JPH08311652A - ダイヤモンド被覆超硬合金工具およびその製造方法 - Google Patents

ダイヤモンド被覆超硬合金工具およびその製造方法

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JPH08311652A
JPH08311652A JP14110595A JP14110595A JPH08311652A JP H08311652 A JPH08311652 A JP H08311652A JP 14110595 A JP14110595 A JP 14110595A JP 14110595 A JP14110595 A JP 14110595A JP H08311652 A JPH08311652 A JP H08311652A
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diamond
cemented carbide
film
tool
thickness
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JP14110595A
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Toshihiro Tsumori
俊宏 津森
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 本発明はその表面をダイヤモンド多結晶膜で
被覆した、長寿命で耐久性を有する新種の超硬合金工具
およびその製造方法の提供を目的とするものである。 【構成】 本発明は、超硬合金工具の表面にダイヤモン
ド多結晶膜を析出させたダイヤモンド被覆超硬合金工具
において、その作用部のダイヤモンド多結晶膜と超硬合
金の界面にダイヤモンド多結晶膜の平均膜厚に対して1/
20〜1/3 の平均厚さを有するダイヤモンド多結晶膜と超
硬合金の相互貫入層を設けてなることを特徴とするもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は表面をダイヤモンド被覆
超硬合金工具、特には超硬合金の表面にダイヤモンド多
結晶膜を強固に付着させた、長寿命、高耐久性を有する
ダイヤモンド被覆超硬合金工具およびその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】超硬合金工具を長寿命、高耐久性を有す
るものとするためには、この表面にダイヤモンド多結晶
膜を被覆することが試みられているが、このものが所定
の性能を発揮するためには工具表面とこれに被覆するダ
イヤモンド多結晶膜が使用中に剥離しないことが要件と
される。そのため、この種のダイヤモンド被覆超硬合金
工具については、この超硬合金工具とダイヤモンド多結
晶膜の密着性を向上させるために、超硬合金を酸でエッ
チング処理してからダイヤモンド多結晶膜を形成させる
という方法が提案されている(特開昭62-67174号公報、
特開昭 63-100182号公報参照)。
【0003】しかし、この方法では部材表面とダイヤモ
ンド多結晶膜との密着性を低下させるCoを溶出、除去
することはできるけれども、WCなどの硬質層成分を溶
出させることはできないので、この部材表面に微細で一
様な傷を形成することが難しく、工具としては用いるに
足る超硬合金とダイヤモンド多結晶膜との密着性を得る
ことが困難であるという不利がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】他方、ダイヤモンド多
結晶膜と被覆部材表面の粗度と密着性との関係は、公知
の資料によれば従来のコーティングのような粗度と密着
性が比例するといった一義的な関係とはならないとされ
ていることから、これについては例えば微細な砥粒を用
いて部材表面を研磨平滑化して密着性を向上させる方法
(特開昭62-5804号公報参照)、またこれとは逆に部材
表面に凹凸を形成させることによって密着性を向上させ
る方法(特開昭63-14869号公報参照)など、被覆部材の
使用目的、ダイヤモンド多結晶膜の被覆方法などにより
種々の方法が提案されている。
【0005】しかし、これらの方法により得られたダイ
ヤモンド多結晶膜被覆超硬合金工具は被覆膜が十分な密
