場合でも、フォ
ールトツリーを修正することにより改良部分のシステム
への影響度,重要度の解析が迅速に実行できる。
【0010】図1は、本発明の一実施例に係る保全解析
装置の構成図である。機器や部品情報,故障・保守履歴
情報1aと、オペレータの要求・指示情報1bは、入力
装置1cに入力される。判定装置1kは、記憶装置1e
に予め記憶されているフォールトツリー解析に必要な関
連情報を基に、前記オペレータ情報1bに従って保全対
象プラント等のフォールトツリー解析を、演算処理装置
1dで実行する。判定装置1kの解析結果も、入力装置
1cに入力される。
【0011】入力装置1cに入力された情報は、演算処
理装置1fを介して記憶装置1gに記憶される。この記
憶装置1gの記憶内容は、オペレータの要求・指示情報
1bに基づいて、演算処理装置1fによって演算され、
出力装置1hから出力・表示され、オペレータは出力情
報1iを得ることができる。
【0012】図2は、図1に示す判定装置1kの機能説
明図である。演算処理装置2aは、記憶装置1e内のフ
ォールトツリー解析に必要な関連情報である機器故障率
2c,非展開事象発生確率2d,中間事象2e,評価時
間2f,論理記号2g,FTロジック2hを基に、論理
記号を展開し、当該システムの機能喪失またはプラント
停止を頂上事象としたフォールトツリーを作成する。フ
ォールトツリーは、頂上事象に至る直接原因である中間
事象を順次展開し、各機能単位またはサブシステムであ
る基本事象や外部要因またはヒューマンエラーである非
展開事象に帰着させる。各基本事象と非展開事象は、事
象毎に、予め記憶装置1eに記憶されている上記値2
c,2d,2fにより数値データに基づいて論理計算さ
れ、各事象の組み合わせであるミニマル・カット・セッ
ト(最小パスセット)2iを求めると同時に、頂上事象
の発生確率(システム故障確率)2jを算出する。次
に、このミニマル・カット・セットに基づいて、演算処
理装置1dにより、各事象毎の重要度評価2kを実施す
る。この重要度評価により、Birnbaum重要度2l,Criti
cality重要度2m,Risk Achievement Worth2o,Risk
Reduction Worth2pが算出可能となる。
【0013】Birnbaum重要度2lは、各基本事象の発生
確率に対する頂上事象の発生確率の感度を表す。工学的
には、各機器が故障した時のシステムに与える影響の大
きさを表し、次の数1にて求めることができる。
【0014】
【数1】
【0015】Criticality重要度2mは、基本事象の発
生確率の変化幅に対する頂上事象の発生確率の相対的な
変化割合であり、次の数2により求める。
【0016】
【数2】
【0017】Risk Achievement Worth2oは、基本事象
(あるいは基本事象のグループ)iの故障発生確率を
“1”とした場合のシステムの発生確率(またはアンア
ベイラビリティ)を増加させる方向への寄与の度合、す
なわち、どれだけ悪くなるのかの指標を表し、次の数3
で求めることができる。
【0018】
【数3】
【0019】Risk Reduction Worth2pは、基本事象
(あるいは基本事象のグループ)iの故障発生確率を
“0”とした場合のシステムの発生確率(またはアンア
ベイラビリティ)を下げる方向への寄与の度合、すなわ
ち、どれだけ改善できるかの指標を表し、次の数4で求
めることができる。
【0020】
【数4】
【0021】以上の2l,2m,2o,2pの各機器また
はサブシステムの順位に基づいて、演算処理装置1d
は、各機器またはサブシステムの総合的な順位付けを決
定する。次に、最終的に決定した順位付けに基づき、各
機能単位の機器やサブシステムをある一定の閾値によ
り、「保全要」と「保全不要」の2種類に振り分ける。
ここで用いる閾値は、当該システム中またはプラント中
の機器,サブシステムのすべての中央値または平均値を
用いる。「保全要」と判定された機器,サブシステムに
ついては、重要度評価結果2kに基づき、再度順位付け
を行い、優先保全順位を決定する。これにより、システ
ム(プラント)に対して致命的な故障となる各機能単位
の機器,サブシステムを、影響度や重要度の高いものか
ら順に保全を施すことが可能となる。
【0022】図3は、図1に示す演算処理装置1fの機
能構成図である。保全方式の決定のための支援情報は、
オペレータの要求・指示情報1bに基づいて、記憶装置
