JPH08302588A - 電気絶縁積層板原紙及び積層板 - Google Patents

電気絶縁積層板原紙及び積層板

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JPH08302588A
JPH08302588A JP11201095A JP11201095A JPH08302588A JP H08302588 A JPH08302588 A JP H08302588A JP 11201095 A JP11201095 A JP 11201095A JP 11201095 A JP11201095 A JP 11201095A JP H08302588 A JPH08302588 A JP H08302588A
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pulp
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wood
laminated
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JP11201095A
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Hideo Igarashi
英夫 五十嵐
Takehito Okuya
岳人 奥谷
Junji Osawa
純二 大澤
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Original Assignee
New Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】耐銀マイグレーション性が良好であり、なお且
つ積層板の寸法安定性、反り特性等の全体的積層板特性
が良好である電気絶縁積層板原紙を提供する。 【構成】積層板原紙の原料パルプとして、木材中におけ
る繊維のルンケル比が1.0以上であるパルプをセルラ
ーゼで処理したものを用いることを特徴とする積層板原
紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気機器等に用いられ
る電気絶縁積層板用の原紙及びそれを用いた電気絶縁積
層板に関するものであり、特に寸法安定性、反り等の積
層板特性を損うことなく、耐銀マイグレーション性が良
好な積層板を提供する電気絶縁積層板原紙及びそれを用
いた電気絶縁積層板に関する。
【0002】
【従来の技術】通常の積層板、特に電気絶縁用積層板
は、積層板原紙にフェノール樹脂、エポキシ樹脂等の熱
硬化性樹脂を含浸し、これを加熱乾燥して半硬化樹脂の
プリプレグにし、このプリプレグを複数枚積層し、金属
箔と共に熱圧成型することにより製造される。このよう
な積層板は比較的安価で、通常の電気或いは電子機器に
使用するための性能をほぼ満足しているため家庭用電気
製品を中心に広く使用されている。
【0003】しかしながら、近年の電気製品の軽薄短小
化により、電気部品の実装密度が高くなり、プリント配
線板の導体パターンの細線化が進んでいる。更には、紙
を基材とするプリント配線板においても、導体パターン
の両面化が進み、表裏の電気的接続を目的とした銀スル
ーホールが使用されるようになっている。このため、積
層板の加工性、寸法安定性、打ち抜き性は勿論のこと、
銀のマイグレーション現象による電気絶縁性の劣化が問
題となり、銀マイグレーションの防止性能(以下耐銀マ
イグレーション性と記す)の改良要求が益々厳しくなっ
て来ている。
【0004】従来、積層板原紙に使用されるパルプは、
広葉樹木材からの未叩解晒クラフトパルプ(LBKP)
が用いられるのが一般的であるが、用途によっては積層
板原紙の強度を高めるために針葉樹晒クラフトパルプを
配合したり、コスト低減を目的に未晒パルプを配合した
り、又、高白色度化のためにサルファイトパルプ(S
P)を用いたりする場合がある。このようなパルプは公
知の抄紙機で抄紙され、得られる積層板原紙の密度は
0.45〜0.55g/cm3という低い水準のもので
ある。
【0005】プリント配線板の銀のマイグレーションを
改良するために、原紙に要求される特性としては、銀の
イオン化及び金属銀としての析出に寄与する原紙中の残
留イオンが少ないこと、熱硬化性樹脂の含浸性が良好な
ことが挙げられる。かかる諸問題を解決するために、無
機イオン交換体を含有する樹脂ワニスを使用する方法
(特開平2-133442号公報、特開平5-162245号公報)が知
られているが、積層板原紙を使用した紙基材フェノール
樹脂積層板の場合は、積層板原紙がパルプ繊維から製造
されるものであるため、根本的な解決にはならず、耐銀
