JPH08303371A - スクロール気体圧縮機 - Google Patents

スクロール気体圧縮機

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JPH08303371A
JPH08303371A JP15516296A JP15516296A JPH08303371A JP H08303371 A JPH08303371 A JP H08303371A JP 15516296 A JP15516296 A JP 15516296A JP 15516296 A JP15516296 A JP 15516296A JP H08303371 A JPH08303371 A JP H08303371A
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compression
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Katsuharu Fujio
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 駆動軸への給油不足を生じることなく、旋回
スクロールの背圧室の異常圧力低下を防ぎ、常に高い圧
縮効率を維持できる背圧室圧力調整手段が要求されてい
た。 【解決手段】 吐出圧力の作用する吐出室油溜34,駆
動軸4に係わる軸受摺動部(12,18b),旋回スク
ロール18の背圧室39,圧縮室61a,61bを順次
経由する差圧給油通路を構成し、軸受摺動部(12,1
8b)と背圧室39との差圧が設定値以上の時に、軸受
摺動部(12,18b)の側から背圧室39へ潤滑油流
入を許容する通路開閉手段を有するバイパス給油通路を
備えたものである。上記バイパス給油通路の配設によっ
て、ガス流入が生じない旋回スクロール18の背圧室3
9の圧力調整ができ、旋回スクロール18への背圧付勢
力不足を回避することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスクロール気体圧縮
機の旋回スクロールの背圧室の圧力制御に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】低振動、低騒音特性を備えたスクロール
圧縮機は、吸入室が外周部にあり、吐出ポートが渦巻の
中心部に設けられ、圧縮流体の流れが一方向で往復動式
圧縮機や回転式圧縮機のような流体を圧縮するための吐
出弁を必要とせず、吸入圧力と吐出圧力とで定まる運転
圧縮比に大きな変動がない場合には吐出脈動も小さくて
大きな吐出空間を必要としないことから、各分野への利
用展開の実用化研究が成されている。
【0003】しかし、圧縮室のシール部分が多いので圧
縮流体の漏れが多く、特に、家庭空調用冷媒圧縮機のよ
うな少排除容量にスクロール気体圧縮機の場合などは、
圧縮部の漏れ隙間を小さくするために渦巻部の寸法精度
を極めて高くする必要がある。しかしながら、部品形状
の複雑さに起因して、渦巻部寸法精度バラツキなどによ
り、スクロール気体圧縮機のコストが高く、性能のバラ
ツキも大きく、特に圧縮機低速運転状態では、圧縮途中
の気体漏れ率が多く、圧縮効率が往復動式圧縮機や回転
式圧縮機よりも低いという欠点を有している。
【0004】そこで、この種の課題解決のための方策と
して、圧縮途中の気体漏れ防止のために渦巻部寸法精度
の適正化と、潤滑油を利用した油膜シール効果による圧
縮効率向上を期待することが大きく、特開昭57−83
36号公報にも記載されているように、圧縮途中の圧縮
室に潤滑油を適量注入し、潤滑油の油膜で圧縮室の隙間
を密封し、上記欠点を改善する提案が成されている。
【0005】特に、冷凍空調分野においてはスクロール
冷媒圧縮機の実用化がなされ、パッケージエアコン,チ
ラーユニット等の一吸入行程当りの冷媒容積が比較的大
きい中型〜大型クラスの圧縮機に関しては、種々の改良
がなされ既に量産化も実現している。
【0006】図16は、密閉ケース(チャンバー)内を
高圧空間とした構成の中型〜大型クラスのスクロール冷
媒圧縮機の一般的な構造例である。同図は、圧縮部と吐
出室1031が上部に、モータ(電動要素)が下部に、
油溜が底部に、圧縮機の最終出口である吐出配管104
2がモータ(電動要素)の近傍に配置された構成で、吐
出室1031で吐出冷媒ガスと潤滑油とが分離の後、潤
滑油は油抜き穴1035,1036を通してモータ(電
動要素)を収納する空間に戻り、底部の油溜に収集され
ると共に、吐出冷媒ガスは吐出室1031の上部から別
の通路を通してモータ(電動要素)を収納する空間を経
由の後、再び、吐出配管1042から排出される。ま
た、圧縮室の軸方向隙間を少なくするために、密閉ケー
ス(チャンバー)1013の底部の吐出圧力が作用する
潤滑油を駆動軸(クランクシャフト)1008の内部に
設けた揚油穴1019、駆動軸(クランクシャフト)1
008を支持し固定スクロール1003を固定した本体
フレーム(フレーム)1009の軸受の隙間、駆動軸
(クランクシャフト)1008のクランク軸部の隙間を
経由させて軸受摺動面を潤滑した後、旋回スクロール1
006の背面に設けた背圧室1025に、その経路途中
で減圧した中間圧力の潤滑油を流入させ、その中間圧力
の潤滑油をクランク軸上部の高圧の潤滑油とで旋回スク
ロール1006の背面を固定スクロール1003の側に
付勢する。それによって圧縮室ガス圧力に抗して、旋回
スクロール1006を固定スクロールから離反させない
ように背圧付勢力が設定されている。
【0007】背圧室1025の潤滑油は、旋回スクロー
ル1006の鏡板1004に設けられた背圧孔1017
を介して圧縮途中の圧縮室1015に流入の後、圧縮室
1015の隙間を油膜密封しながら吸入冷媒ガスと共に
圧縮・吐出され、吐出室1031に吐出される構成であ
る。(特開昭56−165788号公報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、背圧室
1025の圧力が適正でない場合には、以下に述べる種
々の課題を引き起こす。
【0009】すなわち、圧縮機起動初期のように、吸入
圧力と吐出室1031の圧力との差圧が小さい場合に
は、吐出圧力が作用する油溜よりも圧縮途中の圧縮室1
015の圧力の方が高くて差圧給油ができないこともあ
る。また例え僅かな差圧があっても粘性の高い潤滑油が
軸受摺動部の微小隙間を通過することが困難なため、ク
ランクシャフト1008に係合する摺動部が焼き付きを
生じると言う課題があった。
【0010】また、圧縮機起動初期には、上述のよう
に、底部の油溜から駆動軸(クランクシャフト)100
8を支持する軸受部への差圧給油ができないだけでな
く、圧縮途中の圧縮室1015の圧縮冷媒ガスが背圧室
1025を経由して駆動軸(クランクシャフト)100
8の軸受隙間にまで逆流し、駆動軸(クランクシャフ
ト)1008の微少軸受隙間の介在する潤滑油を流出さ
せる。その結果、圧縮機起動初期の駆動軸(クランクシ
ャフト)1008の焼付き発生を助長すると言う課題が
あった。
【0011】また、圧縮室1015で、液冷媒が圧縮さ
れて異常圧力上昇した場合にも、旋回スクロール100
6の鏡板1004設けられた背圧孔1017を介して圧
縮室1015から背圧室1025に高圧冷媒ガスが逆流
し、上記同様にクランクシャフト1008の焼付き発生
を助長する。
【0012】更に、旋回スクロール1006が固定スク
