JPH08306090A - 光磁気記録用媒体およびその製造方法 - Google Patents

光磁気記録用媒体およびその製造方法

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JPH08306090A
JPH08306090A JP10934595A JP10934595A JPH08306090A JP H08306090 A JPH08306090 A JP H08306090A JP 10934595 A JP10934595 A JP 10934595A JP 10934595 A JP10934595 A JP 10934595A JP H08306090 A JPH08306090 A JP H08306090A
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recording
region
coercive force
film
fine
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JP10934595A
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English (en)
Inventor
Keikichi Ando
圭吉 安藤
Hiroyuki Awano
博之 粟野
Yumiko Anzai
由美子 安齋
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Hitachi Ltd
Maxell Holdings Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Hitachi Maxell Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】あらかじめ微粒子膜を形成し、スパッタリング
法および/あるいはフォトリソグラフ法などにより、原
盤,スタンパを作製し、多数枚の基板を再現性よく複製
する。それにより、基板表面に幅および長さを制御した
微細な凹凸部の領域と平坦部の領域を隣接して形成し、
表面に直接あるいは近接して記録膜を形成する。 【効果】記録膜に入射するレーザ光のスポット径を小さ
くすることなく、相対的に保磁力が高い領域で幅および
長さを制限された微小な記録点を形成でき記録密度を向
上できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザ光,電子線等の
記録用エネルギビームによって、例えば映像や音声等の
アナログ信号をFM変調した情報や、例えば電子計算機
のデータ,ファクシミリ信号,ディジタルオーディオ信
号等のディジタル情報をリアルタイムで記録することが
可能な光磁気記録媒体で、光スポットよりも小さな磁区
を安定に形成できる高密度光磁気記録媒体およびその製
造方法それを用いた装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の光磁気記録媒体の断面構造は、例
えば、図2に示したような構造であった。トラッキング
のための案内溝を設けたガラスなどの透明基板40の表
面に、窒化珪素などの誘電体層41を約90nm、Tb
FeCoなどの磁性層42を約100nm、窒化珪素な
どの保護層43を約200nmで順次積層して記録媒体
44としている。誘電体層41は基板40側からレンズ
47を介して入射したレーザ光48をその内部で多重反
射させ、磁性層42で生じる偏向面の回転(カー回転)
を増大させる働きがある。保護層43は磁性層42を酸
化などの腐食から保護する働きがある。
【0003】このような記録媒体の記録再生の原理につ
いて説明する。磁性層の保磁力は、室温では大きく、キ
ュリー温度付近で小さくなる。そこで記録媒体に記録磁
界を印加しながら、レーザ光を収束して照射し記録媒体
の温度を上昇させると、記録温度に達したときに保磁力
Hcは記録磁界と等しくなるため、記録温度に達した部
分の磁性層の磁化は記録磁界の方向に向き記録磁区が形
成される。再生時には、記録磁区に収束光を照射し、偏
向面の回転を検出することにより記録磁区の有無、形状
や大きさを検出する。
【0004】この方法については、例えば、特開昭59−
210543号公報に記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来技術では
光の強度を制御することによって小さな磁区を記録しよ
うとすると、記録温度に達した部分の大きさを制御する
のが困難で、実質的には光スポット径(約1.6μm ,
波長830nm)の1/2よりも小さな磁区は記録でき
ないという問題があった。このため、高密度な記録を行
うのが困難であった。
【0006】本発明の第一の目的は、光スポット径の1
/2よりも小さな磁区を形成して高密度記録を行うこと
の可能な光磁気記録媒体を提供することにある。
【0007】本発明の第二の目的は、光スポット径の1
/2よりも小さな磁区を形成して高密度記録を行うこと
の可能な光磁気記録媒体の製造方法を提供することにあ
る。
【0008】本発明の第三の目的は、光スポット径の1
/2よりも小さな磁区を形成して高密度記録を行うこと
の可能な光磁気記録装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明では、磁性膜内に
相対的に保磁力が大きな領域と相対的に保磁力が小さな
領域を交互に隣接して設けた光磁気記録媒体を用い、相
対的に保磁力が大きな領域に微小な記録磁区を形成でき
るようにすることにより、前記第一の目的を達成する。
【0010】相対的に保磁力が高い領域の幅または長さ
の少なくともいずれかを、情報記録単位の磁区を形成す
るレーザ光のスポット径より幅または長さのいずれかよ
りも小さくすると、記録磁区の幅または長さを正確に制
御して微小な記録磁区を形成でき、これにより前記第一