1g内の記憶情報(保全方式決定のためのデータ)3a
が入出力処理機能3bを通して検索機能3cにより検索
され、判定装置1kで得られた判定結果3dの情報と共
に、保全方式決定機能3eに提供される。この保全方式
決定機能3eにより決定された結果3fは、入出力処理
機能3bから保全方式の出力データ3gとして出力さ
れ、これが最適な保全方式として求められる。
【0023】図4は、図3に示した保全方式決定機能3
eのロジックの一例を示すフローチャートである。判定
装置1kにより得られた情報を基に、影響度,重要度の
高い保全対象機器の順に、図4のロジックを行う。 (1)当該機器の故障が機能影響を及ぼす前に故障を発見
し補修することが可能で有効か否か。 (2)故障状態を検知する検査が可能で有効か否か。 (3)故障率を下げるための定期修理が可能で有効か否
か。 (4)故障の回避,故障率を下げるための定期交換が可能
で有効か。 (5)故障時にプラントへの影響はないか。 (6)再設計・設計変更は可能か。
【0024】そして、(1)で有効と判断された機器に対
しては「点検・状態監視保全」を行い、(2)で有効と判
断された機器に対しては「検査」を行い、(3)で有効と
判断された機器に対しては「定期保全」を行い、(4)で
有効と判断された機器に対しては「経時保全」を行い、
(5)で影響無しと判断された機器に対しては「通常事後
保全」を行い、(6)で可能と判断された機器に対しては
「再設計・設計変更」を行い、以上のどれにも該当しな
い機器に対しては「緊急事後保全」を行うように決定す
る。この決定に基づく結果は、図3の入出力機能3bに
よって、出力される。
【0025】尚、図4で例示したロジックは単なる例示
であり、他のロジックを適用してもよい。例えば、「運
転員の検出の可否」や「適切な予防保全作業の有無」等
をロジック判定してもよい。最終的には、予防保全とな
る時間計画保全および状態監視保全、さらに、時間計画
保全は定期保全や経時保全等を設定し、事後保全として
は緊急保全や通常事後保全を設定する。
【0026】図5は、機器の保全の要否を判定した結果
の出力例である。図6は、重要度評価結果によって得ら
れた優先保全順位の決定結果の出力例である。図7は、
図4のロジックで決定した保全方式の出力例である。こ
れらの出力結果により、最適な保全対象機器やサブシス
テム、その優先保全順位、最適な保全方式を、非熟練者
でも最小限の人的負担で得ることが可能となる。
【0027】尚、上述した実施例は、保全解析装置内で
フォールトツリー解析を行い保全方式等を決定したが、
システム設計やプラント設計の段階でフォールトツリー
解析を行い機器の重要度等に基づいて予め解析してある
場合には、その解析結果を利用して保全計画を立案する
ことも可能である。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、機器やサブシステムを
評価,管理することで、故障不具合を低減でき、また故
障を未然に防止でき、システム(プラント)の信頼性を
向上させることができ、システム(プラント)稼働率の
向上や保全経費の節減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る保全解析装置の構成図
である。
【図2】図1に示す判定装置の機能説明図である。
【図3】図1に示す演算処理装置1fの機能構成図であ
る。
【図4】保全方式決定のためのロジック図である。
【図5】機器保全の要否を判定した結果の出力例であ
る。
【図6】優先保全順位の決定結果の出力例である。
【図7】保全方式の決定結果の出力例である。
【符号の説明】
1a…機器・部品情報、1b…オペレータ要求・指示情
報、1c…入力装置、1d…演算処理装置、1e…記憶
装置、1f…演算処理装置、1g…記憶装置、1h…出
力装置、1i…出力情報、1k…判定装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平野 晴義 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 蛭田 克己 東京都豊島区南大塚三丁目53番11号今井三 菱ビル 日立プラント建設設計株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の機器で構成される大規模システム
    の保全解析方法において、前記大規模システムのシステ
    ム構成に対してフォールトツリー解析を行って該システ
