本発明は、FC/PFCナノエマルジョンの粒径を調節し、製品を仕様内の粒径パラメータに効率的かつ有効に戻す方法および装置を提供する。本発明の方法および装置は、広く入手可能な装置を使用して製造現場または使用時点で使用することができる。機械振動(例えば、音波処理および超音波処理)は、高圧均質化を介して新たに調製した材料に匹敵する値への粒径の所望の調節(例えば、減少)を可能にするのに必要なエネルギーを提供する。粒径の最適化ならびに製品の安全性および有効性を保証する新規な充填済シリンジおよび注入システムも開示される。本発明の方法および装置は、一旦精留すると、期待される用途にとって以前は仕様外の製品の使用を可能にし、製造現場および/または市場での製品の廃棄を低減する。
PFCナノエマルジョンの調製に最も一般的に使用される方法は高圧均質化である。例えば、高圧均質化を使用するDDFPナノエマルジョンの調製は、典型的には以下のように行われる。
PEG−Telomer B 6%wt/volおよびDDFP約40%wt/volのWFI(注射用水)溶液を含有する、窒素で約10psiに加圧した低温ジャケット付き閉鎖容器圧力容器0(PV0)を、2〜6℃で約300〜600rpmで1時間撹拌する。PV0を、Avestin(登録商標)EmulsiFlex−C50高圧ホモジナイザー(Avestin Inc、オンタリオ州、カナダ)の入口および出口にバルブ付き衛生器具を介して接続し、材料を約7000psiで約20分間連続均質化に供する。次いで、適切なバルブおよび配管系を使用して、均質化溶液を、ホモジナイザーから0均質化圧力下で、約4℃で、約10倍体積量のWFI中30%スクロースの攪拌リン酸緩衝(pH約7)溶液を含有する約12倍体積低温ジャケット付き圧力容器(PV1)に移す。この溶液を加圧窒素雰囲気(約10psi)下で約15分間撹拌する。適切なバルブおよび配管ラインを使用して、溶液をPV1から約7000psiの均質化圧力のホモジナイザーを通してPV1と同じサイズの第3の低温ジャケット付き圧力容器(PV2)に移す。材料をPV2中約10psiの窒素圧力下で約15分間攪拌し、次いで、0.8/0.2ミクロンSupor AcroPak(商標)500インラインフィルタを通して窒素圧力を介して第4の低温ジャケット付き圧力容器(PV3)に移す。次いで、得られた材料を約15分間撹拌し、次いで、所望の体積の材料を送達するよう較正された蠕動ポンプを用いて滅菌層流フード内で、所与の用途に適したサイズの滅菌バイアルに充填し、クリンプキャップする。材料を標準的な安定性チャンバ内で一定温度で保存する。
本明細書に開示されるように、FC/PFCナノエマルジョンは、経時的に粒径の増加を示す傾向がある。大きな粒径、例えば、サイズが2ミクロンを超える粒子は、特に粒子の血管(例えばIV)投与に関連する有害事象のリスクを増加させ得るので、これは望ましくない。
パーフルオロカーボンと界面活性剤の一次エマルジョンの高圧均質化、場合によりスクロースおよび緩衝剤などの賦形剤を含有し得る連続相によるホモジナイズの希釈、引き続いて滅菌ステップとしてのサブミクロン濾過によるパーフルオロカーボンナノエマルジョンの製造において広範な試験を行った。パーフルオロカーボンエマルジョンは、パーフルオロカーボン成分の揮発性および1種または複数の賦形剤の分解の可能性のために加熱滅菌することができない。そのため、充填直前の無菌濾過を使用して製品の無菌状態を保証する。
表1は、Peg Telomer B(PTB)、パーフルオロアルキル−エチルポリエトキシル化アルコール、1種または複数の界面活性剤、およびリン酸緩衝スクロース水溶液と組み合わせた、DDFPの新たに調製したエマルジョンの代表的および典型的なサブミクロン粒径データを示す。
新たに調製した材料の特性には以下が含まれる:VWMD(体積加重平均径)は、IWMD(強度加重平均径)より小さく、NWMD(数加重平均径)はIWMDとVWMDの両方よりも小さい。典型的なバッチに関するこれらのパラメータ値を表1に示す。カイ二乗(単峰性ガウス分布に対する適合度、Xi SqまたはXi2とも呼ばれる)値は通常0.75を超えないが、典型的には0.17〜0.40であり、得られた動的光散乱データが単峰性ガウス分布としての粒子の存在と一致していることを示している。本目的のために、IWMDおよびIWCUM99%<に関して設定された仕様外の値は、それぞれ600nm超および1300nm超である。
これらのエマルジョンの安定性は、成分、保存条件、濃度、および容器のヘッドスペースを含む多くの変数に依存する。ナノエマルジョンの不安定性は、典型的には、オストワルド熟成の機構による粒子成長によって示され、これは経時的に、指定された範囲よりも大きなサイズの粒子を有するエマルジョンをもたらし得る。このような事象が発生すると、伴う複雑さは、粒子の99%が超えてはならないサイズ限界(99%累積分布<)が通常、パラメータについての許容される仕様を超えており、製品を所望の用途に使用するのに適さなくしているということである。
FC/PFC(例えば、パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン)ナノエマルジョンの広範な試験に基づいて、滅菌ナノエマルジョンの粒子成長は、通常、成分分解を伴わないことが観察された。典型的には、ナノエマルジョンの唯一の望ましくない属性は、高い粒径およびCUM99%<値であった。
本明細書で開示される方法および装置は、製品を仕様内の粒径パラメータに戻し、期待される用途に製品を使用することを可能にし、よってその危険な使用を回避し、製品廃棄を削減する。開示される装置および方法の重要な利点は、「精留」工程が、その容器から滅菌製品を取り出すことを伴わず、製品を加熱または冷却する必要もないことである。この工程は、単純な手順を介して短期間で達成される。開示される方法および装置は、揮発性パーフルオロカーボン(または他の揮発性)成分を有するこれらの製品に特に適している。
ナノエマルジョンを収容する容器の開放を必要とせずまた伴わないことによって、微生物汚染のリスクが最小限に抑えられ、滅菌の維持に関連するコストが回避される。
本発明の方法および装置は、広く入手可能な装置を使用して製造現場または使用時点で使用することができる。空洞現象が生じる多数の局所ゾーンを生成する低出力超音波処理は、高圧均質化を介した材料の調製から得られる値までの粒径の所望の減少を可能にするのに必要なエネルギーを提供する。さらに、粒径の最適化ならびに製品の安全性および有効性を保証するよう設計された新規な充填済シリンジおよび注入システムが本書において開示される。
驚くべきことに、ナノエマルジョンを密封容器内に配置する際、機械振動(例えば、音波処理および特に超音波処理)を有効かつ効率的に使用して、FC/PFCナノエマルジョンの粒径を調節する(例えば、減少させる)ことができることが発見された。
一定の実施形態では、FC/PFCナノエマルジョンが配置される容器がガラスバイアルを含む。一定の実施形態では、容器がプラスチックバイアルを含む。一定の実施形態では、容器が、FC/PFCエマルジョンが充填された充填済シリンジを含む。
一定の実施形態では、FC/PFCナノエマルジョンが、例えば高圧均質化によって調製された作り置きのエマルジョンを含む。一定の実施形態では、PFCナノエマルジョンがPFC、水相、および1種または複数の賦形剤の混合物を含み、その混合物が前もって均質化に供されていない。
一定の実施形態では、バイアルまたはシリンジを、場合により音波処理の前に手動振とうステップまたはボルテックスステップであり得る攪拌ステップに供する。一定の実施形態では、PFCナノエマルジョンをシリンジポンプまたはパワーインジェクタに関連して音波処理に供する。これらの実施形態の一定のものでは、材料を患者への注入前に音波処理に供するように、音波処理を、シリンジ本体、シリンジプランジャー、シリンジを出るチュービングもしくはシリンジの先端、またはシリンジの先端の近位もしくは遠位部分に施すことができる。
一定の実施形態では、音波処理エネルギーの周波数が約1KHz〜約10MHzに及ぶ。一定の実施形態では、音波処理エネルギーの周波数が約10KHz〜20KHzに及ぶ。一定の実施形態では、音波エネルギーの周波数が10KHz〜約10MHzを含む。
一定の実施形態では、音波処理エネルギーの周波数が約10KHz〜約20KHzに及ぶ。一定の実施形態では、音波処理エネルギーの周波数が約20KHz〜約5MHzに及ぶ。一定の実施形態では、音波処理エネルギーの周波数が約5MHz〜約10MHzに及ぶ。一定の実施形態では、音波処理エネルギーの周波数が約40KHz〜約1MHzに及ぶ。一定の実施形態では、音波処理エネルギーの周波数が約40KHz〜約100KHzに及ぶ。一定の実施形態では、音波処理エネルギーの周波数が約100KHz〜約500KHzに及ぶ。一定の実施形態では、音波処理エネルギーの周波数が約500KHz〜約1MHzに及ぶ。
一定の実施形態では、音波処理エネルギーが、例えば約5KHz(音波処理)、10KHz(音波処理)、20KHz、30KHz、40KHzまたは50KHz〜約100KHZ、500KHz、1MHz、2MHz、5MHzまたは10MHz(20KHz〜10MHzの全ての周波数は超音波処理とみなすことができる)の周波数で掃引される。一定の実施形態では、音波処理エネルギーが、適用される超音波の公称周波数の+/−1%〜約+/−10%の範囲にわたる周波数で掃引される。一例として、公称超音波周波数が40KHzである場合、周波数が39.6KHz〜40.4KHzまたは36KHz〜44KHzの範囲で掃引され得る。以下で論じられる続く掃引範囲については、計算を同様に行う。
