JPH08312063A - 補強筋又はプリストレス鋼材等の係止装置 - Google Patents
補強筋又はプリストレス鋼材等の係止装置Info
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Abstract
に係止可能とする係止装置を提案する。 【解決手段】 係止装置は、基盤中に補強筋又はプリス
トレス鋼材15を係止させるものであり、貫通孔2を有す
る円筒形状の係止スリーブ1を具える。係止スリーブ
は、長手方向スリット4により少なくとも6個の曲げ素
子6に区分された変形領域3を装着方向S側の前端領域
に有する。ねじ無しの貫通孔9を有する拡開素子8は、
係止スリーブの軸線Aに対して傾斜させた接触領域10に
おいて曲げ素子5と接触するものであり、受け孔の内壁
に曲げ素子が押圧される際に係止スリーブの変形領域内
に挿入可能とされている。接触領域は、係止スリーブの
中心軸線に対して約30°〜80°の傾斜角αで傾斜してい
る。曲げ素子の長さは、係止状態における変形領域の外
径が未係止状態における外径の140%以下となるよう
に設定する。
Description
ス鋼材等を係止するための係止装置に関するものであ
り、特に、円筒形状の係止スリーブを具え、該係止スリ
ーブは、貫通孔と、装着方向側の前端領域で長手方向ス
リットによって複数の曲げ素子に区分された変形領域と
を有し、さらに、ねじ加工の施されていない貫通孔を有
する拡開素子を具え、該拡開素子は曲げ素子を接触させ
るべく係止スリーブの軸線に対して傾斜した接触領域を
有すると共に、曲げ素子が受け孔の内壁に対して押圧さ
れる際に係止スリーブの変形領域内に挿入可能とされて
いる係止装置に係るものである。
補強筋又はプリストレス鋼材を追加配設することが必要
とされる場合がある。このよな補強筋又はプリストレス
鋼材は、例えば、コクリート構造物の改造を行う場合
や、既存構造物と新規構造物との間における荷重負荷能
力のある結合を可能とする場合に設けられるものであ
る。従来既知の係止技術においては、先ず基盤を完全に
貫通する孔を形成する作業が必要である。次に、補強筋
又はプリストレス鋼材を完全に差し込み、基盤の無荷重
側に特殊ナット、プリストレス部材、スペーサ等をねじ
固定する。しかし、このような既知の係止技術は、基盤
の無荷重側にアクセスできなければ適用し得ない。した
がって、既知の係止技術は、例えば基礎構造物について
は適用不可能である。
追加的に配設する別の既知方法は、事後的に形成した受
け孔内に補強筋又はプリストレス鋼材等を化学的に固定
するものである。そのためには、先ず円筒形状の受け孔
を形成し、この受け孔を無機又は有機接着剤で充填する
必要がある。
は、接着剤を充填した受け孔内に挿入される。大径の補
強筋又はプリストレス鋼材の場合には、ダイヤモンド粒
子を被着したクラウンドリルを用いて受け孔を穿設しな
ければならない。その結果、極めて平滑となる受け孔の
内壁は、接着剤の充填に際して接着剤に保持力を与える
ために粗面化しなければならない。例えば、改造を要す
る基盤中に亀裂が存在する場合、補強筋又はプリストレ
ス鋼材の化学的結合は問題視されている。接着剤による
結合は、亀裂を必ずしも最適に克服しないからである。
基盤中の亀裂が更に拡がる場合に化学的結合は限定的に
しか有効でなく、最悪の場合には係止不能となる。
019号公報には坑道天井やトンネル等に適用する岩石
用のアンカーが開示されている。このアンカーは、貫通
孔を有する拡開スリーブと、長手方向にスリットを設け
た拡開領域と、ねじ加工の施されていない貫通孔を有す
る拡開コーン部材とを有する。拡開コーン部材と拡開ス
リーブとは連続的にアンカーロッドに乗り上げ、その装
着方向の前端にナットをねじ固定する。ナットの直径は
拡開コーン部材の直径より大とされている。このアンカ
ーを拡開させるためには、拡開スリーブの位置を受け孔
に対して固定し、拡開コーン部材をアンカーロッドで引
寄せる。ねじ固定したナットで構成される肩部により、
拡開コーン部材は拡開スリーブの前端領域内に進入す
る。その際、長手方向にスリットを有する拡開スリーブ
は半径方向外方に向けて拡開し、受け孔に対して摩擦結
合により係止される。このようなアンカーは、拡開力が
相当に強いため、あらゆる種類の基盤に対して使用でき
る訳ではない。岩石用アンカーを使用する場合、係止に
際する拡開圧力のために、最低限必要な一定の縁部間隔
