JPH08303244A - 内燃機関の冷却系構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、サーモスタットキャップ用のパイ
プ部を分割し、内燃機関へのトランスミッションの組付
性を向上させることを目的としている。 【構成】 このため、内燃機関のウォータジャケットと
ラジエータとを連絡する冷却水通路途中にサーモスタッ
トを配設し、このサーモスタットのサーモスタットケー
スにサーモスタットキャップを装着するとともに前記冷
却水通路の一部を成し且つサーモスタットキャップに一
体成形されるサーモスタットキャップ用のパイプ部を有
する内燃機関の冷却系構造において、サーモスタットキ
ャップ用のパイプ部を少なくとも２分割して設けるとと
もに、パイプ部の分割部位をシール手段を介して唯一の
固定手段によって接続する構成としている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は内燃機関の冷却系構造
に係り、特にサーモスタットキャップ用のパイプ部を分
割し、内燃機関へのトランスミッションの組付性を向上
させた内燃機関の冷却系構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】内燃機関には、冷却水配管類の冷却水吸
入管や冷却水排出管を含む冷却水通路を設けられるとと
もに、この冷却水通路途中にサーモスタットを配設して
いる。前記冷却水吸入管は、内燃機関のウォータポンプ
にラジエータからの冷却水を導くものである。また、冷
却水排出管は、内燃機関のウォータジャケットを経て集
合された冷却水をラジエータに戻すものである。

【０００３】前記内燃機関の冷却系構造としては、実開
昭６２−１２４２２１号公報に開示されるものがある。
この公報に開示されるエンジンの冷却装置は、エンジン
のウォータジャケットからラジエータに通じる冷却水通
路に主熱応答弁および副熱応答弁を設け、主熱応答弁お
よび副熱応答弁の熱応答部材を両熱応答弁に対してラジ
エータとは反対側のウォータジャケット側に配置すると
ともに、副熱応答弁よりも低く設定したものにおいて、
冷却水通路をウォータジャケット側とラジエータ側に仕
切るベースに主熱応答弁、副熱応答弁およびエア抜き孔
を設け、かつ主熱応答弁よりも副熱応答弁の取付位置が
高く、副熱応答弁よりもエア抜き孔の取付位置が高くな
るように位置決め固定している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の内燃
機関の冷却系構造において、サーモスタットキャップ１
０６に一体成形されるサーモスタットキャップ１０６用
のパイプ部１０８は、図１６に示す如く、成形し易い形
状、つまり直線状に形成される。

【０００５】そして、このサーモスタットキャップ１０
６用のパイプ部１０８と接続パイプ部１３６とをホース
１３８にてつないでいる。このとき、ホース１３８の両
端は、図示しないクランプによって固定される。

【０００６】また、パイプ部１０８と接続パイプ部１３
６と位置関係は、ホース１３８にて対処している。

【０００７】しかし、トランスミッション等の周囲の障
害物を避けたレイアウトによってホース成形が不可能、
あるいはホースによる結合が不可能な状態となった場合
には、図１７に示す如く、サーモスタットキャップ２０
６用のパイプ部２０８途中を屈曲させ、パイプ部２０８
と接続パイプ部２３６とをホース２３８にてつないでい
る。

【０００８】つまり、サーモスタットキャップ２０６用
のパイプ部２０８の鋳造方策あるいは樹脂成形方策等の
工夫により、ホース２３８が内燃機関の挙動に伴うホー
ス２３８の移動空間を確保し、且つ成形可能な形状とな
るように、パイプ部２０８をレイアウトし、ホース２３
８を接続可能としている。

【０００９】この結果、サーモスタットキャップ用のパ
イプ部が長過ぎ、あるいは大き過ぎることにより、以下
の如き不具合がある。 （１）中子及び本体部分の成形が困難である。 （２）他の部品と部組した時に必要なスペースが大とな
り、経済的に不利である。 （３）鍛造（成形）時の信頼性に欠ける。（ひけ等） （４）製造時にスラッヂ等の異物の除去が困難である。

【００１０】また、たとえサーモスタットキャップ用の
パイプ部を分割しても、分割部位を結合するための２本
以上の固定ボルト用座を確保することが困難であり、実
用上不利であるという不都合がある。

