JPH08304329A - 多孔性膜を使用したバイオセンサー、および該多孔性膜の 製造方法 - Google Patents
多孔性膜を使用したバイオセンサー、および該多孔性膜の 製造方法Info
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- JPH08304329A JPH08304329A JP7145106A JP14510695A JPH08304329A JP H08304329 A JPH08304329 A JP H08304329A JP 7145106 A JP7145106 A JP 7145106A JP 14510695 A JP14510695 A JP 14510695A JP H08304329 A JPH08304329 A JP H08304329A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 作製が簡易で、酵素や補酵素を被測定液中に
添加する必要がなく安価に精度の良い測定ができる、多
孔性膜を有するバイオセンサーと、それに用いる多孔性
膜の製造方法を提供すること。 【構成】 該バイオセンサーは、NADHまたはNAD
PHと電極間の電子伝達メディエータとして作用する物
質と、脱水素酵素と、NAD+またはNADP+を吸着
させた多孔性膜を、電極上に装着することにより構成さ
れる。その多孔性膜への各成分の吸着方法は、各成分の
溶液を多孔性膜上へ滴下・乾燥するか、多孔性膜を各成
分の溶液中へ浸漬して任意の洗浄を行って乾燥するか、
それら滴下と浸漬とを任意に組み合わせる。
添加する必要がなく安価に精度の良い測定ができる、多
孔性膜を有するバイオセンサーと、それに用いる多孔性
膜の製造方法を提供すること。 【構成】 該バイオセンサーは、NADHまたはNAD
PHと電極間の電子伝達メディエータとして作用する物
質と、脱水素酵素と、NAD+またはNADP+を吸着
させた多孔性膜を、電極上に装着することにより構成さ
れる。その多孔性膜への各成分の吸着方法は、各成分の
溶液を多孔性膜上へ滴下・乾燥するか、多孔性膜を各成
分の溶液中へ浸漬して任意の洗浄を行って乾燥するか、
それら滴下と浸漬とを任意に組み合わせる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多孔性膜を使用したバ
イオセンサーと、その多孔性膜の製造方法に関する。更
に詳しくは、試料中に存在するエタノール,グルコー
ス,乳酸等の脱水素酵素の基質となりうる物質の濃度
を、アンペロメトリックに測定でき、ことに血液、尿等
の生体試料や食品中の基質濃度の測定に有用な、多孔性
膜を有するバイオセンサーと、それに用いられる多孔性
膜の製造方法に関する。
イオセンサーと、その多孔性膜の製造方法に関する。更
に詳しくは、試料中に存在するエタノール,グルコー
ス,乳酸等の脱水素酵素の基質となりうる物質の濃度
を、アンペロメトリックに測定でき、ことに血液、尿等
の生体試料や食品中の基質濃度の測定に有用な、多孔性
膜を有するバイオセンサーと、それに用いられる多孔性
膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】血液などの試料中の特定成分について、
迅速かつ簡便に濃度等を測定する方法として、電気化学
的検出手段によるバイオセンサーが実用化されている。
本発明者等は、従来から、これらのバイオセンサーに、
NAD+またはNADP+を補酵素とする脱水素酵素を
利用することを検討してきた。なぜならば、脱水素酵素
の関与する酵素反応の種類は非常に多く、それを利用し
たバイオセンサーは臨床化学分析や食品分析等において
