JPH08311480A - 高純度トリアシルグリセロールからなる油脂の製造方法及び高度不飽和脂肪酸含有油脂組成物 - Google Patents

高純度トリアシルグリセロールからなる油脂の製造方法及び高度不飽和脂肪酸含有油脂組成物

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JPH08311480A
JPH08311480A JP14413395A JP14413395A JPH08311480A JP H08311480 A JPH08311480 A JP H08311480A JP 14413395 A JP14413395 A JP 14413395A JP 14413395 A JP14413395 A JP 14413395A JP H08311480 A JPH08311480 A JP H08311480A
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fat
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fatty acid
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Shuichi Abe
秀一 阿部
Toshiyuki Abejima
祀于 阿部島
Shigeo Iwamoto
茂夫 岩本
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D H EE KODO SEISEI CHUSHUTSU G
D H EE KODO SEISEI CHUSHUTSU GIJUTSU KENKYU KUMIAI
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D H EE KODO SEISEI CHUSHUTSU G
D H EE KODO SEISEI CHUSHUTSU GIJUTSU KENKYU KUMIAI
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Abstract

(57)【要約】 【構成】非極性物質用吸着剤及び極性物質用吸着剤を用
いて、2段階で油脂を精製して高純度トリアシルグリセ
ロールからなる油脂を製造する方法、並びに、この方法
により得られた精製高度不飽和脂肪酸含有油脂と、その
100重量部当たり酸化防止剤0.01〜5重量部とを
含有する高度不飽和脂肪酸含有油脂組成物。 【効果】本発明方法によれば、トリアシルグリセロール
以外の不純物が効率よく除去され、極めて純度の高いト
リアシルグリセロールからなる油脂が得られる。また、
本発明の高度不飽和脂肪酸含有油脂組成物は、色、風
味、酸化安定性に優れ、一般食品、機能性食品、医薬品
などに好適に用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高純度トリアシルグリ
セロールからなる油脂の製造方法及び高度不飽和脂肪酸
含有油脂組成物に関するものである。さらに詳しくは、
本発明は、油脂中に含まれるトリアシルグリセロール以
外の不純物、例えば、遊離脂肪酸、モノアシルグリセロ
ール、ジアシルグリセロール、遊離ステロール、ステロ
ールエステル、金属及び色素などを効率よく除去し、極
めて純度の高いトリアシルグリセロールからなる油脂を
製造する方法、及びこの方法により得られた精製高度不
飽和脂肪酸含有油脂を含み、一般食品、機能性食品、医
薬品などとして有用な油脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】動植物から搾油されて得られる粗製油脂
には、各種の不純物が含まれていることから、通常はそ
のまま利用することは困難である。したがって、不純物
を除去する目的で、粗製油脂の精製が工業的に行われて
いる。この精製方法としては、通常、タンパク質分解物
やリン脂質除去のためのリン酸やクエン酸などの有機酸
処理による脱ガム工程、遊離脂肪酸除去のためのアルカ
リ処理による脱酸工程、色素除去のための活性白土や活
性炭などを用いる物理的吸着処理による脱色工程、臭い
の原因となる酸化生成物除去のための分子蒸留や水蒸気
脱臭による脱臭工程などを複数又はすべてを組み合わせ
た多段階工程による方法がとられている。また、このよ
うな通常の精製工程に加え、シリカゲル、アルミナ、ヒ
ドロキシアパタイトなどの無機質吸着剤(特公平6−3