ロール1003の側に過剰押圧され、圧縮機入力が異常
増加する課題があった。
【0013】また逆に圧縮室最終圧力が吐出室圧力より
過大な場合には、旋回スクロール1006への背圧付勢
力よりも圧縮室冷媒ガス力が大きくなり、旋回スクロー
ル1006が固定スクロール1003から離反して著し
い圧縮冷媒ガス漏れが生じ、圧縮効率が著しく低下す
る。
【0014】一方、上記課題を改善する方策として図1
7〜図19に示す如く、吐出圧力が作用する油溜を上流
側とし、その油溜の潤滑油を減圧導入すると共に、圧縮
途中の圧縮室を下流側とする旋回スクロールの背圧室の
圧力を調整する2つの手段が提案されている(特開昭6
2−178789号公報)。
【0015】すなわち、その第1の手段は、吐出室22
01aと旋回スクロール(旋回スクロール部材)220
6の背圧室2220との間の連通路(通路2233,2
232,2234b)を開閉する背圧制御弁2230を
固定スクロール2205の鏡板2205aに配設し、背
圧制御弁2230は吐出室2201aと背圧室2220
との圧力差が設定値以上の時に弁体2235がバネ22
37に抗して下がり連通路を開通させるべく作動し、そ
れによって吐出室2201aの気体が背圧室2220に
導入されて、背圧室2220の圧力が上昇し、旋回スク
ロール(旋回スクロール部材)2206が固定スクロー
ル2205から離反するのを防止される。
【0016】また、吐出室2201aと背圧室2220
との圧力差が設定値未満の時に弁体2235がバネ22
37によって弁座2234の方に移動して連通路を閉じ
る構成である。
【0017】また、第2の手段は、吸入室2208と背
圧室2220との間の連通油路(通路2253,225
5,2256)を開閉する給油圧制御弁2250を固定
スクロール2205の鏡板2205aに配設し、吐出室
2201aと背圧室2220との圧力差が大きい通常の
運転時に、弁体2257がバネ2258に抗して弁座2
251aの側に移動して連通油路(通路2253,22
55,2256)を閉じ、吐出室2201aと背圧室2
220との圧力差が小さい異常運転時に、連通油路(通
路2253,2255,2256)を開通させて、駆動
軸(回転軸)2014内に設けた給油孔2214cおよ
び軸受部2211a,偏心軸2214aの軸受隙間を介
して密閉ケース(密閉容器)2201内底部から背圧室
2220に差圧給油された中間圧力状態の潤滑油を、吸
入室2208に流入させる構成である。
【0018】しかしながら、第1の手段の場合は、吐出
室2201aと背圧室2220との圧力差が設定値以上
の時に、吐出室から導入した背圧室の気体が旋回スクロ
ール(旋回スクロール部材)2206のラップ支持円盤
(鏡板)2206aに設けた細孔2221を介して圧縮
途中の圧縮室2209に流入するので、圧縮効率の著し
い低下を招くという課題があった。
【0019】また、第2の手段の場合は、吐出室220
1aと背圧室2220との圧力差が小さい異常運転時
に、密閉ケース(密閉容器)2201内底部から差圧給
油された背圧室2220の潤滑油が過剰に吸入室220
8に流入するので、圧縮入力の増大を招くという課題が
あった。
【0020】本発明はこのような従来の課題を解決する
ものであり、駆動軸への給油不足を生じることなく、旋
回スクロールの背圧室の異常圧力低下を防ぎ、常に高い
圧縮効率を維持できる圧縮機を提供することを目的とす
る。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、吐出圧力の作用する吐出室油溜,駆動軸に
係わる軸受摺動部,旋回スクロールの背圧室,圧縮室を
順次経由する差圧給油通路を構成し、軸受摺動部と背圧
室との差圧が設定値以上の時に、軸受摺動部の側から背
圧室へ潤滑油流入を許容する通路開閉手段を有するバイ
パス給油通路を備えたものである。
【0022】上記バイパス給油通路の配設によって、ガ
ス流入が生じない旋回スクロールの背圧室圧力調整がで
き、旋回スクロールへの背圧付勢力不足を回避すること
ができる。
【0023】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の発明は、旋回ス
クロールの反圧縮室側で且つ旋回スクロールの反圧縮室
側を支持するスラスト軸受の内側に配置され、しかも、
旋回スクロールのラップ支持円盤に隣接し且つ駆動軸と
旋回スクロールとが係合する旋回軸受摺動部と主軸受と
に隣接して区画された油室を配設し、吐出圧力が作用し
且つモータの底部に配設された吐出室油溜の潤滑油を、
駆動軸の軸受摺動部の設けたネジポンプ作用と、駆動軸
によって駆動される容積型ポンプ装置の内の少なくとも
一方のポンプ作用によって吐出室油溜と油溜との間を連
通する油穴を介して、主軸受と旋回軸受に供給すべく油
室に供給した後、油室に供給した潤滑油の大部分を吐出
室油溜に戻す軸受給油通路を構成する一方、残りの潤滑
油を減圧して、油室の外側で且つスラスト軸受を配置し
たラップ支持円盤の反圧縮室側に配設した背圧室を経由
して、圧縮室と吸入室のうちいづれか一方に流入させる
差圧給油通路を設けると共に、背圧室と油室との差圧が
設定値以上の時に、油室と背圧室との間を開通させ、そ
れ以外の時に庶断する通路開閉手段を有するバイパス給
油通路を設けたものである。そしてこの構成によれば、
主軸受と旋回軸受の摺動部への給油不足を生じることな
く、且つ、ガス流入が生じない背圧室への給油通路が構
成でき、旋回スクロールへの背圧付勢力が不足する際
に、駆動軸に係わる軸受摺動部を経由した潤滑油が背圧
室に流入して、背圧室圧力を適正に維持することができ
る。
【0024】請求項2に記載の発明は、通路開閉手段が
油室から背圧室へのみの潤滑油流入を許容する逆止弁機
構を備えたものである。そしてこの構成によれば、圧縮
機起動初期などの如く、差圧給油通路の下流側となる圧
縮室の圧力が吐出室油溜の圧力よりも高い場合に、圧縮
室から背圧室を経由して軸受摺動部に圧縮途中気体が逆
流するのを少なくして、軸受摺動部の損傷を阻止するこ
とができる。
【0025】請求項3に記載の発明は、通路開閉手段
が、油室と背圧室との差圧が設定値以上の時、油室の圧
力と吸入室の圧力による付勢力を受け且つ旋回スクロー
ルのラップ支持円盤内を半径方向に移動するプランジャ
ーを設け、プランジャーが、背圧室の圧力の作用する側
の付勢力に抗して油室の圧力と吸入室に圧力を受けて外
側に前進することにより開通し、背圧室の圧力の作用す
る側の付勢力が油室の圧力と吸入室圧力による付勢力よ
りも大きい時、プランジャーがラップ支持円盤の中心側
に後退して通路を閉じるべく作動するものである。そし
てこの構成によれば、旋回スクロールに背圧室圧力を吐
出圧力と吸入圧力に見合うべく制御し、常に旋回スクロ
ールへの適正な背圧付勢力を付与させることができる。
【0026】
【実施例】以下、本発明による第1の実施例のスクロー
ル冷媒圧縮機について、図1〜図15を参照しながら説
明する。
【0027】図1において、1は鉄製の密閉ケースで、
その内部が旋回スクロール18と噛み合って圧縮室を形
成する固定スクロール15をボルト固定し且つ駆動軸4
を支持する本体フレーム5により、上側のモータ室6と
下側のアキュームレータ室46とに仕切られている。
【0028】モータ室6は高圧雰囲気で、上部にモータ
3、下部に圧縮部を配置し、モータ3の回転子3aを連
結固定した駆動軸4を支持する本体フレーム5は、摺動