非常に有用であることが期待されるためである。
迅速かつ簡便に濃度等を測定する方法として、電気化学
的検出手段によるバイオセンサーが実用化されている。
本発明者等は、従来から、これらのバイオセンサーに、
NAD+またはNADP+を補酵素とする脱水素酵素を
利用することを検討してきた。なぜならば、脱水素酵素
の関与する酵素反応の種類は非常に多く、それを利用し
たバイオセンサーは臨床化学分析や食品分析等において
非常に有用であることが期待されるためである。
【0003】脱水素酵素、基質、そしてNAD+または
NADP+との酵素反応により、基質濃度に依存したN
ADHまたはNADPHが生成する。そのNADHまた
はNADPHの濃度を測定することにより基質の濃度を
測定することができる。電極によるNADHまたはNA
DPHの測定方法としては、例えば、NADHを電極上
で直接酸化し、その電流値よりNADHを測定すること
が可能である。
NADP+との酵素反応により、基質濃度に依存したN
ADHまたはNADPHが生成する。そのNADHまた
はNADPHの濃度を測定することにより基質の濃度を
測定することができる。電極によるNADHまたはNA
DPHの測定方法としては、例えば、NADHを電極上
で直接酸化し、その電流値よりNADHを測定すること
が可能である。
【0004】しかしこの方法では、大きな印加電圧を必
要とするため、印加電圧以下の電解電圧値を有する電解
質が被測定液に共存している場合、この共存物質の電解
電流により妨害を受けるという欠点がある。また、不安
定な残余電流も流れてしまい、信号量(S)と雑音量
(N)との比(いわゆるS/N比)が悪くなり、実用上
測定精度が悪くなるという問題点がある。この問題を解
消するため、NADHまたはNADPHと電極間の電子
伝達メディエータとして作用する物質で電極を修飾し、
NADHまたはNADPHを測定する方法が報告されて
いる。
要とするため、印加電圧以下の電解電圧値を有する電解
質が被測定液に共存している場合、この共存物質の電解
電流により妨害を受けるという欠点がある。また、不安
定な残余電流も流れてしまい、信号量(S)と雑音量
(N)との比(いわゆるS/N比)が悪くなり、実用上
測定精度が悪くなるという問題点がある。この問題を解
消するため、NADHまたはNADPHと電極間の電子
伝達メディエータとして作用する物質で電極を修飾し、
NADHまたはNADPHを測定する方法が報告されて
いる。
【0005】例として、強酸処理した金ワイヤー電極
を、3,3’−ジチオビス〔プロピオン酸スクシンイミ
ジル〕と、フェノチアジン誘導体の溶液に逐次浸潰して
フェノチアジン修飾電極を調製し、さらにアルコールデ
ヒドロゲナーゼをグルタルアルデヒドにより架橋・固定
化して、アルコール測定用バイオセンサーを作製したこ
とが報告されている(Review of Polar
ography,vol.40,No.3/6,P.7
0(1994))。
を、3,3’−ジチオビス〔プロピオン酸スクシンイミ
ジル〕と、フェノチアジン誘導体の溶液に逐次浸潰して
フェノチアジン修飾電極を調製し、さらにアルコールデ
ヒドロゲナーゼをグルタルアルデヒドにより架橋・固定
化して、アルコール測定用バイオセンサーを作製したこ
とが報告されている(Review of Polar
ography,vol.40,No.3/6,P.7
0(1994))。
【0006】しかし、この方法は電極作製の操作が煩雑
で、電極間のばらつきが大きく、測定精度が悪く、高価
なNAD+を被測定液中に添加する必要性からコストが
高くなり、実用化には不向きであった。
で、電極間のばらつきが大きく、測定精度が悪く、高価
