JPH0830311A - ロボットの原点出し方法及び制御装置 - Google Patents

ロボットの原点出し方法及び制御装置

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JPH0830311A
JPH0830311A JP16432794A JP16432794A JPH0830311A JP H0830311 A JPH0830311 A JP H0830311A JP 16432794 A JP16432794 A JP 16432794A JP 16432794 A JP16432794 A JP 16432794A JP H0830311 A JPH0830311 A JP H0830311A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 原点センサを廃止し、正確な原点出し精度を
保ちながらコストダウンが計れ、原点出し動作に必要と
する時間が短縮できるロボット可動部の原点出し方法を
提供することを目的とする。 【構成】 可動部とこの可動部を移動させるためのサー
ボモータとを備えたロボットの、前記可動部の原点出し
を行なう方法において、前記サーボモータに所定のトル
クを発生させるための電流を供給し、このサーボモータ
の移動速度に基づいて前記可動部が原点にあると判断す
ることを特徴とするロボットの原点出し方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ロボットの、例えばハ
ンドフィンガーやアームなどの可動部の原点出し方法及
びその制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ロボットの原点出しは、図10の
ような制御装置により位置決め指令のみにより行なって
いた。即ち、指令位置1が与えられると、現在位置カウ
ンタ204が示す現在位置が指令位置から加算器2で減
算され、位置ループゲイン乗算器3により所定のゲイン
をかけられ、加算器4に入力される。加算器4では、乗
算器3の出力から微分器9により得られた現在速度が減
算され、この減算値は速度ループゲイン乗算器5を介し
て、加算器7とトルクアンプ8によるフィードバック系
を経てサーボモータ101に出力される。サーボモータ
101の回転によりスカラ型ロボットS軸部104が駆
動される。サーボモータ101の動きはエンコーダ10
2により現在値カウンタ204に与えられ、ループが形
成される。
【0003】図11に従来のスカラ型ロボットのS軸部
分を抜き出した図を示す。図12に示す原点出しフロー
チャートを用いて従来の原点出し動作を説明すると次の
ようになる。まず、原点出し指令が与えられると、スカ
ラ型ロボットのS軸部は、一定の方向へ低速回転し始め
る(ステップS21)。この回転は、原点センサ112
出力が原点ドグ110AによりON状態になるまで続け
る(ステップS22)。原点センサ112がONになる
と、S軸部は微少移動の動作に移る(ステップS2
3)。この微小移動はエンコーダ102のZ相を検知す
るまで微少移動を続ける(ステップS24)。Z相を検
知すると現在値カウンタをクリアして原点出し動作を完
了する(ステップS25)。
【0004】以上が、従来の原点出しのための、制御手
順、機構部分、制御回路の説明である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例では、原点センサ112を用いるために、その原点
センサの配線の取り回しが必要となり、また、取り付け
の為の安定したベースとスペースが必要であった。従っ
て、コストが余分にかかり、更に位置指令での原点出し
は時間がかかっていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の課題を解
決することを目的としてなされたもので、上述の課題を
解決する一手段として以下の構成を備える。即ち、ロボ
ットの可動部と、この前記可動部を所定移動経路で移動
させるための電動モータと、前記可動部の前記所定移動
経路の一端に設けられ、この前記可動部に当接して前記
可動部の移動を阻止するストッパと、電動モータの回転