の目的を達成する。
【0011】相対的に保磁力が高い領域と相対的に保磁
力が低い領域を同心円状あるいは螺旋状に形成すると、
記録領域がトラック状に配置されるため高速アクセスが
可能となる。また、同心円状あるいは螺旋状に形成され
た相対的に保磁力が高い領域の幅を0.6μmよりも小
さくすると、0.6μmよりも幅の狭い記録磁区を形成
することが容易になり、第一の目的を達成する。
【0012】第二の目的は、磁性膜を形成する基板また
は保護層の表面に微細な凹凸部の領域と平坦部の領域を
交互に隣接して形成することで達成される。すなわち、
磁性膜の保磁力は、図16の説明図に示すように、下地
の表面形状の凹凸の大きさにより磁性膜の磁化の向きが
微細に異なる。それにより、磁性膜の保磁力の大きさが
異なるものと考えられている。したがって、表面の形状
を精度良く制御すればよい。
【0013】微細な凹凸部の凹部の深さあるいは凸部の
高さの半値幅の平均値は2nmから40nmの範囲が好
ましく、4nmから30nmの範囲がより好ましい。微
細な凹凸部の凹部あるいは凸部の各々の間隔の平均値は
4nmから80nmの範囲が好ましく、8nmから60
nmの範囲がより好ましい。微細な凹凸部の凹部の深さ
あるいは凸部の高さの平均値が2nm未満では、微細な
凹凸部の領域と平坦部の領域との保磁力の差を大きくす
ることができない。また、この半値幅が40nmを超え
ると読み出し時のノイズが大きくなりS/N比を大きく
することができないので実用上好ましくない。
【0014】微細な凹凸部の領域と平坦部の領域とを有
する基板は、微細な金属粒子膜を形成する工程と、フォ
トレジストまたは電子線レジスト層を形成し、レジスト
の表面に所望の微細な凹凸部の領域と平坦部の領域との
パターンを直接、光または電子線を照射し、現像により
レジストの表面に微細な凹凸部を形成して原盤を作製
し、この原盤からスタンパを作製し、スタンパから光硬
化あるいは熱硬化樹脂を用いて複製する、いわゆる露光
法およびレプリカ作製方法により作製することができ
る。ここで所望の微細な凹凸部の領域と平坦部の領域の
パターンは、所望のパターンのマスクを別に作製し、マ
スクを介して光または電子線を照射しても同様の原盤が
得られる。
【0015】これにより所望のパターンの微細な凹凸部
の領域と平坦部の領域とを有する基板を多数枚再現性よ
く作製できる。こうして作製された基板上に従来と同様
に、誘電体層,磁性膜および保護層を形成することによ
り、微細な凹凸部の領域と平坦部の領域とを隣接して交
互に有する光磁気記録媒体が得られる。それにより、相
対的に保磁力が異なる領域が得られる。
【0016】または、微細な凹凸部の領域と平坦部の領
域とを有する基板は、微細な金属粒子膜を形成する工程
と、フォトレジストまたは電子線レジストを形成する工
程と、所望の形状のパターンを有するマスクを介して照
射するあるいは微小なスポットで所望の形状のパターン
を直接照射する工程と、現像によって前記レジストの照
射領域を除去する工程と、レジストをマスクとしてイオ
ンエッチングして、微細な金属粒子膜を除去して平坦部
の領域を形成する工程と、前記マスク用レジストを除去
して、表面に微細な凹凸部の領域と平坦部の領域とを有
する原盤を作製する工程と、前記原盤表面にNi蒸着膜
及びあるいはNiメッキ膜を形成してNiスタンパを作
製する工程と、前記Niスタンパからインジェクション
法などにより透明基板を複製する工程とにより、作製す
ることができる。
【0017】これにより、所望のパターンの微細な凹凸
部の領域と平坦部の領域とを有する基板を形成できる。
さらに、従来例と同様に、前記基板の表面に、誘電体
層,磁性膜および保護層を形成することにより、微細な
凹凸部の領域と平坦部の領域とを隣接して交互に有する
光磁気記録媒体が得られる。それにより、光磁気記録媒
体上に相対的に保磁力が異なる領域が得られる。したが
って、相対的に保磁力が高い領域にのみ微小な記録磁区
を形成することが容易になる。すなわち高密度記録が可
能になる。
【0018】相対的に保磁力が高い領域のみの微小な記
録磁区形成について、図17の説明図を用いて説明す
る。相対的に保磁力が高い領域の磁性膜の磁化の向き
は、一方向に磁性膜の磁化を均一にしたとしても、下地
の表面形状の凹凸の大きさにより磁性膜の磁化の向きが
微細に異なり、磁性膜に対して垂直から僅かに傾いた磁
化方向を示している。そのため、例えば、あらかじめ一
方向に磁性膜の磁化を均一にした後、次に前期磁化の向
きとは反対の外部磁界を印加した状態で、磁性膜の保磁
力が高い領域にレーザ光を照射して、外部磁界より磁化
が小さくなる温度に上昇させる。それにより、磁性膜に
対して垂直から僅かに傾いた磁化方向は、容易に外部磁
界の方向に反転する。すなわち、平坦部の領域より小さ
い磁界あるいは温度で磁区が形成される。
【0019】したがって、微細な凹凸部の領域の相対的
に保磁力が高い領域にのみ、微小な記録磁区を形成する
ことが容易になる。すなわち高密度記録が可能になる。
【0020】以上は光磁気記録媒体を用いた微小磁区を
記録するのに有効であるが、結晶質−非晶質間などの相
転移型記録媒体にも有効である。
【0021】すなわち、記録媒体の記録層としては、磁
性膜のほかに結晶質−非晶質間,結晶質−結晶質間,非
晶質−結晶質間および非晶質−非晶質間で変化する相変
化膜にも有効である。上記相変化記録膜は、レーザ光を
照射して記録膜の吸収による熱で、結晶化温度より高い
温度に照射領域の温度が上昇して融解した後、冷却速度
の違いにより、結晶質状態あるいは非晶質状態が得られ
るものである。結晶質状態と非晶質状態の間での反射率
が大きく異なる領域のいずれかを記録点にして情報の担
い手にしている。
【0022】例えば、あらかじめ相変化記録膜全体を非
晶質状態にした後、微細な凹凸が有る領域にレーザ光を
照射して記録点を形成する。平坦部の領域に比べて、特
に微細な凹凸部は温度揺らぎを生じやすく結晶核が多数