なNAD+を被測定液中に添加する必要性からコストが
高くなり、実用化には不向きであった。
【0007】さらに本発明者等はすでに、フェノチアジ
ンをメンブランフィルターに含浸し、グラッシーカーボ
ン電極上に装着した電極を用いて、エタノールを含む被
測定液中にNAD+とアルコールデヒドロゲナーゼを添
加し、被測定液中のエタノール濃度を測定できたことを
報告している(Review of Polarogr
aphy,vol.40,No.3/6,P69(19
94))。
ンをメンブランフィルターに含浸し、グラッシーカーボ
ン電極上に装着した電極を用いて、エタノールを含む被
測定液中にNAD+とアルコールデヒドロゲナーゼを添
加し、被測定液中のエタノール濃度を測定できたことを
報告している(Review of Polarogr
aphy,vol.40,No.3/6,P69(19
94))。
【0008】しかしこの方法は、電極作製の操作は簡便
であるが、これも高価なアルコールデヒドロゲナーゼや
NAD+を被測定液中に添加する必要からコストが高く
なり、実用化には不向きであった。
であるが、これも高価なアルコールデヒドロゲナーゼや
NAD+を被測定液中に添加する必要からコストが高く
なり、実用化には不向きであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】先述のように、従来の
バイオセンサーでは、電極調製操作の煩雑さや、測定結
果上のばらつき、高価な試薬を被測定液中に添加するこ
とからコストが高くなる等の課題を有していた。本発明
はこれらの課題を一挙に解決し、簡易に電極作製が可能
であり、酵素や補酵素を被測定液中に添加する必要もな
く安価に、精度良く測定することが可能な、多孔性膜を
有するバイオセンサーを提供することを第1の目的と
し、そのバイオセンサーに用いられる多孔性膜の製造方
法を提供することを第2の目的としている。
バイオセンサーでは、電極調製操作の煩雑さや、測定結
果上のばらつき、高価な試薬を被測定液中に添加するこ
とからコストが高くなる等の課題を有していた。本発明
はこれらの課題を一挙に解決し、簡易に電極作製が可能
であり、酵素や補酵素を被測定液中に添加する必要もな
く安価に、精度良く測定することが可能な、多孔性膜を
有するバイオセンサーを提供することを第1の目的と
し、そのバイオセンサーに用いられる多孔性膜の製造方
法を提供することを第2の目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討を
進めた結果、本発明の第1の目的において、上記課題
は、NADHまたはNADPHと電極間の電子伝達メデ
ィエータとして作用する物質と、脱水素酵素と、NAD
+またはNADP+を吸着させた多孔性膜を、電極上に
装着することにより解決できることを見出した。
進めた結果、本発明の第1の目的において、上記課題
は、NADHまたはNADPHと電極間の電子伝達メデ
ィエータとして作用する物質と、脱水素酵素と、NAD
+またはNADP+を吸着させた多孔性膜を、電極上に
装着することにより解決できることを見出した。
【0011】また、本発明の第2の目的において、上記
課題は、NADHまたはNADPHと電極間の電子伝達
メディエータとして作用する物質、脱水素酵素、NAD
+またはNADP+の各成分を多孔性膜へ吸着させてバ
イオセンサー用の多孔性膜を製造する方法であって、各
成分の溶液を別個に順次に多孔性膜上へ段階的に滴下・
乾燥するか、各成分が任意に組み合わされた混合溶液を
多孔性膜上に滴下・乾燥するか、多孔性膜を各溶液中へ
段階的に浸漬して任意の洗浄を行って乾燥するか、各成
分が任意に組み合わされた混合溶液中に多孔性膜を浸漬