一定の実施形態では、音波処理または超音波処理エネルギーが、適用される超音波の公称周波数の+/−1%〜約+/−20%の範囲にわたる周波数で掃引される。一定の実施形態では、超音波エネルギーが、適用される超音波の公称周波数の+/−1%〜約+/−50%の範囲にわたる周波数で掃引される。一定の実施形態では、超音波エネルギーが、適用される超音波の公称周波数の+/−1%〜約+/−70%の範囲にわたる周波数で掃引される。一定の実施形態では、音波処理または超音波処理エネルギーが、適用される公称周波数の+/−1%〜+/−100%の範囲にわたる周波数で掃引される。指定される例よりも小さいまたは大きい周波数掃引が本明細書で熟慮される。
一定の実施形態では、送達される超音波エネルギーが、公称音波処理または超音波処理周波数で伝達されるエネルギーに限定されない。超音波エネルギーは、公称超音波周波数およびそれに関連する高調波で伝達されるものを含む。例えば、セラミック積層型圧電トランスデューサでは、3次以上の高調波が、公称トランスデューサエネルギーで与えるより多くの音波エネルギーを与える。
一定の実施形態では、音波処理または超音波処理エネルギーの出力が約0.1ワット〜約200ワット(例えば、約0.1ワット〜約5ワット、約0.1ワット〜約10ワット、約0.1ワット〜約20ワット、約0.1ワット〜約50ワット、約0.1ワット〜約100ワット、約0.5ワット〜約200ワット、約1.0ワット〜約200ワット、約10ワット〜約200ワット、約20ワット〜約200ワット、約50ワット〜約200ワット、約100ワット〜約200ワット、約2ワット〜約20ワット)に及ぶ。
一定の実施形態では、音波処理または超音波処理エネルギーが、PFCナノエマルジョンに約1秒〜約30分(例えば、約1秒〜約25分、約1秒〜約20分、約1秒〜約15分、約1秒〜約10分、約1秒〜約5分、約1秒〜約1分、約1秒〜約2分、約1秒〜約3分、約10秒〜約30分、約30秒〜約30分、約1分〜約30分、約5分〜約30分、約10分〜約30分、約1分〜約5分、約5分〜約15分、約15分〜約25分)の持続時間印加される。一定の実施形態では、音波処理または超音波処理エネルギーが約60秒未満の持続時間印加される。
一定の実施形態では、音波処理または超音波処理エネルギーが断続的に印加される。この種の処理は、トランスデューサのデューティサイクルの変動である。例えば、トランスデューサに5秒間動力が供給され、引き続いてトランスデューサに動力が供給されない5秒間の期間が続き、これが規定された合計期間、例えば4分間行われ;この場合、トランスデューサのデューティサイクルは50%デューティサイクルである。既存のナノエマルジョンからのものであろうと、または粗エマルジョンもしくは既存のナノエマルジョンが照射に接近することができるアセンブリの任意の成分を含むバイアルもしくはシリンジアセンブリ中の予混合成分の攪拌によって調製された粗エマルジョンからのものであろうと、所望の粒径のフルオロカーボンまたはパーフルオロカーボンナノエマルジョンを調製するために音波処理または超音波処理を使用する本明細書に記載されるいずれの実施形態でも、1%〜最大100%のデューティサイクルを使用することができる。
一定の実施形態では、音波処理エネルギーが、圧電トランスデューサを用いてバイアルまたはシリンジの壁に直接印加される。一定の実施形態では、音波処理エネルギーが、セラミックトランスデューサまたは他のトランスデューサを用いてバイアルまたはシリンジの壁に直接印加される。
一定の実施形態では、バイアルまたはシリンジチュービング(例えば、シリンジを出る)が、音波エネルギーを印加するために水浴内に配置され得る。
一定の実施形態では、音波処理エネルギーが、シリンジのプランジャー内に位置する永久的に配置されたまたは取り外し可能な超音波トランスデューサを介して、シリンジおよびその内容物に印加される。
一定の実施形態では、音波処理または超音波処理が、シリンジの端部と、シリンジの出口直後のシリンジ内容物の経路を開始するアセンブリの始端部との間の、シリンジの端部に配置されたトランスデューサを介して、シリンジに施される。
一定の実施形態では、音波処理または超音波処理が、シリンジの端部に配置されたトランスデューサを介してシリンジに施され、トランスデューサが、直接またはカップリング媒体を介して、シリンジ内容物が対象または患者に送達される直前にそこを通過する際にトランスデューサによって照射されるチュービングの小さなコイル部分と接触している。
トランスデューサは、プランジャーの内部と同心であってもよいし、プランジャーのX、Y、またはZ軸に対して非対称に配置されてもよい。
トランスデューサの寸法は、シリンジプランジャー内の許容される空間の長さ、幅または深さの任意の割合に及び得る。
代表的な実施形態では、そのプランジャーが再利用可能なトランスデューサが適合する円筒状内部空間を有する使い捨てシリンジが使用される。振盪、ボルテックスまたは成分を懸濁する他の手段によって攪拌されたナノエマルジョンの成分を含有するシリンジを、パワーインジェクタまたはシリンジポンプに装填し、再利用可能なトランスデューサをプランジャーの内部に嵌め込む。あるいは、トランスデューサをプランジャーに嵌め込んだ後、アセンブリをパワーインジェクタまたはシリンジポンプに装填してもよい。注入を開始する前の所定の期間トランスデューサに電力を供給し、次いで、注入前にトランスデューサへの電力を停止することができる。あるいは、トランスデューサの注入前の電力供給後、1%〜100%に及び得る最適化されたデューティサイクルで、トランスデューサへの電力の連続的な印加またはトランスデューサへの電力の断続的印加によって注入を開始することができる。
一定の実施形態では、トランスデューサが、それぞれ注入中に製品がシリンジ端部を出る点の接合部またはその近くのシリンジの本体上にそれぞれ配置されたリングトランスデューサまたはコニカルリングトランスデューサであり得る。トランスデューサの外面は、装着されるシリンジの断面の輪郭に物理的に嵌合するように構成することができ、これは使用するシリンジの種類によって決定される。トランスデューサを、製品の注入を開始する前に、わずか1秒〜30分間もの指定された期間(例えば、約5秒間、10秒間、30秒間、1分間、3分間、5分間、10分間、15分間、20分間、25分間)、注入前に作動させることができる。
一定の実施形態では、音波処理エネルギーが非接触超音波トランスデューサを用いて印加される。このような実施形態では、トランスデューサの周波数が、例えば、30KHz〜5MHzとなり得る。非接触トランスデューサは、必要な超音波を空気を通して伝達し、トランスデューサとPFCナノエマルジョンを調製および送達するために使用される装置に使用されるバイアル、シリンジ、シリンジ構成要素、チュービングまたは針との間の接触面も連結流体も必要としない。このような非接触トランスデューサの例としては、The Ultran Group(3100 Research Drive、State College、PA 16801USA)から入手可能なものが挙げられる。このような非接触トランスデューサは、円形、正方形、点焦点、円筒形の焦点構成で提供され得る。
一定の実施形態では、超音波電源を、特定の用途に適合するよう変えることができる。一定の実施形態では、超音波周波数が、超音波力の波長が、チュービングまたはシリンジまたはバイアルの直径、または特定の部分に一致するように選択される。例えば、水浴超音波処理器の周波数が10〜30KHzに及ぶ場合、その超音波エネルギーの波長は約160mm〜約50mmであり、これは一般にバイアル、シリンジ、およびシリンジから出るチュービングの直径よりも大きい。
一定の実施形態では、トランスデューサおよび適当なソフトウェアを使用して、超音波を、シリンジ、シリンジ構成要素、またはシリンジに出入りするチュービングの特定の領域に集束させることができる。この空間を規定し、トランスデューサから超音波処理すべき空間までの距離を調節することによって、前もって攪拌した成分の混合物を修飾して、所望の粒径仕様を有するパーフルオロカーボンエマルジョンを得ることを可能にするインラインシステムで、集束超音波を使用して前もって攪拌した成分の混合物を音波処理することができる。一定の実施形態では、集束超音波処理の適用が連続的である。一定の実施形態では、集束超音波処理の適用が、1%〜100%に及び得る最適化されたデューティサイクルで断続的である。
約500KHz〜約10MHzの超音波は、約3ミリメートル〜約0.16ミリメートルの波長を有し、例えば、シリンジを出るチュービングに印加することができる。流速を伴う出力送達を組み込むシステムに組み込まれたポンプを用いて注入速度を制御することによって、粒径を制御することができる。音波処理されるシステム構成要素に関係なくただ1つの超音波の周波数のみを使用するのとは対照的に、システムの特定の構成要素(シリンジ本体、シリンジ本体出口、材料をシリンジから注入部位に運ぶチュービング)に適合するように超音波周波数を選択することによって、超音波エネルギーが特定の用途、すなわちバイアル、シリンジおよび/またはチュービングの音波処理に適していることを確実にすることができる。