特性と溶接性に優れた共晶黒鉛鋳鉄製で、その外周面部
に設けられた突起条部79aが上部密閉ケース1aと下
部密閉ケース1bの内壁面と端面とに当接しており、突
起条部79aと上部密閉ケース1aと下部密閉ケース1
bとが単一の溶接ビード79bによって密封溶接されて
いる。
【0029】駆動軸4は本体フレーム5の上端部に設け
られた上部軸受11,中央部に設けられた主軸受12,
本体フレーム5の上端面に設けられ且つ放射状の複数の
浅溝7を有するスラスト軸受部13とで支持され、駆動
軸4の主軸から偏心した下端部のクランク軸14が旋回
スクロール18に設けられた旋回ボス部18eの旋回軸
受18bに係合している。
【0030】固定スクロール15は、その熱膨張係数が
純アルミニウムと共晶黒鉛鋳鉄との中間の値に相当する
高珪素アルミニウム合金製で、図14に示すような渦巻
状の固定スクロールラップ15aと鏡板15bから成
り、鏡板15bの中央部には、固定スクロールラップ1
5aの巻始め部で開口する吐出ポート16がモータ室6
に開通する吐出通路80に連通して設けられ、固定スク
ロールラップ15aの外周部には吸入室17が設けられ
ている。
【0031】反旋回スクロール側の鏡板15b上には、
吐出ポート16を覆うように逆止弁装置50が取り付け
られ、その逆止弁装置50は図3〜図6で詳描するよう
に、その外周部を数箇所切り欠いた形状の薄板鋼板から
成る弁体50b(または不連続な環状穴50eaを有す
る弁体50e)と、逆止弁穴50aと中央穴50gとそ
の周りの複数の吐出小穴50hを有した弁ケース99
と、弁体50bと弁ケース99との間に介在するバネ装
置50cとから成る。バネ装置50cは、それ自身の温
度が50℃を超えると収縮し、それ自身の温度が50℃
以下で伸長する形状記憶特性を有するもので、圧縮機運
転中は吐出冷媒ガス圧を受けて逆止弁穴50aの底面ま
で収縮し、それ自身の温度が50℃以下の状態にある圧
縮機停止中は吐出ポート16を塞ぐべく弁体50を鏡板
15bに押圧するように設定されている。
【0032】図1および図14に示すように、固定スク
ロールラップ15aに噛み合って圧縮室側壁を形成する
渦巻状の旋回スクロールラップ18aと、駆動軸4のク
ランク軸14に係合した旋回ボス部18eを直立させた
ラップ支持円盤18cとから成るアルミニウム合金製の
旋回スクロール18は、固定スクロール15と本体フレ
ーム5とに囲まれて配置されており、ラップ支持円盤1
8cおよび旋回スクロールラップ18aの表面は多孔質
ニッケルメッキなどの硬化処理が成されている。図3に
示すように、旋回スクロールラップ18aの先端には渦
巻状のチップシール溝98が設けられて、そのチップシ
ール溝98には樹脂製のチップシール98aが微少隙間
を有して装着されている。旋回スクロール18が固定ス
クロール15の軸方向側に押圧されたとき、ラップ支持
円盤18cの平面部は固定スクロールラップ15aの先
端に接するが、旋回スクロールラップ18aの先端は固
定スクロール15に接することなく数ミクロン程度の微
少距離を保っている。
【0033】吐出通路80(図1参照)は、逆止弁装置
50を覆うように鏡板15b上に取り付けられた吐出カ
バー2aと鏡板15bによって形成される吐出室2,固
定スクロール15に設けられたガス通路B80b,本体
フレーム5に設けられたガス通路A80a,主軸受12
を囲うように本体フレーム5に取り付けられた吐出ガイ
ド81と本体フレーム5によって形成される吐出チャン
バー2bとから成り、ガス通路A80a,ガス通路B8
0bはそれぞれ対象位置に設けられている(図14参
照)。
【0034】吐出ガイド81の上面には図7のように、
多数の小穴81aが設けられている。
【0035】冷凍サイクルの蒸発器側に通じるアキュー
ムレータ室46は、下部密閉ケース1bと固定スクロー
ル15と本体フレーム5とで形成され、それに連通する
吸入管47が下部密閉ケース1bの側面に設けられ、そ
の吸入管47に対向する位置からそれぞれ約90度隔て
た位置の2箇所で吸入穴43が固定スクロール15に設
けられている(図14参照)。
【0036】アキュームレータ室46の底部の低圧油溜
46aと吸入穴43とは吐出カバー2aに設けられた油
吸い込み穴A9a,固定スクロール15に設けられた細
径の油吸い込み穴B9bとで連通しており、これら油吸
い込み穴(9a,9b)は低圧油溜46aに滞溜してい
る冷媒液や潤滑油が吸入穴43を冷媒ガスが通過する際
の負圧発生によって吸い上げられるように設定されてい
る。
【0037】本体フレーム5に固定された割りピン形の
平行ピン19によって回転方向の移動を拘束されて軸方
向にのみ移動が可能な平板形状のスラスト軸受20は、
ラップ支持円盤18cと本体フレーム5との間に配置さ
れており、スラスト軸受20と本体フレーム5との間に
介在する環状のシールリング(ゴム製)70(図10参
照)の弾性力によって本体フレーム5と固定スクロール
15との間の鏡板取り付け面15b1に当接している。
【0038】旋回スクロール18のラップ支持円盤18
cに摺接する鏡板摺動面15b2から鏡板取り付け面1
5b1迄の高さはラップ支持円盤18cの油膜による摺
動部のシール性向上のために、ラップ支持円盤18cの
厚さよりも約0.015〜0.020mm大きく設定さ
れている。
【0039】図1、図8に示すように、旋回スクロール
18の旋回ボス部18eの本体フレーム5側端面には旋
回軸受18bの中心と同芯の環状シール溝95が設けら
れ、その環状シール溝95には、図9に示すような、そ
の一部を切断した柔軟性を有する樹脂製の環状リング9
4が装着されている。環状リング94のその外周面は、
圧縮機運転時に環状リング94の熱膨張と環状リング9
4の内側の潤滑油圧力によって、環状シール溝95の側
面に密接すべく配置されている。環状リング94は、駆
動軸4を支持する主軸受12の側の油室A98aから旋
回スクロール18,本体フレーム5,スラスト軸受20
によって形成される旋回スクロール18の背圧室39へ
の過剰な潤滑油漏洩を少なくするようにシールしてい
る。
【0040】環状のスラスト軸受20は穴成形が容易な
焼結合金製で、図10,図11で示すように、割りピン
19が可動挿入される2つのガイド穴93と環状油溝9
2,油穴91とを有しており、本体フレーム5のスラス
トリング溝90に装着されている。
【0041】本体フレーム5とスラスト軸受20との間
には約0.05mm程度のレリース隙間27が設けら
れ、レリース隙間27の内側と外側にはシールリング7
0を装着する環状溝28が設けられている。シールリン
グ70はレリース隙間27と背圧室39との間をシール
している。
【0042】レリース隙間27は、本体フレーム5に設
けられたスラスト背圧導入穴A89aと固定スクロール
15に設けられたスラスト背圧導入穴B89bとによっ
て、最終圧縮行程の第3圧縮室60b(図14参照)に
連通している。
【0043】図1、図2に示すように、スラスト軸受2
0の内側に配置された旋回スクロール18の自転阻止部
材(以下、オルダムリングと称する)24は、焼結成形
や射出成形工法などに適した軽合金や強化繊維複合材か
ら成り、平らなリングの両面に互いに直交する平行キー
形状のキー部を備えたもので、上面側のキー部は本体フ
レーム5に設けられたキー溝71aに、下面側のキー部
はラップ支持円盤18cに設けられたキー溝71に係合
し、摺動する。オルダムリング24のリングの厚さはオ
