JPH08310971A - 超音波診断用造影剤 - Google Patents

超音波診断用造影剤

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JPH08310971A
JPH08310971A JP8026556A JP2655696A JPH08310971A JP H08310971 A JPH08310971 A JP H08310971A JP 8026556 A JP8026556 A JP 8026556A JP 2655696 A JP2655696 A JP 2655696A JP H08310971 A JPH08310971 A JP H08310971A
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contrast agent
emulsion
ultrasonic diagnosis
ultrasonic
diagnosis according
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JP8026556A
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English (en)
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Shintaro Beppu
慎太郎 別府
Taiji Doi
泰治 土井
Manabu Matsumura
学 松村
Hiroshi Sugihara
博 杉原
Kazutaka Yamada
一孝 山田
Tadamasa Chin
忠正 陳
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Daiichi Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Daiichi Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 O/W型エマルジョンを含む超音波診断
用造影剤であって、該エマルジョンが水と混和せず5℃
から60℃の範囲の沸点を有する液体(例えばドデカフル
オロペンタンなど)からなる分散相と例えば水などの水
性媒体からなる連続相とを含み、超音波処理されたエマ
ルジョンである造影剤。 【効果】 超音波処理のキャビテーション効果により分
散相の気化が促進されるので、少ない投与量でも十分な
造影効果を有するという特徴がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒト及び動物の超
音波診断に用いる超音波診断用造影剤に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】超音波は音響インピーダンスの異なる2
つの媒質の境界で反射され、特に気体−液体界面で反射
強度が強いことが知られている。一般に、液体中に分散
させたマイクロバブルは、反射音響信号(backscatter
signal)を増大させるため、ヒトや動物の超音波診断に
おける造影剤(コントラスト剤)として有用である。こ
のような造影剤を用いたコントラストエコー法は、近年
心臓の造影技術において進歩しており(心コントラスト
エコー法)、心腔内の血流や心腔壁の運動を子細に観察
できるようになった。さらに、カテーテルを介して選択
的に右あるいは左の冠状動脈に直接造影剤を注入するこ
とにより、心筋潅流の様子を評価することも可能であ
る。心筋梗塞患者に対して再疎通療法を行い冠状動脈に
血流が戻った場合においても心筋潅流が回復していない
こともあるので、心筋潅流の有無を確認することは重要
である。従来汎用される血管造影法では、冠状動脈の血
流の有無についての情報は得られるものの、微小循環系
である心筋潅流についての情報を得ることは困難であ
る。
【0003】超音波診断用造影剤として用いるマイクロ
バブルは、ウログラフィン、ヘキサブリックス、イオパ
ミロン、デキストラン、ソルビトール、アルブミンなど
の水溶液、あるいはこれらと生理食塩水とのカクテル
(混合液)をコントラスト基剤(連続相)として用い、
空気、窒素、酸素あるいは二酸化炭素を気体(分散相)