発生し、平坦部の領域より低い温度で結晶質状態が得ら
れる。この場合、結晶質の領域が記録点となる。また、
上記とは逆に、あらかじめ相変化記録膜全体を結晶質状
態にした後、基板表面の平坦な領域にレーザ光を照射し
て記録点を形成する。すなわち、平坦部の領域は結晶核
が少なく、微細な凹凸部の領域に比べて、特に平坦部は
温度揺らぎが小さく結晶核も少ないことから非晶質状態
が得られる。この場合、非晶質の領域が記録点となる。
前記相変化記録膜は、例えば、GeSbTe,AgIn
SbTeがある。
【0023】第三の目的は、磁性膜の温度を上昇させる
ための光を照射するための光ヘッドと、前記磁性膜上に
磁界を印加するための磁界印加手段と、所望の記録磁区
を形成するために光の強度あるいは磁界の強度あるいは
向きを変化させるための変調手段と、光を記録媒体上の
所望の位置に照射するための自動位置制御手段を少なく
とも有し、前記した相対的に保磁力が大きな領域と相対
的に保磁力が小さな領域との境界部に磁壁が位置するよ
うに記録磁区を形成するための記録制御手段を少なくと
も有する光磁気記録装置により達成される。前記記録制
御手段は、光あるいは磁化の強度変化のタイミングを制
御するためのタイミング制御部を有していて、記録磁区
の幅または長さを正確に制御して高密度、かつ、信号品
質のよい記録を行うことができる。
【0024】
【作用】本発明の記録媒体は、磁性膜内に相対的に保磁
力が高い領域と保磁力が低い領域とを備えている。この
ため、保磁力が高い領域のみを高感度(低い温度で記録
できる)にすることができ、適当な強度の(少し弱い)
レーザ光を記録媒体に照射して記録を行えば、高感度の
領域にのみ記録磁区を形成することができ、その他の領
域に磁区が広がることはない。したがって、保磁力が高
い領域と同程度の大きさの微小な記録磁区を形成するこ
とができる。相対的に保磁力が高い領域の磁性膜の磁化
の向きは、一方向に磁性膜の磁化を均一にしたとして
も、下地の表面形状の凹凸の大きさにより磁性膜の磁化
の向きが微細に異なり、磁性膜に対して垂直から僅かに
傾いた磁化方向を示している。そのため、例えば、あら
かじめ一方向に磁性膜の磁化を均一にした後、次に磁化
の向きとは反対の外部磁界を印加した状態で、磁性膜の
保磁力が高い領域にレーザ光を照射して、外部磁界より
磁化が小さくなる温度に上昇させる。それにより、磁性
膜に対して垂直から僅かに傾いた磁化方向は、容易に外
部磁界の方向に反転する。すなわち、平坦部の領域より
小さい磁界あるいは温度で磁区が形成される。
【0025】したがって、微細な凹凸部の領域の相対的
に保磁力が高い領域にのみ、微小な記録磁区を形成する
ことが容易になる。その際、記録される磁区の形状や大
きさは、あらかじめ形成した保磁力が高い微小領域の形
状や大きさによって決まるため、記録時のレーザ光強度
が変化したりしたとしても、一定の形状や大きさの磁区
を安定に形成することができ、高S/Nな(低ノイズ
の)記録が可能となる。すなわち高密度記録が可能にな
る。
【0026】以上は光磁気記録媒体を用いた微小磁区を
記録するのに有効であるが、結晶質−非晶質間などの相
転移型記録媒体にも有効である。
【0027】すなわち、相変化記録膜は、レーザ光を照
射して記録膜の吸収による熱で、結晶化温度より高い温
度に照射領域の温度が上昇して融解した後、冷却速度の
違いにより、結晶質状態あるいは非晶質状態が得られ
る。結晶質状態と非晶質状態の間での反射率の違いを利
用しており、大きく異なる領域のいずれかを記録点にし
て情報の担い手にしている。したがって、あらかじめ相
変化記録膜全体を非晶質状態にした後、微細な凹凸が有
る領域にレーザ光を照射して記録点を形成する。平坦部
の領域に比べて、特に微細な凹凸部は温度揺らぎを生じ
やすく結晶核が多数発生し、平坦部の領域より低い温度
で結晶質状態が得られる。この場合、結晶質の領域が記
録点となる。また、逆に、あらかじめ相変化記録膜全体
を結晶質状態にした後、基板表面の平坦な領域にレーザ
光を照射して記録点を形成する。すなわち、平坦部の領
域は結晶核が少なく、微細な凹凸部の領域に比べて、特
に平坦部は温度揺らぎが小さく結晶核も少ないことから
非晶質状態が得られる。この場合、非晶質の領域が記録
点となる。
【0028】さらに、相変化記録膜は、レーザ光を照射
して記録膜の吸収による熱で、結晶化温度より高い温度
で記録膜を融解するため、記録膜内の温度差などにより
相変化材料が膜内方向に流動し、膜厚変化を生じて反射
率が変化してしまう。しかし、微細凹凸を有する基板を
用いた場合には、微細凹凸部の領域が流動を抑制する。
特に微細な凹凸部では平坦部より低い温度で結晶化でき
ることになり、平坦部では低い温度で非晶質化が可能と
なる。
【0029】また、本発明による光記録装置は、光を記
録媒体上の位置に照射するための自動位置制御手段と、
光の強度変化のタイミングを制御するタイミング制御部
を備えており、あらかじめ形成した微細凹凸部の微小領
域と一致して記録点を形成することができる。
【0030】
【実施例】
(実施例1)図1に本発明の光磁気記録媒体の1実施例
の断面図を示す。本発明の光磁気記録媒体は、所望のパ
ターンで平坦部と微細な凹凸部を有するディスク状の基
板1上に少なくとも磁性層3を備えて成る。この時の微
細な凹凸部14の領域の幅は0.4μmであり、平坦部
の領域24の幅は0.3μmとした。この例では磁性層
3としてTbFeCoなどの光磁気記録媒体を用いる。
TbFeCoなどの光磁気記録媒体を用いる場合、光磁
気効果の増大と耐酸化性の向上のために、窒化珪素など
を誘電体層2(膜厚60nm)や保護層4(膜厚60n
m)として設け、磁性層3(膜厚80nm)を挟んだ構
成の記録媒体5を用いるのが好ましい。もちろん必要に
応じて熱拡散層や反射層などの金属層を設けてもよい。
【0031】磁性膜3上には図1に示したように平坦部
の領域24に対応した保磁力が低い領域6と微細な凹凸
部の領域14に対応した保磁力が高い領域7が設けられ