マイグレーション性は十分なものではなかった。
【0006】また基材としてガラス不織布を使用した積
層板において、ガラス不織布に金属マイグレーション防
止剤を添加した有機バインダーを含浸する方法(特開平
6-158492号公報)が提案されているが、積層板原紙の場
合は、コストアップが大きく採用が難しい。
【0007】一方、積層板の電気特性を改良するため
に、α−セルロース含量を高くする方法(特開昭60-799
52号公報)が提案されているが、繊維の屈曲が大きくな
り積層板の寸法安定性及び反りが悪化する欠点がある。
また耐銀マイグレーション性の改良に関しては、全く触
れられていない。又、リンターパルプを用いる方法が知
られているが、綿実をパルプ原料としているため、原料
供給が不安定でしかも価格は高価で変動しやすく採用が
難しい。
【0008】他方、含浸する熱硬化性樹脂の改質によ
り、耐銀マイグレーション性を改良する工夫がなされて
いるが、他の積層板特性が悪化することがあること、及
び紙基材フェノール樹脂積層板の場合は、原紙の本質的
特性に依存する部分が強く、更なる原紙の改良が必要と
されていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、かかる
現状に鑑みプリント配線板の銀マイグレーションを抑制
するために、種々検討した。本発明の目的は、寸法安定
性、反り、ハンダ耐熱性等の積層板特性と耐銀マイグレ
ーション性が良好な積層板及びそれを製造するのに適し
た積層板原紙を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の態様を含
む。 〔1〕 木材中の繊維のルンケル比が1.0以上である
木材から製造されたパルプを含む抄紙原料を抄紙してな
る電気絶縁積層板原紙であり、前記パルプがセルラーゼ
で酵素処理を施したパルプである電気絶縁積層板原紙。
【0011】〔2〕 酵素処理が、セルラーゼのカルボ
キシメチルセルロース分解活性がパルプ1gあたり0.
1〜10Uの範囲で行われてなる〔1〕記載の電気絶縁
積層板原紙。
【0012】〔3〕 酵素処理を施すパルプが晒パルプ
である〔1〕記載の電気絶縁積層板原紙。 〔4〕 酵素処理を施すパルプが晒クラフトパルプであ
る〔1〕記載の電気絶縁積層板原紙。
【0013】〔5〕 木材中の繊維のルンケル比が1.
0以上である木材から製造されたパルプを含む抄紙原料
を抄紙してなり、前記パルプがセルラーゼで酵素処理を
施したパルプである電気絶縁積層板原紙と、この原紙中
に含浸された熱硬化性樹脂とを含むプリプレグ層が2枚
以上積層され、互いに積層圧着成形されてなる積層板。 〔6〕 熱硬化性樹脂が水溶性フェノール樹脂を含有す
る〔5〕記載の積層板。
【0014】〔7〕 熱硬化性樹脂がフェノール樹脂を
含み、電気絶縁積層板原紙に水溶性フェノール樹脂を含
浸させ、更に油系フェノール樹脂を含浸させてなるプリ
プレグ層が2枚以上積層され、互いに積層圧着成形され
てなる〔5〕記載の積層板。
【0015】
【作用】本発明では、パルプにセルラーゼで処理を施す
ことが重要であり、更に、原料の樹種中の繊維のルンケ
ル比が1.0以上であることが重要である。即ち、積層
板加工時の寸法安定性や反り特性を損うことなく、耐銀
マイグレーション性を改良するためには、これら双方が
満たされる必要がある。
【0016】本発明で使用する酵素は、セルラーゼ(β
−1,4−グルカン−4−グルカノハイドロラーゼ、E
C3.2.1.4)活性を有する酵素であり、例えば、
トリコデルマ・ビリデ、トリコデルマ・リイセイ、トリ
コデルマ・ロンギブラッキアタム、アスペルギルス・ニ
ガー、アスペルギルス・アクレヤタスなどによって生産
される酵素を用いる。セルラーゼはパルプ中のセルロー
スを分解するが、ヘミセルロースは分解しない。
【0017】セルラーゼでパルプを処理すると、パルプ
中のセルロースが分解し、セルロースの平均重合度が低
下する。すなわち、低分子量のセルロースが増加するこ
とにより、パルプ繊維の膨潤性が向上する。このため水
溶性フェノール樹脂等の樹脂の含浸性・浸透性を改良さ
せることができ、パルプ繊維を十分に覆うことができる
ため銀マイグレーションの発生を抑制することができ、
また耐熱性を改良する等の本発明の効果が得られるもの
と推定される。
【0018】尚、本発明の効果を阻害しない範囲で、他
の酵素も含む粗製セルラーゼを使用すること、或いは他
の酵素を併用することも可能である。
【0019】本発明が効果を発現するためには、パルプ
を酵素で処理を施す際にセルラーゼ活性としてカルボキ
シメチルセルロース分解活性(以下CMC分解活性と記
す)がパルプ1gあたり0.1U〜10Uの範囲である
ことが好ましい。より好ましくはパルプ1gあたり0.