超音波エネルギーの周波数を変更することは、超音波を集束しないことが分かっている。むしろ、周波数の変更により、音波処理されている空間内にエネルギー正弦波が何周期存在するかを決定している。小さな空間の長波長音波処理は、小さな空間に正弦波の小さな部分を与えるので、小さな空間の異なる点のエネルギーは同様であり、時間とともにエネルギーレベルの変動はない。短波長を使用すると、試料に試料空間の周期よりも小さい周期の複数の正弦波が与えられる。
一定の実施形態では、超音波を、より大きな空間内の非常に小さな領域にエネルギーを局在化させるように集束させることができる。エネルギーの全ては同じ振幅でその空間に蓄積される。例えとして、入口側からの全ての光を集め、出口側を過ぎたどこかの点に集中させるレンズを考えられたい。
一定の実施形態では、事前に攪拌した成分の混合物の音波処理を、シリンジへの吸引中に行うことができる。吸引された材料が適切に配置されたトランスデューサを通過する際、材料の音波処理を、注入前、吸引中に行って、FC/PFCナノエマルジョンにシリンジ内の所望の粒径分布を与える。
吸引中の音波処理を使用する場合、トランスデューサを、シリンジの入口に取り付けられたチュービング、シリンジの入口部分、シリンジの入口に近位のシリンジの本体、シリンジのプランジャー内またはシリンジバレルの任意の部分に配置することができる。トランスデューサの位置に応じて、超音波出力レベルおよび/または周波数ならびにデューティサイクルの最適化を行って、必要な粒径分布を有するパーフルオロカーボンエマルジョンの最も効率的な製造を提供することができる。必要な材料の全てをシリンジに吸引した後、場合により超音波処理を継続または停止させ、パーフルオロカーボンエマルジョンの注入を模倣することができる。
任意の攪拌ステップを、用途に応じて行うことができる。例えば、手動振とうを15秒〜3分の間(例えば、約30秒間、1分間、2分間)行うことができる。例えば、ボルテックスを、約1000rpm〜約5000rpm(例えば、約1000rpm、2000rpm、3000rpm、4000rpm、5000rpm)に及ぶ様々なrpmの範囲で行うことができる。ボルテックス装置のサイクルストロークは、約1mm〜約10mm(例えば、約3mm、5mm、7mm、9mm)で変化し得る。ボルテックスステップは、約1秒〜約5分間(例えば、約10〜60秒間、30秒間〜2分間、1分〜3分間の持続時間)持続し得る。ボルテックスを、密封バイアルまたは充填済シリンジに機械振動の形態で印加することができる。各振動の振幅は、約1mm〜約10mm(例えば、約3mm、5mm、7mm、9mm)の可動域をもたらし得る。
FCまたはPFCは、約1個の炭素原子〜約10個の炭素原子の炭素長に及ぶ直鎖または分岐フルオロカーボン材料を含み得る。有用なFC/PFCには、パーフルオロブタン、パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクチルブロミド、パーフルオロトリプロピルアミンおよびパーフルオロトリブチルアミンが含まれる。好ましいPFCには、パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタンおよびパーフルオロオクタンが含まれる。パーフルオロペンタンが最も好ましい。最終エマルジョン中のFC/PFCの濃度は、約0.1重量%〜約100重量%で変化し得る。より好ましくは、濃度は約1重量%〜約50重量/体積%である。さらにより好ましくは、濃度は約2%w/vol〜約10%w/volである。
FC/PFCは、容器内に含まれる1種または複数の界面活性剤を介して乳化される。有用な界面活性剤には、それだけに限らないが、PEG−Telomer−B、DuPont Capstone FS−3100および関連するCapstoneブランドのフルオロ界面活性剤およびリン脂質ならびにそれらの混合物が含まれる。特に有用なリン脂質混合物は、DPPC、DPPE−MPEG(5000)およびDPPEを含む。フルオロカーボンまたはパーフルオロカーボンナノエマルジョンを調製するためのリン脂質製剤の成分はまた、わずか1個〜113個ものオキシエチレン単位が存在するDPPE−MPEGまたはDSPE−MPEG化合物、ならびにこのような化合物の混合物を含み得る。同様に、DPPCをDSPCで置き換え、DPPEをDSPEで置き換えることができる。このような1種または複数の成分の置換を使用してパーフルオロカーボンナノエマルジョンの性能を最適化することができる。
好ましくは、界面活性剤の濃度は、約0.1mg/mL〜約100mg/mLで変化する。当業者が認識するように、界面活性剤の濃度はFCの濃度に応じて変化する。一例として、2%w/vol DDFPを使用する場合、使用される界面活性剤濃度は約0.3重量/体積%となり得る。所望であれば、界面活性剤とDDFPの比およびそれらの絶対百分率を、特定の用途のために粒径および/または総用量または容器サイズを最適化するように変えることができる。例えば、DDFPのナノエマルジョンを、4%DDFP重量/体積および0.3%PTB重量体積を使用して調製してより濃縮されたナノエマルジョンを提供することができる。
エマルジョンの水相は、水(例えば、WFI)、生理食塩水、PBSまたは1種もしくは複数の他の緩衝液を含む水性媒体を含み得る。さらに、スクロース、プロピレングリコール、グリセロール、ポリエチレングリコールなどの他の賦形剤を単独でまたは他の材料と組み合わせてFC/FCエマルジョンを含む容器に添加することができる。
一態様では、本発明は、一般に、パーフルオロカーボンナノエマルジョンの粒径を減少させる方法に関する。方法は、パーフルオロカーボンエマルジョンの粒径を予め選択された値に調節するのに十分な持続時間、機械振動をパーフルオロカーボンエマルジョンに印加するステップを含む。パーフルオロカーボンナノエマルジョンは、4個〜約10個の炭素原子長を有するパーフルオロカーボンを含む。
一定の実施形態では、パーフルオロカーボンエマルジョンがバイアルまたは充填済シリンジに封入される。
一定の実施形態では、機械振動が超音波を含む。一定の実施形態では、超音波が約10KHz〜約10MHzの周波数によって特徴付けられる。一定の実施形態では、パーフルオロカーボンが約4個〜約8個の炭素原子長である。
方法の一定の実施形態では、フルオロカーボンがパーフルオロカーボンである。一定の実施形態では、パーフルオロカーボンがパーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサンまたはその両方を含む。
方法の一定の実施形態では、パーフルオロカーボンがパーフルオロペンタンからなる。
方法の一定の実施形態では、パーフルオロカーボンがパーフルオロヘキサンからなる。
別の態様では、本発明は、一般に、フルオロカーボン(例えば、パーフルオロカーボン)ナノエマルジョンの充填済シリンジであって、フルオロカーボンが約4個〜約10個の炭素原子長であり、フルオロカーボンナノエマルジョンが約0.1〜50%重量体積のフルオロカーボンである充填済シリンジに関する。
充填済シリンジの一定の実施形態では、フルオロカーボンがパーフルオロカーボンである。一定の実施形態では、パーフルオロカーボンが約4個〜約8個の炭素原子長である。
充填済シリンジの一定の実施形態では、フルオロカーボンがパーフルオロカーボンである。一定の実施形態では、パーフルオロカーボンがパーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサンまたはその両方を含む。
充填済シリンジの一定の実施形態では、パーフルオロカーボンがパーフルオロペンタンからなる。
充填済シリンジの一定の実施形態では、パーフルオロカーボンがパーフルオロヘキサンからなる。
充填済シリンジの一定の実施形態では、シリンジがガラス、プラスチックまたはその両方を含む材料でできている。
充填済シリンジの一定の実施形態では、シリンジがガラス材料でできている。
充填済シリンジの一定の実施形態では、シリンジがプラスチック材料でできている。
充填済シリンジの一定の実施形態では、シリンジが、超音波エネルギーをフルオロカーボン(例えば、パーフルオロカーボン)ナノエマルジョンに印加するための超音波トランスデューサに取り付けられている。
充填済シリンジの一定の実施形態では、超音波が約10KHz〜約10MHzに及ぶ周波数を有することによって特徴付けられる。
さらに別の態様では、本発明は、一般に、本明細書に開示される方法によって調製されるフルオロカーボン(例えば、パーフルオロカーボン)ナノエマルジョンの組成物に関する。
組成物の一定の実施形態では、組成物が密封容器内に封入されたフルオロカーボン(例えば、パーフルオロカーボン)ナノエマルジョンから調製され、フルオロカーボン(例えば、パーフルオロカーボン)の粒径が約1ミクロンより大きい。
組成物の一定の実施形態では、超音波への暴露後、平均粒径が500nm未満である。
さらに別の態様では、本発明は、一般に、フルオロカーボン(例えば、パーフルオロカーボン)ナノエマルジョンの粒径を減少させる方法に関する。方法は、シリンジ内に封入されたフルオロカーボンナノエマルジョンを用意するステップと、対象への途中でチュービングにフルオロカーボンナノエマルジョンを通過させるステップとを含み、フルオロカーボンナノエマルジョンを超音波場に通過させて、フルオロカーボンナノエマルジョンの平均径を10%以上減少させる。