ている。この保磁力の高い領域7はディスク状にいろい
ろな形状に配置することが可能であるが、図5に示した
ように同心円状または螺旋状に配置することによりトラ
ックを兼ねることができ、アクセスが容易になるため本
実施例では螺旋状に配置した。そこで、本実施例の基板
表面の微細な凹凸の領域14と平坦部の領域24も保磁
力が高い領域7と保磁力が低い領域6に対応して図5に
示したように螺旋状に配置したデイスク状記録媒体8を
用いた。したがって、本実施例の場合、保磁力が高い領
域7の幅は0.4μm であり、保磁力が高い領域7間の
距離は0.7μm となる。
【0032】平坦部の領域14と微細な凹凸部の領域2
4の幅は0.1μm以上0.6μm以下の範囲が好まし
い。また、微細な凹凸部の平均高さは平坦部と同一面上
でもよいし、上位あるいは下位に位置していてもよい。
【0033】平坦部の領域の幅を狭くした場合は、例え
ば磁性層のTbFeCo膜の保磁力の絶対値を大きくす
る、および/あるいは膜厚を薄くし、レーザ光のスポッ
ト径を小さく(例えば波長を短く)することが好まし
い。それにより高密度記録が可能となる。
【0034】保磁力が高い領域は隣接する領域の保磁力
を相対的に低くすればよい。
【0035】相対的に保磁力が高い領域7と相対的に保
磁力が低い領域6を隣接して螺旋上に設けるためには基
板あるいは誘電体層の表面に、同様のパターンで平坦部
と微細な凹凸部を設ければ良い。
【0036】本発明の基板の製造工程の一実施例を図6
に示す。透明なガラス板(厚さ10mm)10の表面に微
細な金属粒子膜25を形成し(a)、フォトレジストま
たは電子線レジスト11を塗布し、所望の平坦部と微細
な凹凸部を形成するための領域のパターンを有するマス
ク12を介して光または電子線13を照射し(b)、現
像液のシャワーあるいは液中に浸積して現像23するこ
とによって光または電子線に照射された領域のフォトレ
ジストまたは電子線レジスト11を除去して所望のパタ
ーンを形成する(c)。
【0037】次に、レジストをマスクとしてスパッタリ
ングイオン26によりエッチングして微細な金属粒子膜
25の一部を除去し(d)、平坦部の領域24を形成す
る。さらに、残ったレジスト11を除去し表面に平坦部
の領域24と微細な凹凸部の領域14を形成して原盤1
5を作製する(e)。
【0038】次に原盤に剥離層(Al−Ti合金を膜厚
20nm)22を形成する。次に原盤15表面に光硬化
あるいは熱硬化型樹脂a16を塗布してレジン樹脂基板
17に平坦部の領域24と微細な凹凸部の領域14を転
写してスタンパ18を作製する(f),(g)。さらに、
スタンパ18から光硬化あるいは熱硬化樹脂b19を用
いて透明なガラス円板20に複製し(h)、平坦部24
と微細な凹凸部の領域14を有する基板21を作製する
(i)。
【0039】以後、図6(h)以降を繰り返すことによ
り、所望のパターンの平坦部の領域と微細な凹凸部の領
域を有する基板を多数枚再現性よく作製できる。
【0040】また、図7に示すように(b)以降のフォ
トレジストまたは電子線レジスト11を塗布し、所望の
平坦部と微細な凹凸部を形成するための領域のパターン
に応じて光または電子線13照射量および/あるいは時
間などを制御して直接照射した後、光または電子線13
に照射された領域のフォトレジストまたは電子線レジス
ト11を現像液のシャワーあるいは液中に浸漬して現像
23することによって除去して所望のパターンを形成す
る。次に、レジストをマスクとしてスパッタリングイオ
ン26によりエッチングして微細な金属粒子膜25の一
部を除去し、平坦部の領域24を形成する。さらに、残
ったレジスト11を除去し表面に平坦部の領域24と微
細な凹凸部の領域14を形成して原盤15を作製しても
よい。
【0041】また、図8に示すように原盤15の表面に
Ni蒸着膜90および/あるいはNiメッキ膜91を形
成してNiスタンパ92を作製し、Niスタンパ92を
用いてインジェクション法などにより透明基板93を作
製しても良い。ここで微細な金属粒子膜25を形成する
際に、微細な金属粒子膜25の製膜条件を変えて粒径の
大きさを変化させれば、微細な凹凸部の領域の凹凸の大
きさを変えることが容易である。さらに、幅及び長さを
所望のパターンに形成するために光または電子線の量お
よび/あるいは照射する時間に間隔を設ければ良い。ま
た、微細な凹凸部を形成後、イオンエッチングなどする
ことにより微細な凹凸部の凹凸形状を顕著にできる。
【0042】基板21に従来例と同様の構造で記録媒体
5を形成した。所望のパターンに形成した例を斜視図1
0および図11に示す。それにより、図3に示すような
温度特性の保磁力が低い領域6と保持力が高い領域7が
得られた。ここで保磁力が低い領域は基板の平坦部の領
域24であり、保持力が高い領域は基板の微細な凹凸部
の領域14に対応する。これにより、保磁力の高い領域
にのみ微小な記録磁区を形成することが容易になった。
したがって、記録磁区の幅は記録レーザ光の波長(例え
ば830nm,スポット径約1.6μm )によらず、保
磁力の高い領域の幅に限定される。
【0043】この保磁力の高い領域24はディスク上に
いろいろな形状で配置することが可能であるが図5に示
したように同心円状または螺旋上に配置することにより
トラックを兼ねることができ、アクセスが容易になるた
め本実施例では螺旋上で配置した。この時の保磁力の高
い領域7の幅は0.4μm であり、この保磁力の高い領
域7間の距離は0.7μm である。また、原盤15を作
製後、これを基板として従来と同様の構造で記録媒体5
を形成してもよい。この場合は、図6に示す透明なガラ
ス板20を用いて、(a)から(e)を経て、表面に微
細な凹凸部の領域14を形成して基板を作製してもよ
い。
【0044】以下、この媒体が高密度化に有効であるこ
とを説明する。図3に示したように同じバイアス磁界で
記録するとき、微細凹凸部の領域は約7.5mW 以上の