5U〜3Uである。処理時間は好ましくは10分〜12
0分程度の範囲で、より好ましくは30分〜60分であ
る。反応温度、反応pHは使用する酵素によって異な
り、使用する酵素が最も効率よく働く条件で行うことが
望ましい。パルプ1gあたり0.1U未満ではパルプ中
のセルロースの分解が進行しない恐れがあり、また10
Uを越えると大幅に収率が低下しコスト的に問題となる
場合がある。又、セルロースの過分解により、強度低下
や弾性率の低下を招き積層板の寸法安定性及び反り特性
が悪化する恐れもある。更に過度の酵素処理を行うと、
内部フィブリル化に伴い、パルプ繊維の柔軟性がアップ
し繊維間結合面積が大きくなるため、樹脂の含浸性が悪
化する可能性も生じ、積層板原紙の一般的な密度である
0.45〜0.55g/cm3の達成が困難になる恐れ
もある。
【0020】本発明で用いたCMC分解活性測定法は次
の通りである。CMC分解活性測定法 たとえば Methods in Enzymology Volume160 (1988) 10
1-102 に示される方法により測定することができる。す
なわち1%CMC(たとえば旭化成工業製、置換度0.
65、平均重合度500)溶液に酵素溶液を添加し、反
応時間5分後に3,5−ジニトロサリチル酸試薬を加え
た後5分間煮沸する。溶出還元糖と3,5−ジニトロサ
リチル酸の間の反応により生成した3−アミノ−5−ニ
トロサリチル酸を500nmの吸光度で比色し、あらか
じめグルコースを用いて作製した検量線より、溶出還元
糖量を求める。1分間に1マイクロモルのグルコースを
生成する酵素量を1Uと定義する。
【0021】本発明における酵素処理は、未漂白状態で
も可能であり、また酸素漂白、塩素、アルカリ、次亜塩
素酸及び二酸化塩素等による多段漂白の途中、あるいは
漂白後に行なうこともでき、特に限定されるものではな
い。例えば漂白の後段で酵素処理段を追加すると効率的
に処理を行うことができる。また抄紙直前のパルプに酵
素処理を施しても良い。
【0022】本発明では、酵素処理を施すパルプとし
て、木材中のルンケル比が1.0以上の木材から製造さ
れたパルプ繊維を使用する。パルプの製造法はクラフト
蒸解法、亜硫酸蒸解法、アルカリ蒸解法等の化学パルプ
製造法であれば特に限定されるものではない。例えば晒
クラフトパルプが使用出来る。
【0023】ルンケル比が大きいということは、繊維が
厚壁であることを意味し、ルンケル比の大きな繊維を使
用すると、単繊維弾性率が向上し、積層板の寸法安定性
及び反り特性が向上する。従来、ルンケル比の大きい繊
維を使用することにより寸法安定性を改良する方法(特
開平1-184126号公報)が提案されているが、ルンケル比
が大きいことは繊維が厚壁繊維であるため、樹脂含浸時
の膨潤性が悪いという欠点があった。本発明では、単繊
維弾性率の高い厚壁繊維の膨潤性を酵素処理により改良
し、寸法安定性や反り特性を維持して耐銀マイグレーシ
ョン性を改良したものである。
【0024】本発明に好適に使用される木材の樹種とし
ては、アカシア、ユーカリ等を例示できるが、木材中の
ルンケル比が1.0以上であれば勿論これらの樹種に特
に限定はされない。これらのアカシア、ユーカリ等は同
一樹種でも気象条件、土地等に関連する生育条件、生育
適性等の差によりルンケル比が1.0以上となったり、
1.0未満となる。本発明のためにはアカシアメランシ
ー又はユーカリエグザータ、ユーカリデリガテンシス、
ユーカリライチョウNo.1等が好ましい。
【0025】加熱加圧操作の条件は、特に限定されな
い。通常の積層板の製造に使用されている条件を適宜選
択できる。本発明の積層板原紙から積層板を製造するた