方法の一定の実施形態では、フルオロカーボン(例えば、パーフルオロカーボン)ナノエマルジョンの平均径が30%以上減少する。方法の一定の実施形態では、フルオロカーボン(例えば、パーフルオロカーボン)ナノエマルジョンの平均径が50%以上減少する。
本方法の一定の実施形態では、超音波場を通過する前のフルオロカーボン(例えば、パーフルオロカーボン)ナノエマルジョンの平均粒径が約1ミクロンより大きい。本方法の一定の実施形態では、超音波場を通過した後のフルオロカーボン(例えば、パーフルオロカーボン)ナノエマルジョンの平均粒径が500nm未満である。
一定の実施形態では、本明細書に開示されるパーフルオロカーボンナノエマルジョンが1種または複数のリン脂質を含む。
リン脂質は、例えば約12個の炭素〜約18個の炭素(例えば、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個)長に及ぶ任意の適切な炭素鎖長を有する。
リン脂質は、ナノエマルジョン中の任意の適切な重量パーセント、例えば、約0.10%〜約7.5%(例えば、約0.10%〜約5%、約0.10%〜約4%、約0.10%〜約3%、約0.10%〜約1.5%)を占めることができる。
2015年6月12日に出願された「リン脂質組成物ならびにそれを用いて形成されたマイクロバブルおよびエマルジョン」と題されたPCT/US15/35681の開示は、全ての目的のために参照により明示的に本明細書に組み込まれる。
組成物が3つのリン脂質の混合物を含む一定の実施形態では、代表的なリン脂質およびその相対量が、例えば約75〜約87モル%のホスファチジルコリン、約5〜約15モル%のホスファチジルエタノールアミンおよび約3〜約20モル%ホスファチジルエタノールアミン−MPEG(「MPEG」は末端メトキシ基を有するPEG基を指す)であり得る。本明細書におけるMPEGは、約350〜約5000(例えば、約350〜約4000、約350〜約3000、約350〜約2000、約500〜約5000、約1000〜約5000、約1500〜約5000、約2000〜約5000、約3000〜約5000、約4000〜約5000)の分子量を有し得る。分子のオリゴエチレンオキシ部分がMPEGリン脂質に存在するメトキシ末端とは対照的にヒドロキシル基で終結するホスファチジルエタノールアミン−PEGは、製剤中のホスファチジルエタノールアミン−MPEGに置き換わり得る。ホスファチジルエタノールアミン−MPEGとホスファチジルエタノールアミン−PEGの組み合わせも、これらの製剤のオリゴエチレンオキシ含有リン脂質成分として、任意の相対比で使用することができる。
組成物が3つのリン脂質の混合物を含む実施形態では、代表的なリン脂質およびその相対量が、例えば約80〜約85モル%のホスファチジルコリン、約8〜約13モル%のホスファチジルエタノールアミンおよび約6〜約11モル%ホスファチジルエタノールアミン−MPEG(またはホスファチジルエタノールアミン−PEG)であり得る。
一定の実施形態では、ホスファチジルエタノールアミンが、約350〜約5000(例えば、約350〜約4000、約350〜約3000、約350〜約2000、約500〜約5000、約1000〜約5000、約1500〜約5000、約2000〜約5000、約3000〜約5000、約4000〜約5000)の分子量を有するPEG基を含む。
一定の実施形態では、本発明の組成物が、DuPont Zonyl FS−100またはDuPont FSOのカスタム精製医療グレードのPEG Telomer B(PTB)を含む。一定の実施形態では、本発明の組成物がパーフルオロ−n−ヘキシル−オリゴエチレンオキシ−アルコールを含む。特定の形態のパーフルオロ−n−ヘキシルオリゴエチレンオキシ−アルコールは、DuPont Capstone FS−3100として知られているフルオロ界面活性剤製品であり、一定の実施形態では、本発明の組成物がこの物質またはこの物質のカスタム精製バージョンを含む。一定の実施形態では、本発明の組成物がテトラデカフルオロ−n−ヘキサン(TDFH)を含む。一定の実施形態では、本発明の組成物が、任意の割合で存在する可能な構造異性体の2つ以上の混合物からなり得るテトラデカフルオロヘキサンを含む。一定の実施形態では、本発明の組成物がドデカフルオロ−n−ペンタン(DDFP)を含む。一定の実施形態では、本発明の組成物が、任意の割合で存在する可能な構造異性体の2つ以上の混合物からなり得るドデカフルオロペンタンを含む。
一定の実施形態では、本発明の組成物が、ドデカフルオロ−n−ペンタン、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン、1,2−パルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−5000]塩、例えばナトリウム塩、および1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンの1つまたは複数を含む。
一定の実施形態では、本発明の組成物が、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000]塩、例えばナトリウム塩、および1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンの1つまたは複数を含む。一定の実施形態では、本発明の組成物が、1,2−ジドデカノイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン、1,2−ジドデカノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000]ナトリウム塩、および1,2−ジドデカノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンの1つまたは複数を含む。
以下の実施例は、当業者に本発明の調製方法および使用方法をさらに説明するために提示される。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を限定することを意図していない。
実施例
実施例1−ドデカフルオロペンタン−Peg Telomer Bの熟成ナノエマルジョンの単一ガラスバイアルの超音波処理による粒径の減少−3つの試験
予備試験で、ドデカフルオロペンタン/Peg Telomer Bの緩衝化30%スクロース中熟成エマルジョンの3つの試料を試験した。最初の調製を、高圧均質化および濾過を用いて行った。PSS Nicomp 380 DLSサブミクロン粒子サイジング装置を用いて、熟成試料の2つについての粒径データを得た。装置の単峰性ガウス分布適合ルーチンを用いて、強度加重平均径(IWMD)、体積加重平均径(VWMD)および数加重平均径(NWMD)を得た。熟成試料のカイ二乗値は、典型的には、0.75〜2.0であり、これは、単峰性ガウス分布を仮定した相関データの処理を可能にする許容範囲の上部である。標準偏差および累積99%<値も得た。データを表2に示す。
熟成試料のカイ二乗値は、新たに調製した(均質化法)材料で得られた値(カイニ乗法は典型的には0.18〜0.35)と比較して有意に上昇した。音波処理前の平均粒径値(表1参照)は、新たに調製した材料の値(表1参照)よりもはるかに高かった。分布の標準偏差も一般的に高い傾向があった、すなわち新たに調製した材料の25〜35%と比較して、熟成材料の場合は34〜50%であった。
熟成材料の音波処理は、VWR Aquasonic 75HT超音波洗浄浴(出力75ワット)を用いて行った。試料バイアルを20ゲージの銅線を介して支持体から吊り下げ、バイアルを浴の中央で首まで浸漬した。音波処理は、表1に示される時間行った。熟成材料を音波処理することによって、新たに調製した材料(均質化法)で得られたものに標準的なまたはそれより低いIWMD、VWMDおよびNWMDが得られた。分布の標準偏差の減少に対する効果は顕著ではなかったが、熟成材料と比較すると値が低くなる傾向があり、新たに調製した材料の範囲に近づいた。音波処理によって、強度および体積加重平均粒径のCum99%<値が劇的に減少した。音波処理時間を2分から10分に、または10分の音波処理、引き続いて10分の待機時間、引き続いて15分の音波処理時間に増加させることによって、音波処理時間の増加が粒径の3つのカテゴリー全てについて、平均径、標準偏差およびガウスのCUM99%<値が減少することを示唆する結果が得られた。
実施例2 複数のバイアルの同時超音波処理によるドデカフルオロペンタン−Peg Telomer Bの熟成ナノエマルジョンの粒径の減少
熟成材料の6つのバイアルを超音波洗浄浴で同時に音波処理して、熟成材料のトランシュ(tranche)を精留してスループットおよび効率を高めることができるかどうかを決定する別の試験を行った。
熟成材料のベースラインを確立し、粒径パラメータの変動性を決定するために、3つのランダムに選択された熟成試料のサブミクロン粒子サイジングを行った。データを表3に示す。
3つの熟成試料の粒子サイジングデータは、熟成試料が低いRSDによって示されるように特性において極めて類似であることを示し、熟成工程が試料空間にわたって比較的均一であることを示した。IWMDは600nmの仕様を超え、Cum99%<値は1300nm限界を有意に超える。これらの試料のカイ二乗は、新たに調製した材料よりも実質的に高い傾向があり、新しく調製した材料と比較すると、粒径分布が熟成材料についてあまりよく記載されていないことを示唆している。