して任意の洗浄を行って乾燥するか、または、それら滴
下と浸漬とを任意に組み合わせることにより、解決でき
た。
課題は、NADHまたはNADPHと電極間の電子伝達
メディエータとして作用する物質、脱水素酵素、NAD
+またはNADP+の各成分を多孔性膜へ吸着させてバ
イオセンサー用の多孔性膜を製造する方法であって、各
成分の溶液を別個に順次に多孔性膜上へ段階的に滴下・
乾燥するか、各成分が任意に組み合わされた混合溶液を
多孔性膜上に滴下・乾燥するか、多孔性膜を各溶液中へ
段階的に浸漬して任意の洗浄を行って乾燥するか、各成
分が任意に組み合わされた混合溶液中に多孔性膜を浸漬
して任意の洗浄を行って乾燥するか、または、それら滴
下と浸漬とを任意に組み合わせることにより、解決でき
た。
【0012】この多孔性膜を使用したバイオセンサー
と、該多孔性膜の製造方法により、きわめて簡易に電極
作製が可能であり、ひいては試料中に存在するアルコー
ル,グルコース,乳酸等の脱水素酵素の基質となりうる
物質の濃度を、酵素や補酵素を被測定液中に添加する必
要もなく安価に、しかも精度良く測定することが可能に
なる。
と、該多孔性膜の製造方法により、きわめて簡易に電極
作製が可能であり、ひいては試料中に存在するアルコー
ル,グルコース,乳酸等の脱水素酵素の基質となりうる
物質の濃度を、酵素や補酵素を被測定液中に添加する必
要もなく安価に、しかも精度良く測定することが可能に
なる。
【0013】本発明に用いられる電極としては、電子伝
導性物質よりなる集電体であれば特に制限はなく、材料
としては、カーボン材料、白金、金、パラジウム、オス
ミウム、イリジウム等を使用できる。その中でも、種々
の材料を検討した結果、電極に用いる材料としては、カ
ーボン材料が安価であり、電位窓が広く、また化学的に
も安定であり、本発明のバイオセンサーに用いる電極の
材料として好ましいことを見いだした。
導性物質よりなる集電体であれば特に制限はなく、材料
としては、カーボン材料、白金、金、パラジウム、オス
ミウム、イリジウム等を使用できる。その中でも、種々
の材料を検討した結果、電極に用いる材料としては、カ
ーボン材料が安価であり、電位窓が広く、また化学的に
も安定であり、本発明のバイオセンサーに用いる電極の
材料として好ましいことを見いだした。
【0014】ここでのカーボン材料とは、カーボンを含
む材料全般を意味する。使用できるカーボン材料は、特
に限定されるものではなく、従来のいわゆるカーボン電
極において使用されているものであれば良く、例えば、
グラファイト,パイロリティクグラファイト,グラッシ
ーカーボン,カーボンペースト,カーボンファイバー等
を使用できる。
む材料全般を意味する。使用できるカーボン材料は、特
に限定されるものではなく、従来のいわゆるカーボン電
極において使用されているものであれば良く、例えば、
グラファイト,パイロリティクグラファイト,グラッシ
ーカーボン,カーボンペースト,カーボンファイバー等
を使用できる。
【0015】本発明に用いられるNADHまたはNAD
PHと電極間の電子伝達メディエータとして作用する物
質としては、多孔性膜に吸着し、NADHまたはNAD
PHにより化学的に還元され、電極において、酸化でき
うる物質であれば特に制限はない。たとえば、フェノチ
アジン類,ベンゾキノン類,ナフトキノン類,アントラ
キノン類,インドフェノール類,インジゴ類,フェナジ
ン類,ビオロゲン類等を使用できる。その中でも、種々
の化合物を検討した結果、フェノチアジン,チオニン,
メチレンブルー等のフェノチアジン類が、「NADHま
たはNADPHとの反応性」「電極反応の可逆性・安定