着力を有しているものとはいい難い状況にあり、これに
ついては気相合成法によるダイヤモンド多結晶膜の析出
被覆において、一層の耐久性を得るためにダイヤモンド
多結晶膜の被覆膜厚を厚くすることが提案されている
が、これには密着性が急激に低下し、剥離を生じてしま
うという問題点がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような不
利、問題点を解決したダイヤモンド被覆超硬合金工具お
よびその製造方法に関するもので、このダイヤモンド被
覆超硬合金工具は超硬合金工具の表面にダイヤモンド多
結晶膜を析出させた被覆超硬合金工具において、その作
用部のダイヤモンド多結晶膜と超硬合金との界面にダイ
ヤモンド多結晶膜の平均膜厚に対して1/20以上 1/3未満
の範囲の平均厚さを有するダイヤモンド多結晶膜と超硬
合金の相互貫入層を設けてなることを特徴とするもので
あり、この製造方法は成分中のCo量が6重量%以下の
超硬合金工具を基材とし、この工具のダイヤモンド多結
晶膜を被覆する表面粗さを、JIS B 0601に準拠した10点
平均粗さでこれを被覆するダイヤモンド多結晶膜の平均
膜厚の1/20以上 1/3未満の範囲となるように表面加工
し、ついでダイヤモンド砥粒によるラップ処理または蒸
着法により白金族元素を表面に付着させたのち、これに
マイクロ波プラズマCVD法により所定の厚さのダイヤ
モンド多結晶膜を被覆することを特徴とするものであ
る。
【0007】すなわち、本発明者らは実用上ダイヤモン
ド多結晶膜が容易に剥離することがなく、したがって優
れた耐久性を示すダイヤモンド被覆超硬合金工具を開発
すべく種々検討した結果、超硬合金工具表面の凹凸の凹
部にダイヤモンド多結晶膜の下部が貫入した状態の結合
層(以下これを相互貫入層と呼ぶ)を形成させると、耐
久性、密着性の優れたダイヤモンド多結晶膜付き超硬合
金工具が得られること、またこの相互貫入層の厚さとこ
の表面に被覆されるダイヤモンド多結晶膜の厚さ、およ
びこれらの厚さの割合が特定の範囲のときに特に耐久性
の優れた工具の得られることを見出すと共に、これにつ
いては10点平均粗さでこの超硬合金表面にダイヤモンド
多結晶膜の膜の1/20〜1/3 の範囲の凹凸になるよう表面
加工し、これにダイヤモンド砥粒によるラップ処理また
は蒸着法により白金族元素を付着させ、ついでこれにマ
イクロ波プラズマCVD法でダイヤモンド多結晶膜を超
硬合金表面処理面に被覆すれば所望のダイヤモンド被覆
超硬合金工具の得られることを確認して本発明を完成さ
せた。以下にこれをさらに詳述する。
【0008】
【作用】本発明はダイヤモンド被覆超硬合金工具および
その製造方法に関するものであり、前記したようにこの
ダイヤモンド被覆超硬合金工具は超硬合金工具の表面に
ダイヤモンド多結晶膜を析出させた被覆超硬合金工具に
於いて、その作用部のダイヤモンド多結晶膜と超硬合金
の界面にダイヤモンド多結晶膜の平均膜厚に対して、1/
20以上 1/3未満の範囲の平均厚さを有するダイヤモンド
多結晶膜と超硬合金の相互貫入層を設けてなることを特
徴とするものであり、この製造方法は成分中のCo量が
6重量%以下の超硬合金工具を基材とし、同工具のダイ
ヤモンド多結晶膜を被覆する表面の10点平均粗さを、被
覆するダイヤモンド多結晶膜の膜の平均膜厚の1/20以上
1/3未満の範囲となるよう表面加工し、ついでダイヤモ
ンド砥粒によるラップ処理または蒸着法により白金族元
素を表面に付着した後、マイクロ波プラズマCVD法に
より所定の厚さのダイヤモンド多結晶膜を超硬合金表面
処理面に被覆することを特徴とするものであるが、これ
によれば耐久性、密着性に優れたダイヤモンド被覆超硬
合金工具を容易に得ることができるという有利性が与え
られる。
【0009】本発明における超硬合金は、硬質相成分と
してタングステンカーバイト(WC)を主として成り、
これにNb、Ti、Ta、V、Crなどの酸化物、窒化
物、珪化物および炭化物が適宜混合された物に、結合層
成分としてCo粉を加えて焼結した JIS B4053に規定の
ものとされるが、このCo量についてはCo成分が6重
量%を越えると触媒作用によりダイヤモンド多結晶被覆
時に低強度のグラファイトおよびアモルファスカーボン
の共析が生じ、ダイヤモンド多結晶膜の強度が低下する