として用いたものを用手撹拌法あるいは超音波撹拌法に
より調製できる(別府慎太郎、画像医学プログレスシリ
ーズ1 心筋潅流−心筋コントラストエコー法、中山出
版、265-268 頁、1992年)。しかしながら、このように
して調製されたマイクロバブルは一般に不安定であり、
時間の経過と共に浮上して凝集、融合して消滅するの
で、ヒトあるいは動物に投与する毎に、かつ、投与直前
に調製する必要があった。さらに、調製条件のわずかな
変動によってマイクロバブルの大きさや濃度等が変化す
るため、一定の品質のマイクロバブルを得ることが困難
であった。
【0004】心コントラストエコー法において造影剤を
末梢静脈より投与した場合、造影剤は静脈を流れて右心
房に入り、右心室から肺動脈を経て肺の毛細血管床に至
る。その後、肺静脈を経て左心房に入り、左心室から冠
状動脈及び全身に分布する。前述の組成及び製法により
調製したマイクロバブルの大きさが肺の毛細血管より大
きい場合には、造影剤の造影効果は右心系に限られてし
まい、一方、肺の毛細血管より小さいものは肺を通過し
て左心系を造影することができる。一般に血液に溶解し
やすい気体をマイクロバブルとした場合、そのマイクロ
バブルの血液中の寿命はその大きさに依存するが、小さ
いもの程寿命が短く造影効果に持続性がない。例えば、
計算上、10μm の空気のマイクロバブルの37℃の水中の
寿命は1秒である(ニコデ・ヤング、アコースティック
・プロパティイズ・オブ・ウルトラサウンド・コントラ
スト・エージェンツ、第22-23 頁、1993、ロッテルダ
ム、オランダ国)。
【0005】この問題を解決するために、空気のマイク
ロバブルをある種の蛋白で包んで空気の拡散を抑えるこ
とにより長寿命化させた超音波診断用造影剤が提案され
ている(特公平2-41168 号公報)。この造影剤を末梢静
脈より投与することにより左心腔の造影効果が得られる
が、この造影剤は蛋白を含むために最終製剤を加熱滅菌
することはできず、また小球体の大きさの点から濾過滅
菌することもできないため、造影剤の製造には特殊な無
菌操作が必要となるという問題があった。以上の問題に
加えて、上記の造影剤製は左心腔の血圧で容易に壊れて
しまい、末梢静脈からの投与では心筋潅流までは観察で
きないという問題もある。
【0006】国際公開 WO93/05819 号には、水又は血液
に溶解しにくい気体をマイクロバブルとして用いること
により、血液中のマイクロバブルの寿命を延長する方法
が開示されている。この方法で製造されるマイクロバブ
ルは、マイクロバブルの周りに蛋白等による保護殻
(膜)がないので、時間の経過とともにマイクロバブル
が浮上し、凝集・融合して容易に消滅してしまうという
問題がある。
【0007】一方、水あるいは血液に溶解しにくい気体
のうち、室温においては液体である化合物(例えば、パ
ーフルオロペンタンやパーフルオロシクロペンタン等)
をO/W型(oil in water, 水中油型)のエマルジョン
とした超音波診断用造影剤が知られている(国際公開 W
O94/016739号)。この造影剤は、末梢静脈より投与され
たエマルジョン中の分散相が、体温で気化してマイクロ
バブルとなり造影効果を発揮するという特徴を有する。
生体内で発生したマイクロバブルは血液に難溶性であ
り、血液中での寿命が長い。また、このマイクロバブル
は左心腔の血圧で壊れることもないので、末梢静脈から
の投与によって左心腔の造影の他、心筋潅流も観察可能
になることが報告されている(別府慎太郎、サーキュレ
ーション、88(4) Pt. 2, I-401, 1993年)。この造影剤
は、エマルジョンであることから用時調製の必要がな
く、用手撹拌法あるいは超音波撹拌法により調製された
マイクロバブルと比べて品質の均一性や保存性において
優れている。
【0008】しかしながら、ヒト又は動物の腕から経静
脈的に投与した造影剤は10秒以下で心臓の左心系に至る
ので、上記の造影剤(国際公開 WO94/016739号)では分
散相が十分気化できず、所望の造影効果を得るために大
量の造影剤の投与が必要になるという問題がある。ま
た、投与後体温ですみやかに気化してマイクロバブルを
形成できるように、分散相の化合物は沸点が体温以下
(40℃以下)のものに限定されている。該超音波診断用