熟成材料のバイアルのトランシェの音波処理を評価するために、6つのバイアルのセットを超音波洗浄浴内23〜25℃の温度範囲で25分間同時に音波処理した。バイアルを、20ゲージのステンレス鋼線を介して3本のバイアル2列で吊り下げ、バイアルの首まで浸漬した。バイアルの2つの列は、浴の長さおよび幅の中心の50%に及んだ。音波処理した試料の粒子サイジングデータを表4に示す。
超音波処理した試料の全ての粒径データが、均質化によって得られた新たに調製した材料のデータよりも低かった(高圧均質化を用いて新たに調製した材料の粒径パラメータの値については表1を参照)。表5は、熟成(3つのバイアル)および同時に超音波処理した熟成(6つのバイアル)材料の平均データを比較している。
IWMD、標準偏差%、分布のCum99%<およびカイ二乗値の劇的な減少が得られた。データは、バイアルのトランシェ中の熟成材料の音波処理が、所望のIWMDを有し、熟成材料よりも狭い粒子分布を有し、その分布のCum99%<値が高圧均質化を用いて新たに調製した材料よりもさらに低い材料を効率的にもたらすことができることを証明している。さらに、カイ二乗値の劇的な減少は、音波処理した材料の粒径分布が、入力熟成材料のものよりも真のガウス分布にずっと近いことを示唆している。
実施例3 複合エマルジョン成分をボルテックスし、引き続いてバイアルを超音波処理することによる、ガラスバイアル中のドデカフルオロペンタン−Peg Telomer Bナノエマルジョンの調製−オンデマンドシナリオで高品質ナノエマルジョンを調製するための手段としての超音波処理による高圧均質化の置き換え
実験を行った、最終濃度でエマルジョン成分の組み合わせを含有する密封バイアルの音波処理を使用して高圧均質化を完全に回避することができるかどうかを調べた。密封バイアルをボルテックスに供し、引き続いて超音波処理を行うと、高圧均質化によって調製したものと同等のエマルジョンが得られた。
4mLの公称5mL容量(実際の容量9mL)バイアルの各々に、PTBの注射用水中溶液(WFI、6%w/v PTB)0.44mLおよびWFI中スクロース(30%w/v)7.44mLを装入した。バイアルに、バイアル栓で蓋をし、攪拌して成分を混合させ、氷水浴中に10分間入れた。次いで、バイアルを氷水浴から取り出し、タオルで乾燥させ、分析天秤の皿に置き、天秤を0重量に風袋引きした。DDFPを含有する20mLスクリューキャップバイアルを冷凍庫(−20℃)から取り出し、氷水浴に入れた。その直後に、シリンジを冷却するために、3/4´´22ゲージ針を取り付けた1mL使い捨てシリンジを使用して冷DDFPを繰り返し吸引および分配した。次いで、DDFPの0.4mLアリコートをシリンジに吸引し、DDFPを0.21g(2.26%w/v)の重量が分配されるまで風袋引きしたバイアルに送達した。バイアルに直ちに栓をしてクリンプキャップした。各バイアルを、順に、直立で1分間、逆さで1分間および直立で1分間、最大速度に設定したVWR Minivortexerでボルテックスした。バイアルをVWR Aquasonic 75HT超音波洗浄浴の浴中の20ゲージのステンレス鋼ワイヤーを介して首に懸架し、左右中央および前後に中心合わせし、所定時間超音波処理した後、10分間放置した。得られたエマルジョンの粒子サイズを測定する。得られたデータを表6に示す。
実験は、超音波処理が短期間であっても、高圧均質化を用いて調製した材料によって示されるものと見分けがつかない粒径パラメータを有するエマルジョンを提供することを示した。これは、超音波処理が、製造施設での製造のため、または使用時のボルテックス/音波処理プロトコルの実施による、パーフルオロカーボンエマルジョンの効率的な調製のために高圧均質化に置き換わることができることを証明している。
実施例4 ガラスバイアル中での複合成分のボルテックス、引き続く超音波処理によるドデカフルオロペンタン−リン脂質ナノエマルジョンの製造
リン脂質DPPC(ジパルミトイルホスファチジルコリン)、DPPE−PEG−5000(1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[モノメトキシポリ(エチレングリコール)(5000)]およびDPPE(1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン)の混合物を、クリンプキャップした公称5mLバイアル(実際の総容量9mL)中、DDFP(2%w/v)を含む0.3%w/vol総リン脂質濃度で調製した。密封バイアルを、直立で少なくとも30秒間および逆さで30秒間ボルテックスし、次いで、2、8または16分間音波処理に供した。各音波処理時間の結果を表7に示す。
不均一な成分の混合物をボルテックスすることによって、そのサイジングデータ(音波処理時間=0分)が、有意な量のリン脂質ミセル(NWMDの小さな値によって証明される)を伴う可能性のあるカプセル化ナノ液滴およびもしかすると非カプセル化フルオロカーボン液滴の存在を示す懸濁液が得られる。ボルテックスされた混合物の性質の別の指標は、音波処理されたバイアルの材料の同じサイズの試料アリコートと比較した場合の低い散乱強度である。
短期間(2分間)の音波処理は、サブミクロンサイズのカプセル化パーフルオロカーボンナノ液滴に特有のIWMD、VWMDおよびNWMDを提供する。より具体的には、NWMDの4倍の増加は、リン脂質ミセルの破壊およびカプセル化ナノ液滴の形成を示す。2分間の音波処理からの試料アリコートの散乱強度は、ボルテックスのみの試料の同じサイズのアリコートと比較して有意に増加した。
実質的に減少したXi SqおよびSD%は、高圧均質化によって得られたものと同様のガウスナノ粒子分布の形成と一致する。増加した超音波処理時間(8分および16分)は、IWMD、VWMD、SD%、IWCUM99%<およびVWCUM99%<値の減少によって証明されるように、システムを粒径分布の飽和値に近づける。このデータは、サブミクロンサイズのカプセル化パーフルオロカーボンナノ液滴を製造するための超音波処理の有用性が、特定のクラスの界面活性剤に制限されず、特定の用途に特に適した様々な界面活性剤型を用いてカプセル化パーフルオロカーボンナノ液滴を製造するために適用できることを証明している。
実施例5 仕様外のエマルジョンのインラインリアルタイム粒径減少
超音波処理を注入のためのインラインシステムに使用することができるかどうかを決定するための実験を行った。仕様外のDDFP−PTBエマルジョンのバイアルを直立で30秒間および逆さで30秒間ボルテックスし、1分間放置した。1.5´´22ゲージの使い捨て針を取り付けた1mLのBecton and Dickinsonシリンジを使用して、ヘッドスペースを0.5mL空気で加圧し、引き続いてシリンジにエマルジョンの所望のアリコートを受動的に充填させることによってボルテックスステップの後に粒子サイジングのためのボルテックス材料の0.3mLアリコートをサンプリングした。
1.5´´22ゲージのBecton and Dickinson使い捨て針を取り付けた6mLのNormJect(商標)使い捨てプラスチックシリンジ(Henke Sass Wolf)に、空気5mLを装入した。バイアル栓を上から穿刺し、バイアルヘッドスペースに空気を注入することによってバイアルを加圧した。アセンブリ全体を逆さにし、シリンジをエマルジョン5mLで受動的に充填させた。次いで、エマルジョンを逆さのバイアルのヘッドスペースに注入し、シリンジを再びエマルジョン5mLで受動的に充填させた。
針をシリンジから直ちに取り出し、メス1/16´´内径ルアーロック1/16´´適合バーブアダプターを使用して、シリンジにポリプロピレンチュービング(1/8´´外径、1/16´´内径)を取り付けた。ポリプロピレンチュービングの内容積は2.2mLであった。
図1は、仕様外のナノエマルジョンまたはナノエマルジョンの複合成分のガラスバイアルをボルテックスした後に粗エマルジョンをシリンジに吸引することによって生成された粗エマルジョンのインライン超音波処理に使用される装置の代表的な実施形態を示している。シリンジポンプ120を使用して、制御された速度でシリンジ110の内容物を超音波洗浄槽130に浸漬されたチュービングのコイルに送達する。チュービングの長さおよびシリンジの速度設定は、チューブ内のシリンジ内容物の滞留時間および送達されたシリンジ内容物に超音波処理が施される時間も決定する。
図2は、フルオロカーボンもしくはパーフルオロカーボンと水性界面活性剤の粗エマルジョンまたはフルオロカーボンもしくはパーフルオロカーボンと水性界面活性剤の仕様外のエマルジョンのインライン音波処理または(超音波洗浄器を使用した)超音波処理に使用されるコイルドチュービングの構成の代表的な実施形態を示している。一般的な慣習では、コイルドチュービングを浴の水に完全に浸漬する。しかしながら、(この図に示されるように)コイルの螺旋に垂直なコイルの軸が超音波浴の底部に平行であるコイルを配置する場合、チュービングのコイルの超音波浴の水中への浸漬の深さを使用して工程のデューティサイクルを変更することができる。コイルを構成する一連のループの各ループを超音波浴の水中に半浸漬する場合、これは例えば50%のデューティサイクルを提供する。これは、連続的な超音波処理がナノエマルジョンの温度を許容できないレベルまで上昇させ得るため、望ましくなり得る。より短いデューティサイクルを使用することによって、調製したナノエマルジョンの温度を制御することができる。チュービングのコイルを超音波洗浄器の水浴にさらに浸漬するまたはあまり浸漬しない場合、デューティサイクルがそれぞれ増加または減少し、これは必要に応じてデューティサイクルを制御するための簡単で便利な方法を構成する。このようにして、調製された粒径パラメータおよび温度を制御することができる。