1985号公報)や、有機ポリマー(特開平5−331
487号公報)を用いた化学的吸着処理も油脂精製に利
用されている。しかしながら、このような方法では、油
脂中の不純物を完全に除去することは困難で、得られた
精製油脂には主成分であるトリアシルグリセロール以外
に、各種の微量不純物が混入している。主な不純物とし
ては、例えば、トコフェロール、ジアシルグリセロー
ル、モノアシルグリセロール、遊離脂肪酸、遊離ステロ
ール、ステロールエステル、リン脂質などの脂質関連物
質、色素、生体由来のタンパク質、金属などが挙げられ
る。これらの微量不純物をできるだけ除去した高純度ト
リアシルグリセロールを得ることは、色、酸化安定性、
風味ともに良好な油脂を得る上で重要である。近年、γ
−リノレン酸、α−リノレン酸、エイコサペンタエン
酸、ドコサヘキサエン酸などの高度不飽和脂肪酸は、高
等動物において、血圧、ホルモン分泌系、免疫系などを
調節し、種々の機能を有するプロスタグランジン類の前
駆体としての役割を果たすことが知られるようになり、
機能性食品や医薬品としての利用が積極的に図られてい
る。γ−リノレン酸は月見草の種子油中に、α−リノレ
ン酸はエゴマ油中に、エイコサペンタエン酸はイワシや
サバなどの魚油中に、ドコサヘキサエン酸はマグロやカ
ツオなどの頭部から得られる魚油中に多く含まれてい
る。また、γ−リノレン酸やエイコサペンタエン酸は、
それぞれある種の微生物から採取される油脂にも含まれ
ていることが知られている。このような高度不飽和脂肪
酸含有油脂は、優れた生理活性を有しているが、酸化安
定性が極めて悪いという欠点を有しており、高度不飽和
脂肪酸含有油脂を油脂加工食品、機能性食品、医薬品な
どとして利用するためには、油脂中のトリアシルグリセ
ロール以外の不純物をできるだけ除去し、色、風味、酸
化安定性に優れた高度不飽和脂肪酸含有油脂を得ること
が必要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、油脂中に含まれるトリアシルグリセロー
ル以外の不純物を効率よく除去し、純度の高いトリアシ
ルグリセロールからなる油脂、特に高度不飽和脂肪酸含
有油脂を製造する方法、及び油脂加工食品、機能性食
品、医薬品などとして有用な、色、風味、酸化安定性な
どに優れる高度不飽和脂肪酸含有油脂組成物を提供する
ことを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、非極性物質用吸
着剤及び極性物質用吸着剤を用いて、2段階で油脂を精
製することにより、トリアシルグリセロール以外の不純
物が効率よく除去され、色、風味、酸化安定性などに優
れる高純度のトリアシルグリセロールからなる油脂が得
られることを見いだすとともに、この方法により精製さ
れた高度不飽和脂肪酸含有油脂に、酸化防止剤を特定の
割合で配合することにより、前記目的に適合しうる高度
不飽和脂肪酸含有油脂組成物が得られることを見いだし
た。本発明は、これらの知見に基づいて完成したもので
ある。すなわち、本発明は、 (1)非極性物質用吸着剤及び極性物質用吸着剤を用い
て、2段階で油脂を精製することを特徴とする高純度ト
リアシルグリセロールからなる油脂の製造方法、 (2)油脂が高度不飽和脂肪酸含有油脂である第(1)項
記載の方法、及び、 (3)第(2)項記載の方法により得られた精製高度不飽
和脂肪酸含有油脂と、その100重量部当たり酸化防止
剤0.01〜5重量部とを含有することを特徴とする高
度不飽和脂肪酸含有油脂組成物、を提供するものであ
る。さらに、本発明の好ましい態様として、 (4)高度不飽和脂肪酸含有油脂が、γ−リノレン酸、
α−リノレン酸、エイコサペンタエン酸又はドコサヘキ
サエン酸を含有するものである第(2)項記載の方法、 (5)高度不飽和脂肪酸含有油脂が、γ−リノレン酸、
α−リノレン酸、エイコサペンタエン酸又はドコサヘキ
サエン酸を含有するものである第(3)項記載の高度不飽
和脂肪酸含有油脂組成物、を挙げることができる。
【0005】本発明方法において用いられる油脂につい
ては特に制限はなく、様々な種類の油脂、例えば、動物
油脂、植物油脂、微生物から採取された油脂、合成油脂
又はこれらの加工油脂などのトリアシルグリセロールを
主成分とするものを使用することができる。これらの油
脂の中で、高度不飽和脂肪酸を含有する油脂としては、
例えば、月見草油(γ−リノレン酸)、エゴマ油(α−
リノレン酸)、亜麻仁油(α−リノレン酸)、イワシや