性」が良く、本発明のバイオセンサーに用いる電子伝達
メディエータとしては好ましいことを見いだした。
PHと電極間の電子伝達メディエータとして作用する物
質としては、多孔性膜に吸着し、NADHまたはNAD
PHにより化学的に還元され、電極において、酸化でき
うる物質であれば特に制限はない。たとえば、フェノチ
アジン類,ベンゾキノン類,ナフトキノン類,アントラ
キノン類,インドフェノール類,インジゴ類,フェナジ
ン類,ビオロゲン類等を使用できる。その中でも、種々
の化合物を検討した結果、フェノチアジン,チオニン,
メチレンブルー等のフェノチアジン類が、「NADHま
たはNADPHとの反応性」「電極反応の可逆性・安定
性」が良く、本発明のバイオセンサーに用いる電子伝達
メディエータとしては好ましいことを見いだした。
【0016】本発明に用いられる脱水素酵素としては、
NAD+またはNADP+を補酵素とする脱水素酵素で
あれば特に制限はなく、アルコールデヒドロゲナーゼ,
グルコースデヒドロゲナーゼ,乳酸デヒドロゲナーゼ,
グルコースー6−リン酸デヒドロゲナーゼ,リンゴ酸デ
ヒドロゲナーゼ,グリセロールデヒドロゲナーゼ,グル
タミン酸デヒドロゲナーゼ等が挙げられる。これら酵素
の由来は、微生物由来や動物由来など、各種のものを使
用することができる。
NAD+またはNADP+を補酵素とする脱水素酵素で
あれば特に制限はなく、アルコールデヒドロゲナーゼ,
グルコースデヒドロゲナーゼ,乳酸デヒドロゲナーゼ,
グルコースー6−リン酸デヒドロゲナーゼ,リンゴ酸デ
ヒドロゲナーゼ,グリセロールデヒドロゲナーゼ,グル
タミン酸デヒドロゲナーゼ等が挙げられる。これら酵素
の由来は、微生物由来や動物由来など、各種のものを使
用することができる。
【0017】本発明に用いられる多孔性膜としては、微
細孔を有する膜であれば特に制限はないが、形状として
は通常、孔径0.1〜10μmの微細孔を有する膜であ
ることが好ましい。また、材質としては、ポリテトラフ
ルオロエチレン(PTFE),セルロースアセテート,
ニトロセルロース,ポリカーボネート,ポリアミド,ポ
リスルホン,ポリエーテルスルホン,ポリオレフィン等
の高分子素材等を使用できる。その中でも、種々の材質
の多孔性膜を検討した結果、PTFE又はセルロースア
セテートが、電子伝達メディエータ、脱水素酵素、NA
D+またはNADP+の各溶液またはそれらを組み合わ
せた混合溶液を吸着させる時の耐薬品性が良く、また膜
の保存安定性も良いことから、本発明のバイオセンサー
に用いる多孔性膜の材質としては、好ましいことを見い
だした。
細孔を有する膜であれば特に制限はないが、形状として
は通常、孔径0.1〜10μmの微細孔を有する膜であ
ることが好ましい。また、材質としては、ポリテトラフ
ルオロエチレン(PTFE),セルロースアセテート,
ニトロセルロース,ポリカーボネート,ポリアミド,ポ
リスルホン,ポリエーテルスルホン,ポリオレフィン等
の高分子素材等を使用できる。その中でも、種々の材質
の多孔性膜を検討した結果、PTFE又はセルロースア
セテートが、電子伝達メディエータ、脱水素酵素、NA
D+またはNADP+の各溶液またはそれらを組み合わ
せた混合溶液を吸着させる時の耐薬品性が良く、また膜
の保存安定性も良いことから、本発明のバイオセンサー
に用いる多孔性膜の材質としては、好ましいことを見い
だした。
【0018】
【作用】NADHまたはNADPHと電極間の電子伝達
メディエータとして作用する物質と脱水素酵素とNAD
+またはNADP+を吸着させた多孔性膜を、電極上に
装着することにより、簡易にバイオセンサーを作製する
ことが可能である。それと同時に、本発明によるバイオ
センサーは、試料中に存在するアルコール,グルコー