の造影剤をメンブランフィルタ−を通しながら急速注入
すると若干気化しやすくなるという知見もあるが、少な
い投与量で優れた造影効果を得ることのできる造影剤を
提供することは、造影診断の安全性を高めるためにも重
要な課題である。
【0009】なお、粘性をもつ生体適合性のある溶液に
対して寸法のほぼ一様なマイクロバブルの分散が得られ
るまで周波数 5,000〜30,000 Hz の超音波処理を加えて
製造された超音波診断用造影剤が知られている(国際公
開 WO84/02838 号) 。この方法は、均一相である溶液に
超音波処理を加えることによって気体−液体の界面にお
いて気体を取込み、あるいは溶液中に溶存しているガス
を気化させてマイクロバブルを製造することを特徴とす
るものであり、原料としてエマルジョンを用いたもので
はない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、均一
な品質と良好な保存性を有し、かつ、公知のO/W型の
エマルジョン造影剤(国際公開 WO94/016739号)に比べ
てより少ない投与量で所望の造影効果を達成できる超音
波診断用造影剤を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、水と混和せず沸点
が5℃〜60℃の液体からなる分散相と水性媒体からなる
連続相とを含むO/W型エマルジョンを超音波照射して
なる造影剤が上記の特徴を有する超音波診断用造影剤と
して有用であることを見いだした。
【0012】すなわち本発明は、O/W型エマルジョン
を含む超音波診断用造影剤であって、該エマルジョンが
水と混和せず5℃から60℃の範囲の沸点を有する液体か
らなる分散相と水性媒体からなる連続相とを含み、超音
波処理されたエマルジョンである造影剤を提供するもの
である。
【0013】本発明の好ましい態様によれば、分散相が
フッ素含有化合物である上記造影剤;フッ素含有化合物
が、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子および水
素原子の中から選ばれる1種又は2種以上の原子を含む
ことがある化合物である上記造影剤;フッ素含有化合物
がフルオロカ−ボンである上記造影剤;フルオロカ−ボ
ンが、パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン、
パーフルオロジメチルシクロブタン、ドデカフルオロペ
ンタン、トリフルオロメチルパ−フルオロモルホリン、
ノナフルオロシクロペンタン、テトラフルオロシクロプ
ロパン及びジフルオロジメチルシクロプロパンからなる
群から選ばれる上記造影剤;及び、フルオロカ−ボンが
ドデカフルオロペンタンである上記造影剤が提供され
る。
【0014】また、分散相がエマルジョン全重量に対し
て0.00001 重量%ないし50重量%の割合で含有されてい
る上記造影剤;界面活性剤を含有する上記造影剤;エマ
ルジョン全重量に対して0.001 重量%ないし10重量%の
割合の界面活性剤を含む上記造影剤;増粘性物質を含有
する上記造影剤;エマルジョン全重量に対して0.001重
量%ないし75重量%の増粘性物質を含む上記造影剤;及
び、超音波処理が周波数5,000Hz ないし500000 Hz の超
音波を用いた処理である上記造影剤が提供される。
【0015】また、本発明の別の態様によれば、O/W
型エマルジョンを含む超音波診断用造影剤であって、該
エマルジョンが水と混和せず5℃から60℃の範囲の沸点
を有する液体からなる分散相と水性媒体からなる連続相
とを含み、投与直前に超音波処理を施すためのエマルジ
ョンである造影剤;並びに、O/W型エマルジョンを含
む超音波診断用造影剤の製造方法であって、水と混和せ
ず5℃から60℃の範囲の沸点を有する液体からなる分散
相と水性媒体からなる連続相とを含むO/W型エマルジ
ョンを超音波処理する工程を含む方法が提供される。こ
れらの発明の好ましい態様として、分散相がドデカフル
オロペンタンである上記造影剤及び方法が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の造影剤に含まれるエマル
ジョンの分散相を形成する液体は、実質的に水と混和せ
ず、かつ5℃から60℃の範囲の沸点を有する液体であれ