記録パワーで磁区が形成される。一方、平坦部の領域で
は約8.0mW 以上の記録パワーで磁区が形成される。
すなわち、保磁力が高い領域は、保磁力が低い領域と比
べて低い温度で記録できる。したがって、適当な強度で
光を照射し媒体を昇温させることにより、図4に示した
ように媒体中の記録感度の高い領域、すなわち、保磁力
が高い領域6にのみ記録磁区を形成することが可能とな
る。
【0045】したがって、記録磁区の幅は記録レーザ光
の波長(スポット径)によらず、保磁力の低い領域の幅
(0.4μm)に限定される。すなわち高密度(挟トラ
ック)記録が実現できる。この例では0.7μm ピッチ
の挟トラック記録が実現するため、記録ビットピッチ
(線記録密度)を0.3μm とすれば一平方インチあた
り3GBの記録密度が達成できる。また、保磁力の低い
領域の幅を0.1μm にし、保磁力の低い領域の幅の間
隔を0.2μm にし、記録ビットピッチ(線記録密度)
を0.3μm とすれば一平方インチあたり10GBの記
録密度が達成できる。この場合は磁性膜の膜厚を薄くす
る、および/あるいは保磁力を小さくする、などして記
録に必要なレーザ光のパワーを低減し、実効的なスポッ
ト径を小さくすることにより記録磁区を小さくすればよ
い。
【0046】平坦部の領域及び微細凹凸部の領域に磁区
を記録したときの、記録磁区に対応した出力信号変化例
を図3に示す。平坦部領域の信号レベル75の記録が始
まる記録パワーが約8.0mW であるのに対して、微細
凹凸部領域の信号レベル76の記録開始パワーは7.5
mW である。微細凹凸部領域の記録開始パワーが低い
理由は、平坦部の領域の微小な磁化の方向は図16に示
すように比較的揃っており保磁力が小さい。これに対し
て、微細凹凸の領域では微細凹凸の形状に対応して微小
な磁化の磁化の方向は、図17に示すようにあらゆる方
向を向いており保磁力は大きい。このことは微細凹凸の
領域の方が外部磁界の方向に追従し易く、平坦部の領域
より低い温度(記録パワー)で記録磁区が形成されるも
のと考えられる。図3で信号レベルが増加することは、
記録磁区が形成されることを意味し、信号レベルが大き
くなることは記録された磁区が大きくなることを意味す
る。したがって、記録パワーを大きくしても信号レベル
が変化しないことは、記録磁区の大きさが変化していな
いことになる。
【0047】このように微細凹凸の大きさで記録感度が
異なることから、記録媒体の面内方向で、内周に比べて
外周の微細凹凸の大きさを大きくすることにより、同一
記録パワーで記録磁区を形成できる副次的な効果があ
る。
【0048】この記録には一実施例として図9に示すよ
うな光磁気記録装置を用いた。
【0049】また、レプリカ基板を走査型電子顕微鏡で
観察した結果、微細な凹凸部の半値幅および/あるいは
長さの平均値は20nmであった。
【0050】本実施例では図5および図10に示したよ
うに線状に配置したが、図11の斜視図に示すように幅
及び長さを規制した平坦部の領域を形成しても良い。こ
の場合は所望の位置に記録磁区を形成するために、図9
に示すような所望の位置を検出することおよびレーザ光
を照射するための光ヘッドと、レーザ光のパワー強度を
制御する光強度制御部と、照射のタイミングを制御する
タイミング制御部と、所望の位置に制御するための自動
位置制御手段などを設けて置けばよい。
【0051】レプリカ基板を製造する工程の剥離を確実
に行うための剥離層としてAl,Ti,Au,Ag,C
u,Pt,Rh,Ta,Cr,Ni,Mn,Nb,Zr
およびSiから選ばれる少なくとも一種を用いるとよ
い。さらに、必要により剥離剤(例えばシリコンオイ
ル,カルコゲン化合物、すなわちTe,Se,Sのうち
少なくとも一者を含む混合物あるいは化合物など)蒸着
等の方法でコーティングしても同様の効果がある。
【0052】また、スタンパ用のプラスチック基板の表
面に剥離層として誘電体を用いると良い。誘電体はSi
2 ,Si34などの窒化物,酸化物などが好ましい。
【0053】(実施例2)本実施例は、平坦部の領域内
に微細な凹凸部が微小領域で点在させて、磁性膜の平坦
部の領域を情報記録領域として用いた例である。
【0054】本発明の光磁気記録媒体の製造例を図12
あるいは図13に示す。微細な凹凸部を微小領域で点在
させた基板は、従来例の図2に示した記録媒体に所望の
パターンで磁区を記録する工程と、記録媒体に外部から
磁界を定常的に印加しながら、記録媒体の誘電体表面に
磁性微粒子を形成して原盤を作製する工程と、原盤から
スタンパを作製する工程と、スタンパから基板を作製す
る工程とにより作製する。
【0055】即ち、従来例で述べた方法により図2に示
す記録媒体44を作製し、記録媒体44に図9に示すよ
うな光磁気記録装置を用いて記録媒体に所望のパターン
で磁区を記録する。次に、スパッタ装置内で、外部から
磁界を記録媒体に印加して保持しながら、記録媒体の記
録磁区100の直上の誘電体表面にCoあるいはFeな
どの微細な磁性粒子101を形成し、これを原盤にす
る。以後、本発明の図6の(f)から(i)、あるいは
図8の(f)から(i)と同様の方法で基板を作製す
る。
【0056】これにより、所望のパターンの平坦部と微
細な凹凸部を微小領域で点在させた基板を多数枚再現性
よく作製できる。さらに、記録媒体に磁区を記録すると
きのレーザ光の照射量および照射時間を変化させること
により、記録磁区の大きさおよび長さを変えることがで
きる。それにより微細な凹凸部の領域の凹凸の大きさを
変えることが容易である。また、微細な凹凸部を形成
後、イオンエッチングなどすることにより微細な凹凸部
の凹凸形状を顕著にできる。
【0057】基板21に従来例と同様の構造で記録媒体
5を形成した。それにより、図3に示すような温度特性
の保磁力が低い領域6と保持力が高い領域7が得られ
た。ここで保磁力が低い領域は基板の平坦部の領域24
であり、保持力が高い領域は基板の微細な凹凸部の領域
14に対応する。