図1および図2を参照すると、チュービングを直径約2´´のループ210(図2)に巻きつけ、一連の並んだループを得て、これを、溝を有するプラスチックヒンジクリップを用いて所定の位置に保持した。次いで、シリンジをHarvard Apparatusモデル11プラスシリンジポンプ120に入れた。シリンジポンプを流速1cc/分に設定した。コイルドチュービングを、VWR Aquasonic 75HT超音波処理器130の水浴に完全に浸漬した。シリンジポンプを始動させ、その直後に音波処理を開始した。仕様外のエマルジョンを、それが音波処理水浴中のループチュービングを流れる際に、音波処理に曝露した。音波処理した材料を10℃に保ったバイアルに回収した。バイアルに、材料を粒子サイジングのためにサンプリングするまで(回収の停止約1分後)、直ちにブチルゴム栓でキャップした。表8は、ボルテックス後であるが音波処理前とボルテックスおよびインライン音波処理後の仕様外の材料について得られた粒径データを示している。
この実施例に記載される技術は、高圧均質化によって調製した材料によって示される粒径パラメータ(表1参照)を示すDDFP−PTBナノエマルジョンを提供する。これは、最高品質の材料を本明細書に開示される改善方法によって得ることができることを示している。したがって、相当な貯蔵期間にわたって粒径成長を経験し、仕様外の粒径パラメータを示すナノエマルジョン材料を、インラインプロセスを用いて効率的かつ有効に改善することができる。
実施例6 複合成分からのDDFP−PTBエマルジョンのインラインリアルタイム調製
インライン超音波処理が、バイアルにナノエマルジョンの成分を単に装入し、ボルテックスにより成分混合物を懸濁し、引き続いてインライン音波処理することによって、DDFP−PTBエマルジョンを提供できるかどうかを決定するための実験を行った。この技術によって、ジャストインタイムシナリオ(just−in−time scenario)で、調製後、即座にリアルタイムでナノエマルジョンの注入が可能になり得る。
公称5mL血清バイアル(実際の体積9mL)に、WFI(注射用水)(7.65mL)中のPeg Telomer−B(24.4mg)および0.2ミクロン濾過30%スクロースを装入した。次いで、冷却したDDFP(0.179g)を1mLのツベルクリンインスリン分注シリンジ(本質的にゼロデッドボリューム)を用いて添加した。バイアルを直ちにクリンプキャップし、直立で1分間および逆さで1分間ボルテックスした。バイアルを1分間放置し、次いで、穏やかに10回反転させた。0.3mLアリコートを、実施例5に記載されるように粒子サイジングのためにサンプリングした。次いで、ボルテックスした材料の5mLアリコートを、正確に実施例5に記載されるように処理した。
表9は、ボルテックス後音波処理前とボルテックスおよびインライン音波処理後の成分混合物について得られた粒径データを示す。
この実施例に記載される技術を用いたDDFP−PTBナノエマルジョンの調製は、高圧均質化によって調製した材料によって示される粒径パラメータ(表1参照)を有するナノエマルジョンを提供した。これは、エマルジョンのインライン調製の有効性および有用性を実証している。
この技術の利点には、(1)最高品質の材料の即時調製、(2)非常に均一な材料品質、(3)各成分をその最大安定性のための条件下で保存することができるような、バイアル中の二相混合物としての、またはリアルタイムで合わせられる別々の成分としての成分の貯蔵(4)可能であれば、冷蔵または他の環境制御を必要としない、より安定な成分(DDFPなど)の貯蔵を可能にすること、および(5)長期間保存された予備形成エマルジョンの貯蔵寿命限界のために生じ得る材料の廃棄を最小化することが含まれる。
実施例7 DDFPのバルクを100nm以下の粒子に減少させるDDFPナノエマルジョンの製造
投与量測定クリップ(体積5mL)および使い捨て22ゲージ針を取り付けた6mL Henke Sass Wolf Normject使い捨てシリンジに、吸引によって、仕様外のナノエマルジョン(OOSN)(2%DDFP w/v;0.3%Peg−Telomer B w/v;水性10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7)中の30%スクロースw/v)の5.8mL試料を充填した。試料を吸引した後、針を外し、シリンジのルアーロックをデッドエンドキャップ嵌合で大気に対し密封した。アセンブリを、VWR Aquasonic HT75超音波洗浄機の浴に左右および前後中心に配置し、シリンジのルアーロックを水槽の底に向け、シリンジの長軸を底に垂直にした。シリンジの液面は、浴の水位より0.5´´低い。音波処理を25℃で2分間行い、シリンジを浴から取り出し、周囲温度で30分間放置した。
この実験をさらに2つの試料について行い、合計3回の試行とした。これらの試料についての粒径パラメータのデータを表10に示す。PSS Nicomp 380 DLSサブミクロン粒子サイジング装置を使用して粒径パラメータを得た。
表10のOOSN(0)項目に示されるように、非常に大きな粒径パラメータがOOSNについて見出された。このデータの精査により、シリンジ内音波処理OOSNのIWMD、VWMDおよびNWMDが仕様内にあることが示される。この値は、ガラスバイアル中のOOSNの音波処理によって得られた材料、または乳化技術として高圧均質化を用いて得られた新たな材料(表1参照)について観察された値の約50%であった。この予想外の結果は、プラスチック使い捨てシリンジでの音波処理が、7250psiの平均圧力で高圧均質化を使用しても、合計出力75ワット(Aquasonic HT75超音波洗浄器)で40KHzでのガラス容器中での前駆体OOSNの音波処理によっても入手できない粒径のナノエマルジョンをもたらしたことを示している。
プラスチック使い捨てシリンジ内の材料の音波処理は、入力DDFPの質量の大部分の平均粒径が106nm未満であるDDFPのナノエマルジョンを迅速に提供する。これは、105nmの平均体積加重累積75%分布<値によって実証された。このようなエマルジョンは、高圧均質化によって得られる典型的なパーフルオロカーボンナノエマルジョンよりもより小さい粒子が適切となり得る特殊な用途に有用である。
表11は、高圧均質化、ガラスバイアル中の別々の成分の組み合わせ、引き続いてボルテックスおよび音波処理、ガラスバイアル中でのOOSNのボルテックス、引き続いてガラスバイアル中での音波処理およびボルテックス、引き続いて材料の使い捨てプラスチックシリンジへの移動および浴の床に垂直のその長軸に配向したシリンジの音波処理によって製造したDDFPナノエマルジョンについての比較データを示している。
プラスチックシリンジが音波処理を行った容器であった場合に、粒径パラメータの最大差異が見出された。したがって、100ナノメートル以下の範囲の平均粒径が望ましい場合、プラスチックシリンジ中での粗エマルジョンの音波処理を使用してそれらを迅速かつ効率的に生成することができる。これにより、ファーストレスポンダーが緊急時に使用するための高品質なナノエマルジョンのオンデマンド調製が可能になる。
実施例8 複合成分を含有するシリンジの音波処理によるパーフルオロカーボンナノエマルジョンの製造:シリンジ内で音波処理したパーフルオロカーボンナノエマルジョンの粒径の制御
上記の実施例7は、シリンジ内で複合成分のボルテックス混合物を音波処理した後、入力DDFPのバルクについて100nm以下の粒径パラメータを有するPFCナノエマルジョンを製造する方法を示した。音波処理時間を1分に短縮すると、高圧均質化を用いて得られるものに典型的なパーフルオロカーボンナノエマルジョンが得られないことが観察された。しかしながら、PFC、例えばDDFPの相対量を混合物中の他の成分に対して増加させる、複合成分のボルテックス混合物の音波処理(シリンジ内)によって、エマルジョンをここで界面活性剤安定化DDFPの濃度について増加させることを除いて、高圧均質化によって製造したナノエマルジョンに典型的な粒径パラメータを有するPFCナノエマルジョンが容易に提供されることが発見された。これにより、乳化されたDDFP単位当たりのスクロースおよび界面活性剤の総体積および使用に関して、よりコンパクトで経済的な形式での所望のエマルジョン型のオンデマンド製造が可能になる。
例示的な例は、DDFP濃度を4%w/vに上昇させる一方で、成分の残りの濃度は同じままである場合、したがって、DDFP4%w/v、Peg−Telomer B界面活性剤は0.3%w/vのままであり、スクロースは30%w/vのままであり、リン酸緩衝液を10mMで制御する場合である。この混合物7.77mLを含有する公称5mL容量バイアル(実際の総体積9.0mL)を、直立で30秒間および逆さで30秒間ボルテックスした。次いで、シリンジに完全に充填されるまで、1.5´´22ゲージの使い捨て針および投薬クリップを取り付けたHenke Sass Wolf Normject(商標)使い捨てプラスチックシリンジに混合物を吸引した。針をはずし、シリンジのルアーロクをデッドエンドキャップ嵌合を用いて密封した。実施例7に記載されるように、シリンジを、VWR Aquasonic 75HT超音波洗浄浴の槽に左右および前後中心に配置し、長軸を槽の底に垂直にした。