サバなどの魚油(エイコサペンタエン酸)、マグロやカ
ツオなどの魚油(ドコサヘキサエン酸)などが挙げられ
る。なお、かっこ内はそれぞれの油脂中に多く含まれる
高度不飽和脂肪酸の種類を示す。本発明方法において
は、前記油脂類は、非極性物質用吸着剤及び極性物質用
吸着剤による2段階の処理によって精製される。非極性
物質用吸着剤による処理方法には特に制限はないが、例
えば、逆相カラムクロマトグラフィーなどを応用するこ
とができる。非極性物質用吸着剤としては、例えば、シ
リカゲルや有機ポリマーなどの支持体にオクタデシル
基、オクチル基などのアルキル基、フェニル基などのア
リール基を結合したものなどが好ましく用いられる。逆
相カラムクロマトグラフィーによる処理によって、遊離
脂肪酸、遊離ステロール、ジアシルグリセロール、モノ
アシルグリセロールなどの極性不純物を主に除去するこ
とができる。この際、n−ヘキサン、石油エーテルなど
の非極性溶剤に油脂を溶解してカラムに供給し、メタノ
ールやエタノールなどの極性溶剤を送液するのが有利で
あり、これによって、トリアシルグリセロールよりも極
性の高い不純物が主に効果的に除去される。
【0006】本発明方法においては、極性物質用吸着剤
による処理方法には特に制限はないが、例えば、順相カ
ラムクロマトグラフィーなどを応用することができる。
極性物質用吸着剤としては、例えば、シリカゲル、アル
ミナ、ヒドロキシアパタイト、有機ポリマーなどが好ま
しく用いられる。順相カラムクロマトグラフィーによる
処理によって、ステロールエステルなどの非極性不純物
を主に除去することができる。この際、n−ヘキサン、
石油エーテルなどの非極性溶剤に油脂を溶かしてからカ
ラムに供給し、n−ヘキサン、石油エーテルなどの非極
性溶剤を送液するのが有利であり、これによって、トリ
アシルグリセロールよりも極性の低い不純物が主に効果
的に除去される。本発明方法においては、油脂をまず非
極性物質用吸着剤により精製したのち、極性物質用吸着
剤により精製してもよいし、逆にまず極性物質用吸着剤
により精製したのち、非極性物質用吸着剤により精製し
てもよい。また、通常の油脂の精製方法、例えば、脱ガ
ム工程、脱酸工程、脱色工程及び脱臭工程において、脱
色工程後に本発明方法による精製処理を行い次いで脱臭
工程を行うのが効果的である。このようにして、油脂中
のトリアシルグリセロール以外の不純物が極めて効率よ
く除去され、色、風味、酸化安定性に優れる高純度のト
リアシルグリセロールからなる油脂が得られる。本発明
方法は、特に酸化安定性の悪い前記の高度不飽和脂肪酸
含有油脂の精製に有利に適用することができる。
【0007】本発明の高度不飽和脂肪酸含有油脂組成物
は、前記の方法により精製された高度不飽和脂肪酸含有
油脂と酸化防止剤とを含有するものである。使用する酸
化防止剤には特に制限はなく、従来公知のもの、例え
ば、トコフェロール、クエン酸、ビタミンC及びそれら
のエステル、茶抽出物、没食子酸エステル、レシチン、
ブドウ抽出物、ヤマモモ抽出物、ゴマ抽出物、BHA
(ブチルヒドロキシアニソール)、BHT(ブチルヒド
ロキシトルエン)などの中から任意のものを選択して用
いることができる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単
独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても
よい。本発明の組成物において、酸化防止剤は、精製高
度不飽和脂肪酸含有油脂100重量部に対し、0.01
〜5重量部の割合で用いることが必要である。この量が
0.01重量部未満であると、酸化安定性の向上効果が
十分に発揮されないし、5重量部を超えると、その量の
割には効果の向上がみられず、むしろ風味や色調などが
低下する場合がある。酸化安定性、風味、色調などの面
から、酸化防止剤の好ましい配合量は、精製高度不飽和
脂肪酸含有油脂100重量部当たり0.05〜3重量部
の範囲であり、特に0.1〜2重量部の範囲が好適であ
る。このようにして得られた本発明の高度不飽和脂肪酸
含有油脂組成物は、色、風味、酸化安定性などに優れ、
一般の油脂加工食品に好適に用いられ、また機能性食品
や医薬品などとしても有用である。
【0008】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら
限定されるものではない。 実施例1 通常の脱ガム、脱酸、脱色工程により精製されたマグロ
油〔脂肪酸組成中、ドコサヘキサエン酸(DHA)24.
