JPH08306087A - 記録媒体の製造方法 - Google Patents

記録媒体の製造方法

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JPH08306087A
JPH08306087A JP7107454A JP10745495A JPH08306087A JP H08306087 A JPH08306087 A JP H08306087A JP 7107454 A JP7107454 A JP 7107454A JP 10745495 A JP10745495 A JP 10745495A JP H08306087 A JPH08306087 A JP H08306087A
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JP
Japan
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thin film
substrate
noble metal
recording medium
metal thin
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JP7107454A
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Yuuko Morikawa
有子 森川
Tsutomu Ikeda
勉 池田
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 貴金属薄膜を設けた基板上に記録層を有する
走査型トンネル顕微鏡の原理を応用した記録に用いる記
録媒体における記録層の平滑性や成膜性を格段に向上さ
せて、例えばビットエラーレートを大幅に低減する等、
性能を高めること。 【構成】 記録層が設けられる基板面における貴金属薄
膜の表面と、貴金属薄膜が設けられていない基板表面と
の疎水性を揃えておいてからラングミュア・ブロジェッ
ト法等によって記録層の形成を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電極上に電気メモリー
機能を有する化合物を含む記録層を設けた記録媒体の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年情報化社会の発展につれ、大容量メ
モリーの開発が活発に行われている。大容量メモリーに
一般的に要求される性能としては、 1)高密度で記録容量が大きい、 2)記録再生の応答速度が速い、 3)消費電力が少ない、 4)生産性が高く、価格が易い、 等の性能を挙げることができ、現在もこうした性能を実
現するために各種のメモリー方式やメモリー媒体の開発
が活発に進められている。
【0003】従来、メモリーの中心は、磁性体、半導体
を素材とした磁気メモリー、半導体メモリーであった
が、近年、レーザー技術の進展に伴い、有機色素、フォ
トポリマーなどの有機化合物の薄膜を記録層として用
い、光を情報の書き込みや読み出しに利用する、安価
で、しかも高密度な情報の書込みを可能とする光メモリ
ーが登場している。そしてこの光メモリーの分野におい
ても、これらのメモリーをさらに高密度で大容量にする
ためにの単位メモリービットの微細化に向けての技術開
発が現在も進められている。
【0004】一方、大容量メモリーを実現するためのア
プローチとして、上述した従来のメモリーと全く別の原
理に基づくメモリーの開発も行われている。例えば、個
々の有機化合物分子自体に倫理素子やメモリー素子の機
能を持たせた分子電子デバイスの概念もそのひとつであ
る。分子電子デバイスは単位メモリービットの微細化を
極限まで進めるたものといえ、この分野における中心課
題は個々の分子にいかにアクセスするかという点にあ
る。
【0005】このような状況において、走査型トンネル
顕微鏡の原理を応用した記録方式も高密度メモリーを実
現するものとして注目されている。走査型トンネル顕微
鏡(STM;G.Binning et al.,Ph
ys.Rev.Lett.,49,57,1982)
は、金属の探針(プローブ電極)と導電性物質の間に電
圧を加えて10オングストローム程度の距離までこれら
を近付けると、これらの間にトンネル電流が流れること
を利用するもので、これを用いることで単結晶、非晶質
を問わず高分解能での実空間の測定が可能となった。こ
のSTMにおいて、探針と導電性物質の間に流れるトン
ネル電流は、両者の微小な距離変化にも敏感である。そ
こで、トンネル電流が一定となるようにこれらの距離を