ため、Co量が6重量%以下、好ましくは4〜6重量%
のもので、具体的には前記JIS記載のK01、K10、V
10などを用いることがよい。なお、このWCの粒径は工
具強化を低下させない範囲、具体的には平均粒径 0.5μ
m以上、好ましくは 0.7〜 2.0μm のものとすることが
よい。また、本発明で使用される超硬合金工具はこの超
硬合金からなるものであるが、このものは超硬合金から
製造が可能であればよく、特にその形状などに制限はな
い。具体的にはドリル、バイトチップ、エンドミル、リ
ーマ、ハクソー等の工具が挙げられる。
【0010】この超硬合金工具についてはその表面に後
記するダイヤモンド多結晶膜と超硬合金との相互貫入層
が設けられるのであるが、これにはこの相互貫入層の形
成に先立って超硬合金工具の表面に所定の粗度の表面加
工を施す必要がある。この表面加工としては固定砥石を
用いた一般の機械加工で行えばよいが、これはサンドブ
ラストなどの遊離砥粒による方法、イオンビーム、プラ
ズマまたはレーザーなどの高温熱源を用いる方法、およ
びケミカルエッチング、電解研磨などの湿式加工として
もよい。その中ではサンドブラストなどの遊離砥粒によ
る方法、電解研磨等の方法が好ましい。
【0011】このサンドブラスト法は、サンドブラスト
による表面加工はメディア材を噴射して加工を施すが、
このメディア材としてはセラミックス材であれば特に制
限はなく、SiCまたは Al2O3よりなるものが特に適し
ているが、金属成分を含有するメディアは破片の工具表
面への付着残留があるので好ましいものではない。な
お、ここに使用するメディアは粒径が#60〜#600 好ま
しくは#200 〜#400 の範囲のものとすることがよく、
これを噴射する場合の噴射圧力は3kg/cm2未満であると
メディアの飛散が弱く、10kg/cm2を超えると特にドリル
の場合、刃かけを起こし、好ましくないので噴射時間に
より異なるが概ね3〜10kg/cm2、好ましくは3〜6kg/c
m2とすればよい。また、噴射時間は 0.5〜30秒、好まし
くは 0.8〜10.0秒が好い。また電解研磨方法は、超硬合
金工具表面のCo成分をHCl又はHNO3水溶液により溶
出してCo除去層を設け、更に酸(HCl等)及びアル
カリ(NaOH等)水溶液中で電気分解反応を行って超硬合
金工具表面に凹凸を形成させる方法である。
【0012】この表面加工による超硬合金工具の粗面化
の程度は、この測定を一般の粗さの測定で行なうとその
凹凸の周期が後記する10点平均粗さと異なり、相互貫入
層の周期と必ずしも一致しないので、これを相互貫入層
の形成に有効な周期幅10μm以上、好ましくは20〜60μ
m の周期の凹凸とするためには JIS B0601に規定されて
いる10点平均粗さでここに被覆するダイヤモンド多結晶
膜の平均膜厚の1/20〜1/3 となるようにする必要があ
り、これによれば10点平均粗さの値がここに形成される
相互貫入層の周期とほぼ等しくなる。
【0013】なお、この場合この粗さの周期幅を10μm
以上としたのは、10μm未満では析出するダイヤモンド
多結晶を構成する粒塊の大きさが凹部より大きくなっ
て、この部分に析出が生せず、相互貫入層ができないた
めであり、10点平均粗さの範囲をダイヤモンド多結晶膜
の平均膜厚の1/20〜1/3 の範囲としたのは、この値がダ
イヤモンド多結晶の膜厚の1/20未満のときにはダイヤモ
ンド多結晶膜に実用的な密着性を得ることができず、こ
の値がダイヤモンド多結晶膜厚の 1/3を越えるとダイヤ
モンド多結晶の結合力が不足となって実用に足る表面硬
度が得られなくなるからである。また、相互貫入層の好
ましい厚さはダイヤモンド多結晶膜の膜厚の1/10〜 1/5
が好い。
【0014】このように表面処理された超硬合金工具に
ついては、ついでこの超硬合金表面処理面にダイヤモン
ド多結晶膜を被覆し、ここに相互貫入層を形成させるの
であるが、これについてはこの超硬合金の表面にダイヤ
モンド多結晶膜を構成する各ダイヤモンド結晶粒の析出
起点の増加を目的とした増核処理を施すことがよい。こ
の増核処理としてはダイヤモンド遊離砥粒を用いたラッ
プ処理や、白金族元素の蒸着層を超硬合金の表面に付着
させて成長起点とする方法が例示される。
【0015】このダイヤモンドの遊離砥粒によるラップ