軸上設けられた位置検出器とを備え、この電動モータの
移動位置,移動速度,駆動電流を制御することにより前
記ロボットの可動部の原点出しを行うロボットの制御装
置において、位置制御回路とトルク制御回路と回路切り
替えスイッチとを具備したロボットの制御装置であっ
て、前記位置制御回路は、指令位置レジスタと、前記位
置検出器からの出力により、前記電動モータの現在位置
を算出する現在位置カウンタと、この現在位置カウンタ
の出力と前記指令位置レジスタの出力とから前記電動モ
ータの位置偏差を算出する第1の加算器と、この位置偏
差に所定の制御ゲインを乗じ、目標移動速度を演算する
位置ループゲイン乗算器と、前記現在位置カウンタの出
力から現在速度を求める微分器と、目標移動速度と現在
速度との速度偏差を求める第2の加算器と、速度偏差に
所定の制御ゲインを乗じ、目標指令電流を演算する速度
ループゲイン乗算器と、目標指令電流と現在電動モータ
に出力されている現在指令電流との電流偏差を求める第
3の加算器と、得られた電流偏差を増幅し、指令電流と
して電動モータに出力するトルクアンプ、とを有し、前
記トルク制御回路は、現在速度を監視する速度監視器
と、前記第3の加算器に直接に指令値を出力する第1指
令トルク電流レジスタと第2指令トルク電流レジスタ
と、この第1指令トルク電流レジスタと第2指令トルク
レジスタとを切替えるトルク切替スイッチ、とを有し、
前記回路切替スイッチは、前記第3の加算器への指令値
を、前記指令位置レジスタからのものと、第1,第2指
令トルク電流レジスタからのものとの切替えることを特
徴とする。
【0007】上記制御装置を用いた、本発明に係る前記
ロボットの原点出し方法は、前記電動モータを駆動する
ために、前記第3の加算器に前記トルク制御回路の第1
指令トルクを直接供給することにより、前記可動部をス
トッパ方向に移動させ、この動作中、前記速度監視器が
前記可動部の速度を零と判断したときに、前記可動部が
ストッパに当接したと判断して、トルク切替スイッチを
第2指令トルクに切替えて、この第2指令トルクにより
前記可動部をストッパ方向に再度移動させ、この移動
中、前記速度監視器が前記可動部の速度を再度零と判断
したときに、前記可動部が第2トルクによりストッパに
確実に当接したと判断し、回路切替スイッチを切替え、
制御回路を前記トルク制御回路から前記位置決め制御回
路へ切替え、この位置決め制御回路により、ストッパと
は反対方向に前記可動部を一定値移動させ、この一定値
移動終了時に、原点出し位置検出手段により、前記可動
部が原点出し位置に到達したと判断することを特徴とす
る。
【0008】上記制御装置を用いた、本発明に係る前記
ロボットの原点出し方法は、前記電動モータを駆動する
ために、前記第3の加算器に前記トルク制御回路の第1
指令トルクを直接供給することにより、前記可動部をス
トッパ方向に移動させ、この動作中、前記速度監視器が
前記可動部の速度を零と判断したときに、前記可動部が
ストッパに当接したと判断して、トルク切替スイッチを
第2指令トルクに切替えて、この第2指令トルクにより
前記可動部をストッパ方向に再度移動させ、この移動
中、前記速度監視器が前記可動部の速度を再度零と判断
したときに、前記可動部が第2トルクによりストッパに
確実に当接したと判断し、回路切替スイッチを切替え、
制御回路を前記トルク制御回路から前記位置決め制御回
路へ切替え、この位置決め制御回路により、ストッパと
は反対方向に前記可動部を移動させ、この動作中、位置
検出器から原点パルスが出力されると、原点出し位置検
出手段により、前記可動部が原点出し位置に到達したと
判断して、この動作を停止することを特徴とする。
【0009】
【実施例】
〈第1実施例〉図2は、第1実施例にかかるスカラ型ロ
ボットの全体外観図であり、図3は、同スカラ型ロボッ
トのS軸部分のみをぬき出した図である。図2におい
て、1はスカラ型ロボットであり、2はロボットハンド
機構を回転,位置決めするスカラ型ロボットのS軸機構
である。
【0010】図3において、101はサーボモータ、1
02は位置検出用パルスエンコーダ、103はサーボモ
ータの回転出力軸に取り付けられたタイミングプーリ、
104はタイミングベルト、105はプーリ103の反