【００１１】更に、通常のトランスミッション２０２に
長いサーモスタットキャップ２０６用のパイプ部２０８
を装着すると、図１８及び図１９に示す如く、図示しな
い内燃機関に前記トランスミッション２０２を組付する
際の組付ボルト２４０の締付方向延長線近傍且つトラン
スミッション２０２近傍にパイプ部２０８が位置するこ
ととなり、組付スペースが確保されず、組付ができない
という不都合がある。

【００１２】更にまた、図２０に示す如く、オートマチ
ック（ＡＴ）用トランスミッション２Ａの場合には、組
付ボルト２４０の締付方向延長線近傍且つトランスミッ
ション２０２Ａ近傍にパイプ部２０８が位置するととも
に、ケーブル支持ブラケット２４２が組付ボルト２４０
の締付方向延長線上に位置することとなり、上述の通常
のトランスミッション２０２の場合と同様に、組付スペ
ースが確保されず、組付ができないという不都合があ
る。

【００１３】

【課題を解決するための手段】そこで、この発明は、上
述不都合を除去するために、内燃機関のウォータジャケ
ットとラジエータとを連絡する冷却水通路途中にサーモ
スタットを配設し、このサーモスタットのサーモスタッ
トケースにサーモスタットキャップを装着するとともに
前記冷却水通路の一部を成し且つサーモスタットキャッ
プに一体成形されるサーモスタットキャップ用のパイプ
部を有する内燃機関の冷却系構造において、前記サーモ
スタットキャップ用のパイプ部を少なくとも２分割して
設けるとともに前記パイプ部の分割部位をシール手段を
介して唯一の固定手段によって接続する構成としたこと
を特徴とする。

【００１４】

【作用】上述の如く発明したことにより、サーモスタッ
トケースにサーモスタットキャップを装着した後に、ト
ランスミッションを内燃機関に組付する際には、パイプ
部が分割されていることによって組付ボルトの十分な組
付スペースが確保される。

【００１５】

【実施例】以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細
に説明する。

【００１６】図１〜図１５はこの発明の実施例を示すも
のである。図１〜図１５において、２は図示しない内燃
機関のトランスミッション、４はサーモスタットケー
ス、６はサーモスタットケース４に装着され図示しない
サーモスタットを覆うサーモスタットキャップである。

【００１７】前記内燃機関の図示しないウォータジャケ
ットと図示しないラジエータとを連絡する冷却水通路
（図示せず）途中にサーモスタットが配設されている。
冷却水通路は、冷却水配管類の冷却水吸入管や冷却水排
出管によって冷却系を構成しており、冷却水吸入管は、
内燃機関のウォータポンプにラジエータからの冷却水を
導くものであり、冷却水排出管は、内燃機関のウォータ
ジャケットを経て集合された冷却水をラジエータに戻す
ものである。

【００１８】図示しない前記サーモスタットは、サーモ
スタットケース４とこのサーモスタットケース４に装着
されるサーモスタットキャップ６とによって覆われるも
のであり、このサーモスタットキャップ６に一体成形さ
れるサーモスタットキャップ６用のパイプ部８は、前記
冷却水通路の一部を成している。

【００１９】そして、前記パイプ部８を少なくとも２分
割、例えば第１、第２パイプ部１０、１２に２分割して
設けるとともに、前記パイプ部８の分割部位をシール手
段１４を介して唯一の固定手段１６によって接続する構
成とする。

【００２０】詳述すれば、図１に示す如く、前記パイプ
部８を、サーモスタットキャップ６側の第１パイプ部１
０と、屈曲部位を有する第２パイプ部１２とに２分割
し、この分割部位に第１、第２接続部１８、２０を形成
する。

【００２１】また、前記第１パイプ部１０の第１接続部
１８内に大径の係合口部２２を形成するとともに、この
係合口部２２に嵌挿する係合突出部２４を前記第２パイ
プ部１２の第２接続部２０に形成する。

【００２２】前記第１パイプ部１０の第１接続部１８の
外周部位には、前記図示しない内燃機関のトランスミッ
ション２側と逆側に突出する第１突出部２６を形成する
とともに、この第１突出部２６に対峙する部位且つ前記
第２パイプ部１２の第２接続部２０の外周部位には第２
突出部２８を形成する。

【００２３】更に、第２パイプ部１２の係合突出部２４
の外周部位に、前記シール手段１４を抱持する断面円弧
状の溝部３０を形成する。

【００２４】前記シール手段１４は、例えばゴム製リン
グであるＯリング３２からなり、唯一の固定手段１６
は、第１、第２突出部２６、２８を接続する１本の固定
ボルト３４からなる。