ば特に限定されないが、好ましくは、フッ素含有化合
物、例えば、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原
子、及び水素原子からなる群から選ばれる1種又は2種
以上の原子を含有するフッ素含有化合物を用いることが
できる。例えば、パーフルオロペンタン、パーフルオロ
ヘキサン、パーフルオロジメチルシクロブタン、ドデカ
フルオロペンタン、トリフルオロメチルパーフルオロモ
ルホリン、ノナフルオロシクロペンタン、テトラフルオ
ロシクロプロパン、及びジフルオロジメチルシクロプロ
パンなどのフルオロカーボンを単独で、あるいは二種以
上を組み合わせて用いることができる。これらのうちド
デカフルオロペンタンが特に好ましい。
【0017】本発明の造影剤では、超音波のキャビテー
ション効果によってO/W型のエマルジョンの分散相の
気化が促進されるため、沸点が5℃から60℃までの範囲
の液体を分散相として用いることができる。分散相の液
体の沸点は生体の体内温度を下回るものに限定されず、
沸点が生体の体内温度(約40℃)から60℃の範囲の液体
も使用できるが、好ましくは沸点が10℃から60℃の範囲
の液体を用いることができる。分散相として用いる上記
の液体は実質的に水と混和しない性質を有する。例え
ば、ジエチルエーテルのように一部分が水に溶解するも
のであっても、全体として実質的に水と混じり合わない
ものであればよい。エマルジョン中の分散相の含有量
は、エマルジョン全重量に対して 0.00001〜50重量%の
割合、好ましくは 0.1〜10重量%程度である。
【0018】O/W型エマルジョンの連続相として用い
る水性媒体としては水を使用することができ、種々の物
質を含有する水溶液、例えば、ウログラフィン、ヘキサ
ブリックス、イオパミロン、デキストラン、ソルビトー
ル、アルブミンなどの水溶液、あるいはこれらと生理食
塩水とのカクテルを用いてもよい。エマルジョンの安定
性を改善するために界面活性剤や増粘性物質を配合する
ことができ、生体への悪影響を軽減するために生理的に
許容される塩類等を溶解してもよい。
【0019】界面活性剤としては、非イオン性あるいは
イオン性界面活性剤を用いることができる。例えば、炭
化水素系あるいは炭化フッ素系界面活性剤として、ポリ
オキシエチレンポリオキシプロピレン、スパン類、ツイ
ーン類、ポリエチレン硬化ヒマシ油、レシチン類、ラウ
リル硫酸ナトリウム、ゾニールシリーズ(Zonyl serie
s、デユポン社製)、フロラードシリーズ(Fluorad ser
ies、スリ−エム社製)等を挙げることができる。これ
らを単独で用いてもよいが、二種以上の界面活性剤を組
み合わせて用いてもよい。エマルジョン中の界面活性剤
の配合量は、エマルジョン全重量に対して0.001 〜10重
量%程度である。
【0020】エマルジョン中の分散相と連続相の比重が
異なる場合には、連続相の粘度を上昇させることによっ
て、分散相の浮上あるいは沈降を遅延させてエマルジョ
ンの安定性を改善できる場合がある。本発明の造影剤に
配合可能な増粘性物質としては、例えば、単糖類、多糖
類、ポリオール、タンパク、タンパク類似物質、高分子
物質及び、ヨード系X線造影剤等を挙げることがでる。
単糖類又は多糖類としては、例えばグルコース、マンニ
トール、ソルビトール、サッカロース、マルトース、キ
シリトール、デキストラン、シクロデキストリンが、ポ
リオールとしては、例えばグリセリン、ポリグリコール
を用いることができる。
【0021】また、増粘性物質として使用可能なタンパ
クあるいはタンパク類似物質としては、例えば、血漿タ
ンパクやゼラチンを用いることができ、高分子物質とし
ては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピ
ロリドン、ポリビニルアルコール、可溶性セルロース系
高分子、ヒドロキシエチルスターチ、ポリオキシエチレ
ンポリオキシプロピレンを用いることができる。増粘性
物質としてのヨード系X線造影剤としては、例えばイオ
ヘキソール、イオパミドール、イオペントールを挙げる
ことができる。これらの増粘性物質の一種を単独で用い
てもよいが、二種以上を組み合わせて用いてもよい。増
粘性物質の配合割合は、エマルジョン全重量に対して0.