対側に位置するタイミングプーリ、106は(S軸用)
回転軸、107はスカラ型ロボット本体に取り付けられ
たベース、108はロボットハンド機構、109はベー
スに取り付けられたストッパ、110は継手に取り付け
られているS軸原点出し用のドグ、111はS軸とロボ
ットハンド機構108を結合する継手である。
【0011】このスカラ型ロボットのS軸部の動作は、
サーボモータ101の回転出力をタイミングプーリ10
3とタイミングベルト104とタイミングプーリ105
に伝達し、S軸用回転軸106を回転させる。これによ
り、ハンド機構108の姿勢が決まる。また、サーボモ
ータ101に取り付けられたパルスエンコーダ102に
よってハンド機構の位置は検出できる。
【0012】ロボットハンド機構108は、原点出し用
のストッパ109とドグ110により、この2つを押し
当てる事により原点出しを行う。図4は第1実施例を実
現する制御装置のハードウェアの構成図の1例を示して
いる。201は制御を実現する中央処理装置(CPU)
であり、202はCPU201とバス結合され、一連の
制御処理アルゴリズムのプログラム及びマンマシンイン
ターフェースプログラムを含む不揮発性のメモリ(RO
M)であり、203は教示データを記憶可能な電源バッ
クアップされたメモリ(RAM)である。また、204
はサーボモータ101と連結されたパルスエンコーダ1
02に接続され、サーボモータの現在位置を計数可能に
する現在値カウンタである。205は前記サーボモータ
とトルクアンプ8を通して接続されているD/Aコンバ
ータであり、CPU201の指示でアナログ電流指示を
トルクアンプ8へ出力出来るようになっている。また、
206は外部の教示装置207とCPUを結ぶ通信用イ
ンターフェースである。前記ROM202,RAM20
3,カウンタ204,D/A205,インタフェース2
06はすべてバス208によってCPU201と接続さ
れている。
【0013】図1は第1実施例の制御装置のブロック図
であり、スカラ型ロボットのS軸部の原点出し制御方法
に関する制御回路の構成図である。図1の制御回路は、
位置決め制御ループ(図中、実線の枠で示す)とトルク
制御ループ400(図中破線の枠で示す)という2つの
ループからなる。位置決め制御ループ300は通常のス
カラ型ロボットのS軸部の動作時に用いる位置決め制御
用のループであり、トルク制御ループは、スカラ型ロボ
ットのS軸部の原点出し時に用いる制御ループである。
次に各制御ループについて説明する。
【0014】[位置決め制御ループ]図1において、ス
カラ型ロボットのS軸部の目標位置決め位置を指令位置
1へセットする。目標指令位置1は加算器2へ出力され
る。加算器2は、目標指令位置1と、スカラ型ロボット
のS軸部であるロボットアーム100の現在位置との位
置偏差を求めて、位置ループゲイン乗算器3へ出力す
る。位置ループゲイン乗算器3は、位置偏差に所定の制
御ゲインを乗じて目標移動速度を演算し加算器4へ出力
する。加算器4は、入力されてきた目標移動速度と、ロ
ボットアーム100の現在移動速度との速度偏差を求め
て、速度ループゲイン乗算器5へ出力する。速度ループ
ゲイン乗算器5は、入力されてきた速度偏差に所定の制
御ゲインを乗じて、目標指令電流を加算器7へ出力す
る。加算器7は、入力されてきた目標指令電流と、現在
サーボモータ101に出力されている現在指令電流との
電流偏差を求めて、これをトルクアンプ8へ出力する。
トルクアンプ8は、入力されてきた電流偏差を増幅し、
指令電流とし、サーボモータ101へ出力する。サーボ
モータ101は、入力されてきた指令電流により駆動さ
れ、トルクを発生してスカラ型ロボットS軸部100を
目標指令位置1へ移動駆動させ、位置決めを行なう。エ
ンコーダ102はスカラ型ロボットS軸部100の現在
位置を検出する為に、サーボモータ101の回転に対応
した信号を現在位置カウンタ204へ出力し、その現在
位置カウンタ204はエンコーダ102からの信号によ
り現在位置を算出して、現在位置とする。また、現在位
置カウンタ204の出力を微分器9を通して現在速度と
している。これらは従来通りの位置決め制御ループであ
る。
【0015】[トルク制御ループ]以下、スカラ型ロボ