【0058】斜視図13に記録前後を示す。図13にお
いて、71は光スポット、72は記録点を示す。これに
より、点在する保磁力の高い微小領域より少し大きいス
ポット径のレーザ光を照射して記録すること、あるいは
点在する保磁力の高い微小領域の少なくとも2点が照射
できるスポット径のレーザ光を照射することにより、保
磁力の高い微小領域の2点を含む間の保磁力の小さな領
域に微小な記録磁区を形成することができた。したがっ
て、記録磁区の幅は記録レーザ光の波長(例えば830
nm,スポット径約1.6μm )によらず、保磁力の高
い微小領域の2点間の距離で決定される。この保磁力の
高い領域14はディスク上にいろいろな形状で配置する
ことが可能であるが図5に示したように同心円状または
螺旋上に配置することによりトラックを兼ねることがで
き、アクセスが容易になるため本実施例では螺旋上で配
置した。この時の点在する保磁力が高い微小領域の直径
は0.1μmであり、2点間の距離は0.4μmである。
【0059】平坦部の領域及び微細凹凸部の領域に磁区
を記録したときの、記録磁区に対応した出力信号変化例
を図15に示す。図中で信号レベルが増加することは、
記録磁区が形成されることを意味し、信号レベルが増加
することは記録された磁区が大きくなることを意味す
る。したがって、記録パワーを大きくしても信号レベル
が変化しないことは、記録磁区の大きさが変化していな
いことになる。図中で出力信号の変化が少ない記録パワ
ーの範囲がある。この範囲が記録磁区の大きさを制限し
ていることを示している。
【0060】(実施例3)本実施例は実施例1に示した
構造と同様の媒体を用いて、記録する際のレーザ光およ
びバイアス磁界を変調して記録磁区を形成する方法につ
いて述べる。
【0061】図3に示したように同じバイアス磁界で記
録するとき、保磁力の高い領域7は、保磁力の低い領域
6と比べて低い温度で記録できる。したがって、適当な
強度で光を照射し媒体を昇温させることにより、図1に
示したように媒体中の記録感度の高い領域、すなわち、
保磁力の高い領域7にのみ記録磁区を形成することが可
能となる。したがって、記録磁区の幅は記録レーザ光の
波長(スポット径)によらず、保磁力の高い領域7の幅
(ここでは0.5μm )に限定される。すなわち、高密
度(挟トラック)記録が実現できる。
【0062】この例では0.8μm ピッチの挟トラック
記録が実現するため、記録ビットピッチ(線記録密度)
を0.3μm とすれば一平方インチあたり3GBの記録
密度が達成できる。また、保磁力の高い領域7の幅を
0.3μm にし、記録ビットピッチ(線記録密度)を
0.15μm とすれば一平方インチあたり10GBの記
録密度が達成できる。この場合は磁性膜のTbFeCo
膜の組成比を変えて保磁力の絶対値を大きくする、およ
び/あるいは膜厚を薄くする、などして記録に必要なレ
ーザ光のパワーを低減し、実効的なスポット径を小さく
する(例えば波長を短くする)ことにより記録磁区を小
さくすればよい。
【0063】記録磁区の形成は図9に示した光学ヘッド
および磁気ヘッドを相対的に駆動し、光学ヘッドより光
磁気記録媒体の案内溝あるいは案内ピットに沿ってレー
ザビームを照射しつつ、レーザビーム照射部に、磁気ヘ
ッドより記録信号に応じて印加磁界強度が信号変調され
た外部磁界を印加して記録磁区を形成する、あるいは光
学ヘッドより記録信号に応じてレーザ強度が信号変調さ
れたレーザビームを照射できる光磁気記録装置を用い
た。
【0064】すなわち、図14に示すように、記録媒体
上の保磁力の高い領域の幅が0.5μmに形成されてい
ることから、記録磁区が形成できるパワーにおけるレー
ザビームのスポット径を例えば0.7μm して、短パル
スで記録膜に照射し、第一の記録磁区を形成する。この
時の外部磁界の方向53の矢印の方向を上向きにして、
バイアス磁石52でレーザビームと同期させて印加し記
録磁区81をする。次のレーザビームを短パルスで照射
し、第二の記録磁区を形成するときには、外部磁界の方
向53は矢印の方向を下向きにして、バイアス磁石52
でレーザビームと同期させて外部磁界を印加し記録磁区
82を形成する。それにより、最初上向きの外部磁界で
記録した磁区の後方部は、次の下向きの外部磁界で記録
した磁化方向に向くことになり、実効的にその部分の記
録磁区は消滅する。すなわち、あらかじめ記録媒体全体
の磁化の向きを一方向に(初期化)してから、記録ある
いは消去する光磁気記録媒体では、初期化した磁化の方
向と同一方向が記録磁区の消去を意味する。したがっ
て、記録の場合は、第二の記録が消去になる。以上の記
録を繰り返すことにより、記録ビットピッチ(線記録密
度)を0.3μm にできる。また、0.7μm で記録し
た磁区の両脇部は保磁力が低い平坦部に相当しているた
め、実際には磁区が形成されない。これにより、あらか
じめ記録磁区が形成されている部分に、新たな記録磁区
を形成しても前に形成した記録磁区が残ることがない。
すなわち高密度記録なオーバーライトが可能となる。こ
の時の出力信号記録パワーに対する変化は図15と同じ
傾向を示した。
【0065】レプリカ基板を走査型電子顕微鏡で観察し
た結果、微細な凹凸部の表面粗さの平均値は10nmで
あった。
【0066】本実施例では図5に示したように螺旋状に
配置したが、図10および図11の斜視図に示すように
幅及び長さを規制した微細な凹凸部の領域を形成しても
良い。この場合は所望の位置に記録磁区を形成するため
に、図9に示すような光学ヘッドおよび磁気ヘッドを相
対的に駆動し、光学ヘッドより光磁気記録媒体の案内溝
あるいは案内ピットに沿ってレーザビームを照射しつ
つ、レーザビーム照射部に、磁気ヘッドより記録信号に
応じて印加磁界強度が信号変調された外部磁界を印加し
て記録磁区を形成する、あるいは光学ヘッドより記録信
号に応じてレーザ強度が信号変調されたレーザビームを
照射できる光磁気記録装置を用いればよい。
【0067】(実施例4)所望のパターンで平坦部と微
