JPH083031A - 難水溶性薬物含有徐放性製剤 - Google Patents

難水溶性薬物含有徐放性製剤

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JPH083031A
JPH083031A JP6159128A JP15912894A JPH083031A JP H083031 A JPH083031 A JP H083031A JP 6159128 A JP6159128 A JP 6159128A JP 15912894 A JP15912894 A JP 15912894A JP H083031 A JPH083031 A JP H083031A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 徐放性を自在にコントロールできる難水溶性
薬物含有徐放性製剤を提供する。 【構成】 薬物を含有する第一水相(W1)、ポリ乳酸
又はポリ乳酸・グリコール酸共重合体からなる担持体を
適当な溶媒に溶解した油相(O)、及び界面活性物質を
含有する第二水相(W2)の三相でW1/O/W2型の
複乳剤を形成させた後、油相の溶媒を蒸散させることに
より調製されるマイクロカプセルの徐放性製剤におい
て、難水溶性薬物を含有し、かつ生体適合性蛋白を第一
水相(W1)に添加することにより薬物放出特性を制御
したことを特徴とする徐放性製剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は難水溶性薬物含有の徐放
性製剤とに関し、さらに詳しくはW/O/W型のマイク
ロカプセルにおいて難水溶性薬物を多量に含有し、かつ
薬物放出特性を自在に制御した徐放性製剤に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、従来より医療用に使用されてきた
薬物をそのまま又はその構造の一部を変えて薬物の効果
の増大や副作用の軽減などを目的としたDDS、即ち薬
物送達法が臨床上大変注目され製剤学的研究が積極的に
なされている。このDDSの方法論としては標的療法、
制御徐放療法そしてバリヤー通過の調節療法などが挙げ
られる。このうち制御徐放療法は今まで薬効持続時間が
短かった薬物を長時間にわたり効果を発揮できるように
改良する技術で、この結果薬理効果の持続はもとより薬
物使用量の減少、副作用の軽減、ノンコンプライアンス
の改善などの効果が期待される。このように医療上の有
用性を高める目的で放出特性制御型の経口製剤、注射
剤、皮膚貼付剤などが開発されつつある。
【0003】これらのなかでも経口製剤は広範囲に研究
・開発が進められ、幾多の製剤が上市されてきたが、こ
と注射剤に関しては一部インシュリンのデポ製剤などが
医療の場で使用されているにすぎずその進歩は遅れてい
る。この理由として、徐放化能を持たせるための基材の
開発がなされなかったことが挙げられる。経口製剤の場
合はその基材は必ずしも生体内で分解される必要はない
が、注射剤では生体内で毒性を発現することなく分解代
謝排泄されることが実用上絶対必須条件となり、更にそ
の投与部位での局所障害を引き起こさないことなど厳し
い条件が要求される。
【0004】このような状況下で、近年多くの基材が検
討され、それらのなかでも手術の縫合に用いられている
ポリ乳酸又はポリ乳酸・グリコール酸の共重合体が安全
かつ有用な基材として期待されている。実際に徐放性製
剤を調製する目的でこれらの基材を用いたマイクロカプ
セル化の技術が多く報告されている。
【0005】しかしながら、これらの技術の多くは易水
溶性薬物を包含するもので難水溶性薬物に関しては徐放
性製剤として充分な技術は確立されていないのが現状で
ある。例えば、特開平1−158529号公報、特開平
2−124814号公報にはポリ乳酸・グリコール酸共
重合体に水溶性薬物を含有させる方法が開示され、また
特開平3−32302号公報には生理活性ポリペプチド
を、特開平2−330741号公報にはEGFを含有さ
せた徐放性製剤が開示されているが、これらはいずれも
易水溶性物質を含有せしめたものである。
【0006】難水溶性薬物を含有させたポリ乳酸又はポ
リ乳酸・グリコール酸共重合体マイクロカプセルを調製
するためには、まず基材(以下、担持体ともいう)であ
るポリマーを適当な溶媒で溶解し、更にこの溶液に薬物