音波処理を3分間行い、シリンジを浴から取り出し、シリンジの内容物のアリコートをサブミクロン粒子サイジングに使用した。3つの試験の結果を表12に示す。
DDFP(4%w/v)対他の成分の相対濃度が標準的2%DDFPナノエマルジョンの2倍であるシリンジ内での複合成分の音波処理は、高圧均質化によって製造した標準的2%w/vDDFPナノエマルジョンに特徴的な粒径パラメータ(表1参照)を有するパーフルオロカーボンナノエマルジョンへの単純でオンデマンドの経路を提供する。これにより、要求される仕様の新たに調製した材料を提供しながら、必要とされる体積が50%減少し、界面活性剤、スクロースおよび水性緩衝液の必要量も50%減少する。
仮想例1 音波エネルギーを直接接触によってバイアルに伝達する、Vial Tweeterを用いた単一バイアルまたは複数バイアルの超音波処理
この例は、圧電素子を使用して、水浴なしで、複数または単一密封バイアルをどのように音波処理することができるかを示している。このような装置の一例は、VialTweeter(Hielscher Ultrasonics GmbH、Teltow、ドイツ)であり、これを使用して複数バイアルを一度に超音波エネルギーに曝露することができる。密封バイアルに超音波エネルギーを伝達するために水浴は必要ではない。
図3は、超音波プロセッサUIS250v320(250ワット、24kHz)によって電力供給されるVialTweeter310の代表的な実施形態を示している。このユニットは、適切に構成されたソノトロードを備えたバイアルまたはシリンジまたはチュービングに超音波エネルギーを伝達することができる。特定の用途の最適化のためにパルス、振幅および出力に関して超音波処理を変えることができる超音波プロセッサを使用して超音波の出力を変えることができる。VialTweeterは、高強度部分の6つのバイアルのそれぞれの最大10ワットおよび低強度部分に配置された2つのバイアルに最大5ワットを送達する。
図4は、NVX−108、DDFP(2%w/v)およびPEG−Telomer B界面活性剤(0.3%w/v)のリン酸緩衝30%スクロース水溶液中ナノエマルジョンの典型的な公称10mL容量バイアルの代表的な実施形態を示している。バイアル400はNVX−108を含有している。一定の実施形態では、バイアル400が、バイアル400内の音響エネルギーの反射を引き起さないように、またバイアル400内に第2の集束帯を形成しないように構成される。
充填済密封バイアルをVialTweeterに入れて、仕様外に行ったエマルジョン径を減少させる、または密封バイアル内に含有される出発材料から最終エマルジョンを調製することができる。VialTweeterは、12x32mmまたは15x45mmのバイアルを保持するように作られる。VialTweeterの端に最大50mLのより大きなバイアルを取り付けることができる。
図5は、Vial Tweeterを使用して超音波処理される溶液を含有する、最大50mLの体積を有することができるバイアルの代表的な実施形態を示している。バイアル510をVialTweeter310(図3)に取り付けることができる。これは、NVX−108のバイアル400(図4)または充填済シリンジを表し得る。これはまた、NVX−108の仕様外のエマルジョン、または高圧均質化にも粗エマルジョンを所望のナノエマルジョンに変換するためのいかなる処理にも供されていないNVX−108を調製するために使用される成分の粗エマルジョンのバイアルを表し得る。一定の実施形態では、バイアル510が、バイアル510内の音響エネルギーの反射を引き起さないように、またバイアル510内に第2の集束帯を形成しないように構成される。
仮想例2 VialTweeterまたは超音波エネルギーを送達することができる電源およびトランスデューサアレイのトランスデューサを使用する他のシステムによる充填済シリンジの音波処理
この例は、どのようにVialTweeter310を使用して充填済シリンジを音波処理することができるか、およびどのようにパワーインジェクタまたはシリンジポンプを使用して材料を例えば患者に注入している間に音波処理に曝露させることができるかを示している。
図6Aは、小量試料に超音波を送達するために使用されるソノトロードを備えたVial Tweeterの代表的な実施形態を示している。
UIS250v 320(図3)は、単一バイアルの非常に強力な音波処理に使用することができる。ソノトロードVT24d10 610は、単一バイアルに最大15ワットを送達するように設計されている。種々のバイアル径のソノトロードが利用可能である。バイアルの代わりに、以下に示されるようなシリンジをソノトロードに嵌め込むことができる。
図6Bは、粗フルオロカーボンまたはパーフルオロカーボン界面活性剤エマルジョンまたは仕様外のエマルジョンを含有する充填済シリンジ620の代表的な実施形態を示している。充填済シリンジ620を、ソノトロードの端部の穴に嵌め込むことができ、シリンジ内容物625がVial Tweeterが超音波エネルギーを生成するゾーン内にあるように、Vial Tweeterと接するシリンジ表面の位置を制御することができる。
超音波源、例えばVial Tweeterの適切に構成されたソノトロードを、粗フルオロカーボンまたはパーフルオロカーボン界面活性剤エマルジョンまたは仕様外のエマルジョン625が占める領域内のシリンジに取り付けることができ、超音波処理を、ソノトロードの正確な位置に応じて注入前または注入中に行うことができる。プランジャーを引っ込めると、粗フルオロカーボンまたはパーフルオロカーボン界面活性剤エマルジョンまたは仕様外のエマルジョン625が、シリンジの内部の大部分を占める場合、所望の粒径を有する最終ナノエマルジョンを提供するのに十分な効率で超音波を伝達することができる任意の部分でソノトロードをシリンジに取り付けることができることが理解される。
図6Cを参照すると、充填済シリンジをソノトロードに嵌め込む場合、シリンジを理想的には、シリンジポンプまたはパワーインジェクタに取り付ける。PCが超音波プロセッサの出力を監視することができ、PCがシリンジポンプまたはパワーインジェクタを制御することができる。シリンジポンプまたはパワーインジェクタは、一旦シリンジ、流出チャンバまたはチュービングが事前に指定された出力の強度および持続時間に曝された場合にのみ作動する。
好ましくは、シリンジを、シリンジの出口を下に向けて垂直に配向する。シリンジを、水平位置から垂直位置まで様々な角度で配向してもよい。垂直配向またはその変化は、任意の不定の大きなマイクロバブルまたは不定の気体が上部に浮遊し、患者に注入されないようにするためのものである。
図6Dの例示の実施形態は、充填済シリンジが取り付けられたシリンジポンプNE−300−U630を示している。囲まれた領域A、BおよびCは、上述の粗または仕様外のエマルジョンの超音波処理を可能にするためにVial Tweeterの適切に構成されたソノトロードを取り付けることができるゾーンである。ゾーンAはシリンジバレルであり、ゾーンBは、製品がシリンジバレルから出るシリンジバレルから遠位の領域であり、ゾーンCは、処理されたエマルジョンを患者に送達するチュービングまたはチュービング針の前の段階の適当な器具を用いてソノトロードまたは他の超音波源を固定することができるところである。送達速度、超音波出力およびデューティサイクルの変動を使用して、その粒径が特定の用途に最適化されたナノエマルジョンを提供することができる。
図6Dの例示の実施形態は、充填済シリンジが取り付けられたシリンジポンプNE−300−U630を示している。シリンジバレルおよびシリンジのかなりの長さおよび端部がどのように露出されているかに注目し、当業者は、適切に構成されたソノトロードを有するVialTweeterの端部にシリンジを嵌め込むことができることを認識するであろう。ポンプのハウジングのための支持部を変更することによって、シリンジを、シリンジバレルの先端を下に向けて垂直または傾斜した位置で使用することができる。Vial Tweeter間の接点がシリンジバレル(図6D−ゾーンA)に沿っていても、またはシリンジ内容物がバレルから出る領域(図6D−ゾーンB)にあっても、またはシリンジの内容物がシリンジから出る領域からさらに遠位の点(図6D−ゾーンC)にあってもよいことにも留意されたい。Vial Tweeterは、図6Dに示される構成で超音波を送達するために使用することができる超音波処理のための唯一のシステムではない。リング形状または円錐形状に組み立てられ得る小型トランスデューサのアレイもこれに関して有用となり得る。特に、圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ(PMUT)を展開して、ゾーンA、ゾーンB、またはゾーンCによって境界を画定されるシリンジの外側の任意の表面の形状に適合し得るトランスデューサのアレイを調製することができる。(Qiuら2015 Sensors 15、8020〜8041)。