5%、エイコサペンタエン酸(EPA)6.6%含有〕を
原料油として用いた。なお、DHA及びEPAの含有量
は、ガスクロマトグラムの面積比より求めた値である。
上記のマグロ油50gをn−ヘキサンに溶解し、逆相ク
ロマトグラフィー用吸着剤を充填したODSカラム[S
oken pak ODS 50φ×500mmL 15
/30μm 総研化学(株)製]に供して、高速液体クロ
マトグラフィーを行った。移動相として、始めにメタノ
ールを4,500ml送液して極性不純物を分離した。次
にアセトンを2,250ml送液し、トリアシルグリセロ
ールを含む画分を分取したのち、減圧蒸留にて溶剤を留
去した。その後、ODSカラムはn−ヘキサン、アセト
ン、メタノールの順に送液して洗浄することにより再生
した。ODSカラムにて分取し、溶剤を留去した画分を
1/1(容量比)の比でn−ヘキサンに溶解し、順相クロ
マトグラフィー用吸着剤を充填したSiカラム[Sok
en pak シリカゲル 50φ×500mmL 15
/30μm 総研化学(株)製]に供して、高速液体クロ
マトグラフィーを行った。移動相として、始めにn−ヘ
キサン/酢酸エチル〔99/1(容量比)〕を4,500m
l送液して非極性不純物を分離した。次に、n−ヘキサ
ン/酢酸エチル〔99/5(容量比)〕を3,000ml送
液し、トリアシルグリセロールを含む画分を分取したの
ち、減圧蒸留にて溶剤を留去した。その後、Siカラム
はアセトン、n−ヘキサン/酢酸エチル〔99/1(容
量比)〕の順に送液して洗浄することにより再生した。
2段階のクロマトグラフィー精製、溶剤留去により得ら
れた油脂を210℃で1時間水蒸気脱臭した。以上の精
製処理により得られた油脂を、薄層クロマトグラフィー
〔薄層プレート:シリカゲル、移動相:n−ヘキサン/
ジエチルエーテル/酢酸[80/30/1(容量比)]〕
にて展開した。その結果を図1に示す。図1に見られる
ように、2段階精製した油脂を薄層クロマトグラフィー
で展開すると、トリアシルグリセロールの単一スポット
が得られ、本発明の精製法により高純度のトリアシルグ
リセロールが得られたことが確認された。また、実施例
1により精製したトリアシルグリセロールの風味は全く
の無味無臭であった。実施例1で得られた精製油の色調
は無色透明であり、トコフェロール含量は3.7ppm、鉄
含有量は0.012ppm、酸価は0、過酸化物価は0meq
/kgであった。実施例1で得られたトリアシルグリセロ
ールに、δリッチトコフェロール[イーミックスD、エ
ーザイ(株)製]を1重量%添加して高度不飽和脂肪酸含
有油脂組成物を得た。この高度不飽和脂肪酸含有油脂組
成物の、25℃保存時の過酸化物価の経時変化を図2に
示す。 比較例1 実施例1で用いたものと同じマグロ油を、210℃で1
時間水蒸気脱臭のみを行った。得られた精製油脂を、実
施例1と同様に薄層クロマトグラフィーにて展開した。
結果を図1に示す。図1に見られるように、原料油のマ
グロ油をそのまま水蒸気脱臭した通常精製油を薄層クロ
マトグラフィーで展開すると、トリアシルグリセロール
のスポットとさらに極性側、非極性側両方にスポットが
観察されたので、通常精製ではトリアシルグリセロール
以外の不純物の除去が不十分であることが確認された。
比較例1で得られた通常精製油の色調(ロビボンド値Y
/R)、トコフェロール含量、鉄含有量、酸価、過酸化
物価を第1表に示す。
【0009】
【表1】
【0010】第1表において比較例1と実施例1を比較
すると、実施例1の方が明らかに不純物が多く除去さ
れ、高純度となっていることが分かる。比較例1で得ら
れた通常精製油に、δリッチトコフェロール[イーミッ