めには、積層板原紙に熱硬化性樹脂を含浸して乾燥し、
または半乾燥し(必要に応じ他の材料、例えば金属箔と
積層してもよい)、この積層前駆体を、熱硬化性樹脂を
熱硬化するための所要温度に加熱しながら、必要に応じ
て所定の成形型内で加圧し、これを成形一体化する。
【0026】積層板の含浸工程(プリプレグの作製工
程)も特に限定しない。熱可塑性樹脂としては、例えば
レゾール型フェノール−ホルムアルデヒド樹脂が用いら
れるが、これに限定されることなく、通常のフェノール
−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド
樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂等を適宜選択して使
用できる。
【0027】特に、先に水とメタノール混合溶媒等にて
希釈調製した重合度が低いフェノール樹脂(以下水溶性
フェノール樹脂と記す)を積層板用原紙に含浸し、その
後、アセトン等にて希釈調製した重合度の高い桐油また
は油変性フェノール樹脂(以下油系フェノール樹脂と記
す)を含浸するのが好ましい。又、コスト低減を目的と
して、前述水溶性フェノール樹脂と油系フェノール樹脂
を所定割合で混合し1回の含浸工程でプリプレグを作製
する方法も採用できる。
【0028】このように水溶性フェノール樹脂を含浸す
ると、水溶性フェノール樹脂が優先的に浸透することに
より、水溶性フェノール樹脂とパルプ繊維の親和性が良
好であることから、油系フェノール樹脂の浸透性も改良
され、積層板の電気特性が向上する。
【0029】水溶性フェノール樹脂は例えばフェノール
とホルマリンを反応させて調製したレゾール型フェノー
ル反応生成物と、メラミンとホルマリンを反応させて調
製したメラミン反応生成物とを、それぞれを水とメタノ
ールの混合溶液に溶解することにより製造できる。
【0030】桐油または油変性フェノール樹脂は例えば
フェノールとホルマリンと桐油を反応させて調製した桐
油変性レゾール型フェノール反応生成物にテトラブロモ
ビスフェノールAを配合することにより製造できる。熱
硬化される際の加熱と加圧操作の条件は、熱硬化性樹脂
の種類や量及び積層体の構成、寸法等により変化する
が、一般に150〜180℃程度の温度、80〜120
kg/cm2程度の圧力で30〜60分間行われる。
【0031】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、勿論本発明はこれによって何等
限定されるものではない。
【0032】各実施例で得られた電気絶縁積層板原紙は
下記のようにして積層板に作製して評価した。積層板の
製造法は、積層板原紙に、市販水溶性フェノール樹脂
(商品名ショウノールBRL−2854:昭和高分子
(株)製)を含浸し、乾燥機で乾燥することにより、樹脂
と基材の比率が15:85の一次プリプレグを作製し、
次にこの一次プリプレグに市販の油変性フェノール樹脂
(商品名ショウノールBLS−3122:昭和高分子
(株)製)を含浸し、乾燥して、水溶性フェノール樹脂と
油変性フェノール樹脂の両方を合せた樹脂と基材の比率
が50:50のプリプレグを製造した。次にプリプレグ
を8枚重ね、165℃、100kg/cm2 、60分間
加圧成型することによって、フェノール樹脂積層板を得
た。
【0033】木材中における繊維のルンケル比測定法 木材チップが乾燥状態のままでは組織が硬過ぎ、繊維形
態を破壊せずに断面を切出すことは困難であるため、木
材チップを水中に入れて徐々に加熱し前処理を行なって
から、チップの木口面を、剃刀を用いて繊維方向に対し
て直角に切る。含水状態のままでは細胞が膨潤してして