ス,乳酸等の脱水素酵素の基質となりうる物質の濃度
を、酵素や補酵素を被測定液中に添加する必要もなく安
価に、精度良く測定することができる。
メディエータとして作用する物質と脱水素酵素とNAD
+またはNADP+を吸着させた多孔性膜を、電極上に
装着することにより、簡易にバイオセンサーを作製する
ことが可能である。それと同時に、本発明によるバイオ
センサーは、試料中に存在するアルコール,グルコー
ス,乳酸等の脱水素酵素の基質となりうる物質の濃度
を、酵素や補酵素を被測定液中に添加する必要もなく安
価に、精度良く測定することができる。
【0019】本発明は、NADHまたはNADPHと電
極間の電子伝達メディエータとして作用する物質と、脱
水素酵素と、NAD+またはNADP+を、多孔性膜へ
容易に吸着させる製造方法も含む。
極間の電子伝達メディエータとして作用する物質と、脱
水素酵素と、NAD+またはNADP+を、多孔性膜へ
容易に吸着させる製造方法も含む。
【0020】該方法は、上記各成分の溶液を別個に順次
に多孔性膜上へ段階的に滴下・乾燥するか、各成分が任
意に組み合わされた混合溶液を多孔性膜上に滴下・乾燥
するか、多孔性膜を各溶液中へ段階的に浸漬して任意の
洗浄を行って乾燥するか、各成分が任意に組み合わされ
た混合溶液中に多孔性膜を浸漬して任意の洗浄を行って
乾燥するか、または、それら滴下と浸漬とを任意に組み
合わせることであり、これにより各成分を多孔性膜へ吸
着させることができ、きわめて簡便なかつ確実な製造方
法である。
に多孔性膜上へ段階的に滴下・乾燥するか、各成分が任
意に組み合わされた混合溶液を多孔性膜上に滴下・乾燥
するか、多孔性膜を各溶液中へ段階的に浸漬して任意の
洗浄を行って乾燥するか、各成分が任意に組み合わされ
た混合溶液中に多孔性膜を浸漬して任意の洗浄を行って
乾燥するか、または、それら滴下と浸漬とを任意に組み
合わせることであり、これにより各成分を多孔性膜へ吸
着させることができ、きわめて簡便なかつ確実な製造方
法である。
【0021】
【実施例】本発明を実施例によって,具体的に説明す
る。 ○実施例1(多孔性膜の作製) 親水化処理をした孔径1μmのPTFE製メンブランフ
ィルター上に、フェノチアジンの0.1mmol/dm
3アセトニトリル溶液5μlとNAD+の40mmol
/dm3水溶液10μlとアルコールデヒドロゲナーゼ
の0.5%水溶液10μlを滴下後、乾燥し、NADH
と電極間の電子伝達メディエータとして作用するフェノ
チアジンと脱水素酵素とNAD+を吸着させた多孔性膜
を得た。
る。 ○実施例1(多孔性膜の作製) 親水化処理をした孔径1μmのPTFE製メンブランフ
ィルター上に、フェノチアジンの0.1mmol/dm
3アセトニトリル溶液5μlとNAD+の40mmol
/dm3水溶液10μlとアルコールデヒドロゲナーゼ
の0.5%水溶液10μlを滴下後、乾燥し、NADH
と電極間の電子伝達メディエータとして作用するフェノ
チアジンと脱水素酵素とNAD+を吸着させた多孔性膜
を得た。
【0022】○実施例2(多孔性膜の装着) 本発明に係るバイオセンサーの一実施例を、図1に示
す。ガラス管の中に、銅のリード線を付けたグラッシー
ガーボンを入れた。その先端に、実施例1において作製
した多孔性膜をテフロンキャップで装着して、アルコー
ル測定用のバイオセンサーを得た。
す。ガラス管の中に、銅のリード線を付けたグラッシー
ガーボンを入れた。その先端に、実施例1において作製
した多孔性膜をテフロンキャップで装着して、アルコー
ル測定用のバイオセンサーを得た。
【0023】○実施例3(エタノールの測定) 実施例2において作製したバイオセンサーを、0〜0.