クスD、エーザイ(株)製]を1重量%添加して高度不飽
和脂肪酸含有油脂組成物を得た。この高度不飽和脂肪酸
含有油脂組成物の、25℃保存時の過酸化物価の変化を
図2に示す。図2から、酸化防止剤添加時の酸化安定性
は、実施例1の油脂組成物の方が比較例1の油脂組成物
より優れていることが分かる。 比較例2 実施例1で用いたものと同じマグロ油50gをn−ヘキ
サンに溶解し、逆相クロマトグラフィー用吸着剤を充填
したODSカラム[Soken pak ODS 50
φ×500mmL 15/30μm 総研化学(株)製]に
供して、高速液体クロマトグラフィーを行った。移動相
として、始めにメタノールを4,500ml送液して極性
不純物を分離した。次にアセトンを2,250ml送液
し、トリアシルグリセロールを含む画分を分取したの
ち、減圧蒸留にて溶剤を留去した。その後、ODSカラ
ムはn−ヘキサン、アセトン、メタノールの順に送液し
て洗浄することにより再生した。この逆相クロマトグラ
フィーのみの精製、溶剤留去により得られた油脂を、実
施例1と同じ条件で水蒸気脱臭した。以上の精製処理に
より得られた油脂を、実施例1と同様に薄層クロマトグ
ラフィーにて展開した。結果を図1に示す。図1に見ら
れるように、逆相クロマトグラフィーのみで精製した油
脂を薄層クロマトグラフィーで展開すると、トリアシル
グリセロールのスポットとさらに非極性側にスポットが
観察されたので、逆相クロマトグラフィーだけの精製で
はトリアシルグリセロール以外の不純物の除去が不十分
であることが確認された。 比較例3 実施例1で用いたものと同じマグロ油50gを、1/1
(容量比)の比でn−ヘキサンに溶解し、順相クロマトグ
ラフィー用吸着剤を充填したSiカラム[Soken
pak シリカゲル 50φ×500mmL 15/30
μm 総研化学(株)製]に供して、高速液体クロマトグ
ラフィーを行った。移動相として、始めにn−ヘキサン
/酢酸エチル〔99/1(容量比)〕を4,500ml送液
して非極性不純物を分離した。次に、n−ヘキサン/酢
酸エチル〔99/5(容量比)〕を3,000ml送液し、
トリアシルグリセロールを含む画分を分取したのち、減
圧蒸留にて溶剤を留去した。その後、Siカラムはアセ
トン、n−ヘキサン/酢酸エチル〔99/1(容量比)〕
の順に送液して洗浄することにより再生した。この順相
クロマトグラフィーのみの精製、溶剤留去により得られ
た油脂を、実施例1と同様に水蒸気脱臭した。以上の精
製処理により得られた油脂を、実施例1と同様に薄層ク
ロマトグラフィーにて展開した。結果を図1に示す。図
1に見られるように、順相クロマトグラフィーのみで精
製した油脂を薄層クロマトグラフィーで展開すると、ト
リアシルグリセロールのスポットとさらに極性側にスポ
ットが観察されたので、順相クロマトグラフィーだけの
精製ではトリアシルグリセロール以外の不純物の除去が
不十分であることが確認された。 実施例2 通常の脱ガム、脱酸、脱色工程にて精製されたエゴマ油
〔α−リノレン酸56.9%含有(ガスクロマトグラム
の面積比による)〕を原料油として用い、実施例1と同
様に、逆相クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィ
ー及び水蒸気脱臭により精製処理を行った。得られた油
脂を、実施例1と同様に薄層クロマトグラフィーにて展
開した。結果を図1に示す。図1に見られるように、逆
相クロマトグラフィー及び順相クロマトグラフィーの2
段階により精製した油脂を薄層クロマトグラフィーで展
開すると、トリアシルグリセロールの単一スポットが得
られたので、本発明の精製法により高純度のトリアシル