処理は、液体または気体の媒質中でダイヤモンド遊離砥
粒を超音波、ジェット噴流、撹拌流により加速し、被処
理面の表面に衝突させる方法であり、具体的にはメタノ
ール、エタノール、プロパノール、アセトンなどの媒質
に粒径 0.1〜 200μm 、好ましくは 0.2〜 150μm のダ
イヤモンド砥粒を分散させ、約5〜20分超音波を印加す
ることで種結晶となるダイヤモンドの細片を付着させる
ものである。これによると、この処理での砥粒の粉砕で
生じたダイヤモンドの微少切片が被処理工具の表面に付
着残留するので、これが後のダイヤモンド多結晶の被覆
処理時に種結晶として作用するが、これは一般的なラッ
プ処理のように工具表面粗度の調整を目的とするもので
はないので、この処理は工具表面の粗度が大幅に変化し
ない程度にかつできるだけ均一になるように行なうこと
が好ましい。
【0016】また、この白金族元素の蒸着は白金族元素
を常法により超硬合金の表面に蒸着法で付着させればよ
く、これによればこれらの白金族元素の蒸着層がダイヤ
モンド成長起点になる。白金族の蒸留着は白金族に属す
る元素であれば限定しないが特にRu、Rh、Ir、P
tが好ましい。なお、この超硬合金についてはその表面
の増核処理を行なわないと、ダイヤモンド多結晶被覆時
の析出初期における核発生密度が低くなり、その結果工
具表面凹凸部の凸部のみにダイヤモンド多結晶が形成さ
れて凹部が空洞として残り、相互貫入層が形成しにくい
ので、後記するダイヤモンド多結晶被覆時のマイクロ波
プラズマCVDによる処理に当ってはこれに先立ってこ
の増核処理を行なうことが必要とされる。
【0017】このように増核処理された超硬合金表面に
はついでダイヤモンド多結晶膜が被覆されるのである
が、この超硬合金表面には上記した表面処理加工までの
工程でこの表面に各種加工粉、および表面の2μm以下
の部分に生ずる加工変質層に多量に含有されているCo
成分などが付着しているので、これについては酸洗浄で
これを除去することがよい。この酸洗浄に用いる酸は塩
酸または硝酸とすればよく、これらは濃度が7重量%を
越えたり、その処理時間が3分を越えると、過度のCo
成分の溶出によって工具本体の強度低下が招かれるの
で、これは濃度が 0.5〜7重量%で処理時間は30秒から
3分の範囲とすることがよいが、この酸洗浄は工具の加
工方法および粗面化処理の方法によっては全く不要の場
合もあるので、必ずしも必須なものではない。
【0018】つぎに、このように処理された超硬合金表
面はダイヤモンド多結晶膜で被覆されるのであるが、こ
のダイヤモンド被覆は従来公知のマイクロ波プラズマC
VD法で行えばよい。このマイクロ波プラズマCVD法
で使用されるマイクロ波の周波数は、これが10MHz未
満では無極放電プラズマが生せず、30GHzを超えると
反応管の直径が1cm以下と小さくなり実用性に欠けるの
で10MHz〜30GHz、好ましくは 900MHz〜5GH
zの範囲とすることがよい。
【0019】また、このマイクロ波プラズマCVD法で
使用される原料ガスはガス状の炭化水素、具体的には炭
素数3以下の炭化水素、好ましくはメタンガスと、水素
ガス、酸素ガス、一酸化炭素ガス又は二酸化炭素ガスと
し、これを反応器に供給し、流通させてダイヤモンド多
結晶膜の被覆を行えばよい。このガス組成はCH4 、H
2 の二成分系ではCH4 = 0.1〜5容量%、H2 残部、
CH4 、H2 、COの3成分系ではCH4 =0〜5容量
%、CO= 0.1〜30容量%、H2 残部、CH4 、H2
CO2 の3成分系ではCH4 = 0.1〜10容量%、CO2
=0〜20容量%、H2 残部などとすればよいが、これは
CH4 、H2、O2 、CO2 、COの組み合わせからな
る5成分系としてもよい。
【0020】この原料混合ガスの流量は反応管径などに
より大きく異なるが、1〜 2,000cc/分、好ましくは10
〜 500cc/分とすればよく、この反応における反応器内
雰囲気ガスの組成は、反応転化率が低いために流通ガス
の組成は原料混合ガスの流量とほぼ同じになる。なお、
この場合における超硬合金表面の温度は 500℃未満では
ダイヤモンドの析出速度が遅くなったり、析出物の結晶
性、均一性が失われたりするし、 1,200℃を越えると析
出、形成されたダイヤモンド多結晶膜が炭化されてしま