観測に適さないため、エタノール中に放置して脱水した
後に行なう。木口面の繊維断面を走査型電子顕微鏡、レ
ーザー顕微鏡等を用いて1000倍の繊維断面像を写真
撮影し、200本以上の繊維のルンケル比を測定する。
木材チップ中の個々の繊維のルンケル比は一定ではな
く、大小入り混じっているため、200本以上の繊維に
ついて測定し平均値で評価しなければならない。尚、ル
ンケル比は下記の式1により求まる値である。 R=(2×t)/L ただしtは細胞壁の厚さを示し、Lは繊維のルーメンの
幅を示す。
【0034】積層板の耐銀マイグレーション性の評価法 積層板に銀ペーストで線幅1mm、線間1mmの櫛形電
極を作製し、イオンマイグレーション評価システム(A
MI−025−P:タバイエスペック( 株) 製)を使用
して、60℃、85%RHの高温高湿中で、50Vの電
圧を350時間印加した後の電極間の絶縁抵抗を測定し
た。評価にあたって、試験開始時の結露防止のため、6
0℃で1時間放置し、サンプルが十分その温度に安定し
た後、湿度設定を行い、湿度設定1時間後より測定を開
始した。
【0035】通常、紙フェノール積層板を用いた電気回
路で電化製品を製造した場合、上記の抵抗値が1×10
8 Ω未満になると回路の誤動作が発生する可能性が生じ
るため、耐銀マイグレーション性に劣るものと評価でき
る。
【0036】寸法安定性の評価法 積層板の寸法安定性の評価法は、次の方法により寸法変
化率を測定することにより行う。積層板にスパン250
mmで標点を付け、加熱冷却前後の標点間の寸法を高精
度2次元座標測定装置(例えば、デジタルリーダーDR
−555−D:大日本スクリーン製造(株))で測定す
る。寸法変化率αは下記式2より求める。積層板原紙が
通常の抄紙機で抄造され、異方性を有する場合、寸法変
化率は縦方向、横方向をもって示す。 α(%)=[(L0 −L1 )/L0 ]×100 ただしL0は加熱冷却前の標点間の長さを示し、L1 は
160℃、1時間加熱処理、冷却後の標点間の長さを示
す。
【0037】通常、紙フェノール積層板を用いた電気回
路を製造する場合、上記の寸法変化率が小さい程実相不
良、回路不良が生じる可能性が低くなり好ましい。
【0038】煮沸後のハンダ耐熱性評価法 煮沸後のハンダ耐熱性はJIS C 6481に準拠し
て測定した。すなわち、50±1mm角に切り取った両
面銅張積層板の片面の銅箔の全部を除去し、片面だけ銅
箔の半分を除去して試料を調製する。試料を沸騰蒸留水
中に入れて1時間煮沸し、20±10℃の温度に保った
流れる清水中で30分間冷却した後、260℃のハンダ
浴に銅箔のある面を下にして浮かべ、積層板の膨れまた
は剥がれが生じるまでの時間を測定する。
【0039】通常、紙フェノール積層板を用いた電気回
路を製造する場合、ハンダ耐熱性が10秒以下となる
と、その製造工程中における回路不良が生じる恐れがあ
る。
【0040】実施例1〜2 木材中の繊維のルンケル比が1.41のアカシアメラン
シー材をクラフト蒸解し、カッパー価18±0.5の未
晒パルプ(以下LUKPと記す)を得た。このLUKP
を酸素、アルカリ、塩素、二酸化塩素で多段漂白を行
い、LBKPを得た。このLBKPにトリコデルマ属由
来のセルラーゼ(商品名:ベッセレックス、合同酒精
製、CMC分解活性2500U/ml)を対パルプ0.
05重量%(パルプ1gあたり1.25U、実施例
1)、0.1重量%(パルプ1gあたり2.5U、実施
例2)添加し、処理温度50℃、処理時間1時間で酵素
処理を施した。このパルプを抄紙原料として、メラミン
樹脂(商品名:スミレッツAC8:住友化学( 株) 製)
を対パルプ1%内添し、坪量125g/m2 、密度0.