    ムにおける各機器の重要度または該システムに対する影
    響度を求め、該重要度または影響度に基づいて各機器の
    保全計画を決定することを特徴とする大規模システムの
    保全解析方法。
  2. 【請求項2】 1纏まりの機能がサブシステムとして構
    成され複数のサブシステムの組み合わせとして構成され
    た大規模システムの保全解析方法において、前記大規模
    システムのシステム構成に対してフォールトツリー解析
    を行って各サブシステム毎の重要度または影響度を求
    め、該重要度または影響度に基づいて各サブシステムの
    保全計画を決定することを特徴とする大規模システムの
    保全解析方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2において、保全
    計画は、保全の要否,保全の優先順位,保全方式の少な
    くもと1つを含むことを特徴とする大規模システムの保
    全解析方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれかにおい
    て、フォールトツリー解析で前記重要度または前記影響
    度を定量的に求めることを特徴とする大規模システムの
    保全解析方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれかにおい
    て、大規模システムは、発電,化学,鉄鋼,一般産業プ
    ラントのいずれかであることを特徴とする大規模システ
    ムの保全解析方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項5のいずれかにおい
    て、前記大規模システムの設計段階でフォールトツリー
    解析し求めた前記重要度または影響度のデータを用いて
    保全計画を決定することを特徴とする大規模システムの
    保全解析方法。
  7. 【請求項7】 多数の機器で構成される大規模システム
    の保全解析装置において、前記大規模システムのシステ
    ム構成に対してフォールトツリー解析を行って該システ
    ムにおける各機器の重要度または該システムに対する影
    響度を求める解析手段と、該重要度または影響度に基づ
    いて各機器の保全計画を決定する保全決定手段とを備え
    ることを特徴とする大規模システムの保全解析装置。
  8. 【請求項8】 1纏まりの機能がサブシステムとして構
    成され複数のサブシステムの組み合わせとして構成され
    た大規模システムの保全解析装置において、前記大規模
    システムのシステム構成に対してフォールトツリー解析
    を行って各サブシステム毎の重要度または影響度を求め
    る解析手段と、該重要度または影響度に基づいて各サブ
    システムの保全計画を決定する保全決定手段とを備える
    ことを特徴とする大規模システムの保全解析装置。
  9. 【請求項9】 請求項7または請求項8において、保全
    計画は、保全の要否,保全の優先順位,保全方式の少な
    くもと1つを含むことを特徴とする大規模システムの保
    全解析装置。
  10. 【請求項10】 請求項7乃至請求項9のいずれかにお
    いて、フォールトツリー解析で前記重要度または前記影
    響度を定量的に求めることを特徴とする大規模システム
    の保全解析装置。
  11. 【請求項11】 請求項7乃至請求項10のいずれかに
    おいて、大規模システムは、発電,化学,鉄鋼,一般産
    業プラントのいずれかであることを特徴とする大規模シ
    ステムの保全解析装置。
  12. 【請求項12】 請求項7乃至請求項11のいずれかに
    おいて、前記解析手段による解析の代わりに、前記大規
    模システムの設計段階でフォールトツリー解析し求めた
    前記重要度または影響度のデータを用いて前記保全決定
    手段が保全計画を決定することを特徴とする大規模シス
    テムの保全解析装置。
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Cited By (4)

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Effective date: 20040224