を考慮しなければならない。亀裂が発生した場合、岩石
用アンカーは摩擦結合に基づく所要の負荷性能を保証で
きなくなる。既に基盤に亀裂がある場合、既知の岩石用
アンカーは不適当である。
補強筋又はプリストレス鋼材を基盤に対して係止するこ
とのできる係止装置を提案することにある。本発明の係
止装置は、事後的な係止に適すると共に、基盤の無負荷
側へのアクセスの可能性とは無関係に補強筋又はプリス
トレス鋼材を確実に係止可能とするものである。また、
本発明の係止装置は、基盤に亀裂が生じた場合でも、力
の伝達に有効な十分な大きさの伝達面積を活用して亀裂
を克服する。さらに、本装置は、特に既存の亀裂を有す
る基盤の改造に投入可能とするものである。本発明の係
止装置は、表面性状に係わりなく、補強筋又はプリスト
レス鋼材を基盤に対して確実に固定するものであり、基
盤に対する係止に際しては強い取り付け力を必要とせ
ず、係止装置の材料に損傷を生じさせるものではない。
は、基盤中に補強筋又はプリストレス鋼材等を係止する
ための係止装置として、円筒形状の係止スリーブを具
え、該係止スリーブは、貫通孔と、装着方向側の前端領
域で長手方向スリットによって複数の曲げ素子に区分さ
れた変形領域とを有し、さらに、ねじ加工の施されてい
ない貫通孔を有する拡開素子を具え、該拡開素子は曲げ
素子を接触させるべく係止スリーブの軸線に対して傾斜
した接触領域を有すると共に、曲げ素子が受け孔の内壁
に対して押圧される際に係止スリーブの変形領域内に挿
入可能とされている係止装置について改良を加え、特
に、係止スリーブを受け孔のアンダーカットに対する形
状結合によって係止可能とし、接触領域を係止スリーブ
の中心軸線に対して約30°〜80°の傾斜角で傾斜させ、
変形領域を少なくとも6個の曲げ素子に区分し、該曲げ
素子の長さは、係止状態における変形領域の外径が未係
止状態における外径の140%以下となるよう設定した
ことを特徴とするものである。
ーブの形状結合による係止に際しては、 無荷重状態にお
いて拡開力が作用しない点で有利である。この係止で
は、特別な縁部間隔を考慮する必要がない。本発明の係
止装置は、係止スリーブが形状結合によって係止される
ことにより、既に亀裂が存在するコンクリートにも対し
ても適用可能である。ボルトの接触領域における傾斜角
が約30°〜80°であるため、曲げ素子は係止スリーブに
対して比較的強く変形する。 本発明における傾斜角およ
び変形領域における拡大外径の下では、曲げ素子の変形
後、力を有効に伝達する十分に大きな伝達面積が実現さ
れ、亀裂の発生および拡大を抑制することができる。係
止は曲げ素子の塑性変形によって達成される。曲げ素子
の強度の変形にも拘わらず、係止スリーブの変形領域が
長手方向スリットによって少なくとも6個の曲げ素子に
区分されるため、曲げ素子の曲げ箇所に作用する引張力
を低減することができる。したがって、係止スリーブの
変形領域における亀裂の発生を回避することができる。
変形領域を少なくとも6個の曲げ素子に区分したことに
より、係止スリーブを係止させるための組付力も低く抑
えることができる。本発明による係止装置は事後的な係
止にも適当であり、基盤の無負荷側へのアクセスの可能
性とは無関係に、補強筋又はプリストレス鋼材を確実に
係止可能とするものである。ねじ切り加工の施されてい
ない貫通開口を有する拡開素子は、補強筋およびプリス
トレス鋼材を表面性状に拘わりなく固定可能とするもの
である。なお、本発明の係止装置により係止すべき補強
筋又はプリストレス鋼材は、各種直径のものとすること
が可能である。
約35°〜45°とすると共に変形領域は8個以上の曲げ素
子に区分する。この場合、曲げ素子の曲げ箇所に生じる
変形応力を一層低減することができる。同時に、取り付
けに必要な力も低減される。
のがが有利である。この場合、曲げ素子の曲げ箇所が特
定される。円周方向の切り込みを設けたことにより、曲
げ箇所には係止スリーブの係止に際して塑性変形を生じ
る継手が形成され、これにより係止に必要とされる組付
力を一層低減することが可能となる。
は、その外周面に対して所定の傾斜角をなすものとし、
この傾斜角は拡開素子の接触領域における傾斜角の少な
くとも1/2とするのが有利である。曲げ素子の曲げ領
域における塑性変形により、傾斜角を有する遷移領域は
最終的に接触するに至り、曲げ素子は係止スリーブに当