調節しながら探針を走査し、これらの間の距離変化を記
録し、解析することで、実空間の表面構造を描くことが
可能となると同時に、表面原子の全電子雲に関する種々
の情報をも読み取ることが可能となる。この際の面内方
向の分解能は1オングストローム程度である。従って、
STMの原理を応用すれば、原子オーダー(数オングス
トローム)での高密度の記録再生が可能となる。
【0006】STMを応用した記録再生方法としては、
粒子線(電子線、イオン線)あるいはX線等の高エネル
ギー電磁波及び可視・紫外線光等のエネルギー線を用い
て記録層の表面状態を変化させることで記録を行い、S
TMを応用した方式によって再生する方法や、記録層と
して電圧・電流のスイッチイング特性に対するメモリー
効果を有する材料、例えばπ電子系有機化合物やカルコ
ゲン化物等からなる薄膜に対してSTMを用いて記録・
再生を行う方法が挙げられる。また、特開平1−196
751号公報には、電圧パルスを印加することで基板上
に分子を流体から捕捉し、選択的にデータビットを書き
込み、またそれを読み取り、消去を行う方法及び装置が
開示されている。また、特開平1−213055号公報
には、金単結晶を電極として用いて、高いS/N比、高
速読み出しが可能な記録媒体を用いた情報処理装置が開
示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】有機化合物の薄膜層を
電極上に設けた構成を有するSTMを応用する記録媒体
においては、高精度の記録再生を実現する上で有機化合
物薄膜及び電極には高度の平滑性及び均一な成膜性が要
求され、このような観点から、電極としては金等の貴金
属の単結晶からなる薄膜が好適なものとして挙げられて
いる。
【0008】電極として用いる貴金属単結晶からなる薄
膜は、適当な基板上に貴金属の単結晶を成長させる方法
によって得ることができ、こうして得られた貴金属単結
晶薄膜上に有機化合物の薄膜からなる記録層が形成され
る。
【0009】また、記録層としての有機化合物薄膜の形
成には、ラングミュア・ブロジェット法(LB法)が高
度な膜の平滑性及び均一な成膜性が得られる方法として
好適である。
【0010】本発明者らは、かかる構成のSTMを応用
した記録再生方法に用いる記録媒体についてより高い性
能を得るべく種々の検討を行ったところ、電極上にLB
法によって有機化合物の薄膜を形成する場合、STMを
応用した記録媒体においては通常の薄膜形成におけるよ
りも更に高度な基板表面の疎水性に関する均一性が要求
されることが判明した。すなわち、貴金属表面と基板表
面の疎水性が一致していない場合、記録層をLB法によ
って形成する際に、記録層の成膜性が不安定にあるため
に、記録層の平滑性及び均一性が低下する。かかる表面
性の劣る記録層に対してSTMを応用した記録再生を行
なうと、記録層表面の凹凸のためにビットエラーレート
の低減化の妨げとなるという問題が生じた。すなわちS
TMを応用した記録再生には、特に高度な記録層表面の
平滑性や均一性が要求される。記録層表面の平滑性、均
一性を向上させるためには安定した成膜が不可決であ
り、そのためには、貴金属表面と基板表面の疎水性がで
きる限り一致していることが必要である。
【0011】かかる問題点について金単結晶からなる薄
膜を電極とした場合を例に取って以下に説明する。図1
に示したように、金単結晶からなる薄膜113は、基板
111の所定部分に設けられている。これは、基板11
1上の他の部分に電極配線や必要に応じてIC等が設け
られるためである。ところが、このような構成の基板上
にLB法を用いて有機化合物の薄膜層(記録層)114
を形成し、それをSTMを応用した記録再生法に用いる
記録媒体とした場合、ビットエラーレートを低下させる
には限界があることがわかった。本発明者らはこの点に
ついて種々の検討を行った結果、基板表面についてより
高度な疎水性に関する均一性が要求されることが判明し
た。すなわち、金薄膜が設けられていない基板面115
と金薄膜表面116の疎水性にある程度以上の差がある
と、記録層の成膜性に影響を及ぼし、これがビットエラ
ーレートの更なる低減を妨げていたことが判明した。
【0012】本発明の目的は、より高い性能を有するS
TMを応用した記録方法に用いる記録媒体の製造方法を
提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、部分的に貴金
属薄膜を設けた基板面に記録層を設けた構成の記録媒体
の製造において、基板面の貴金属薄膜が設けられていな
い面と貴金属薄膜表面との疎水性を揃えた状態で、記録
層を積層することを特徴とするものである。このように