細な凹凸部を有する基板を用いた記録媒体の一実施例を
図11に示す。記録膜には、結晶質−非晶質間,結晶質
−結晶質間,非晶質−結晶質間,非晶質−非晶質間で変
化する相変化材料を用いた。記録膜を用いた場合の効果
を以下に示す。
【0068】所望のパターンの平坦部と微細な凹凸部を
有する基板上に、光磁気記録媒体と同様の構造で、相変
化材料(例えばGeSbTe,AgInSbTeなど)
を記録膜に用いて、保護層(例えばZnS−SiOな
ど)を介して形成し記録媒体とした。次に、あらかじめ
相変化記録膜全体を非晶質状態にした後、所望のパター
ンに同期させて、微細な凹凸が有る領域にレーザ光を照
射して記録点を形成した。記録は、記録膜の照射領域を
結晶化温度より高くして融解した後、冷却して結晶質状
態の記録点を形成した。
【0069】一般に相変化記録方式は結晶質状態と非晶
質状態の間での反射率の違いを利用しており、大きく異
なる領域のいずれかを記録点にして情報の担い手にして
いる。
【0070】そこで、あらかじめ相変化記録膜全体を非
晶質状態にした後、微細な凹凸が有る領域にレーザ光を
照射して記録点を形成する。平坦部の領域に比べて、特
に微細な凹凸部は微小領域での温度揺らぎを生じやすく
結晶核が多数発生し、平坦部の領域より低い温度で結晶
質状態が得られる。この場合、結晶質の領域が記録点と
なる。また、上記とは逆に、あらかじめ相変化記録膜全
体を結晶質状態にした後、基板表面の平坦な領域にレー
ザ光を照射して記録点を形成する。すなわち、平坦部の
領域は結晶核が少なく、微細な凹凸部の領域に比べて、
特に平坦部は温度揺らぎが小さく結晶核も少ないことか
ら非晶質状態が得られる。この場合、非晶質の領域が記
録点となる。
【0071】一般に、相変化記録膜は、レーザ光を照射
して記録膜の吸収による熱で、結晶化温度より高い温度
で記録膜を融解するため、温度差などにより記録膜が膜
内方向に流動し、膜厚変化を生じて反射率変化し情報が
不安定になりS/Nが低下する。
【0072】これに対して、本発明の微細凹凸を有する
基板を用いた場合には、微細凹凸部の領域が流動を抑制
する。また、平坦部では微細凹凸部との境界領域で流動
を制限できる効果が有る。さらに、微細な凹凸部では平
坦部より低い温度で結晶化できることになり、また、平
坦部では微細凹凸部より低い温度で非晶質化が可能とな
る。したがって、レーザ光のパワーが低減できることか
らスポット径が小さくでき、結果として記録点が小さく
できる。このことから高密度記録が可能となる。
【0073】
【発明の効果】本発明では、光スポットよりも小さな記
録磁区を安定に形成することが可能となるため、一平方
インチあたり3ギガバイト以上の高密度な記録が可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光磁気記録媒体の製造方法の一実施例
を示す断面図。
【図2】従来の光磁気記録媒体の一実施例を示す断面
図。
【図3】本発明の光磁気記録媒体の保磁力の高い部分と
低い部分の記録パワーに対する出力信号変化の一実施例
を示す特性図。
【図4】本発明の光磁気記録媒体の記録方法の一実施例
を示す説明図。
【図5】本発明の光磁気記録媒体の構造の一実施例を示
す斜視図。
【図6】本発明の基板の製造方法の一実施例を示す説明
図。
【図7】本発明の基板の製造方法の一実施例を示す説明
図。
【図8】本発明の基板の製造方法の一実施例を示す説明
図。
【図9】本発明の光磁気記録媒体の記録方式の一実施例
を示すブロック図。
【図10】本発明の光磁気記録媒体の構造の一実施例を
示す斜視図。
【図11】本発明の光磁気記録媒体の製造方法の一実施
例の斜視図。
【図12】本発明の基板の製造方法の記録方式の一実施
例を示す断面図。
【図13】本発明の光磁気記録媒体の記録方式の一実施
例を示す説明図。
【図14】本発明の光磁気記録媒体の記録方式の一実施
例を示す平面図。
【図15】本発明の光磁気記録媒体の出力信号変化の一
実施例を示す特性図。
【図16】記録磁区の形成の説明図。
【図17】記録磁区の形成の説明図。
【符号の説明】
1…基板、2…誘電体層、3…磁性層、4…保護層、5
…記録媒体、6…保磁力が低い領域、7…保磁力が高い
領域、14…微細な凹凸部の領域、24…平坦部の領
域。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安齋 由美子 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に直接あるいは誘電体層を介して形
    成された磁性膜の表面上には微細な凹凸部の領域と平坦
    部の領域とが交互に隣接して配置され、および/あるい
    は平坦部の領域内に微細な凹凸部を微小領域で点在させ
    て、磁性膜に相対的に保磁力が高い領域と相対的に保磁
    力が低い領域を交互に隣接して配置され、および/ある
    いは相対的に保磁力が低い領域内に相対的に保磁力が高
    い微小領域を点在させた記録媒体の、平坦部の領域およ
    び/あるいは微小領域を情報記録領域として用いること
    を特徴とする光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】基板上に直接あるいは誘電体層を介して形
    成された磁性膜の表面上には微細な凹凸部の領域と平坦
    部の領域とが交互に隣接して配置され、および/あるい
    は平坦部の領域内に微細な凹凸部を微小領域で点在させ
    て、磁性膜に相対的に保磁力が高い領域と相対的に保磁
    力が低い領域を交互に隣接して配置され、および/ある
    いは相対的に保磁力が低い領域内に相対的に保磁力が高
    い微小領域を点在させた記録媒体に用いる基板におい
    て、平坦部の表面粗さの平均値は微細な凹凸部の凹部と
    凸部の高さの差の平均値に対して1/60以上1/10