1(v/v)%のエタノールと0.5mol/dm3の
硝酸カリウムを含むTAPS緩衝液(pH8.9)に入
れ、サイクリックボルタモグラムを測定し、酸化電流の
ピーク電流値(応答電流)とエタノール濃度との関係を
求めた結果を図2に示す。図からは、エタノール濃度に
依存した応答電流が得られており、実施例2において作
製したバイオセンサーがエタノール測定用のバイオセン
サーとして十分に機能していることが判る。
1(v/v)%のエタノールと0.5mol/dm3の
硝酸カリウムを含むTAPS緩衝液(pH8.9)に入
れ、サイクリックボルタモグラムを測定し、酸化電流の
ピーク電流値(応答電流)とエタノール濃度との関係を
求めた結果を図2に示す。図からは、エタノール濃度に
依存した応答電流が得られており、実施例2において作
製したバイオセンサーがエタノール測定用のバイオセン
サーとして十分に機能していることが判る。
【0024】エタノールを基質、NAD+を補酵素、ア
ルコールデヒドロゲナーゼを触媒とした酵素反応によ
り、エタノール濃度に依存したNADHが生成する。フ
ェノチアジンが、NADHとグラッシィガーボン電極間
の電子伝達メディエータとして作用し、NADHの濃度
に依存した応答電流が得られ、この電流値が基質である
エタノールの濃度に対応している。尚、前記実施例で
は、電極材料としてグラッシーカーボンを用い、NAD
HまたはNADPHと電極間の電子伝達メディエータと
して作用する物質としてフェノチアジンを用い、多孔性
膜として親水化処理をした孔径1μmのPTFE製メン
ブランフィルターを用い、脱水素酵素としてアルコール
デヒドロゲナーゼを用いたが、先に例示した他の電極材
料、NADHまたはNADPHと電極間の電子伝達メデ
ィエータとして作用する物質、多孔性膜、脱水素酵素を
前記のような実施例において使用することができる。ま
た前記実施例では、NADHまたはNADPHと電極間
の電子伝達メディエータとして作用する物質、脱水素酵
素、補酵素の各溶液を個別に調製して使用したが、その
制限はなく、任意に混合して調製し、使用することがで
きる。
ルコールデヒドロゲナーゼを触媒とした酵素反応によ
り、エタノール濃度に依存したNADHが生成する。フ
ェノチアジンが、NADHとグラッシィガーボン電極間
の電子伝達メディエータとして作用し、NADHの濃度
に依存した応答電流が得られ、この電流値が基質である
エタノールの濃度に対応している。尚、前記実施例で
は、電極材料としてグラッシーカーボンを用い、NAD
HまたはNADPHと電極間の電子伝達メディエータと
して作用する物質としてフェノチアジンを用い、多孔性
膜として親水化処理をした孔径1μmのPTFE製メン
ブランフィルターを用い、脱水素酵素としてアルコール
デヒドロゲナーゼを用いたが、先に例示した他の電極材
料、NADHまたはNADPHと電極間の電子伝達メデ
ィエータとして作用する物質、多孔性膜、脱水素酵素を
前記のような実施例において使用することができる。ま
た前記実施例では、NADHまたはNADPHと電極間
の電子伝達メディエータとして作用する物質、脱水素酵
素、補酵素の各溶液を個別に調製して使用したが、その
制限はなく、任意に混合して調製し、使用することがで
きる。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、脱水素酵素を利用した
バイオセンサーが簡易に作製でき、それを用いて、酵素
や補酵素を被測定液中に添加する必要がなく安価に、精
度の良い測定が実施できる。
バイオセンサーが簡易に作製でき、それを用いて、酵素
や補酵素を被測定液中に添加する必要がなく安価に、精
度の良い測定が実施できる。
【0026】
図1は、本発明のバイオセンサーの模式的断面図であ
る。図2は、実施例のエタノール応答の結果を示すグラ
フである。
る。図2は、実施例のエタノール応答の結果を示すグラ
フである。
1…銅リード線 2…ガラス菅 3…グラッシーカーボン電極 4…テフロンキャップ 5…多孔性膜
Claims (8)
- 【請求項1】 還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレ
オチド(NADH)または還元型ニコチンアミドアデニ
ンジヌクレオチドリン酸(NADPH)と電極間の電子
伝達メディエータとして作用する物質と、脱水素酵素
と、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(N
AD+)または酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレ
オチドリン酸(NADP+)を吸着させた多孔性膜を、
電極上に装着したことを特徴とするバイオセンサー。 - 【請求項2】 電極が、カーボン材料からなることを特
徴とする、特許請求の範囲第1項に記載のバイオセンサ
ー。 - 【請求項3】 NADHまたはNADPHと電極間の電
子伝達メディエータとして作用する物質が、フェノチア
ジン類であることを特徴とする特許請求の範囲第1又は
2項に記載のバイオセンサー。 - 【請求項4】 多孔性膜が高分子素材からなることを特
徴とする、特許請求の範囲第1〜3項のいずれかに記載