疎水性を揃えることで、記録層の平滑性や成膜性を格段
に向上させて性能を高めることが可能となり、例えばビ
ットエラーレートを効果的に低減できる。
【0014】これらの表面の疎水性を揃える方法として
は、(1)貴金属薄膜を基板上に設けた後に、疎水化処
理する方法、(2)基板面に予め疎水化処理を行い、そ
の疎水性を貴金属薄膜表面の疎水性に揃えてから貴金属
薄膜を成膜する方法等が利用できる。
【0015】(1)の方法は、部分的に貴金属薄膜が設
けられた基板面に記録層を積層してなる記録媒体の製造
方法において、(a)基板上の所定位置に貴金属薄膜を
設ける過程と、(b)該基板の貴金属薄膜が設けられた
面を疎水化処理して、該貴金属薄膜が設けられていない
基板表面と該貴金属薄膜の表面との疎水性を揃える過程
と、(c)該疎水化処理された基板面上に記録層を積層
する過程とを有することを特徴とする。
【0016】(a)の過程において用いられる基板とし
ては、所定の機械的強度や形状安定性を有し、貴金属薄
膜の形成に貴金属錯体の分解による結晶成長を利用する
場合には、貴金属錯体の溶液によって損傷を受けない材
質からなるものであれば制限なく利用可能であり、例え
ば、Si、SiN、ガラス、Cr等からなる基板が利用
できる。
【0017】また、貴金属錯体の分解による結晶成長に
よって貴金属薄膜を形成する場合の貴金属錯体として
は、Au、Pt、Pd等の錯体で、溶液中での分解によ
り貴金属の過飽和状態を形成し、基板上に結晶、好まし
くは単結晶を析出、成長させることのできるものが利用
できる。
【0018】例えば、金の錯体としては、[Au
2-、[AuI4-、[AuCl4-、[Au(C
N)2-、[Au(CN)3-、[AuBr3-等を用
いることができる。錯体の溶液は、例えば、水、アルコ
ール類等の親水性有機溶媒、あるいはこれらの混合物な
どを用いて調製することができ、錯体の濃度は、錯体の
分解によって結晶の析出、成長のための過飽和状態を得
るのに必要な程度に適宜設定される。
【0019】錯体の分解処理は、錯体を分解して貴金属
の過飽和状態を形成でき、更に、良好な結晶の析出、成
長を行うことのできる方法であれば制限なく利用でき、
例えば、加熱処理、還元処理等の方法が利用できる。加
熱処理は、錯イオンの溶解における平衡状態を加熱によ
って変化させて錯イオンの分解を生じさせ貴金属の過飽
和状態を形成するものである。例えば、ヨウ素とヨウ化
カリウムとを水、アルコールあるいは水とアルコールの
混合物に溶解して得られる溶液にAuあるいはAuI、
AuI3等の[AuI4]-を形成し得る化合物を更に添
加すると、[AuI4]-、I3 -、K+の平衡状態が得ら
れる。この状態で、溶液を例えば30〜200℃程度に
加熱すると、ヨウ素が揮発して、I3 -の濃度が低下す
る。すると、溶液内の平衡状態を維持する方向で反応が
起き、[AuI4]-の濃度を低下させるためにその分解
が起き、分解量の増加に従って金の過飽和状態が得られ
る。
【0020】還元処理は、例えばハイドロキノン、ピロ
ガロール、パイロカテキン、グクシン、メトールハイド
ロキノン、アミドール、メトール、亜硫酸ソーダ、チオ
硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の溶液中で還元剤
としての作用を有するものを錯体溶液に投入することに
よって行うことができる。還元剤の投入量は特に限定さ
れず、所望とする還元効果が得られる量とされる。
【0021】貴金属の過飽和状態を有する溶液に基板を
速やかに投入する等の方法によって過飽和溶液と凹凸形
状を形成した基板面とを接触させ、その状態を保つと、
基板面上で貴金属の結晶核の発生と結晶成長が併行して
進行する。なお、結晶核は自己整合的に単結晶に成長す
る。図2(a)は、その段階の結晶成長の様子を示すも
のであり、結晶成長用溶液中の基板101上に単結晶1
02が多数形成されている。その後成長を続けることで
各々の単結晶同志の間に間隔がなくなり、図2(b)に
示すように多数の平板状単結晶102’が面方向に集合
した薄膜103が基板面の所定位置に得られる。貴金属
の薄膜の膜厚、薄膜を構成する単結晶の大きさ等につい
ても特に限定されないが、例えば、結晶の平面方向の長
さと結晶の高さの比が、100:1〜200:1の範囲
となるように設定できる。
【0022】貴金属薄膜が形成された基板を洗浄後、必
要に応じて乾燥させた後に、貴金属薄膜の形成面に対し
て疎水化処理を行う。この疎水化処理は、基板面の貴金
属薄膜が設けられていない部分と、貴金属薄膜の表面と
の疎水性を揃えるために行われるものであり、貴金属や
基板の種類に応じて選択される。この疎水化処理には、