ルダムリング24が往復運動する際に、本体フレーム5
とラップ支持円盤18cとの間で円滑に摺動し且つジャ
ンピング現象が生じないように設定されている。
【0044】上部密閉ケース1aの上端壁の外周部には
吐出管31、中央部にはモータ電源接続用のガラスター
ミナル88が取り付けられている。
【0045】吐出管31およびガラスターミナル88の
側とモータ3の側とを上部密閉ケース1aに取り付けら
れた油セパレータ87が仕切っている。駆動軸4の段付
き部によって軸方向に位置決めされたモータ3の回転子
3aは上部バランスウエイト75と共に駆動軸4にボル
ト固定され、上部バランスウエイト75は円盤形状を成
し、その外径は回転子3aの外径より大きく設定されて
いる。
【0046】回転子3aの下端に取り付けられた下部バ
ランスウエイト76と吐出ガイド81との間には本体フ
レーム5に取り付けられた遮閉板86が下部バランスウ
エイトに接近して配置されている。
【0047】モータ室6の下部に設けられた吐出室油溜
34は、モータ3の固定子3bの外周の一部を切り欠い
て設けた冷却通路35によりモータ室6の上部と連通さ
れている。
【0048】また、吐出室油溜34は、本体フレーム5
に設けられた油穴A38aを介して主軸受12と旋回軸
受18bとの中間位置の油室A78aにも通じてる。
【0049】図1、図8に示すように、駆動軸4の摺動
軸部4aおよびクランク軸14の表面には、駆動軸4が
正回転する時、油室A78aの潤滑油が旋回軸受18b
とクランク軸14とで形成される油室B78bおよびモ
ータ3側にネジポンプ給油される方向に螺旋状油溝41
a,41bが設けられて、その上端はスラスト軸受部1
3にまで達している。
【0050】油室B78b主軸受12面とは駆動軸4に
設けられた給油穴73aによって連通され、上部軸受1
1と主軸受12との間の油溜り72と背圧室39とは本
体フレーム5に設けられた絞り通路部を有する油穴B3
8bによって連通され、油穴B38bの背圧室39側開
口端は環状リング94に設けられた不連続な油溝94a
に間欠的に開通すると共に、環状リング94によって間
欠的に開閉される位置に設けられている。
【0051】図1、図10、図14図に示すように、背
圧室39は、吸入室17に間欠的に通じる第1圧縮室6
1a,61bが吸入冷媒ガス閉じ込み完了前の約180
度の旋回角度範囲内で、スラスト軸受20に設けられた
油穴91,ラップ支持円盤18cの外側の外周部空間3
7,ラップ支持円盤18cに設けられた油穴C38c,
対称位置に配設された細径のインジェクション穴52
a,52bによって構成されるインジェクション通路7
4によって第1圧縮室61a,61bと連通しており、
スラスト軸受20に設けられた油穴91はラップ支持円
盤18cによって間欠的に開閉される。
【0052】図12,図13に示すように、ラップ支持
円盤18cには背圧室39の圧力を制御する背圧制御弁
装置25が装着されている。
【0053】背圧制御弁装置25は、ラップ支持円盤1
8cの半径方向に設けられて大径部シリンダ26aと小
径部シリンダ26bとから成る段付き形状のシリンダ2
6,そのシリンダ内を可動する段付き形状のプランジャ
ー29,シリンダ26の外周部空間37側の開口端の一
部を塞ぐキャップ32,キャップ32とプランジャー2
9との間に配置されてプランジャー29をクランク軸1
4の側に付勢するコイルバネ53,大径部シリンダ26
aのクランク軸14側と吸入室17とを連通する油穴5
4a,小径部シリンダ26bのクランク軸14側と油室
B78bおよび背圧室39とをそれぞれ連通する油穴5
4b,54cによって構成されている。その作動は、背
圧室39の圧力が適正範囲の時、図12に示すように、
プランジャー29の小径端面が油穴54bのシリンダ側
開口端を塞ぎ、背圧室39の圧力が不足の時、図13に
示すように、プランジャー29の大径部を境界とするプ
ランジャー29の両側に作用する付勢力差によってプラ
ンジャー29が外周部空間37の側に移動し、油穴54
bのシリンダ側開口端が開かれ、油室B78bと背圧室
39とが通じるべくコイルバネ53の付勢力およびシリ
ンダ26の各部寸法が設定されている。
【0054】なお、55は、プランジャー29の小径外
周部をシールするために小径部シリンダ26bに装着さ
れたOーリングである。
【0055】図15において、横軸は駆動軸4の回転角
度を示し、縦軸は冷媒圧力を示し、吸入・圧縮・吐出過
程における冷媒ガスの圧力変化状態を示し、実線62は
正常圧力で運転時の圧力変化を示し、点線63は異常圧
力上昇時の圧力変化を示す。
【0056】以上のように構成されたスクロール冷媒圧
縮機について、その動作を説明する。
【0057】図1〜図15において、モータ3によって
駆動軸4が回転駆動すると、旋回スクロール18は、駆
動軸4のクランク機構によって駆動軸4の主軸周りに回
転しようとするが、オルダムリング24の旋回スクロー
ル18の側のキー部(図2参照)が旋回スクロール18
のキー溝71に係合し、反対側のキー部が本体フレーム
5のキー溝71a(図1参照)に係合しているので自転
を阻止され、公転運動をして固定スクロール15と共に
圧縮室の容積を変化させ、冷媒ガスの吸入・圧縮作用を
行う。
【0058】そして、圧縮機に接続した冷凍サイクルか
ら潤滑油を含んだ気液混合の吸入冷媒が、吸入管47か
らアキュームレータ室46に流入し、固定スクロール1
5の鏡板15bの外側面に衝突の後、アキュームレータ
室46の上部空間を経由して、二箇所の吸入穴43(図
14参照)通じて吸入室に流入する。
【0059】一方、気体と液体の重量差や流入方向転換
時の慣性力によって冷媒ガスから分離した液冷媒や潤滑
油はアキュームレータ室46の底部に、一旦、収集さ
れ、吸入冷媒ガスが吸入穴43を通過する際に生じる負
圧によって油吸い込み穴A9a,油吸い込み穴B9bを
介して霧化状態で吸入穴43に吸い上げられ、再び吸入
冷媒ガスに混入する。
【0060】気液分離された吸入冷媒ガスは、吸入室1
7,旋回スクロール18と固定スクロール15との間に
形成された第1圧縮室61a,61b(図14参照)を
経て圧縮室内に閉じ込められ、第2圧縮室51a,51
b,第3圧縮室60a,60bへと順次移送圧縮の後、
中央部の吐出ポート16から逆止弁室50aに吐出さ
れ、吐出室2,ガス通路B80b,ガス通路A80a,
吐出チャンバー2bを順次経由してモータ室6へと吐出
される。
【0061】圧縮完了直後に第3圧縮室60a,60b
と吐出ポート16が開通することによって、圧縮冷媒ガ
スは、第3圧縮室60a,60bから逆止弁室50aに
流入する際に急激な一次膨張が生じ、その直後の吐出完
了行程から圧縮開始行程までの間に逆止弁室50aの吐
出冷媒ガスが一次的に第3圧縮室60a,60bに逆流
する。
【0062】その結果、冷媒ガスは、間欠的に第3圧縮
室(60a,60b)からの流出・第3圧縮室(60
a,60b)への流入を繰り返しながら、全体の流れと
して第3圧縮室(60a,60b)から吐出室2へと流
出するが、逆止弁室50a,吐出室2の吐出冷媒ガスは
第3圧縮室(60a,60b)への流入・流出の際に圧
力変動が生じて脈動現象を呈する。
【0063】吐出冷媒ガスの脈動は、逆止弁装置50の
吐出小穴50hを介して球面状の壁面を有する吐出室2
に流入する際の二次膨張、更に、対称位置に配置された
二つの吐出通路80が吐出チャンバー2b,モータ室6
で合流することによって、各吐出通路80からの吐出ガ