ットのS軸部の原点出し動作について説明する。図1の
制御ブロック構成図において、原点出し動作を行なう前
においては、ループ切換スイッチ6はA位置に接続さ
れ、位置決め制御ループに接続されている。
【0016】そこで、図5の原点出し動作フローチャー
トに示す原点出し動作をスタートさせると、ステップS
1で図1のトルク制御ループに第1指令トルク値11を
セットし、次のステップS2でトルク切換スイッチ13
をC位置にし、ループ切換スイッチ6をB位置に接続
し、ループ切換スイッチ6の出力がトルク制御ループに
なるようにする。
【0017】次に、ステップS3,S4で、前記第1指
令トルクを出力しつつ、速度監視器14で速度が零にな
るまで続けて出力する。前記ステップS3,S4の動作
でスカラ型ロボットS軸部は、図3に示されているよう
に、ドグ110がストッパ109方向に向かって移動す
る。この第1指令トルクに従った移動動作はドグ110
がストッパ109に衝突するまで継続される。速度監視
器14はアームの移動速度をモニタし、移動速度=
“零”により、ドグがストッパ109に衝突したことを
検知する。
【0018】この衝突を検知すると、ステップS5で第
2指令トルク値12をセットし、ステップS6でトルク
切換スイッチ13をC位置からD位置に切換え、ステッ
プS7,S8で第2指令トルク値をサーボモータに出力
制御する。この第2指令トルク値は第1指令トルク値よ
り大きい。第2指令トルク値がスカラ型ロボットS軸部
に完全に伝達され(ステップS8)、なおかつ、ステッ
プS9で現在速度が零になったタイミングで次のステッ
プに進む。
【0019】ステップS7,S8,S9の状態での終了
した時点では、スカラ型ロボットS軸部は、ストッパ1
09とバラツキなく一定の荷重で付き当たった状態にな
っている。さらに、ステップS10で、図1のループ切
換スイッチ6をA位置に接続し、位置決め制御ループに
切換える。このとき、指令位置1には現在位置カウンタ
204からの現在位置の値を代入する。
【0020】ステップS11では、目標の指令位置1
に、先の移動方向と逆になるような微少移動量を加算し
続け、先の移動方向と逆になるようサーボモータ101
を回転させる。ステップS12では、この回転している
サーボモータ101に接続されているところのパルスエ
ンコーダ102からの原点パルス信号(サーボモータ1
回転当り、1パルスの信号)が検知されるまで、ステッ
プS11で指示されたサーボモータ101の移動を行
う。原点パルス信号が検知されると、即座にステップS
13へ移り、図1に示す現在値カウンタ204をクリア
して、サーボモータ101の移動を止めて原点出し動作
を終了する。
【0021】第1実施例は、第1指令トルク値に一定の
値を初めからセットして、ロボットアームを移動させる
ように制御する例である。前述したように、第1実施例
によれば、第1と第2の指令トルク値を出力して、スカ
ラ型ロボットのS軸部の原点出し動作を行なうことによ
り、正確な荷重でスカラ型ロボットのS軸部がストッパ
109に押し付けられ、伝達部の変形量の再現性が高く
なり、原点センサを廃止し、コストダウンが図れる効果
がある。
【0022】〈第2実施例〉第2実施例は、原点パルス
を出力しないパルスエンコーダを用い正確な原点出しを
行うためのものである。容量の小さな小型サーボモータ
には原点パルス(Z相)を出力しないものがある。図6
は、第2実施例のフローチャートであり、ステップS1
からステップS10までは第1実施例と同じである。
【0023】さて、図6において、ステップS11′で
は、ステップS3,S7のトルク制御での移動方向とは
逆になるようにサーボモータ101をある一定の量だけ
回転させる。このある一定の量とは、スカラ型ロボット
のS軸部とストッパ109とに共に荷重がサーボモータ
101を回転させる前には加わっていたが、この荷重を
解除できる分ほどの回転量である。
【0024】次に、ステップS12′において、サーボ
モータ101が上記の設定量の回転を完了すると、即座
にステップS13′で現在値カウンタ204をクリアし
て原点出し動作を終了する。以上のような制御によりA
相,B相のみで原点パルスのない安価なパルスエンコー