例えば、基板を、シランカップリング剤等の疎水化剤の
蒸気に曝し、基板上に疎水化剤を吸着させる、例えば単
分子吸着層を形成する方法や、シランカップリング剤等
の疎水化剤の溶液に基板を浸漬する方法などによって行
うことができる。処理における疎水化剤の濃度、処理温
度、処理時間等の処理条件は、所望とする疎水化効果が
得られるように設定される。疎水化剤の具体例として
は、例えばヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシ
ラン、ヘキサメチルジシロキサン、1H,1H,2H,
2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、3,
3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等の
シランカップリング剤、あるいはCF3(CF27CH2
CH2Si(OC253、CF3(CF27CH2CH2
SiCl3等のフッ素化合物などを挙げることができ
る。
【0023】得られる基板表面の疎水化の程度として
は、後続の記録層の形成における成膜性等を考慮して選
択されるが、例えば、水に対する接触角の上限が95
度、下限が85度程度とされる。また、貴金属薄膜表面
と基板の貴金属薄膜の設けられていない表面の疎水性
は、これらの接触角の差が±5度の範囲内となるように
揃えるのが好ましい。なお、水の接触角は、接触角計を
用いた液滴法等の常法により測定できる。
【0024】こうして疎水化処理された基板の貴金属薄
膜が設けられた面に記録層を形成して本発明の記録媒体
を得ることができる。記録層としては、STMの原理を
応用した記録または記録再生に利用できる構成のものが
用いられ、例えば、特開昭63−161552号に開示
されているπ電子系を有し、しきい値以上の電圧印加に
よってONとOFFの2つの状態間を相互に遷移し、か
つそれぞれの状態がしきい値以下の電圧で保持される、
いわゆる電気メモリー機能を発揮できる有機化合物の単
分子膜またはその累積膜が利用できる。このような機能
性の有機化合物の単分子膜やその累積膜は公知のLB法
によって形成できる。
【0025】例えば、ポリアミド酸のアミン塩の単分子
膜またはその累積膜を基板上に形成した後にこれを焼成
してポリイミド膜としたものが記録層として利用でき
る。このポリアミド酸としては、カルボン酸無水物とジ
アミンを縮合反応させることによって得られるものであ
る。カルボン酸無水物としては、ピロメリット酸無水
物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸
無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカ
ルボン酸無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシ
フェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
プロパン酸無水物等が挙げられる。ジアミンとしては、
フェニレンジアミン、4,4’−オキシジアニリン、
4,4’−ジオキシフェニレンジアニリン、4,4’−
フェニレンジアニリン、4,4’−チオジアニリン、
4,4’−サルフォニルジアニリン、4,4’−メチレ
ンジアニリン、2−ビス(4−アミノフェニル)−1,
1,1,3,3,3−ヘキサフルオロピロパン、1,3
−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テト
ラメチルジシロキサン等を挙げることができる。
【0026】ポリアミド酸の形成においては、カルボン
酸無水物の1種または2種以上と、ジアミンの1種また
は2種以上を反応させてもよい。反応は適当な液媒体中
で常法により行うことができる。
【0027】ポリアミン酸のアミン塩化には、各種のア
ミンが利用でき、例えば、1〜3級のアルキルアミン、
アルキル基の一部または全部がハロゲン置換されたアル
キルアミン、アルキル基の一部が水酸基で置換されたア
ルキルアミン、分岐型アルキル基を有するアルキルアミ
ン、ベンゼン環等の環状構造を有するアルキルアミンな
どが利用できる。
【0028】ポリアミド酸とアルキルアミンとの混合比
は、所望に応じて選択できるが、ポリアミド酸の全ての
カルボキシル基をアミン塩化させる程度とすることが好
ましい。すなわち、ポリアミド酸の1繰返し単位当たり
通常2個のカルボキシル基が存在するが、この場合ポリ
アミド酸の繰返し単位数の総和:アルキルアミンのモル
数=1:1〜1:3、より好ましくは1:2〜1:2.