ス脈動が互いに減衰し合う作用と第三次,第四次膨張に
よって、更に、順次減衰し、モータ室6の圧力変動はほ
とんど無い状態になる。
【0064】なお、吐出冷媒ガスが吐出室2から逆止弁
室50aに瞬時的に逆流する際、その流れに追従して弁
体50bが吐出ポート16を塞ぐ方向に移動しようとす
るが、圧縮機運転中は、周囲の温度によって形状記憶特
性を有するコイルバネ50cが全収縮して弁体50bへ
の付勢を及ぼさないので、弁体50bが吐出ポート16
を塞ぐことはない。
【0065】吐出ガイド81の小穴81aから分散して
モータ室6に排出した吐出冷媒ガスは、環状の遮閉板8
6,モータ3の巻線に衝突した後、ステータ3bの外側
部の冷却通路35や内側部の通路を経てモータ3を冷却
しながらモータ室6の上部側部へと流れ、吐出管31か
ら外部の冷凍サイクルへ送出される。
【0066】この際、吐出冷媒ガス中の潤滑油は、その
一部がモータ3の下部の巻線の表面に付着して冷媒ガス
から分離して吐出室油溜34に収集するが、上部バラン
スウエイト75,下部バランスウエイト76の外周部を
通過する吐出冷媒ガス中の潤滑油は、上部バランスウエ
イト75,下部バランスウエイト76の回転によって遠
心分離され、モータ3の巻線の内側表面へと拡散され、
巻線束の内部空間に沿って下部へ流下し、吐出室油溜3
4に収集する。
【0067】最終圧縮行程の圧縮室(圧縮室が吐出ポー
ト16に通じる直前行程の圧縮空間)に通じるスラスト
軸受20の背面側のレリース隙間27は、圧縮開始直後
から高圧冷媒ガスで充満される。その背圧付勢とシール
リング70の弾性力によって、スラスト軸受20は固定
スクロール15の鏡板取り付け面15b1に押接され
る。それによって、旋回スクロール18のラップ支持円
盤18cは鏡板摺動面15b2とスラスト軸受20との
間で狭持(15〜20ミクロンの組立隙間)される。
【0068】吐出室油溜34の潤滑油は、後述する経路
を経て油室A78aと油室B78bおよび背圧室39に
流入し、次第に旋回スクロール18への背圧付与力が大
きくなる。モータ室6の圧力上昇に追従して、ラップ支
持円盤18cは徐々に固定スクロール15の鏡板摺動面
15b2に適度な押圧力で接触する。固定スクロールラ
ップ15aの先端と旋回スクロール18のラップ支持円
盤18cとの間の隙間が無くなり、それによって圧縮室
が密封され、吸入冷媒ガスが効率良く圧縮されて、安定
運転が継続する。
【0069】なお、旋回スクロールラップ18aの先端
と固定スクロール15の鏡板15bとの間の軸方向隙間
は、圧縮途中冷媒ガスが隣室の低圧側圧縮室に漏洩する
際に、チップシール溝98(図3参照)に流入し、その
ガス背圧力によってチップシール98aがチップシール
溝98aの低圧縮室側面および固定スクロール15の鏡
板15bに押圧されることによってシールされる。
【0070】圧縮機停止の際に、圧縮室内冷媒ガスの圧
力差に基づく逆流によって、旋回スクロール18が瞬時
的に逆旋回運動するが、冷媒ガスが圧縮室から吸入室1
7に逆流することから、旋回スクロール18は図14の
ように、第1圧縮室61a,61bが吸入室17に通じ
た状態の旋回角度で停止する。図8のように、この停止
状態では環状リング94が背圧室39への潤滑油流入口
を塞ぐ。
【0071】また圧縮機停止の際に、圧縮室の冷媒ガス
が吸入室17へ逆流することによって吐出ポート16の
冷媒ガス圧力が急低下し、吐出ポート16と吐出室2と
の冷媒ガス圧力差によって弁体50bが吐出ポート16
を塞ぎ、吐出室2から圧縮室への吐出冷媒ガスの連続的
な逆流を阻止する。
【0072】圧縮機停止直後の一時的な吐出冷媒ガスの
逆流と旋回スクロール18の逆旋回によって、弁体50
bが逆止弁室50aの底面から離脱し、冷凍サイクルが
圧力バランスするまでの間、圧力差によって弁体51b
が吐出ポート16を塞ぎ続ける。それと並行して形状記
憶特性を有するコイルバネ50が温度低下して伸長し、
コイルバネ50の付勢力によって弁体50bが吐出ポー
ト16を閉塞し続ける。
【0073】吸入室17と間欠的に連通する第1圧縮室
61a,61bと背圧室39とは第1圧縮室61a,6
1bが閉じ込み完了前の180度以内にある時のみスラ
スト軸受20に設けられた油穴91(図10参照)を介
して連通すると共に、スラスト軸受20とラップ支持円
盤18cとの間は潤滑油膜でシールされるので、圧縮室
から背圧室39に圧縮途中冷媒ガスが逆流することはな
い。
【0074】圧縮機長時間停止中は圧縮機内圧力が均衡
し、アキュームレータ室46は勿論のこと、圧縮室内に
まで液冷媒が流入しており、圧縮機冷時起動初期には液
圧縮が生じ易く、圧縮室内の液圧縮冷媒圧力によって吐
出ポート16と反対方向のスラスト力が旋回スクロール
18に作用する。その結果、旋回スクロール18が固定
スクロール15から軸方向に離反し、圧縮負荷が軽減す
る。
【0075】一方、圧縮機冷時起動初期の背圧室39の
圧力は吐出室油溜34の潤滑油圧力上昇が低いことか
ら、ほぼ吸入圧力相当である。その結果、旋回スクロー
ル18のラップ支持円盤18cは圧力上昇の低い油室A
78aの潤滑油によってのみ背圧付与される状態で、鏡
板摺動面15b2から離反してスラスト軸受20まで後
退し支持され、ラップ支持円盤18cと固定スクロール
ラップ15aの先端との間に隙間が生じ、圧縮室圧力が
低下し、起動初期の圧縮負荷が軽減する。
【0076】万一、連続運転中に、圧縮室内で液圧縮な
どが生じて瞬時的に圧縮室圧力が異常上昇した場合など
には、旋回スクロール18に作用するスラスト力が旋回
スクロール18の背面に作用する背圧付勢力よりも大き
くなり、旋回スクロール18が軸方向に移動し、スラス
ト軸受20に支持される。そして、圧縮室の密封が上述
と同様に解除して圧縮室圧力が低下し、圧縮負荷が低下
する。
【0077】なお、背圧室39は、第1圧縮室61a,
61bが吸入冷媒ガス閉じ込み完了前の約180度の旋
回角度範囲内で、スラスト軸受20に設けられた油穴9
1を介して外周部空間37に通じているので、この連通
旋回範囲内で液圧縮が生じることがない。
【0078】したがって、圧縮室での液圧縮発生を含め
た如何なる圧縮機運転状態において、背圧室39への圧
縮室の冷媒ガスの逆流が回避され、圧縮負荷軽減を阻害
することはない。
【0079】圧縮機冷時始動初期の吐出室油溜34の潤
滑油は、駆動軸4に設けられた螺旋状油溝41a,41
bのネジポンプ作用によって、油穴A38aを経由して
油室A78aに吸い込まれる。
【0080】その後、潤滑油の一部は螺旋状油溝41
b,油室B78b,給油穴73aを順次経由途中で旋回
軸受18bの摺動面を潤滑し、主軸受12の摺動面に供
給され、油溜り72に送出される。
【0081】螺旋状油溝41aによって主軸受12に供
給された潤滑油は、油室B78bを経由してきた潤滑油
と共に油溜り72で合流した後、潤滑油の一部は油穴B
38b(図8参照)の絞り通路部で減圧されて背圧室3
9に間欠給油され、残りの潤滑油は上部軸受11とスラ
スト軸受13の各摺動面を潤滑の後、吐出室油溜34に
再回収される。
【0082】なお、油溜り72とモータ室6との間は上
部軸受11を潤滑する油膜のシール作用により冷媒ガス
が遮断される。
【0083】圧縮機冷時始動後の時間経過に追従してモ
ータ室6の吐出冷媒ガス圧力は上昇し、吐出室油溜34
の潤滑油は背圧室39との間の差圧によっても油室A7
8aに吸入され、螺旋状油溝41a,41bのネジポン