ダでも、正確な原点出し動作が可能である。
【0025】〈第3実施例〉第1実施例で説明した第1
指令トルク制御を更に信頼性を増すようにした実施例
が、第3実施例である。以下、図7のフローチャートを
用いて説明する。なお、図7のフローチャートは、図5
並びに図6のフローチャートのステップS3の部分に相
当する詳細フローチャートである。
【0026】ステップS31で、まず初期値として、あ
らかじめ設定されている指令下限値を設定する。ステッ
プS32ではトルクアンプ8を介してサーボモータ10
1へ電流を流す。ステップS33では、サーボモータ1
01が回転軸とベース、或は伝達系の摩擦等で移動しな
かったか否か(即ち、速度が0であったか否か)をチェ
ックする。移動しているときはステップS36て同じ指
令値でサーボモータに電流を流し続ける。
【0027】ステップS33でモータが移動しなかった
と判定されたときは、ステップS34で現在の指令値が
あらかじめ設定されている指令上限値を越えていないか
をチェックする。この上限値を越えている場合は制御手
順を終了し、図5のステップS4へ進む。ステップS3
4で上限値を越えていないと判断された場合はステップ
S35へ進み、現指令値にあらかじめ設定された増加値
を加算し、ステップS36へ戻って再度先の説明した内
容を実行する。
【0028】ここで、原点出しのための、第3実施例に
かかる、第1指令トルク値について言及する。アームな
どの回転伝達系は固有の摺動抵抗を有し、この抵抗など
により、指令トルク値が小さい時には、スカラ型ロボッ
トのS軸部が動作しないような場合が存在する。抵抗に
より回転系が回転しないことを、ドグがストッパに衝突
して回転しないこととを誤認識しないためである。そこ
で、この摺動抵抗に打ちかって、実際にスカラ型ロボッ
トのS軸部が動作できるようなトルク値以上の値を指令
トルク値とするのである。通常、この抵抗は上限値を有
する。ステップS34で、指令値が上限値を越えれば、
その値でのトルクでは、通常の摩擦抵抗によっては必ず
アームが移動する筈であり、換言すれば、上限値を越え
て速度値が0のときは必ずドグがストッパに衝突してい
る筈のものである。
【0029】第1の指令トルク値に応じて、スカラ型ロ
ボットのS軸部がベースに対して原点出し方向に動作
し、実際にストッパ109とドグ110が接触したら、
指令トルク値切換スイッチ13を第2指令トルク値(D
位置)側に切換える(ステップS6)。このトルク切換
スイッチ13をC位置からD位置に切換えるタイミング
は、ループ切換スイッチ6を位置決め制御ループ側Aか
らトルク制御側Bに切換えた後に、モータの回転速度が
ゼロになった時点である。この速度監視は速度監視器1
4により行なわれ、現在速度が速度=0となった時をド
グ110がストッパ109に接触したと判断して、第2
指令トルク側Dに指令トルク切換スイッチ13を切換え
るというものである。
【0030】そして、第2指令トルク側Dにスイッチが
切換わると、第2指令トルク12が指令値としてループ
切換スイッチ6を通して加算器7へ出力される。従っ
て、トルク制御ループによって、トルク値制御を行っ
て、サーボモータ101に一定のトルクを発生させ、ス
カラ型ロボットのS軸部を動作させ、ドグ110とスト
ッパ109が一定のバラツキのない荷重で押し当てられ
ている。
【0031】ここで、スカラ型ロボットのS軸部の原点
出しの為に、第1と第2の指令トルク値というように2
段階で制御する理由は、 :1回転の指令トルク値のみだと移動する距離により
伝達部の変形量の再現性が低いので、指令トルク値を2
段階に分けてドグ110とストッパ109の衝突の際
に、出来るだけその瞬時に加わる衝撃を小さくしたい
(=S軸が回転できる最小トルク値にする)からであ
り、 :伝達部の変形量の再現性を高くする為に、ドグ11
0とストッパ109が接触している状態から、初めの指
令トルク値よりも大きなトルク値を第2の指令値として
与える。こうすることによって、安定した接触状態(変
形量)が得られるからである。
【0032】図8は指令トルクを1回だけ与えた場合の
発生荷重を示す図である。図9に本発明による指令トル
ク値と、衝突の時発生する荷重の一例を示す図である。