    以下の範囲である請求項1に記載の光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】微細な凹凸部の領域の凹あるいは凸の高さ
    の平均値は2nmから40nmの範囲であり、前記微細
    な凹と凹の間隔あるいは凸と凸の間隔の平均値は4nm
    から80nmの範囲である請求項1または2に記載の光
    磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】請求項1から3のいずれか1項に記載され
    た光磁気記録用部材の製造方法において、微細な凹凸部
    の領域と平坦部の領域とを有する基板は、微細な金属粒
    子膜を形成する工程と、フォトレジストまたは電子線レ
    ジストを形成する工程と、所望の形状のパターンを有す
    るマスクを介して照射するあるいは微小なスポットで所
    望の形状のパターンを直接照射する工程と、現像によっ
    て前記レジストの照射領域を除去する工程と、前記レジ
    ストをマスクとしてイオンエッチングして、前記微細な
    金属粒子膜を除去して平坦部を形成する工程と、前記マ
    スク用レジストを除去して、表面に微細な凹凸部の領域
    と平坦部の領域とを有する原盤を作製する工程と、前記
    原盤から光硬化あるいは熱硬化型樹脂を用いて転写して
    スタンパを作製する工程と、前記スタンパから光硬化あ
    るいは熱硬化樹脂を用いて複製する工程とにより作製す
    ることを特徴とする光磁気記録用部材の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の微細な凹凸部の領域と平
    坦部の領域とを有する基板上に直接あるいは無機物及び
    有機物のうち少なくとも一者から成る誘電体層を介して
    形成された磁性膜を有する光磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】請求項1から3のいずれか1項に記載され
    た光磁気記録用部材の製造方法において、微細な凹凸部
    の領域と平坦部の領域とを有する基板は、微細な金属粒
    子膜を形成する工程と、フォトレジストまたは電子線レ
    ジストを形成する工程と、所望の形状のパターンを有す
    るマスクを介して照射するあるいは微小なスポットで所
    望の形状のパターンを直接照射する工程と、現像によっ
    て前記レジストの照射領域を除去する工程と、前記レジ
    ストをマスクとしてイオンエッチングして、前記微細な
    金属粒子膜を除去して平坦部を形成する工程と、前記マ
    スク用レジストを除去して、表面に微細な凹凸部の領域
    と平坦部の領域とを有する原盤を作製する工程と、前記
    原盤表面にNi蒸着膜及びあるいはNiメッキ膜を形成
    してNiスタンパを作製する工程と、前記Niスタンパ
    からインジェクション法などにより透明基板を複製する
    工程とにより作製することを特徴とする光磁気記録用部
    材の製造方法。
  7. 【請求項7】請求項6に記載の微細な凹凸部の領域と平
    坦部の領域とを有する基板上に直接あるいは無機物及び
    有機物のうち少なくとも一者から成る誘電体層を介して
    形成された磁性膜を有する光磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】請求項1,2,3,4,5,6または7に
    記載の微細な凹凸部の領域と平坦部の領域とを有する光
    磁気記録媒体を用いて、磁性膜の温度を上昇させるため
    の光を照射する光ヘッドと、前記磁性膜上に磁界を印加
    するための磁界印加手段と、前記磁性膜に所望の記録磁
    区を形成するために前記光の強度あるいは前記磁界の強
    度あるいは向きを変化せる変調手段と、前記光を記録媒
    体上の所望の位置に照射するための自動位置制御手段を
    有し、光磁気記録媒体の相対的に保磁力が低い領域に前
    記領域と相対的に保磁力が高い領域との境界部に磁壁が
    位置するようにして記録磁区を形成するための記録制御
    手段とを備える光磁気記録装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0848381A2 (en) * 1996-12-13 1998-06-17 Canon Kabushiki Kaisha Magneto-optical recording medium exclusively for reproduction, method of manufacturing the same and method of reproducing the medium

Cited By (2)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0848381A2 (en) * 1996-12-13 1998-06-17 Canon Kabushiki Kaisha Magneto-optical recording medium exclusively for reproduction, method of manufacturing the same and method of reproducing the medium
EP0848381A3 (en) * 1996-12-13 1999-04-07 Canon Kabushiki Kaisha Magneto-optical recording medium exclusively for reproduction, method of manufacturing the same and method of reproducing the medium

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