プ作用と併せて背圧室39に給油される。背圧室39の
圧力は次第に高くなり、油室A78aの吐出圧力相当の
潤滑油圧力との合成力が旋回スクロール18のラップ支
持円盤18cに作用する。その結果、圧縮室の冷媒ガス
圧力によって旋回スクロール18を固定スクロール15
から離反させようと作用するスラスト荷重が相殺され、
旋回スクロール18に作用するスラスト力が軽減する。
【0084】したがって、圧縮機冷時始動後のモータ室
6の圧力上昇が低い間は、油室A78aと背圧室39の
潤滑油圧力による旋回スクロール18への付与力が圧縮
室の冷媒ガス圧力による旋回スクロール18へのスラス
ト荷重よりも小さい。その結果、旋回スクロール18は
固定スクロール15から離反して、シールリング70の
弾性力と最終圧縮行程の圧縮室から導入された冷媒ガス
による背圧を受けるスラスト軸受20に支持される。
【0085】吐出圧力と吸入圧力との差圧が所要圧力を
超えた場合に、油室A78aと背圧室39の潤滑油圧力
による旋回スクロール18への付与力が圧縮室の冷媒ガ
ス圧力による旋回スクロール18へのスラスト荷重より
も大きくなる。そして、旋回スクロール18は固定スク
ロール15に支持される。
【0086】圧縮室の中心,旋回軸受18eの中心,環
状リング94の中心が各々ほぼ一致した配置構成におい
て、環状リング94は旋回スクロール18と共に旋回運
動をするので、その時の慣性力によって旋回ボス部18
eに設けられた環状シール溝95から飛び出そうとす
る。また、環状リング94は、油室A78aと背圧室3
9との差圧によってその内径を拡張し、熱膨張と併せて
その切口を閉じる。これらの作用によって、環状リング
94は本体フレーム5と環状シール溝95の外側面に押
接されると共に、環状リング94の油掻き作用によって
環状シール溝95と環状リング94との間に潤滑油が押
し込まれ、油室A78aと背圧室39との間の潤滑油漏
洩を少なくする。
【0087】更に、柔軟性に優れた樹脂製の環状リング
94は、背圧室39と油室A78aとの間の圧力差によ
ってその内径を環状シール溝95の外側面に沿って拡張
し、熱膨張と併せてその切口を閉じると共に、環状シー
ル溝95の外側面に押圧されるので、両空間の間の漏洩
を更に少なくする。
【0088】なお、環状溝94の表面に設けられた油溝
94aに滞留する潤滑油の油膜によって環状リング94
と本体フレーム5との間の摺動面を潤滑し、摺動面の摩
耗,摺動抵抗を少なくする。
【0089】圧縮機定常運転時は、高圧の油室A78a
の潤滑油圧力と背圧室39の潤滑油圧力によって旋回ス
クロール18は固定スクロール15の側に背圧付与さ
れ、ラップ支持円盤18cと鏡板摺動面15b2との間
は適度な接触力を保持しながら円滑に摺動し、圧縮室の
軸方向隙間を最小にしている。
【0090】背圧室39に流入した潤滑油は、スラスト
軸受20に設けられた油穴91を介して間欠的に外周部
空間37に流入し、更にラップ支持円盤18cに設けら
れた油穴c38c,細径のインジェクション穴52(図
14参照)を通して漸次減圧され、第1圧縮室61a,
61bに流入する。潤滑油は、その通路途中で各摺動面
を潤滑し、摺動隙間を密封する。
【0091】第1圧縮室61a,61bに注入された潤
滑油は、吸入冷媒ガスと共に圧縮室(圧縮空間)に流入
した潤滑油と合流し、隣接する圧縮室間の微小隙間を油
膜密封して圧縮冷媒ガス漏れを防ぎ、圧縮室間の摺動面
を潤滑しながら圧縮冷媒ガスと共に吐出ポート16を経
てモータ室6に再び吐出される。
【0092】背圧室39を経由する吐出室油溜34から
第1圧縮室61a,61bまでの給油経路において、背
圧室39は吐出圧力と吸入圧力との間の適正な中間圧力
を維持する。
【0093】また、スクロール冷媒圧縮機の圧縮比が一
定であることから、冷時起動直後のように吸入室17と
吐出室2との差圧が小さい場合、あるいは、異常な液圧
縮が生じた場合などは、上述のように旋回スクロール1
8が固定スクロール15から離反し、スラスト軸受20
に支持される。
【0094】しかしながら、背圧付勢されたスラスト軸
受20は、異常上昇した圧縮室圧力荷重を支持できず、
レリース隙間27を減少させる方向に後退して、旋回ス
クロール18のラップ支持円盤18cと固定スクロール
15の固定スクロールラップ15aの先端との間の軸方
向隙間が拡大する。これにより、圧縮室間に多くの漏れ
が生じ、図15の一点鎖線63aで示すように、圧縮室
圧力が圧縮途中で急低下する。
【0095】旋回スクロール18が固定スクロール15
から軸方向に離反する最大距離が約70ミクロンに規制
されているので、外周部空間37と吸入室17とが直接
連通することによる背圧室39の圧力変化が抑制され、
圧縮負荷が瞬時に軽減した後、スラスト軸受20が瞬時
に元の位置に復帰でき、安定運転が再継続する。
【0096】なお、旋回スクロール18がスラスト軸受
20の方へ後退する時、旋回スクロールラップ18aの
先端と固定スクロール15との間の軸方向寸法も拡大す
るが、チップシール98aがその背面のガス圧によって
固定スクロール15の側に押圧されているので、この部
分からの圧縮冷媒ガス漏れはほとんど生じない。
【0097】一方、旋回スクロール18のラップ支持円
盤18cと固定スクロール15の固定スクロールラップ
15bの先端との間の隙間が拡大し、圧縮室内での圧縮
冷媒ガス漏れが生じて、圧縮室圧力が急低下する。
【0098】また、旋回スクロール18と固定スクロー
ル15との間の軸方向隙間部に異物の噛み込みが生じた
場合にも、上述と同様に、スラスト軸受20が後退して
異物を除去する。
【0099】また、冷時起動初期や定常運転時に、瞬時
的な液圧縮が生じた場合の圧縮室圧力は、図15の点線
63のように異常な過圧縮が生じるが、吐出ポート16
に連通する高圧空間容積が大きく、しかも、逆止弁室5
0a,吐出室2,吐出チャンバー2bを順次通過する間
に膨張を繰り返し、モータ室6の圧力変化はほとんど生
じない。
【0100】また、圧縮機運転速度が増加するに伴い単
位時間当りの圧縮室冷媒ガス漏れが少なくなる。その反
面、一旋回運動当りのインジェクション穴52a,52
bの開口時間が短くなり、一旋回運動当りの圧縮室への
油インジェクション量が抑制されて不要な油圧縮が少な
くなると共に、油穴B38bと背圧室39との間の遮断
回数増加による通路抵抗が増加して、油室A78aから
背圧室39への潤滑油流入量も抑制され、背圧室39の
圧力が適切に維持される。
【0101】また、ヒートポンプ冷凍サイクルに組み込
まれて運転中のスクロール冷媒圧縮機は、暖房運転から
除霜運転に切り替わった際、短時間ではあるが、高圧側
が蒸発器に、低圧側が凝縮器側に通じる関係からモータ
室6の圧力が瞬時的に低下する。それに追従して油穴B
38b,油溜り72,油室A78aを順次介してモータ
室6に通じる背圧室39の圧力と外周部空間37の圧力
とが低下する一方、吸入室17と圧縮室の圧力が一時的
に圧力上昇して、適正背圧力を維持できなくなる場合に
は、図12のようにラップ支持円盤18cに設けられた
背圧制御弁装置25のプランジャー29が油室B78b
に通じる油穴54bの潤滑油圧力によって、コイルバネ
53と背圧室39に通じる潤滑油の背圧力に抗して図1
3のように外周部空間37の方へ移動し、油室B78b
と背圧室39とが連通して高圧の潤滑油が背圧室39に
流入し、背圧室39を適正圧力に復帰させ、再び図12