【００２５】なお符号３６は、前記サーモスタットキャ
ップ６用のパイプ部８に連絡する接続パイプ部、３８は
サーモスタットキャップ６用のパイプ部８と接続パイプ
部３６とをつなぐホース、４０は図示しない内燃機関に
前記トランスミッション２を組付する際には使用される
組付ボルト、２Ａはオートマチック（ＡＴ）用トランス
ミッション、４２はケーブル支持ブラケットである。

【００２６】次に作用について説明する。

【００２７】前記サーモスタットケース４にサーモスタ
ットキャップ６を装着した後に、トランスミッション２
を図示しない内燃機関に組付する際には、図１４に示す
如く、サーモスタットケース４にはサーモスタットキャ
ップ６と第１パイプ部１０とが装着されることとなり、
組付ボルト４０の締付方向延長線上に十分な組付スペー
スが確保され、この組付スペースにおいてインパクトレ
ンチ等の締付工具（図示せず）を使用して組付ボルト４
０による組付が行われる。

【００２８】また、オートマチック（ＡＴ）用トランス
ミッション２Ａの場合には、図１５に示す如く、ケーブ
ル支持ブラケット４２が組付ボルト４０の締付方向延長
線上に位置しているが、このケーブル支持ブラケット４
２とオートマチック（ＡＴ）用トランスミッション２Ａ
との間に組付スペースが確保されることとなり、この組
付スペースにおいてメガネレンチやスパナ等の締付工具
（図示せず）を使用して組付ボルト４０による組付が可
能である。

【００２９】これにより、分割したパイプ部８によって
以下の如き著効を有する。 （１）中子やサーモスタットキャップ６、パイプ部８の
成形が容易となる。 （２）他の部品との部組を行った際に、必要なスペース
を小とすることができ、経済的に有利である。 （３）鍛造成形時の信頼性が向上する。 （４）単品製造時のスラッヂ等の異物を容易に除去する
ことができる。 （５）部組、組立時の自由度を大とし得る。 （６）メンテナンスが容易である。

【００３０】また、前記パイプ部８の分割部位をシール
手段１４を介して唯一の固定手段１６によって接続する
ことにより、パイプ部８の方向性を指定することができ
るとともに、部品点数が徒に増加せず、コストを低廉に
維持し得て、経済的に有利である。

【００３１】更に、前記パイプ部８を、サーモスタット
キャップ６側の第１パイプ部１０と、屈曲部位を有する
第２パイプ部１２とに２分割したことにより、以下の如
き著効を有する。 （１）中子やサーモスタットキャップ６、パイプ部８の
第１、第２パイプ部１０、１２の成形が容易となる。 （２）他の部品との部組を行った際に、必要なスペース
を小とすることができ、経済的に有利である。 （３）鍛造成形時の信頼性が向上する。 （４）パイプ部８の第１、第２パイプ部１０、１２の製
造時には、長さを短くしたことによりスラッヂ等の異物
を容易に除去することができる。 （５）パイプ部８が第１、第２パイプ部１０、１２に２
分割されることにより、図示しない内燃機関へのトラン
スミッション２、２Ａの組付性を向上させることができ
るとともに、部組、組立時の自由度を大とし得る。 （６）メンテナンスが容易である。

【００３２】更にまた、前記パイプ部８の第１、第２パ
イプ部１０、１２の分割部位をシール手段１４たるＯリ
ング３２を介して唯一の固定手段１６、つまり１本の固
定ボルト３４によって接続することにより、第１、第２
パイプ部１０、１２の接続箇所が限定され、パイプ部８
の方向性を指定することができるとともに、部品点数が
徒に増加せず、コストを低廉に維持し得て、経済的に有
利である。

【００３３】なお、この発明は上述実施例に限定される
ものではなく、種々の応用改変が可能である。

【００３４】例えば、この発明の実施例においては、前
記パイプ部を、サーモスタットキャップ側の第１パイプ
部と、屈曲部位を有する第２パイプ部とに２分割する構
成としたが、前記パイプ部を、サーモスタットキャップ
側の第１パイプ部と、レイアウトに応じた形状である直
線状、つまり屈曲部位を有しない第２パイプ部とに２分
割することもできる。