を加えて溶解させ、次いでこの基材と薬物を含有する溶
液あるいは懸濁液を界面活性物質含有水溶液に滴下、攪
拌して水中油型乳剤を形成するか、または上記溶液ある
いは懸濁液と混和しない油中に滴下、攪拌して油中油型
乳剤を形成した後に溶媒を蒸散させてマイクロカプセル
を固化させる方法(液中乾燥法)、あるいは上記溶液あ
るいは懸濁液にこの液と混和するが基材ポリマーを溶解
しない溶媒(いわゆる貧溶媒)を添加しながら攪拌して
基材ポリマーを相分離させることによってマイクロカプ
セルを調製する方法(コアセルベーション法)が一般的
に行われる。
【0007】実際に難水溶性薬物であるシスプラチンを
含有せしめた例としてポリ乳酸マイクロカプセルの例が
薬剤学第49巻313頁(1989)およびドラッグデ
リヴァリーシステム第5巻29頁(1990)に記載さ
れているが、得られたマイクロカプセルはいずれも初期
放出量が大きく、含有する薬物の半量以上が一挙に放出
されている。また最近、特開平5−294839号公報
において上述した油中油型乳剤液中乾燥法において初期
放出量を抑える工夫を行っているが、これは1日目の放
出量を12%まで制御したに過ぎず、一定期間、一定量
をゼロ次放出する徐放性製剤の完成には至っていないの
が現状である。
【0008】徐放性製剤は薬物を生体内に適度な速度で
供給することにより血中濃度を最適な量に制御しようと
する薬物である。つまり過剰な初期放出のない徐放性製
剤は薬物の血中濃度を治療濃度以上に高めることがない
ことから副作用を軽減させる上で重要な役割をはたして
いる。このようなことから製剤設計上、初期放出量を充
分コントロールした上で薬物を常に一定速度で放出(ゼ
ロ次放出)する理想的な徐放性製剤の開発が望まれてい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したように従来の
技術でポリ乳酸又はポリ乳酸・グリコール酸共重合体マ
イクロカプセルに難水溶性の薬物を含有せしめることに
は薬物放出特性の点で多くの問題が残されているのが現
状である。
【0010】本発明はかかる従来技術の状況に鑑みて創
案されたものであり、その目的とするところは、ポリ乳
酸又はポリ乳酸・グリコール酸共重合体をマイクロカプ
セル化の基材に用い、難水溶性薬物を含有させたマイク
ロカプセルであっても、実質上支障となるような初期放
出を示さず、更に一定期間実用上許容されるゼロ次放出
を示すような放出特性に制御しうる徐放性製剤を提供す
ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために鋭意検討を重ねた結果、完成されたものであ
る。すなわち、本発明は薬物を含有する第一水相(W
1)、ポリ乳酸又はポリ乳酸・グリコール酸共重合体か
らなる担持体を適当な溶媒に溶解した油相(O)、及び
界面活性物質を含有する第二水相(W2)の三相でW1
/O/W2型の複乳剤を形成させた後、油相の溶媒を蒸
散させることにより調製されるマイクロカプセルの徐放
性製剤において、難水溶性薬物を担持体重量の1%以上
含有し、かつ生体適合性蛋白を第一水相(W1)に添加
することにより薬物放出特性を制御したことを特徴とす
る徐放性製剤である。
【0012】本発明はポリ乳酸又はポリ乳酸・グリコー
ル酸共重合体を基材(担持体)とし、これに難水溶性薬
物を含有させたマイクロカプセルを調製するにあたり、
まず難水溶性薬物(好ましくは微細化したもの)を用
い、これに生体適合性蛋白を単独又は数種を適当な比率
で混合添加し、適量の水を加えて第一水相(W1)とす
る、次に上記基材ポリマーを適当な溶媒に溶解して油相
(O)とし、この油相(O)に第一水相(W1)を加え
て攪拌しW1/O型乳剤とする、次いで界面活性物質を
含む水を第二水相(W2)とし、この第二水相(W2)
にW1/O型乳剤を加えて攪拌しW1/O/W2型複乳
剤を形成させた後、ポリマーの溶媒を蒸散させてカプセ
ル化を行い、最終工程としてこのマイクロカプセルを真
空下で乾燥してW1/O/W2型三相構造の過程を経る
ことにより理想的な徐放性製剤が造られる。
【0013】本発明の油相(O)に用いられる基材(担
持体)としては、生体適合性、安全性の点からポリ乳酸
又はポリ乳酸・グリコール酸の共重合体に限定される
が、その分子量は特に限定されず目的とする徐放期間に
より決定される。すなわち、その平均分子量は1000