001 重量%ないし75重量%程度である。
【0022】また、該エマルジョンには、pH調節剤、無
痛化剤、等張化剤、防腐剤、及び/又は安定化剤など従
来より医薬品の製造に汎用されている製剤用添加物を加
えてもよい。例えば、塩化ナトリウムやリン酸塩を添加
することもできる。
【0023】本発明の造影剤に用いられるO/Wエマル
ジョンは、例えば、界面活性剤と増粘性物質とを水性媒
体である水に溶解して連続相を製造し、ドデカフルオロ
ペンタンなどの分散相を連続相に加えて乳化するか、あ
るいは、界面活性剤を水性媒体である水に溶解して連続
相を調製し、この溶液にドデカフルオロペンタンなどの
分散相を加えて乳化した後、得られた乳化液に対して増
粘性物質の水溶液を加えて混合してエマルジョンを希釈
することにより製造することができる。もっとも、本発
明の造影剤に用いられるO/Wエマルジョンの製造方法
は上記の方法に限定されることはない。
【0024】上記のいずれの方法においても、乳化工程
にはホモミキサー、コロイドミル、ゴーリンホモジナイ
ザー、超音波ホモジナイザー、メンブランフィルターな
どを用いることができる。もっとも、上記O/Wエマル
ジョンの調製方法はこれらに限定されず、O/Wエマル
ジョンを調製できる方法ならばいかなる方法を採用して
もよい。上記O/Wエマルジョン中の分散相の粒子径は
5μm 以下(平均粒径)であればよく、メンブランフィ
ルターを用いての濾過滅菌が可能になる。
【0025】本発明の造影剤に使用される超音波として
は、人間の耳では聞くことを目的としない高い周波数を
有する音波であれば特に限定されることはない。工学的
な見地からは、超音波技術とは、人が聞くことを目的と
しない音波の応用に関する技術として理解されている
(超音波工学、第1頁、コロナ社、1993年)。例えば、
周波数が 5,000Hz以上の超音波、好ましくは 5,000〜50
0,000 Hzの超音波、より好ましくは 20,000 〜100,000
Hzの超音波を用いることができる。液体中に超音波を照
射するとキャビテーション(cavitation、空洞化現象:
液体中に加えた減圧力によって空洞を生じる現象)が生
じることが知られている。いかなる特定の理論に拘泥す
るわけではないが、本発明の造影剤では、超音波照射に
よるキャビーテーション効果によってO/W型エマルジ
ョンの分散相の気化が促進されるので、少ない投与量で
も十分な造影効果を達成できるという特徴がある。
【0026】従って、超音波照射に用いる超音波の周波
数及びその強度は、上記エマルジョン中にキャビテーシ
ョンを発生させるように選択されるべきであるが、この
ような周波数及び強度の選択は当業者に適宜なしうるも
のである。一般的に、キャビテーションを発生させるた
めの最低音響強度(キャビテーション閾値)は周波数に
依存するので、超音波の強度は該周波数におけるキャビ
テーション閾値以上となるように選択することが好まし
い。超音波の照射方法としては、他えば、エマルジョン
を含有するチューブを超音波発生器(例えば、超音波洗
浄器)の水槽内に入れ、エマルジョンがチューブ内に貯
留させた状態で超音波を照射するか、又はエマルジョン
をチューブ内を通過させつつ超音波を照射すればよい。
あるいは、エマルジョンを充填したバイアルに対して、
大気圧下において圧力解放状態で超音波照射する方法な