50g/cm3 の積層板原紙を抄造した。この積層板原
紙から積層板を作製し、耐銀マイグレーション性、寸法
安定性、ハンダ耐熱性の評価を行った。
【0041】実施例3 実施例1〜2と同様の方法で製造したLBKPに、アス
ペルギルス・ニガー由来のセルラーゼ(商品名:セルレ
ースナガセ,ナガセ生化学工業製、CMC分解活性10
00U/ml)をパルプ1gあたり2.5U(対パルプ
0.25重量%)添加し、温度50℃で1時間酵素処理
を施した。このパルプを抄紙原料として、実施例1〜2
と同様の方法で、坪量125g/m2 、密度0.50g
/cm3の積層板原紙を抄造した。この積層板原紙から
積層板を作製し、耐銀マイグレーション性等を同様に評
価した。
【0042】実施例4 木材中の繊維のルンケル比が1.77のユーカリライチ
ョウNo.1材をクラフト蒸解し、カッパー価18±0.5
のLUKPを得た。このLUKPを酸素、アルカリ、塩
素、二酸化塩素で多段漂白を行い、LBKPを得た。こ
のLBKPに前出のベッセレックスを対パルプ0.1重
量%添加し(パルプ1gあたり2.5U)、処理温度5
0℃、処理時間1時間で酵素処理を施した。このパルプ
を抄紙原料として、実施例1〜2と同様の方法で、坪量
125g/m2、密度0.50g/cm3の積層板原紙を
抄造した。この積層板原紙から積層板を作製し、耐銀マ
イグレーション性、寸法安定性の評価を行った。
【0043】実施例5 実施例1〜2と同様の方法で製造したLBKPに、ベッ
セレックス(合同酒精製)を対パルプ0.5重量%(パ
ルプ1gあたり12.5U)添加し、温度50℃で1時
間酵素処理を施した。このパルプを抄紙原料として、実
施例1〜2と同様の方法で、坪量125g/m2 、密度
0.50g/cm3 の積層板原紙を抄造した。この積層
板原紙から積層板を作製し、耐銀マイグレーション性等
を同様に評価した。
【0044】比較例1 実施例1〜2と同様の方法で製造したLBKPを抄紙原
料として、酵素処理を施さずに実施例1〜2と同様の方
法で、坪量125g/m2 、密度0.50g/cm3
積層板原紙を抄造した。この積層板原紙から積層板を作
製し、耐銀マイグレーション性、寸法安定性、ハンダ耐
熱性の評価を行った。
【0045】比較例2 木材中の繊維のルンケル比が0.48のミズナラ材を用
いて、クラフト蒸解し、カッパー価18±0.5のLU
KPを得た。このLUKPを酸素、アルカリ、塩素、次
亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素で多段漂白を行い、L
BKPを得た。このLBKPを抄紙原料として、酵素処
理を施さずに、実施例1〜2と同様の方法で坪量125
g/m2 、密度0.50g/cm3 の積層板原紙を抄造
した。この積層板原紙から積層板を作製し、耐銀マイグ
レーション性、寸法安定性等の評価を行った。
【0046】比較例3 木材中の繊維のルンケル比が0.48のミズナラ材を用
いて、クラフト蒸解し、カッパー価18±0.5のLU
KPを得た。このLUKPを酸素、アルカリ、塩素、次
亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素で多段漂白を行い、L
BKPを得た。このLBKPにベッセレックスを対パル
プ0.1重量%添加し(パルプ1gあたり2.5U)、
処理温度50℃、処理時間1時間で酵素処理を施した。
このパルプを抄紙原料として、実施例1〜2と同様の方
法で、坪量125g/m2、密度0.50g/cm3の積
層板原紙を抄造した。この積層板原紙から積層板を作製
し、耐銀マイグレーション性、寸法安定性等の評価を行
った。
【0047】実施例で得られた結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】表1から明らかなように、木材中における
繊維のルンケル比が1.0以上である木材から製造され
た晒クラフトパルプに、セルラーゼ処理を施したパルプ
を抄紙原料として抄紙される本発明の積層板原紙から製
造される積層板は、耐銀マイグレーション性が優れ、寸
法安定性も良好であった。
【0050】
【発明の効果】本発明は、積層板加工時の寸法安定性が
良好で、プリント配線板の耐銀マイグレーション性が良
好な積層板及びそれを製造するのに最も適した積層板原
紙を提供するものであり、その工業的意義は極めて大き
い。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木材中の繊維のルンケル比が1.0以上
    である木材から製造されたパルプを含む抄紙原料を抄紙
    してなる電気絶縁積層板原紙であり、前記パルプがセル
    ラーゼで酵素処理を施したパルプである電気絶縁積層板
    原紙。
  2. 【請求項2】 酵素処理が、セルラーゼのカルボキシメ
    チルセルロース分解活性がパルプ1gあたり0.1〜1
    0Uの範囲で行われてなる請求項1記載の電気絶縁積層
    板原紙。
  3. 【請求項3】 木材中の繊維のルンケル比が1.0以上
    である木材から製造されたパルプを含む抄紙原料を抄紙
    してなり、前記パルプがセルラーゼで酵素処理を施した
    パルプである電気絶縁積層板原紙と、この原紙中に含浸
    された熱硬化性樹脂とを含むプリプレグ層が2枚以上積
    層され、互いに積層圧着成形されてなる積層板。
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