図9に示すように、本実施例による手法の方が接触時の
発生荷重は小さく、また変動幅も小さいことがわかる。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の原点出し
方法及び制御装置によれば、原点センサを廃止し、正確
な原点出し精度を保ちながらコストダウンが計れ、原点
出し動作に必要とする時間が短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の制御装置のブロック図であ
る。
【図2】本発明を実施したスカラ型ロボットの全体外観
図である。
【図3】本発明を実施したスカラ型ロボットのS軸部分
のみをぬき出した図である。
【図4】本発明を実現する制御装置のハードウェアの構
成図の1例である。
【図5】本発明の第1実施例における原点出し動作のフ
ローチャートである。
【図6】本発明の第2実施例における原点出し動作のフ
ローチャートである。
【図7】本発明の第3実施例における原点出し動作のフ
ローチャートである。
【図8】指令トルクを1回だけ与えられた場合の発生荷
重を示す図である。
【図9】本発明による指令トルク値と、衝突の時発生す
る荷重を示す図である。
【図10】従来例の制御装置のブロック図である。
【図11】従来の原点出し方法を用いたスカラ型ロボッ
トのS軸部分をぬき出した図である。
【図12】従来の原点出し方法のフローチャートであ
る。
【符号の説明】
1 指令位置 2,4,7 加算器 3 位置ループゲイン乗算器 5 速度ループゲイン乗算器 6 ループ切換スイッチ 8 トルクアンプ 9 微分器 11 第1指令トルク 12 第2指令トルク 13 トルク切換スイッチ 14 速度監視器 15 (速度=0)検出器 100 スカラ型ロボットの軸部 101 サーボモータ 102 パルスエンコーダ 103,105 タイミングプーリ 104 タイミングベルト 106 回転軸 107 ベース 108 ロボットハンド機構 109 ストッパ 110 ドグ 111 継手 201 CPU 202 ROM 203 RAM 204 現在位置カウンタ 205 D/Aコンバータ 206 通信用インターフェース 207 教示装置 300 位置決め制御ループ 400 トルク制御ループ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロボットの可動部と、この前記可動部を
    所定移動経路で移動させるための電動モータと、前記可
    動部の前記所定移動経路の一端に設けられ、この前記可
    動部に当接して前記可動部の移動を阻止するストッパ
    と、電動モータの回転軸上設けられた位置検出器とを備
    え、この電動モータの移動位置,移動速度,駆動電流を
    制御することにより前記ロボットの可動部の原点出しを
    行うロボットの制御装置において、 位置制御回路とトルク制御回路と回路切り替えスイッチ
    とを具備したロボットの制御装置であって、 前記位置制御回路は、 指令位置レジスタと、 前記位置検出器からの出力により、前記電動モータの現
    在位置を算出する現在位置カウンタと、 この現在位置カウンタの出力と前記指令位置レジスタの
    出力とから前記電動モータの位置偏差を算出する第1の
    加算器と、 この位置偏差に所定の制御ゲインを乗じ、目標移動速度
    を演算する位置ループゲイン乗算器と、 前記現在位置カウンタの出力から現在速度を求める微分
    器と、 目標移動速度と現在速度との速度偏差を求める第2の加
    算器と、 速度偏差に所定の制御ゲインを乗じ、目標指令電流を演
    算する速度ループゲイン乗算器と、 目標指令電流と現在電動モータに出力されている現在指
    令電流との電流偏差を求める第3の加算器と、 得られた電流偏差を増幅し、指令電流として電動モータ
    に出力するトルクアンプ、とを有し、 前記トルク制御回路は、 現在速度を監視する速度監視器と、 前記第3の加算器に直接に指令値を出力する第1指令ト
    ルク電流レジスタと第2指令トルク電流レジスタと、 この第1指令トルク電流レジスタと第2指令トルクレジ
    スタとを切替えるトルク切替スイッチ、とを有し、 前記回路切替スイッチは、前記第3の加算器への指令値