5とすることが好ましい。
【0029】以上、貴金属薄膜形成後に基板面を疎水化
処理する方法(1)について説明したが、基板面を予め
疎水化処理しておく方法(2)は、部分的に貴金属薄膜
が設けられた基板面に記録層を積層してなる記録媒体の
製造方法において、(i)基板を疎水化処理して、該基
板表面の疎水性を後続の過程(ii)で形成される貴金属
薄膜の表面の疎水性に揃える過程と、(ii)該疎水化処
理された基板上の所定位置に貴金属薄膜を設ける過程
と、(iii)該貴金属薄膜が設けられた基板面上に記録
層を積層する過程とを有することを特徴とする。
【0030】過程(i)には上記の(1)の方法におけ
る疎水化処理が利用でき、疎水化の程度や疎水化後の基
板面と貴金属薄膜表面の接触角の差は先の場合と同様と
される。過程(ii)及び(iii)も上記の(1)の方法
における対応する各過程と同様にして行うことができ
る。
【0031】
【実施例】以下実施例によって本発明を更に詳細に説明
する。 実施例1 先ず、以下の操作に従って金薄膜を電極として有する基
板を作製した。
【0032】Siウエハを10重量%フッ酸水溶液で、
ついでバッファーフッ酸溶液で洗浄し、乾燥させて基板
とした。これとは別に、蒸留水500mlにヨウ化カリ
ウム40g及びヨウ素6gを投入して攪拌溶解させて得
た溶液に金2gを更に投入して攪拌し、溶解させた。こ
の溶液から100ml分取して反応容器に入れ、これを
更に100mlの蒸留水で稀釈して結晶成長用溶液とし
た。次に、この結晶成長用溶液を約90℃に加熱した
後、先に洗浄処理したSiウエハを反応容器内に投入
し、温度を約90℃に維持して放置し、1時間経過後に
基板を取り出した。基板の洗浄、乾燥後、基板上に部分
的に形成された薄膜を、接触膜厚測定器及び光学顕微鏡
によって分析したところ、平板状の単結晶が面方向に隙
間なく敷き詰められた構造の厚さ5μmの単層膜であ
り、各平板状の単結晶の平均粒径は約500μmであっ
た。
【0033】この金薄膜が形成された基板をヘキサメチ
ルジシラザン(HMDS)の飽和蒸気に1昼夜室温で曝
し、疎水化処理を行い、疎水化基板を得た。
【0034】なお、上記と同様にして接触角測定用の疎
水化基板を作製し、金薄膜が設けられていない基板面の
接触角と金薄膜表面の接触角を、先に述べた方法によっ
て測定したところ、前者は90度、後者は87度であっ
た。
【0035】次に、ピロメリット酸無水物と4,4’−
オキシジアニリンを等モル数で常法により反応させて、
下記式(1):
【0036】
【化1】 で表された繰返し単位を有するポリアミド酸を得た。得
られたポリアミド酸をジメチルアセトアミド(DMA
C)に単量体換算濃度で1×10-3Mで溶解させて得た
溶液Aと、N,N−ジメチルオクタデシルアミンのDM
AC溶液B(1×10-3M)とを、A:B=1:2(重
量比)で混合してポリアミド酸アミン塩溶液を得た。こ
のポリアミド酸アミン塩溶液を20℃の純水からなる水
相上に展開し、水面上に単分子膜を調製した。溶媒(D
MAC)が水面上から蒸発したところで、常法に従っ
て、表面圧を25mN/mにまで高めた状態で、表面圧
を一定に保ちながら先に得た疎水化基板を水面を横切る
方向に速度5mm/分で静かに浸漬した。続いて、同じ
速度で疎水化基板を静かに引き上げた。この水面を横切
る往復操作で2層のY型単分子累積膜を得た。かかる操
作を更に繰返して、計6層のポリアミド酸アミン塩の単
分子累積膜を得た。この操作の間、水面上の単分子膜は
安定、かつ正確に疎水化基板の金薄膜が設けられた面に
移し取られた。
【0037】続いて、この単分子累積膜が形成された基
板を300℃、10分間加熱焼成し、単分子累積膜をポ
リイミド膜からなる記録層に変換し、記録媒体を得た。
形成されたポリイミド膜の膜厚は、上述と同様にして洗
浄処理されたSiウエハ基板上に、上記と同様の条件で
40層の単分子累積膜を形成した後、加熱焼成処理を行
い、得られたポリイミド膜の膜厚をエリプソメトリ法を
用いて測定し、得られた測定結果から得た1層あたりの
膜厚(4オングストローム)を用いて算定したところ、
24オングストロームとなった。
【0038】得られた記録媒体を、図3に示す記録再生
装置に設置して、記録特性を評価した。図3の装置は、
記録媒体1が載置され、記録層表面の面方向におけるx
−y軸及びx−z軸方向の両方向での記録媒体1の移動
を可能とするxyz微動装置5及びxyz粗動装置6
と、プローブ電極(探針)2をベース7上に配置した構
成を有するSTMの原理を利用した記録再生装置であ
る。プローブ電極2は、支持体4に支持された片持ち梁