どを用いてもよい。
【0027】本発明の造影剤に用いる上記のエマルジョ
ンは、バイアルやアンプルのような密封容器に充填し
て、超音波診断のための造影剤の投与直前まで密封保存
することが好ましい。従って、本発明の態様として、投
与直前(例えば投与5分前以内)に超音波処理を施すた
めの上記エマルジョンの形態の造影剤、並びに、上記造
影剤を製造するために用いる上記のエマルジョンが提供
される。もっとも、超音波処理の条件を適宜選択するこ
とにより貯蔵寿命の長い造影剤を製造することができる
ので、本発明の範囲はこれらの態様の造影剤及びエマル
ジョンに限定されることはない。
【0028】本発明の造影剤は、ヒトを含む哺乳類動
物、好ましくはヒトの循環器、血管、消化器等の超音波
診断における造影剤として用いることができる。特に、
心臓、肝臓、腎臓、胃、及び四肢等の造影に適してい
る。本発明の造影剤を経末梢静脈的に投与して心臓を造
影する場合、非常に少ない投与量でも心臓の左心腔の造
影が可能であり、心筋潅流なども観察できるという特徴
がある。以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説
明するが、本発明の範囲はこれらに限定されることはな
い。
【0029】
【実施例】
例1:エマルジョンの製造 ポリオキシエチレンポリプロピレン(BASF社製)及
びフッ素系非イオン性界面活性剤ゾニール(デュポン社
製)をそれぞれ 0.9% 含有する水溶液 94 mlにドデカフ
ルオロペンタン(QW-3600, 沸点29℃, スリ−エム社製)
を6 g 添加し、ホモジナイザーで乳化した。これに45%
サッカロース水溶液 200 ml を添加して混合した後、ポ
アサイズ 0.22 μm のメンブランフィルターで濾過し、
バイアルに充填した。
【0030】例2:エマルジョンの製造 ポリエチレン硬化ヒマシ油(花王社製)及びフッ素系非
イオン性界面活性剤ゾニール(デュポン社製)をそれぞ
れ 0.5% 含有する水溶液 94 mlにパーフルオロジメチル
シクロブタン(沸点 45 ℃)を6 g 添加し、撹拌混合後
ポアサイズ 1.2μm のメンブランフィルターで濾過して
乳化した。これに1.35% 塩化ナトリウム水溶液 200 ml
を添加して混合した後、ポアサイズ0.22μm のメンブラ
ンフィルターで濾過し、バイアルに充填した。
【0031】例3:エマルジョンの製造 ポリオキシエチレンポリプロピレン及びフッ素系非イオ
ン性界面活性剤フロラード(スリーエム社製)をそれぞ
れ 1% 含有する水溶液 94 mlにトリフルオロメチルパー
フルオロモルホリン (PF5052, 主成分 C5F11NO, 沸点50
℃、スリーエム社製)を6 g 添加し、撹拌混合後ポアサ
イズ 1.2μm のメンブランフィルターで濾過して乳化し
た。これに10% ブドウ糖水溶液200 mlを添加し混合した
後、ポアサイズ0.45μm のメンブランフィルターで2回
濾過し、バイアルに充填した。
【0032】例4:エマルジョンの製造 ポリオキシエチレンポリプロピレン及びフッ素系非イオ
ン性界面活性剤フロラードをそれぞれ 1% 含有する水溶
液 94 mlにパーフルオロヘキサン(沸点56℃;スリ−エ
ム社製)を6 g 添加し、撹拌混合後ポアサイズ 1.2μm
のメンブランフィルターで濾過して乳化した。これに1.