接して係止強度および荷重能力を一層高める。
能な実施例では、拡開素子の接触領域を円錐面として形
成する。なお、係止スリーブと拡開素子は、いずれも高
強度を要するため、金属製とするのが有利である。
層具体的に説明する。
基盤に係止するための本発明による係止装置の一実施例
を示すものであり、この係止装置は軸線方向の貫通孔2
が設けられた円筒形状の係止スリーブ1を具えている。
貫通孔2は、好適にはねじ切りが施されていない内周面
を有するものとする。装着方向S側の前端領域で係止ス
リーブ1に変形領域3を設け、変形領域3は長手方向ス
リット4により複数の曲げ素子5に区分する。係止装置
は、内周面にねじ切りが施されていない貫通孔9を有す
る拡開素子8を更に具えている。拡開素子8に曲げ素子
5と接触する接触領域10を設け、接触領域10は係止スリ
ーブ1の軸線Aに対して傾斜させる。図示例においては
接触領域10を円錐面として形成するが、凹曲面として形
成することも可能である。接触領域10の円錐面が係止ス
リーブ1の軸線Aに対してなす傾斜角αは約30°〜80
°、特に約35°〜45°とするのが有利である。
とも6個の曲げ素子5を設ける。この場合、曲げ素子5
を8個以上とするのが特に有利である。変形領域3にお
いて、係止スリーブ1の外周に円周方向の切り込み6を
設け、この切り込み6により塑性変形可能な継手を形成
する。係止スリーブ1の外壁1aに対する切り込み6の遷
移領域7は傾斜角βを有する。この傾斜角βは、拡開素
子8の接触領域10における傾斜角αの少なくとも1/2
とする。曲げ素子5の長さは、曲げ箇所から遊端までと
定義する。図示例においては、切り込み6によって曲げ
箇所を特定する。曲げ素子5の長さは、係止状態におけ
る変形領域の外径が未係止状態における外径の140%
以下となるように設定する。
止スリーブ1と拡開素子8とを鋼材15上まで変位させ
る。 鋼材15の表面には、ねじ切り加工を施す。装着方向
側Sの前端領域で、継手スリーブ16を鋼材15に装着して
ねじ固定する。継手スリーブ16には、鋼材15の表面形状
に適合する内ねじ加工を施す。拡開素子8と対向する端
部でスリーブ継手15に肩部17を形成し、円錐領域10とは
反対側に位置する拡開素子8の端部を肩部17に当接させ
る。
えばコンクリート製の基盤の受け孔11内に係止した鋼材
15を示している。 適切な受け孔11を形成するためには、
先ず、基盤中に円筒形状のドリル孔を穿設する。次に、
ドリル孔内の任意の深さの位置に既知の方法でアンダー
カット13を形成する。アンダーカット13を形成する際、
基盤の深部に残されるドリル孔は、継手スリーブ16と拡
開素子8とを係止スリーブ1の未変形状態で収めるのに
十分な長さを有するものとする必要がある。鋼材15上ま
で変位した係止スリーブ1を係止するため、切り込み6
がアンダーカット13の上端から約1mm〜10mmに位
置するよう係止スリーブを位置決めする。この位置決め
のため、例えば、係止スリーブ1に適切な長さをもた
せ、かつ、結合部材を介して基盤14の表面に当接させ
る。係止スリーブが短い場合、基盤14の表面から突出す
る長い管状部材を追加的に鋼材15上に導入しても良い。
管状部材の外面に符号を付することにより、係止スリー
ブ1を正確に位置決め調整可能とすることができる。
の引張力Zが及ぼされる際に、受け孔11から突出する鋼
材15に係止される。これと同時に、係止スリーブ1には
装着方向Sに作用する圧縮力Dが加わり、この圧縮力に
より係止スリーブ1の位置が保持される。引張力Zは、
鋼材15にねじ固定された継手スリーブ16の肩部17を経て
拡開素子8に伝達される。拡開素子8は、曲げ素子5の
塑性変形に際して係止スリーブ1の変形領域3内に進入
する。その結果、曲げ素子5はアンダーカット13の領域
でドリル孔内壁に向けて移動し、傾斜角を有する遷移領
域が設けられた切り込み6の領域内で係止スリーブに当
接する。係止状態における変形領域3の外径は、未係止
状態における外径の140%以下である。
強筋又はプリストレス鋼材を係止するために使用するも
のである。本発明の係止装置は、ねじ切り加工の施され
ていない貫通孔を係止スリーブおよび拡開素子に設けた
ことにより、いかなる表面性状を有する補強筋およびプ
リストレス鋼材に対しても使用可能である。本発明によ
る係止装置で鋼材を係止するためには、 拡開素子を当接
させる肩部を形成する適当な継手スリーブ等を鋼材に取