3に取り付けられて、固定されている。ベース7は、不
図示の除震台上に設置されている。装置5、6の制御
は、コンピュータ11に組込まれた所定のプログラムに
従って、制御回路8、9を通してそれぞれ行われる。記
録媒体1の有する金薄膜からなる電極層103とこれに
対向するプローブ電極3との間には、コンピュータ11
に組込まれた所定のプログラムに従って電圧が印加でき
るようになっており、またこれらの間に流れる電流を検
出してモニターできるようになっている。この装置にお
けるプローブ電極2を走査させる際の記録媒体1との間
隔の制御は、xyz微動装置及びxyz粗動装置を組み
合せてプローブ電極2と記録媒体1を、これらの間に斥
力が働くまで接近させ、斥力の作用が維持されるように
プローブ電極2を走査させることによって行われる。な
お、トンネル電流や電界放射電流などが一定となるよう
にこれらの間隔を制御してプローブ電極2を走査しても
良い。
【0039】図3の装置におけるビットの形成、再生、
消去は、以下のようにして可能であった。まず、プロー
ブ電極3と記録媒体1の電極103の間の検出電流をモ
ニターしながら記録媒体1とプローブ電極2の距離を図
4のa領域で示す状態まで接近させる。この状態(記録
前)で、記録媒体1とプローブ電極2間にバイアス電圧
(100mV)を印加した場合に流れる電流は1nA程
度である。この状態でxyz微動装置5及びxyz粗動
装置6の制御回路8、9の出力を保持し、ON状態を生
じるしきい値電圧Vth(ON)以上の電圧を含む図5の波形
を有する三角波パルス電圧をプローブ電極2と記録媒体
1の電極103の間に印加した後、これらの間に100
mVのバイアス電圧を印加したところ、8μA程度の電
流が流れ、三角波パルス電圧印加部がON状態(ビット
部)となったことが確認された。このビットを記録情報
に応じて形成することで、情報の記録が可能となり、ま
た、ビット形成部位を100mVのバイアス電圧の印加
時における8μA程度の電流の流れる部位として検知し
て解析することで記録した情報の再生が可能となる。記
録情報の消去は、ON状態からOFF状態への変換を可
能とするしきい値電圧Vth(OFF)を含む図6に示した三
角波パルス電圧を記録ビット形成部位に印加することで
行うことができる。消去の確認は、消去部位に100m
Vのバイアス電圧を印加した際の電流の低下(1nA程
度)によって確認できる。このようにして記録、再生、
消去を行った場合の記録されたビットのうちの再生され
たビットの割合を測定し、得られた測定値からビットエ
ラーレートを常法により算出したところ、3×10-6
あった。すなわち、本発明の方法によって、より性能の
高いSTMの原理を利用する高密度記録の可能な記録媒
体を提供できる。
【0040】実施例2 Siウエハを、10重量%フッ酸水溶液で、ついでバッ
ファーフッ酸溶液で洗浄し、乾燥させて基板とした。こ
の基板をヘキサメチルジシロキサンの蒸気に室温で1昼
夜保持し、疎水化処理を行い、疎水化基板を得た。次
に、この疎水化基板上に実施例1と同様にして金薄膜と
記録層をこの順に積層し、記録媒体を得た。なお、本実
施例において形成された金薄膜の層厚は、約8μmで、
該薄膜を構成する単結晶の平均粒子径は約780μmで
あった。更に、以上の金薄膜形成までの操作と同じ操作
によって接触角測定用の基板を作製し、実施例1と同様
にして金薄膜表面と、金薄膜が設けられていない疎水化
基板表面の接触角をそれぞれ測定したところ、前者は8
8度、後者は91度であった。
【0041】得られた記録媒体について実施例1と同様
にしてビットエラーレートを測定したところ2×10-6
であった。
【0042】実施例3 Siウエハ上にCrを1000nmの厚さで真空蒸着さ
せた層を設けて、基板とした。この基板のCr層上に、
疎水化処理にCF3(CF27CH2CH2Si(OC2
53の蒸気中で室温に1時間保持する方法を用いる以外
は、実施例1と同様にして金薄膜の形成、金薄膜形成面
の疎水化及び記録層の形成を行い、記録媒体を得た。得
られた金薄膜の膜厚は約10μm、該薄膜を構成する単
結晶の平均粒子径は約830μmであった。また、疎水
化までの操作を上記と同様にして接触角測定用の疎水化
基板を作製し、金薄膜表面と金薄膜が設けられていない
基板表面の接触角を実施例1と同様にして測定したとこ
ろ、前者は89度で後者は93度であった。
【0043】得られた記録媒体について実施例1と同様
にしてビットエラーレートを測定したところ4×10-6
であった。
【0044】比較例 基板としてSiウエハの表面に1000nmのCr層を
真空蒸着により形成したものを用い、疎水化処理を省略