〜1000000の範囲で使用できるが、好ましくは5
000〜200000の範囲である。また乳酸とグリコ
ール酸の共重合比も100/0〜20/80の範囲で任
意に選択できる。
【0014】本発明に用いられる薬物は難水溶性薬物で
あれば特に限定されないが、好ましくは抗癌剤として汎
用されているプラチナ製剤を用いる。具体的にはシスプ
ラチン、カルボプラチン、イソプラチン又はこれらの修
飾体等が挙げられる。本発明では、これらの難水溶性薬
物は第一水相(W1)において担持体重量の1%以上含
有することができる。
【0015】本発明で用いる難水溶性薬物はその結晶粒
径が最終的に得られるマイクロカプセル粒径の1/10
以下、好ましくは1/100以下に予め微細化すること
が好ましい。例えば、マイクロカプセルの直径が50μ
mであれば、用いる薬物の結晶粒径は5μm以下が好ま
しい。微細化の方法は薬物を微細化できる方法であれば
その手法は限定されない。具体的にはハンマーミル、ス
クリーンミル、ボールミル、振動ミル、タワーミル、ジ
ェットミル、コロイドミル、乳鉢を用いる方法が挙げら
れる。更にこのような処理を施した難水溶性薬物はマイ
クロカプセル導入時に必ずしも水に溶解せしめる必要は
なく、懸濁状態で用いることができる。つまり第一水相
(W1)中に物理的に懸濁できる量であればその最大量
をマイクロカプセルに導入することが可能である。
【0016】本発明において前記基材(担持体)を溶解
する際に用いる溶媒としては、ポリ乳酸又はポリ乳酸・
グリコール酸共重合体を溶解し、かつ水と混和せずに液
中乾燥が可能な溶媒であればよく、例えばクロロホル
ム、トルエン、エチルエーテル、ジクロロメタン、トリ
クロロエタン、ベンゼン等を単独又は数種を混合して用
いることができる。特に好ましくはジクロロメタンを用
いる。
【0017】本発明において第二水相(W2)に添加す
る界面活性物質としては、界面活性作用を有し安定なW
1/O型乳剤を調製せしめるものであればよく、具体的
にはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソ
ルビタン脂肪酸エステル、ポリビニルアルコール、ラウ
リル硫酸ナトリウム、オレイン酸、グリセリン脂肪酸エ
ステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル等が挙げられる。これらの中
ではポリビニルアルコールが特に好ましい。
【0018】本発明において第一水相(W1)に添加す
る生体適合性蛋白としては、生体適合性を有する蛋白な
ら特に限定されないが、アルブミン、ゼラチン、コラー
ゲン、フィブリン等をそれぞれ単独又は数種を混合して
用いるのが好ましい。これらの生体適合性蛋白のうち、
アルブミン及び/又はゼラチンを0.1〜30重量%の
比率で用いるのが好適であり、更に好ましくは1〜25
重量%の比率で用いる。
【0019】通常シスプラチンのようなポリ乳酸・グリ
コール酸共重合体と何の親和性も持たない低分子量の薬
物はマイクロカプセル中に封入しても薬物の初期放出が
起こり易く、製剤設計上大きな問題となっていたが、本
発明では生体適合性蛋白を用いることにより薬物と基材
(担持体)相互に親和性を持たせこれを解決したのであ
る。
【0020】また、本発明では添加する生体適合性蛋白
(例えばアルブミンとゼラチン)の混合比率によって薬
物の初期放出速度のコントロールが可能である。例えば
1日目の薬物放出量を十数パーセントにしようとする場
合には10重量%のアルブミンを用い、さらに1日目の
薬物放出量をほぼ0パーセントにしようとする場合には
5重量%のアルブミンに5重量%のゼラチンを混合して
用いる。つまり、生体適合性蛋白(アルブミンとゼラチ
ン)の量とその混合比率を自由に選択することによって
薬物の初期放出速度を自在にコントロールすることが可
能となったのである。その結果、難水溶性薬物を所望の
期間実質的にゼロ次に放出し続ける理想的な徐放性製剤
を作ることが可能となったのである。
【0021】マイクロカプセルの第一水相に種々の添加
物を加える例は特開平2−124814号公報、特開平
5−12468号公報で報告されているが、これらは全
て薬物の安定性や溶解性を保つためあるいは薬物の包含
率を高めるために添加したものであって、いずれも得ら
れたマイクロカプセルの薬物の初期放出速度をコントロ