のバイオセンサー。 - 【請求項5】 高分子素材がポリテトラフルオロエチレ
ン(以下、PTFEと略する)又はセルロースアセテー
トである、特許請求の範囲第4項に記載のバイオセンサ
ー。 - 【請求項6】 NADHまたはNADPHと電極間の電
子伝達メディエータとして作用する物質、脱水素酵素、
NAD+またはNADP+の各成分を多孔性膜へ吸着さ
せてバイオセンサー用の多孔性膜を製造する方法であっ
て、各成分の溶液を別個に順次に多孔性膜上へ段階的に
滴下・乾燥するか、各成分が任意に組み合わされた混合
溶液を多孔性膜上に滴下・乾燥するか、多孔性膜を各溶
液中へ段階的に浸漬して任意の洗浄を行って乾燥する
か、各成分が任意に組み合わされた混合溶液中に多孔性
膜を浸漬して任意の洗浄を行って乾燥するか、または、
それら滴下と浸漬とを任意に組み合わせることを特徴と
する、バイオセンサー用多孔性膜の製造方法。 - 【請求項7】 多孔性膜が高分子素材からなることを特
徴とする、特許請求の範囲第6項に記載の製造方法。 - 【請求項8】 高分子素材がポリテトラフルオロエチレ
ン(PTFE)又はセルロースアセテートである、特許
請求の範囲第7項に記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7145106A JPH08304329A (ja) | 1995-05-09 | 1995-05-09 | 多孔性膜を使用したバイオセンサー、および該多孔性膜の 製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7145106A JPH08304329A (ja) | 1995-05-09 | 1995-05-09 | 多孔性膜を使用したバイオセンサー、および該多孔性膜の 製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08304329A true JPH08304329A (ja) | 1996-11-22 |
Family
ID=15377525
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7145106A Pending JPH08304329A (ja) | 1995-05-09 | 1995-05-09 | 多孔性膜を使用したバイオセンサー、および該多孔性膜の 製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08304329A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH08100284A (ja) * | 1994-09-29 | 1996-04-16 | Bayer Corp | Nadh、nadph又はその類似体の電気化学的再生に適した仲介物質 |
JPH08334490A (ja) * | 1995-06-06 | 1996-12-17 | Bayer Corp | Nadh、nadph及びそれらの類似体の電気化学的再生に適切なメディエーター |
WO2012105462A1 (ja) | 2011-01-31 | 2012-08-09 | ソニー株式会社 | 燃料電池、燃料電池の製造方法、電子機器、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド固定化電極、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド固定化担体、酵素反応利用装置、タンパク質固定化電極およびタンパク質固定化担体 |
-
1995
- 1995-05-09 JP JP7145106A patent/JPH08304329A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH08100284A (ja) * | 1994-09-29 | 1996-04-16 | Bayer Corp | Nadh、nadph又はその類似体の電気化学的再生に適した仲介物質 |
JPH08334490A (ja) * | 1995-06-06 | 1996-12-17 | Bayer Corp | Nadh、nadph及びそれらの類似体の電気化学的再生に適切なメディエーター |
WO2012105462A1 (ja) | 2011-01-31 | 2012-08-09 | ソニー株式会社 | 燃料電池、燃料電池の製造方法、電子機器、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド固定化電極、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド固定化担体、酵素反応利用装置、タンパク質固定化電極およびタンパク質固定化担体 |
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040401 |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
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