する以外は実施例1と同様にして記録媒体を得た。この
記録媒体の有する金薄膜の膜厚は約10μmで、該薄膜
を構成する単結晶の平均粒子径は約920μmであっ
た。また、金薄膜形成までの操作を上記と同様にして接
触角測定用の基板を作製し、金薄膜表面と金薄膜が設け
られていない基板表面の接触角を実施例1と同様にして
測定したところ、前者は86度で後者は73度であっ
た。
【0045】得られた記録媒体について実施例1と同様
にしてビットエラーレートを測定したところ1×10-5
であった。
【0046】
【発明の効果】本発明の記録媒体の製造方法において
は、部分的に貴金属薄膜が設けられた基板面上に、貴金
属薄膜表面と該貴金属薄膜の設けられていない面との疎
水性を揃えた状態で、記録層が設けられるので、記録層
の平滑性や成膜性を格段に向上させて性能を高めること
が可能となり、例えばビットエラーレートを大幅に低減
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】STMの原理を利用した記録媒体の構成を説明
する断面部分図である。
【図2】基板上に貴金属単結晶群からなる薄膜を形成す
る工程を説明するための図である。
【図3】STMの原理を利用した装置の要部の概略図で
ある。
【図4】プローブ電極と記録層表面の距離を変えたとき
に得られた両者間に流れる電流と両者間に働く力の変化
を示す特性図である。
【図5】記録用パルス電圧の波形を示す図である。
【図6】消去用パルス電圧の波形を示す図である。
【符号の説明】
1 記録媒体 2 プローブ電極 3 片持ち梁 4 片持ち梁の支持体 5 xyz微動装置 6 xyz粗動装置 7 ベース 8 xyz微動装置の制御回路 9 xyz粗動装置の制御回路 10 電圧及び電流検知回路 11 マイクロコンピュータ 101、111 基板 102 単結晶 102’ 平板状単結晶 103、113 金薄膜 104、114 記録層 115 基板の金薄膜の設けられていない面 116 金薄膜表面 201 Si結晶 202 導電層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 部分的に貴金属薄膜が設けられた基板面
    に記録層を積層してなる記録媒体の製造方法において、
    (a)基板上の所定位置に溶液中での結晶成長法により
    貴金属薄膜を設ける過程と、(b)該基板の貴金属薄膜
    が設けられた面を疎水化処理して、該貴金属薄膜が設け
    られていない基板表面と該貴金属薄膜の表面との疎水性
    を揃える過程と、(c)該疎水化処理された基板面上に
    記録層を積層する過程とを有することを特徴とする記録
    媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 部分的に貴金属薄膜が設けられた基板面
    に記録層を積層してなる記録媒体の製造方法において、
    (i)基板を疎水化処理して、該基板表面の疎水性を後
    続の過程(ii)で形成される貴金属薄膜の表面の疎水性
    に揃える過程と、(ii)該疎水化処理された基板上の所
    定位置に溶液中での結晶成長法により貴金属薄膜を設け
    る過程と、(iii)該貴金属薄膜が設けられた基板面上
    に記録層を積層する過程とを有することを特徴とする記
    録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記貴金属薄膜表面の水に対する接触角
    と前記基板表面の水に対する接触角の差が±5度となる
    ように疎水化処理が行われる請求項1または2に記載の
    記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 記録層が、ラングミュア・ブロジェット
    法により形成された機能性有機化合物の単分子膜または
    単分子累積膜である請求項1〜3のいずれかに記載の記
    録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記貴金属薄膜が貴金属単結晶の集合体
    からなる請求項1〜4のいずれかに記載の記録媒体の製
    造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023090171A1 (ja) * 2021-11-22 2023-05-25 株式会社Screenホールディングス 基板処理方法

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