35% 塩化ナトリウム水溶液200 mlを添加し混合した後、
ポアサイズ 0.45 μm のメンブランフィルターで2回濾
過し、バイアルに充填した。
【0033】例5:エマルジョン(比較例)の製造 ポリオキシエチレンポリプロピレン(BASF社製)及
びフッ素系非イオン性界面活性剤ゾニール(デュポン社
製)をそれぞれ 0.9% 含有する水溶液 94 mlにパーフル
オロヘプタン(沸点80℃;スリ−エム社製)を6 g 添加
し、撹拌混合後ポアサイズ 1.2μm のメンブランフィル
ターで濾過して乳化した。これに1.35%塩化ナトリウム
水溶液 200 ml を添加し混合した後、ポアサイズ0.45μ
m のメンブランフィルターで2回濾過し、バイアルに充
填した。
【0034】例6:エマルジョン(比較例)の製造 ポリオキシエチレンポリプロピレン(BASF社製)及
びフッ素系非イオン性界面活性剤ゾニール(デュポン社
製)をそれぞれ 0.9% 含有する水溶液 100 mlに45% サ
ッカロ−ス水溶液 200mlを添加し混合した後、ポアサイ
ズ 0.45 μm のメンブランフィルターで2回濾過し、バ
イアルに充填した。
【0035】例7:エマルジョンの形態観察 例1〜4並びに例5及び6で調製したエマルジョンをそ
れぞれ1滴ずつスライドガラスに垂らし、カバーガラス
で覆って光学顕微鏡で観察した(油浸レンズ、倍率×1,
000)。例1〜4及び例5で調製した試料はいずれも分散
相の直径が5 μm 以下のエマルジョンであることが確認
された。例6で調製した試料には不溶性異物は認められ
なかった。
【0036】例8:試験例 ハウンド犬の橈側皮静脈に20Gの留置針を挿入して血管
を確保し、ネンブタールにより全身麻酔を施した。第6
肋骨前縁より開胸し、心臓を露出させた。心臓用探触子
(5 MHz)を心臓後壁にシリコン製のスペーサーを介して
当てて画像を確認した。造影効果は超音波診断装置(SS
D-2000、アロカ社)を用いて短軸像を撮像し、VTRに
録画して、右心室、左心室及び心筋潅流の造影効果をス
コアー化した。例1〜4並びに例5及び6で得た各エマ
ルジョンを投与直前に超音波照射して本発明の造影剤を
調製し、直ちに投与した。
【0037】超音波の照射方法は、輸液用のチューブ
(サフィード延長チューブ、テルモ社)を超音波発生器
(ブランソン2200、出力60w)に浸漬し、ハウンド犬の
橈側皮静脈に血管を確保した留置針に直結した。上記の
各エマルジョンをそれぞれ超音波発生器に浸漬したチュ
ーブ内に導入し、超音波発生器の電源を入れて超音波を
約10秒照射した後、直ちに生理食塩水で洗い流して(フ
ラッシュ)経橈側皮静脈投与を行った。超音波を照射し
ない場合は、各エマルジョンを5 ml/秒の速度でポアサ
イズ1.2 μm のメンブランフィルター(アクロディス
ク、ゲルマン社)を通して急速注入した。
【0038】例1ないし4のエマルジョンを用いて調製
した本発明の造影剤を投与した場合には、0.02ml/kg 、
0.05ml/kg および0.2ml/kgのいずれの投与量においても
右心室、左心室及び心筋潅流の造影効果が得られた(表
1:超音波処理後に投与;及び表2:超音波処理なしで
投与)。一方、超音波を照射せずにエマルジョンを投与
した場合には、例1のエマルジョンで造影効果が得られ
たものの、心筋潅流の造影効果を得るためには体重1 kg
当たり0.5 ml/kg の投与量が必要であった。また、例5
及び6で調製したエマルジョンでは、超音波照射の有無
にかかわらず造影効果は得られなかった。表中、++:著
しい造影効果が認められたもの;+:造影効果が認めら
れたもの;±:わずかな造影効果が認められたもの;及
び、−:造影効果が認められなかったものを示す。な
お、右心室の造影効果はいずれの試験例においても認め
られたが、投与時に空気の泡が混入したことによるもの
と考えられる。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】本発明で得られた超音波診断用造影剤
は、超音波処理によるキャビテーション効果を利用して
O/W型のエマルジョンの分散相の気化を促進するの
で、少ない投与量でも十分な造影効果を発揮することが