ールする技術には至っていない。
【0022】これまでの技術において徐放特性をコント
ロールしようとする場合、基材であるポリ乳酸又はポリ
乳酸・グリコール酸の分子量、共重合比を変える方法が
唯一の方法であった。それゆえ急速な初期放出の起こり
にくいペプチドのような易水溶性薬剤を封入しようとす
る場合には単に基材の種類を選択することでゼロ次に近
似した徐放パターンを得ることができた。ところが上述
したようにシスプラチンのような難水溶性低分子薬剤を
含有せしめた場合は著しい初期放出が起こるため、何ら
かの制御が必要である。つまり難水溶性物質を含有せし
めた場合の放出特性のコントロールには初期の放出速度
のコントロールと基材の組成に依存したそれ以降の放出
のコントロールの両方が必要になる。換言すれば、基材
の組成(徐放特性)に応じて初期放出速度をコントロー
ルすることによって初めてゼロ次に近似した放出特性が
得られるのである。本発明の徐放性製剤はこうした問題
を解決した点に最大の特徴を有するのである。 また本
発明の徐放性製剤は薬物放出特性を単にゼロ次放出した
徐放性製剤に限らず、初期の放出量を任意に高く設定す
ることや薬物の放出時間にタイムラグを有する徐放性製
剤を調製することも可能であり、その応用範囲は極めて
広い。
【0023】本発明による徐放性製剤は含有した薬物を
10日間以上にわたってほぼ一定速度で放出し続けるこ
とができる。薬物の初期の放出量は生体適合性蛋白の混
合比率によってコントロールが可能であり、薬物の放出
期間は基材であるポリ乳酸又はポリ乳酸・グリコール酸
共重合体の組成と分子量によってコントロールすること
ができる。例えば1日目の薬物の放出量が6%で18日
間徐放する製剤を製造しようとする場合、第一水相の添
加剤として10%のアルブミンに1.25%のゼラチン
を混合して添加し、基材(担持体)には乳酸:グリコー
ル酸の共重合比を75:25、分子量を14000のも
のを用いる。
【0024】本発明による徐放性製剤の使用例として
は、例えばシスプラチン含有マイクロカプセルの場合、
癌の腹膜播種性転移予防、治療が挙げられる。外科領域
において胃癌をはじめとする消化器癌の術後の予後因子
として奨膜浸潤や腹膜播種による癌の再発が大きな問題
となっている。このため制癌剤の腹腔内投与、腹腔内洗
浄療法、ドレーンを介しての反復投与などが行われてい
るが、通常の制癌剤のような低分子薬物は速やかに毛細
血管から吸収される為、充分な効果が得られないのが現
状である。このため種々のDDS技術を応用した剤型の
製剤が検討されている。
【0025】医学と薬学第28巻1号130頁(199
2)にはゼラチンフィルムやアルブミン小球体に抗癌剤
を封入せしめているが、充分な作用期間が得られていな
い。また治療学第26巻11号83頁(1992)には
活性炭粒子に抗癌剤を吸着せしめて滞留性を高めたこと
が報告されているが、基材が体内で分解代謝されないの
でそのまま残留するという問題が残されている。
【0026】本発明の徐放性製剤は基材が生体内分解性
であり、薬物放出期間が10日以上と長い為こうした外
科領域における上記問題点を解決することが可能となっ
た。すなわち、本発明による徐放性製剤は以下の特徴を
有する。 本製剤は皮下内、皮内、筋肉内、腹腔内、疾患部位
内、疾患近傍、動脈内等に投与できる。 本来なら長期連日投与が必要な患者に少なくとも数
日或は数週間に1回の薬物投与で済むことにより患者の
負担が軽減される。 初期放出量を任意にコントロールすることが可能で
あることから、必要以上に血中の薬物濃度を高めること
がなく、副作用の発現を抑えられる。 生体内分解性を有するポリ乳酸又はポリ乳酸・グリ
コール酸を用いているため投与部位に基材が残存しな
い。 本製剤は添加物として生体適合性蛋白を用いるた
め、免疫原性がないことから種々の免疫反応の心配がな
い。
【0027】
【実施例】以下に実施例を挙げ本発明の詳細を具体的に
示すが、本発明の範疇はこれらの実施例に留まらない。
なお、特に断りのない限り、%は重量による。
【0028】比較例 1 シスプラチン原末100mgを500μlの10%アル
ブミン溶液に懸濁し、この懸濁液をポリ乳酸・グリコー
ル酸共重合体(乳酸/グリコール酸=75/25、重量
平均分子量14000)4gを5mlのジクロロメタン
に溶解した液に添加しホモジナイザーを用いて攪拌しW
/O型乳剤を得た。次いで、この乳剤を1000mlの