り付けるだけで十分である。アンダーカットを有する受
け孔は既知の方法により形成可能である。本発明による
係止装置は、無負荷状態では拡開力を作用させないで鋼
材を係止可能とするものである。通常、係止に際しては
特別な縁部間隔を考慮する必要はない。その結果、既存
の補強筋では決して分離しない基盤領域内に受け孔を設
けることが可能である。係止スリーブを形状結合によっ
て係止することにより、本発明の係止装置は既に亀裂を
有するコンクリートに対しても適用可能である。拡開素
子の接触領域における傾斜角が約30°〜80°であるた
め、 曲げ素子は係止スリーブに対して比較的強度の変形
を生じる。本発明による傾斜角と係止状態における変形
領域の外径により、 力の伝達に有効な十分な大きさの伝
達面積が利用可能となり、したがって亀裂の発生および
伝播を効果的に防止することが可能である。鋼材は曲げ
素子の塑性変形によって係止されるものである。その
際、曲げ素子の大きな変形にも拘わらず、係止スリーブ
の変形領域が長手方向スリットによって少なくとも6個
の曲げ素子に区分されるため、曲げ素子の曲げ箇所に作
用する引張力を制限することができる。したがって、係
止スリーブの変形領域における亀裂の発生を回避するこ
とができる。変形領域を少なくとも6個の曲げ素子に区
分することにより、係止スリーブを係止させるための取
り付けに要する力も比較的低く抑えることができる。本
発明による係止装置は後発的な係止にも適当であり、基
盤の無負荷側へのアクセスの可能性とは無関係に、補強
筋およびプリストレス鋼材の確実な係止を可能とするも
のである。
強筋上に変位した状態で一部破断して示す縦断面図であ
る。
態で一部破断して示す縦断面図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 基盤(14)中に補強筋又はプリストレス
鋼材(15)等を係止するための係止装置であって、円筒
形状の係止スリーブ(1)を具え、該係止スリーブは、
貫通孔(2)と、装着方向(S)側の前端領域で長手方
向スリット(4)によって複数の曲げ素子(5)に区分
された変形領域(3)とを有し、さらに、ねじ加工の施
されていない貫通孔(9)を有する拡開素子(8)を具
え、該拡開素子は曲げ素子(5)を接触させるべく係止
スリーブ(1)の軸線(A)に対して傾斜した接触領域
(10)を有すると共に、曲げ素子(5)が受け孔(11)
の内壁(12)に対して押圧される際に係止スリーブ
(1)の変形領域内に挿入可能とされている係止装置に
おいて、係止スリーブ(1)を受け孔(11)のアンダー
カット(13)に対する形状結合によって係止可能とし、
接触領域(10)を係止スリーブ(1)の中心軸線(A)
に対して約30°〜80°の傾斜角(α)で傾斜させ、変形
領域(3)を少なくとも6個の曲げ素子(5)に区分
し、該曲げ素子の長さは、係止状態における変形領域の
外径が未係止状態における外径の140%以下となるよ
う設定したことを特徴とする係止装置。 - 【請求項2】 請求項1記載の係止装置において、前記
傾斜角(α)を約35°〜45°とし、さらに、前記変形領
域(3)は8個以上の曲げ素子(5)に区分したことを
特徴とする係止装置。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載の係止装置におい
て、前記変形領域(3)に円周方向の切り込み(6)を
設けたことを特徴とする係止装置。 - 【請求項4】 請求項3記載の係止装置において、係止
スリーブは切り込み(6)の遷移領域(7)において、
係止スリーブ(1)の外壁(1a)に対して傾斜角(β)
で傾斜させ、該傾斜角(β)は拡開素子(8)の接触領
域(10)における前記傾斜角(α)の少なくも1/2と
したことを特徴とする係止装置。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項に記載の係
止装置において、拡開素子(8)の接触領域(10)を円
錐面として形成したことを特徴とする係止装置。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか一項に記載の係
止装置において、係止スリーブ(1)及び拡開素子
(8)を金属製としたことを特徴とする係止装置。
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