のようにプランジャー29を油室B78bの側に移動さ
せ、油室B78bと背圧室39とが遮断される。
【0102】また、蒸発器側の熱負荷が高く且つ凝縮器
側の凝縮能力が大きい場合には、吸入圧力が比較的高
く、吐出圧力が比較的低い状態で運転される。
【0103】このような場合には、圧縮室圧力が通常運
転時より高くなるので背圧室圧力を通常よりも高くする
必要が有るが、このような場合も上記と同様に、プラン
ジャー29が油室B78bに通じる油穴54bの潤滑油
圧力と油穴54aを介して吸入室17に通じる吸入側の
冷媒圧力とによって、コイルバネ53と背圧室39に通
じる潤滑油の背圧力に抗して図13のように外周部空間
37の方へ移動し、油室B78bと背圧室39とが間欠
的(または部分的)に連通して高圧の潤滑油が背圧室3
9に流入し、背圧室39を適正圧力に維持する。
【0104】当然のことながら、プランジャー29は、
プランジャー29に作用する慣性力および摩擦力の影響
をうけて、外周部空間37の方へ移動しようとして小径
部シリンダ26bと油穴54cとの間の連通面積を広げ
るので、背圧室39の圧力は圧縮機運転速度が増加する
のに追従して高くなる。
【0105】また、上記実施例ではスラスト軸受20の
背面に設けたレリース隙間27に最終圧縮行程中の圧縮
冷媒ガスを導入したが、圧縮最終行程の圧縮室と吐出ポ
ート16とが通じる領域の吐出冷媒ガスをレリース隙間
27に導入してもよい。
【0106】また、上記実施例では旋回スクロール18
のラップ支持円盤18cとスラスト軸受20との間の摺
動隙間を潤滑油の油膜のみでシールしたが、発明者が特
願昭63−159996号公報で提案しているような、
環状リング(82)をラップ支持円盤18cの背面側に
装着し、背圧室39と外周部空間37との間の摺動部隙
間のシール性能を向上してもよい。
【0107】なお、図8では、油穴B38bと背圧室3
9とが間欠的に連通する一旋回運動当りの区間を多く設
定したが、圧縮負荷が比較的小さい圧縮機運転条件の場
合には、油穴B38bと背圧室39との一旋回運動当り
の連通区間が少なくなるように、油穴B38bの開口位
置を本体フレーム5の中心部側に移動させて、油室A7
8aの潤滑油が背圧室39および圧縮室へ流入する量を
少なくする必要があることは、従来技術の説明から明か
であろう。これに伴い、背圧室39および外周部空間3
7の圧力も低くなる。
【0108】また、上記実施例では外周部空間37と第
1圧縮室61a,61bとを連通させたが、旋回スクロ
ール18のラップ支持円盤18cに摺接する鏡板15b
の摺動面上に油溝を設けて外周部空間37と吸入室17
とを連通させても良い。この場合の背圧室39の圧力
は、第1圧縮室61a,61bと連通させる場合よりも
低く設定することができ、吸入圧力相当にまで低下させ
ることもできる。
【0109】また、上記実施例では駆動軸4に設けた螺
旋状の油溝41a,41bによるネジポンプ作用によっ
て、吐出室油溜34の潤滑油を主軸受12,旋回軸受1
8b,上部軸受11の摺動部に供給したが、例えば、ク
ランク軸71aの先端部にトロコイドポンプなどの容積
型ポンプ装置を連接させて、吐出室油溜34の潤滑油を
主軸受12,旋回軸受18b,上部軸受11の摺動部に
供給させても良い。
【0110】この場合は、圧縮機極低速運転時でも軸受
摺動部に所要の給油ができる。以上のように、上記実施
例によれば、旋回スクロール18の反圧縮室側を支持す
るスラスト軸受20の内側に配置され、しかも、旋回ス
クロール18のラップ支持円盤18cに隣接し且つ駆動
軸4と旋回スクロール18とが係合する旋回軸受18b
の摺動部に隣接して区画配置された油室78aに、吐出
圧力の作用する吐出室油溜34の潤滑油を、駆動軸4に
設けた螺旋状の油溝41a,41bによるネジポンプ作
用により供給し、油室78aの潤滑油を旋回軸受18b
摺動部と駆動軸4を支持する圧縮室に近い側の主軸受1
2と上部軸受11とに供給の後、吐出室油溜34に戻す
軸受給油通路を構成する一方、旋回軸受18b摺動部と
主軸受12とに供給した潤滑油の一部を減圧して、油室
78aの外側で且つスラスト軸受20を配置したラップ
支持円盤18cの背圧室39を経由して、第1圧縮室6
1a,61bに流入させる差圧給油通路を設けると共
に、背圧室39と油室78aとの差圧が設定値以上の時
に、油室78aと背圧室39との間を開通させ、それ以
外の時に遮断する通路開閉手段を有するバイパス給油通
路を設けたものである。そしてこの構成によれば、主軸
受12と旋回軸受18bの摺動部への給油不足を生じる
ことなく、且つ、ガス流入が生じない背圧室39への給
油通路ができ、旋回スクロール18への背圧付勢力が不
足する際に、駆動軸4に係わる軸受摺動部を経由した潤
滑油が背圧室39に流入して、背圧室圧力を適正に維持
し、旋回スクロール18が固定スクロール15から離反
するのを防ぎ、圧縮効率低下を防止することができる。
【0111】また、上記実施例によれば、通路開閉手段
が油室78aから背圧室39へのみの潤滑油流入を許容
する逆止弁機構を備えたものである。そしてこの構成に
よれば、圧縮機起動初期などの如く、差圧給油通路の下
流側となる第1圧縮室61a,61bの圧力が吐出室油
溜34の圧力よりも高い場合に、第1圧縮室61a,6
1bから背圧室39,油穴B38bを経由して上部軸受
11,主軸受12の摺動部に圧縮途中気体が逆流するの
を阻止して、軸受摺動部の損傷を阻止することができ
る。
【0112】また、上記実施例によれば、通路開閉手段
が、油室78aと背圧室39との差圧が設定値以上の
時、油室78aの圧力と吸入室17の圧力による付勢力
を受け且つ旋回スクロール18のラップ支持円盤18c
内を半径方向に移動するプランジャー29を設け、プラ
ンジャー29が、背圧室39の圧力の作用する側の付勢
力に抗して外側に前進することにより開通し、背圧室3
9の圧力の作用する側の付勢力が油室78aの圧力と吸
入室17の圧力による付勢力よりも大きい時、プランジ
ャー29がラップ支持円盤18cの中心側に後退して通
路を閉じるべく作動するものである。そしてこの構成に
よれば、旋回スクロール18の背圧室39圧力を吐出圧
力と吸入圧力に見合うべく制御し、常に旋回スクロール
18への適正な背圧付勢力を付与させ、旋回スクロール
18と固定スクロール15との軸方向過剰接触を防止し
て摺動部損失入力を低下させることができる。
【0113】また、上記実施例では冷媒圧縮機について
説明したが、潤滑油を使用する酸素,窒素,ヘリウムな
ど他の気体圧縮機の場合も、同様の作用効果を期待でき
る。
【0114】また、上記実施例では、縦置形圧縮機の構
成を示したその効果を説明したが、横置形圧縮機の構成
についても同様の作用効果が期待できる。
【0115】
【発明の効果】上記実施例から明かなように、請求項1
に記載の発明は、旋回スクロールの反圧縮室側で且つ旋
回スクロールの反圧縮室側を支持するスラスト軸受の内
側に配置され、しかも、旋回スクロールのラップ支持円
盤に隣接し且つ駆動軸と旋回スクロールとが係合する旋
回軸受摺動部と主軸受とに隣接して区画された油室を配
置し、吐出圧力が作用し且つモータの底部に配置された
吐出室油溜の潤滑油を、駆動軸の軸受摺動部に設けたネ
ジポンプ作用と、駆動軸によって駆動される容積型ポン
プ装置の内に少なくとも一方のポンプ作用によって吐出
室油溜と油室との間を連通する油穴を介して、主軸受と
旋回軸受に供給すべく油室に供給した後、油室に供給し