0.1%ポリビニルアルコール水溶液中でホモジナイザ
ーを用い再度攪拌しW/O/W/型乳剤を得、室温下で
穏やかに攪拌することによってジクロロメタンを蒸散さ
せることにより乳化物を固化させた。生じたマイクロカ
プセルは遠心分離により沈澱物として回収し、凍結乾燥
することによって粉末として得られた。このマイクロカ
プセルの平均粒子径は約50μmで薬物の包含量は担持
体重量の0.27%であった。
【0029】実施例 1 乳鉢を用いて予め微細化したシスプラチン100mgを
500μlの10%アルブミン溶液に懸濁し、この懸濁
液をポリ乳酸・グリコール酸共重合体(乳酸/グリコー
ル酸=75/25、重量平均分子量14000)4gを
5mlのジクロロメタンに溶解した液に添加しホモジナ
イザーを用いて攪拌しW/O型乳剤を得た。次いで、こ
の乳剤を1000mlの0.1%ポリビニルアルコール
水溶液中でホモジナイザーを用い再度攪拌しW/O/W
/型乳剤を得、室温下で穏やかに攪拌することによって
ジクロロメタンを蒸散させることにより乳化物を固化さ
せた。生じたマイクロカプセルは遠心分離により沈澱物
として回収し、凍結乾燥することによって粉末として得
られた。このマイクロカプセルの平均粒子径は約50μ
mで薬物の包含量は担持体重量の1.4%であった。
【0030】実施例 2 ボールミルを用いて予め微細化したシスプラチン500
mgを500μlの10%アルブミン溶液に懸濁し、こ
の懸濁液をポリ乳酸(重量平均分子量20000)4g
を5mlのジクロロメタンに溶解した液に添加しホモジ
ナイザーを用いて攪拌しW/O型乳剤を得た。次いで、
この乳剤を1000mlの0.1%ポリビニルアルコー
ル水溶液中でホモジナイザーを用い再度攪拌しW/O/
W型乳剤を得、室温下で穏やかに攪拌することによって
ジクロルメタンを蒸散させることにより乳化物を固化さ
せた。生じたマイクロカプセルは遠心分離により沈澱物
として回収し、凍結乾燥することによって粉末として得
られた。このマイクロカプセルの平均粒子径は約50μ
mで薬物の包含量は担持体重量の8.4%であった。
【0031】上記に示した比較例1、実施例1,2の方
法で調製したマイクロカプセルの薬物包含率の比較を表
1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】難水溶性薬物を原末のまま用いた場合(比
較例1)の薬物包含率は0.27%であるのに対し、予
め薬物を微細化処理した場合(実施例1)の薬物包含率
は1.4%と約5倍に高めることができた。また薬物を
懸濁状態で導入することが可能であることから微細化し
た薬物の導入量を更に500mgまで高めたところ(実
施例2)、薬物包含率は8.4%となり約30倍に高め
ることができた。このように微細化して大量の薬物を懸
濁状態で導入し調製したマイクロカプセル(実施例2)
は試験管内溶出試験において、実質上問題となる大きな
初期放出現象なしにほぼゼロ次に近似した徐放特性を示
した。実施例2の試験管内溶出試験の結果を図1に示
す。なお、試験管内溶出試験の方法は実験例1に従っ
た。
【0034】実施例 3〜11 乳鉢を用いて予め微細化したシスプラチン125mgを
500μlの表2記載の各生体適合性蛋白含有溶液に懸
濁し、この懸濁液をポリ乳酸・グリコール酸共重合体
(乳酸/グリコール酸=75/25、重量平均分子量1
4000)4gを5mlのジクロロメタンに溶解した液
に添加しホモジナイザーを用いて撹拌しW/O型乳剤を
得た。次いで、この乳剤を1000mlの0.1%ポリ
ビニルアルコール水溶液中でホモジナイザーを用い再度
撹拌しW/O/W型乳剤を得、室温下で穏やかに撹拌す
ることによってジクロロメタンを蒸散させることにより
乳化物を固化させた。生じたマイクロカプセルは遠心分
離により沈殿物として回収し、凍結乾燥することによっ
て粉末として得られた。これらのマイクロカプセルの平
均粒子径はいずれも約50μmで担持体重量あたりの薬
物の包含率は表2記載のとおりであった。
【0035】
【表2】
【0036】実験例 1 シスプラチン含有マイクロカプセルの試験管内溶出試験 実施例3〜11について試験管内溶出試験を行った。試
験管内溶出試験は所定量のマイクロカプセルを30mM
トリヒドロキシメチルアミノメタン、0.05%ポリオ
キシエチレンソルビタンモノオレート緩衝液(pH7.