【００３５】また、この発明の実施例においては、前記
パイプ部を第１、第２パイプ部に２分割したが、３分割
以上とすることも可能である。

【００３６】

【発明の効果】以上詳細に説明した如くこの発明によれ
ば、内燃機関のウォータジャケットとラジエータとを連
絡する冷却水通路途中にサーモスタットを配設し、この
サーモスタットのサーモスタットケースにサーモスタッ
トキャップを装着するとともに前記冷却水通路の一部を
成し且つサーモスタットキャップに一体成形されるサー
モスタットキャップ用のパイプ部を有する内燃機関の冷
却系構造において、サーモスタットキャップ用のパイプ
部を少なくとも２分割して設けるとともに、パイプ部の
分割部位をシール手段を介して唯一の固定手段によって
接続する構成としたので、以下の如き著効を有する。 （１）中子やサーモスタットキャップ、パイプ部の成形
が容易となる。 （２）他の部品との部組を行った際に、必要なスペース
を小とすることができ、経済的に有利である。 （３）鍛造成形時の信頼性が向上する。 （４）単品製造時のスラッヂ等の異物を容易に除去する
ことができる。 （５）部組、組立時の自由度を大とし得る。 （６）メンテナンスが容易である。

【００３７】また、前記パイプ部の分割部位をシール手
段を介して唯一の固定手段によって接続することによ
り、パイプ部の方向性を指定することができるととも
に、部品点数が徒に増加せず、コストを低廉に維持し得
て、経済的に有利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例を示す内燃機関の冷却系構造
の組付状態の概略斜視図である。

【図２】内燃機関の冷却系構造の組付時の概略斜視図で
ある。

【図３】第１パイプ部の正面図である。

【図４】第１パイプ部の平面図である。

【図５】第１パイプ部の右側面図である。

【図６】第１パイプ部の背面図である。

【図７】図３のＶ〓−Ｖ〓線による断面図である。

【図８】第２パイプ部の正面図である。

【図９】第２パイプ部の平面図である。

【図１０】第２パイプ部の右側面図である。

【図１１】図９のＸ〓−Ｘ〓線による断面図である。

【図１２】図９のＸ〓−Ｘ〓線による断面図である。

【図１３】第２パイプ部の端部部分の正面図である。

【図１４】トランスミッションへのサーモスタットキャ
ップ組付時の概略斜視図である。

【図１５】オートマチック（ＡＴ）用トランスミッショ
ンへのサーモスタットキャップ組付時の概略斜視図であ
る。

【図１６】この発明の第１の従来技術を示す内燃機関の
冷却系構造の組付状態の概略斜視図である。

【図１７】この発明の第２の従来技術を示す内燃機関の
冷却系構造の組付状態の概略斜視図である。

【図１８】トランスミッションへのサーモスタットキャ
ップ組付時の概略斜視図である。

【図１９】トランスミッションへのサーモスタットキャ
ップ組付時の概略配置図である。

【図２０】オートマチック（ＡＴ）用トランスミッショ
ンへのサーモスタットキャップ組付時の概略斜視図であ
る。

【符号の説明】 ２ トランスミッション ２Ａ オートマチック（ＡＴ）用トランスミッション ４ サーモスタットケース ６ サーモスタットキャップ ８ パイプ部 １０ 第１パイプ部 １２ 第２パイプ部 １４ シール手段 １６ 固定手段 １８ 第１接続部 ２０ 第２接続部 ２２ 係合口部 ２４ 係合突出部 ２６ 第１突出部 ２８ 第２突出部 ３０ 溝部 ３２ Ｏリング ３４ 固定ボルト ３６ 接続パイプ部 ３８ ホース ４０ 組付ボルト ４２ ケーブル支持ブラケット

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内燃機関のウォータジャケットとラジエ
   ータとを連絡する冷却水通路途中にサーモスタットを配
   設し、このサーモスタットのサーモスタットケースにサ
   ーモスタットキャップを装着するとともに前記冷却水通
   路の一部を成し且つサーモスタットキャップに一体成形
   されるサーモスタットキャップ用のパイプ部を有する内
   燃機関の冷却系構造において、前記サーモスタットキャ
   ップ用のパイプ部を少なくとも２分割して設けるととも
   に前記パイプ部の分割部位をシール手段を介して唯一の
   固定手段によって接続する構成としたことを特徴とする
   内燃機関の冷却系構造。