うので、500〜 1,200℃の範囲、好ましくは 800〜 950
℃の範囲とすることがよい。
【0021】また、このときの反応圧力はこれは10-2To
rr未満ではダイヤモンドの析出が遅くなったり、析出が
見られなくなったりし、103Torr を越えるとプラズマの
発生が困難となるので、通常は10-2〜103Torr の範囲と
されるが、好ましくは10-1〜300Torr の範囲とすること
がよい。この反応時間は被覆するダイヤモンド多結晶膜
の膜厚に直接関係しているので、これは目的とする膜厚
に応じて適宜設定すればよいが、通常は3〜 150時間、
好ましくは10〜30時間とすればよい。
【0022】このように処理することによって超硬合金
工具の表面にはダイヤモンド多結晶膜が被覆され、これ
によって高耐久性の超硬合金工具が得られるが、このダ
イヤモンド多結晶膜の厚さはそれが7μm未満ではダイ
ヤモンド多結晶膜の強度が十分生かされず、基体として
の超硬合金工具の硬度がそのまま特性として現れるの
で、ダイヤモンド多結晶膜の厚さは7〜30μmとするこ
とがよく、好ましくは10〜20μmとすることがよい。
【0023】
【実施例】つぎに本発明の実施例、比較例をあげる。こ
こでダイヤモンド多結晶膜の膜厚及び相互貫入層の厚さ
の測定方法は被測定物を被覆ダイヤモンド多結晶膜面に
垂直な面でメタルボンドダイヤモンドブレードを用いて
切断して被覆断面サンプルを製作し、これを走査電子顕
微鏡(1,000〜 3,000倍)または光学顕微鏡(400 〜 1,
000倍)により倍率 1,000倍で観察して求めた。図1は
上記断面サンプルの走査電子顕微鏡の 1,000倍の結晶構
造の写真(尺度10μm/cm)で、また図2は図1の写真
を拡大した略図で図示した説明図であり、図1、図2よ
り図中上部がダイヤモンド多結晶膜を、下部が超硬合金
層を、またこの2層の界面の凹凸部分の中間層が相互貫
入層を示している。相互貫入層の厚さ(μm)は被覆断
面を測定することにより求めた。即ち、図2に示したよ
うな被覆断面像において超合金表面の凸部の頂点から中
心線まで垂線を降ろした長さan 及び凹部の頂点から
中心線まで垂線を降ろした長さbn を測定し、下記の
式から長さの平均を求め、これを相互嵌入層の厚さとし
た。 またダイヤモンド膜の厚さ(μm)は、上述の相互貫入
層の上面(図2)と外表面の凹凸の平均面(図2)
までの間隔を測り求めた。 実施例1 タングステンカーバイド(WC)にCo粉を6重量%添
加し、焼結して得たJIS B 4053で規定されたK10種の超
硬合金からなるφ6mmのドリル表面に、アルミナ (Al2O
3)#120 を噴射圧力6kg/cm2で 2.8秒ブラスト処理して
表面粗度Rz(JIS B 0601)を 5.7μmになるように粗
面加工し、粒径 100μmのダイヤモンド遊離砥粒を媒質
エタノールを用いて15分ラップ処理した。
【0024】つぎに、このように処理したドリルを反応
器に入れ、1×10-3Torrに減圧したのち、ここにCH4
=1容量%、H2 =残部の原料混合ガスを流通させ、ド
リルの表面温度を 880℃とし、ここに2.45GHzのマイ
クロ波を印加してプラズマを生じさせ、30Torrで23時間
反応させたところ、ドリル表面に平均厚さ4μmのダイ
ヤモンド多結晶膜とタングステンカーバイトの相互貫入
層をもち、平均厚さ21μmのダイヤモンド多結晶膜で被
覆されたドリルが得られた。
【0025】このようにして得られた超硬合金工具とし
てのドリルの耐久性、ダイヤモンド多結晶膜の剥離強度
を測定するにあたりアルミニウム合金(A390 インゴッ
ト 660mm×90mm×35mm)を被削材に使用し、回転数
(V)8,000r.p.mで送り速度(F)0.1mm/回で穴あけ実
装試験をしたところ、表1に示したとおりの結果が得ら
れた。
【0026】実施例2〜5、比較例1〜4 実施例1で使用したドリルφ6mmと同じ材質の超硬合金
からなるバイトチップ(実施例2、実施例5、比較例
2、比較例4)、ドリルφ10mm(実施例3)、ドリルφ
4mm(実施例4)、ドリルφ2mm(比較例1)、ドリル
φ6mm(比較例3)について、表1に示したようにアル
ミナ#400 、アルミナ#600 、アルミナ#240 、アルミ
ナ#120 、アルミナ#1,200 、アルミナ#600 でブラス