0)に懸濁し、37℃の振とう器つき恒温槽にて行い、
緩衝液中に溶出したシスプラチン量を測定した。なお、
測定は原子吸光法を用いた。その結果を図2、図3、図
4及び表3に示した。
【0037】図2の試験結果から実施例3,4,5によ
って調製されたマイクロカプセルの薬物放出特性は添加
するアルブミンの量によって左右されていることがわか
った。つまり薬物の初期放出速度を抑えるためには至適
なアルブミン濃度を選択する必要があり、添加量がそれ
以上に増加しても低下しても初期の放出速度は増加する
ことが判明した。
【0038】また、図3の試験結果から実施例6,7,
8によって調製されたマイクロカプセルの薬物の初期放
出速度は添加するゼラチン量によって反比例することが
わかった。ただしゼラチンが一定濃度を越えると技術的
にマイクロカプセルの調製が困難になる。
【0039】さらに図4の試験結果から実施例9,1
0,11によって調製されたマイクロカプセルはアルブ
ミンとゼラチンを一定比率で混合することによって初期
の放出速度を自在にコントロールできることがわかっ
た。つまり、アルブミンとゼラチンの量が初期放出速度
に及ぼす影響を考慮して最適な濃度を選択することによ
り、薬物放出特性をゼロ次にしたり、放出時間にタイム
ラグを設定したりすることができることが判明した。
【0040】
【表3】
【0041】表2では図2,3,4に示した各製剤の溶
出率を溶出時間ごとに数値で示した。この結果からもわ
かるように生体適合性蛋白の種類、濃度、混合比率によ
って初期の放出特性が異なることが実証された。従っ
て、使用する基材の組成、目的の徐放期間、目的の放出
特性に応じてこれらの生体適合性蛋白を適宜選択するこ
とによって理想の徐放性製剤を調製することが可能とな
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2の試験管内溶出試験の結果を示すグラ
フである。
【図2】実施例3,4,5の試験管内溶出試験の結果を
示すグラフである。
【図3】実施例6,7,8の試験管内溶出試験の結果を
示すグラフである。
【図4】実施例9,10,11の試験管内溶出試験の結
果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 47/42 C

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薬物を含有する第一水相(W1)、ポリ
    乳酸又はポリ乳酸・グリコール酸共重合体からなる担持
    体を適当な溶媒に溶解した油相(O)、及び界面活性物
    質を含有する第二水相(W2)の三相でW1/O/W2
    型の複乳剤を形成させた後、油相の溶媒を蒸散させるこ
    とにより調製されるマイクロカプセルの徐放性製剤にお
    いて、難水溶性薬物を含有し、かつ生体適合性蛋白を第
    一水相(W1)に添加することにより薬物放出特性を制
    御したことを特徴とする徐放性製剤。
  2. 【請求項2】 薬物放出特性を実質的にゼロ次に制御し
    たことを特徴とする請求項1記載の徐放性製剤。
  3. 【請求項3】 難水溶性薬物を予め微細化し、懸濁状態
    で包含させることを特徴とする請求項1又は2記載の徐
    放性製剤。
  4. 【請求項4】 生体適合性蛋白がアルブミン及び/又は
    ゼラチンであることをことを特徴とする請求項1〜3記
    載の徐放性製剤。
  5. 【請求項5】 難水溶性薬物がシスプラチン若しくはそ
    の誘導体又はこれらの修飾体であることを特徴とする請
    求項1〜4記載の徐放性製剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP2769995A1 (en) * 2013-02-20 2014-08-27 King Saud University Micro-structured material and method for the preparation thereof
CN115354331A (zh) * 2022-08-22 2022-11-18 国网新疆电力有限公司电力科学研究院 一种金属防腐缓释微胶囊及其制备方法和应用

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