    を、前記指令位置レジスタからのものと、第1,第2指
    令トルク電流レジスタからのものとの切替えることを特
    徴とするロボットの制御装置。
  2. 【請求項2】 前記ロボットの前記可動部の原点出しを
    行なうために、請求項1に記載のロボットの原点出しす
    る方法であって、 前記電動モータを駆動するために、前記第3の加算器に
    前記トルク制御回路の第1指令トルクを直接供給するこ
    とにより、前記可動部をストッパ方向に移動させ、 この動作中、前記速度監視器が前記可動部の速度を零と
    判断したときに、前記可動部がストッパに当接したと判
    断して、トルク切替スイッチを第2指令トルクに切替え
    て、この第2指令トルクにより前記可動部をストッパ方
    向に再度移動させ、 この移動中、前記速度監視器が前記可動部の速度を再度
    零と判断したときに、前記可動部が第2トルクによりス
    トッパに確実に当接したと判断し、回路切替スイッチを
    切替え、制御回路を前記トルク制御回路から前記位置決
    め制御回路へ切替え、この位置決め制御回路により、ス
    トッパとは反対方向に前記可動部を一定値移動させ、 この一定値移動終了時に、原点出し位置検出手段によ
    り、前記可動部が原点出し位置に到達したと判断するこ
    とを特徴とするロボットの原点出し方法。
  3. 【請求項3】 前記ロボットの前記可動部の原点出しを
    行なうために、請求項1に記載のロボットの原点出しす
    る方法であって、 前記電動モータを駆動するために、前記第3の加算器に
    前記トルク制御回路の第1指令トルクを直接供給するこ
    とにより、前記可動部をストッパ方向に移動させ、 この動作中、前記速度監視器が前記可動部の速度を零と
    判断したときに、前記可動部がストッパに当接したと判
    断して、トルク切替スイッチを第2指令トルクに切替え
    て、この第2指令トルクにより前記可動部をストッパ方
    向に再度移動させ、 この移動中、前記速度監視器が前記可動部の速度を再度
    零と判断したときに、前記可動部が第2トルクによりス
    トッパに確実に当接したと判断し、回路切替スイッチを
    切替え、制御回路を前記トルク制御回路から前記位置決
    め制御回路へ切替え、この位置決め制御回路により、ス
    トッパとは反対方向に前記可動部を移動させ、 この動作中、位置検出器から原点パルスが出力される
    と、原点出し位置検出手段により、前記可動部が原点出
    し位置に到達したと判断して、この動作を停止すること
    を特徴とするロボットの原点出し方法。
  4. 【請求項4】 前記第1指令トルクとは、直接電動モー
    タに供給された場合に前記可動部の移動のみが可能な電
    流に対応する指令値であり、第2指令トルクとは直接電
    動モータに供給された場合に第1指令トルクよりも大き
    なトルクを発生する電流に対応する指令値であることを
    特徴とする請求項1に記載のロボットの制御装置。
  5. 【請求項5】 前記第1指令トルクとは、直接電動モー
    タに供給された場合に前記可動部の移動のみが可能な電
    流に対応する指令値であり、第2指令トルクとは直接電
    動モータに供給された場合に第1指令トルクよりも大き
    なトルクを発生する電流に対応する指令値であることを
    特徴とする請求項1に記載のロボットの原点出し方法。
  6. 【請求項6】 前記電流の供給工程において、第1のト
    ルク値(下限値)を与えても前記可動部の移動が認めら
    れないとき、前記第1のトルク値を徐々に増加させるこ
    とを特徴とする請求項2記載のロボットの原点出し方
    法。
  7. 【請求項7】 前記供給工程において、 前記第1の電流値を徐々に増加させる工程において、上
    限値に達した時点で増加を停止させることを特徴とする
    請求項2記載のロボットの原点出し方法。
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