可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉原 博 東京都江戸川区北葛西1丁目16番13号 第 一製薬株式会社東京研究開発センター内 (72)発明者 山田 一孝 東京都江戸川区北葛西1丁目16番13号 第 一製薬株式会社東京研究開発センター内 (72)発明者 陳 忠正 東京都江戸川区北葛西1丁目16番13号 第 一製薬株式会社東京研究開発センター内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 O/W型エマルジョンを含む超音波診断
    用造影剤であって、該エマルジョンが水と混和せず5℃
    から60℃の範囲の沸点を有する液体からなる分散相と水
    性媒体からなる連続相とを含み、超音波処理されたエマ
    ルジョンである造影剤。
  2. 【請求項2】 分散相がフッ素含有化合物である請求項
    1記載の超音波診断用造影剤。
  3. 【請求項3】 フッ素含有化合物が、炭素原子、窒素原
    子、酸素原子、硫黄原子および水素原子の中から選ばれ
    る1種又は2種以上の原子を含むことがある化合物であ
    る請求項2に記載の超音波診断用造影剤。
  4. 【請求項4】 フッ素含有化合物がフルオロカ−ボンで
    ある請求項2又は3に記載の超音波診断用造影剤。
  5. 【請求項5】 フルオロカ−ボンが、パーフルオロペン
    タン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロジメチルシ
    クロブタン、ドデカフルオロペンタン、トリフルオロメ
    チルパ−フルオロモルホリン、ノナフルオロシクロペン
    タン、テトラフルオロシクロプロパン及びジフルオロジ
    メチルシクロプロパンからなる群から選ばれる1種又は
    2種以上の化合物である請求項4に記載の超音波診断用
    造影剤。
  6. 【請求項6】 フルオロカ−ボンがドデカフルオロペン
    タンである請求項4に記載の超音波診断用造影剤。
  7. 【請求項7】 分散相がエマルジョン全重量に対して0.
    00001 重量%ないし50重量%の割合で含有されている請
    求項1ないし6のいずれか1項に記載の超音波診断用造
    影剤。
  8. 【請求項8】 界面活性剤を含有する請求項1ないし7
    のいずれか1項に記載の超音波診断用造影剤。
  9. 【請求項9】 エマルジョン全重量に対して0.001 重量
    %ないし10重量%の割合の界面活性剤を含む請求項8に
    記載の超音波診断用造影剤。
  10. 【請求項10】 増粘性物質を含有する請求項1ないし
    9のいずれか1項に記載の超音波診断用造影剤。
  11. 【請求項11】 エマルジョン全重量に対して0.001 重
    量%ないし75重量%の増粘性物質を含む請求項10に記載
    の超音波診断用造影剤。
  12. 【請求項12】 超音波処理が周波数5,000 Hzないし50
    0,000 Hzの超音波を用いた処理である請求項1ないし11
    のいずれか1項に記載の超音波診断用造影剤。
  13. 【請求項13】 O/W型エマルジョンを含む超音波診
    断用造影剤であって、該エマルジョンが水と混和せず5
    ℃から60℃の範囲の沸点を有する液体からなる分散相と
    水性媒体からなる連続相とを含み、投与直前に超音波処
    理を施すためのエマルジョンである造影剤。
  14. 【請求項14】 O/W型エマルジョンを含む超音波診
    断用造影剤の製造方法であって、水と混和せず5℃から
    60℃の範囲の沸点を有する液体からなる分散相と水性媒
    体からなる連続相とを含むO/W型エマルジョンを超音
    波処理する工程を含む方法。
  15. 【請求項15】 請求項1に記載の超音波診断用造影剤
    の製造に用いるO/W型エマルジョンであって、水と混
    和せず5℃から60℃の範囲の沸点を有する液体からなる
    分散相と水性媒体からなる連続相とを含むエマルジョ
    ン。
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