グリセロールが得られたことが確認された。また、実施
例2により精製したトリアシルグリセロールの風味は全
くの無味無臭であった。実施例2で得られたトリアシル
グリセロールに、δリッチトコフェロール[イーミック
スD、エーザイ(株)製]を1重量%添加して高度不飽和
脂肪酸含有油脂組成物を得た。この高度不飽和脂肪酸含
有油脂組成物の、25℃保存時の過酸化物価の経時変化
を図3に示す。 比較例4 実施例2で用いたものと同じエゴマ油を、210℃で1
時間水蒸気脱臭のみを行い、得られた精製油脂を、実施
例1と同様に薄層クロマトグラフィーにて展開した。結
果を図1に示す。図1に見られるように、原料油のエゴ
マ油をそのまま水蒸気脱臭した通常精製油を薄層クロマ
トグラフィーで展開すると、トリアシルグリセロールの
スポットとさらに極性側、非極性側の両方にスポットが
観察されたので、通常精製ではトリアシルグリセロール
以外の不純物の除去が不十分であることが確認された。
比較例4で得られた通常精製油に、δリッチトコフェロ
ール[イーミックスD、エーザイ(株)製]を1重量%添
加して高度不飽和脂肪酸含有油脂組成物を得た。この高
度不飽和脂肪酸含有油脂組成物の、25℃保存時の過酸
化物価の変化を図3に示す。図3から、酸化防止剤添加
時の酸化安定性は、実施例2の油脂組成物の方が比較例
4の油脂組成物より優れていることが分かる。
【0011】
【発明の効果】本発明方法によれば、油脂中のトリアシ
ルグリセロール以外の不純物、例えば、遊離脂肪酸、モ
ノアシルグリセロールなどが効率よく除去され、色、風
味、酸化安定性などに優れた高純度のトリアシルグリセ
ロールからなる油脂が得られる。本発明方法は、特に酸
化安定性が悪い高度不飽和脂肪酸含有油脂の精製に有利
に適用することができる。また、本発明方法により精製
された高度不飽和脂肪酸含有油脂を含む組成物は、色、
風味、酸化安定性に優れ、一般の油脂加工食品に好適に
用いられ、さらに機能性食品や医薬品などとしても有用
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、油脂の薄層クロマトグラフィーによる
展開図である。
【図2】図2は、高度不飽和脂肪酸含有油脂組成物の過
酸化物価の経時変化を示すグラフである。
【図3】図3は、高度不飽和脂肪酸含有油脂組成物の過
酸化物価の経時変化を示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非極性物質用吸着剤及び極性物質用吸着剤
    を用いて、2段階で油脂を精製することを特徴とする高
    純度トリアシルグリセロールからなる油脂の製造方法。
  2. 【請求項2】油脂が高度不飽和脂肪酸含有油脂である請
    求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】請求項2記載の方法により得られた精製高
    度不飽和脂肪酸含有油脂と、その100重量部当たり酸
    化防止剤0.01〜5重量部とを含有することを特徴と
    する高度不飽和脂肪酸含有油脂組成物。
JP14413395A 1995-05-18 1995-05-18 高純度トリアシルグリセロールからなる油脂の製造方法及び高度不飽和脂肪酸含有油脂組成物 Pending JPH08311480A (ja)

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001164286A (ja) * 1999-12-10 2001-06-19 Nof Corp 油脂組成物
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