た潤滑油の大部分を吐出室油溜に戻す軸受給油通路を構
成する一方、残りの潤滑油を減圧して、油室の外側で且
つスラスト軸受を配置したラップ支持円盤の背圧室を経
由して、圧縮室と吸入室のうちいづれか一方に流入させ
る差圧給油通路を設けると共に、背圧室と油室との差圧
が設定値以上の時に、油室と背圧室との間を開通させ、
それ以外の時に遮断する通路開閉手段を有するバイパス
給油通路を設けたもので、この構成によれば、主軸受と
旋回軸受の摺動部への給油不足が生じることなく、且
つ、ガス流入が生じない背圧室への給油通路が構成で
き、旋回スクロールへの背圧付勢力が不足する際に、駆
動軸に係わる軸受摺動部を経由した潤滑油が背圧室に流
入して、背圧室圧力を適正に維持し、旋回スクロールが
固定スクロールから離反するのを防ぎ、圧縮効率低下を
防止することができるという効果を奏する。
【0116】請求項2に記載の発明は、通路開閉手段が
油室から背圧室へのみの潤滑油流入を許容する逆止弁機
構を備えたもので、この構成によれば、圧縮機起動初期
などの如く、差圧給油通路の下流側となる圧縮室の圧力
が吐出室油溜の圧力よりも高い場合に、圧縮室から背圧
室を経由して軸受摺動部に圧縮途中気体が逆流するのを
少なくして、軸受摺動部の潤滑油流出を防ぎ、軸受摺動
部の損傷を阻止することができるという効果を奏する。
【0117】請求項3に記載の発明は、通路開閉手段
が、油室と背圧室との差圧が設定値以上の時、油室の圧
力と吸入室の圧力による付勢力を受け且つ旋回スクロー
ルのラップ支持円盤内を半径方向に移動するプランジャ
ーを設け、プランジャーが、背圧室の圧力の作用する側
の付勢力に抗して油室の圧力と吸入室の圧力を受けて外
側に前進することにより開通し、背圧室の圧力の作用す
る側の付勢力が油室の圧力と吸入室圧力による付勢力よ
りも大きい時、プランジャーがラップ支持円盤の中心側
に後退して通路を閉じるべく作動するもので、この構成
によれば、旋回スクロールの背圧室圧力を吐出圧力と吸
入圧力に見合うべく制御し、常に旋回スクロールへの適
正な背圧付勢力を付与させ、旋回スクロールと固定スク
ロールとの軸方向過剰接触を防止して摺動部損失入力を
低下させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すスクロール冷媒圧縮機
の縦断面図
【図2】同圧縮機における主要部品の分解図
【図3】同圧縮機における吐出ポート部に配置した逆止
弁装置の部分断面図
【図4】図3における逆止弁装置の構成部品の斜視図
【図5】同逆止弁装置の要部斜視図
【図6】同逆止弁装置の要部斜視図
【図7】同圧縮機における小物部品の分解斜視図
【図8】同圧縮機における主要軸受部の部品断面図
【図9】同圧縮機におけるシール部品の斜視図
【図10】同圧縮機におけるスラスト軸受部の部分断面
【図11】図10におけるスラスト軸受の斜視図
【図12】同圧縮機における背圧制御弁装置の動作説明
断面図
【図13】同動作説明断面図
【図14】図1におけるA−A線に沿った横断面図
【図15】同圧縮機の吸入行程から吐出行程までの冷媒
ガスの圧力変化を示す特性図
【図16】それぞれ異なる従来のスクロール圧縮機の縦
断面図
【図17】それぞれ異なる従来のスクロール圧縮機の縦
断面図
【図18】図17におけるそれぞれ異なる背圧室圧力調
整弁装置の部分断面図
【図19】同背圧室圧力調整弁装置の部分断面図
【符号の説明】
1 密閉ケース 4 駆動軸 5 本体フレーム 12 主軸受 15 固定スクロール 16 吐出ポート 17 吸入室 18 旋回スクロール 18c ラップ支持円盤 15b 鏡板 18 旋回軸受 29 プランジャー 20 スラスト軸受 24 自転阻止部材 34 吐出室油溜 41a 螺旋状油溝 41b 螺旋状油溝 61a 第1圧縮室 78a 油室A

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固定スクロールの一部を成す鏡板の一面に
    形成された渦巻状の固定スクロールラップに対して旋回
    スクロールの一部を成すラップ支持円盤上の旋回スクロ
    ールラップを揺動回転自在に噛み合わせ、両スクロール
    間に渦巻形の圧縮空間を形成し、前記固定スクロールラ
    ップの中心部には吐出ポートを設け、前記固定スクロー
    ルラップの外側には吸入室を設け、前記圧縮空間は吸入
    側より吐出側に向けて連続移行する複数個の圧縮室に区
    画されて流体を圧縮すべく、駆動軸を支持し且つ圧縮室
    に近い側の主軸受を中央部に有する本体フレームと前記
    旋回スクロールとの間に前記旋回スクロールの自転阻止
    部材を係合させて前記旋回スクロールを旋回運動させる
    スクロール圧縮機構を形成し、前記スクロール圧縮機構
    を前記駆動軸に連接するモータを密室ケース内に収納
    し、前記ラップ支持円盤は前記鏡板と前記本体フレーム
    に設けたスラスト軸受との間に、前記ラップ支持円盤の
    両摺動面に少なくとも油膜形成可能な隙間を有して配置
    された構成で、前記旋回スクロールの反圧縮室側で且つ
    前記スラスト軸受の内側に配置され、しかも、前記ラッ
    プ支持円盤に隣接し且つ前記駆動軸と前記旋回スクロー
    ルとが係合する旋回軸受摺動部と前記主軸受とに隣接し
    て区画された油室を配設し、吐出圧力が作用し且つ前記
    モータの底部に配設された吐出室油溜の潤滑油を、前記
    駆動軸の軸受摺動部に設けたネジポンプ作用と、前記駆
    動軸によって駆動される容積型ポンプ装置の内の少なく
    とも一方のポンプ作用によって前記吐出室油溜と前記油
    室との間を連通する油穴を介して、前記主軸受と前記旋
    回軸受に供給すべく前記油室に供給した後、前記油室に
    供給した潤滑油の大部分を前記吐出室油溜に戻す軸受給
    油通路を構成する一方、残りの潤滑油を減圧して、前記
    油室の外側で且つ前記スラスト軸受を配置した前記ラッ
    プ支持円盤の反圧縮室側に配設した背圧室を経由して、
    前記圧縮室と前記吸入室のうちいづれか一方に流入させ
    る差圧給油通路を設けると共に、前記背圧室を前記油室
    との差圧が設定値以上の時に、前記油室と前記背圧室と
    の間を開通させ、それ以外の時の庶断する通路開閉手段
    を有するバイパス給油通路を設けたスクロール気体圧縮
    機。
  2. 【請求項2】通路開閉手段は油室から背圧室へのみの潤
    滑油流入を許容する逆止弁機構を備えた請求項1記載の
    スクロール気体圧縮機。
  3. 【請求項3】通路開閉手段は、油室と背圧室との差圧が
    設定値以上の時、前記油室の圧力と吸入室の圧力による
    付勢力を受け且つ旋回スクロールのラップ支持円盤内を
    半径方向に移動するプランジャーを設け、前記プランジ
    ャーが、前記背圧室の圧力の作用する側の付勢力に抗し
    て前記油室の圧力と前記吸入室の圧力を受けて外側に前
    進することにより開通し、前記背圧室の圧力の作用する
    側の付勢力が前記油室の圧力と前記吸入室圧力による付
    勢力よりも大きい時、前記プランジャーが前記ラップ支
    持円盤の中心側に後退して通路を閉じるべく作動する請
    求項1記載のスクロール気体圧縮機。
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