ト処理するか、SiC固定砥石(粗目)で研磨して表1
に示した表面粗度Rzをもつ粗面加工をし、これに実施
例1と同じ方法で増核処理した。
【0027】ついで、これらを反応器に入れて1×10-3
Torrに減圧し、ここに表1に示した原料混合ガスを流通
させ、このドリル、バイトチップの表面を表1に示した
790〜 910℃の温度に加熱し、2.45GHzのμ波を印加
してプラズマを発生させ、表1に示したように25〜50To
rrで8〜41時間反応させたところ、工具表面に表1に示
した厚さの相互貫入層が形成され、厚さが7〜50μmの
ダイヤモンド多結晶膜で被覆されたドリルまたはバイト
チップが得られた。
【0028】つぎに、このようにして得られたダイヤモ
ンド多結晶膜で被覆したドリル、バイトチップについて
その耐久性、ダイヤモンド多結晶膜の剥離強度(バイト
チップ)、穴あけ実装試験(ドリル)を下記の条件で行
なったところ、つぎの表1に示したとおりの結果が得ら
れた。穴あけ実装試験はアルミ合金(A390 インゴット
660mm×90mm×35mm)を被削材に使用。(表中Vは回転
数、Fは送り速度、mm/rev:( mm/回転)) 剥離試験はASTM C633-79により、エポキシ接着による引
張剥離試験より求めた。
【0029】
【表1】
【0030】実施例6 実施例4と同様の方法でφ4mmドリルについてブラスト
処理を施した後のドリルを真空蒸着装置の内部に設置し
系内を4×10-7Torr迄減圧した後赤外線ランプによりそ
の表面を 430℃まで加熱した。この後EBガンによる蒸
着操作を行いドリルの表面に 0.3μm厚のPtの薄膜層
を形成した。このドリルにさらに実施例4と同様の方法
でダイヤモンド多結晶膜を形成したところ膜厚 7.5μ
m、相互貫入層厚 1.8μm(1/4.2) のダイヤモンド膜付
きドリルが得られた。同ドリルに付いて実施例1と同様
に穴あけ実装試験を行ったところ剥離が生ずるまでに2
5,700穴の加工が出来た。
【0031】
【発明の効果】本発明のダイヤモンド被覆超硬合金工具
には、ダイヤモンド多結晶膜の膜厚に関係なく、ドリル
については穴あけ実装試験では従来の被覆品に比べて 1
30倍以上、またバイトチップについては剥離試験では従
来品の 1.5倍以上(上限測定不能)と耐久性、耐剥離性
のすぐれたものになるし、この製造方法によれば安価な
超硬合金に高硬度、高耐摩耗性を有するダイヤモンド多
結晶膜を強固に付着させることが可能になるという有利
性が与えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のダイヤモンド多結晶膜被覆超硬合金の
結晶構造の走査電子顕微鏡(×1,000)写真(尺度10μ
m/cm)を示す。
【図2】図1の写真を拡大図示した本発明の結晶構造を
説明する為の略図を示す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超硬合金工具の表面にダイヤモンド多結
    晶膜を析出させた被覆超硬合金工具において、その作用
    部のダイヤモンド多結晶膜と超硬合金との界面にダイヤ
    モンド多結晶膜の平均膜厚に対して1/20以上 1/3未満の
    範囲の平均厚さを有するダイヤモンド多結晶膜と超硬合
    金の相互貫入層を設けてなることを特徴とするダイヤモ
    ンド被覆超硬合金工具。
  2. 【請求項2】 成分中のCo量が6重量%以下の超硬合
    金工具を基材とし、この工具のダイヤモンド多結晶膜を
    被覆する表面の10点平均粗さを被覆するダイヤモンド多
    結晶膜の平均膜厚の1/20以上 1/3未満の範囲となるよう
    に表面加工し、ついでダイヤモンド砥粒によるラップ処
    理または蒸着法により白金族元素を表面に付着させたの
    ち、これにマイクロ波プラズマCVD法により所定の厚
    さのダイヤモンド多結晶膜を被覆することを特徴とする
    ダイヤモンド被覆超硬合金工具の製造方法。
JP14110595A 1995-05-16 1995-05-16 ダイヤモンド被覆超硬合金工具およびその製造方法 Pending JPH08311652A (ja)

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