ここで図7Aを参照すると、DDFPナノエマルジョン730Aを含有するシリンジ710Aが、圧電トランスデューサ720Aと接触して配置される。超音波740Aは、シリンジ710A内のDDFPエマルジョン730Aに印加される。トランスデューサ720Aは、シリンジ710Aのバレルの円周の様々な部分、例えばわずか1%〜100%を限定することができる。一定の実施形態では、超音波出力がシリンジ内の内容物に印加される間、流量が制御されるように、トランスデューサ720Aおよびトランスデューサ720Aの電源が本明細書に開示されるシリンジポンプと一体化される。別の実施形態では、トランスデューサ720Aをシリンジポンプに一体化し、別個の電源を使用してトランスデューサ720Aに電力供給することができる。
図7Bにおいて、粗DDFPエマルジョンまたは仕様外のDDFPエマルジョン730Bを含有するシリンジ710Bは、集束圧電トランスデューサ720Bと接触して配置される。集束超音波740Bは、シリンジ710B内の粗DDFPエマルジョンまたは仕様外のDDFPエマルジョン730Bに印加される。超音波エネルギーは、焦点750Bによって示される、粗DDFPエマルジョンまたは仕様外のDDFPエマルジョン730B内の点に集束される。焦点750Bが溶液の中心にある必要はないことに留意されたい。集束トランスデューサ720Bは、シリンジ710Bのバレルの円周の様々な部分、例えばわずか1%〜100%を限定することができる。一定の実施形態では、超音波出力がシリンジ内の内容物に印加される間、流量が制御されるように、トランスデューサ720Bおよびトランスデューサ720Bの電源が本明細書に開示されるシリンジポンプと一体化される。別の実施形態では、トランスデューサ720Aをシリンジポンプに一体化し、別個の電源を使用してトランスデューサ720Aに電力供給することができる。
仮想例3 カスタムメイドの一体型トランスデューサを使用した充填済シリンジの音波処理
図8は、エマルジョンのサイズを調節するためにカスタムメイドの音波装置を構成する方法を示している。図8は、一体型トランスデューサを含むプランジャーを挿入することができるピストンアセンブリを有する充填済シリンジシステムの代表的な実施形態を示している。これは、患者に送達する前のフルオロカーボンもしくはパーフルオロカーボンと界面活性剤の仕様外のエマルジョンまたはフルオロカーボンもしくはパーフルオロカーボンと界面活性剤の粗エマルジョンの超音波処理を可能にする。
トランスデューサまたは携帯型プローブアセンブリ810は、音響的透明ピストン820を通してシリンジの基部に超音波エネルギーを印加するために、シリンジ830の適切に構成されたピストン820に取り付けられる。キャップ840は、シリンジの端部に液体およびガス不透過性障壁を形成する。キャップ840は、ルアーロックまたは他のバルブを備えることができる。
過酷な環境で使用される場合、シリンジがフルオロカーボンまたはパーフルオロカーボン、例えばパーフルオロペンタンの沸点より上の温度で貯蔵され得るため、シリンジ内の内容物が圧力下にあり得ることに留意されたい。シリンジ830は、ガラスまたはプラスチック材料を含むことができるが、必然的に液体および気体に対して不透過性である。シリンジは、フルオロカーボン、1種または複数の界面活性剤および賦形剤のエマルジョンまたは混合物で充填される。ピストン820は、耐圧性であり、フルオロカーボンの揮発性のために存在し得る圧力下で気体および液体がシリンジから逃げるのを防止するように設計される。
ピストン820とシリンジバレルの内部との間の界面は、医薬用ゴム、シリコーンもしくは熱可塑性エラストマー、またはこれらの混合物を完全にまたは一部含むことができる。外部でシリンジ内容物とおよび外部で超音波プローブのトランスデューサまたは圧電素子と接触するピストン820のセクションは、ステンレス鋼または他の適切な材料、例えばセラミックもしくは印加された超音波エネルギーを、本明細書の仕様で示される時限内に所望の特性を有するナノエマルジョンを提供する効率で、シリンジ内容物に伝達することができる他の材料からなり得る。
ピストンは、携帯型超音波プローブ810をその基部に挿入することを可能にするよう設計される。超音波プローブ810は、ピストン820の内部と接触し、ピストン820を介して超音波エネルギーをシリンジ内の流体に伝達する圧電トランスデューサまたは機械振動装置850を備える。正弦波発生器(例えば、1MHz)ならびに電源、ゲート回路および増幅器を使用して、圧電結晶または機械振動装置に電力供給することができる。理想的には、これは全て取り外し可能なシリンジプランジャーに組み込まれる。電源は電池であってもよく、好ましくは再充電可能であり、それにより再使用可能であるが、単回使用装置として提供することもできる。回路を、シリンジバレルの端部にシールされたままであり、音波処理(機械振動)の必要な持続時間および予め指定された出力がシリンジに送達されるまで不動であるガスケットと一体化することができることに留意されたい。その際、製品を十分な電力がシリンジの内容物に送達された後にのみ注入できるので、集積回路を使用して製品の安全性を保証することができる。携帯型装置ではなく超音波プローブ810を、病院および手術室環境で使用するためのパワーインジェクタ装置に一体化することもできることに留意されたい。
仮想例4 戦場外傷犠牲者の治療
兵士は、大量の失血ならびに外傷性脳損傷を含む爆風損傷を被る。救急救命士は、バックパックから5%重量体積のDDFPeの充填済シリンジを得る。材料は層状で白く不透明に見える。救急救命士はシリンジを手で激しく振る。彼はバックパックからトランスデューサを得て、圧電トランスデューサをガスケットの裏側に嵌め込んで、これをシリンジの端部にねじ込む。トランスデューサは自動的に係合し、必要な量の超音波エネルギーをシリンジに与える。十分な超音波エネルギーの曝露後、シリンジ内の材料は半透明で均一に見える。ルアーロックはシリンジの端部に取り付けられ、そこまでの針はハウジングによって覆われている。救急救命士は、針を覆っているハウジングを取り外し、針を血管内に置く(骨内注射も使用できることに留意されたい)。ルアーロックを開き、救急救命士はプランジャー(トランスデューサーも含有し得る)を押し、失血の症例を治療するのに十分な用量の0.25mL/kgの5%w/vol DDFPeを送達する。
本発明の好ましい実施形態を詳細に説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に対する修正および適合が当業者に思い浮かぶことは明らかである。
出願人の開示は、同様の番号が同じまたは類似の要素を表す図面を参照して、好ましい実施形態において本明細書に記載される。本明細書を通した「一実施形態」、「実施形態」または同様の言語への言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通した「一実施形態では」、「実施形態では」および同様の言語表現の句の出現は、必ずしもそうである必要はないが、全て同じ実施形態を指す。
出願人の開示の記載される特徴、構造または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な様式で組み合わせることができる。以下の説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細が列挙される。しかしながら、当業者であれば、具体的な詳細の1つもしくは複数を用いずに、または他の方法、構成要素、材料などを用いて、出願人の組成物および/または方法を実施することができることを認識するであろう。他の例では、周知の構造、材料または動作は、本開示の態様を不明瞭にすることを避けるために、詳細には示されても記載されてもいない。
本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と類似または同等の任意の方法および材料も、本開示の実施または試験において使用することができるが、好ましい方法および材料をここで説明する。本明細書で列挙する方法は、開示された特定の順序に加えて、論理的に可能な任意の順序で実施することができる。
参照による組み込み
特許、特許出願、特許公報、雑誌、書籍、論文、ウェブコンテンツなどの他の文書に対する参照および引用が、本開示においてなされている。全てのこのような文献は、これにより全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書において参照により組み込まれると言われているが、本明細書に明示的に示されている既存の定義、声明または他の開示資料と矛盾する任意の材料またはその部分は、組み込まれた材料と本発明の開示材料との間に生じる矛盾がない程度にのみ組み込まれる。矛盾が生じた場合、矛盾は本開示を好ましい開示として支持して解決されるべきである。
均等物
代表的な実施例は、本発明の説明を助けることを意図するものであり、本発明の範囲を限定することを意図しておらず、またそのように解釈されるべきでない。実際に、本明細書に示され記載されたものに加えて、本発明の種々の改変およびその多くのさらなる実施形態は、本明細書に含まれる実施例ならびに科学文献および特許文献の参照を含む本文書の全内容から当業者に明らかになるであろう。これらの実施例は、その種々の実施形態およびその均等物での本発明の実施に適合させることができる重要な追加の情報、例示および指針を含む。